JP2013106542A - 植物油脂を乳脂肪代替成分として含有する飲料 - Google Patents

植物油脂を乳脂肪代替成分として含有する飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】乳様の食感及び風味を有しながらも、コーヒー等の素材の本来の風味がマスキングされることなく際立っている飲料の提供。
【解決手段】植物油脂及びカゼインを含む飲料であって、植物油脂の量をA重量%、カゼインの量をB重量%とするとき、次式(I)及び(II)を満たす飲料とする。
(I) 0.14≦B/A≦−0.8227A+2.0563
(II)0.5≦A≦2.0
【選択図】なし

Description

本発明は、乳様の食感及び風味を有しながらも、コーヒー等の素材の本来の風味がマスキングされることなく際立っている飲料に関する。
乳を含む飲料は広く愛飲されており、特に、乳脂肪と無脂乳固形成分とを両方含む飲料が好まれている。これは、乳自体の風味が好まれると共に、乳により付与される食感が好まれるためである。
一般的に乳風味や乳の食感を付与するため、生乳やクリーム、クリームチーズ、バターなどの乳製品が使用される。しかしこれらの材料はコストが高く、その配合量が制限されてしまうという問題がある。
また、乳に特有の風味、特に乳入り飲料の加熱殺菌や長期にわたる保存により生じる乳の劣化臭が、人によっては不快に感じられる場合がある。この乳に特有の風味や劣化臭は、コーヒーや紅茶などの素材が本来有している好ましい風味をマスキングしてしまう。したがって乳含有飲料において、乳の風味と食感を有しつつも飲料の素材の風味を際立たせ、飲料全体として良好な風味バランスを達成することが困難であった。
これまでに、乳風味を有する飲料に関して、飲料の風味の向上や加熱又は保存した際に生じる乳の劣化臭の改善などの課題に対し、いくつかの解決策が提案されている。
特開平11−243859(特許文献1)、特開平11−113493(特許文献2)及び特開平9−37714(特許文献3)には、加熱状態で長時間保存されているときに内容物のpHが低下して酸味が強くなることを抑制した乳風味飲料が開示されている。これらの文献では、乳含有飲料中の乳糖含有率を1重量%以下に調整することで乳糖に由来するギ酸の発生を抑制し、加熱保存後の風味の劣化を防いでいる。また、特開2010−057435(特許文献4)には、全乳タンパク質成分中の全乳清タンパク質の比率を0〜18重量%とした乳組成物が開示されている。この文献では、加熱時に変性しやすい乳清タンパク質の含有量を低くすることで、加熱処理後の後味やぬめりの発生を改善している。しかし、乳由来の風味によって、飲料本来の風味がマスキングされてしまうことを防ぐ方法についてはいずれの文献においても開示されていない。
特許第4387440号公報(特許文献5)では、加熱殺菌して調製される容器詰めのコーヒーの製造に際して、飲料中に、乳脂肪1重量当たり植物油脂を0.15〜2の割合で配合することを特徴とするコーヒーの製造方法が開示されている。特開11−113492(特許文献6)では、炭素数10以下の脂肪酸の合計量が牛乳のそれの80重量%以下である脂肪分と無脂乳固形分とを乳代替成分として含有させることにより、乳由来成分の加熱による劣化臭の発生を抑制する方法が記載されている。これらの文献では、乳脂肪の代替原料として植物油脂を使用することが提案されているが、植物油脂の配合量によってはコーヒー等の素材の本来の好ましい風味がマスキングされてしまうことや、乳様の食感が得られないことがある。このため、乳様の食感及び風味を付与しながら、コーヒー等の素材の本来の風味がマスキングされることのない、最適な植物油脂の配合量については、明確ではない。
特開平11−243859 特開平11−113493 特開平9−37714 特開2010−057435 特許第4387440号公報 特開平11−113492
本発明は、乳様の好ましい食感及び風味を有しながらも、乳風味によってコーヒー等の素材の本来の風味がマスキングされることなく際立っている飲料の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、植物油脂及び無脂乳固形成分であるカゼインを、以下に示す式によって導き出される配合量及び配合比率で飲料に添加することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)乳代替成分として、植物油脂及びカゼインを含む飲料であって、植物油脂の量をA重量%、カゼインの量をB重量%とするとき、次式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする上記飲料。
