JP2013106826A - 水薬調剤装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水薬調剤装置において、調剤処理に先だって調剤処理の途中においていずれかの水薬瓶が空になってしまう事態を認識できるようにする。
【解決手段】管理テーブル上において各水薬について現残量が管理される。上位システムから各調剤対象水薬についての分注量が与えられると、各調剤対象水薬についての残量から分注量を減算することにより予測残量を計算する。それに基づいて予測残量表示72をユーザーに提供する。空になることが予想される水薬については強調表示等がなされる。(符号76参照)。予測残量表示と共に処方内容74も表示される。水薬瓶を模擬した図形を用いてユーザーにより水薬量の入力を行える。
【選択図】図4

Description

本発明は水薬調剤装置に関し、特に処方箋に従って水薬容器から取り出された水薬を投薬容器に吐出する工程を自動的に実行する水薬調剤装置に関する。
水薬調剤装置は、調剤薬局、医療機関内の薬剤部等において、薬剤師による水薬の調剤業務を支援する装置である。調剤及び調剤結果の鑑査を行う主体は薬剤師であるという観点から見て、本装置は、より正確には水薬調剤支援装置と称されるべきものである。水薬は水剤あるいは液体状の薬であり、その概念にはシロップ等が含まれる。
特許文献1に記載された水薬調剤装置では、処方箋データに従って複数の水薬瓶(水薬を収容した元容器)から取り出された1又は複数の水薬が投薬瓶(患者にわたす処方薬が入れられる分注先容器)内に吐出される。この水薬調剤装置には、一度に9個の水薬瓶をセットすることが可能である。分注先の投薬瓶を保持する機構には重量センサが設けられており、ある水薬瓶について分注を開始した後に重量センサの検出値が所定時間不変となった場合、当該水薬瓶が空になったことが判定され、その判定に従ってユーザーに水薬瓶の交換を促すメッセージが表示される。
特許文献2には、水薬分注完了の都度に投薬瓶を撮像して得られる複数の画像を合成することにより鑑査用画像を生成することが記載されている。この鑑査用画像を用いて各水薬が正規量投入されたことを視覚的に確認することが可能である。なお、特許文献3に開示された自動分析装置においては、分析に先立って、残水薬量と予定水薬量とを比較して、水薬補充の要否を判定する技術が開示されている(第0089段落)。この自動分析装置は、処方データに基づいて調剤を行うものではなく、水薬調剤装置とは異なる技術分野に属するものである。
特開2009−112673号公報 特開2009−112636号公報 特開2006−180640号公報
上記従来の水薬調剤装置において、ユーザーは水薬瓶が空になった時点でしかその事態を認識できない。つまり、一連の調剤工程の開始前にその事態を察知できないという問題がある。装置が一時停止した時点で直ちに水薬瓶の交換作業を行えない場合も多く、例えば、調剤動作開始後、ユーザーが装置から離れて作業している場合には一時停止の状態を認識することができず、その後に装置近くまで戻ってはじめて装置が動いていないことに気付くことになる。この場合、処理効率の低下あるいはユーザーの負担増大という問題が生じる。
一般に、水薬に対して直射日光が当たらないよう配慮すべき要請がある。このため、水薬が入れらている容器は通常、濃い色をもっており、水薬瓶は日射を避けた状態で保管される。水薬調剤装置において各水薬瓶は筐体内の暗室又はそれに近い空間内に収容されている。よって、そこに観察窓を設けたとしても、装置内にセットされた個々の水薬瓶の液面レベルを外部から視認することは困難である。そもそも、複数の水薬瓶が装置奥行き方向に整列している場合にはユーザーから見て手前側にある水薬瓶が奥側にある水薬瓶の観察をする際の障害物になるという事情もある。
本発明の目的は、調剤開始前に水薬不足を事前に認識して必要な対処を行うことが可能な水薬調剤装置を提供することにある。あるいは、本発明の目的は、既に使用されている水薬瓶がセットされても水薬量の管理を適切に行えるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、水薬調剤装置のユーザーにおける負担を軽減することにある。
