JP5291563B2 - スペーサー治具およびこれを用いた既設管切除方法 - Google Patents
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Description
この場合、新設管はその周囲に管軸方向に切り裂かれた既設管が被さった状態で埋設されている。
上記路線の新設管から新規に供給を行うために分岐管を接続させる場合、該当個所の地面を掘削して新設管を内蔵した既設管を露出させた状態で、既設管内の新設管に傷をつけずに、所定の長さの既設管の管壁を切除して新設管を露出させる必要がある。
上記構成では、従来の屈曲自在に連結された多数の金属棒のスペーサーとこれらを結ぶ紐との組合せからなる構成に替えて、把手の先に弾力性を有する金属板による帯へら状のスペーサーを形成し、この一面に、隙間に差し込んだときにポリエチレン管側に接する様に、断熱材を張り合わせたスペーサー治具を用いている。
しかし、上記構成では帯へら状のスペーサーを隙間に差し込む前に、ドライバー等を差し込んでスペーサー挿入用の隙間を大きく開かないと、帯へら状のスペーサーは扁平面であるため上記隙間に挿入させることができない。また扁平な帯へら状であるため新設管に沿って曲げる必要があり、新設管の口径が大きくなるほど環状に一周させることが難しく、手間のかかる作業となっている。
しかし、ガード部材の円弧面の曲率は一定であるため、新設管や既設管の径が異なる毎にカッター本体を準備する必要があり、コストアップを余儀なくされる。
埋設された鋼管の既設管を切り裂きながら内部に合成樹脂製の新設管を引き込んで交換し、該交換した新設管に分岐管を接続するために前記既設管の一部を切除するためのスペーサ治具であって、
合成樹脂製の環状体の一端を切断して拡縮自在な弾性を有すると共に新設管の外径とほぼ同じ長さに内径を設定したリング本体と、前記切断した端部の少なくとも一方が斜めに切断されて端部に向かって漸次薄肉になる先端ガイド部に形成したリング状治具からなり、
該リング状治具のリング本体を拡径して既設管に外嵌し、前記先端ガイド部を既設管の切り裂かれた開口から既設管と新設管の隙間に挿入し、リング本体を一周させて新設管に外嵌させて既設管と新設管との間の空間を均一に形成し、
前記リング状治具の厚みを少なくともカッターで既設管を切除した際に新設管が損傷を受けることがない長さに設定してなることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記リング本体の径方向の断面が断面倒立V字状に突出した突部先端を有しており、リング状治具を新設管に外嵌させる際に既設管の内壁面に前記突部先端で線接触しながらリング状治具が挿入されることを特徴とする。
また、請求項3の発明では、
前記スペーサ治具が、リング本体の厚みを厚くして既設管と新設管との間の空間を大きくし、または既設管切断個所に対応する新設管の周りを覆う耐熱シートを設けて、カッターによる既設管切断時に火花が発生した場合の新設管への影響を抑える保護手段を備えてなることを特徴とする。
更に、請求項4の発明では、
前記耐熱シートが、リング状治具と別体に、またはリング状治具に一体に連結されており、
該耐熱シートが、リング状治具の挿入により形成された既設管と新設管との空間に挿入して新設管を一周する長さで、カッターによる既設管切断時に発生する火花から新設管を保護しうる幅に設定されてなることを特徴とする。
請求項5の発明では、
前記請求項1または2のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具のリング本体を拡径して既設管に外嵌し、前記先端ガイド部を既設管の切り裂かれた開口から既設管と新設管の隙間に挿入し、更に押し進めリング本体を一周させて新設管に外嵌させ、既設管と新設管との空間をほぼ均一に保持してカッターで既設管の一部を切除可能としたことを特徴とする。
また、請求項6の発明では、
前記請求項4のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具と耐熱シートが別体からなっており、
リング状治具の挿入後に、耐熱シートをリングの挿入個所に近接する既設管と新設管との空間であってカッターによる切断個所に対応する個所に挿入して前記耐熱シートを新設管に巻き付け、カッターによる既設管の切断時に発生する火花から新設管を保護してなることを特徴とする。
更に、請求項7の発明では、
前記請求項4のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具に耐熱シートが一体に連結されており、
リング状治具の挿入とともに耐熱シートが既設管と新設管との空間に挿入され、該耐熱シートはカッターによる切断個所に対応する個所で新設管に巻き付けられ、カッターによる既設管の切断時に発生する火花から新設管を保護してなることを特徴とする。
これにより既設管と新設管との間に均一な空間を確保することができ、カッターの刃幅を前記空間の長さより短く設定することで新設管を傷つけることなく既設管をその軸線を中心とした周方向に切断することができる。
また、リング本体が、その径方向の断面に断面倒立V字状に突出した突部先端を設けることで、既設管の内壁に沿ってスムーズにリング状治具を摺動させることができる。
