JP2013098208A - 照明光学系、露光装置、デバイス製造方法、および照明方法 - Google Patents

照明光学系、露光装置、デバイス製造方法、および照明方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被照射面上の位置毎に瞳強度分布を調整して、所望の照明条件を実現することのできる照明光学系。
【解決手段】 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系は、光源と被照射面との間の光路中に配置されたオプティカルインテグレータと、オプティカルインテグレータと被照射面との間の光路中に配置されて、照明光学系の照明瞳における瞳強度分布と被照射面における照度分布との少なくとも一方の分布を調整する調整ユニットとを備えている。調整ユニットは、照明光学系の光軸方向に近接して配置された一対の光学面を有し、入射した光を一対の光学面の間で多重干渉させて射出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、照明光学系、露光装置、デバイス製造方法、および照明方法に関する。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳における所定の光強度分布)を形成する。以下、照明瞳での光強度分布を、「瞳強度分布」という。また、照明瞳とは、照明瞳と被照射面(露光装置の場合にはマスクまたはウェハ)との間の光学系の作用によって、被照射面が照明瞳のフーリエ変換面となるような位置として定義される。
二次光源からの光は、コンデンサー光学系により集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ上に結像し、ウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
マスクの微細パターンをウェハ上に正確に転写するために、例えば輪帯状や複数極状(2極状、4極状など)の瞳強度分布を形成し、投影光学系の焦点深度や解像力を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
米国特許出願公開第2006/0055834号明細書
マスクの微細パターンをウェハ上に正確に転写するには、ウェハ上の露光領域内の各点(各位置)に関する瞳強度分布をそれぞれ所要の分布(例えばほぼ均一な分布)に調整する必要がある。ウェハ上の各位置での瞳強度分布の均一性にばらつきがあると、ウェハ上の位置毎にパターンの線幅がばらついて、マスクの微細パターンを露光領域の全体に亘って所望の線幅でウェハ上に正確に転写することができない。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、被照射面上の位置毎に瞳強度分布を調整して、所望の照明条件を実現することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、所望の照明条件を実現する照明光学系を用いて、転写すべきパターンに応じた適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
第1形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置されたオプティカルインテグレータと、
前記オプティカルインテグレータと前記被照射面との間の光路中に配置されて、前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布と前記被照射面における照度分布との少なくとも一方の分布を調整する調整ユニットとを備え、
前記調整ユニットは、前記照明光学系の光軸方向に近接して配置された一対の光学面を有し、入射した光を前記一対の光学面の間で多重干渉させて射出することを特徴とする照明光学系を提供する。
第2形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された波面分割型のオプティカルインテグレータと、
前記オプティカルインテグレータと前記被照射面との間の光路中に配置されて、前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布または前記被照射面における照度分布を調整する調整ユニットとを備え、
前記調整ユニットは、前記照明光学系の光軸方向に近接して配置された一対の光学面を有し、前記光軸方向に沿った前記一対の光学面の間隔の最大値は前記光源からの光の可干渉距離よりも小さいことを特徴とする照明光学系を提供する。
第3形態では、所定のパターンを照明するための第1形態または第2形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
第4形態では、第3形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板(感光性膜を形成した基板等)に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
第5形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明方法において、
オプティカルインテグレータに光を通過させることと、
前記オプティカルインテグレータからの光を、該光の進行方向に近接して配置された一対の光学面で多重干渉させて射出することと、
前記一対の光学面で多重干渉された光で前記被照射面を照明することと、を含むことを特徴とする照明方法を提供する。
実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 調整ユニットの内部構成を概略的に示す図である。 光軸に沿ってマスク側から間隔可変部を見た図である。 光軸を含むYZ平面に沿った間隔可変部の部分断面図である。 調整ユニットの基本的な作用を説明する図である。 調整ユニットの作用効果を検証するための数値例の基本構成を概略的に示す図である。 第1数値例における調整ユニットの作用を示す第1の図である。 第1数値例における調整ユニットの作用を示す第2の図である。 第1数値例における調整ユニットの作用を示す第3の図である。 第2数値例における調整ユニットの作用を示す第1の図である。 第2数値例における調整ユニットの作用を示す第2の図である。 第2数値例における調整ユニットの作用を示す第3の図である。 光学調整部に入射角可変部を付設した変形例を示す図である。 調整ユニットの配置位置に関する第1変形例を示す図である。 調整ユニットの配置位置に関する第2変形例を示す図である。 半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。 液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
