以下に、本願に係るネットワークシステム、通信方法、回線終端装置及び制御サーバの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願に係るネットワークシステム、通信方法、回線終端装置及び制御サーバが限定されるものではない。
[実施例1に係るネットワークシステムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係るネットワークシステムについて説明する。図1は、実施例1に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。図1に例示するように、実施例1に係るネットワークシステム1には、モバイル無線LAN端末A11と、ユーザ宅H101〜H10nと、通信ネットワークNを形成する通信事業者Cとが含まれる。
モバイル無線LAN端末A11は、無線通信機能を有し、例えば、ノート型PCや携帯端末装置等である。実施例1におけるモバイル無線LAN端末A11は、ユーザ宅H101の外に存在し、ユーザ宅H101に居住するユーザ以外のユーザによって利用されているものとする。
また、図1に示した例において、ユーザ宅H101には、モバイル無線LAN端末H111が存在するとともに、有線端末(Personal Computer)H121と回線終端装置1001とが設置される。モバイル無線LAN端末H111は、無線通信機能を有し、例えば、ユーザ宅H101に居住するユーザによって利用されるノート型PCや携帯端末装置等である。有線端末H121は、例えば、ユーザ宅H101に居住するユーザによって利用されるデスクトップ型PC等である。
回線終端装置1001は、各端末を通信ネットワークNに接続するための装置であり、例えば、ONU(Optical Network Unit)やDSU(Digital Service Unit)等である。かかる回線終端装置1001は、家庭内LANを介して有線端末H121と有線接続されるとともに、ブロードバンド回線等により通信ネットワークNと有線接続される。
ここで、実施例1における回線終端装置1001は、無線機能部1101と、有線機能部1201とを有する。無線機能部1101は、回線終端装置1001とは異なるタイミングで起動することができる。例えば、無線機能部1101は、回線終端装置1001が起動した場合であっても、同時に起動せずに停止したままであることが可能である。
かかる無線機能部1101は、起動中である場合に、無線信号の受信可能範囲(セル)内に位置するモバイル無線LAN端末と無線通信を行うことにより、モバイル無線LAN端末と通信ネットワークNとの間における通信を可能にする。例えば、図1に示した例において、モバイル無線LAN端末H111及びモバイル無線LAN端末A11は、無線機能部1101によって形成されるセル内に位置するものとする。かかる場合に、無線機能部1101は、モバイル無線LAN端末H111やモバイル無線LAN端末A11から無線通信によりアクセスされた場合に、これらの端末と通信ネットワークNに接続との間における通信を可能にする。これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、モバイル無線LAN端末H111だけでなくモバイル無線LAN端末A11についても、無線機能部1101を介して通信ネットワークNと接続することができる。このように、実施例1における無線機能部1101は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
有線機能部1201は、回線終端装置1001と有線接続される各種端末間の通信を制御する。図1に示した例では、有線機能部1201は、有線端末H121と有線通信を行うことにより、有線端末H121と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。
通信事業者Cは、通信ネットワークNや無線機能部制御サーバ10を管理しており、インターネット接続サービスをユーザに提供する。図1に示した例では、ユーザ宅H101のユーザは、通信ネットワークNを利用するので、通信事業者Cの加入者に該当する。また、無線機能部制御サーバ10は、通信ネットワークNを介して、ユーザ宅H101内の回線終端装置1001に各種制御信号を送信することにより、無線機能部1101を制御する。
なお、図1では、ユーザ宅H101を例に挙げて説明したが、他のユーザ宅H10n等についてもユーザ宅H101と同様の構成を有する。例えば、ユーザ宅H10nには、モバイル無線LAN端末H11n、有線端末H12n、回線終端装置100n等が含まれる。以下では、ユーザ宅H101〜H10nを区別する必要がない場合には、これらを総称して「ユーザ宅H10」と表記する場合がある。同様に、モバイル無線LAN端末H111〜H11n、有線端末H121〜H12n、回線終端装置1001〜100n等についても、それぞれを総称して「モバイル無線LAN端末H11」、「有線端末H12」、「回線終端装置100」と表記する場合がある。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1では、ユーザ宅H10内の無線機能部110が公衆無線LANのアクセスポイントとして機能するので、ユーザ宅H10の近傍に居るユーザは、無線機能部110を介して、ユーザ自身が所有する無線LAN端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11等)を通信ネットワークNに接続することができる。
そして、実施例1に係るネットワークシステム1は、回線終端装置100と無線機能部制御サーバ10とによる処理によって、ユーザ宅H10に設置されている無線機能部110を安定して動作する無線ルータとして他のユーザに利用させることを可能にする。この点について、以下に説明する。
[実施例1に係るネットワークシステムにおける処理]
図2〜図4を用いて、実施例1に係るネットワークシステム1による処理について説明する。図2〜図4は、実施例1に係るネットワークシステム1による処理例を説明するための図である。
まず、図2に示した例において、ユーザ宅H10内に設置されている回線終端装置100は起動しているが、無線機能部110は起動していないものとする。また、図2に示すように、実施例1に係るユーザ宅H10には、通報装置H13が設置される。かかる通報装置H13は、ユーザ宅H10やユーザ宅H10の近傍で非常事態(事故、火災、地震、風水害など)が発生した場合に、かかる非常事態を検知して回線終端装置100に通報する(ステップS11)。なお、図2では図示することを省略したが、ユーザ宅H10には、有線端末H12が家庭内LANと接続されてもよい。
そして、回線終端装置100の有線機能部120は、通報装置H13から非常通報を受信した場合に、後述する起動制御部132を介して無線機能部110を起動させる(ステップS12)。これにより、無線機能部110は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。したがって、ユーザ宅H10の周辺に所在するモバイル無線LAN端末A11等は、無線機能部110を介して、通信ネットワークNと通信を行うことができる。すなわち、ユーザは、モバイル無線LAN端末A11をネットワーク接続することができるので、例えば、災害状況等を確認したり、災害状況を報告したりすることができる。
また、回線終端装置100の有線機能部120は、通報装置H13から非常通報を受信した場合には、かかる非常通報を無線機能部制御サーバ10に通知する(ステップS13)。このとき、有線機能部120は、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDと、災害種別、無線機能部110を起動したことを示す起動情報(図2では、「無線起動」と表記する)、災害場所を特定するための災害場所情報等についても無線機能部制御サーバ10に通知する。なお、「災害種別」は、例えば、「事故」、「火災」、「地震」、「風水害」などに分けられる。
そして、図3に示した例のように、無線機能部制御サーバ10は、ユーザ宅H101の回線終端装置1001及びユーザ宅H102の回線終端装置1002から非常通報を受信したものとする(ステップS21及びS22)。かかる場合に、実施例1に係る無線機能部制御サーバ10は、非常通報の送信元であるユーザ宅H101及びH102の近傍に所在するユーザ宅H103の回線終端装置1003に対して、回線終端装置1003内の無線機能部1103を起動する旨の要求である起動要求を送信する(ステップS23)。この結果、無線機能部1103は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
例えば、図4に示した例において、災害現場の近傍にユーザ宅H101〜H10mが所在するものとする。かかる場合に、ユーザ宅H101〜H10mに設置されている各回線終端装置100は、通報装置H13を有する場合には、災害発生を検知することができるので、自律的に無線機能部110を起動させる。また、各ユーザ宅内の回線終端装置100は、通報装置H13を有しない場合には、無線機能部制御サーバ10による制御によって無線機能部110を起動させる。
このように、実施例1に係るネットワークシステム1では、非常事態を検知した回線終端装置100が無線機能部110を起動するとともに、非常事態を検知できなかった回線終端装置100であっても、無線機能部制御サーバ10による制御によって無線機能部110が起動させられる。このため、実施例1に係るネットワークシステム1は、非常事態が発生した災害地域において多数の無線機能部110を起動させることができるので、かかる災害地域に無線LAN環境を提供することができる。
[実施例1に係る回線終端装置の構成]
次に、図5を用いて、図1〜図3に示した回線終端装置100について説明する。図5は、実施例1に係る回線終端装置100の構成例を示す図である。図5に例示するように、実施例1に係る回線終端装置100は、無線機能部110と、有線機能部120と、検知部131と、起動制御部132とを有する。
無線機能部110は、所定のセルを形成し、かかるセル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、無線機能部110は、セル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と家庭内LANとの間における通信を制御する。このとき、無線機能部110は、有線機能部120を介して、各装置間における通信を制御する。
有線機能部120は、有線端末H12との間で有線通信を行うことにより、有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、有線機能部120は、通報装置H13から家庭内LANを介して非常通報を受信した場合には、かかる非常通報を検知部131に送信する。また、有線機能部120は、無線機能部制御サーバ10から起動要求を受信した場合には、かかる起動要求を起動制御部132に送信する。
検知部131は、通報装置H13から非常通報を受信した場合に、ユーザ宅H10の近傍で非常事態が発生したことを検知し、無線機能部110を起動するよう起動制御部132に指示する。また、検知部131は、かかる非常通報から災害種別を抽出し、抽出した災害種別と、ユーザ宅H10におけるユーザのユーザIDと、無線機能部110を起動したことを示す起動情報とを、有線機能部120を介して無線機能部制御サーバ10に送信する。
起動制御部132は、無線機能部110を起動制御する。具体的には、実施例1に係る起動制御部132は、検知部131から無線機能部110を起動するように指示された場合に、無線機能部110を起動する。また、起動制御部132は、有線機能部120から起動要求を受け付けた場合に、無線機能部110を起動する。
[実施例1に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図6を用いて、図1〜図4に示した無線機能部制御サーバ10について説明する。図6は、実施例1に係る無線機能部制御サーバ10の構成例を示す図である。図6に例示するように、実施例1に係る無線機能部制御サーバ10は、IF(interface)部11と、受付部12と、特定部13と、起動要求部14とを有する。また、無線機能部制御サーバ10は、地図情報DB(Data Base)10a及び加入者情報DB10bと接続される。かかる地図情報DB10a及び加入者情報DB10bは、例えば、所定のDBサーバによって保持されており、無線機能部制御サーバ10からアクセスされる。
なお、図6では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ10は、無線機能部制御サーバ10の操作者が各種情報や操作指示を入力するための入力部(キーボード、マウス等)や、各種情報を表示する表示部(液晶表示装置等)を有してもよい。
地図情報DB10aは、住所と住所が示す地図情報とを記憶する。加入者情報DB10bは、通信ネットワークNを利用する加入者に関する各種情報を記憶する。例えば、加入者情報DB10bは、加入者のユーザID、住所、氏名、年齢等を記憶する。
IF部11は、回線終端装置100等との間で各種データを送受信するNIC(Network Interface Card)等である。例えば、IF部11は、非常通報等を回線終端装置100から受信する。また、例えば、IF部11は、起動要求等を回線終端装置100に送信する。
受付部12は、回線終端装置100から災害通報を受け付ける。上記の通り、災害通報には、ユーザID、災害種別、起動情報、災害場所情報等が含まれる。受付部12は、このような災害通報に含まれる各種情報を図示しない記憶部に蓄積するとともに、特定部13に入力する。
特定部13は、受付部12から入力された各種情報に基づいて、無線機能部110の起動対象となるユーザ宅を特定する。具体的には、特定部13は、地図情報DB10aを参照することにより、受付部12から入力された災害場所情報によって示される地域に所在するユーザ宅を特定する。さらに、特定部13は、加入者情報DB10bに記憶されている加入者のユーザID及び住所と、受付部12によって蓄積されたユーザID及び起動情報とを参照することにより、災害場所の近傍に所在するユーザ宅のうち、無線機能部110を起動していないユーザ宅を特定する。
起動要求部14は、特定部13によって特定されたユーザ宅に設置されている回線終端装置100に対して、無線機能部110を起動させる旨の要求である起動要求を送信する。
なお、上述した受付部12、特定部13及び起動要求部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、受付部12、特定部13及び起動要求部14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
また、上述した地図情報DB10a及び加入者情報DB10bは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
[実施例1に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図7を用いて、実施例1に係るネットワークシステム1による通信処理の手順を説明する。図7は、実施例1に係るネットワークシステム1による通信処理手順を示すシーケンス図である。なお、図7では、互いに近傍に所在するユーザ宅H101、H102及びH103を例に挙げて説明する。
図7に示すように、回線終端装置1001の検知部131は、通報装置H131から非常通報を受信した場合に、ユーザ宅H10の近傍で非常事態が発生したことを検知する(ステップS101)。そして、回線終端装置1001の起動制御部132は、無線機能部1101を起動させる(ステップS102)。また、検知部131は、通報装置H131から受信した非常通報を無線機能部制御サーバ10に送信する(ステップS103)。