本発明に係る水薬調剤装置は、患者に投与される複数の水薬を入れた複数の水薬容器を保持する容器ラックと、前記複数の水薬についてそれぞれの現残量を管理するための管理テーブルと、前記複数の水薬容器から取り出される1又は複数の調剤対象水薬を投薬容器へ分注する調剤処理を実行する分注機構と、前記調剤処理の開始前に、前記調剤対象水薬ごとの分注量を示す処方箋データ及び前記管理テーブルの内容に基づいて前記調剤対象水薬ごとの予測残量を演算する演算手段と、前記調剤処理の開始前に、少なくとも前記各調剤対象水薬の予測残量が反映された所定の表示をユーザーに提供する表示手段と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、容器ラックには複数の水薬容器がセットされる。容器ラックとしては、静的で運動しないもの、水平回転するもの、垂直回転(上下反転)するもの、等を利用することができる。管理テーブルは、セットされた各水薬容器についてその中に入っている水薬量(現残量)を管理するためのテーブルである。その場合、実測された現残量が管理されてもよいが、計算上推定される現残量が管理されてもよい。分注機構は、各水薬容器から指定量の水薬を投薬容器へ吐出する機構である。その場合、各種の機構を利用することが可能である。一般には分注ポンプが利用される。その場合に、個々の水薬ごとに分注ポンプを設けてもよいし、単一の分注ポンプを複数の水薬で共用するようにしてもよい。演算手段は、調剤処理(処方箋に従う患者ごとの一連の分注工程)前に、調剤対象水薬ごとの予測残量を演算する。その場合、処方箋データ及び管理テーブルの内容が参照される。例えば現残量から分注量を減算することにより予測残量を演算することができる。現残量が実測値であれば予測残量はかなり正確な値となり、現残量が計算値つまり推定値であれば予測残量は目安値となる。仮に目安値であってもそれがユーザーに提供されれば利便性を高められる。予測残量に相当する情報として空状態の発生を示す情報を演算するようにしてもよい。調剤処理の開始前に、調剤対象水薬ごとの予測残量が反映された所定の表示がユーザーに提供されるので、ユーザーにおいて将来の水薬不足等が生じる可能性を認識することができる。すなわち、事前に必要な対処(残量目視確認、水薬容器の事前交換、交換準備等)をとり得る。所定の表示に、調剤対象水薬のみならず全水薬の残量(予測残量)が含まれてもよい。空になることが予想される水薬についてはその名称等を強調表示、識別表示するのが望ましい。
水薬調剤装置においては、一般に、複数の水薬容器が装置筐体内に収容され、個々の水薬容器のすべてを外部から簡単に認識することは困難である。覗き窓を設けても同様である。つまり、残量を視認管理することが困難な状況にある。上記構成によれば、調剤処理に先立って、調剤処理の途中で容器交換が発生する可能性を事前に察知できるから、ユーザーの利便性を向上できる。なお、セットされる複数の水薬の中に同じ種類の水薬が含まれてもよい。その場合、ある水薬容器が空になった場合、同じ水薬を入れた別の水薬容器が新たに利用されて、分注処理が継続されることになる。そのような構成においても、残量の管理は容器単位で行うのが望ましい。
望ましくは、前記所定の表示は、前記各調剤対象水薬の予測残量を表したグラフである。予測残量がグラフとして表示されれば直感的に理解し易く、相互比較も容易である。望ましくは、前記グラフと共に前記調剤対象水薬ごとの分注量が表示される。この構成によれば、処方箋データの内容を参照しつつ予測残量を確認することが可能である。交換の必要性を的確に判断できる。
