JP2013099067A - 車載発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】車両が停止した後において、デバイスが損傷することにより、発電性能が低下することや、発電不能となることを抑制できる車載発電システムを提供すること。
【解決手段】車載発電システム1に、内燃機関2と、内燃機関2から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、内燃機関2の状態を検知する検知ユニット8と、第1デバイス3に電界を印加する電界印加装置9と、検知ユニットにより検知される状態が、内燃機関2の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、電界印加装置9を作動させるための制御ユニット10とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載発電システム、詳しくは、自動車などの車両に搭載される車載発電システムに関する。
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されており、このような方法として、焦電素子を用いた熱電変換発電が、知られている。
具体的には、例えば、複数の焦電素子のそれぞれの温度を上昇させる加熱源と、それら焦電素子のそれぞれの温度を低下させる冷却源と、加熱源および冷却源、および/または、焦電素子を移動させる移動手段とを備える発電装置を用い、加熱源および冷却源により焦電素子の温度を周期的に上昇および下降させることによって、焦電素子から直流電力または交流電力を取り出す方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−332266号公報
一方、このような発電方法としては、発電装置を自動車などの車両に搭載し、例えば、内燃機関から排気ガスが排出される排出管内に焦電素子を配置するとともに、その排気ガスを加熱源および冷却源として用いることなども検討することができる。
しかるに、発電装置を車載した場合、車両が停止した後も、内燃機関が高温である場合には、焦電素子が高温となり、焦電素子に損傷を生じ、発電性能が低下する場合や、発電不能となる場合がある。
本発明の目的は、車両が停止した後において、デバイスが損傷することにより、発電性能が低下することや、発電不能となることを抑制できる車載発電システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の車載発電システムは、内燃機関と、前記内燃機関から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイスと、前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、内燃機関の状態を検知する検知手段と、前記第1デバイスに電界を印加する電界印加手段と、前記検知手段により検知される前記状態が、前記内燃機関の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、前記電界印加手段を作動させるための制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明の車載発電システムでは、検知手段により内燃機関の状態が検知され、その検知される状態が、内燃機関の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、制御手段により電界印加手段が作動され、第1デバイスに電界が印加される。
そのため、内燃機関がその停止後も高温となる場合にも、第1デバイスが損傷することを抑制することができ、車載発電システムの発電性能が低下することや、発電不能となることを抑制することができる。
本発明の車載発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
図1は、本発明の車載発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、自動車25は、車載発電システム1を備えている。
車載発電システム1は、内燃機関2と、内燃機関2から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、内燃機関2の状態を検知する検知手段としての検知ユニット8と、第1デバイスに電界を印加する電界印加手段としての電界印加装置9と、検知ユニット8により検知される状態が、内燃機関2の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、電界印加装置9を作動させるための制御手段としての制御ユニット10とを備えている。
内燃機関2は、エンジン16、および、エキゾーストマニホールド17を備えている。
エンジン16は、自動車25の動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型(例えば、2気筒型、4気筒型、6気筒型)が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
図1には、4気筒型のエンジン16を示す。また、以下において、各気筒で4サイクル方式が採用される場合について、説明する。
エキゾーストマニホールド17は、エンジン16の気筒から排出される排気ガスを収束するために設けられる排気多岐管であって、エンジン16の各気筒に接続される複数(4つ)の分岐管18(これらを区別する必要がある場合には、図1の上側から順に、分岐管18a、分岐管18b、分岐管18cおよび分岐管18dと称する。)と、それら分岐管18の下流側において、各分岐管18を1つに統合する集気管19とを備えている。
このようなエキゾーストマニホールド17では、分岐部18の上流側端部が、それぞれ、エンジン16の各気筒に接続されるとともに、分岐管18の下流側端部と集気管19の上流側端部とが接続されている。また、集気管19の下流側端部は、触媒搭載部12の上流側端部に接続されている。