同様に、回線終端装置1002の検知部131は、通報装置H132から非常通報を受信した場合に、ユーザ宅H10の近傍で非常事態が発生したことを検知する(ステップS104)。そして、回線終端装置1002の起動制御部132は、無線機能部1102を起動させる(ステップS105)。また、検知部131は、通報装置H132から受信した非常通報を無線機能部制御サーバ10に送信する(ステップS106)。
続いて、無線機能部制御サーバ10の特定部13は、回線終端装置1001及び1002から受信した非常通報に含まれる災害場所情報に基づいて、災害場所の近傍に所在するユーザ宅のうち、無線機能部110を起動していないユーザ宅を特定する(ステップS107)。ここでは、特定部13は、ユーザ宅H103を特定するものとする。かかる場合に、無線機能部制御サーバ10の起動要求部14は、ユーザ宅H103に設置されている回線終端装置1003に対して、無線機能部1103を起動させる旨の起動要求を送信する(ステップS108)。これにより、回線終端装置1003の起動制御部132は、無線機能部1103を起動させる。
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1に係るネットワークシステム1は、通信網である通信ネットワークNを形成する通信事業者Cによって管理される制御サーバである無線機能部制御サーバ10と、ユーザ宅に設置される回線終端装置100とを含む。回線終端装置100は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する無線機能部110と、ユーザ宅の近傍で災害が発生した際に通報を行う通報装置H13から通報を受信した場合に、通報されたことを無線機能部制御サーバ10に通知する通知部に対応する検知部131と、無線機能部制御サーバ10によって送信される無線機能部110の起動要求を受信した場合、又は、通報装置H13から通報を受信した場合に、無線機能部110を起動させる起動制御部132とを有する。また、無線機能部制御サーバ10は、回線終端装置100から通知された場合に、通知元のユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅に設置される他の回線終端装置に対して、かかる他の回線終端装置が有する無線機能部を起動させる旨の起動要求を送信する起動要求部14を有する。
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、非常事態を検知した回線終端装置100が無線機能部110を起動するとともに、非常事態を検知できなかった回線終端装置100であっても、無線機能部制御サーバ10による制御によって無線機能部110が起動させられるので、非常事態が発生した災害地域において、かかる災害地域に所在する多数の無線機能部110を用いて安定した公衆無線LAN環境を速やかに実現することができる。
上記実施例1では、災害発生時における無線機能部110の起動処理について説明した。実施例2では、災害が発生していない場合における無線機能部110の起動処理について説明する。すなわち、災害発生時には上記実施例1において説明した処理によって無線機能部110が起動させられ、災害非発生時には以下に説明する処理によって無線機能部110が起動させられてもよい。
[実施例2に係るネットワークシステムにおける処理]
まず、図8〜図12を用いて、実施例2に係るネットワークシステム2による処理について説明する。図8〜図12は、実施例2に係るネットワークシステム2による処理例を説明するための図である。
まず、図8に示した例において、ユーザ宅H10内に設置されている回線終端装置100は起動しているが、無線機能部110は起動していないものとする。このような状態において、通信事業者Cの無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110を起動することについてユーザ宅H10のユーザから事前に了承を得るために、無線機能部110を起動させる予定日時である開始日時と、無線機能部110を停止させる予定日時である終了日時とを含む事前要求を回線終端装置100に送信する(ステップS21)。例えば、無線機能部制御サーバ20は、通信事業者Cによる操作に従って、実際に無線機能部110を起動させる数日前等に事前要求を送信する。
回線終端装置100の有線機能部120は、無線機能部制御サーバ20から受け付けた事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H12に送信する。そして、有線端末H12は、かかる事前要求に対する応答として、無線機能部110の起動を許可するか否かを示す回答情報(「了承」又は「拒否」)を無線機能部制御サーバ20に送信する(ステップS22)。例えば、有線端末H12のユーザは、事前要求に含まれる開始日時から終了日時までに無線機能部110を起動させることが可能であるか否かを判断し、事前要求に対して了承するか拒否するかを有線端末H12に入力する。そして、有線端末H12は、ユーザによって入力された回答情報を無線機能部制御サーバ20に送信する。有線端末H12によって送信される回答情報は、家庭内LANと有線機能部120と通信ネットワークNを介して無線機能部制御サーバ20に到達する。なお、有線端末H12は、回答情報とともに、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDを無線機能部制御サーバ20に送信してもよい。
続いて、図9に示すように、無線機能部制御サーバ20は、上記ステップS22において、有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、無線機能部110の起動時間を設定するための起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS23)。具体的には、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110を起動させる開始日時と、無線機能部110を停止させる終了日時と、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置100に送信する。なお、無線機能部制御サーバ20は、ユーザIDを加入者情報として予め保持しておいてもよいし、上記ステップS22において回答情報とともに有線端末H12から受け付けてもよい。
このように、通信事業者Cは、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用する場合には、事前にユーザから了承を得る。これは、無線機能部110を起動させることは、ユーザ宅H10の電力を使用することとなるので、事前にユーザから了承を得ることが望ましいからである。そして、通信事業者Cは、事前にユーザから了承を得ることで、無線機能部110を安定して稼動させることができる。
また、図9に示すように、有線端末H12は、上記ステップS22において、「了承」を示す回答情報を送信した場合に、無線機能部110を起動させる開始日時と、無線機能部110を停止させる終了日時と、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS24)。
無線機能部制御サーバ20及び有線端末H12から回線終端装置100に送信された各起動要求は、有線機能部120によって無線機能部110に送信される。そして、無線機能部110は、無線機能部制御サーバ20と有線端末H12との双方から起動要求を受信した場合に、双方の起動要求に含まれる開始日時に起動する。
これにより、図10に示すように、無線機能部110は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H11が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS25)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120を介して、モバイル無線LAN端末H11と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS26)。また、例えば、ユーザ宅H10外に位置するモバイル無線LAN端末A11が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS25)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120を介して、モバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS26)。
また、無線機能部110は、ユーザ宅H10内の無線LAN装置としても機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H11が家庭内LANに接続するために、無線機能部110に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS25)。かかる場合に、無線機能部110は、有線機能部120と家庭内LANとを通信接続する(ステップS27)。
続いて、図11に示すように、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110が起動中であるか否かを監視する(ステップS28)。例えば、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置100に対して、無線機能部110の稼動状態を確認するための確認信号を送信する。回線終端装置100は、かかる確認信号を受信した場合に、無線機能部110が起動中であるか否かを示す状態応答を無線機能部制御サーバ20に送信する(ステップS29)。このようにして、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110が実際に起動しているか否かを定期的に監視する。
続いて、図12に示すように、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110を停止する終了日時になった場合に、無線機能部110を停止させる旨の停止指示を回線終端装置100に送信する(ステップS30)。かかる停止信号を受信した無線機能部110は、停止する。そして、無線機能部110は、有線機能部120を介して、停止したことを示す停止応答を無線機能部制御サーバ20に送信するとともに(ステップS31)、停止したことを有線端末H12に通知する(ステップS32)。これにより、ユーザ宅H10のユーザは、有線端末H12によって受信された停止応答を確認することで、無線機能部110が停止したことを認識することができる。
また、無線機能部制御サーバ20は、回線終端装置100から停止応答を受信した場合に、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用したことに対する対価を精算する(ステップS33)。例えば、無線機能部制御サーバ20は、ステップS28における監視の結果に基づいて、無線機能部110が実際に起動していた稼働時間に応じて対価(料金)を精算し、精算した料金をユーザに通知する。
このように、実施例2に係るネットワークシステム2では、無線機能部制御サーバ20と有線端末H12との連携により、無線機能部制御サーバ20が無線機能部110を利用することをユーザから事前に了承を得た上で、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして起動させる。これにより、実施例2に係るネットワークシステム2では、ユーザ宅H10内の無線機能部110を安定して稼動させることができるので、安定動作する無線機能部110をユーザ宅H10のユーザ以外のユーザに利用させることができる。
また、実施例2に係るネットワークシステム2では、通信事業者Cがユーザ宅H10の無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用する対価をユーザに支払うので、ユーザ宅の無線機能部110をアクセスポイントとして利用させることを促進することができる。
[実施例2に係る回線終端装置の構成]
次に、図8〜図12に示した回線終端装置100について説明する。実施例2に係る回線終端装置100の構成は、図5に示した構成と同様である。
実施例2における無線機能部110は、図10に示した例のように、セル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と家庭内LANとの間における通信を制御する。このとき、無線機能部110は、有線機能部120を介して、各装置間における通信を制御する。
また、無線機能部110は、図11に示した例のように、無線機能部制御サーバ20から稼動状態を確認するための確認信号を受信した場合に、無線機能部110がアクセスポイントとして起動中であるか否かを示す状態応答を有線機能部120経由で無線機能部制御サーバ20に送信する。また、無線機能部110は、後述する起動制御部132によって停止された場合には、図12に示した例のように、停止応答を無線機能部制御サーバ20に送信するとともに、停止通知を有線端末H12に送信する。
なお、無線機能部110は、ユーザ宅H10内の無線LAN装置として動作する家庭内モードと、公衆無線LANのアクセスポイントとして動作する公衆モードとのいずれかによって動作してもよい。かかる場合に、無線機能部110は、通常時は家庭内モードとして動作することで、ユーザ宅H10のユーザが所有するモバイル無線LAN端末H11からのみ無線アクセスを受け付け、無線機能部制御サーバ20から起動要求を受信した場合には、公衆モードとして動作することで、セル内に位置する各無線端末から無線アクセスを受け付けてもよい。
実施例2おける有線機能部120は、図8に示した例のように、無線機能部制御サーバ20から事前要求を受信した場合には、かかる事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H12に送信する。また、有線機能部120は、図8に示した例のように、有線端末H12から回答情報を受信した場合には、かかる回答情報を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ20に送信する。また、有線機能部120は、図9に示した例のように、無線機能部制御サーバ20や有線端末H12から起動要求を受信した場合には、かかる起動要求を起動制御部132に送信する。また、有線機能部120は、図11に示した例のように、無線機能部110から状態応答を受信した場合には、かかる状態応答を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ20に送信する。
実施例2における起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20によって送信される起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。具体的には、実施例2における起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20と有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、かかる起動要求に含まれる開始日時に無線機能部110を起動させる。
なお、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれる開始日時が異なる場合には、いずれか一方の開始日時に無線機能部110を起動させてもよい。同様に、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれる終了日時が異なる場合には、いずれか一方の終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時と、有線端末H12から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時との重複する時間帯だけ無線機能部110を稼動させてもよい。