以下、実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置では、光源LSから露光光(照明光)が供給される。光源LSとして、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源LSから+Y方向に射出された光は、整形光学系1および円形照明用の回折光学素子2を介して、ズームレンズ(あるいは集光光学系)3に入射する。整形光学系1は、光源LSからの光束を所定の矩形状の断面を有する光束に変換して回折光学素子2へ導く機能を有する。
回折光学素子2は、基板に露光光(照明光)の波長程度のピッチを有する段差を形成することによって構成され、入射ビームを所望の角度に回折する作用を有する。具体的に、円形照明用の回折光学素子2は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールド(またはフラウンホーファー回折領域)に円形状の光強度分布を形成する機能を有する。回折光学素子2を介した光は、σ値(σ値=照明光学系のマスク側開口数/投影光学系のマスク側開口数)可変用のズームレンズ3を介して、オプティカルインテグレータとしてのマイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)4に入射する。
マイクロフライアイレンズ4は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
マイクロフライアイレンズ4における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。なお、マイクロフライアイレンズ4として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号明細書に開示されている。
回折光学素子2はズームレンズ3の前側焦点位置またはその近傍に配置され、マイクロフライアイレンズ4の入射面はズームレンズ3の後側焦点位置またはその近傍に配置されている。換言すると、ズームレンズ3は、回折光学素子2とマイクロフライアイレンズ4の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に配置している。したがって、マイクロフライアイレンズ4の入射面上には、たとえば光軸AXを中心とした円形状の照野が形成される。この円形状の照野の全体形状は、ズームレンズ3の焦点距離に依存して相似的に変化する。
マイクロフライアイレンズ4に入射した光束は、多数の微小レンズにより二次元的に分割される。その結果、マイクロフライアイレンズ4の後側焦点面またはその近傍の位置(ひいては照明瞳の位置)には、マイクロフライアイレンズ4の入射面に形成される照野とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源、すなわち光軸AXを中心とした円形状の実質的な面光源からなる二次光源(瞳強度分布)が形成される。
マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳に形成された二次光源からの光束は、調整ユニット5において光軸AX方向に近接配置された一対の平行平面板51,52、およびコンデンサー光学系6を介して、マスクブラインド7を重畳的に照明する。一対の平行平面板51,52は、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳位置から光軸AX方向に沿ってマスク側に所要距離だけ間隔を隔てた位置に配置されている。調整ユニット5の内部構成および作用については後述する。
こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド7には、マイクロフライアイレンズ4の矩形状の微小屈折面の形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。なお、マイクロフライアイレンズ4の後側焦点面またはその近傍に、すなわち後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に、二次光源に対応した形状の開口部(光透過部)を有する照明開口絞りを配置してもよい。
マスクブラインド7の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系8の集光作用を受け、且つ結像光学系8の光路中に配置されたミラーにより−Z方向へ反射された後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系8は、マスクブラインド7の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
マスクステージMS上に保持されたマスクMを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
円形照明用の回折光学素子2に代えて、複数極照明(2極照明、4極照明、8極照明など)用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、複数極照明を行うことができる。複数極照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに複数極状(2極状、4極状、8極状など)の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、複数極照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ4の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした複数の所定形状(円弧状、円形状など)の照野からなる複数極状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳には、その入射面に形成された照野と同じ複数極状の瞳強度分布が形成される。