また、各分岐管18は、その流れ方向途中において、箱型空間20を、それぞれ1つ備えている。箱型空間20は、エンジンルーム内において、分岐管18に連通するように介装される略直方体状の空間であって、その内側において、複数の第1デバイス3と、第2デバイス4とを備えている。
なお、図1においては、複数の第1デバイス3を簡略化し、1つの箱型空間20に対して、1つの第1デバイス3を示している。
第1デバイス3は、内燃機関2(エンジン16)からの排気ガスが供給されることにより温度が経時的に上下され、電気分極するデバイスである。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、体積膨張が抑制された状態において、配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように排気ガスが周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
そして、焦電素子は、排気ガスの経時的な温度変化により、加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように排気ガスが周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
このような第1デバイス3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO、CaTiO、(CaBi)TiO、BaNdTi14、BaSmTi12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)などを用いることができる。
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
第1デバイス3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような車載発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、排気ガスの温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
このような第1デバイス3は、各分岐管18の箱型空間20内に配置されている。
具体的には、第1デバイス3は、シート状に形成されており、箱型空間20内において、互いに間隔を隔てて複数整列配置されるとともに、第2デバイス4(および必要により設けられる固定部材(図示せず))により、固定されている。
これにより、第1デバイス3の表面および裏面の両面(さらには、周側面)は、図示しない第2デバイス4を介して、箱型空間20内に露出され、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
このような第2デバイス4は、より具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、第1デバイス3に電気的に接続されている。
検知ユニット8は、車載発電システム1が搭載される車両における内燃機関2の運転状態を管理するユニットであり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
具体的には、検知ユニット8は、箱型空間20の外部において、破線で示すように、内燃機関2のエンジン16および制御ユニット10に電気的に接続されている。
そして、検知ユニット8は、エンジン16の運転状態(例えば、図示しない回転計により検知されるエンジン16の回転数、例えば、図示しない圧力センサにより検知されるスロットルバルブ下流側の図示しない吸気管内の圧力など)に基づいて燃料供給量を制御するとともに、内燃機関2の状態を検知し、制御ユニット10に電気信号として入力可能としている。
電界印加装置9は、第1デバイス3に電界を印加するため、第1デバイス3に直接または近接して設けられる。
具体的には、電界印加装置9は、第1デバイス3を挟んで対向配置される複数(箱型空間1つに対して2つ)の電極22(例えば、銅電極、銀電極など)、電圧印加電源V、およびそれらに接続される導線などを備えている。
各電極22は、一対が各箱型空間20に対応するようにそれぞれ設けられ、各箱型空間20の外側表面において互いに対向し、それら電極22間に第1デバイス3および第2デバイス4を介在させるように配置されるとともに、分岐導線などによって、並列的に接続されている。
そして、電界印加装置9では、これら電極22に電圧印加電源Vから電圧を印加することにより、電極22間、すなわち、箱型空間20内に電界を生じさせ、第1デバイス3に電界を印加することができる。
制御ユニット10は、車載発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
この制御ユニット10は、箱型空間20の外部において、破線で示すように、検知ユニット8および電界印加装置9に電気的に接続されており、上記した検知ユニット8により検知される内燃機関2の状態が、低速高負荷状態から停止した状態であるときに、電界印加装置9を作動させる。
なお、検知ユニット8、電界印加装置9および制御ユニット10は、図示しないが、車両の駆動および停止とは独立された電源に接続されており、車両が停止しているとき(イグニッションキーOFF時)にも、作動可能とされている。
また、車載発電システム1では、第2デバイス4が、昇圧器5、交流/直流変換器6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
また、自動車25は、上記した車載発電システム1のほか、さらに、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を備えている。