また、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれるユーザIDがユーザ宅H10のユーザに割り当てられているユーザIDと一致するか否かを判定してもよい。そして、起動制御部132は、一致する場合には無線機能部110を起動させ、一致しない場合には無線機能部110を起動させなくてもよい。
また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20から受信した起動要求に含まれる終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部132は、図12に示した例のように、無線機能部制御サーバ20から停止指示を受信した場合には、終了日時になる前であっても、無線機能部110を停止させてもよい。
[実施例2に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図13を用いて、図8〜図12に示した無線機能部制御サーバ20について説明する。図13は、実施例2に係る無線機能部制御サーバ20の構成例を示す図である。図13に例示するように、実施例2に係る無線機能部制御サーバ20は、IF(interface)部11と、受付部12と、特定部13と、事前要求部21と、起動候補DB(Data Base)22と、起動要求部23と、監視部24と、算出部25と、料金通知部26とを有する。
なお、図13では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部制御サーバ20の操作者が各種情報や操作指示を入力するための入力部(キーボード、マウス等)や、各種情報を表示する表示部(液晶表示装置等)を有してもよい。
事前要求部21は、無線機能部110を起動させることを事前に要求する事前要求を有線端末H12に送信する。具体的には、事前要求部21は、開始日時及び終了日時を含む事前要求を有線端末H12に送信する。また、事前要求部21は、かかる事前要求に応答して有線端末H12から回答情報を受信する。そして、事前要求部21は、「了承」を示す回答情報を受信した場合に、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB22に格納する。
なお、事前要求部21は、無線機能部110を識別できる情報であればユーザID以外の情報を起動候補DB22に格納してもよい。例えば、事前要求部21は、回線終端装置100を識別するための識別子や、無線機能部110を識別するための識別子や、ユーザ宅H10を識別するための識別子等を起動候補DB22に格納してもよい。
起動候補DB22は、ユーザから起動許可が得られた無線機能部110を特定するための情報を記憶する。例えば、起動候補DB22は、無線機能部110を起動することを許可したユーザのユーザIDを記憶する。
起動要求部23は、事前要求部21によって送信された事前要求に応答して有線端末H12から無線機能部110の起動を了承する旨の応答を受信した後に、かかる無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部23は、起動候補DB22を参照することで、起動許可が得られたユーザ宅H10を特定し、事前要求に含まれる開始日時になった場合に、かかるユーザ宅H10内の回線終端装置100に起動要求を送信する。
なお、起動要求部23は、開始日時になる前に、かかる開始日時に無線機能部110が起動するようにタイマー設定された起動要求(起動信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部132は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を起動させる。また、例えば、起動要求部23は、開始日時に起動要求を回線終端装置100に送信するように、タイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部23は、タイマーに設定された日時になった場合に、起動要求を無線機能部110に送信する。
また、起動要求部23は、無線機能部110を停止する旨の停止指示を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部23は、事前要求部21によって送信された事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置100に送信する。
なお、起動要求部23は、終了日時になる前に、かかる終了日時に無線機能部110が停止するようにタイマー設定された停止指示(停止信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部132は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を停止させる。また、起動要求部23は、終了日時に停止指示を回線終端装置100に送信するようにタイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部23は、タイマーに設定された日時になった場合に、停止指示を無線機能部110に送信する。
監視部24は、無線機能部110の稼動状態を監視する。具体的には、監視部24は、回線終端装置100の稼動状況を確認するための確認信号を送信し、回線終端装置100から無線機能部110の稼動状態を示す状態応答を受信することにより、無線機能部110の起動有無を監視する。
算出部25は、監視部24による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を算出する。例えば、算出部25は、事前要求に含まれる開始日時から終了日時までのサービス提供期間における無線機能部110の停止回数が少ないほど高い料金を算出し、サービス提供期間における無線機能部110の停止回数が多いほど安い料金を算出する。また、例えば、算出部25は、無線機能部110の実起動時間が長いほど高い料金を算出し、無線機能部110の実起動時間が短いほど安い料金を算出する。
料金通知部26は、算出部25によって算出された料金をユーザ宅H10のユーザに通知する。例えば、料金通知部26は、算出部25によって算出された料金が記載された電子メールをモバイル無線LAN端末H11や有線端末H12等に送信する。また、例えば、料金通知部26は、モバイル無線LAN端末H11や有線端末H12からHTTPアクセスされることにより、料金が記載されたHTMLファイルを送信してもよい。
なお、上述した事前要求部21、起動要求部23、監視部24、算出部25及び料金通知部26は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、事前要求部21、起動要求部23、監視部24、算出部25及び料金通知部26は、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。また、上述した起動候補DB22は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
[実施例2に係る有線端末の構成]
次に、図8〜図12に示した有線端末H12について説明する。実施例2に係る有線端末H12は、無線機能部制御サーバ20から事前要求を受信した場合に、かかる事前要求に含まれる開始日時及び終了日時を液晶表示装置等の表示部に表示する。また、有線端末H12は、ユーザの操作に従って、回答情報(了承/拒否)を無線機能部制御サーバ20に送信する。
また、有線端末H12は、ユーザ要求部を有する。かかるユーザ要求部は、事前要求部21から受信した事前要求に含まれる開始日時になる前に、かかる開始日時に無線機能部110が起動するようにタイマー設定された起動要求(起動信号)を回線終端装置100に送信する。また、例えば、ユーザ要求部は、事前要求部21から受信した事前要求に含まれる開始日時に起動要求を回線終端装置100に送信するように、タイマー設定されてもよい。この例の場合、ユーザ要求部は、タイマーに設定された日時になった場合に、起動要求を無線機能部110に送信する。
また、有線端末H12は、図12に示した例のように、無線機能部110から停止通知を受信した場合には、無線機能部110が停止した旨を示す情報を表示部に表示する。このような有線端末H12による各種処理は、例えばソフトウェアによって実現される。
[実施例2に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図14を用いて、実施例2に係るネットワークシステム2による通信処理の手順を説明する。図14は、実施例2に係るネットワークシステム2による通信処理手順を示すシーケンス図である。
図14に示すように、無線機能部制御サーバ20の事前要求部21は、開始日時及び終了日時を含む事前要求をユーザ宅H10の回線終端装置100経由で有線端末H12に送信する(ステップS201)。事前要求を受信した有線端末H12は、ユーザによる操作に従って、無線機能部110の起動を了承又は拒否することを示す回答情報を回線終端装置100経由で無線機能部制御サーバ20に送信する(ステップS202)。そして、回答情報を受信した事前要求部21は、かかる回答情報が「了承」を示す場合には、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB22に格納する(ステップS203)。
続いて、無線機能部制御サーバ20の起動要求部23は、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS204)。同様に、有線端末H12の起動要求部は、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する(ステップS205)。回線終端装置100の起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、かかる起動要求に含まれる開始日時に無線機能部110を起動させる(ステップS206)。これにより、無線機能部110は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
続いて、無線機能部制御サーバ20の監視部24は、無線機能部110の稼動状態を定期的に監視する(ステップS207)。監視部24による監視処理は、無線機能部110を停止させる終了日時まで行われる。そして、無線機能部制御サーバ20の起動要求部23は、事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置100に送信する(ステップS208)。停止指示を受信した回線終端装置100の起動制御部132は、無線機能部110を停止させる(ステップS209)。
そして、無線機能部制御サーバ20の算出部25は、監視部24による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を精算する(ステップS210)。この後に、料金通知部26は、算出部25によって算出された料金を有線端末H12に通知する。
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2に係るネットワークシステム2は、ユーザによって利用されるユーザ端末である有線端末H12と、通信網である通信ネットワークNを形成する通信事業者Cによって管理される無線機能部制御サーバ20と、通信ネットワークNと接続されるとともにユーザ宅に設置される回線終端装置100とを含む。そして、回線終端装置100は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する無線機能部110と、無線機能部制御サーバ20から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる起動制御部132とを有する。また、無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110を起動させることを有線端末H12に事前に要求する事前要求を送信する事前要求部21と、事前要求部21によって送信された事前要求に応答して有線端末H12から無線機能部110の起動を了承する旨の応答を受信した場合に、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する起動要求部23とを有する。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム2では、通信事業者Cが無線機能部110を起動することについてユーザから事前に了承を得るので、ユーザ宅に設置されている無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして安定して動作させることができる。すなわち、実施例2に係るネットワークシステム2では、ユーザ宅に設置されている回線終端装置100を用いて安定した公衆無線LAN環境を実現することができる。
また、実施例2に係るネットワークシステム2では、通信事業者Cが必要に応じてユーザ宅の回線終端装置に備えられた無線機能部110を起動することができるので、柔軟に公衆無線LANのアクセスポイントを設定することができる。例えば、通信事業者Cは、加入者であるユーザ宅の住所を認識しているので、所望の地域に公衆無線LANサービスを提供することができ、さらに、公衆無線LANサービスのエリアの大きさを柔軟に設定することができる。
また、実施例2に係る有線端末H12は、無線機能部制御サーバ20から受信した事前要求の応答として無線機能部110の起動を了承する旨の応答を無線機能部制御サーバ20に送信した場合に、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。また、回線終端装置100の起動制御部132は、無線機能部制御サーバ20及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム2では、無線機能部110を起動させるためにユーザによる制御も要するので、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして安定して動作させることができるとともに、ユーザの意に反して無線機能部110を起動することを防止できる。
また、実施例2に係る無線機能部制御サーバ20は、無線機能部110が起動中であるか否かを監視する監視部24と、監視部24による監視結果から得られる無線機能部110の起動有無に基づいて、ユーザに支払う料金を算出する算出部25と、算出部25によって算出された料金をユーザに通知する料金通知部26とを有する。
これにより、実施例2に係るネットワークシステム2では、無線機能部110をアクセスポイントとして提供するユーザにもメリットがあるので、無線機能部110の利用について多くのユーザから了承を得ることができる。さらに、ユーザに対して対価を支払うことで、無線機能部110を提供することを責務としてユーザに課すことができるので、無線機能部110を安定して動作させることができる。
上記実施例2では、災害が発生していない場合における無線機能部110の起動処理について説明した。実施例3では、上記実施例2とは異なる処理によって無線機能部110を起動する処理について説明する。
[実施例3に係るネットワークシステムにおける処理]
図15〜図21を用いて、実施例3に係るネットワークシステム3による処理について説明する。図15〜図21は、実施例3に係るネットワークシステム3による処理例を説明するための図である。
まず、図15に示した例において、所定の地域AR10は、コンサートや祭りやスポーツの大会等のイベントが開催される地域や、災害等の非常事態が発生した地域等に該当する。すなわち、地域AR10に大勢の人が集まる可能性が高いといえる。
