以下に、本願に係るネットワークシステム、回線終端装置及び通信方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願に係るネットワークシステム、回線終端装置及び通信方法が限定されるものではない。
[実施例1に係るネットワークシステムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係るネットワークシステムについて説明する。図1は、実施例1に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。図1に例示するように、実施例1に係るネットワークシステム1には、モバイル無線LAN端末A11と、ユーザ宅H101〜H10nと、通信ネットワークNを形成する通信事業者Cとが含まれる。
モバイル無線LAN端末A11は、無線通信機能を有し、例えば、ノート型PCや携帯端末装置等である。実施例1におけるモバイル無線LAN端末A11は、ユーザ宅H101の外に存在し、ユーザ宅H101に居住するユーザ以外のユーザによって利用されているものとする。
また、図1に示した例において、ユーザ宅H101には、モバイル無線LAN端末H111が存在するとともに、有線端末(Personal Computer)H121と回線終端装置1001とが設置される。モバイル無線LAN端末H111は、無線通信機能を有し、例えば、ユーザ宅H101に居住するユーザによって利用されるノート型PCや携帯端末装置等である。有線端末H121は、例えば、ユーザ宅H101に居住するユーザによって利用されるデスクトップ型PC等である。
回線終端装置1001は、各端末を通信ネットワークNに接続するための装置であり、例えば、ONU(Optical Network Unit)やDSU(Digital Service Unit)等である。かかる回線終端装置1001は、家庭内LANを介して有線端末H121と有線接続されるとともに、ブロードバンド回線等により通信ネットワークNと有線接続される。
ここで、実施例1における回線終端装置1001は、無線機能部1101と、有線機能部1201とを有する。無線機能部1101は、回線終端装置1001とは異なるタイミングで起動することができる。例えば、無線機能部1101は、回線終端装置1001が起動した場合であっても、同時に起動せずに停止したままであることが可能である。
かかる無線機能部1101は、起動中である場合に、無線信号の受信可能範囲(セル)内に位置するモバイル無線LAN端末と無線通信を行うことにより、モバイル無線LAN端末と通信ネットワークNとの間における通信を可能にする。例えば、図1に示した例において、モバイル無線LAN端末H111及びモバイル無線LAN端末A11は、無線機能部1101によって形成されるセル内に位置するものとする。かかる場合に、無線機能部1101は、モバイル無線LAN端末H111やモバイル無線LAN端末A11から無線通信によりアクセスされた場合に、これらの端末と通信ネットワークNに接続との間における通信を可能にする。これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、モバイル無線LAN端末H111だけでなくモバイル無線LAN端末A11についても、無線機能部1101を介して通信ネットワークNと接続することができる。このように、実施例1における無線機能部1101は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
有線機能部1201は、回線終端装置1001と有線接続される各種端末間の通信を制御する。図1に示した例では、有線機能部1201は、有線端末H121と有線通信を行うことにより、有線端末H121と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。
通信事業者Cは、通信ネットワークNや無線機能部制御サーバ10を管理しており、インターネット接続サービスをユーザに提供する。図1に示した例では、ユーザ宅H101のユーザは、通信ネットワークNを利用するので、通信事業者Cの加入者に該当する。また、無線機能部制御サーバ10は、通信ネットワークNを介して、ユーザ宅H101内の回線終端装置1001に各種制御信号を送信することにより、無線機能部1101を制御する。
なお、図1では、ユーザ宅H101を例に挙げて説明したが、他のユーザ宅H10n等についてもユーザ宅H101と同様の構成を有する。例えば、ユーザ宅H10nには、モバイル無線LAN端末H11n、有線端末H12n、回線終端装置100n等が含まれる。以下では、ユーザ宅H101〜H10nを区別する必要がない場合には、これらを総称して「ユーザ宅H10」と表記する場合がある。同様に、モバイル無線LAN端末H111〜H11n、有線端末H121〜H12n、回線終端装置1001〜100n等についても、それぞれを総称して「モバイル無線LAN端末H11」、「有線端末H12」、「回線終端装置100」と表記する場合がある。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1では、ユーザ宅H10内の無線機能部110が公衆無線LANのアクセスポイントとして機能するので、ユーザ宅H10の近傍に居るユーザは、無線機能部110を介して、ユーザ自身が所有する無線LAN端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11等)を通信ネットワークNに接続することができる。
そして、実施例1に係るネットワークシステム1は、回線終端装置100と無線機能部制御サーバ10とによる処理によって、ユーザ宅H10に設置されている無線機能部110を安定して動作する無線ルータとして他のユーザに利用させることを可能にする。この点について、以下に説明する。
[実施例1に係るネットワークシステムにおける処理]
図2〜図5を用いて、実施例1に係るネットワークシステム1による処理について説明する。図2〜図5は、実施例1に係るネットワークシステム1による処理例を説明するための図である。
まず、図2に示した例において、所定の地域AR10は、コンサートや祭りやスポーツの大会等のイベントが開催される地域や、災害等の非常事態が発生した地域等に該当する。すなわち、地域AR10に大勢の人が集まる可能性が高いといえる。
実施例1に係る無線機能部制御サーバ10は、このようなイベント等が開催される地域AR10の情報である地域情報を受け付ける。例えば、無線機能部制御サーバ10は、地域AR10の位置を示す住所や、地域AR10においてイベント等が開催される日時(開始日時、終了日時)等を含む地域情報を受け付ける。そして、無線機能部制御サーバ10は、地域AR10又は地域AR10の近傍に所在するユーザ宅を特定する。このとき、無線機能部制御サーバ10は、各ユーザ宅の無線機能部110を起動させた場合に、地域AR10のほぼ全体が公衆無線LANのエリアになるような最低限のユーザ宅を特定する。そして、無線機能部制御サーバ10は、特定したユーザ宅のそれぞれに設置されている回線終端装置100の無線機能部110をイベントの開催日時に起動させる。
図2に示した例では、地域AR10にユーザ宅H101〜H10mが所在する。ユーザ宅H101内の無線機能部1101(図2では図示せず)は、無線信号の受信範囲を示すセルC101を形成し、ユーザ宅H10m内の無線機能部110m(図2では図示せず)は、無線信号の受信範囲を示すセルC10mを形成する。そして、ユーザ宅H101〜H10m内の無線機能部1101〜110mのそれぞれによって形成される各セルは、地域AR10を全体的にカバーする。このような場合に、実施例1に係る無線機能部制御サーバ10は、ユーザ宅H101〜H10mのそれぞれに設置されている回線終端装置100を起動させる。これにより、無線機能部制御サーバ10は、地域AR10において、無線信号の受信範囲に漏れのない無線エリアを形成することができる。
また、実施例1に係る回線終端装置100は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているか否かを監視する。そして、回線終端装置100が通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生したことを検出した場合に、かかる回線終端装置100内の無線機能部110は、近隣のユーザ宅内に設置されている回線終端装置内の無線機能部(以下、「近隣無線機能部」と表記する場合がある)と無線通信を行うことにより、無線通信の迂回経路を形成する。なお、「通信ネットワークNとの間における通信の異常」とは、通信ネットワークNとの間で通信が行えない通信不通状態だけでなく、通信ネットワークNとの間における通信速度が遅い等の通信不調状態も含む。
図2に示した例において、ユーザ宅H101内の回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線に異常が発生したものとする。かかる場合に、回線終端装置1001内の無線機能部1101は、例えば、ユーザ宅H101の近隣に所在するユーザ宅H102内の無線機能部1102と無線通信を行うことにより、迂回経路を形成するか、ユーザ宅H103内の無線機能部1103と無線通信を行うことにより、迂回経路を形成する。これにより、回線終端装置1001は、通信ネットワークNと直接通信が行えない状況であっても、無線機能部1101によって形成された迂回経路を利用して、モバイル無線LAN端末H111や有線端末H121やモバイル無線LAN端末A11と、通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。
続いて、図3〜図5を用いて、無線機能部110が無線通信の迂回経路を形成する処理の流れを説明する。なお、以下では、主に、図2に示したユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の近隣に所在するユーザ宅H102とを例に挙げて説明する。
図3に示した例において、ユーザ宅H101内に設置されている回線終端装置1001及び無線機能部1101は起動しており、同様に、ユーザ宅H102内に設置されている回線終端装置1002及び無線機能部1102は起動しているものとする。また、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線は、故障等の原因により通信不通状態又は通信不調状態であるものとする。
このような状況において、回線終端装置1001の有線機能部1201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生したことを検出する。このとき、図3に示した例のように、有線機能部1201は、有線端末H121から通信ネットワークNへのアクセス要求(有線接続通信)を受け付けた場合に(ステップS11)、かかるアクセス要求を無線機能部1101に迂回させる(ステップS12)。すなわち、有線機能部1201は、有線端末H121から受信したアクセス要求を無線機能部1101に転送する。