(I) 0.14≦B/A ≦−0.8227A+2.0563
(II)0.5≦A≦2.0
(2)前記植物油脂がやし油及び/又はパーム核油である(1)記載の飲料。
(3)前記カゼインの供給源として、脱脂粉乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、乳タンパク、乳タンパク濃縮物、カゼインナトリウム、酸カゼインのうち少なくとも1つを含む(1)又は(2)記載の飲料。
(4)前記飲料中の乳脂肪が0.1重量%以下である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の飲料。
(5)コーヒー、紅茶、抹茶、緑茶、ほうじ茶、中国茶、ハーブ、ココア、カカオ、果汁のうち少なくとも1つを含む(1)〜(4)のいずれか一項に記載の飲料。
(6)乳製品を酵素処理し得られた成分を含む香料を添加し、乳風味を付与している(1)〜(5)のいずれか一項に記載の飲料。
植物油脂とカゼインとを本発明において規定される配合量及び配合比率で含む飲料とすることにより、乳様の好ましい食感及び風味を有していながらも、一般的な乳添加飲料のように乳風味が飲料のコーヒーや紅茶などの素材の風味をマスキングすることがなく、素材の本来の風味を際立たせることが可能である。また、本発明に係る飲料の乳様の風味は、飲料中の他の風味への干渉の少ない淡白であっさりとしたプレーンな乳風味であるため、別途香料を添加することにより、さらなる風味の調節が可能である。さらに、植物油脂のコストと乳原料由来の脂肪分のコストとを比較すると、植物油脂は、バターやクリームの3分の1未満、全粉乳の10分の1未満のコストですむ。したがって、植物油脂を利用することにより、乳原料由来脂肪分を使用した場合と比較してコストを抑制することができる。
図1は、実施例1〜17及び比較例1〜7の官能試験の結果を、やし油の含有量(重量%)を横軸、やし油1重量当たりのカゼインの重量の比率を縦軸としてプロットした図である。官能試験において4以上のスコアであったサンプルを○、官能試験において3以下のスコアであったサンプルを×により表している。 図2は、実施例18〜34及び比較例9〜18の官能試験の結果を、やし油の含有量(重量%)を横軸、やし油1重量当たりのカゼインの重量の比率を縦軸としてプロットした図である。官能試験において4以上のスコアであったサンプルを○、官能試験において3以下のスコアであったサンプルを×により表している。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において「重量%」との記載は、飲料全体の重量に対するその成分の重量の割合を示す。
本発明に係る植物油脂としては、食用油であれば特に限定されないが、コーン油 、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、こめ油、サフラワー油 (ベニバナ油)、パーム油、パーム核油、ヤシ油、綿実油、ひまわり油等が挙げられる。これらの植物油脂のうち、特にやし油及びパーム核油が、本願発明の効果がより顕著になるため好ましい。更に好ましい植物油脂は、やし油である。
本発明に係る植物油脂の含有量は、0.5〜2.0重量%である。植物油脂の含有量が0.5重量%より低いと、乳様の好ましい食感を得ることができない。また、植物油脂の含有量が2.0重量%より高いと、植物油脂自体の風味が強くなり飲料のコーヒー等の素材の風味がマスキングされ、素材本来の好ましい風味が損なわれてしまう。植物油脂の含有量のより好ましい範囲は、0.5〜1.5重量%である。
本発明に係る「カゼイン」とは、牛乳中に含まれるカゼインタンパク質のことをいう。カゼインタンパク質は牛乳中に約3%程度含まれるタンパク質のうち、約75−80%を占める(山内邦男、横山健吉編集、「ミルク総合辞典」、朝倉書店(株)、1992年、p.358)。本発明においてカゼインは、乳から乳脂肪を除外した乳由来成分(無脂乳固形分)をそのまま添加しても、そこからある程度精製した酸カゼイン、又はさらに精製したカゼインナトリウム等の状態で添加してもよい。カゼインの具体的な供給源としては、特に限定されないが、脱脂粉乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、乳タンパク、乳タンパク濃縮物、カゼインナトリウム、酸カゼイン等が挙げられる。カゼインを添加することにより、素材の風味をマスキングすることなくプレーンな乳様の風味を付与することができ、また、植物油脂を乳化状態で維持することが可能となる。
本発明に係る植物油脂とカゼインの添加量の関係は、植物油脂の量をA重量%、カゼインの量をB重量%とするとき、以下の式を満たす。
0.14≦B/A≦−0.8227A+2.0563
