JP2014168793A - パイプの切断端部用の面取り矯正器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが出来るパイプの切断端部用の面取り矯正器具を提供する。
【解決手段】 パイプの切断端部用の面取り矯正器具1は、把持部2と、把持部2から延設された略柱状の挿入部4と、パイプの切断端の内周縁を面取りする内側面取り部11と、を備え、内側面取り部11を挿入部4の外周面上で把持部2から離れた部位に設けることで、パイプの切断端がパイプの軸に対して傾斜している場合に切断端の先端が入り込むマージン部分15が内側面取り部11と把持部2との間に設けられ、マージン部分15には、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別するべく、傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に切断端の先端が当接するように設定された当接部16が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】 パイプの切断端部用の面取り矯正器具1は、把持部2と、把持部2から延設された略柱状の挿入部4と、パイプの切断端の内周縁を面取りする内側面取り部11と、を備え、内側面取り部11を挿入部4の外周面上で把持部2から離れた部位に設けることで、パイプの切断端がパイプの軸に対して傾斜している場合に切断端の先端が入り込むマージン部分15が内側面取り部11と把持部2との間に設けられ、マージン部分15には、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別するべく、傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に切断端の先端が当接するように設定された当接部16が設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、斜めに切断されたパイプが配管接続に使用可能か否かを判別し、使用可能なものについては斜めに切断されたパイプの端部を面取りして適正な形状に矯正するために使用される面取り矯正器具に関するものである。
例えば、配管接続に用いられる管継手としては、パイプが内挿される受口部を備える管継手、パイプに内挿される挿口部を備える管継手、などが存在し、上記受口部や上記挿口部にはパイプの接続部分の止水性能を確保するためにO−リング等のパッキンが装着されている。
通常、上記パイプは、ハサミ状のパイプカッター等によって所望の長さに切断されるが、該パイプの端部の切断面は、鋭利なものとなりやすく、またバリが形成されたりするので、切断したままの状態の該パイプの端部を上記管継手の受口部や挿口部に挿入すると、該パイプの切断端がパッキンに引っ掛かり、該パッキンがパッキン溝から離脱する等して外れることで、あるいは該切断端の鋭利な切断面によりパッキンが傷つけられてしまうことで、所定の止水性能を発揮出来なくなってしまうことがある。
更にパイプカッター等によるパイプの切断端は、切断時に押し潰されることで、非真円形状に変形することがあり、上記管継手の受口部や挿口部への挿入抵抗が大きくなったり、パイプとパッキンが均一に当接せずに止水性能が劣化したりするおそれがある。
そこで、特許文献1の管端修正器や特許文献2の管端修正具に示されるようなものが提供されている。
特許文献1の管端修正器は、パイプの切断端から内側へ、断面形状が略真円の挿入部(円形矯正軸)を押し込んで回転させることで、該パイプの断面形状を略真円形状に修正し、また挿入部の根端の把持部に突起を設けてその稜線部分で該パイプの切断端を内側および外側に押圧して変形せしめることによって面取りを行っている。特許文献2の管端修正具は、断面形状が略真円の挿入部(中管軸部)をパイプの切断端から内側へ押し込むとともに、該挿入部の根端に設けられたバイトをパイプの切断端の内側に当接させ、該バイトで切削することによって面取りを行っている。
通常、上記パイプは、ハサミ状のパイプカッター等によって所望の長さに切断されるが、該パイプの端部の切断面は、鋭利なものとなりやすく、またバリが形成されたりするので、切断したままの状態の該パイプの端部を上記管継手の受口部や挿口部に挿入すると、該パイプの切断端がパッキンに引っ掛かり、該パッキンがパッキン溝から離脱する等して外れることで、あるいは該切断端の鋭利な切断面によりパッキンが傷つけられてしまうことで、所定の止水性能を発揮出来なくなってしまうことがある。
更にパイプカッター等によるパイプの切断端は、切断時に押し潰されることで、非真円形状に変形することがあり、上記管継手の受口部や挿口部への挿入抵抗が大きくなったり、パイプとパッキンが均一に当接せずに止水性能が劣化したりするおそれがある。
そこで、特許文献1の管端修正器や特許文献2の管端修正具に示されるようなものが提供されている。
特許文献1の管端修正器は、パイプの切断端から内側へ、断面形状が略真円の挿入部(円形矯正軸)を押し込んで回転させることで、該パイプの断面形状を略真円形状に修正し、また挿入部の根端の把持部に突起を設けてその稜線部分で該パイプの切断端を内側および外側に押圧して変形せしめることによって面取りを行っている。特許文献2の管端修正具は、断面形状が略真円の挿入部(中管軸部)をパイプの切断端から内側へ押し込むとともに、該挿入部の根端に設けられたバイトをパイプの切断端の内側に当接させ、該バイトで切削することによって面取りを行っている。
ところが、上記のようにパイプカッター等によって切断されたパイプの多くは、その切断端がパイプの軸に対して傾斜した斜め切りの状態となっており、該傾斜が特に大きくなると該切断端の先端が尖鋭状になってしまう。このように切断端の先端が尖鋭状になったパイプの端部を上記管継手の受口部や挿口部に挿入すると、該先端が上記パッキンに引っ掛かり、該パッキンをめくってしまって所定の止水性能が発揮出来なくなるため、このようなパイプは使用するべきではない。しかし、使用の可否を正確に判別するには定規などを用いて1つずつ切断端の角度を測るしかなく、斜めに切断されたパイプが使用可能なものか否かを簡単に判別する手段が従来はなかったという問題がある。更に上記従来の管端修正器は、使用の可否に関係なくあらゆるパイプを面取りしてしまうため、使用するべきではないパイプを面取りしてしまうことによる作業時間の無駄や、該使用するべきではないパイプを作業者が使用可能なものと誤解してしまうという問題が生じていた。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが可能なパイプの切断端部用の面取り矯正器具を提供することにある。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが可能なパイプの切断端部用の面取り矯正器具を提供することにある。