望ましくは、前記容器ラックに対する前記複数の水薬容器の初期セットの際に前記管理テーブルに前記複数の水薬についての現残量の初期値が登録され、前記容器ラックにおけるいずれかの水薬容器の交換の際に前記管理テーブルにおける当該水薬容器に対応する現残量の初期値が再登録され、前記初期セット及び前記交換の際に、規定量に満たない水薬量しか有していない水薬容器を前記容器ラックにセットすることが可能であり、その場合には規定量よりも少ない水薬量が前記現残量として前記管理テーブルに登録される。通常、新品の水薬容器が装置にセットされるが、場合によっては使用開始後の水薬容器がセットされることもある。例えば、毎日の終業時に全水薬容器を装置から取り外してメンテナンスを行うことが要請されている場合、翌日の始業時にセットアップが実施され、つまり前日に取り外された複数の水薬容器が装置に再セットされる。その場合、規定量に満たない水薬量を有する水薬容器がセットされることになる。水薬容器が空になって交換する場合にも同じような事態が発生することもある。そこで、水薬容器のセット時に自動的に又は目視確認による手入力によってその時点での水薬量が初期値として装置へ登録される。その初期値から分注量を減算することにより予測残量や分注後の現残量を演算することが可能となる。初期値を自動検知しない場合、つまりユーザーにより初期値を入力させる場合には、以下のように、大まかな残量区分を指定させるのが望ましい。
望ましくは、前記初期セット及び前記交換の少なくとも一方の際に水薬量をユーザー入力するための入力画面が表示され、前記入力画面は水薬容器を模擬した容器図形を含み、前記容器図形に対するユーザー入力によって前記水薬量を入力することが可能である。この構成によれば操作性を向上できる。望ましくは、前記容器図形は上下方向に配列された複数の図形要素からなり、前記複数の図形要素の中から特定の図形要素を選択することにより前記水薬量が入力される。この構成によれば簡便かつ迅速な入力が可能である。特に視認結果から直感的に選択を行えるから便利である。
望ましくは、前記予測残量がゼロ又はそれ以下になった水薬について水薬容器の交換が行われない場合でも前記調剤処理を開始させることが可能である。現残量が推定値である場合、その現残量がゼロになったとしても、実際にはまだ水薬が残留していることもある。また水薬を最後まで使い切りたいというニーズに応える必要もある。そこで、予測情報を提供するものの、ユーザーが調剤動作の開始を指示、又は選択する場合、調剤動作を禁止せずに許容するのが望ましい。そのような場合でも将来の水薬不足を事前に察知できるから交換用の水薬容器の事前準備等を行っておける。
本発明によれば、調剤開始前に水薬不足を事前に認識して必要な対処を行うことが可能となる。あるいは、既に使用されている水薬瓶がセットされても水薬量の管理を適切に行える。あるいは、ユーザーにおける負担を軽減できる。
本発明に係る水薬調剤装置の概要を示す模式図である。 管理テーブルの一例を示す図である。 残量表示の一例を示す図である。 予測残量表示の一例を示す図である。 残薬登録画面の一例を示す図である。 水薬登録時の処理内容を示すフローチャートである。 残量表示処理の動作例を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には本発明に係る水薬調剤装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す概念図である。この水薬調剤装置は、調剤薬局、医療機関における薬剤部等に設置されるものであり、一または複数の水薬を投薬瓶の中に分注する機能を備えている。
図1において、水薬調剤装置10は筐体内空間としての調剤室12を有している。調剤室12の手前側には複数の扉が設置されており、それらの扉が閉じた状態において、調剤室12は実質的に暗室あるいは暗い空間となる。これにより調剤室12内に保管されている複数の水薬に対して直射日光が当たることが防止されている。符号14は開放空間を示しており、それは装置における部分的な切り欠きに相当し、その下部は取出しポジション16となっている。開放空間14に隣接して正面パネル18が設置されている。調剤室12と開放空間14との間には仕切り20が設けられ、その下部は後に説明する可動ユニット26を通過させる通路22となっている。各種センサについては図示省略されている。