そして、無線機能部1101は、有線機能部1201からアクセス要求を迂回された場合には、ユーザ宅H102内の無線機能部1102と無線通信を行うことにより、かかるアクセス要求を無線機能部1102に中継する(ステップS13)。このとき、無線機能部1101は、ユーザ宅H101を識別するためのユーザ宅IDを無線機能部1102に送信する。なお、以下では、ユーザ宅IDは、各ユーザ宅に付した参照符号であるものとする。例えば、ユーザ宅H101のユーザ宅IDは、「H101」であるものとする。
続いて、無線機能部1102は、無線機能部1101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部1101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部1102は、許可する場合には、無線機能部1101から受信したアクセス要求を有線機能部1202に送信する(ステップS14)。そして、有線機能部1202は、無線機能部1102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、有線端末H121と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS15)。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1は、回線終端装置1001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101内の有線端末H121と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。この結果、回線終端装置1001は、公衆無線LANのアクセスポイントとしての機能を維持することができる。
また、図4に示した例は、図3と同様の状況であり、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線が通信不通状態又は通信不調状態であるものとする。このとき、図4に示した例のように、無線機能部1101は、無線通信によりモバイル無線LAN端末H111から通信ネットワークNへのアクセス要求(無線接続通信)を受け付けた場合に(ステップS21)、かかるアクセス要求を有線機能部1201に送信する。有線機能部1201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部1101から受信したアクセス要求を無線機能部1101に迂回させる(ステップS22)。
そして、無線機能部1101は、有線機能部1201からアクセス要求を迂回された場合には、ユーザ宅H102内の無線機能部1102と無線通信を行うことにより、ユーザ宅H101のユーザ宅ID「H101」と、アクセス要求とを無線機能部1102に中継する(ステップS23)。
続いて、無線機能部1102は、無線機能部1101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部1101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部1102は、許可する場合には、無線機能部1101から受信したアクセス要求を有線機能部1202に送信する(ステップS24)。そして、有線機能部1202は、無線機能部1102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、モバイル無線LAN端末H111と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS25)。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1は、回線終端装置1001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101内のモバイル無線LAN端末H111と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。
また、図5に示した例は、図3と同様の状況であり、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線が通信不通状態又は通信不調状態であるものとする。このとき、図5に示した例のように、無線機能部1101は、モバイル無線LAN端末A11から通信ネットワークNへのアクセス要求(無線接続通信)を受け付けた場合に(ステップS31)、かかるアクセス要求を有線機能部1201に送信する。有線機能部1201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部1101から受信したアクセス要求を無線機能部1101に迂回させる(ステップS32)。
そして、無線機能部1101は、有線機能部1201からアクセス要求を迂回された場合には、無線機能部1102と無線通信を行うことにより、ユーザ宅H101のユーザ宅ID「H101」と、有線機能部1201から受信したアクセス要求とを無線機能部1102に中継する(ステップS33)。
続いて、無線機能部1102は、無線機能部1101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部1101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部1102は、許可する場合には、無線機能部1101から受信したアクセス要求を有線機能部1202に送信する(ステップS34)。そして、有線機能部1202は、無線機能部1102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、モバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS35)。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1は、回線終端装置1001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置1001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101外のモバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。
なお、上記では、アクセス要求を中継する例を示したが、無線機能部110は、アクセス要求に限らず、有線端末H12と通信ネットワークNとの間で行われる通信である、モバイル無線LAN端末A11やモバイル無線LAN端末H11と通信ネットワークNとの間で行われる通信である無線接続通信を他の無線機能部110に中継する処理を行う。以下でアクセス要求と表記した場合には、有線接続通信又は無線接続通信を示すものとする。
[実施例1に係る回線終端装置の構成]
次に、図6を用いて、図3〜図5に示した回線終端装置100について説明する。図6は、実施例1に係る回線終端装置100の構成例を示す図である。図6に例示するように、実施例1に係る回線終端装置100は、無線機能部110と、有線機能部120とを有する。
無線機能部110は、所定のセルを形成し、かかるセル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、無線機能部110は、セル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と家庭内LANとの間における通信を制御する。このとき、無線機能部110は、有線機能部120を介して、各装置間における通信を制御する。
また、無線機能部110は、図6に例示するように、中継部111と判定部112とを有する。中継部111は、上記ステップS12、S22又はS32に示した例のように、通信ネットワークNへのアクセス要求を有線機能部120から転送された場合に、他のユーザ宅内の近隣無線機能部との間でリンクを確立することにより、無線通信による迂回経路を形成する。そして、無線機能部110は、かかる近隣無線機能部に対して、有線機能部120から転送された通信ネットワークNへのアクセス要求を中継する。このとき、無線機能部110は、ユーザ宅H10のユーザ宅IDも送信する。なお、無線機能部間でリンクを形成することは、従来技術により実現することができる(参照例:http://www.planex.co.jp/product/wireless/mzk-ex300n/)。
判定部112は、無線機能部110自体が近隣無線機能部である場合に、他の無線機能部から中継された通信ネットワークNへのアクセス要求と、他のユーザ宅のユーザ宅IDとを受け付ける。そして、判定部112は、他の無線機能部から受信したユーザ宅IDに基づいて、通信ネットワークNへのアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、判定部112は、許可する場合には、他の無線機能部から受信したアクセス要求を有線機能部120に送信する。例えば、判定部112は、アクセス要求の送信を許可する他のユーザ宅のユーザ宅IDを予め保持しておき、他の無線機能部から受信したユーザ宅IDを保持している場合には、アクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可する。
有線機能部120は、有線端末H12との間で有線通信を行うことにより、有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、有線機能部120は、図6に例示するように、監視部121と転送部122とを有する。監視部121は、通信ネットワークNとの間における通信状況を監視する。例えば、監視部121は、ブロードバンド回線を介して通信ネットワークNとの間で通信を行えるか否かを監視したり、通信ネットワークNとの間における通信が不調であるか否かを監視したりする。
転送部122は、監視部121によって通信異常が検出された場合に、通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部110に転送する。例えば、図3に示した例のように、転送部122は、監視部121によって通信異常が検出された場合には、家庭内LANを介して有線端末H12から受信する通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部110に転送する。また、例えば、図4や図5に示した例のように、転送部122は、無線機能部110を介して無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11)から受信する通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部110に転送する。