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明は、切断されたパイプの端部を面取りするとともに、適正な形状に矯正するべく使用されるパイプの切断端部用の面取り矯正器具であって、把持部と、使用に際して上記パイプの内部に挿入するべく該把持部から略柱状に延設された挿入部と、上記パイプの切断端の内周縁を面取りするべく該挿入部の外周面上に設けられた内側面取り部と、を備えており、上記パイプが斜めに切断されたことでその切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に対応するべく、上記内側面取り部が上記把持部から上記挿入部の軸方向に離れて配設されることにより、該内側面取り部と該把持部との間にマージン部分が設けられ、上記傾斜した切断端の先端が該マージン部分に入り込むように構成されているとともに、上記マージン部分には、斜めに切断された上記パイプの使用の可否を判別するべく、上記傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に該切断端の先端が当接するように設定された当接部が設けられていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記当接部には、上記挿入部の軸を中心とする回転方向と直交するように係止面が設けられており、該係止面に上記パイプの切断端の先端が当接した場合に、上記挿入部と上記パイプとの相互間における回転が妨げられるように構成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記当接部には、該当接部を上記挿入部の軸方向に沿って上記把持部側から上記内側面取り部側へ向かうにつれ厚みが漸増する斜面台形状とすることで、傾斜面からなる摺接面が設けられており、該摺接面に上記パイプの切断端の先端が当接した状態で上記挿入部と上記パイプとを相互回転させると、該摺接面に案内された上記パイプの切断端が上記内側面取り部から離れるように構成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、さらに上記パイプの切断端の外周縁を面取りする外側面取り部を備えており、上記外側面取り部を上記内側面取り部の近傍で上記把持部から離れた部位に設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に該切断端の先端が入り込むマージン部分と該切断端の先端が当接する当接部とが該外側面取り部と該把持部との間に設けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記外側面取り部は、上記内側面取り部と相互に対向するように設けられていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記外側面取り部は、上記挿入部の外周面上から延設されていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記挿入部の外周面には、縮径部が設けられていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記当接部には、上記挿入部の軸を中心とする回転方向と直交するように係止面が設けられており、該係止面に上記パイプの切断端の先端が当接した場合に、上記挿入部と上記パイプとの相互間における回転が妨げられるように構成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記当接部には、該当接部を上記挿入部の軸方向に沿って上記把持部側から上記内側面取り部側へ向かうにつれ厚みが漸増する斜面台形状とすることで、傾斜面からなる摺接面が設けられており、該摺接面に上記パイプの切断端の先端が当接した状態で上記挿入部と上記パイプとを相互回転させると、該摺接面に案内された上記パイプの切断端が上記内側面取り部から離れるように構成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、さらに上記パイプの切断端の外周縁を面取りする外側面取り部を備えており、上記外側面取り部を上記内側面取り部の近傍で上記把持部から離れた部位に設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に該切断端の先端が入り込むマージン部分と該切断端の先端が当接する当接部とが該外側面取り部と該把持部との間に設けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記外側面取り部は、上記内側面取り部と相互に対向するように設けられていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記外側面取り部は、上記挿入部の外周面上から延設されていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記挿入部の外周面には、縮径部が設けられていることを要旨とする。
〔作用〕
本発明の面取り矯正器具は、切断されたパイプの端部からその内側へ、略柱状の挿入部を内挿しつつ、該挿入部を軸として把持部を回転させて使用する。該パイプの端部が非真円形状であった場合は、該挿入部がその外周面を該パイプの内周面に接触させつつ該パイプを外側へ押し広げるように回転することで、該パイプの端部が略真円形状に修正される。そして上記パイプの切断端が上記挿入部上に設けられた内側面取り部に達した時、該内側面取り部によって該切断端の内周縁が面取りされる。
本発明の面取り矯正器具にあっては、上記内側面取り部を上記挿入部の外周面上で上記把持部から離れた部位に設けることで、該内側面取り部と該把持部との間にはマージン部分が設けられている。このため、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合、該切断端の先端は該マージン部分に入り込むので、上記パイプの切断端の形状の矯正時に該先端が上記把持部に当たらず、該パイプの推進が妨げられない。結果、上記パイプにおいて、切断端の内周縁の全周を上記内側面取り部に接触させることができ、面取り作業を好適に行うことができる。