触媒搭載部12は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、内燃機関2から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、内燃機関2(エキゾーストマニホールド17)の下流側端部に接続されている。
エキゾーストパイプ13は、触媒搭載部12において浄化された排気ガスをマフラー14に案内するために設けられており、上流側端部が触媒搭載部12に接続されるとともに、下流側端部がマフラー14に接続されている。
マフラー14は、エンジン16(とりわけ、爆発工程(後述))において生じる騒音を、静音化すために設けられており、その上流側端部がエキゾーストパイプ13の下流側端部に接続されている。また、マフラー14の下流側端部は、排出パイプ15の上流側端部に接続されている。
排出パイプ15は、エンジン16から排出され、エキゾーストマニホールド17、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13およびマフラー14を順次通過し、浄化および静音化された排気ガスを、外気に放出するために設けられており、その上流側端部がマフラー14の下流側端部に接続されるとともに、その下流側端部が、外気に開放されている。
そして、このような自動車25では、エンジン16の駆動により、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返され、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が順次実施され、その温度が経時的に上下される。
より具体的には、例えば、分岐管18aに接続される気筒、および、分岐管18cに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、分岐管18aおよび分岐管18cの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガスを介して伝達され、排気ガスの温度(分岐管18aおよび分岐管18cの内部温度)は、排気工程において上昇する。一方、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)では、排気ガス量が低減されるので、排気ガスの温度(分岐管18aおよび分岐管18cの内部温度)は下降する。
このように、排気ガスの温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、排気ガスは、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
一方、それら2つの気筒とはタイミングを異にして、分岐管18bに接続される気筒、および、分岐管18dに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、分岐管18aおよび分岐管18cとは異なるタイミングにおいて、高温の排気ガスが、分岐管18bおよび分岐管18dの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガスを介して伝達され、排気ガスの温度(分岐管18bおよび分岐管18dの内部温度)は、排気工程において上昇する。一方、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)では、排気ガス量が低減されるので、排気ガスの温度(分岐管18bおよび分岐管18dの内部温度)は下降する。
このように、排気ガスの温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、排気ガスは、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
この周期的な温度変化は、分岐管18aおよび分岐管18cの周期的な温度変化とは、周期が同じである一方、位相が異なる。
そして、この車載発電システム1では、上記したように、各分岐管18の内部(箱型空間20内)に、第1デバイス3が配置されている。
そのため、エンジン16(内燃機関2)から排出される排気ガスが、分岐管18内に導入され、箱型空間20内に充填されると、その箱型空間20内において、第1デバイス3に排気ガスが供給され、第1デバイス3の表面および裏面の両面(さらには、周側面)が、第2デバイス4を介して排気ガスに接触(曝露)され、加熱および/または冷却される。
すなわち、第1デバイス3の表面および裏面の両面が、エンジン16(内燃機関2)、および、そのエンジン16の熱を伝達する排気ガスの経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そして、これにより、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この車載発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
また、この車載発電システム1では、分岐管18aおよび分岐管18cの温度と、分岐管18bおよび分岐管18dの温度とが、同じ周期、かつ、異なる位相で周期的に変化するため、電力を、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、連続的に取り出すことができる。
その後、この方法では、例えば、図1において点線で示すように、上記により得られた電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧し、次いで、昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。バッテリー7に蓄電された電力は、自動車25や、自動車25に搭載される各種電気部品の動力などとして、適宜、用いることができる。
そして、このような車載発電システム1によれば、温度が経時的に上下する内燃機関2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出し、DC−DCコンバーターで変換する場合に比べて、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