[実施例1に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図7を用いて、実施例1に係るネットワークシステム1による通信処理の手順を説明する。図7は、実施例1に係るネットワークシステム1による通信処理手順を示すシーケンス図である。なお、図7では、ユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H102とを例に挙げて説明する。また、ここでは、ユーザ宅H101内の回線終端装置1001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生したものとする。
図7に示すように、有線機能部1201の監視部121は、回線終端装置1001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出する(ステップS101)。かかる場合に、有線機能部1201の転送部122は、家庭内LANや回線終端装置1001経由で受信した通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部1101に転送する(ステップS102)。
無線機能部1101の中継部111は、有線機能部1201によってアクセス要求を転送された場合に、近隣無線機能部である無線機能部1102との間でリンクを確立する(ステップS103)。そして、無線機能部1101の中継部111は、有線機能部1201から受信したアクセス要求を無線機能部1102に中継する(ステップS104)。このとき、中継部111は、ユーザ宅ID「H101」も無線機能部1102に送信する。
無線機能部1102の判定部112は、無線機能部1101から受信したユーザ宅ID「H101」に基づいて、アクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する(ステップS105)。ここでは、判定部112は、送信することを許可するものとする。かかる場合に、無線機能部1102は、無線機能部1101によって中継されたアクセス要求を有線機能部1202に送信する(ステップS106)。そして、有線機能部1202は、無線機能部1102から受信したアクセス要求をブロードバンド回線に送信する(ステップS107)。これにより、回線終端装置1001を介して通信ネットワークNにアクセスした無線端末等は、無線機能部1101と無線機能部1102とのリンクを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1に係るネットワークシステム1は、通信網である通信ネットワークNと接続されるとともにユーザ宅に設置される回線終端装置100を含む。回線終端装置100は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信である無線接続通信を制御する無線機能部110と、有線端末H12と有線通信を行うことで有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信である有線接続通信を制御する有線機能部120と、回線終端装置100と通信ネットワークNとの間における通信を監視する監視部121と、監視部121によって通信に異常が発生していることが検出された場合に、ユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅に設置されている他の回線終端装置が有する無線機能部である近隣無線機能部に対して、無線接続通信又は有線接続通信を無線機能部110による無線通信により中継する中継部111とを有する。
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、回線終端装置100が無線機能部110間の無線通信による迂回経路を形成することにより、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、無線端末や有線端末と通信ネットワークNとの間における通信を継続させることができる。
[実施例1に係るネットワークシステムにおける処理(変形例)]
なお、上記実施例1では、回線終端装置1001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生した例を示したが、アクセス要求の中継先となる近隣回線終端装置と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているケースもあり得る。しかし、実施例1に係るネットワークシステム1は、このようなケースであっても、通信ネットワークNへのアクセスを可能にする。
この点について、図8及び図9を用いて具体的に説明する。図8及び図9は、実施例1に係るネットワークシステム1による処理例を説明するための図である。図8及び図9に示した例において、ユーザ宅H101内の回線終端装置1001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しており、さらに、ユーザ宅H103内の回線終端装置1003と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているものとする。
そして、図8に示した例のように、モバイル無線LAN端末A11は、通信ネットワークNに接続するために、回線終端装置1001の無線機能部1101に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS41)。かかる場合に、回線終端装置1001の無線機能部1101は、モバイル無線LAN端末A11から受け付けた通信ネットワークNへのアクセス要求をユーザ宅H103内の回線終端装置1003に中継する(ステップS42)。ここで、回線終端装置1003は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部1101から受信したアクセス要求をユーザ宅H102内の回線終端装置1002に中継する(ステップS43)。
ここの例では、ユーザ宅H102内の回線終端装置1002と通信ネットワークNとの間における通信には異常が発生していないので、回線終端装置1002は、回線終端装置1003によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信する(ステップS44)。これにより、モバイル無線LAN端末A11は、無線機能部1101と無線機能部1103と無線機能部1102とを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
また、図9に示した例において、モバイル無線LAN端末A11は、通信ネットワークNに接続するために、回線終端装置1001の無線機能部1101にアクセスしたものとする(ステップS51)。かかる場合に、回線終端装置1001の無線機能部1101は、モバイル無線LAN端末A11から受信した通信ネットワークNへのアクセス要求をユーザ宅H103内の回線終端装置1003に中継する(ステップS52)。ここで、回線終端装置1003は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部1101から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信できない旨の通知(NG通知)を回線終端装置1001に応答する(ステップS53)。かかるNG通知は、例えば、回線終端装置1003の中継部111によって行われる。
そして、無線機能部1101は、回線終端装置1003からNG通知を受信した場合に、ユーザ宅H103以外であり、かつ、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H102内に設置されている回線終端装置1002の無線機能部1102との間でリンクを確立し、モバイル無線LAN端末A11から受信した通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部1102に中継する(ステップS54)。ここの例では、ユーザ宅H102内の回線終端装置1002との間における通信には異常が発生していないので、回線終端装置1002は、回線終端装置1001によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信する(ステップS55)。これにより、モバイル無線LAN端末A11は、無線機能部1101と無線機能部1102とを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
上記実施例1では、各ユーザ宅H10の無線機能部110が起動していることを前提として、無線通信の迂回経路を形成する例について説明した。実施例2では、各ユーザ宅H10の無線機能部110を起動させる処理について説明する。すなわち、上記実施例1において説明した各種処理は、以下に説明する処理によって無線機能部110が起動させられた後に行われてもよい。
[実施例2に係るネットワークシステムにおける処理]
まず、図10〜図14を用いて、実施例2に係るネットワークシステム1による処理について説明する。図10〜図14は、実施例2に係るネットワークシステム1による処理例を説明するための図である。
まず、図10に示した例において、ユーザ宅H10内に設置されている回線終端装置100は起動しているが、無線機能部110は起動していないものとする。このような状態において、通信事業者Cの無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110を起動することについてユーザ宅H10のユーザから事前に了承を得るために、無線機能部110を起動させる予定日時である開始日時と、無線機能部110を停止させる予定日時である終了日時とを含む事前要求を回線終端装置100に送信する(ステップS61)。例えば、無線機能部制御サーバ10は、通信事業者Cによる操作に従って、実際に無線機能部110を起動させる数日前等に事前要求を送信する。