また、円形照明用の回折光学素子2に代えて、輪帯照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、輪帯照明を行うことができる。輪帯照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに輪帯状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、輪帯照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ4の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳には、その入射面に形成された照野と同じ輪帯状の瞳強度分布が形成される。また、円形照明用の回折光学素子2に代えて、適当な特性を有する回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、様々な形態の変形照明を行うことができる。回折光学素子2の切り換え方式として、たとえば周知のターレット方式やスライド方式などを用いることができる。
本実施形態の露光装置は、照明光学系(1〜8)を介した光に基づいて照明光学系の射出瞳面における瞳強度分布を計測する第1瞳強度分布計測部DTrと、投影光学系PLを介した光に基づいて投影光学系PLの瞳面(投影光学系PLの射出瞳面)における瞳強度分布を計測する第2瞳強度分布計測部DTwと、第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwのうちの少なくとも一方の計測結果に基づいて調整ユニット5を制御し且つ露光装置の動作を統括的に制御する制御系CRとを備えている。
第1瞳強度分布計測部DTrは、例えば照明光学系の射出瞳位置と光学的に共役な位置に配置された光電変換面を有する撮像部を備え、照明光学系による被照射面上の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が照明光学系の射出瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。また、第2瞳強度分布計測部DTwは、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された光電変換面を有する撮像部を備え、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。
第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwの詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号明細書を参照することができる。また、瞳強度分布計測部として、米国特許公開第2010/0020302号公報の開示を参照することもできる。
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ4により形成される二次光源を光源として、照明光学系の被照射面に配置されるマスクM(ひいてはウェハW)をケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系の照明瞳面と呼ぶことができる。また、この二次光源の形成面の像を照明光学系の射出瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。なお、瞳強度分布とは、照明光学系の照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。
マイクロフライアイレンズ4による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ4の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ4の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。さらに、マイクロフライアイレンズ4の後側焦点位置またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳位置、すなわち結像光学系8の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)にも、マイクロフライアイレンズ4の直後の光強度分布に対応する瞳強度分布が形成される。
図1の構成が光学的な理想状態にあるとき、ウェハW上の露光領域内の各点(各位置)に関する瞳強度分布が所望の分布(例えばほぼ均一な分布)になり、ひいては所望の照明条件が実現される。しかしながら、実際には、光学部品の反射防止膜の膜厚分布および角度特性、反射膜の反射率分布および角度特性、光学材料の透過率分布および歪みなどの影響により、ウェハW上の露光領域内の各位置に関する瞳強度分布が位置毎に異なってしまう。この場合、例えば回折光学素子2の配光分布を変更したとしても、ウェハW上の露光領域内の位置毎に瞳強度分布を調整することはできない。
そこで、本実施形態では、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳位置から光軸AX方向に沿ってマスクM側に所要距離だけ間隔を隔てた位置に配置されて、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の位置毎に瞳強度分布を調整する調整ユニット5を備えている。調整ユニットは、図2に示すように、光の入射側(光源LS側)に配置された平行平面板51と、平行平面板51の射出側(マスクM側)に近接配置された平行平面板52と、平行平面板51,52の互いに対向する一対の光学面51aと52aとの位置関係を変更する光学調整部53とを備えている。
光学調整部53は、平行平面板51の光学面51aと平行平面板52の光学面51aとの光軸AX方向に沿った間隔を変化させる間隔可変部53aと、制御系CRからの指令にしたがって間隔可変部53aの動作を制御する制御部53bとを有する。間隔可変部53aは、一対の光学面51aと52aとの間隔を光軸AX方向に一様に増減させたり、光学面51aに対して光学面52aがなす角度を相対的に変化させたりする。