更に本発明の面取り矯正器具において、上記マージン部分には、当接部が設けられている。該当接部は、上記パイプの切断端の基端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に、該切断端の先端が当接するように設定されている。従って、切断端の基端から先端までのパイプ長が所定長さを超えるパイプ、つまり使用するべきではないパイプを本発明の面取り矯正器具で面取りしようとすると、該切断端の先端が該当接部に当接することによって、上記挿入部を軸として上記把持部を回転させる際に、該回転の手応えが変化するため、該手応えの変化により、斜めに切断された上記パイプの使用の可否を判別することができる。
また上記当接部に上記挿入部の軸を中心とする回転方向と直交するように係止面を設けると、該係止面に上記パイプの切断端の先端が当接した場合に、上記挿入部を軸とした上記把持部の回転が妨げられることにより、該回転の手応えが顕著に重くなるため、パイプの使用の可否の判別が明確となる。
また上記当接部を斜面台形状とし、該当接部に傾斜面からなる摺接面を設けることで、該摺接面に上記パイプの切断端の先端が当接した状態で上記挿入部を軸として上記把持部を回転させれば、該切断端の先端が該摺接面に案内されることで該パイプが該挿入部に対して抜け出す方向へ移動する。すると、該パイプの切断端は、上記内側面取り部から離れる方向へ移動し、該内側面取り部による面取りの負荷が該パイプや該面取り矯正器具に加わらなくなることで、上記回転の手応えが顕著に軽くなるため、パイプの使用の可否の判別が明確となる。
また外側面取り部を設けることで、切断端の外周縁も面取りすることが出来るとともに、上記マージン部分と上記当接部が上記外側面取り部と上記把持部との間に設けられることで、使用可能なパイプについては切断端の外周縁の全周を上記外側面取り部に接触させることができ、面取り作業を良好に行うことができるとともに、使用するべきではないパイプについては切断端の外周縁が該当接部に当接することで、パイプの使用の可否の判別がより明確となる。
また上記外側面取り部は、上記内側面取り部と相互に対向するように設けられることで、使用可能なパイプについては、面取りのための力を上記外側面取り部及び上記内側面取り部から該パイプの切断端へ逃がすことなく有効に加えることができ、使用するべきではないパイプについては、上記回転の手応えの変化を更に顕著なものとすることができる。
また上記外側面取り部は、上記挿入部の外周面上から延設されることで、簡易な設計で設けることができる。
また挿入部の外周面に縮径部が設けられている場合、上記パイプと上記挿入部との接触部分が上記縮径部を除く部分に限られるから、上記パイプと上記挿入部との接触面積が小さくなり、パイプ端部の形状修正を可能としつつも、パイプ端部に挿入部を挿入する力と把持部を回転させる力とを軽減することができ、上記パイプの切断端の先端が上記当接部に当接したことによる手応えを非常に顕著に変化させることができる。
本発明の面取り矯正器具は、切断されたパイプの端部からその内側へ、略柱状の挿入部を内挿しつつ、該挿入部を軸として把持部を回転させて使用する。該パイプの端部が非真円形状であった場合は、該挿入部がその外周面を該パイプの内周面に接触させつつ該パイプを外側へ押し広げるように回転することで、該パイプの端部が略真円形状に修正される。そして上記パイプの切断端が上記挿入部上に設けられた内側面取り部に達した時、該内側面取り部によって該切断端の内周縁が面取りされる。
本発明の面取り矯正器具にあっては、上記内側面取り部を上記挿入部の外周面上で上記把持部から離れた部位に設けることで、該内側面取り部と該把持部との間にはマージン部分が設けられている。このため、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合、該切断端の先端は該マージン部分に入り込むので、上記パイプの切断端の形状の矯正時に該先端が上記把持部に当たらず、該パイプの推進が妨げられない。結果、上記パイプにおいて、切断端の内周縁の全周を上記内側面取り部に接触させることができ、面取り作業を好適に行うことができる。
更に本発明の面取り矯正器具において、上記マージン部分には、当接部が設けられている。該当接部は、上記パイプの切断端の基端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に、該切断端の先端が当接するように設定されている。従って、切断端の基端から先端までのパイプ長が所定長さを超えるパイプ、つまり使用するべきではないパイプを本発明の面取り矯正器具で面取りしようとすると、該切断端の先端が該当接部に当接することによって、上記挿入部を軸として上記把持部を回転させる際に、該回転の手応えが変化するため、該手応えの変化により、斜めに切断された上記パイプの使用の可否を判別することができる。
また上記当接部に上記挿入部の軸を中心とする回転方向と直交するように係止面を設けると、該係止面に上記パイプの切断端の先端が当接した場合に、上記挿入部を軸とした上記把持部の回転が妨げられることにより、該回転の手応えが顕著に重くなるため、パイプの使用の可否の判別が明確となる。
また上記当接部を斜面台形状とし、該当接部に傾斜面からなる摺接面を設けることで、該摺接面に上記パイプの切断端の先端が当接した状態で上記挿入部を軸として上記把持部を回転させれば、該切断端の先端が該摺接面に案内されることで該パイプが該挿入部に対して抜け出す方向へ移動する。すると、該パイプの切断端は、上記内側面取り部から離れる方向へ移動し、該内側面取り部による面取りの負荷が該パイプや該面取り矯正器具に加わらなくなることで、上記回転の手応えが顕著に軽くなるため、パイプの使用の可否の判別が明確となる。
また外側面取り部を設けることで、切断端の外周縁も面取りすることが出来るとともに、上記マージン部分と上記当接部が上記外側面取り部と上記把持部との間に設けられることで、使用可能なパイプについては切断端の外周縁の全周を上記外側面取り部に接触させることができ、面取り作業を良好に行うことができるとともに、使用するべきではないパイプについては切断端の外周縁が該当接部に当接することで、パイプの使用の可否の判別がより明確となる。
また上記外側面取り部は、上記内側面取り部と相互に対向するように設けられることで、使用可能なパイプについては、面取りのための力を上記外側面取り部及び上記内側面取り部から該パイプの切断端へ逃がすことなく有効に加えることができ、使用するべきではないパイプについては、上記回転の手応えの変化を更に顕著なものとすることができる。
また上記外側面取り部は、上記挿入部の外周面上から延設されることで、簡易な設計で設けることができる。
また挿入部の外周面に縮径部が設けられている場合、上記パイプと上記挿入部との接触部分が上記縮径部を除く部分に限られるから、上記パイプと上記挿入部との接触面積が小さくなり、パイプ端部の形状修正を可能としつつも、パイプ端部に挿入部を挿入する力と把持部を回転させる力とを軽減することができ、上記パイプの切断端の先端が上記当接部に当接したことによる手応えを非常に顕著に変化させることができる。