回線終端装置100の有線機能部120は、無線機能部制御サーバ10から受け付けた事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H12に送信する。そして、有線端末H12は、かかる事前要求に対する応答として、無線機能部110の起動を許可するか否かを示す回答情報(「了承」又は「拒否」)を無線機能部制御サーバ10に送信する(ステップS62)。例えば、有線端末H12のユーザは、事前要求に含まれる開始日時から終了日時までに無線機能部110を起動させることが可能であるか否かを判断し、事前要求に対して了承するか拒否するかを有線端末H12に入力する。そして、有線端末H12は、ユーザによって入力された回答情報を無線機能部制御サーバ10に送信する。有線端末H12によって送信される回答情報は、家庭内LANと有線機能部120と通信ネットワークNを介して無線機能部制御サーバ10に到達する。なお、有線端末H12は、回答情報とともに、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDを無線機能部制御サーバ10に送信してもよい。
続いて、図11に示すように、無線機能部制御サーバ10は、上記ステップS62において、有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、無線機能部110の起動時間を設定するための起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS63)。具体的には、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110を起動させる開始日時と、無線機能部110を停止させる終了日時と、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置100に送信する。なお、無線機能部制御サーバ10は、ユーザIDを加入者情報として予め保持しておいてもよいし、上記ステップS62において回答情報とともに有線端末H12から受け付けてもよい。
このように、通信事業者Cは、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用する場合には、事前にユーザから了承を得る。これは、無線機能部110を起動させることは、ユーザ宅H10の電力を使用することとなるので、事前にユーザから了承を得ることが望ましいからである。そして、通信事業者Cは、事前にユーザから了承を得ることで、無線機能部110を安定して稼動させることができる。
また、図11に示すように、有線端末H12は、上記ステップS62において、「了承」を示す回答情報を送信した場合に、無線機能部110を起動させる開始日時と、無線機能部110を停止させる終了日時と、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS64)。
無線機能部制御サーバ10及び有線端末H12から回線終端装置100に送信された各起動要求は、有線機能部120によって無線機能部110に送信される。そして、無線機能部110は、無線機能部制御サーバ10と有線端末H12との双方から起動要求を受信した場合に、双方の起動要求に含まれる開始日時に起動する。
これにより、図12に示すように、無線機能部110は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H11が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS65)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120を介して、モバイル無線LAN端末H11と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS66)。また、例えば、ユーザ宅H10外に位置するモバイル無線LAN端末A11が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS65)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120を介して、モバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS66)。
また、無線機能部110は、ユーザ宅H10内の無線LAN装置としても機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H11が家庭内LANに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS65)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120と家庭内LANとを通信接続する(ステップS67)。
続いて、図13に示すように、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110が起動中であるか否かを監視する(ステップS68)。例えば、無線機能部制御サーバ10は、回線終端装置100に対して、無線機能部110の稼動状態を確認するための確認信号を送信する。回線終端装置100は、かかる確認信号を受信した場合に、無線機能部110が起動中であるか否かを示す状態応答を無線機能部制御サーバ10に送信する(ステップS69)。このようにして、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110が実際に起動しているか否かを定期的に監視する。
続いて、図14に示すように、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110を停止する終了日時になった場合に、無線機能部110を停止させる旨の停止指示を回線終端装置100に送信する(ステップS70)。かかる停止信号を受信した無線機能部110は、停止する。そして、無線機能部110は、有線機能部120を介して、停止したことを示す停止応答を無線機能部制御サーバ10に送信するとともに(ステップS71)、停止したことを有線端末H12に通知する(ステップS72)。これにより、ユーザ宅H10のユーザは、有線端末H12によって受信された停止応答を確認することで、無線機能部110が停止したことを認識することができる。
また、無線機能部制御サーバ10は、回線終端装置100から停止応答を受信した場合に、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用したことに対する対価を精算する(ステップS73)。例えば、無線機能部制御サーバ10は、ステップS68における監視の結果に基づいて、無線機能部110が実際に起動していた稼働時間に応じて対価(料金)を精算し、精算した料金をユーザに通知する。
このように、実施例2に係るネットワークシステム1では、無線機能部制御サーバ10と有線端末H12との連携により、無線機能部制御サーバ10が無線機能部110を利用することをユーザから事前に了承を得た上で、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして起動させる。これにより、実施例2に係るネットワークシステム1では、ユーザ宅H10内の無線機能部110を安定して稼動させることができるので、安定動作する無線機能部110をユーザ宅H10のユーザ以外のユーザに利用させることができる。
また、実施例2に係るネットワークシステム1では、通信事業者Cがユーザ宅H10の無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用する対価をユーザに支払うので、ユーザ宅の無線機能部110をアクセスポイントとして利用させることを促進することができる。
[実施例2に係る回線終端装置の構成]
次に、図15を用いて、図10〜図14に示した回線終端装置100について説明する。図15は、実施例2に係る回線終端装置100の構成例を示す図である。図15に例示するように、実施例2に係る回線終端装置100は、無線機能部110と、有線機能部120と、起動制御部131とを有する。
無線機能部110は、所定のセルを形成し、かかるセル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、無線機能部110は、図12に示した例のように、セル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と家庭内LANとの間における通信を制御する。このとき、無線機能部110は、有線機能部120を介して、各装置間における通信を制御する。
また、無線機能部110は、図13に示した例のように、無線機能部制御サーバ10から稼動状態を確認するための確認信号を受信した場合に、無線機能部110がアクセスポイントとして起動中であるか否かを示す状態応答を有線機能部120経由で無線機能部制御サーバ10に送信する。また、無線機能部110は、後述する起動制御部131によって停止された場合には、図14に示した例のように、停止応答を無線機能部制御サーバ10に送信するとともに、停止通知を有線端末H12に送信する。
なお、無線機能部110は、ユーザ宅H10内の無線LAN装置として動作する家庭内モードと、公衆無線LANのアクセスポイントとして動作する公衆モードとのいずれかによって動作してもよい。かかる場合に、無線機能部110は、通常時は家庭内モードとして動作することで、ユーザ宅H10のユーザが所有するモバイル無線LAN端末H11からのみ無線アクセスを受け付け、無線機能部制御サーバ10から起動要求を受信した場合には、公衆モードとして動作することで、セル内に位置する各無線端末から無線アクセスを受け付けてもよい。
有線機能部120は、有線端末H12との間で有線通信を行うことにより、有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、有線機能部120は、図10に示した例のように、無線機能部制御サーバ10から事前要求を受信した場合には、かかる事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H12に送信する。また、有線機能部120は、図10に示した例のように、有線端末H12から回答情報を受信した場合には、かかる回答情報を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ10に送信する。また、有線機能部120は、図11に示した例のように、無線機能部制御サーバ10や有線端末H12から起動要求を受信した場合には、かかる起動要求を起動制御部131に送信する。また、有線機能部120は、図13に示した例のように、無線機能部110から状態応答を受信した場合には、かかる状態応答を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ10に送信する。