実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、このようなイベント等が開催される地域AR10の情報である地域情報を受け付ける。例えば、無線機能部制御サーバ30は、地域AR10の位置を示す住所や、地域AR10においてイベント等が開催される日時(開始日時、終了日時)等を含む地域情報を受け付ける。そして、無線機能部制御サーバ30は、地域AR10又は地域AR10の近傍に所在するユーザ宅を特定する。このとき、無線機能部制御サーバ30は、各ユーザ宅の無線機能部110を起動させた場合に、地域AR10のほぼ全体が公衆無線LANのエリアになるような最低限のユーザ宅を特定する。そして、無線機能部制御サーバ30は、特定したユーザ宅のそれぞれに設置されている回線終端装置100の無線機能部110をイベントの開催日時に起動させる。
図15に示した例では、地域AR10にユーザ宅H101〜H10mが所在する。ユーザ宅H101内の無線機能部1101(図15では図示せず)は、無線信号の受信範囲を示すセルC101を形成し、ユーザ宅H10m内の無線機能部110m(図15では図示せず)は、無線信号の受信範囲を示すセルC10mを形成する。そして、ユーザ宅H101〜H10m内の無線機能部1101〜110mのそれぞれによって形成される各セルは、地域AR10を全体的にカバーする。このような場合に、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101〜H10mのそれぞれに設置されている回線終端装置100を起動させる。これにより、無線機能部制御サーバ30は、無線信号の受信範囲に漏れのない公衆無線LAN環境を地域AR10に形成することができる。
また、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101〜H10mとは別に、ユーザ宅H101〜H10m内の無線機能部110が停止することに備えて、ユーザ宅H101〜H10mの近傍に所在する他のユーザ宅(以下、「予備ユーザ宅」と表記する場合がある)を特定する。図15に示した例では、無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H107を予備ユーザ宅として特定する。また、図15では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H102〜H10mの予備ユーザ宅についても特定する。
そして、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101〜110mを起動させた場合に、かかる無線機能部1101〜110mの稼動状態を監視する。そして、無線機能部制御サーバ30は、図16に示した例のように、ユーザ宅H101に設置されている無線機能部1101が停止した場合には、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107に設置されている無線機能部1107を起動させる。なお、以下では、予備ユーザ宅に設置されている無線機能部を「予備無線機能部」と表記する場合がある。
これにより、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、所定の無線機能部110が停止した場合であっても、地域AR10において無線信号の受信範囲に漏れが発生することを防止できる。この結果、実施例3に係るネットワークシステム3では、所定の無線機能部110が停止した場合であっても公衆無線LAN環境を継続して提供することができるので、ユーザ宅H10に設置されている無線機能部110を安定して動作する無線ルータとして他のユーザに利用させることができる。
続いて、図17〜図21を用いて、無線機能部制御サーバ30が各無線機能部110を起動させるまでの処理の流れを説明する。なお、以下では、主に、図15及び図16に示したユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107を例に挙げて説明する。
図17に示した例において、ユーザ宅H101内に設置されている回線終端装置1001は起動しているが、無線機能部1101は起動していないものとする。同様に、ユーザ宅H107内に設置されている回線終端装置1007は起動しているが、無線機能部1107は起動していないものとする。このような状態において、通信事業者Cの無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101を起動することについてユーザ宅H101のユーザから事前に了承を得るために、無線機能部1101を起動させる予定日時である開始日時と、無線機能部1101を停止させる予定日時である終了日時とを含む事前要求を回線終端装置1001に送信する(ステップS41)。例えば、無線機能部制御サーバ30は、通信事業者Cによる操作に従って、実際に無線機能部110を起動させる数日前等に事前要求を送信する。
また、無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107に対しても事前要求を送信する(ステップS42)。なお、図17では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ30は、図15及び図16に示したユーザ宅H102〜H10mのそれぞれに設置されている回線終端装置1002〜100mに対しても事前要求を送信し、ユーザ宅H107以外の予備ユーザ宅に設置されている回線終端装置100に対しても事前要求を送信する。
回線終端装置1001の有線機能部1201は、無線機能部制御サーバ30から受け付けた事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H121に送信する。そして、有線端末H121は、かかる事前要求に対する応答として、無線機能部1101の起動を許可するか否かを示す回答情報(「了承」又は「拒否」)を無線機能部制御サーバ30に送信する(ステップS43)。例えば、有線端末H121のユーザは、事前要求に含まれる開始日時から終了日時までに無線機能部1101を起動させることが可能であるか否かを判断し、事前要求に対して了承するか拒否するかを有線端末H121に入力する。そして、有線端末H121は、ユーザによって入力された回答情報を無線機能部制御サーバ30に送信する。有線端末H121によって送信された回答情報は、家庭内LANと有線機能部1201と通信ネットワークNを介して無線機能部制御サーバ30に到達する。なお、有線端末H121は、回答情報とともに、ユーザ宅H101のユーザを識別するためのユーザIDを無線機能部制御サーバ30に送信してもよい。
同様に、回線終端装置1007の有線機能部1207は、無線機能部制御サーバ30から受け付けた事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H127に送信する。そして、有線端末H127は、かかる事前要求に対する応答として、無線機能部1107の起動を許可するか否かを示す回答情報(「了承」又は「拒否」)を無線機能部制御サーバ30に送信する(ステップS44)。
続いて、図18に示すように、有線端末H121は、上記ステップS43において、「了承」を示す回答情報を送信した場合に、無線機能部1101を起動させる開始日時と、無線機能部1101を停止させる終了日時と、ユーザ宅H101のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置1001に送信する(ステップS45)。有線端末H121によって送信される開始日時及び終了日時は、実際に無線機能部1101を起動及び停止させる日時ではなく、無線機能部制御サーバ30によって無線機能部1101が起動される可能性のある日時を示す。すなわち、有線端末H121は、かかる開始日時から終了日時までの間で無線機能部1101が稼動する可能性があることを回線終端装置1001に通知する。これにより、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101を起動させることが可能になる。
また、予備ユーザ宅であるユーザ宅H107内の有線端末H127は、上記ステップS44において、「了承」を示す回答情報を送信した場合に、無線機能部1107を起動させる開始日時と、無線機能部1107を停止させる終了日時と、ユーザ宅H107のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置1007に送信する(ステップS46)。有線端末H127によって送信される開始日時及び終了日時についても、実際に無線機能部1107を起動及び停止させる日時ではなく、無線機能部制御サーバ30によって無線機能部1107が起動される可能性のある日時を示す。これにより、有線端末H127は、ユーザ宅H107内の無線機能部1107をいつでも起動可能な状態にする。この結果、無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101内の無線機能部1101が故障した場合等に、予備無線機能部である無線機能部1107を起動することが可能になる。
なお、有線端末H121及びH127は、開始日時、終了日時及びユーザIDを含まない起動要求を送信してもよい。すなわち、有線端末H121及びH127は、無線機能部1101又は1107が起動される可能性があることのみを回線終端装置1001又は1007に通知し、無線機能部制御サーバ30が回線終端装置1001又は1007を起動させられる状態にしてもよい。
続いて、図18に示すように、無線機能部制御サーバ30は、上記ステップS43において、有線端末H121から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、無線機能部1101の起動時間を設定するための起動要求を回線終端装置1001に送信する(ステップS47)。具体的には、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部110を停止させる終了日時と、ユーザ宅H101のユーザを識別するためのユーザIDとを含む起動要求を回線終端装置100に送信する。なお、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101を起動させる開始日時を含む起動要求を送信してもよい。また、無線機能部制御サーバ30は、ユーザIDを加入者情報として予め保持しておいてもよいし、上記ステップS43において回答情報とともに有線端末H121から受け付けてもよい。
このように、通信事業者Cは、無線機能部110を公衆無線LANのアクセスポイントとして利用する場合には、事前にユーザから了承を得る。これは、無線機能部110を起動させることは、ユーザ宅H10の電力を使用することとなるので、事前にユーザから了承を得ることが望ましいからである。そして、通信事業者Cは、事前にユーザから了承を得ることで、無線機能部110を安定して稼動させることができる。
無線機能部制御サーバ30及び有線端末H121から回線終端装置1001に送信された各起動要求は、有線機能部1201によって無線機能部1101に送信される。そして、無線機能部1101は、無線機能部制御サーバ30と有線端末H121との双方から起動要求を受信した場合に起動する。
これにより、図19に示すように、無線機能部1101は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H111が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部1101に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS48)。かかる場合に、無線機能部1101は、有線機能部1201を介して、モバイル無線LAN端末H111と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS49)。また、例えば、ユーザ宅H101外に位置するモバイル無線LAN端末A11が、通信ネットワークNに接続するために、無線機能部1101に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS48)。かかる場合に、無線機能部1101は、有線機能部1201を介して、モバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとを通信接続する(ステップS49)。
また、無線機能部1101は、ユーザ宅H101内の無線LAN装置としても機能する。例えば、モバイル無線LAN端末H111が家庭内LANに接続するために、無線機能部1101に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS48)。かかる場合に、無線機能部1101は、有線機能部1201と家庭内LANとを通信接続する(ステップS50)。
続いて、図20に示すように、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101が起動中であるか否かを監視する(ステップS51)。例えば、無線機能部制御サーバ30は、回線終端装置1001に対して、無線機能部1101の稼動状態を確認するための確認信号を送信する。回線終端装置1001は、かかる確認信号を受信した場合に、無線機能部1101が起動中であるか否かを示す状態応答を無線機能部制御サーバ30に送信する(ステップS52)。このようにして、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101が実際に起動しているか否かを定期的に監視する。
ここで、図21に示すように、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部1101の稼動状態を監視している場合に(ステップS53)、無線機能部1101が停止中であることを示す停止応答を受信したものとする(ステップS54)。かかる場合に、無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107に設置されている回線終端装置1007に対して、回線終端装置1007を起動させる旨の起動要求を送信する(ステップS55)。これにより、無線機能部1107は、無線機能部1101の代わりに、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
このように、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、ユーザ宅H101内の無線機能部1101が停止した場合であっても、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H107内の無線機能部1107を起動させるので、地域AR10に公衆無線LANが利用できないエリアが発生することを防止できる。
[実施例3に係る回線終端装置の構成]
次に、図17〜図21に示した回線終端装置100について説明する。実施例3に係る回線終端装置100の構成は、図5に示した構成と同様である。
実施例3における無線機能部110は、図20に示した例のように、無線機能部制御サーバ30から稼動状態を確認するための確認信号を受信した場合に、無線機能部110がアクセスポイントとして起動中であるか否かを示す状態応答を有線機能部120経由で無線機能部制御サーバ30に送信する。このとき、無線機能部110は、停止中である場合には、図21に示した例のように、停止応答を無線機能部制御サーバ30に送信する。
