JP2013110063A - 溶融塩電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極と負極とがセパレータを介して配置され、電解質としてナトリウムを含む溶融塩を用いた溶融塩電池であって、前記負極は集電体と、活物質と、集電タブと、を有してなり、前記活物質は、前記集電体の少なくとも一部分に保持され、前記集電体の活物質を保持されていない部分及び/又は前記集電タブに絶縁被膜が形成されていることを特徴とする溶融塩電池。
【選択図】図1
Description
(1)正極と負極とがセパレータを介して配置され、電解質としてナトリウムを含む溶融塩を用いた溶融塩電池であって、
前記負極は集電体と、活物質と、集電タブと、を有してなり、
前記活物質は、前記集電体の少なくとも一部分に保持され、
前記集電体の活物質を保持されていない部分及び/又は前記集電タブに絶縁被膜が形成されていることを特徴とする溶融塩電池。
(2)前記絶縁被膜が、前記負極の集電体の前記正極と向かい合わない面に形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の溶融塩電池。
(3)前記絶縁被膜が、前記負極の集電体の端縁部に形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶融塩電池。
(4)前記絶縁被膜が、前記負極の集電タブの前記電解質と接触する部分に形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の溶融塩電池。
(5)前記絶縁被膜がポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリイミド、及びポリアミドからなる群より選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶融塩電池。
(6)前記電解質がNaFSA及びKFSAを含むことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の溶融塩電池。
負極は、負極の集電体に活物質層が形成されているが、該活物質層は正極と向かい合う側の面に形成されている。そして、負極の、正極と向かい合わない側の面(以下、単に「負極の裏面」ともいう)に絶縁被膜が形成されていることが好ましい。これにより、溶融塩電池の充放電を繰り返すうちに電解液の一部が負極の正極と向かい合わない側の面にまで回り込んだとしても、該面上で電解液中のナトリウムが合金化したり、析出したりすることを抑制することができる。
このため本発明の溶融塩電池は、電解質に含まれるナトリウムの損失が無く、サイクル特性に優れ、長寿命の電池となる。負極の裏面においては、全面に絶縁被膜が形成されていることが好ましいが、裏面の一部に形成されている場合であっても本発明の効果は発揮される。図2に、絶縁被膜が形成された負極に裏面の概略図を示す。
負極の端縁部への絶縁被膜の形成は、図4に示すように、端縁部の一部のみに形成されていても良いし、図5に示すように端縁部全体に形成されていてもよい。
以上のように、本発明に係る溶融塩電池は、負極の集電体の活物質を保持されていない部分及び/又は集電タブに絶縁被膜が形成されていればよい。すなわち、負極の裏面、負極の集電体の周縁部、集電タブのいずれか1つ以上に絶縁被膜が形成されていれば効果が発揮される。
(負極)
負極は負極用集電体上に負極活物質を設けてなる。
−負極用集電体−
負極用集電体としては特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、モリブデン、タングステン、プラチナ及び金、並びにこれらの合金の少なくとも1種を選択することが好ましい。また、負極用集電体の形状は板状(箔状)であることが好ましい。負極用集電体の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm〜100μmであることが好ましく、20μm〜40μmであることがより好ましい。
負極活物質を負極用集電体上に設ける手段としては、例えば、スズ、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属(負極活物質)を負極の集電体上にスパッタリング等の手段によりコーティングする方法が挙げられる。
また、負極活物質を負極集電状に設ける手段としては、他にも、チタン酸ナトリウム、ハードカーボン等の負極活物質の粉末を導電助剤及びバインダーと混合してペースト状にし、これを負極の集電体上に塗布し、調厚後、乾燥させる方法が挙げられる。
本発明の溶融塩電池においては、上記のような構成の負極の裏面に絶縁被膜が設けられていることを特徴とする。また、絶縁被膜は負極の端縁部にも設けられていることが好ましい。
絶縁被膜は、絶縁性を有していて溶融塩と反応しないものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリプロピレン樹脂、ポリアミド、ポリイミド等を好ましく利用することができる。
絶縁被膜の形成方法としては、例えば、負極の裏面や、負極の端縁部に前記絶縁性の樹脂を塗布したり、テープ状にして貼付したりする方法が挙げられる。
また、本発明に係る溶融塩電池は、負極が集電タブを有しており、該集電タブ上の電解質と接触する部分に絶縁被膜が形成されていることが好ましい。集電タブとしては、負極の集電体上に別部材によるものが設けられていても良いし、負極の集電体と一体に形成されていてもよい。
集電タブが負極の集電体と異なる部材の場合には、集電タブの材質は負極の集電体と同じであっても、異なっていてもよい。すなわち、導電性のものであれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、金、銀等を好ましく用いることができる。また、超音波溶接等により集電体と集電タブとを接続することができる。
なお、負極用の集電タブは集電リード等を介して負極端子と接続される。
正極は正極用集電体上に正極活物質を設けてなる。
−正極用集電体−
正極用集電体としては高電位で腐食、溶出しない材質であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウムを好ましく用いることができる。また、正極用集電体の形状は特に限定されず、板状(箔状)であってもよいし、3次元網目状構造を有する多孔体であってもよい。