スペーサ治具が、リング本体の厚みを厚くし、または新設管を覆う耐熱シートからなる保護手段を設けることで、カッターによる既設管切断時に火花が発生した場合に新設管への火花の影響を抑えることができる。
また、リング本体に耐熱シートを一体に連結すれば、リング状治具と耐熱シートとを同時に新設管の対応個所に巻き付けることができる。
図1に示すように、上記既設管10の一部10’を軸方向に所定間隔だけ切除して取り去り、露出した新設管11’に新規の分岐管15を接続して供給路線を分岐する際に、前記既設管10の切断に使用するために本実施例のスペーサ治具が用いられる。
本実施例のスペーサ治具は、図3(a)に示すように、合成樹脂製の環状体の一端を斜めに切断して、拡径した際に元の円形姿勢に縮径する弾性を備えたリング状治具1からなっている。
このリング状治具1は、一端が切断されたリング本体2と、該リング本体2の一端に形成されてリング本体2の外周面から内周面に沿って漸次薄肉になるように傾斜する先端ガイド部3とを設けている。
リング本体2は、その内径が前記新設管11の口径(外径)とほぼ同じ長さに設定されている。
一例として新設管11の口径が200Aの場合、リング本体2の内径をこれに対応させている。
また、本実施例で用いるリング本体2は、断面円形のものを用いたが断面角形や断面楕円形状、その他任意断面形状のリングを用いることができる。
上記先端ガイド部3は、無端のリングを斜めに切断することで形成することができる。
本実施例の先端ガイド部3は、リング本体2の内周側に向かって厚みが漸次薄くなる傾斜面を先端ガイド部3にすることで挿入がしやすくなる。
本実施例で用いるカッター5は、所定の長さだけ刃先が突出したものであって、一例として図2に示すような公知の電動式丸のこぎりであって、回転刃6の下方に水平に延びるガード部材7が取り付けられており、該ガード部材7に設けたスリット(図示せず)から前記回転刃6の先端が所定の長さLだけ突出した構成からなっている。
本実施例では上記ガード部材7からの刃先の突出長さLは10mmに設定してあり、この突出長さ(刃幅)で既設管10の管壁を切断する。
図中8はカッター5を把持するためのハンドル、9は刃先の上部を覆うカバーである。
本実施例でスペーサ治具となるリング状治具1は、図4から図7に示す方法で使用され、既設管10の管壁を、内側に内挿された新設管11を損傷しないように、既設管10の軸線を中心とした周方向に沿ってカッター5を用いて切断する。
この際、既設管10には、予め切断予定個所を示すマーキング(図示せず)をしておき、そのマーキングに沿って、所定の間隔だけ離れた近傍位置にリング状治具1を外嵌する。このリング状治具1の外嵌位置はマーキングの内側であっても外側であってもいずれでもよい。
この場合も、前述のように、隙間Sの間隔が狭くても先端ガイド部3の傾斜面で既設管10の管壁を広げながら挿入することができる。
これにより、既設管10の内周壁と新設管11の外周壁との間には、少なくともリング状治具1のリング本体2の厚み分の空間16を均一に確保することができる(図7、図8参照)。
本実施例では、口径200Aの既設管10で管厚5.8mmとすると、カッター5の回転刃6はガイド部材7からの突出長さLを約10mm程度としているので、新設管11を傷つけることなく既設管10を確実に環状に切断することができる。
そこで、新規供給用の分岐管15を接続することが可能となる。
図9に示すリング状治具1は、リング本体2の切断した両端がいずれも先端ガイド部3となるように、リングをV字断面となるように切断した構成からなっている。
この場合、いずれの端部も先端ガイド部3として使用することができ、どちらの端部も挿入側とすることができる。
また、図11に示すリング状治具1は、リング本体2の切断した端面が、リング本体2の外周に向かって徐々に薄肉となる傾斜面からなっている。
これらの場合、先端は薄肉となっているので、開口12から既設管10と新設管11の隙間に差し込めばよい。
前記内壁面は粗面である場合が多く、リング状治具1を摺動させる場合に接触面が小さいほど抵抗が少なく摺動させやすくなる。
そこで、リング状治具1の径方向の断面は、前記内壁面と線接触するように、断面倒立V字状に突出した突部先端2aを有していることが好ましい。
これにより、既設管10の内壁面に沿ってスムーズにリング状治具1を摺動させることができる。
断面形状は、五角形に限定されず多角形でもよく、また任意の形状でもよいが要するに突部先端2aを有していればよい。
即ち、先端ガイド面3はリング本体2の一方の側方(図中右側)から他方の側方(図中左側)に向かって斜めに切断された形状からなっており、前記実施例と同様に先端の尖った側を開口12から既設管10と新設管11の隙間Sに差し込めばよい。
実施例1のリング治具1の厚みを厚くすることで、カッター5による既設管10の切断時に火花が発生しても新設管11に影響を与えないようにしてもよいが、耐熱シート20を用いることで火花から直接的に新設管11を保護することができる。
耐熱シート20は、前記リング状治具1より薄いシートであって、可撓性を有する耐熱材からなっている。
この耐熱シート20は、少なくとも新設管11を一周する長さで、前記カッター5による既設管10切断時に火花が飛び散っても該火花を受け止めることができる幅に設定されていることが好ましい。