ただし、0.5≦A≦2.0
カゼインは、植物油脂1重量当たりの重量比で0.14以上添加する必要がある。カゼインの添加比率がこの値より少ないとき、すなわち、植物油脂1重量当たりの重量比で0.14未満であるとき、植物油脂の乳化状態を維持できず、植物油脂成分と飲料成分とが分離してしまう。一方、カゼインの添加量がこの式で求められる重量以上に添加されると、カゼイン自身の風味(タンパク臭)によって、素材の風味をマスキングし飲料の風味バランスを損ねてしまう。植物油脂とカゼインとの比率は、特に0.14〜0.82であるときが好ましい。
本発明において、カゼイン添加のために乳由来成分を添加する場合、その乳由来成分中に微量の乳脂肪が含まれることがある。そのような場合、乳脂肪の量を0.1重量%以下とすると、素材の風味のマスキングを抑制する効果が大きくなるため好ましい。より好ましくは0.05重量%以下である。カゼインを上述の供給源成分により添加する際には、その成分に含まれるカゼインの重量と植物油脂の重量とが本願発明で規定される関係式を満たすようカゼインの供給源成分の添加量を調整する。
本発明に係る飲料としては、特に限定されないが、コーヒー、紅茶、抹茶、緑茶、ほうじ茶、中国茶、ハーブ茶、ココア、カカオ飲料、果汁からなる群から選択される少なくとも一つを含む飲料である。いずれの飲料においても、本発明に規定される配合量及び配合比率で植物油脂とカゼインとを添加することにより、乳様の好ましい食感及び風味を付与しつつ、素材の本来の風味を際立たせることが可能である。
本発明に係る飲料には、コーヒーや紅茶等の素材以外のフレーバーを添加することができる。本発明に係る飲料は、乳様の食感や風味を有しつつも素材の風味のマスキングが抑えられるため、他の香料により容易に飲料の風味を調整することができるという利点を有している。本発明に係るフレーバーとしては、特に限定されないが、乳製品を酵素処理し得られた成分を含む香料などが挙げられる。
本発明に係る飲料には、コーヒーや紅茶等の素材、カゼイン及び植物油脂以外の成分として、特に限定されないが、糖類などの甘味料、塩類、着色料、調味料、乳化剤、安定化剤、香料、pH調整剤などの各成分を目的に応じて用いることができる。
本発明に係る飲料は、保存安定性の観点から、チルド〜常温の温度で保存されることが好ましい。「チルド」とは「0〜10℃」の範囲のことをいう。また、常温とは「10〜35℃」の範囲のことをいう。本発明に係る飲料の保存方法は、好ましくは、チルド保存である。
以下に実施例を挙げて本発明内容を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
植物油脂としてやし油を選択し、本願発明の効果について検討した。やし油0.50重量部とカゼインナトリウム0.075重量部に水約40重量部を加え、均質化した。得られた乳化液に、コーヒー固形分1.00重量部、砂糖5.00重量部、さらにpHが6.6〜6.7となる適量の重曹を添加し、最後に全体が100重量部となるよう水を添加してサンプル溶液とした。カゼインナトリウム中には、カゼインが91.4%含まれている(山内邦男、横山健吉編集、「ミルク総合辞典」、朝倉書店(株)、1992年、p.361)。したがって、実施例1におけるカゼイン含有量は、約0.069重量%(0.06855重量%)である。
実施例2〜5
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が0.50重量%、カゼインナトリウムの含有量が実施例2〜5についてそれぞれ0.15重量%、0.30重量%、0.60重量%及び0.90重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表1に示す。
実施例6〜10
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が1.00重量%、カゼインナトリウムの含有量が実施例6〜10についてそれぞれ、0.15重量%、0.30重量%、0.60重量%、0.90重量%及び1.20重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が1.00重量%、カゼインナトリウムの含有量が1.50重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。このサンプルのカゼイン含有量を表2に示す。
実施例11〜14