符号24は水平搬送機構を示している。この水平搬送機構24は可動ユニット26をX方向及びそれに直交する水平方向としてのY方向に運動させるものである。水平搬送機構24は例えばXYテーブル等により構成される。可動ユニット26は投薬瓶28を保持するものであり、可動ユニット26は垂直搬送機構30を備えている。台座32上に投薬瓶28が載せられており、同時に投薬瓶28はホルダ34によって保持されている。垂直搬送機構30は台座32及びホルダ34を上下方向にスライド運動させる機構である。投薬瓶28は、患者に対して渡される一または複数の調剤対象水薬を収容したボトルである。それは例えば透明性を持ったプラスチックケースで構成され、それは例えば乳白色を有している。符号28Aは投薬瓶28の開口を示している。上述した台座32は投薬瓶28の重量を検出する重量センサを備えている。この重量センサの検出信号が後に説明する制御部50へ出力されており、水薬瓶の空状態の判定に利用されている。
上述した水平搬送機構24によって可動ユニット26のX方向の位置及びY方向の位置が定められ、また垂直搬送機構30によって可動ユニット26における投薬瓶28のZ方向すなわち垂直方向の高さが調整される。すなわち水平搬送機構24及び垂直搬送機構30の両者により所望の分注ポジションに対して投薬瓶28が位置決められる。本実施形態においては、例えば9個の水薬瓶がセットされており、それらの直下に9個の分注ポジションが定められている。制御部50は処方箋データに従って、またユーザーによる指示に従って、所定順序で調剤対象水薬の分注を実行する。それに連動して投薬瓶28が所定の分注ポジションに順次位置決められる。本実施形態においては、水薬の吐出時において投薬瓶28の開口28A内に後に説明するノズル44Bの下端部分が非接触で差し込まれる。
調剤室12の内部には3つの分注ユニット36,38,40が設けられている。それらの分注ユニット36,38,40は水薬瓶ラックを構成するものである。各分注ユニット36,38,40はそれぞれ基本的に同一の構成を有しているので、以下においては分注ユニット36を代表して、その構成について詳述する。
分注ユニット36は、本実施形態において3つの水薬瓶44を備えている。各水薬瓶44は交換自在である。回転フレーム42には3つのセット位置46が定められており、各セット位置46ごとに水薬瓶44を保持する機構が設けられている。各セット位置46に対応してそれぞれ位置ラベル46Aが設けられ、その位置ラベル46Aは本実施形態においてバーコードラベルにより構成されている。そのバーコードラベルをラベルリーダー(図示せず)によって読み取ることにより水薬瓶をセットする位置の情報を光学的に読み取ることが可能である。一方、各水薬瓶44には水薬ラベル44Aが貼付されており、本実施形態において、その水薬ラベル44Aはバーコードラベルにより構成されている。バーコードリーダー(図示せず)によって個々の水薬瓶44に貼付された水薬ラベル44Aを光学的に読み取ることが可能である。以上によってどの位置にどの水薬がセットされたのかを対応付けて管理することが可能である。
分注ユニット36は符号48で示されるように、垂直方向に回転可能であり、各水薬瓶44をセットする場合においては正立した状態となっており、分注を行う前に分注ユニット36が転倒運動し、これによって各水薬瓶44に設けられたノズル44Bが下方に向けられる。ちなみに各水薬瓶44にはノズル44B以外の配管等も接続されている。
本実施形態において、分注ユニット36の回転中心軸はX方向に平行であり、すなわち3つの水薬瓶44は奥行き方向であるY方向に並んでいる。図1においては発明理解のためそれらはX方向に並んでいる。図1においては、分注ポンプ、電磁バルブ等の分注機構の詳細については図示省略されている。選択された水薬瓶の内圧を高めると共にノズル44B上に設けられた電磁バルブを開放させることにより、収容された水薬を所定量分注(吐出)することが可能である。分注機構としては各種のものを採用可能であり、たとえば分注ポンプを複数の水薬瓶で共用するようにしてもよい。また、水平盤としてのターンテーブル上に複数の水薬瓶を円周上に沿って配列するようにしてもよい。