実施例3における有線機能部120は、図17のステップS41又はS42に示した例のように、無線機能部制御サーバ30から事前要求を受信した場合には、かかる事前要求を家庭内LAN経由で有線端末H12に送信する。また、有線機能部120は、図17に示した例のように、有線端末H12から回答情報を受信した場合には、かかる回答情報を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ30に送信する。また、有線機能部120は、図18に示した例のように、無線機能部制御サーバ30や有線端末H12から起動要求を受信した場合には、かかる起動要求を起動制御部132に送信する。また、有線機能部120は、図20に示した例のように、無線機能部110から状態応答を受信した場合には、かかる状態応答を通信ネットワークN経由で無線機能部制御サーバ30に送信する。
実施例3における起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30によって送信される起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。具体的には、実施例3における起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30と有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。
なお、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30と有線端末H12の双方から、開始日時が含まれる起動要求を受信してもよい。このとき、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれる開始日時が異なる場合には、いずれか一方の開始日時に無線機能部110を起動させてもよい。また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30と有線端末H12の双方から、終了日時が含まれる起動要求を受信してもよい。このとき、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれる終了日時が異なる場合には、いずれか一方の終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時と、有線端末H12から受信した起動要求に含まれる開始日時から終了日時との重複する時間帯だけ無線機能部110を稼動させてもよい。
また、起動制御部132は、双方の起動要求に含まれるユーザIDがユーザ宅H10のユーザに割り当てられているユーザIDと一致するか否かを判定してもよい。そして、起動制御部132は、一致する場合には無線機能部110を起動させ、一致しない場合には無線機能部110を起動させなくてもよい。
また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30から受信した起動要求に含まれる終了日時に無線機能部110を停止させてもよい。また、起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30から停止指示を受信した場合には、終了日時になる前であっても、無線機能部110を停止させてもよい。
[実施例3に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図22を用いて、図17〜図21に示した無線機能部制御サーバ30について説明する。図22は、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30の構成例を示す図である。図22に例示するように、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、IF(interface)部11と、受付部12と、特定部13と、地域情報受付部31と、起動候補特定部32と、事前要求部33と、起動候補DB(Data Base)34と、起動要求部35と、監視部36とを有する。
なお、図22では図示することを省略したが、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部制御サーバ30の操作者が各種情報や操作指示を入力するための入力部(キーボード、マウス等)や、各種情報を表示する表示部(液晶表示装置等)を有してもよい。
地域情報受付部31は、イベント等が開催される地域に関する地域情報を受け付ける。例えば、地域情報受付部31は、イベント等の開催元が管理するサーバ装置等から、通信ネットワークを介して地域情報を受け付ける。また、例えば、地域情報受付部31は、無線機能部制御サーバ30の操作者等によって地域情報が入力された場合に、入力された地域情報を受け付ける。かかる地域情報には、イベント等が開催される地域を特定するための住所や、イベント等が開催される開始日時及び終了日時等が含まれる。
起動候補特定部32は、地域情報受付部31によって地域情報が受け付けられた場合に、かかる地域情報によって示される地域に所在するユーザ宅を特定する。具体的には、起動候補特定部32は、地図情報DB10aを参照することにより、地域情報受付部31によって受け付けられた地域情報に含まれる住所に対応する位置を取得する。そして、起動候補特定部32は、加入者情報DB10bを参照することにより、かかる位置によって示される地域、又は、かかる地域の近傍に所在するユーザ宅H10を特定する。
例えば、図15に示した例において、地図情報DB10aに、地域情報に含まれる住所に対応する位置として地域AR10の位置が記憶されているものとする。また、加入者情報DB10bに、ユーザ宅H101〜H10mの住所として、地域AR10内の住所が記憶されているものとする。かかる場合に、起動候補特定部32は、地図情報DB10aから、地域情報に含まれる住所に対応する位置として地域AR10を取得する。そして、起動候補特定部32は、加入者情報DB10bを参照することにより、地域AR10内に所在する各ユーザのユーザ宅H101〜H10mを特定する。
事前要求部33は、無線機能部110を起動させることを事前に要求する事前要求を有線端末H12に送信する。このとき、事前要求部33は、地域情報受付部31によって受け付けられた地域情報に含まれるイベント等の開始日時及び終了日時を含む事前要求を送信する。
具体的には、事前要求部33は、起動候補特定部32によって特定されたユーザ宅の中から、無線機能部110による無線信号の受信範囲が所定範囲だけ重複するユーザ宅を抽出する。この点についてより具体的に説明すると、無線信号の受信範囲は、無線機能部110によって概ね決められている。そこで、事前要求部33は、同一場所で複数の無線機能部110が無線信号を極力受信しないように、最低限の数の無線機能部110による無線信号の受信範囲が地域AR10を網羅するように、地域AR10のほぼ全体が公衆無線LAN環境になるような最低限のユーザ宅を抽出する。
そして、事前要求部33は、かかる事前要求に応答して有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB34に格納する。一方、事前要求部33は、有線端末H12から「拒否」を示す回答情報を受信した場合には、起動候補特定部32によって特定されたユーザ宅H10の中から、かかる「拒否」を示す回答情報を送信したユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅を選択し、選択したユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する。事前要求部33は、有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信するまで、「拒否」を示す回答情報を送信したユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する処理を繰り返す。これにより、事前要求部33は、無線信号の受信範囲に漏れのない公衆無線LAN環境を地域AR10に形成することができる。
さらに、事前要求部33は、上記において抽出したユーザ宅内の無線機能部110が停止した場合に備えて、かかるユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅を予備ユーザ宅として抽出する。そして、事前要求部33は、予備ユーザ宅内の有線端末H12に対しても事前要求を送信する。例えば、図15に示した例において、事前要求部33は、地域AR10内のユーザ宅H101〜H10mのそれぞれの近傍に所在する予備ユーザ宅(ユーザ宅H107等)を抽出し、抽出した予備ユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する。
そして、事前要求部33は、かかる事前要求に応答して有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信した場合に、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を予備ユーザ宅として起動候補DB34に格納する。一方、事前要求部33は、予備ユーザ宅内の有線端末H12から「拒否」を示す回答情報を受信した場合には、かかる予備ユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅を選択し、選択したユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する。事前要求部33は、予備ユーザ宅内の有線端末H12から「了承」を示す回答情報を受信するまで、「拒否」を示す回答情報を送信した予備ユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する処理を繰り返す。これにより、事前要求部33は、無線信号の受信範囲に漏れのない公衆無線LAN環境を地域AR10に形成することができる予備ユーザ宅を準備することができる。
なお、事前要求部33は、起動許可が得られた無線機能部110を識別できる情報であればユーザID以外の情報を起動候補DB34に格納してもよい。例えば、事前要求部33は、回線終端装置100を識別するための識別子や、無線機能部110を識別するための識別子や、ユーザ宅H10を識別するための識別子等を起動候補DB34に格納してもよい。
起動候補DB34は、ユーザから起動許可が得られた無線機能部110を特定するための情報を記憶する。例えば、起動候補DB34は、無線機能部110を起動することを許可したユーザのユーザIDを記憶する。
起動要求部35は、事前要求部33によって送信された事前要求に応答して有線端末H12から無線機能部110の起動を了承する旨の応答を受信した後に、かかる無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部35は、起動候補DB34を参照することで、起動許可が得られたユーザ宅H10を特定し、事前要求に含まれる開始日時になった場合に、かかるユーザ宅H10内の回線終端装置100に起動要求を送信する。
なお、起動要求部35は、開始日時になる前に、かかる開始日時に無線機能部110が起動するようにタイマー設定された起動要求(起動信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部132は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を起動させる。また、例えば、起動要求部35は、開始日時に起動要求を回線終端装置100に送信するように、タイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部35は、タイマーに設定された日時になった場合に、起動要求を無線機能部110に送信する。
また、起動要求部35は、後述する監視部36によって無線機能部110が停止中であることが検出された場合に、かかる停止中の無線機能部110の予備無線機能部を有する予備の回線終端装置100に対して起動要求を送信する。このとき、起動要求部35は、開始日時を含まない起動要求を予備の回線終端装置100に送信することで、予備無線機能部を即座に起動させる。
例えば、図15及び図16に示した例のように、事前要求部33によって、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅としてユーザ宅H107が抽出されているものとする。このとき、起動要求部35は、後述する監視部36によってユーザ宅H101内の無線機能部1101が停止中であることが検出された場合には、回線終端装置1007に起動要求を送信することで、無線機能部1107を即座に起動させる。
また、起動要求部35は、無線機能部110を停止する旨の停止指示を回線終端装置100に送信する。具体的には、起動要求部35は、事前要求部33によって送信された事前要求に含まれる終了日時になった場合に、停止指示を回線終端装置100に送信する。
なお、起動要求部35は、終了日時になる前に、かかる終了日時に無線機能部110が停止するようにタイマー設定された停止指示(停止信号)を回線終端装置100に送信してもよい。この例の場合、回線終端装置100の起動制御部132は、タイマーに設定された日時になった場合に、無線機能部110を停止させる。また、起動要求部35は、終了日時に停止指示を回線終端装置100に送信するようにタイマー設定されてもよい。この例の場合、起動要求部35は、タイマーに設定された日時になった場合に、停止指示を無線機能部110に送信する。
監視部36は、無線機能部110の稼動状態を監視する。具体的には、監視部36は、回線終端装置100の稼動状況を確認するための確認信号を送信し、回線終端装置100から無線機能部110の稼動状態を示す状態応答を受信することにより、無線機能部110の起動有無を監視する。また、監視部36は、回線終端装置100から無線機能部110が停止中であることを示す停止応答を受信した場合には、無線機能部110が停止中である旨を上記起動要求部35に通知する。これにより、起動要求部35は、停止中の無線機能部110に対応する予備無線機能部を起動することとなる。
なお、上述した地域情報受付部31、起動候補特定部32、事前要求部33、起動要求部35及び監視部36は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、地域情報受付部31、起動候補特定部32、事前要求部33、起動要求部35及び監視部36は、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。また、上述した起動候補DB34は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
[実施例3に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図23を用いて、実施例3に係るネットワークシステム3による通信処理の手順を説明する。図23は、実施例3に係るネットワークシステム3による通信処理手順を示すシーケンス図である。なお、図23では、ユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107とを例に挙げて説明する。
図23に示すように、無線機能部制御サーバ30の起動候補特定部32は、地域情報に基づいて、起動対象の無線機能部110が設置されているユーザ宅H10を特定する(ステップS301)。具体的には、起動候補特定部32は、地図情報DB10aを参照することにより、地域情報受付部31によって受け付けられた地域情報に含まれる住所に対応する位置を取得する。そして、起動候補特定部32は、加入者情報DB10bを参照することにより、かかる位置によって示される地域、又は、かかる地域の近傍に所在するユーザ宅H10を特定する。
続いて、無線機能部制御サーバ30の事前要求部33は、起動候補特定部32によって特定されたユーザ宅H101の有線端末H121に事前要求を送信する(ステップS302)。また、事前要求部33は、ユーザ宅H101の予備ユーザ宅であるユーザ宅H107の有線端末H127に事前要求を送信する(ステップS303)。
事前要求を受信した有線端末H121は、ユーザによる操作に従って、無線機能部1101の起動を了承又は拒否することを示す回答情報を回線終端装置1001経由で無線機能部制御サーバ30に送信する(ステップS304)。このとき、有線端末H121は、了承を示す回答情報を送信した場合には、回線終端装置1001に起動要求を送信する(ステップS305)。