〔効果〕
本発明にあっては、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが出来る。
本発明にあっては、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが出来る。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の面取り矯正器具を具体化した第1実施形態について説明する。
図1に示すように、面取り矯正器具1は、把持部2と、該把持部2の一面である基面3から差し出された柱状の挿入部4と、を備えている。
上記把持部2は、円盤状に形成されており、その周面には該把持部2を握りやすくするための凹部が形成されている。
上記挿入部4は、断面形状が円形状の柱状、つまり円柱状に形成されている。該挿入部4においては、その両端のうち上記把持部2側の一端を根端、他端を先端とする。
なお、本発明において上記把持部2の形状は、特に限定されるものではなく、例えば矩形状、棒状、平面視で三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状としてもよい。また上記挿入部4の形状は、パイプ内に挿入可能な柱状であれば、特に限定されるものではなく、その断面形状が例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよく、また内部が中空の柱状、つまりは筒状としてもよい。
上記面取り矯正器具1の使用対象となるパイプとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー、あるいは上記ポリオレフィン層や上記エラストマー層にアルミニウム薄板等の金属薄板を内設させた複合材料からなる可撓性を有するパイプが対象とされる。
以下、本発明の面取り矯正器具を具体化した第1実施形態について説明する。
図1に示すように、面取り矯正器具1は、把持部2と、該把持部2の一面である基面3から差し出された柱状の挿入部4と、を備えている。
上記把持部2は、円盤状に形成されており、その周面には該把持部2を握りやすくするための凹部が形成されている。
上記挿入部4は、断面形状が円形状の柱状、つまり円柱状に形成されている。該挿入部4においては、その両端のうち上記把持部2側の一端を根端、他端を先端とする。
なお、本発明において上記把持部2の形状は、特に限定されるものではなく、例えば矩形状、棒状、平面視で三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状としてもよい。また上記挿入部4の形状は、パイプ内に挿入可能な柱状であれば、特に限定されるものではなく、その断面形状が例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよく、また内部が中空の柱状、つまりは筒状としてもよい。
上記面取り矯正器具1の使用対象となるパイプとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー、あるいは上記ポリオレフィン層や上記エラストマー層にアルミニウム薄板等の金属薄板を内設させた複合材料からなる可撓性を有するパイプが対象とされる。
上記挿入部4の外周面上には、第1矯正リング6及び第2矯正リング7の計二個の矯正リングが突設されることにより、該挿入部の外周面でこれら第1矯正リング6及び第2矯正リング7を除く部分に、縮径部が設けられている。具体的に本実施形態では、挿入部4の外周面上で、(1)該第1矯正リング6よりも先端部分、(2)該第1矯正リング6と第2矯正リング7との間の部分、(3)該第2矯正リング7よりも根端部分、の合計3つの縮径部が設けられている。
上記第1矯正リング6は、上記挿入部4の外周面上で先端側の部位に突設されている。該第1矯正リング6は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第1矯正リング6の断面形状は、上記挿入部4の先端側となる半部(先端半部)と、上記挿入部4の根端側となる半部(根端半部)とで非対称になっており、該先端半部の外面6Aは、根端半部の外面に比べて緩斜面とされている。
上記第2矯正リング7は、上記挿入部4の外周面上で根端側の部位に突設されている。該第2矯正リング7は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第2矯正リング7の断面形状は、先端半部と、根端半部とで対称になっている。
また上記挿入部4の根端部には、大径部8が拡径形成されている。
なお上記矯正リングを設ける個数は、特に限定されるものではなく、例えば一個の矯正リングのみを設けたり、三個以上の矯正リングが設けたりしてもよい。また本実施形態のように、同じ高さの矯正リングを二個以上設ける場合、パイプ9が該矯正リングによって安定に支持されるという効果を奏する。
上記第1矯正リング6は、上記挿入部4の外周面上で先端側の部位に突設されている。該第1矯正リング6は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第1矯正リング6の断面形状は、上記挿入部4の先端側となる半部(先端半部)と、上記挿入部4の根端側となる半部(根端半部)とで非対称になっており、該先端半部の外面6Aは、根端半部の外面に比べて緩斜面とされている。
上記第2矯正リング7は、上記挿入部4の外周面上で根端側の部位に突設されている。該第2矯正リング7は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第2矯正リング7の断面形状は、先端半部と、根端半部とで対称になっている。
また上記挿入部4の根端部には、大径部8が拡径形成されている。
なお上記矯正リングを設ける個数は、特に限定されるものではなく、例えば一個の矯正リングのみを設けたり、三個以上の矯正リングが設けたりしてもよい。また本実施形態のように、同じ高さの矯正リングを二個以上設ける場合、パイプ9が該矯正リングによって安定に支持されるという効果を奏する。
図2に示すように、上記挿入部4の外周面上において、上記把持部2から離れた部位であり、さらに上記大径部8から所定の間隔を置いて先端寄りの部位には、上記パイプ9の切断端の内周縁を面取りする内側面取り部11が突設されている。該内側面取り部11は、上記挿入部4の外周面の一部箇所のみから突出され、平面視で三角形状をなすように形成されている(図3(a)参照)。