起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10によって送信される起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。具体的には、実施例2における起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10と有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、かかる起動要求に含まれる開始日時に無線機能部110を起動させる。
なお、起動制御部131は、双方の起動要求に含まれる開始日時が異なる場合には、いずれか一方の開始日時に無線機能部110を起動させてもよい。同様に、起動制御部131は、双方の起動要求に含まれる終了日時が異なる場合には、いずれか一方の終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時と、有線端末H12から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時との重複する時間帯だけ無線機能部110を稼動させてもよい。
また、起動制御部131は、双方の起動要求に含まれるユーザIDがユーザ宅H10のユーザに割り当てられているユーザIDと一致するか否かを判定してもよい。そして、起動制御部131は、一致する場合には無線機能部110を起動させ、一致しない場合には無線機能部110を起動させなくてもよい。
また、起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10から受信した起動要求に含まれる終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部131は、図14に示した例のように、無線機能部制御サーバ10から停止指示を受信した場合には、終了日時になる前であっても、無線機能部110を停止させてもよい。
なお、図15では図示することを省略したが、無線機能部110は、図6に示した中継部111及び判定部112を有する。また、有線機能部120は、図6に示した監視部121及び転送部122を有する。
[実施例2に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図16を用いて、図10〜図14に示した無線機能部制御サーバ10について説明する。図16は、実施例2に係る無線機能部制御サーバ10の構成例を示す図である。図16に例示するように、実施例2に係る無線機能部制御サーバ10は、IF(interface)部11と、受付部12と、特定部13と、事前要求部14と、起動候補DB(Data Base)15と、起動要求部16と、監視部17と、算出部18と、料金通知部19とを有する。また、無線機能部制御サーバ10は、地図情報DB10a及び加入者情報DB10bと接続される。かかる地図情報DB10a及び加入者情報DB10bは、例えば、所定のDBサーバによって保持されており、無線機能部制御サーバ10からアクセスされる。
なお、図16では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部制御サーバ10の操作者が各種情報や操作指示を入力するための入力部(キーボード、マウス等)や、各種情報を表示する表示部(液晶表示装置等)を有してもよい。
地図情報DB10aは、住所と住所が示す地図情報とを記憶する。加入者情報DB10bは、通信ネットワークNを利用する加入者に関する各種情報を記憶する。例えば、加入者情報DB10bは、加入者の住所、氏名、年齢等を記憶する。
IF部11は、回線終端装置100等との間で各種データを送受信するNIC(Network Interface Card)等である。例えば、IF部11は、事前要求や起動要求等を回線終端装置100に送信する。また、例えば、IF部11は、回答情報等を回線終端装置100から受信する。
受付部12は、イベント等が開催される地域に関する地域情報を受け付ける。例えば、受付部12は、イベント等の開催元が管理するサーバ装置等から、通信ネットワークを介して地域情報を受け付ける。また、例えば、受付部12は、無線機能部制御サーバ10の操作者等によって地域情報が入力された場合に、入力された地域情報を受け付ける。かかる地域情報には、イベント等が開催される地域を特定するための住所や、イベント等が開催される開始日時及び終了日時等が含まれる。
特定部13は、受付部12によって地域情報が受け付けられた場合に、かかる地域情報によって示される地域に所在するユーザ宅を特定する。具体的には、特定部13は、地図情報DB10aを参照することにより、受付部12によって受け付けられた地域情報に含まれる住所に対応する位置を取得する。そして、特定部13は、加入者情報DB10bを参照することにより、かかる位置によって示される地域、又は、かかる地域の近傍に所在するユーザ宅H10を特定する。
例えば、図10に示した例において、地図情報DB10aに、地域情報に含まれる住所に対応する位置として地域AR10の位置が記憶されているものとする。また、加入者情報DB10bに、ユーザ宅H101〜H10mの住所として、地域AR10内の住所が記憶されているものとする。かかる場合に、特定部13は、地図情報DB10aから、地域情報に含まれる住所に対応する位置として地域AR10を取得する。そして、特定部13は、加入者情報DB10bを参照することにより、地域AR10又は地域AR10の近傍に所在するユーザ宅H101〜H10mを特定する。
なお、特定部13は、地域AR10に所在するユーザ宅の中から、無線機能部110による無線信号の受信範囲が所定範囲だけ重複するユーザ宅を特定してもよい。具体的には、無線信号の受信範囲は、無線機能部110によって概ね決められている。そこで、特定部13は、同一場所で複数の無線機能部110が無線信号を極力受信しないように、地域AR10のほぼ全体が公衆無線LAN環境になるような最低限のユーザ宅を特定してもよい。
事前要求部14は、特定部13によって特定されたユーザ宅H10内の有線端末H12に事前要求を送信する。このとき、事前要求部14は、受付部12によって受け付けられた地域情報に含まれるイベント等の開始日時及び終了日時を含む事前要求を送信する。そして、事前要求部14は、かかる事前要求に応答して有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB15に格納する。
なお、事前要求部14は、無線機能部110を識別できる情報であればユーザID以外の情報を起動候補DB15に格納してもよい。例えば、事前要求部14は、回線終端装置100を識別するための識別子や、無線機能部110を識別するための識別子や、ユーザ宅H10を識別するための識別子等を起動候補DB15に格納してもよい。
また、事前要求部14は、有線端末H12から「拒否」を示す回答情報を受信した場合には、特定部13によって特定されたユーザ宅H10の中から、かかる「拒否」を示す回答情報を送信したユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅を選択し、選択したユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する。これにより、事前要求部14は、無線信号の受信範囲に漏れのない公衆無線LAN環境を地域AR10に形成することができる。
起動候補DB15は、ユーザから起動許可が得られた無線機能部110を特定するための情報を記憶する。例えば、起動候補DB15は、無線機能部110を起動することを許可したユーザのユーザIDを記憶する。
起動要求部16は、事前要求部14によって送信された事前要求に応答して有線端末H12から無線機能部110の起動を了承する旨の応答を受信した後に、かかる無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部16は、起動候補DB15を参照することで、起動許可が得られたユーザ宅H10を特定し、事前要求に含まれる開始日時になった場合に、かかるユーザ宅H10内の回線終端装置100に起動要求を送信する。
なお、起動要求部16は、開始日時になる前に、かかる開始日時に無線機能部110が起動するようにタイマー設定された起動要求(起動信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部131は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を起動させる。また、例えば、起動要求部16は、開始日時に起動要求を回線終端装置100に送信するように、タイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部16は、タイマーに設定された日時になった場合に、起動要求を無線機能部110に送信する。
また、起動要求部16は、無線機能部110を停止する旨の停止指示を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部16は、事前要求部14によって送信された事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置100に送信する。
なお、起動要求部16は、終了日時になる前に、かかる終了日時に無線機能部110が停止するようにタイマー設定された停止指示(停止信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部131は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を停止させる。また、起動要求部16は、終了日時に停止指示を回線終端装置100に送信するようにタイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部16は、タイマーに設定された日時になった場合に、停止指示を無線機能部110に送信する。
監視部17は、無線機能部110の稼動状態を監視する。具体的には、監視部17は、回線終端装置100の稼動状況を確認するための確認信号を送信し、回線終端装置100から無線機能部110の稼動状態を示す状態応答を受信することにより、無線機能部110の起動有無を監視する。
算出部18は、監視部17による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を算出する。例えば、算出部18は、事前要求に含まれる開始日時から終了日時までのサービス提供期間における無線機能部110の停止回数が少ないほど高い料金を算出し、サービス提供期間における無線機能部110の停止回数が多いほど安い料金を算出する。また、例えば、算出部18は、無線機能部110の実起動時間が長いほど高い料金を算出し、無線機能部110の実起動時間が短いほど安い料金を算出する。