ちなみに、いずれかの分注ユニット36に対して水薬瓶44の交換を行う場合、それに対応する正面扉が開かれ、内部の機構が手前側に引き出され、その状態で水薬瓶の交換が実施される。その際においては、交換位置となったところに配置されている位置ラベル46Aが再び読み取られ、また、セットされた水薬瓶44に付されている水薬ラベル44Aが読み取られる。図1において符号100は撮像ポジションを示しており、その撮像ポジション100にはカメラ102及びバックライト104が設けられている。可動ユニット26がそれらの間に位置決められ、背景としてのバックライト104を点灯させた状態においてカメラ102によって投薬瓶26が撮像される。この場合においてはシルエット像が得られることになり、すなわち液面レベルが明瞭化した画像が取得される。撮像機構を可動ユニット26に搭載するようにしてもよい。本実施形態においては各分注の完了段階において撮像ポジションにおいて投薬瓶28の撮像が実行されている。
水薬調剤装置10は制御部50を備えている。この制御部50はCPU及び動作プログラムによって構成されるものである。また制御部50はメモリ52を備えている。メモリ52上には管理テーブルが構築され、その管理テーブルによって各水薬の残量(現残量)が管理される。符号50Aは上位システムからのデータの入力を示しており、上位システムから処方箋データが制御部50へ送られる。その処方箋データは調剤対象水薬ごとの分注量を表したデータである。正面パネル18には表示器56が設けられている。この表示器56は本実施形態において液晶表示器により構成され、より具体的にはタッチスクリーンパネルによって構成されている。すなわち表示器56に対してユーザーが指をもって各種の入力を行うことが可能である。符号54はプリンタを示している。
上述したように開放空間14の下部は取出しポジション16となっており、一連の分注工程が終了した段階で、可動ユニット26が取出しポジション16へ排出される。この状態においてユーザーにより投薬瓶28が取出され、また必要に応じて新しい投薬瓶28が可動ユニット26にセットされる。図においては取出しポジション16に排出された可動ユニットが符号26Aで示されている。なお、図1に示す構成例は一例であり、水薬調剤装置の構成としては各種のものを採用可能である。
図2には上述した管理テーブル58の一例が示されている。管理テーブル58は管理対象となっている複数の水薬に対応した複数のレコード60を有し、各レコード60は水薬瓶がセットされている位置の情報に対応付けられた水薬の情報および残量から構成されている。ここで水薬の位置は上述した位置ラベルの読み取りによって特定され、水薬の情報は水薬ラベルの読み取りによって自動的に取得される。残量の初期値は後に図5を用いて説明する登録画面上においてユーザーにより指定され、その後において、処方箋データに記述された分注量に基づいて順次残量が更新される。すなわち初期値から分注ごとに分注量を減算することにより現残量が算出される。ただし本実施形態においてそれは計算値であり、実測値ではない。もちろん実測値としての現残量を管理するようにしてもよい。本実施形態においては、管理テーブル58上において大まかな現残量が管理されており、これは図3および図4に示した残量表示及び予測残量表示における大まかな区分の表示に対応したものである。
符号62に示されるように、特定の水薬について予測残量を計算する場合、管理テーブル58上における該当する残量が現残量として参照され、そこから上位システムから渡される処方量つまり分注量を減算することにより、予測残量が算出される。それに基づいて予測残量を表示する画面が生成され、またそれが表示される。当該水薬において分注が完了した段階で予測残量が現残量として管理テーブル58上に格納され、すなわち現残量が更新されることになる。この管理テーブルの内容も一例であって、制御の目的に応じて各種のテーブル構成を採用することが可能である。