制御部53bは、瞳強度分布計測部DTrおよび/またはDTwからの出力に応じて間隔可変部53aの動作を制御し、ひいては間隔可変部53aにより一対の光学面51aと52aとの位置関係を変更する。一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔の最大値は、光源LSからのレーザ光の可干渉距離よりも小さい。一対の光学面51a,52aには反射防止膜が形成されていてもよいし、反射防止膜が形成されていなくてもよい。
図3は、光軸AXに沿ってマスクM側から間隔可変部53aを見た図である。図3は、光軸AXを含んでYZ平面に平行な面に沿った間隔可変部53aの部分断面図である。間隔可変部53aは、図3および図4に示すように、光軸AXを中心とする円環状の形態を有する固定部材53aaと、一対の平行平面板51と52との間に介在する3つのスペーサ53abと、対応するスペーサ53abと協働して平行平面板52の端部を挟み込むように位置決めされた3つの調整ねじ53acとを備えている。
3つの調整ねじ53acは、例えば光軸AXを中心とする円周を角度的に3等分した位置に取り付けられている。3つのスペーサ53abは、金属、ガラスなどの材料により形成され、調整ねじ53acの先端部の押圧作用を受けて光軸AX方向に伸縮するように取り付けられている。以下、説明の理解を容易にするために、平行平面板51は、光学面51aが光軸AXと直交するように固定的に保持されているものとする。スペーサ53abが調整ねじ53acの作用を受けない状態において、平行平面板52の光学面52aが光軸AXと直交しているものとする。平行平面板51と52とは互いに同じ光学材料により形成されているものとする。
間隔可変部53aでは、3つの調整ねじ53acのねじ込み量を調整することにより、一対の光学面51aと52aとの位置関係を変更することができる。すなわち、3つの調整ねじ53acのねじ込み量が互いに同じになるように調整することにより、一対の光学面51aと52aとの間隔を光軸AX方向に一様に増減させることができる。3つの調整ねじ53acのねじ込み量を互いに独立に調整することにより、光軸AXと直交するように固定的に保持された光学面51aに対して光学面52aを傾け、ひいては光学面51aに対して光学面52aがなす角度を変化させることができる。
なお、間隔可変部53aでは、調整ねじ53acの先端部の押圧作用を受けて伸縮するスペーサ53abを用いているが、これに限定されることなく、間隔可変部の具体的な構成については様々な形態が可能である。例えば、ヒーター、ペリチェ素子などの作用によりスペーサの温度を変化させることにより、一対の光学面の位置関係を変更しても良い。また、金属、ガラスなどにより形成されたスペーサに代えて、圧電効果を利用したピエゾ素子などを用いて、一対の光学面の位置関係を変更しても良い。また、たとえば米国特許第5,822,133号や、第6、930、842号などに開示される光学素子移動機構を用いて、一対の光学面の位置関係を変更しても良い。
図5は、調整ユニットの基本的な作用を説明する図である。図5を参照すると、屈折率がnの光学材料(石英、蛍石など)により形成された平行平面板51の内部を伝搬した光が、入射角φで光学面51aに入射する。光学面51aを透過した光は、平行平面板51と52との間に介在する屈折率がn’の媒質(気体、真空など)を伝搬した後、入射角φ’で光学面52aに入射する。一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔は光源LSからのレーザ光の可干渉距離よりも小さいので、入射角φ’で光学面52aに入射した光は一対の光学面51aと52aとの間で多重干渉を起こす。
一対の光学面51aと52aとの間の多重干渉によるエネルギー透過率Tfpは、次の式(1)により表される。式(1)において、R0は光学面51a,52aのエネルギー反射率であり、λは光の波長であり、dは光学面52aへの光の入射位置における一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔である。なお、式(1)では、平行平面板51と52との間の媒質の屈折率をn’≒1とした。
Tfp=1/{1+4×R0×(sinδ)2}/{(1−R0)2} (1)
ただし、δ=(2π/λ)×n’×d×cosφ’
こうして、調整ユニット5に入射した光は、一対の光学面51aと52aとの間で多重干渉して射出される。換言すると、調整ユニット5に入射した光は、エネルギー透過率Tfpで表される透過特性に基づいて変調されて射出される。光学面51aに対して光学面52aを傾斜させると、光学面51aと52aとの多重干渉により、傾斜方向に沿った位置毎に異なる透過率が付与される。すなわち、調整ユニット5の一対の光学面51aと52aとの位置関係を適宜変更することにより、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の位置毎に瞳強度分布を調整することが可能になる。
以下、数値例にしたがって、調整ユニット5の作用効果を検証する。数値例では、図6に示すように、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳に形成された円形状の瞳強度分布からの光が、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52およびコンデンサー光学系6を介してマスクブラインド7の設置面7aに入射する。マイクロフライアイレンズ4の直後に形成された瞳強度分布のZ方向の寸法D1は100mmであり、一対の平行平面板51,52を通過するときの光束のZ方向の寸法D2は200mmである。光の波長λは、193nmである。
面7aに形成される照野のうち、光軸AX上の点P0に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの光学面52aへの入射角φ’は0度である。照野の最も+Z方向側の点P1に入射する光の光学面52aへの入射角φ’は−20度であり、照野の最も−Z方向側の点P2に入射する光の光学面52aへの入射角φ’は+20度である。面7aにおいて点P0と点P1との中間点P3に入射する光の光学面52aへの入射角φ’は概ね−10度であり、点P0と点P2との中間点P4に入射する光の光学面52aへの入射角φ’は概ね+10度である。