また、事前要求を受信した有線端末H127は、ユーザによる操作に従って、無線機能部1107の起動を了承又は拒否することを示す回答情報を回線終端装置1007経由で無線機能部制御サーバ30に送信する(ステップS306)。このとき、有線端末H127は、了承を示す回答情報を送信した場合には、回線終端装置1007に起動要求を送信する(ステップS307)。
そして、回答情報を受信した無線機能部制御サーバ30の事前要求部33は、かかる回答情報が「了承」を示す場合には、ユーザ宅H10のユーザを識別するためのユーザID等を起動候補DB34に格納する(ステップS308)。なお、図23では図示することを省略したが、事前要求部33は、「拒否」を示す回答情報を送信した場合には、かかる回答情報の送信元ユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の有線端末H12に事前要求を送信する処理を繰り返す。
続いて、無線機能部制御サーバ30の起動要求部35は、無線機能部110を起動する旨の起動要求を回線終端装置1001に送信する(ステップS309)。回線終端装置1001の起動制御部132は、上記ステップS305において有線端末H121から起動要求を受信した状態で、ステップS309において無線機能部制御サーバ30から起動要求を受信した場合に、無線機能部1101を起動させる(ステップS310)。これにより、無線機能部1101は、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
ここで、無線機能部1101が故障等により停止したものとする(ステップS311)。無線機能部制御サーバ30の監視部36は、無線機能部1101の稼動状態を定期的に監視しており(ステップS312)、無線機能部1101が停止中である場合には、回線終端装置1001から停止応答を受信する(ステップS313)。
かかる場合に、無線機能部制御サーバ30の起動要求部35は、無線機能部1101の予備無線機能部である無線機能部1107を起動させるために、起動要求を回線終端装置1007に送信する(ステップS314)。回線終端装置1007の起動制御部132は、上記ステップS307において有線端末H127から起動要求を受信した状態で、無線機能部制御サーバ30から起動要求を受信した場合に、無線機能部1107を即座に起動させる(ステップS315)。これにより、無線機能部1107は、停止中の無線機能部1101の代わりに、公衆無線LANのアクセスポイントとして機能する。
[実施例3の効果]
上述してきたように、実施例3に係るネットワークシステム3は、通信網である通信ネットワークNを形成する通信事業者Cによって管理される制御サーバである無線機能部制御サーバ30と、通信ネットワークNに接続されるとともにユーザ宅に設置される回線終端装置100とを含む。回線終端装置100は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する無線機能部110と、無線機能部制御サーバ30によって送信される無線機能部110の起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる起動制御部132とを有する。また、無線機能部制御サーバ30は、無線機能部110が起動中であるか否かを監視する監視部36と、監視部36によって無線機能部110が停止中であることが検出された場合に、無線機能部110が停止しているユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅に設置されている他の回線終端装置100に対して、かかる他の回線終端装置100が有する無線機能部110である予備無線機能部を起動させる旨の起動要求を送信する起動要求部35とを有する。
これにより、実施例3に係るネットワークシステム3では、ユーザ宅内の無線機能部110が停止した場合であっても、かかるユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の無線機能部110を起動させるので、所定の地域内に公衆無線LANが利用できないエリアが発生することを防止することができる。例えば、ネットワークシステム3では、ユーザが無線機能部110を停止させた場合であっても、公衆無線LANが利用できないエリアが発生することを防止することができる。すなわち、実施例3に係るネットワークシステム3では、ユーザ宅に設置されている回線終端装置100を用いて安定した公衆無線LAN環境を実現することができる。
また、実施例3に係る無線機能部制御サーバ30は、所定の地域を示す地域情報を受け付けた場合に、通信ネットワークNに加入しているユーザの情報を記憶する加入者情報DB10bを参照して、かかる所定の地域又は所定の地域近傍に所在するユーザ宅を特定する起動候補特定部32と、起動候補特定部32によって特定されたユーザ宅のうち、互いに近傍の位置に所在する一方のユーザ宅のユーザによって利用される第1のユーザ端末に対して、かかる一方のユーザ宅に設置されている第1の回線終端装置が有する第1の無線機能部を起動させることを事前に要求するとともに、他方のユーザ宅のユーザによって利用される第2のユーザ端末に対して、かかる他方のユーザ宅に設置されている第2の回線終端装置が有する第2の無線機能部を予備無線機能部として起動させることを事前に要求する事前要求部33と、事前要求部33に応答して第1のユーザ端末から第1の無線機能部の起動を了承する旨の応答を受信した場合に、第1の回線終端装置に対して起動要求を送信し、監視部36によって第1の無線機能部が停止中であることが検出され、かつ、事前要求部33に応答して第2のユーザ端末から第2の無線機能部の起動を了承する旨の応答を受信している場合に、第2の回線終端装置に対して起動要求を送信する起動要求部35とを有する。
これにより、実施例3に係るネットワークシステム3では、通信事業者Cが無線機能部110を起動することについてユーザから事前に了承を得るので、ユーザ宅内の無線機能部110が停止した場合であっても、かかるユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の無線機能部110を安定して起動させることができ、その結果、所定の地域内に公衆無線LANが利用できないエリアが発生することを防止することができる。すなわち、実施例3に係るネットワークシステム3では、ユーザ宅に設置されている回線終端装置100を用いて安定した公衆無線LAN環境を実現することができる。
また、実施例3に係るネットワークシステム3では、ユーザ端末である有線端末H12が、無線機能部制御サーバ30からの事前要求の応答として無線機能部110の起動を了承する旨の応答を無線機能部制御サーバ30に送信した場合に、無線機能部110を起動させる旨の起動要求を回線終端装置100に送信し、無線機能部制御サーバ30からの事前要求の応答として無線機能部110を予備無線機能部として起動させることに了承する旨の応答を無線機能部制御サーバ30に送信した場合も、無線機能部110を起動させる旨の起動要求を回線終端装置100に送信する。また、回線終端装置100の起動制御部132は、無線機能部制御サーバ30及び有線端末H12の双方から起動要求を受信した場合に、無線機能部110を起動させる。
これにより、実施例3に係るネットワークシステム3では、無線機能部制御サーバ30が、ユーザ宅内の無線機能部110を自由に起動させることができるので、ユーザ宅内の無線機能部110が停止した場合であっても、かかるユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅内の無線機能部110を安定して起動させることができ、その結果、所定の地域内に公衆無線LANが利用できないエリアが発生することを防止することができる。すなわち、実施例3に係るネットワークシステム3では、ユーザ宅に設置されている回線終端装置100を用いて安定した公衆無線LAN環境を実現することができる。
上記実施例1において、回線終端装置は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生している場合には、近隣のユーザ宅内に設置されている回線終端装置内の無線機能部を経由して通信ネットワークNとの間で通信を行ってもよい。そこで、実施例4では、この点について説明する。
[実施例4に係るネットワークシステムにおける処理]
図24〜図26を用いて、実施例4に係るネットワークシステム4による処理について説明する。図24〜図26は、実施例4に係るネットワークシステム4による処理例を説明するための図である。なお、以下では、主にユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の近隣に所在するユーザ宅H102とを例に挙げて説明する。また、以下では、近隣のユーザ宅内に設置されている回線終端装置内の無線機能部を「近隣無線機能部」と表記する場合がある。
図24に示した例において、ユーザ宅H101内に設置されている回線終端装置2001及び無線機能部2101は起動しており、同様に、ユーザ宅H102内に設置されている回線終端装置2002及び無線機能部2102は起動しているものとする。また、回線終端装置2001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているものとする。なお、「通信ネットワークNとの間における通信の異常」とは、通信ネットワークNとの間で通信が行えない通信不通状態だけでなく、通信ネットワークNとの間における通信速度が遅い等の通信不調状態も含む。
このような状況において、回線終端装置2001の有線機能部2201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生したことを検出する。このとき、図24に示した例のように、有線機能部2201は、有線端末H121から通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に(ステップS61)、かかるアクセス要求を無線機能部2101に迂回させる(ステップS62)。すなわち、有線機能部2201は、有線端末H121から受信したアクセス要求を無線機能部2101に転送する。
そして、無線機能部2101は、有線機能部2201からアクセス要求を迂回された場合には、ユーザ宅H102内の無線機能部2102と無線通信を行うことにより、かかるアクセス要求を無線機能部2102に中継する(ステップS63)。このとき、無線機能部2101は、ユーザ宅H101を識別するためのユーザ宅IDを無線機能部2102に送信する。なお、以下では、ユーザ宅IDは、各ユーザ宅に付した参照符号であるものとする。例えば、ユーザ宅H101のユーザ宅IDは、「H101」であるものとする。
続いて、無線機能部2102は、無線機能部2101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部2101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部2102は、許可する場合には、無線機能部2101から受信したアクセス要求を有線機能部2202に送信する(ステップS64)。そして、有線機能部2202は、無線機能部2102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、有線端末H121と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS65)。
このように、実施例4に係るネットワークシステム4は、回線終端装置2001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置2001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101内の有線端末H121と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。この結果、回線終端装置2001は、公衆無線LANのアクセスポイントとしての機能を維持することができる。
また、図25に示した例は、図24と同様の状況であり、回線終端装置2001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線が通信不通状態又は通信不調状態であるものとする。このとき、図25に示した例のように、無線機能部2101は、無線通信によりモバイル無線LAN端末H111から通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に(ステップS71)、かかるアクセス要求を有線機能部2201に送信する。有線機能部2201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部2101から受信したアクセス要求を無線機能部2101に迂回させる(ステップS72)。
そして、無線機能部2101は、有線機能部2201からアクセス要求を迂回された場合には、ユーザ宅H102内の無線機能部2102と無線通信を行うことにより、ユーザ宅H101のユーザ宅ID「H101」と、アクセス要求とを無線機能部2102に中継する(ステップS73)。
続いて、無線機能部2102は、無線機能部2101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部2101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部2102は、許可する場合には、無線機能部2101から受信したアクセス要求を有線機能部2202に送信する(ステップS74)。そして、有線機能部2202は、無線機能部2102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、モバイル無線LAN端末H111と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS75)。
このように、実施例4に係るネットワークシステム4は、回線終端装置2001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置2001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101内のモバイル無線LAN端末H111と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。
また、図26に示した例は、図24と同様の状況であり、回線終端装置2001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線が通信不通状態又は通信不調状態であるものとする。このとき、図26に示した例のように、無線機能部2101は、モバイル無線LAN端末A11から通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に(ステップS81)、かかるアクセス要求を有線機能部2201に送信する。有線機能部2201は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部2101から受信したアクセス要求を無線機能部2101に迂回させる(ステップS82)。
そして、無線機能部2101は、有線機能部2201からアクセス要求を迂回された場合には、無線機能部2102と無線通信を行うことにより、ユーザ宅H101のユーザ宅ID「H101」と、有線機能部2201から受信したアクセス要求とを無線機能部2102に中継する(ステップS83)。