料金通知部19は、算出部18によって算出された料金をユーザ宅H10のユーザに通知する。例えば、料金通知部19は、算出部18によって算出された料金が記載された電子メールをモバイル無線LAN端末H11や有線端末H12等に送信する。また、例えば、料金通知部19は、モバイル無線LAN端末H11や有線端末H12からHTTPアクセスされることにより、料金が記載されたHTMLファイルを送信してもよい。
なお、上述した受付部12、特定部13、事前要求部14、起動要求部16、監視部17、算出部18及び料金通知部19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、受付部12、特定部13、事前要求部14、起動要求部16、監視部17、算出部18及び料金通知部19は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
また、上述した起動候補DB15、地図情報DB10a及び加入者情報DB10bは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
[実施例2に係る有線端末の構成]
次に、図10〜図14に示した有線端末H12について説明する。実施例2に係る有線端末H12は、無線機能部制御サーバ10から事前要求を受信した場合に、かかる事前要求に含まれる開始日時及び終了日時を液晶表示装置等の表示部に表示する。また、有線端末H12は、ユーザの操作に従って、回答情報(了承/拒否)を無線機能部制御サーバ10に送信する。
また、有線端末H12は、ユーザ要求部を有する。かかるユーザ要求部は、事前要求部14から受信した事前要求に含まれる開始日時になる前に、かかる開始日時に無線機能部110が起動するようにタイマー設定された起動要求(起動信号)を回線終端装置100に送信する。また、例えば、ユーザ要求部は、事前要求部14から受信した事前要求に含まれる開始日時に起動要求を回線終端装置100に送信するように、タイマー設定されてもよい。この例の場合、ユーザ要求部は、タイマーに設定された日時になった場合に、起動要求を無線機能部110に送信する。
また、有線端末H12は、図14に示した例のように、無線機能部110から停止通知を受信した場合には、無線機能部110が停止した旨を示す情報を表示部に表示する。このような有線端末H12による各種処理は、例えばソフトウェアによって実現される。
[実施例2に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図17を用いて、実施例2に係るネットワークシステム1による通信処理の手順を説明する。図17は、実施例2に係るネットワークシステム1による通信処理手順を示すシーケンス図である。
図17に示すように、無線機能部制御サーバ10の特定部13は、受付部12によって受け付けられた地域情報と、地図情報DB10a及び加入者情報DB10bを参照することにより、かかる地域情報によって示される地域に所在するユーザ宅H10を特定する(ステップS201)。
続いて、事前要求部14は、特定部13によって特定されたユーザ宅H10の有線端末H12に対して、開始日時及び終了日時を含む事前要求を送信する(ステップS202)。事前要求を受信した有線端末H12は、ユーザによる操作に従って、無線機能部110の起動を了承又は拒否することを示す回答情報を回線終端装置100経由で無線機能部制御サーバ10に送信する(ステップS203)。そして、回答情報を受信した事前要求部14は、かかる回答情報が「了承」を示す場合には、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB15に格納する(ステップS204)。
続いて、無線機能部制御サーバ10の起動要求部16は、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS205)。同様に、有線端末H12の起動要求部は、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS206)。回線終端装置100の起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、かかる起動要求に含まれる開始日時に無線機能部110を起動させる(ステップS207)。これにより、無線機能部110は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
続いて、無線機能部制御サーバ10の監視部17は、無線機能部110の稼動状態を定期的に監視する(ステップS208)。監視部17による監視処理は、無線機能部110を停止させる終了日時まで行われる。そして、無線機能部制御サーバ10の起動要求部16は、事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置100に送信する(ステップS209)。停止指示を受信した回線終端装置100の起動制御部131は、無線機能部110を停止させる(ステップS210)。
そして、無線機能部制御サーバ10の算出部18は、監視部17による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を精算する(ステップS211)。この後に、料金通知部19は、算出部18によって算出された料金を有線端末H12に通知する。
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2に係るネットワークシステム1は、ユーザによって利用されるユーザ端末である有線端末H12と、通信網である通信ネットワークNを形成する通信事業者Cによって管理される無線機能部制御サーバ10と、通信ネットワークNと接続されるとともにユーザ宅に設置される回線終端装置100とを含む。そして、回線終端装置100は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する無線機能部110と、無線機能部制御サーバ10から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる起動制御部131とを有する。また、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110を起動させることを有線端末H12に事前に要求する事前要求を送信する事前要求部14と、事前要求部14によって送信された事前要求に応答して有線端末H12から無線機能部110の起動を了承する旨の応答を受信した場合に、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する起動要求部16とを有する。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム1では、通信事業者Cが無線機能部110を起動することについてユーザから事前に了承を得るので、ユーザ宅に設置されている無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして安定して動作させることができる。すなわち、実施例2に係るネットワークシステム1では、ユーザ宅に設置されている回線終端装置100を用いて安定した公衆無線LAN環境を実現することができる。
また、実施例2に係るネットワークシステム1では、通信事業者Cが必要に応じてユーザ宅の回線終端装置100に備えられた無線機能部110を起動することができるので、柔軟に公衆無線LANのアクセスポイントを設定することができる。例えば、通信事業者Cは、加入者であるユーザ宅の住所を認識しているので、所望の地域に公衆無線LANサービスを提供することができ、さらに、公衆無線LANサービスのエリアの大きさを柔軟に設定することができる。
また、実施例2に係る有線端末H12は、無線機能部制御サーバ10から受信した事前要求の応答として無線機能部110の起動を了承する旨の応答を無線機能部制御サーバ10に送信した場合に、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。また、回線終端装置100の起動制御部131は、無線機能部制御サーバ10及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム1では、無線機能部110を起動させるためにユーザによる制御も要するので、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして安定して動作させることができるとともに、ユーザの意に反して無線機能部110を起動することを防止できる。
また、実施例2に係る無線機能部制御サーバ10は、無線機能部110が起動中であるか否かを監視する監視部17と、監視部17による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を算出する算出部18と、算出部18によって算出された料金をユーザに通知する料金通知部19とを有する。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム1では、無線機能部110をアクセスポイントとして提供するユーザにもメリットがあるので、無線機能部110の利用について多くのユーザから了承を得ることができる。さらに、ユーザに対して対価を支払うことで、無線機能部110を提供することを責務としてユーザに課すことができるので、無線機能部110を安定して動作させることができる。
上記実施例1及び2では、各ユーザ宅H10内の回線終端装置100が収容するブロードバンド回線を公衆無線LAN環境下で利用する例を示した。具体的には、上記実施例1及び2では、無線端末(モバイル無線LAN端末A11等)が各ユーザ宅H10内の無線機能部110にアクセスすることにより、回線終端装置100が収容するブロードバンド回線を介して、通信ネットワークNと通信を行う例を示した。すなわち、上記実施例1及び2では、所定のユーザは、かかるユーザのユーザ宅H10に収容されているブロードバンド回線を他のユーザに利用させる例を示した。しかし、各回線終端装置100が収容する全てのブロードバンド回線を他のユーザに利用させなくてもよい。そこで、実施例3では、特定のブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させる例について説明する。
[実施例3に係るネットワークシステムにおける処理]
まず、図18〜図20を用いて、実施例3に係るネットワークシステム2による処理について説明する。図18〜図20は、実施例3に係るネットワークシステム2による処理例を説明するための図である。なお、実施例3に係るネットワークシステム2の構成は、図1に示したネットワークシステム1の構成例と同様である。