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が1.50重量%、カゼインナトリウムの含有量が実施例11〜14についてそれぞれ、約0.23重量%(0.225重量%)、0.45重量%、0.90重量%及び1.35重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が1.50重量%、カゼインナトリウムの含有量が1.80重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。このサンプルのカゼイン含有量を表2に示す。
実施例15〜17
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が2.00重量%、カゼインナトリウムの含有量が実施例15〜17についてそれぞれ、0.30重量%、0.60重量%及び0.90重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表1に示す。
比較例3及び4
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が2.00重量%、カゼインナトリウムの含有量が比較例3及び4についてそれぞれ、1.20重量%及び1.50重量%となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表2に示す。
比較例5〜7
実施例1と同様の調製方法を用いて、やし油の含有量が3.00重量%、カゼインナトリウムの含有量が比較例5〜7についてそれぞれ、0.45重量%、0.90重量%及び1.80重量となるよう、サンプル溶液を調製した。これらのサンプルのカゼイン含有量を表2に示す。
比較例8
牛乳13.00重量部に、コーヒー固形分1.00重量部、砂糖5.00重量部、さらにpHが6.6〜6.7となる適量の重曹を添加し、最後に全体が100重量部となるよう水を添加して乳サンプル溶液とした。牛乳中に含まれる乳脂肪分を3.8%(五訂増補日本食品標準成分表、文部科学省、2005年、第2章13項)として、牛乳の添加量から乳脂肪分の量を算出した。また、牛乳中に含まれるタンパク質の量を3%、牛乳タンパク質中のカゼインの量を80%として(山内邦男、横山健吉編集、「ミルク総合辞典」、朝倉書店(株)、1992年、p.358)乳添加サンプル中のカゼインの含有量を算出した。算出された乳脂肪量及びカゼイン量を表2に示す。
官能試験
専門のパネリスト5名により、実施例1〜17及び比較例1〜8について、官能試験を行い、コーヒーの風味の強さについて、5段階(5:非常に強い、4:強い、3:普通(一般的乳入り飲料と同程度)、2:やや弱い、1:弱い)で評価した。その結果を、表1及び2に示す。実施例1〜17では、いずれも乳様の食感及び風味(プレーンな乳風味)を有しながら、コーヒーの風味が際立った良好な風味バランスを有する飲料を得ることができた。一方、カゼインナトリウムの添加量が多すぎると、カゼイン自身の風味(タンパク質臭)によって、コーヒーの風味がマスキングされ、飲料の風味バランスが崩れてしまった(比較例1、2、3及び4)。また、やし油の添加量が2%を超えると、やし油自身の風味が強くなりコーヒーの風味がマスキングされ素材本来の好ましい風味が損なわれた。(比較例5、6及び7)。カゼインナトリウムとやし油の替わりに牛乳のみを用いた比較例8では、通常の乳風味と食感を有する飲料が得られた。しかし、コーヒーの風味が乳の風味によってマスキングされ、実施例のサンプルと比較するとコーヒーの風味が弱かった。
実施例1〜17及び比較例1〜7の官能試験の結果を、やし油の含有量(重量%)を横軸、やし油1重量当たりのカゼインの重量の比率を縦軸としてプロットした図を図1に示す。官能試験において4以上のスコアであったサンプルを○、官能試験において3以下のスコアであったサンプルを×により表している。図1に示されている良好な風味の得られた範囲(官能試験で4以上のスコア)について検討したところ、やし油の含有量をA重量%、やし油の含有量をB重量%とするとき、以下の関係式を満たすことが判明した。
0.14≦B/A≦−0.8227A+2.0563
ただし、0.5≦A≦2.0
Figure 2013106542
Figure 2013106542
実施例18〜34及び比較例9〜18
カゼインナトリウムの替わりに脱脂粉乳をカゼイン供給源として用い、実施例1と同様の方法でサンプル溶液を調製した。各サンプル溶液の処方を表3及び4に示す。脱脂粉乳中には、脂質が1.0%、タンパク質が34%含まれる(五訂増補日本食品標準成分表、文部科学省、2005年、第2章13項)。これらの値を元に、各サンプル中の乳脂肪分の量とカゼインの量(ただし、脱脂粉乳中のタンパク質の80%がカゼインに相当するとして計算)を算出し、表3及び4に示した。