続いて、無線機能部2102は、無線機能部2101から受信したユーザ宅IDを参照して、無線機能部2101によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、無線機能部2102は、許可する場合には、無線機能部2101から受信したアクセス要求を有線機能部2202に送信する(ステップS84)。そして、有線機能部2202は、無線機能部2102から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信することで、モバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとの間で通信を行わせる(ステップS85)。
このように、実施例4に係るネットワークシステム4は、回線終端装置2001が迂回経路を形成することにより、例えば、回線終端装置2001と通信ネットワークNとを接続するブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、ユーザ宅H101外のモバイル無線LAN端末A11と通信ネットワークNとの間で通信を行わせることができる。
なお、上記では、アクセス要求を中継する例を示したが、無線機能部210は、アクセス要求に限らず、有線端末H12と通信ネットワークNとの間で行われる通信である、モバイル無線LAN端末A11やモバイル無線LAN端末H11と通信ネットワークNとの間で行われる通信である無線接続通信を他の無線機能部210に中継する処理を行う。以下でアクセス要求と表記した場合には、有線接続通信又は無線接続通信を示すものとする。
[実施例4に係る回線終端装置の構成]
次に、図27を用いて、図24〜図26に示した回線終端装置200について説明する。図27は、実施例4に係る回線終端装置200の構成例を示す図である。図27に例示するように、実施例4に係る回線終端装置200は、起動制御部132と、検知部131と、無線機能部210と、有線機能部220とを有する。
無線機能部210は、所定のセルを形成し、かかるセル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、無線機能部210は、セル内の無線端末(モバイル無線LAN端末H11など)と無線通信を行うことにより、無線端末と家庭内LANとの間における通信を制御する。このとき、無線機能部210は、有線機能部220を介して、各装置間における通信を制御する。
また、無線機能部210は、図27に例示するように、中継部211と判定部212とを有する。中継部211は、上記ステップS62、S72又はS82に示した例のように、通信ネットワークNへのアクセス要求を有線機能部220から転送された場合に、他のユーザ宅内の近隣無線機能部との間でリンクを確立することにより、無線通信による迂回経路を形成する。そして、無線機能部210は、かかる近隣無線機能部に対して、有線機能部220から転送された通信ネットワークNへのアクセス要求を中継する。このとき、無線機能部210は、ユーザ宅H10のユーザ宅IDも送信する。なお、無線機能部間でリンクを形成することは、従来技術により実現することができる(参照例:http://www.planex.co.jp/product/wireless/mzk-ex300n/)。
判定部212は、無線機能部210自体が近隣無線機能部である場合に、他の無線機能部から中継された通信ネットワークNへのアクセス要求と、他のユーザ宅のユーザ宅IDとを受け付ける。そして、判定部212は、他の無線機能部から受信したユーザ宅IDに基づいて、通信ネットワークNへのアクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する。そして、判定部212は、許可する場合には、他の無線機能部から受信したアクセス要求を有線機能部220に送信する。例えば、判定部212は、アクセス要求の送信を許可する他のユーザ宅のユーザ宅IDを予め保持しておき、他の無線機能部から受信したユーザ宅IDを保持している場合には、アクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可する。
有線機能部220は、有線端末H12との間で有線通信を行うことにより、有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信を制御する。また、有線機能部220は、図27に例示するように、監視部221と転送部222とを有する。監視部221は、通信ネットワークNとの間における通信状況を監視する。例えば、監視部221は、ブロードバンド回線を介して通信ネットワークNとの間で通信を行えるか否かを監視したり、通信ネットワークNとの間における通信が不調であるか否かを監視したりする。
転送部222は、監視部221によって通信異常が検出された場合に、通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部210に転送する。例えば、図24に示した例のように、転送部222は、監視部221によって通信異常が検出された場合には、家庭内LANを介して有線端末H12から受信する通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部210に転送する。また、例えば、図25や図26に示した例のように、転送部222は、無線機能部210を介して無線端末(モバイル無線LAN端末H11やモバイル無線LAN端末A11)から受信する通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部210に転送する。
[実施例4に係るネットワークシステムによる処理手順]
次に、図28を用いて、実施例4に係るネットワークシステム4による通信処理の手順を説明する。図28は、実施例4に係るネットワークシステム4による通信処理手順を示すシーケンス図である。なお、図28では、ユーザ宅H101と、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H102とを例に挙げて説明する。また、ここでは、ユーザ宅H101内の回線終端装置2001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生したものとする。
図28に示すように、有線機能部2201の監視部221は、回線終端装置2001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出する(ステップS401)。かかる場合に、有線機能部2201の転送部222は、家庭内LANや回線終端装置2001経由で受信した通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部2101に転送する(ステップS402)。
無線機能部2101の中継部211は、有線機能部2201によってアクセス要求を転送された場合に、近隣無線機能部である無線機能部2102との間でリンクを確立する(ステップS403)。そして、無線機能部2101の中継部211は、有線機能部2201から受信したアクセス要求を無線機能部2102に中継する(ステップS404)。このとき、中継部211は、ユーザ宅ID「H101」も無線機能部2102に送信する。
無線機能部2102の判定部212は、無線機能部2101から受信したユーザ宅ID「H101」に基づいて、アクセス要求を通信ネットワークNに送信することを許可するか否かを判定する(ステップS405)。ここでは、判定部212は、送信することを許可するものとする。かかる場合に、無線機能部2102は、無線機能部2101によって中継されたアクセス要求を有線機能部2202に送信する(ステップS406)。そして、有線機能部2202は、無線機能部2102から受信したアクセス要求をブロードバンド回線に送信する(ステップS407)。これにより、回線終端装置2001を介して通信ネットワークNにアクセスした無線端末等は、無線機能部2101と無線機能部2102とのリンクを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
[実施例4の効果]
上述してきたように、実施例4に係るネットワークシステム4は、通信網である通信ネットワークNと接続されるとともにユーザ宅に設置される回線終端装置200を含む。回線終端装置200は、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うことで、かかる無線端末と通信ネットワークNとの間における通信である無線接続通信を制御する無線機能部210と、有線端末H12と有線通信を行うことで有線端末H12と通信ネットワークNとの間における通信である有線接続通信を制御する有線機能部220と、回線終端装置200と通信ネットワークNとの間における通信を監視する監視部221と、監視部221によって通信に異常が発生していることが検出された場合に、ユーザ宅の近傍に所在する他のユーザ宅に設置されている他の回線終端装置が有する無線機能部である近隣無線機能部に対して、無線接続通信又は有線接続通信を無線機能部210による無線通信により中継する中継部211とを有する。
これにより、実施例4に係るネットワークシステム4では、回線終端装置200が無線機能部210間の無線通信による迂回経路を形成することにより、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワーク等に異常が発生した場合であっても、無線端末や有線端末と通信ネットワークNとの間における通信を継続させることができる。
[実施例4に係るネットワークシステムにおける処理(変形例)]
なお、上記実施例4では、回線終端装置2001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生した例を示したが、アクセス要求の中継先となる近隣回線終端装置と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているケースもあり得る。しかし、実施例4に係るネットワークシステム4は、このようなケースであっても、通信ネットワークNへのアクセスを可能にする。
この点について、図29及び図30を用いて具体的に説明する。図29及び図30は、実施例4に係るネットワークシステム4による処理例を説明するための図である。図29及び図30に示した例において、ユーザ宅H101内の回線終端装置2001と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しており、さらに、ユーザ宅H103内の回線終端装置2003と通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生しているものとする。
そして、図29に示した例のように、モバイル無線LAN端末A11は、通信ネットワークNに接続するために、回線終端装置2001の無線機能部2101に無線通信によりアクセスしたものとする(ステップS91)。かかる場合に、回線終端装置2001の無線機能部2101は、モバイル無線LAN端末A11から受け付けた通信ネットワークNへのアクセス要求をユーザ宅H103内の回線終端装置2003に中継する(ステップS92)。ここで、回線終端装置2003は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部2101から受信したアクセス要求をユーザ宅H102内の回線終端装置2002に中継する(ステップS93)。
ここの例では、ユーザ宅H102内の回線終端装置2002と通信ネットワークNとの間における通信には異常が発生していないので、回線終端装置2002は、回線終端装置2003によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信する(ステップS94)。これにより、モバイル無線LAN端末A11は、無線機能部2101と無線機能部2103と無線機能部2102とを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
また、図30に示した例において、モバイル無線LAN端末A11は、通信ネットワークNに接続するために、回線終端装置2001の無線機能部2101にアクセスしたものとする(ステップS95)。かかる場合に、回線終端装置2001の無線機能部2101は、モバイル無線LAN端末A11から受信した通信ネットワークNへのアクセス要求をユーザ宅H103内の回線終端装置2003に中継する(ステップS96)。ここで、回線終端装置2003は、通信ネットワークNとの間における通信に異常が発生していることを検出しているので、無線機能部2101から受信したアクセス要求を通信ネットワークNに送信できない旨の通知(NG通知)を回線終端装置2001に応答する(ステップS97)。かかるNG通知は、例えば、回線終端装置2003の中継部211によって行われる。
そして、無線機能部2101は、回線終端装置2003からNG通知を受信した場合に、ユーザ宅H103以外であり、かつ、ユーザ宅H101の近傍に所在するユーザ宅H102内に設置されている回線終端装置2002の無線機能部2102との間でリンクを確立し、モバイル無線LAN端末A11から受信した通信ネットワークNへのアクセス要求を無線機能部2102に中継する(ステップS98)。ここの例では、ユーザ宅H102内の回線終端装置2002との間における通信には異常が発生していないので、回線終端装置2002は、回線終端装置2001によって中継されたアクセス要求を通信ネットワークNに送信する(ステップS99)。これにより、モバイル無線LAN端末A11は、無線機能部2101と無線機能部2102とを介して、通信ネットワークNにアクセスすることができる。
上記実施例1〜4では、各ユーザ宅内の回線終端装置が収容するブロードバンド回線を公衆無線LAN環境下で利用する例を示した。具体的には、上記実施例1〜4では、無線端末(モバイル無線LAN端末A11等)が各ユーザ宅内の無線機能部にアクセスすることにより、回線終端装置が収容するブロードバンド回線を介して、通信ネットワークNと通信を行う例を示した。すなわち、上記実施例1〜4では、所定のユーザは、かかるユーザのユーザ宅に収容されているブロードバンド回線を他のユーザに利用させる例を示した。しかし、各回線終端装置が収容する全てのブロードバンド回線を他のユーザに利用させなくてもよい。そこで、実施例5では、特定のブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させる例について説明する。なお、以下に示す実施例5では、実施例2に示したネットワークシステムを例に挙げて説明する。
[実施例5に係るネットワークシステムにおける処理]
まず、図31〜図33を用いて、実施例5に係るネットワークシステム5による処理について説明する。図31〜図33は、実施例5に係るネットワークシステム5による処理例を説明するための図である。なお、実施例5に係るネットワークシステム5の構成は、図1に示したネットワークシステム1の構成例と同様である。
図31に示した例において、回線終端装置3001〜3006のそれぞれは、無線信号の受信範囲を示すセルC101〜C106を形成する。なお、以下では、回線終端装置3001〜3006を区別する必要がない場合には、これらを総称して「回線終端装置300」と表記する場合がある。
ここで、実施例5に係る無線機能部制御サーバ40は、終了日時及びユーザIDの他に、無線機能部110の「無線種別」と、リンク先の無線機能部を識別するための「リンク情報」とを含む起動要求を回線終端装置3001〜3006に送信する。かかる「無線種別」は、無線端末(モバイル無線LAN端末A11等)と無線通信を行うアクセス装置、又は、アクセス装置による無線端末との無線通信の内容を通信ネットワークNに中継する中継装置のいずれによって無線機能部を動作させるかを示す。また、「リンク情報」は、リンク先の無線機能部を識別するための情報を示す。なお、無線機能部をアクセス装置として動作させることを示す無線種別には「アクセス」が設定され、無線機能部を中継装置として動作させることを示す無線種別には「中継」が設定されるものとする。また、リンク情報には、リンク先の回線終端装置300を識別する情報としてアクセスID又は中継IDが設定され、かかるアクセスID及び中継IDには回線終端装置に付した参照符号が設定されるものとする。