図18に示した例において、回線終端装置2001〜2006のそれぞれは、無線信号の受信範囲を示すセルC101〜C106を形成する。なお、以下では、回線終端装置2001〜2006を区別する必要がない場合には、これらを総称して「回線終端装置200」と表記する場合がある。
ここで、実施例3に係る無線機能部制御サーバ20は、終了日時及びユーザIDの他に、無線機能部110の「無線種別」と、リンク先の無線機能部を識別するための「リンク情報」とを含む起動要求を回線終端装置2001〜2006に送信する。かかる「無線種別」は、無線端末(モバイル無線LAN端末A11等)と無線通信を行うアクセス装置、又は、アクセス装置による無線端末との無線通信の内容を通信ネットワークNに中継する中継装置のいずれによって無線機能部を動作させるかを示す。また、「リンク情報」は、リンク先の無線機能部を識別するための情報を示す。なお、無線機能部をアクセス装置として動作させることを示す無線種別には「アクセス」が設定され、無線機能部を中継装置として動作させることを示す無線種別には「中継」が設定されるものとする。また、リンク情報には、リンク先の回線終端装置200を識別する情報としてアクセスID又は中継IDが設定され、かかるアクセスID及び中継IDには回線終端装置に付した参照符号が設定されるものとする。
図18に示した例において、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2001に対して、無線種別「アクセス」とリンク情報である中継ID「2002」とを含む起動要求を送信する(ステップS81)。すなわち、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2001に対して、かかる回線終端装置2001が有する無線機能部をアクセス装置として起動させるとともに、中継ID「2002」によって識別される回線終端装置2002とリンクを確立することを要求する。
また、図18に示した例において、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2002に対して、無線種別「中継」とリンク情報であるアクセスID「2001、2003」とを含む起動要求を送信する(ステップS82)。すなわち、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2002に対して、かかる回線終端装置2002が有する無線機能部を中継装置として起動させるとともに、アクセスID「2001」によって識別される回線終端装置2001及びアクセスID「2003」によって識別される回線終端装置2003とリンクを確立することを要求する。
また、図18に示した例において、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2003に対して、無線種別「アクセス」と中継ID「2002」とを含む起動要求を送信する(ステップS83)。すなわち、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2003に対して、かかる回線終端装置2003が有する無線機能部をアクセス装置として起動させるとともに、中継ID「2002」によって識別される回線終端装置2002とリンクを確立することを要求する。
同様にして、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置2004〜2006に対しても、無線種別やアクセスIDや中継IDを含む起動要求を送信する(ステップS84〜S86)。
続いて、図19に示すように、無線機能部制御サーバ20から起動要求を受け付けた回線終端装置2001〜2006は、起動要求に含まれる無線種別に従って、アクセス装置又は中継装置として無線機能部を起動させる。そして、起動した各無線機能部は、起動要求に含まれるリンク情報に従って、リンクを確立する。
図19に示した例では、回線終端装置2001は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置2001内の無線機能部は、中継ID「2002」によって識別される回線終端装置2002内の無線機能部とリンクを確立する。同様に、回線終端装置2003は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置2003内の無線機能部は、中継ID「2002」によって識別される回線終端装置2002内の無線機能部とリンクを確立する。また、回線終端装置2002は、無線機能部を中継装置として起動させる。そして、回線終端装置2002内の無線機能部は、中継ID「2001」によって識別される回線終端装置2001内の無線機能部とリンクを確立するとともに、中継ID「2003」によって識別される回線終端装置2003内の無線機能部とリンクを確立する。
同様にして、回線終端装置2004は、無線機能部を中継装置として起動させ、回線終端装置2005は、無線機能部をアクセス装置として起動させ、回線終端装置2006は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置2004内の無線機能部は、回線終端装置2005内の無線機能部とリンクを確立するとともに、回線終端装置2006内の無線機能部とリンクを確立する。
これにより、アクセス装置として起動した無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11等から通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に、かかるアクセス要求をリンク先の中継装置に送信する。また、中継装置として起動した無線機能部は、アクセス装置から受信したアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する。
図20に示した例では、回線終端装置2001内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11から無線通信によりアクセスされることにより、通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付ける(ステップS87)。かかる場合に、回線終端装置2001内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11から受け付けたアクセス要求を回線終端装置2002内の無線機能部に送信する。そして、回線終端装置2002内の無線機能部は、回線終端装置2001内の無線機能部から受け付けたアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する(ステップS88)。
また、図20に示した例では、回線終端装置2006内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A16から無線通信によりアクセスされることにより、通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に(ステップS89)、かかるアクセス要求を回線終端装置2004内の無線機能部に送信する。そして、回線終端装置2004内の無線機能部は、回線終端装置2006内の無線機能部から受け付けたアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する(ステップS90)。
このように、実施例3に係るネットワークシステム2では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみが他のユーザに利用される。例えば、実施例3に係るネットワークシステム2では、大容量のブロードバンド回線を中継装置とすることで、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワークの負荷を軽減することができる。
[実施例3に係る回線終端装置の構成]
次に、図21を用いて、図18〜図20に示した回線終端装置200について説明する。図21は、実施例3に係る回線終端装置200の構成例を示す図である。なお、以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。図21に例示するように、実施例3に係る回線終端装置200は、有線機能部120と、無線機能部210と、起動制御部231とを有する。
起動制御部231は、無線機能部制御サーバ20によって送信される起動要求を受信した場合に、無線機能部210を起動させる。具体的には、実施例3における起動制御部231は、起動要求に含まれる無線種別が「アクセス」である場合には、無線機能部210をアクセス装置として起動させ、起動要求に含まれる無線種別が「中継」である場合には、無線機能部210を中継装置として起動させる。
無線機能部210は、リンク確立部211を有する。かかるリンク確立部211は、起動制御部231によって起動された後に、他の無線機能部との間でリンクを確立する。具体的には、リンク確立部211は、無線機能部制御サーバ20から受信した起動要求に含まれるリンク情報からリンク先の無線機能部を特定し、特定した無線機能部との間でリンクを確立する。
また、実施例3に係る無線機能部210は、アクセス装置として起動した場合には、無線端末から受信したアクセス要求をリンク先の中継装置(無線機能部)に送信する。また、無線機能部210は、中継装置として起動した場合には、アクセス装置から受信したアクセス要求をブロードバンド回線に出力することで、かかるアクセス要求を通信ネットワークNに送信する。
なお、図21では図示することを省略したが、無線機能部210は、図6に示した中継部111及び判定部112を有する。また、有線機能部120は、図6に示した監視部121及び転送部122を有する。
[実施例3に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図22を用いて、図18〜図20に示した無線機能部制御サーバ20について説明する。図22は、実施例3に係る無線機能部制御サーバ20の構成例を示す図である。図22に例示するように、実施例3に係る無線機能部制御サーバ20は、IF部11と、受付部12と、特定部13と、事前要求部14と、起動候補DB15と、監視部17と、リンク先決定部21と、起動要求部22とを有する。
リンク先決定部21は、起動候補DB15を参照して、互いにリンクを確立する無線機能部のペアを決定する。具体的には、リンク先決定部21は、起動候補DB15を参照して、各無線機能部の無線種別を決定し、更に各無線機能部のリンク先を決定する。