上記挿入部4の外周面上からは、上記把持部2から離れた部位である上記大径部8から上記内側面取り部11の直近位置までの範囲において、薄板状のプレート12が外方へ延設されている。該プレート12は、上記内側面取り部11を内側に囲むように、先端部がL字状に切り欠かれており、この切り欠かれた内側は、上記パイプ9の切断端が押し込まれる押込部12Aとされている(図4〜図6参照)。
上記押込部12Aの内側面において、上記内側面取り部11の対向位置には、外側面取り部13が設けられている。
上記押込部12Aの内側面において、上記内側面取り部11の把持部2側の端部と、外側面取り部13の把持部2側の端部との間には、該押込部12Aに押し込まれた上記パイプ9の切断端面と摺接する端面摺接部14が設けられている。
上記挿入部4の外周面上からは、上記把持部2から離れた部位である上記大径部8から上記内側面取り部11の直近位置までの範囲において、薄板状のプレート12が外方へ延設されている。該プレート12は、上記内側面取り部11を内側に囲むように、先端部がL字状に切り欠かれており、この切り欠かれた内側は、上記パイプ9の切断端が押し込まれる押込部12Aとされている(図4〜図6参照)。
上記押込部12Aの内側面において、上記内側面取り部11の対向位置には、外側面取り部13が設けられている。
上記押込部12Aの内側面において、上記内側面取り部11の把持部2側の端部と、外側面取り部13の把持部2側の端部との間には、該押込部12Aに押し込まれた上記パイプ9の切断端面と摺接する端面摺接部14が設けられている。
上記内側面取り部11及び上記外側面取り部13は、側面視で三角形状に形成されている。図3(a)に示すように、該内側面取り部11の稜線11Aは、エッジ状とされている。なお該外側面取り部13もまた、稜線13Aは、エッジ状とされている。
上記したように、内側面取り部11は、上記把持部2から離れた部位に配置されている(図2参照)。そして、該内側面取り部11と上記把持部2との間には、上記パイプ9の切断端の先端が入り込むマージン部分15が設けられている。また上記外側面取り部13は、上記内側面取り部11の対向位置に設けられているため、該外側面取り部13と上記把持部2との間にも、上記内側面取り部11と同様のマージン部分15が設けられている。具体的に本実施形態でマージン部分15は、端面摺接部14の先端から、上記大径部8の先端までの範囲に設定されている(図2参照)。
上記したように、内側面取り部11は、上記把持部2から離れた部位に配置されている(図2参照)。そして、該内側面取り部11と上記把持部2との間には、上記パイプ9の切断端の先端が入り込むマージン部分15が設けられている。また上記外側面取り部13は、上記内側面取り部11の対向位置に設けられているため、該外側面取り部13と上記把持部2との間にも、上記内側面取り部11と同様のマージン部分15が設けられている。具体的に本実施形態でマージン部分15は、端面摺接部14の先端から、上記大径部8の先端までの範囲に設定されている(図2参照)。
図2に示すように、上記挿入部4の外周面上において、上記マージン部分15には当接部16が設けられている。該当接部16は、上記挿入部4の外周面で上記内側面取り部11と反対の一部箇所のみから突出され、四角板状をなすように形成されている(図3(b)参照)。
上記当接部16は、その先端が上記端面摺接部14の先端よりも把持部2寄りとなるように配置されている。このため、該当接部16には、斜めに切断されたパイプのうち、傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超えるもののみが当接されるように構成されている。従って斜めに切断されたパイプを面取りする際に、切断端の先端が該当接部16に当接するか否かによって、該パイプの使用の可否を判別することが可能となる(図4、図5参照)。
また上記当接部16は、四角板状とすることにより、その両側面が上記挿入部4の軸を中心とする回転方向と直交する係止面16Aとされている。上記パイプの面取りに際して切断端の先端が該当接部16に当接する場合、該先端は該係止面16Aに当たって係止されるように構成されている。つまり、該係止面16Aは、上記パイプの切断端の先端を係止することで、上記挿入部4と上記パイプとの相互間における回転を妨げる機能を奏している。
上記当接部16は、その先端が上記端面摺接部14の先端よりも把持部2寄りとなるように配置されている。このため、該当接部16には、斜めに切断されたパイプのうち、傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超えるもののみが当接されるように構成されている。従って斜めに切断されたパイプを面取りする際に、切断端の先端が該当接部16に当接するか否かによって、該パイプの使用の可否を判別することが可能となる(図4、図5参照)。
また上記当接部16は、四角板状とすることにより、その両側面が上記挿入部4の軸を中心とする回転方向と直交する係止面16Aとされている。上記パイプの面取りに際して切断端の先端が該当接部16に当接する場合、該先端は該係止面16Aに当たって係止されるように構成されている。つまり、該係止面16Aは、上記パイプの切断端の先端を係止することで、上記挿入部4と上記パイプとの相互間における回転を妨げる機能を奏している。
上記面取り矯正器具1を使用してパイプの切断端部を適正な形状に矯正する際は、まず上記挿入部4の先端が、該パイプの切断端部の内側に挿入される。
次いで、該パイプを手などで支持した状態で、上記把持部2を片手で把持しながら該挿入部4の軸線を中心に回転させつつ、該挿入部4の略全体が該パイプの内側に挿入されるように、該パイプの切断端部と上記把持部2とを相互に接近させる。
上記のように該挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプの内側に挿入する過程で、該パイプの切断端部は、該挿入部4上の上記第1矯正リング6の緩斜面からなる外面6Aを乗り越えつつ、該第1矯正リング6を通過することで、その形状が略真円状に矯正されてゆく。
さらに該挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプの内側に挿入する過程で、該パイプの切断端は、上記プレート12の上記押込部12Aに達する。該パイプの切断端は、上記押込部12Aに押し込まれつつ、その内周縁が上記内側面取り部11の稜線に摺動されることで押し潰され、また外周縁が上記外側面取り部13の稜線に摺動されることで押し潰されて、面取りが行われる。さらに該パイプの切断端面が上記端面摺接部14に摺接されることで、該切断端面のバリや凹凸なども押し潰される。