図31に示した例において、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3001に対して、無線種別「アクセス」とリンク情報である中継ID「3002」とを含む起動要求を送信する(ステップS1001)。すなわち、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3001に対して、かかる回線終端装置3001が有する無線機能部をアクセス装置として起動させるとともに、中継ID「3002」によって識別される回線終端装置3002とリンクを確立することを要求する。
また、図31に示した例において、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3002に対して、無線種別「中継」とリンク情報であるアクセスID「3001、3003」とを含む起動要求を送信する(ステップS1002)。すなわち、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3002に対して、かかる回線終端装置3002が有する無線機能部を中継装置として起動させるとともに、アクセスID「3001」によって識別される回線終端装置3001及びアクセスID「3003」によって識別される回線終端装置3003とリンクを確立することを要求する。
また、図31に示した例において、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3003に対して、無線種別「アクセス」と中継ID「3002」とを含む起動要求を送信する(ステップS1003)。すなわち、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3003に対して、かかる回線終端装置3003が有する無線機能部をアクセス装置として起動させるとともに、中継ID「3002」によって識別される回線終端装置3002とリンクを確立することを要求する。
同様にして、無線機能部制御サーバ40は、回線終端装置3004〜3006に対しても、無線種別やアクセスIDや中継IDを含む起動要求を送信する(ステップS1004〜S1006)。
続いて、図32に示すように、無線機能部制御サーバ40から起動要求を受け付けた回線終端装置3001〜3006は、起動要求に含まれる無線種別に従って、アクセス装置又は中継装置として無線機能部を起動させる。そして、起動した各無線機能部は、起動要求に含まれるリンク情報に従って、リンクを確立する。
図32に示した例では、回線終端装置3001は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置3001内の無線機能部は、中継ID「3002」によって識別される回線終端装置3002内の無線機能部とリンクを確立する。同様に、回線終端装置3003は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置3003内の無線機能部は、中継ID「3002」によって識別される回線終端装置3002内の無線機能部とリンクを確立する。また、回線終端装置3002は、無線機能部を中継装置として起動させる。そして、回線終端装置3002内の無線機能部は、中継ID「3001」によって識別される回線終端装置3001内の無線機能部とリンクを確立するとともに、中継ID「3003」によって識別される回線終端装置3003内の無線機能部とリンクを確立する。
同様にして、回線終端装置3004は、無線機能部を中継装置として起動させ、回線終端装置3005は、無線機能部をアクセス装置として起動させ、回線終端装置3006は、無線機能部をアクセス装置として起動させる。そして、回線終端装置3004内の無線機能部は、回線終端装置3005内の無線機能部とリンクを確立するとともに、回線終端装置3006内の無線機能部とリンクを確立する。
これにより、アクセス装置として起動した無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11等から通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に、かかるアクセス要求をリンク先の中継装置に送信する。また、中継装置として起動した無線機能部は、アクセス装置から受信したアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する。
図33に示した例では、回線終端装置3001内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11から無線通信によりアクセスされることにより、通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付ける(ステップS1007)。かかる場合に、回線終端装置3001内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A11から受け付けたアクセス要求を回線終端装置3002内の無線機能部に送信する。そして、回線終端装置3002内の無線機能部は、回線終端装置3001内の無線機能部から受け付けたアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する(ステップS1008)。
また、図33に示した例では、回線終端装置3006内の無線機能部は、モバイル無線LAN端末A16から無線通信によりアクセスされることにより、通信ネットワークNへのアクセス要求を受け付けた場合に(ステップS1009)、かかるアクセス要求を回線終端装置3004内の無線機能部に送信する。そして、回線終端装置3004内の無線機能部は、回線終端装置3006内の無線機能部から受け付けたアクセス要求をブロードバンド回線経由で通信ネットワークNに中継する(ステップS1010)。
このように、実施例5に係るネットワークシステム5では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみが他のユーザに利用される。例えば、実施例5に係るネットワークシステム5では、大容量のブロードバンド回線を中継装置とすることで、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワークの負荷を軽減することができる。
[実施例5に係る回線終端装置の構成]
次に、図34を用いて、図31〜図33に示した回線終端装置300について説明する。図34は、実施例5に係る回線終端装置300の構成例を示す図である。なお、以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。図34に例示するように、実施例5に係る回線終端装置300は、有線機能部120と、検知部131と、無線機能部310と、起動制御部332とを有する。
起動制御部332は、無線機能部制御サーバ40によって送信される起動要求を受信した場合に、無線機能部310を起動させる。具体的には、実施例5における起動制御部332は、起動要求に含まれる無線種別が「アクセス」である場合には、無線機能部310をアクセス装置として起動させ、起動要求に含まれる無線種別が「中継」である場合には、無線機能部310を中継装置として起動させる。
無線機能部310は、リンク確立部311を有する。かかるリンク確立部311は、起動制御部332によって起動された後に、他の無線機能部との間でリンクを確立する。具体的には、リンク確立部311は、無線機能部制御サーバ40から受信した起動要求に含まれるリンク情報からリンク先の無線機能部を特定し、特定した無線機能部との間でリンクを確立する。
また、実施例5に係る無線機能部310は、アクセス装置として起動した場合には、無線端末から受信したアクセス要求をリンク先の中継装置(無線機能部)に送信する。また、無線機能部310は、中継装置として起動した場合には、アクセス装置から受信したアクセス要求をブロードバンド回線に出力することで、かかるアクセス要求を通信ネットワークNに送信する。
[実施例5に係る無線機能部制御サーバの構成]
次に、図35を用いて、図31〜図33に示した無線機能部制御サーバ40について説明する。図35は、実施例5に係る無線機能部制御サーバ40の構成例を示す図である。図35に例示するように、実施例5に係る無線機能部制御サーバ40は、IF部11と、受付部12と、特定部13と、事前要求部21と、起動候補DB22と、監視部24と、算出部25と、料金通知部26と、リンク先決定部41と、起動要求部42とを有する。
リンク先決定部41は、起動候補DB22を参照して、互いにリンクを確立する無線機能部のペアを決定する。具体的には、リンク先決定部41は、起動候補DB22を参照して、各無線機能部の無線種別を決定し、更に各無線機能部のリンク先を決定する。
例えば、リンク先決定部41は、ブロードバンド回線を他のユーザに利用させることが許可されているユーザ宅内の無線機能部を中継装置として起動させることを決定し、ブロードバンド回線を他のユーザに利用させることが許可されていないユーザ宅内の無線機能部をアクセス装置として起動させることを決定する。また、例えば、リンク先決定部41は、大容量のブロードバンド回線や通信速度の速いブロードバンド回線を収容する無線機能部を中継装置として起動させることを決定し、小容量のブロードバンド回線や通信速度の遅いブロードバンド回線を収容する無線機能部をアクセス装置として起動させることを決定する。そして、無線信号の送受信が可能な位置に所在する中継装置とアクセス装置とを、リンクを確立する無線機能部のペアにすることを決定する。
そして、リンク先決定部41は、このように決定した無線種別及びリンク先情報を起動要求部42に出力する。起動要求部42は、リンク先決定部41によって決定された無線種別及びリンク先情報を含む起動要求を回線終端装置300に送信する。
なお、上述したリンク先決定部41及び起動要求部42は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、例えば、リンク先決定部41及び起動要求部42は、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
[実施例5の効果]
上述してきたように、実施例5に係るネットワークシステム5は、無線機能部制御サーバ40が、モバイル無線LAN端末A11等の無線端末と無線通信を行うアクセス装置、又は、アクセス装置による無線端末との無線通信を通信ネットワークNに中継する中継装置のいずれによって無線機能部310を動作させるかを示す無線種別を含む起動要求を送信する起動要求部42を有する。また、回線終端装置300が、起動要求部42によって送信された起動要求に含まれる無線種別に応じて、無線機能部310をアクセス装置又は中継装置のいずれかとして起動させる起動制御部332を有する。
これにより、実施例5に係るネットワークシステム5では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させることができる。例えば、実施例5に係るネットワークシステム5では、大容量のブロードバンド回線を中継装置とすることで、ブロードバンド回線や基幹通信ネットワークの負荷を軽減することができる。
また、実施例5に係るネットワークシステム5では、無線機能部制御サーバ40の起動要求部42が、無線種別とともに、無線通信によるリンク確立においてリンク先となる無線機能部310を識別するためのリンク情報を含む起動要求を送信する。また、無線機能部310は、無線機能部制御サーバ40からの起動要求に含まれるリンク情報によって示されるリンク先の無線機能部との間でリンクを確立する。
これにより、実施例5に係るネットワークシステム5では、各ユーザ宅内の無線機能部310間で無線リンクを確立することで、無線機能部310間で無線だけのネットワークを構築することができるので、かかる無線リンクを介した無線通信により、無線機能部310間で無線通信を行うことができる。この結果、実施例5に係るネットワークシステム5では、公衆無線LAN環境が形成された複数のユーザ宅のうち、所定数のユーザ宅に収容されているブロードバンド回線のみを他のユーザに利用させることができる。
上述したネットワークシステムは、上記実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例6では、上記のネットワークシステムの他の実施例について説明する。
[システム構成]
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、図5に示した起動制御部132は、無線機能部110の内部に組み込まれてもよい。図5に示した検知部131は、有線機能部120の内部に組み込まれてもよい。また、図6に示した受付部12と特定部13と起動要求部14とは、それぞれ自由な組合せで統合されてもよい。
[プログラム]
また、上記実施例において説明した無線機能部制御サーバが実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、無線機能部制御サーバが実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した制御プログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが制御プログラムを実行することにより、上記実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された制御プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施例と同様の処理を実現してもよい。以下に、図6に示した無線機能部制御サーバ10と同様の機能を実現する制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図36は、制御プログラムを実行するコンピュータ1000を示す図である。図36に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
メモリ1010は、図36に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図36に例示するように、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、図36に例示するように、ディスクドライブ1041に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブに挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、図36に例示するように、例えばマウス1051、キーボード1052に接続される。ビデオアダプタ1060は、図36に例示するように、例えばディスプレイ1061に接続される。
ここで、図36に例示するように、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の制御プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1031に記憶される。例えば、図6に例示した受付部12と同様の情報処理を実行する受付手順と、特定部13と同様の情報処理を実行する特定手順と、起動要求部14と同様の情報処理を実行する起動要求手順とが記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
また、上記実施例で説明した無線機能部制御サーバ10が保持する各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、受付手順、特定手順、起動要求手順を実行する。
なお、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。