例えば、リンク先決定部21は、ブロードバンド回線を他のユーザに利用させることが許可されているユーザ宅内の無線機能部を中継装置として起動させることを決定し、ブロードバンド回線を他のユーザに利用させることが許可されていないユーザ宅内の無線機能部をアクセス装置として起動させることを決定する。また、例えば、リンク先決定部21は、大容量のブロードバンド回線や通信速度の速いブロードバンド回線を収容する無線機能部を中継装置として起動させることを決定し、小容量のブロードバンド回線や通信速度の遅いブロードバンド回線を収容する無線機能部をアクセス装置として起動させることを決定する。そして、無線信号の送受信が可能な位置に所在する中継装置とアクセス装置とを、リンクを確立する無線機能部のペアにすることを決定する。
そして、リンク先決定部21は、このように決定した無線種別及びリンク先情報を起動要求部22に出力する。起動要求部22は、リンク先決定部21によって決定された無線種別及びリンク先情報を含む起動要求を回線終端装置200に送信する。
なお、上述したリンク先決定部21及び起動要求部22は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、リンク先決定部21及び起動要求部22は、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
[実施例3に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図23を用いて、実施例3に係るネットワークシステム2による通信処理の手順を説明する。図23は、実施例3に係るネットワークシステム2による通信処理手順を示すシーケンス図である。なお、図23に示したステップS301〜S304における処理手順は図17に示したステップS201〜S204における処理手順と同様であるので説明を省略する。
無線機能部制御サーバ20のリンク先決定部21は、事前要求部14によって更新された起動候補DB15を参照して、各無線機能部の無線種別(アクセス又は中継)を決定し、互いにリンクを確立する無線機能部のペアを決定する(ステップS305)。
続いて、無線機能部制御サーバ20の起動要求部22は、無線機能部210を起動する旨の起動要求を回線終端装置200に送信する(ステップS306)。同様に、有線端末H12の起動要求部は、無線機能部210を起動する旨の起動要求を回線終端装置200に送信する(ステップS307)。回線終端装置200の起動制御部231は、無線機能部制御サーバ20及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、かかる起動要求に含まれる開始日時に無線機能部210を起動させる(ステップS308)。これにより、無線機能部210は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
また、無線機能部210は、起動制御部231によって起動された後に、無線機能部制御サーバ20から受信した起動要求に含まれるリンク情報に基づいて、他の無線機能部との間でリンクを確立する(ステップS309)。
続いて、無線機能部制御サーバ20の監視部17は、無線機能部210の稼動状態を定期的に監視する(ステップS310)。監視部17による監視処理は、無線機能部210を停止させる終了日時まで行われる。そして、無線機能部制御サーバ20の起動要求部22は、事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置200に送信する(ステップS311)。停止指示を受信した回線終端装置200の起動制御部231は、無線機能部210を停止させる(ステップS312)。
そして、無線機能部制御サーバ20の算出部18は、監視部17による監視結果から得られる無線機能部210の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を精算する(ステップS313)。この後に、料金通知部19は、算出部18によって算出された料金を有線端末H12に通知する。
[実施例3の効果]
上述してきたように、実施例3に係るネットワークシステム2は、無線機能部制御サーバ20が、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うアクセス装置、又は、アクセス装置による無線端末との無線通信を通信ネットワークNに中継する中継装置のいずれによって無線機能部210を動作させるかを示す無線種別を含む起動要求を送信する起動要求部22を有する。また、回線終端装置200が、起動要求部22によって送信された起動要求に含まれる無線種別に応じて、無線機能部210をアクセス装置又は中継装置のいずれかとして起動させる起動制御部231を有する。
これにより、実施例3に係るネットワークシステム2では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させることができる。例えば、実施例3に係るネットワークシステム2では、大容量のブロードバンド回線を中継装置とすることで、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワークの負荷を軽減することができる。
また、実施例3に係るネットワークシステム2では、無線機能部制御サーバ20の起動要求部22が、無線種別とともに、無線通信によるリンク確立においてリンク先となる無線機能部210を識別するためのリンク情報を含む起動要求を送信する。また、無線機能部210は、無線機能部制御サーバ20からの起動要求に含まれるリンク情報によって示されるリンク先の無線機能部との間でリンクを確立する。
これにより、実施例3に係るネットワークシステム2では、各ユーザ宅内の無線機能部210間で無線リンクを確立することで、無線機能部210間で無線だけのネットワークを構築することができるので、かかる無線リンクを介した無線通信により、無線機能部210間で無線通信を行うことができる。この結果、実施例3に係るネットワークシステム2では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させることができる。
上述したネットワークシステムは、上記実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例4では、上記のネットワークシステムの他の実施例について説明する。
[起動要求]
上記実施例2では、回線終端装置100が、有線端末H12と無線機能部制御サーバ10との双方から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる例を示した。しかし、回線終端装置100は、無線機能部制御サーバ10からのみ起動要求を受信してもよい。すなわち、有線端末H12は、起動要求を回線終端装置100に送信しなくてもよい。
[システム構成]
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、図6に示した中継部111や判定部112は、無線機能部110の内部に組み込まれている必要はない。また、図6に示した監視部121や転送部122は、有線機能部120の内部に組み込まれている必要はない。また、図15に示した起動制御部131は、無線機能部110の内部に組み込まれてもよいし、図21に示した起動制御部231は、無線機能部210の内部に組み込まれてもよい。図16に示した各処理部は、それぞれ自由な組合せで統合されてもよいし、図22に示した各処理部は、それぞれ自由な組合せで統合されてもよい。
[プログラム]
また、上記実施例において説明した無線機能部制御サーバ10及び20が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、無線機能部制御サーバ10及び20が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した制御プログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが制御プログラムを実行することにより、上記実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された制御プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施例と同様の処理を実現してもよい。以下に、図16に示した無線機能部制御サーバ10と同様の機能を実現する制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図24は、制御プログラムを実行するコンピュータ1000を示す図である。図24に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
メモリ1010は、図24に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図24に例示するように、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、図24に例示するように、ディスクドライブ1041に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブに挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、図24に例示するように、例えばマウス1051、キーボード1052に接続される。ビデオアダプタ1060は、図24に例示するように、例えばディスプレイ1061に接続される。
ここで、図24に例示するように、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の制御プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1031に記憶される。例えば、図16に例示した受付部12と同様の情報処理を実行する受付手順と、特定部13と同様の情報処理を実行する特定手順と、事前要求部14と同様の情報処理を実行する事前要求手順と、起動要求部16と同様の情報処理を実行する起動要求手順と、監視部17と同様の情報処理を実行する監視手順と、算出部18と同様の情報処理を実行する算出手順と、料金通知部19と同様の情報処理を実行する料金通知手順とが記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
また、上記実施例で説明した起動候補DB15が保持する各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、受付手順、特定手順、事前要求手順、起動要求手順、監視手順、算出手順、料金通知手順を実行する。
なお、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。