図3には、表示器の画面63上に表示される残量表示の一例が示されている。残量表示64は待機中においてあるいは必要に応じて表示されるものであり、本装置において管理されているすなわちセットされている複数の水薬についてそれぞれの残量を棒グラフとして表したものである。符号66は1つの水薬に対応する1つの棒グラフを表しており、具体的にはそれは5つのセルにより構成され、ここで発光しているセル68の個数から水薬の現残量を認識することが可能である。ちなみに符号70は発光していないセルを示している。例えば規定量が250mlである場合、本実施形態においては5つのセルが設けられているので、各セルは50mlに対応し、5つすべてのセルが発光した場合現残量が250mlであると認識することができる。それを下回った場合、段階的に発光するセルの個数が削減される。ちなみに残量が49ml以下になった場合にはいずれのセルも発光しない。その場合に発光色又は発光輝度を変えるようにしてもよい。棒グラフ66において0レベルは左辺66Aに対応している。本実施形態においては横倒しの棒グラフが示されていたが、縦に伸長する棒グラフを利用するようにしてもよい。この残量表示は上述した管理テーブルの内容に基づいて制御部により生成される。
図4には表示画面63上に表示される予測残量表示の一例が示されている。この予測残量表示72は上述した図3に示す残量表示64と同様の態様を有している。ただし、各水薬については調剤処理完了後の予測残量が表されている。例えば予測残量表示72において水薬Bに着目すると、この棒グラフにおいて発光するセルは1つも無く、すなわち棒グラフ自体が表示されておらず、水薬Bについては調剤完了後の状態において予測残量0又はそれに近いことが表明されている。これは同時に、調剤処理の途中において水薬Bに対応する水薬瓶が空になってしまう可能性を示している。本実施形態においては符号76で示すように空が予想される水薬についてはその文字が例えば赤色で表示されており、すなわち他の文字とは異なる着色をもってその部分が強調表示される。
予測残量表示72の左側には処方内容74が表示されており、これは処方箋データの内容を示すものである。すなわち、投薬瓶内に吐出する水薬量を示している。
図5には登録画面の一例が示されている。この登録画面は、装置のセットアップ時において各水薬ごとに所定の入力を行うためのものであり、また調剤過程の途中において水薬瓶の交換を行った場合において必要な登録を行うためのものである。登録画面78において位置80は投薬瓶がセットされる位置の識別子を示しており、位置コード82はその位置において読み取られるバーコードの内容を示している。また薬品バーコード84は水薬瓶に貼付されたバーコードを読み取ることによって得られる情報を示しており、薬品量86はユーザーにより指定される水薬瓶内の水薬量を示す数値を表している。入力セルを使って1〜5までのいずれかの数値を直接入力するようにしてもよいし、以下に説明する模式的なイメージを用いてその入力を行うようにしてもよい。ちなみに各数値において数字1が例えば50mlに対応しており数字の5は例えば規定量250mlに対応している。
ボトルを模式的に表した図形88は複数の区間により構成され、本実施形態においてはそれは5つの図形要素88a〜88eにより構成されている。それらの図形要素88a〜88eは下から上へ並んでおり、それぞれは液量あるいは液面レベルを表している。例えばユーザーが画面上において指先で4番の区分を指定すると、すなわち4番目の図形要素88dをタッチすると、1番から4番までの区間がハイライト表示され、その一方において5番の区間が薄く表現され、それと同時に4に対応する数値が薬品量86として自動的に記入される。すなわち、ユーザーによって任意の区間をタッチすることによりユーザーが目視によって確認した液量を直感的にかつ容易に入力指定することが可能である。ここで5番目の図形要素88eをタッチした場合、それは規定量を意味し、未使用の水薬瓶がセットされる場合にはそのような操作が実施される。
その操作に代えて、未使用セットのボタン90を操作するようにしてもよい。クリアのボタン92は今まで入力した情報をリセットするボタンであり、登録のボタン94は今まで入力した情報を取り込みあるいは反映させるためのものであり、符号96はクローズのボタンを示している。
例えば本装置が設置された調剤薬局においては、一日の終業時において本装置からすべての水薬瓶が取り外され、その後において必要なメンテナンスが実施される。翌日の始業時においては装置のセットアップが実施される。すなわち前日に取り外された複数の水薬瓶が再び本装置にセットされる。そして一定量の水薬の吐出による洗浄等のメンテナンスが実施される。その際において、上述した登録画面を使った情報入力が実施される。また、調剤処理の途中において水薬瓶の交換が行われる場合にも上述した登録画面を利用した同様の入力が実施される。以下にこれについて詳述する。