正極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵・脱離することができるものが好ましく、例えば、クロム酸ナトリウム(NaCrO2)等を好ましく用いることができる。
負極と同様に正極にも集電タブが接続されていることが好ましい。集電タブとしては、正極の集電体上に別部材によるものが設けられていても良いし、正極の集電体と一体に形成されていてもよい。
集電タブが正極の集電体と異なる部材の場合には、集電タブの材質は正極の集電体と同じであっても、異なっていてもよい。すなわち、導電性を有し、高電位で腐食、溶出しない材質であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム等を好ましく用いることができる。また、超音波溶接等により集電体と集電タブとを接続することができる。
なお、正極用の集電タブは集電リード等を介して正極端子と接続される。
電解質の溶融塩としては、動作温度で溶融する各種の無機塩又は有機塩を使用することができる。溶融塩のカチオンとしては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)等のアルカリ金属、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)等のアルカリ土類金属から選択した1種以上を用いることができる。
溶融塩のアニオンとしては、−FSAの他、例えば、−TFSA(ビストリフルオロメチルスルフォニルアミド)が適する。この場合、各混合物の溶融塩は、比較的低融点となるので、少ない加熱で溶融塩電池を作動させることができる。
なお、上述した各部の材質・成分や数値は好適な一例であるが、これらに限定されるものではない。
セパレータは正極と負極とが接触するのを防ぐためのものであり、ガラス不織布や、多孔質樹脂多孔体等を使用できる。前記の電解質としてナトリウムを含む溶融塩はセパレータ中に含浸される。
上記の負極、正極、溶融塩を含浸させたセパレータを積層してケース内に収納し、各負極集電タブ・正極集電タブを、集電リード等を介してそれぞれ負極端子・正極端子に接続し、電池として使用することができる。
(負極の作製)
負極用集電体として厚さ20μmで大きさが10.5cm×10.5cmのアルミニウム箔を使用した。また、集電タブは集電体と一体として形成し、大きさは2cm×3cmとした。
負極活物質としては、SnあるいはZnを使用した。具体的には、上記アルミニウム箔上にSnあるいはZnをスパッタリングによるコーティング層を形成した。Sn、Znの厚さはいずれも0.1μmであった。
負極の裏面(正極と対向しない側の面)及び辺縁部にテトラフルオロエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリアミド、又はポリイミドのテープを貼付することにより絶縁被膜を形成した。また、前記負極の集電タブの、電解質が接触し得る部分にはポリフッ化ビニリデンを塗布することにより絶縁被膜を形成した。
正極用集電体として厚さ20μmで大きさが10cm×10cmのAlを使用した。また、集電タブは集電体と一体として形成し、大きさは2cm×3cmとした。
正極活物質としては、NaCrO2を使用した。また、導電助剤としてはアセチレンブラックを、バインダーとしてはPVdFを使用した。
そして、正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを、85:10:5の比率で混合した。この混合物にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を滴下して混合し、ペースト状にした。該ペーストを上記Al(集電体)に塗布して圧着してペーストの厚さを100μmとした後、150℃で30分間乾燥させることにより正極を得た。
電解質としては、ナトリウムイオンを含有するNaFSA−KFSA溶融塩(NaFSA:56mol%、KFSA:44mol%)を使用した。この溶融塩の融点は57℃であった。
この溶融塩をセパレータとなる厚さ200μmのガラス製セパレータ(多孔質のガラスクロス)に含浸させた。
上記で作製したセパレータを、上記で作製した負極及び正極の間に配置し、Alラミネートフィルム製の電池ケースに収納し、電池1を得た。
負極の裏面及び端縁部並びに負極用の集電タブ上に絶縁被膜を形成しない以外は上記実施例と同様にして溶融塩電池2を作製した。
上記で作製した溶融塩電池1及び2を加熱した状態で、雰囲気温度90℃で2.7〜3.2Vの間で0.1mA/cm2の定電流による充放電サイクルを500回繰り返した。各充放実施後における容量維持率を測定し、グラフに表したものを図7(実施例)及び図8(比較例)に示す。
なお、上記充放電サイクル試験後に、比較例の溶融塩電池2を分解して負極を観察したところ図9に示すように、負極用の集電タブの電解質と接触していた境界部分にナトリウムが析出していた。
Claims (6)
- 正極と負極とがセパレータを介して配置され、電解質としてナトリウムを含む溶融塩を用いた溶融塩電池であって、
前記負極は集電体と、活物質と、集電タブと、を有してなり、
前記活物質は、前記集電体の少なくとも一部分に保持され、
前記集電体の活物質を保持されていない部分及び/又は前記集電タブに絶縁被膜が形成されていることを特徴とする溶融塩電池。 - 前記絶縁被膜が、前記負極の集電体の前記正極と向かい合わない面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の溶融塩電池。
- 前記絶縁被膜が、前記負極の集電体の端縁部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融塩電池。
- 前記絶縁被膜が、前記負極の集電タブの前記電解質と接触する部分に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融塩電池。
- 前記絶縁被膜がポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリイミド、及びポリアミドからなる群より選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融塩電池。
- 前記電解質がNaFSA及びKFSAを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融塩電池。
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