第1数値例では、一対の平行平面板51,52を通過する光束の最も+Z方向側の位置、すなわちZ=+100mmの位置における一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔d1を10nmとした。一方、一対の平行平面板51,52を通過する光束の最も−Z方向側の位置、すなわちZ=−100mmの位置における一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔d2を190nmとした。すなわち、光学面51aに対する光学面52aの傾斜方向は、Z方向である。
図7は、第1数値例において、点P0に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの、光学面51aと52aとの間の多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。図8は、点P1に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの、光学面51aと52aとの間の多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。図9は、点P2に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの、光学面51aと52aとの間の多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。
図7〜図9において、縦軸は一対の光学面51aと52aとの間の多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示し、横軸は一対の平行平面板51,52における光の通過位置、すなわちZ方向位置(mm)を示している。図7を参照すると、点P0に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=−50mm〜+50mmの範囲を通過する光には、その範囲の中心位置(Z=0mm)において最も高く且つ周辺位置(Z=±50mm)に向かって徐々に低くなる透過率分布が付与される。
図8を参照すると、点P1に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=0mm〜+100mmの範囲を通過する光には、その範囲の中央位置(Z≒+60mm)において最も低く且つ周辺位置(Z=0mm,+100mm)に向かって徐々に高くなる透過率分布が付与される。図9を参照すると、点P2に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=−100mm〜0mmの範囲を通過する光には、その範囲の中央位置(Z≒−60mm)において最も低く且つ周辺位置(Z=−100mm,0mm)に向かって徐々に高くなる透過率分布が付与される。
第2数値例では、Z=+100mmの位置における一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔d1を60nmとし、Z=−100mmの位置における一対の光学面51aと52aとの光軸AX方向に沿った間隔d2を240nmとした。すなわち、第2数値例においても第1数値例の場合と同様に、光学面51aに対する光学面52aの傾斜方向はZ方向である。
図10は、第2数値例において、点P0に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。図11は、点P1に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。図12は、点P2に入射する光が一対の平行平面板51,52を通過するときの多重干渉によるエネルギー透過率Tfpを示す。第2数値例における図10〜図12の表記は、第1数値例における図7〜図9と同様である。
図10を参照すると、点P0に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=−50mm〜+50mmの範囲を通過する光には、その範囲の中心位置(Z=0mm)において最も低く且つ周辺位置(Z=±50mm)に向かって徐々に高くなる透過率分布が付与される。図11を参照すると、点P1に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=0mm〜+100mmの範囲を通過する光には、その範囲の中央位置(Z≒+60mm)において最も高く且つ周辺位置(Z=0mm,+100mm)に向かって徐々に低くなる透過率分布が付与される。
図11を参照すると、点P2に入射する光、すなわち一対の平行平面板51,52においてZ=−100mm〜0mmの範囲を通過する光には、その範囲の中央位置(Z≒−60mm)において最も高く且つ周辺位置(Z=−100mm,0mm)に向かって徐々に低くなる透過率分布が付与される。なお、図示を省略するが、第1および第2数値例において点P3,P4に入射する光にも、点P3,P4の位置に応じた透過率分布が付与される。
第1および第2数値例を参照すると、光学面51aに対する光学面52aの傾斜方向がZ方向であり、マスクブラインド7の設置面7aにおいてZ方向(光学面52aの傾斜方向に対応)に並ぶ5つの点P0〜P4に入射する光束の光強度分布が、一対の光学面51aと52aとの位置関係に応じて、位置毎(点P0〜P4毎)に調整されることがわかる。マスクブラインド7の設置面7aは、マスクMのパターン面およびウェハWの露光面と光学的に共役な位置にある。したがって、面7aにおいてZ方向に並ぶ複数の点は、マスクM上の照明領域内においてY方向に並ぶ複数の点に対応し、ひいてはウェハW上の露光領域内においてY方向に並ぶ複数の点に対応している。
本実施形態では、間隔可変部53aの作用により、光学面51aに対する光学面52aを二次元的に(X方向およびZ方向に)傾斜させることが可能である。その結果、面7aにおいて二次元的に分散する複数の点に入射する光束の光強度分布を、一対の光学面51aと52aとの位置関係に応じて、位置毎(複数の点毎)に調整することができる。すなわち、調整ユニット5の一対の光学面51aと52aとの位置関係を適宜変更することにより、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の位置毎に瞳強度分布に対して異なる調整量を与え、ひいては位置毎に瞳強度分布を調整することができる。