上記面取りにおいては、上記内側面取り部11と上記外側面取り部13とが相互対向して配置されているから、該内側面取り部11が内周縁に加える力と、該外側面取り部13が外周縁に加える力とが相拮抗してパイプの切断端に効率よく作用するので、面取りが効果的に行われる。
次いで、該パイプを手などで支持した状態で、上記把持部2を片手で把持しながら該挿入部4の軸線を中心に回転させつつ、該挿入部4の略全体が該パイプの内側に挿入されるように、該パイプの切断端部と上記把持部2とを相互に接近させる。
上記のように該挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプの内側に挿入する過程で、該パイプの切断端部は、該挿入部4上の上記第1矯正リング6の緩斜面からなる外面6Aを乗り越えつつ、該第1矯正リング6を通過することで、その形状が略真円状に矯正されてゆく。
さらに該挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプの内側に挿入する過程で、該パイプの切断端は、上記プレート12の上記押込部12Aに達する。該パイプの切断端は、上記押込部12Aに押し込まれつつ、その内周縁が上記内側面取り部11の稜線に摺動されることで押し潰され、また外周縁が上記外側面取り部13の稜線に摺動されることで押し潰されて、面取りが行われる。さらに該パイプの切断端面が上記端面摺接部14に摺接されることで、該切断端面のバリや凹凸なども押し潰される。
上記面取りにおいては、上記内側面取り部11と上記外側面取り部13とが相互対向して配置されているから、該内側面取り部11が内周縁に加える力と、該外側面取り部13が外周縁に加える力とが相拮抗してパイプの切断端に効率よく作用するので、面取りが効果的に行われる。
上記パイプの切断端が、該パイプの軸線に対して垂直ではなく斜めになっている場合について説明する。
図4(a)に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合は、該先端部分91Bの内周縁及び外周縁が、内側面取り部11及び外側面取り部13に接触する。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進む際に、図4(b)に示すように、該パイプ9の先端部分91Bは上記マージン部分15へ至る。
該マージン部分15においては、該切断端9Aの先端部分91Bが当接部16に当接しない限り、該挿入部4が該パイプ9の内側へ推し進むことを阻害する障害は無い。
そして、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進むことに伴い、該パイプ9の切断端9Aは、その先端部分91Bから奥端部分92Bの全周にわたって面取りが行われる。
なお、上記プレート12の上記押込部12Aに上記パイプ9の切断端9Aの奥端部分92Bが最初に押し込まれた状態(つまり図4(b)に示す状態)から面取りが行われる場合は、該挿入部4の回転によって該奥端部分92Bから切断端9Aの先端部分91Bに至る過程で、該挿入部4が該パイプ9の内側から抜け出す方向へ若干移動することで、上記と同様に全周にわたって面取りが行われる。
図4(a)に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合は、該先端部分91Bの内周縁及び外周縁が、内側面取り部11及び外側面取り部13に接触する。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進む際に、図4(b)に示すように、該パイプ9の先端部分91Bは上記マージン部分15へ至る。
該マージン部分15においては、該切断端9Aの先端部分91Bが当接部16に当接しない限り、該挿入部4が該パイプ9の内側へ推し進むことを阻害する障害は無い。
そして、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進むことに伴い、該パイプ9の切断端9Aは、その先端部分91Bから奥端部分92Bの全周にわたって面取りが行われる。
なお、上記プレート12の上記押込部12Aに上記パイプ9の切断端9Aの奥端部分92Bが最初に押し込まれた状態(つまり図4(b)に示す状態)から面取りが行われる場合は、該挿入部4の回転によって該奥端部分92Bから切断端9Aの先端部分91Bに至る過程で、該挿入部4が該パイプ9の内側から抜け出す方向へ若干移動することで、上記と同様に全周にわたって面取りが行われる。
上記パイプが、使用できないものである場合について説明する。
図5(a)に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合、当接部16はパイプ9の何れの箇所にも当接しておらず、パイプ9と挿入部4との相互間の回転が許容された状態とされる。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、該挿入部4が略半回転したところで、図5(b)に示すように、該パイプ9の先端部分91Bが当接部16の係止面16Aに当接し、係止される。このように先端部分91Bが係止面16Aに係止された状態においては、該挿入部4を回転させることが出来ないため、その抵抗感による手応えが把持部2を介して使用者に伝わり、使用者は該パイプ9が使用できないものであることを認識する。
つまり、上記面取り矯正器具1を使用して斜めに切断されたパイプの切断端を面取りする作業者は、使用可能なパイプであれば切断端の全周にわたって円滑に面取りが出来るが、使用するべきでないパイプについては切断端の全周に及ぶ以前に面取り作業が妨げられて面取りが出来ないため、該面取りが可能か否かでパイプの使用の可否を簡易かつ確実に判別することができる。
図5(a)に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合、当接部16はパイプ9の何れの箇所にも当接しておらず、パイプ9と挿入部4との相互間の回転が許容された状態とされる。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、該挿入部4が略半回転したところで、図5(b)に示すように、該パイプ9の先端部分91Bが当接部16の係止面16Aに当接し、係止される。このように先端部分91Bが係止面16Aに係止された状態においては、該挿入部4を回転させることが出来ないため、その抵抗感による手応えが把持部2を介して使用者に伝わり、使用者は該パイプ9が使用できないものであることを認識する。