なお、排気ガスは、各分岐管18を通過した後、集気管19に供給され、集気された後、触媒搭載部12に供給され、その触媒搭載部12に備えられる触媒により浄化される。その後、排気ガスは、エキゾーストパイプ13に供給され、マフラー14において静音化された後、排出パイプ15を介して、外気に排出される。
このとき、各分岐管18内を通過する排気ガスは、集気管19において集気されるので、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を順次通過する排気ガスは、その温度が、平滑化されている。
そのため、温度が平滑化されたこのような排気ガスを通過させる集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15の温度は、通常、経時的に上下することなく、ほぼ一定である。
そのため、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14または排出パイプ15を内燃機関2として用い、その周囲または内部に、上記した第1デバイス3を配置する場合には、第1デバイス3から取り出される電力は、その電圧が小さく、また、一定(直流電圧)である。
そのため、このような方法では、得られる電力を、簡易な構成で効率良く昇圧することができず、蓄電効率に劣るという不具合がある。
一方、上記したように、分岐管18の内部空間に第1デバイス3を配置すれば、内燃機関2の経時的な温度変化により、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、そのデバイス(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、周期的に電気分極させることができる。
そのため、この車載発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
このような車載発電システム1において、内燃機関2および排気ガスの温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、10〜400サイクル/秒、好ましくは、30〜100サイクル/秒である。
一方、このような車載発電システム1が搭載される車両では、第1デバイス3が配置されるエンジンルーム内の温度が高温となる場合がある。
具体的には、例えば、車載発電システム1が搭載される自動車25が、急勾配の登坂路を、低速(例えば、40km/h)および高負荷(アクセル開度大、具体的には、回転数4000rpm以上)、すなわち、低速高負荷状態(なお、低速高負荷状態は、40km/h以下の速度、かつ、4000rpm以上の回転数である状態と定義される。)において、所定時間走行した後、停止される場合などには、冷却水やエンジンオイルの循環が停止され、また、走行風もなくなるので、エンジンルーム内の温度が、走行時に比べて数十度上昇する(デッドソーク現象)。
このような場合には、第1デバイス3の温度が、高温、具体的には、そのキュリー点を超過して、第1デバイス3に損傷を生じ、発電性能が低下する場合や、発電不能となる場合がある。
そこで、この車載発電システム1では、検知ユニット8により内燃機関2の状態を検知し、その検知される状態が内燃機関2の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、制御ユニット10により、上記条件で電界印加装置9の電極に電圧を印加し、第1デバイス3に電界を印加する。
電極に印加する電界の強さは、例えば、0.1〜5kV/mm、好ましくは、0.3〜3.5kV/mm、より好ましくは、1〜2kV/mmである。
また、電界の印加時間は、エンジンルーム内の温度が低温になり、第1デバイス3が低温、具体的には、そのキュリー点未満になるまでである。
これにより、第1デバイス3がデッドソーク状態におかれ、第1デバイス3が高温、具体的には、そのキュリー点以上の温度条件下に曝される場合にも、第1デバイス3が損傷することを抑制することができる。
つまり、このような車載発電システム1では、検知ユニット8により内燃機関2の状態が検知され、その検知される状態が、内燃機関2の低速高負荷状態から停止した状態(デッドソーク状態)であるときに、制御ユニット10により電界印加装置9が作動され、第1デバイス3に電界が印加される。
そのため、内燃機関2がその停止後も高温となる場合にも、第1デバイス3が損傷することを抑制することができ、車載発電システム1の発電性能が低下することや、発電不能となることを抑制することができる。その結果、高温環境下においても、優れた効率で発電することができる。
なお、上記した説明では、検知ユニット8と制御ユニット10とは、それぞれ別体として設けられているが、例えば、検知ユニット8および制御ユニット10は、一体的に設けられていてもよい。
1 車載発電システム
2 内燃機関
3 第1デバイス
4 第2デバイス
5 昇圧器
6 交流/直流変換器
7 バッテリー
8 検知ユニット
9 電界印加装置
10 制御ユニット

Claims (1)

  1. 内燃機関と、
    前記内燃機関から排出され、温度が経時的に上下する排気ガスが供給されることにより電気分極する第1デバイスと、
    前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、
    内燃機関の状態を検知する検知手段と、
    前記第1デバイスに電界を印加する電界印加手段と、
    前記検知手段により検知される前記状態が、前記内燃機関の低速高負荷状態から停止した状態であるときに、前記電界印加手段を作動させるための制御手段とを備えることを特徴とする、車載発電システム。
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