こうして、本実施形態において、制御部CRは、瞳強度分布計測部DTrおよび/またはDTwの計測結果に基づいて調整ユニット5を制御することにより、ウェハW上の露光領域内の各位置に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布をそれぞれ所望の分布(例えば均一な分布)に調整する。すなわち、本実施形態の照明光学系(1〜8)では、調整ユニット5の作用によりウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の位置毎に瞳強度分布を調整して、所望の照明条件を実現することができる。本実施形態の露光装置(1〜WS)では、所望の照明条件を実現する照明光学系(1〜8)を用いて、転写すべきマスクパターンに応じた適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
なお、上述の説明では、光学調整部53が一対の光学面51aと52aとの位置関係を変更する間隔可変部53aを備えている。しかしながら、これに限定されることなく、間隔可変部に代えて、あるいは間隔可変部に加えて、光学調整部が一対の光学面に入射する光の入射角を入射位置に応じて変化させる入射角可変部を有する構成も可能である。すなわち、例えば図13に示すように、マイクロフライアイレンズ4と調整ユニット5の一対の平行平面板51,52との間も光路中に、一対のレンズ53caと53cbとからなる入射角可変部53cを付設した変形例も可能である。
入射角可変部53cを構成する一対のレンズ53caおよび53cbのうちの少なくとも1つのレンズは、光軸AX方向に移動可能である。その結果、入射角可変部53cは、一対のレンズ53caと53cbの光軸AX方向に沿った間隔を変化させることにより、一対の光学面51a,52aに入射する光の入射角を入射位置に応じて変化させる。式(1)を参照して明らかなように、光学面52aへの光の入射角φ’を変更すると、多重干渉によるエネルギー透過率Tfpが変化する。したがって、入射角可変部53cが付設された図13の変形例では、瞳強度分布の調整に関する自由度を上述の実施形態よりも向上させることができる。なお、入射角可変部の構成については、図13の構成例に限定されることなく、様々な形態が可能である。
また、上述の説明では、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の位置毎に瞳強度分布に対して異なる調整量を与えるために、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳位置から光軸AX方向に沿ってマスクM側に所要距離だけ間隔を隔てた位置に調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置している。しかしながら、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳位置に限定されることなく、結像光学系8の瞳位置あるいは投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)から光軸AX方向に沿って光源LS側またはウェハW側に所要距離だけ間隔を隔てた位置に、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、照明瞳位置から所要距離だけ間隔を隔てた位置に限定されることなく、例えば図14に示すように、マイクロフライアイレンズ4の直後の照明瞳の近傍に、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の全体に亘ってほぼ一様に瞳強度分布を調整することができる。このことは、図6において一対の平行平面板51,52をマイクロフライアイレンズ4へ近づけると、マスクブラインド7の設置面7a上の各点P0〜P4に入射する光束が一対の平行平面板51,52を通過する範囲が互いに近づき、ひいては多重干渉によるエネルギー透過率Tfpの分布も互いに近づくことから明らかである。
すなわち、図14の変形例において、制御部CRは、瞳強度分布計測部DTrおよび/またはDTwの計測結果に基づいて調整ユニット5を制御することにより、ウェハW上の露光領域内の全体に亘ってほぼ一様に瞳強度分布を調整する。同様に、結像光学系8の瞳位置またはその近傍に、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、ウェハW上の露光領域内の全体に亘ってほぼ一様に瞳強度分布を調整することができる。また、投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)の近傍に、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、ウェハW上の露光領域内の全体に亘ってほぼ一様に瞳強度分布を調整することができる。
また、瞳強度分布に限定されることなく、例えば図15に示すように、マスクブラインド7の近傍の位置(すなわちマスクMのパターン面およびウェハWの露光面と光学的に共役な位置またはその近傍)に、調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、ウェハW上の露光領域内(あるいはマスクMの照明領域内)の照度分布を調整することができる。これは、照明瞳またはその近傍に一対の平行平面板51,52を配置することにより露光領域(または照明領域)の全体に亘ってほぼ一様に瞳強度分布を調整することに対応している。
図15の変形例にかかる露光装置では、投影光学系PLの像面での照度分布を計測する照度分布計測部DTiを備え、照度分布計測部DTiの出力は制御系CRに供給される。照度分布計測部DTiは、周知の構成にしたがって、投影光学系PLの像面における照度分布をモニターする。制御部CRは、照度分布計測部DTiの計測結果に基づいて調整ユニット5を制御することにより、投影光学系PLの像面位置にあるウェハW上の露光領域に形成される照度分布を所望の分布(例えば均一な分布)に調整する。同様に、マスクMの近傍の位置に調整ユニット5の一対の平行平面板51,52を配置することにより、ウェハW上の露光領域内の照度分布を調整することができる。