つまり、上記面取り矯正器具1を使用して斜めに切断されたパイプの切断端を面取りする作業者は、使用可能なパイプであれば切断端の全周にわたって円滑に面取りが出来るが、使用するべきでないパイプについては切断端の全周に及ぶ以前に面取り作業が妨げられて面取りが出来ないため、該面取りが可能か否かでパイプの使用の可否を簡易かつ確実に判別することができる。
図6に示すように、上記挿入部4の軸線AXに対する垂直面に対して上記パイプ9の切断面9Bが角度θだけ傾いていたとすると、パイプ9の外径をdとすれば、斜めになった切断端9Aにおいて、奥端部分92Bから先端部分91Bまでのパイプ長は、ΔL=d・tanθである。斜めに切断された上記パイプ9の使用の可否は、該ΔLによって決めることが可能であり、該ΔLは3mm以下とすることが望ましい。
そして上記当接部16は、上記パイプ9の使用の可否を判別するものであるから、その先端から上記端面摺接部14の先端までの距離は、ΔL以下、つまり3mm以下とすることが望ましい。
そして上記当接部16は、上記パイプ9の使用の可否を判別するものであるから、その先端から上記端面摺接部14の先端までの距離は、ΔL以下、つまり3mm以下とすることが望ましい。
上記のようにして、図7に示すように、パイプ9の切断端9Aがパイプ9の軸線AX’に対し斜めになっている場合でも、上記面取り矯正器具1によって内周縁及び外周縁を面取りされた結果、図8に示すように、パイプ9の切断端9Aの全周にわたって面取り部分91C,92Cが形成される。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の面取り矯正器具を具体化した第2実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図9(a),(b)に示すように、当接部17は、上記挿入部4の外周面上において、上記マージン部分15に設けられ、上記挿入部4の外周面で上記内側面取り部11と反対の一部箇所のみから突出されている。該当接部17は、上記挿入部4の軸方向に沿って上記把持部2側から上記内側面取り部11側へ向かうにつれ厚みが漸増する斜面台形状に形成されている。
上記当接部17は、斜面台形状とすることにより、その先端面が傾斜面からなる摺接面17Aとされている。上記パイプの面取りに際して切断端の先端が該当接部17に当接する場合、該先端は該摺接面17Aに当たって摺接されるように構成されている。そして、該摺接面17Aは、上記パイプの切断端の先端が摺接されることで、上記挿入部4が上記パイプから抜き出される方向へ案内する機能を奏している。
以下、本発明の面取り矯正器具を具体化した第2実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図9(a),(b)に示すように、当接部17は、上記挿入部4の外周面上において、上記マージン部分15に設けられ、上記挿入部4の外周面で上記内側面取り部11と反対の一部箇所のみから突出されている。該当接部17は、上記挿入部4の軸方向に沿って上記把持部2側から上記内側面取り部11側へ向かうにつれ厚みが漸増する斜面台形状に形成されている。
上記当接部17は、斜面台形状とすることにより、その先端面が傾斜面からなる摺接面17Aとされている。上記パイプの面取りに際して切断端の先端が該当接部17に当接する場合、該先端は該摺接面17Aに当たって摺接されるように構成されている。そして、該摺接面17Aは、上記パイプの切断端の先端が摺接されることで、上記挿入部4が上記パイプから抜き出される方向へ案内する機能を奏している。
図10(a)に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合、当接部17はパイプ9の何れの箇所にも当接しておらず、パイプ9と挿入部4との相互間の回転が許容された状態とされる。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、やがて該パイプ9の切断端9Aの先端部分91Bが上記当接部17の摺接面17Aに当接される。このまま該挿入部4を回転させると、図10(b)に示すように、該パイプ9の切断端9Aの先端部分91Bに摺接された摺接面17Aにより、該挿入部4が該パイプ9から抜け出す方向に案内される。その結果、該パイプ9の切断端9Aが上記内側面取り部11から離れ、該内側面取り部11による面取りの手応えが喪われて、該挿入部4が空転するので、該空転が把持部2を介して使用者に伝わり、使用者は該パイプ9が使用できないものであることを認識する。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、やがて該パイプ9の切断端9Aの先端部分91Bが上記当接部17の摺接面17Aに当接される。このまま該挿入部4を回転させると、図10(b)に示すように、該パイプ9の切断端9Aの先端部分91Bに摺接された摺接面17Aにより、該挿入部4が該パイプ9から抜け出す方向に案内される。その結果、該パイプ9の切断端9Aが上記内側面取り部11から離れ、該内側面取り部11による面取りの手応えが喪われて、該挿入部4が空転するので、該空転が把持部2を介して使用者に伝わり、使用者は該パイプ9が使用できないものであることを認識する。
本発明は上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、以下のように実施形態の構成を変更してもよい。
上記面取り矯正器具1に使用する材料は、合成樹脂や金属等、特に限定はされないが、生産性を高めるという観点から合成樹脂である熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性樹脂のなかでもポリアセタールは、耐摩耗性に優れ、パイプ9に対する摺動性を向上させることが出来るため、面取り矯正器具1に使用する材料としてより好ましい。
上記挿入部4の外周面上に第1矯正リング6及び第2矯正リング7を突設して縮径部を形成することに限らず、該挿入部4の外周面上に環状溝を凹設して縮径部を形成してもよい。
上記内側面取り部11と、上記外側面取り部13とは、必ずしも上記挿入部4上で相互対向する部位に設けられることに限らず、互いに離れた位置に設けてもよい。すなわち上記実施形態では、上記プレート12を上記内側面取り部11の直近位置から延設し、上記内側面取り部11を内側に囲むように該プレート12の先端部に上記押込部12Aを切り欠き形成し、該押込部12Aの内側縁の一部を外側面取り部13としている。これに対し、例えば上記外側面取り部13が設けられた上記プレート12を、上記内側面取り部11の直近位置から上記挿入部4の周方向へずらした位置に設けてもよい。