専門のパネリスト5名により、実施例18〜34及び比較例9〜18について、官能試験を行い、コーヒーの風味の強さについて、5段階(5:非常に強い、4:強い、3:普通(一般的乳入り飲料と同程度)、2:やや弱い、1:弱い)で評価した。その結果を、表3及び4に示す。実施例18〜34では、いずれも乳様の食感及び風味(プレーンな乳風味)を有しながら、コーヒーの風味が際立った良好な風味バランスを有する飲料を得ることができた。一方、脱脂粉乳の添加量が多すぎると、脱脂粉乳自身の風味によって、コーヒーの風味がマスキングされ、飲料の風味バランスが崩れてしまった(比較例9、10、11、12、13、14及び15)。また、やし油の添加量が2%を超えると、やし油自身の風味が強くなりコーヒーの風味がマスキングされ素材本来の好ましい風味が損なわれた。(比較例16、17及び18)。
Figure 2013106542
Figure 2013106542
実施例18〜34及び比較例8〜18の官能試験の結果を、やし油の含有量(重量%)を横軸、やし油1重量当たりのカゼインの重量の比率を縦軸としてプロットした図を図2に示す。官能試験において4以上のスコアであったサンプルを○、官能試験において3以下のスコアであったサンプルを×により表している。図2に示されている良好な風味の得られた範囲(官能試験で4以上のスコアのサンプル)は、図1から求められた式で表される範囲に含まれ、また、良好な風味が得られなかったサンプル(官能試験で3以下のサンプル)は、その範囲外であることが確認された。以上から、カゼインの供給源を脱脂粉乳とした場合であっても、植物油脂に対するカゼインの重量比を本願発明に規定するよう調整することにより、乳様の食感及び風味(プレーンな乳風味)を有しながら、コーヒーの風味が際立った良好な風味バランスを有する飲料を得られることが確認された。
比較例19〜21
牛乳13.00重量部に、比較例19〜21についてそれぞれ0.50重量部、1.00重量部又は2.00重量部の脱脂粉乳を加えて攪拌し、その後は比較例8の調製方法にしたがって、乳サンプル溶液を調製した。先に述べた文献におけるカゼイン及び乳脂肪の含有量に関する値を基に算出したカゼイン含有量及び乳脂肪量について、表5に示す。
比較例22〜29
表5の処方にしたがって、比較例8、19〜21と同様の方法により、乳サンプル溶液を調製した。先に述べた文献における牛乳及び脱脂粉乳それぞれのカゼイン及び乳脂肪の含有量に関する値を基に算出したカゼイン含有量及び乳脂肪量について、表5に示す。
官能試験
専門のパネリスト5名により、比較例19〜29について、官能試験を行い、コーヒーの風味の強さについて、5段階(5:非常に強い、4:強い、3:普通(一般的乳入り飲料と同程度)、2:やや弱い、1:弱い)で評価した。その結果を、表5に示す(比較例8の結果も再掲)。牛乳を使用したサンプルでは、コーヒーの風味がマスキングされ良好な風味バランスの飲料が得られなかった。植物脂肪を使用したサンプル溶液(実施例1〜34)と比較して、乳サンプル溶液の脂肪含有量や脂質に対するカゼインの重量比率が同程度であっても、コーヒーの風味がマスキングされ好ましい風味の飲料は得られなかった。したがって、乳風味を有する飲料における素材本来の風味のマスキングの抑制効果は、乳脂肪を植物油脂(やし油)に代替することで得られたものと考えられた。
Figure 2013106542

Claims (6)

  1. 植物油脂及びカゼインを含む飲料であって、植物油脂の量をA重量%、カゼインの量をB重量%とするとき、次式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする上記飲料。
    (I) 0.14≦B/A≦−0.8227A+2.0563
    (II)0.5≦A≦2.0
  2. 前記植物油脂がやし油及び/又はパーム核油である請求項1記載の飲料。
  3. 前記カゼインの供給源として、脱脂粉乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、乳タンパク、乳タンパク濃縮物、カゼインナトリウム、酸カゼインのうち少なくとも1つを含む請求項1又は2記載の飲料。
  4. 前記飲料中の乳脂肪が0.1重量%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
  5. コーヒー、紅茶、抹茶、緑茶、ほうじ茶、中国茶、ハーブ、ココア、カカオ、果汁のうち少なくとも1つを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
  6. 乳製品を酵素処理し得られた成分を含む香料を添加し、乳風味を付与している請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料。
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