そして、前記実施例1のようにして既設管10と新設管11の間に挿入されたリング状治具1によって均一の空間16が確保されるので、その空間16内にシート本体20aを挿入して、新設管11の周りを一回りさせて巻き付ける。
そして、前記カッター5により既設管10をマーキングに倣って周方向に切断するが、その際に火花が飛び散ることがあっても、新設管11は耐熱シート20で覆われているから前記火花から新設管11を保護することができる。
その他の構成は前記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
まず、一対のリング状治具1を、切断予定個所のマーキングに沿って、所定の長さだけ離間して既設管10の開口12から新設管11との隙間に挿入してセットする(図15(a)参照)。
その後、マーキングに沿ってカッター5で新設管11を2個所でそれぞれ周方向に切断する(図15(c)参照)。
この際に、カッター5の切断個所では、耐熱シート20によって新設管11がカバーされている。
これにより2つ割りされた既設管の一部10’は新設管11から簡単に引き剥がすことができる(図参照)。
この場合、耐熱シート20はリング状治具1に固着されるものであっても、着脱可能に取り付けられるものでもよい。
更に、耐熱シート20の両端にそれぞれリング状治具1を一体に取り付けてもよい。
その他の構成は、前記実施例と同様であるのでその説明を省略する。
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
2 リング本体
2a 突部先端
3 先端ガイド部
5 カッター
6 回転刃
7 ガード部材
10 既設管
11 新設管
12 開口
13、14 開口縁部
15 分岐管
16 空間
20 耐熱シート
S 隙間
Claims (7)
- 埋設された鋼管の既設管を切り裂きながら内部に合成樹脂製の新設管を引き込んで交換し、該交換した新設管に分岐管を接続するために前記既設管の一部を切除するためのスペーサ治具であって、
合成樹脂製の環状体の一端を切断して拡縮自在な弾性を有すると共に新設管の外径とほぼ同じ長さに内径を設定したリング本体と、前記切断した端部の少なくとも一方が斜めに切断されて端部に向かって漸次薄肉になる先端ガイド部に形成したリング状治具からなり、
該リング状治具のリング本体を拡径して既設管に外嵌し、前記先端ガイド部を既設管の切り裂かれた開口から既設管と新設管の隙間に挿入し、リング本体を一周させて新設管に外嵌させて既設管と新設管との間の空間を均一に形成し、
前記リング状治具の厚みを少なくともカッターで既設管を切除した際に新設管が損傷を受けることがない厚みに設定してなることを特徴とするスペーサ治具。 - リング本体の径方向の断面が断面倒立V字状に突出した突部先端を有しており、リング状治具を新設管に外嵌させる際に既設管の内壁面に前記突部先端で線接触しながらリング状治具が挿入されることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ治具。
- スペーサ治具が、リング本体の厚みを厚くして既設管と新設管との間の空間を大きくし、または既設管切断個所に対応する新設管の周りを覆う耐熱シートを設けて、カッターによる既設管切断時に火花が発生した場合の新設管への影響を抑える保護手段を備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ治具。
- 耐熱シートが、リング状治具と別体に、またはリング状治具に一体に連結されており、
該耐熱シートが、リング状治具の挿入により形成された既設管と新設管との空間に挿入して新設管を一周する長さで、カッターによる既設管切断時に発生する火花から新設管を保護しうる幅に設定されてなることを特徴とする請求項1または3に記載のスペーサ治具。 - 請求項1または2のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具のリング本体を拡径して既設管に外嵌し、前記先端ガイド部を既設管の切り裂かれた開口から既設管と新設管の隙間に挿入し、更に押し進めリング本体を一周させて新設管に外嵌させ、既設管と新設管との空間をほぼ均一に保持してカッターで既設管の一部を切除可能としたことを特徴とするスペーサ治具を用いた既設管切除方法。 - 請求項4のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具と耐熱シートが別体からなっており、
リング状治具の挿入後に、耐熱シートをリングの挿入個所に近接する既設管と新設管との空間であってカッターによる切断個所に対応する個所に挿入して前記耐熱シートを新設管に巻き付け、カッターによる既設管の切断時に発生する火花から新設管を保護してなることを特徴とする請求項5に記載のスペーサ治具を用いた既設管切除方法。 - 請求項4のスペーサ治具を用いた既設管切除方法であって、
リング状治具に耐熱シートが一体に連結されており、
リング状治具の挿入とともに耐熱シートが既設管と新設管との空間に挿入され、該耐熱シートはカッターによる切断個所に対応する個所で新設管に巻き付けられ、カッターによる既設管の切断時に発生する火花から新設管を保護してなることを特徴とする請求項5に記載のスペーサ治具を用いた既設管切除方法。
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