図6には登録画面すなわち設定画面を利用した情報入力の処理がフローチャートとして示されている。S10においては登録画面すなわち設定画面が画面上に表示される。その画面の一例は図5に示したとおりである。S12においてはすべての水薬について設定が完了したか否かが判断され、完了していない場合にはS14以降の各工程が実行される。S14においては現在セットを行おうとしている水薬について、そのセットを行う位置に付されたバーコードが読み取られる。その際には装置に繋がっているバーコードリーダーが用いられる。続いてS16においてその位置にセットした水薬瓶に設けられているバーコードが読み取られる。S14およびS16によって位置の情報と水薬の情報とが取り込まれることになる。S18においては画面上へのタッチによりあるいは数値入力により当該水薬内に含まれている液量が入力される。未使用の水薬瓶であれば250mlに相当する入力が実施され、それ以外であれば、目視確認によって判断された区分に相当する数値あるいは図形要素が選択されることになる。S20においては今まで入力された情報が管理テーブルに格納される。そして、このような工程が水薬ごとに繰り返し実行される。設定完了後に図3に示した残量表示を行うようにしてもよい。
図7には、分注処理における動作例がフローチャートとして示されている。S30においては図3に示した残量表示が実施される。これは待機状態を意味する。S32においては、上位システムから処方箋データが取得される。S34では、調剤対象水薬について調剤後の予測残量が計算される。この場合においては、S32で取得された処方箋データに含まれる分注量が参照され、また管理テーブル上に格納された現残量が参照される。この計算は各水薬ごとに、より具体的には調剤対象水薬ごとに実施される。S36においては調剤処理に先だって調剤確認画面が表示される。これは図4に示した予測残量表示を含むものである。従って、ユーザーはその画面を参照することにより、個々の水薬についての予測残量の正しさを確認することができ、またこれから調剤処理を実行した場合においてどの水薬が空になってしまう可能性があるのかを事前に認識することが可能である。S38において、ユーザーによって調剤処理の開始が入力されるまで、S40において待機状態となり、すなわちその状態においてユーザーによって必要な事前対処が実行される。例えば、空になりそうな水薬瓶を事前に交換する、空になりそうな水薬について新しい水薬瓶を用意する、といった作業が実施される。水薬瓶の交換が実施される場合、上述した情報の再登録が実施されることになる。再登録が実施されれば、S34によって予測残量が再計算され、その計算結果がS36において予測残量の表示に反映されることになる。
S38においてユーザーにより調剤処理の開始が指示されると、S42以降の各工程が実行される。S42においては所定順序に従って水薬を分注させる処理が開始され、まず最初にいずれかの水薬が選択され、それに対して分注が開始される。S44において重量センサの検出値に基づいて現在分注対象となっている水薬について空になっているか否かが判断される。もし分注を行っているにも関わらず重量センサの検出値が一定期間変わらない等の事態が発生した場合、空が認定され、S46においてアラームがユーザーに対して提供される。これによりユーザーにおいて空になった水薬瓶を新しいものに交換する等の措置が実施される。適正な状態となった場合、S48が実行され、現在分注を行っている水薬についての分注が終了したか否かが判断され、終了していればS50において投薬瓶が撮像され、また管理テーブルの内容が更新される。すなわち当該水薬についての現残量が更新されることになる。このような一連の過程がS52においてすべての水薬について実施されたことが確認されるまで繰り返され、すべての水薬について分注が完了した場合、S54において鑑査画面が表示される。