上記外側面取り部13は、必ずしも上記挿入部4から延設されたプレート12に設ける必要はなく、例えば上記プレート12に代えて上記把持部2の基面3や上記大径部8の斜面部8Aから柱状の支持体を上記挿入部4と平行に差し出し、該支持体の先端に外側面取り部13を形成してもよい。また該支持体を上記内側面取り部11と対応するように設けることで、上記外側面取り部13を上記内側面取り部11と相互対向する位置に設けることができ、あるいは該支持体を上記内側面取り部11に対して上記挿入部4の周方向へずらした位置から差し出し、該支持体の先端に上記外側面取り部13を設けてもよい。
上記内側面取り部11と、上記外側面取り部13とは、必ずしも両方を設ける必要はなく、少なくとも内側面取り部11が設けられていれば、上記外側面取り部13を省略してもよい。
上記面取り矯正器具1に使用する材料は、合成樹脂や金属等、特に限定はされないが、生産性を高めるという観点から合成樹脂である熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性樹脂のなかでもポリアセタールは、耐摩耗性に優れ、パイプ9に対する摺動性を向上させることが出来るため、面取り矯正器具1に使用する材料としてより好ましい。
上記挿入部4の外周面上に第1矯正リング6及び第2矯正リング7を突設して縮径部を形成することに限らず、該挿入部4の外周面上に環状溝を凹設して縮径部を形成してもよい。
上記内側面取り部11と、上記外側面取り部13とは、必ずしも上記挿入部4上で相互対向する部位に設けられることに限らず、互いに離れた位置に設けてもよい。すなわち上記実施形態では、上記プレート12を上記内側面取り部11の直近位置から延設し、上記内側面取り部11を内側に囲むように該プレート12の先端部に上記押込部12Aを切り欠き形成し、該押込部12Aの内側縁の一部を外側面取り部13としている。これに対し、例えば上記外側面取り部13が設けられた上記プレート12を、上記内側面取り部11の直近位置から上記挿入部4の周方向へずらした位置に設けてもよい。
上記外側面取り部13は、必ずしも上記挿入部4から延設されたプレート12に設ける必要はなく、例えば上記プレート12に代えて上記把持部2の基面3や上記大径部8の斜面部8Aから柱状の支持体を上記挿入部4と平行に差し出し、該支持体の先端に外側面取り部13を形成してもよい。また該支持体を上記内側面取り部11と対応するように設けることで、上記外側面取り部13を上記内側面取り部11と相互対向する位置に設けることができ、あるいは該支持体を上記内側面取り部11に対して上記挿入部4の周方向へずらした位置から差し出し、該支持体の先端に上記外側面取り部13を設けてもよい。
上記内側面取り部11と、上記外側面取り部13とは、必ずしも両方を設ける必要はなく、少なくとも内側面取り部11が設けられていれば、上記外側面取り部13を省略してもよい。
本発明にあっては、斜めに切断されたパイプの使用の可否を判別することができ、使用可能なパイプについてのみ該パイプの端部を面取りして適正な形状に矯正することが出来るから、産業上の利用可能性がある。
1 面取り矯正器具
2 把持部
4 挿入部
6 第1矯正リング
7 第2矯正リング
9 パイプ
9A 切断端
11 内側面取り部
13 外側面取り部
15 マージン部分
16,17 当接部
2 把持部
4 挿入部
6 第1矯正リング
7 第2矯正リング
9 パイプ
9A 切断端
11 内側面取り部
13 外側面取り部
15 マージン部分
16,17 当接部
Claims (7)
- 切断されたパイプの端部を面取りするとともに、適正な形状に矯正するべく使用されるパイプの切断端部用の面取り矯正器具であって、
把持部と、使用に際して上記パイプの内部に挿入するべく該把持部から略柱状に延設された挿入部と、上記パイプの切断端の内周縁を面取りするべく該挿入部の外周面上に設けられた内側面取り部と、を備えており、
上記パイプが斜めに切断されたことでその切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に対応するべく、上記内側面取り部が上記把持部から上記挿入部の軸方向に離れて配設されることにより、該内側面取り部と該把持部との間にマージン部分が設けられ、上記傾斜した切断端の先端が該マージン部分に入り込むように構成されているとともに、
上記マージン部分には、斜めに切断された上記パイプの使用の可否を判別するべく、上記傾斜した切断端の奥端から先端までのパイプ長が所定長さを超える場合に該切断端の先端が当接するように設定された当接部が設けられている
ことを特徴とするパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記当接部には、上記挿入部の軸を中心とする回転方向と直交するように係止面が設けられており、該係止面に上記パイプの切断端の先端が当接した場合に、上記挿入部と上記パイプとの相互間における回転が妨げられるように構成されている
請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記当接部には、該当接部を上記挿入部の軸方向に沿って上記把持部側から上記内側面取り部側へ向かうにつれ厚みが漸増する斜面台形状とすることで、傾斜面からなる摺接面が設けられており、該摺接面に上記パイプの切断端の先端が当接した状態で上記挿入部と上記パイプとを相互回転させると、該摺接面に案内された上記パイプの切断端が上記内側面取り部から離れるように構成されている
請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - さらに上記パイプの切断端の外周縁を面取りする外側面取り部を備えており、
上記外側面取り部を上記内側面取り部の近傍で上記把持部から離れた部位に設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に該切断端の先端が入り込むマージン部分と該切断端の先端が当接する当接部とが該外側面取り部と該把持部との間に設けられている
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記外側面取り部は、上記内側面取り部と相互に対向するように設けられている
請求項4に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記外側面取り部は、上記挿入部の外周面上から延設されている
請求項4又は請求項5に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記挿入部の外周面には、縮径部が設けられている
請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。
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