この鑑査画面は特許文献2に記載されたような画面である。すなわち分注の各段階において分注後に撮像された画像を横に並べて合成した鑑査画像を画面上に表示するものである。その後S56において必要に応じて残量表示画面が再び表示される。
上述した実施形態によれば、調剤処理に先だっていずれかの水薬について空の状態が発生する可能性をユーザーにおいて認識することが可能であるので、分注処理に先だって水薬瓶の交換等の事前対処を行うことが可能である。これによりユーザーの負担を軽減でき、また装置の稼働効率を高めることが可能である。本実施形態においては規定量の水薬量を有する水薬瓶の他、すでに使用されている水薬瓶すなわち規定量よりも少ない水薬量を備えた水薬瓶をセットすることが可能であり、そのような場合においても残量を適正に管理することが可能となっている。そして残量の初期値あるいは入力値の入力操作にあたり、模式的な図形への接触入力という入力方法を採用したので、目視確認後に戸惑いなく液量を指定できるという利点が得られる。
10 水薬調剤装置、12 調剤室、16 取出しポジション、24 水平搬送機構、26 可動ユニット、28 投薬瓶、30 垂直搬送機構、36,38,40 分注ユニット、44 水薬瓶、58 管理テーブル。

Claims (7)

  1. 患者に投与される複数の水薬を入れた複数の水薬容器を保持する容器ラックと、
    前記複数の水薬についてそれぞれの現残量を管理するための管理テーブルと、
    前記複数の水薬容器から取り出される1又は複数の調剤対象水薬を投薬容器へ分注する調剤処理を実行する分注機構と、
    前記調剤処理の開始前に、前記調剤対象水薬ごとの分注量を示す処方箋データ及び前記管理テーブルの内容に基づいて前記調剤対象水薬ごとの予測残量を演算する演算手段と、
    前記調剤処理の開始前に、少なくとも前記各調剤対象水薬の予測残量が反映された所定の表示をユーザーに提供する表示手段と、
    を含むことを特徴とする水薬調剤装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記所定の表示は、前記各調剤対象水薬の予測残量を表したグラフである、ことを特徴とする水薬調剤装置。
  3. 請求項2記載の装置において、
    前記グラフと共に前記調剤対象水薬ごとの分注量が表示される、ことを特徴とする水薬調剤装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
    前記容器ラックに対する前記複数の水薬容器の初期セットの際に前記管理テーブルに前記複数の水薬についての現残量の初期値が登録され、
    前記容器ラックにおけるいずれかの水薬容器の交換の際に前記管理テーブルにおける当該水薬容器に対応する現残量の初期値が再登録され、
    前記初期セット及び前記交換の際に、規定量に満たない水薬量しか有していない水薬容器を前記容器ラックにセットすることが可能であり、その場合には規定量よりも少ない水薬量が前記現残量として前記管理テーブルに登録される、
    ことを特徴とする水薬調剤装置。
  5. 請求項4記載の装置において、
    前記初期セット及び前記交換の少なくとも一方の際に水薬量をユーザー入力するための入力画面が表示され、
    前記入力画面は水薬容器を模擬した容器図形を含み、
    前記容器図形に対するユーザー入力によって前記水薬量を入力することが可能である、
    ことを特徴とする水薬調剤装置。
  6. 請求項5記載の装置において、
    前記容器図形は上下方向に配列された複数の図形要素からなり、
    前記複数の図形要素の中から特定の図形要素を選択することにより前記水薬量が入力される、
    ことを特徴とする水薬調剤装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置において、
    前記予測残量がゼロ又はそれ以下なった水薬について水薬容器の交換が行われない場合でも前記調剤処理を開始させることが可能である、ことを特徴とする水薬調剤装置。
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