また、上述の説明では、調整ユニット5が光軸AX方向に近接配置された平行平面板51,52の互いに対向する一対の平面状の光学面51a,52aを有し、一対の平面状の光学面51aと52aとの間で多重干渉させている。しかしながら、この構成に限定されることなく、調整ユニットでは、光軸方向に近接して配置された一対の光学面の間で多重干渉させること、すなわち光軸方向に沿った一対の光学面の間隔の最大値が光源からの光の可干渉距離よりも小さいことが重要である。したがって、一対の光学面のうちの少なくとも一方は、例えば、球面形状、回転対称な非球面形状、回転非対称な非球面形状(自由曲面形状)であってもよい。
上述の説明では、照明瞳に円形状の瞳強度分布が形成される円形照明を例にとって、本発明の作用効果を説明している。しかしながら、円形照明に限定されることなく、例えば輪帯状の瞳強度分布が形成される輪帯照明、複数極状の瞳強度分布が形成される複数極照明などの変形照明に対しても、同様に本発明を適用して同様の作用効果を得ることができることは明らかである。
上述の実施形態において、回折光学素子2に代えて、あるいは回折光学素子2に加えて、たとえばアレイ状に配列され且つ傾斜角および傾斜方向が個別に駆動制御される多数の微小な要素ミラーにより構成されて入射光束を反射面毎の微小単位に分割して偏向させることにより、光束の断面を所望の形状または所望の大きさに変換する空間光変調素子を用いても良い。このような空間光変調素子を用いた照明光学系は、例えば特開2002−353105号公報に開示されている。
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含む空間光変調素子を用いることができる。空間光変調素子を用いた露光装置は、たとえば米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、上述のような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図16は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図16に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを感光性基板としてパターンの転写を行う。
図17は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図17に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態において、米国公開公報第2006/0170901号及び第2007/0146676号に開示されるいわゆる偏光照明方法を適用することも可能である。ここでは、米国特許公開第2006/0170901号公報及び米国特許公開第2007/0146676号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスク(またはウェハ)を照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク(またはウェハ)以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。
LS 光源
2 回折光学素子
3 ズームレンズ
4 マイクロフライアイレンズ
5 調整ユニット
51,52 平行平面板
53 光学調整部
53a 間隔可変部
53b 制御部
53c 入射角可変部
6 コンデンサー光学系
7 マスクブラインド
8 結像光学系
DTr,DTw 瞳強度分布計測部
DTi 照度分布計測部
CR 制御系
M マスク
MS マスクステージ
PL 投影光学系
AS 開口絞り
W ウェハ
WS ウェハステージ

Claims (24)

  1. 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
    前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置されたオプティカルインテグレータと、
    前記オプティカルインテグレータと前記被照射面との間の光路中に配置されて、前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布と前記被照射面における照度分布との少なくとも一方の分布を調整する調整ユニットとを備え、
    前記調整ユニットは、前記照明光学系の光軸方向に近接して配置された一対の光学面を有し、入射した光を前記一対の光学面の間で多重干渉させて射出することを特徴とする照明光学系。
  2. 前記光軸方向に沿った前記一対の光学面の間隔の最大値は前記光源からの光の可干渉距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  3. 前記調整ユニットは、前記照明瞳の位置から前記光軸方向に所要距離だけ間隔を隔てた位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学系。
  4. 前記調整ユニットは、前記照明瞳の位置、またはその近傍の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学系。
  5. 前記調整ユニットは、前記被照射面の近傍の位置、前記被照射面と光学的に共役な位置、または該共役な位置の近傍の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学系。
  6. 前記一対の光学面は、平面形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明光学系。
  7. 前記調整ユニットは、前記光軸方向に沿って近接配置された一対の平行平面板を有し、該一対の平行平面板の互いに対向する面が前記一対の光学面であることを特徴とする請求項6に記載の照明光学系。
  8. 前記一対の平行平面板の互いに対向する面のうちの少なくとも一方には、反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の照明光学系。
  9. 前記調整ユニットは、前記一対の光学面の位置関係および前記一対の光学面に入射する光の入射角のうちの少なくとも一方を変更する光学調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の照明光学系。
  10. 前記光学調整部は、前記光軸方向に沿った前記一対の光学面の間隔を変化させる間隔可変部を有することを特徴とする請求項9に記載の照明光学系。
  11. 前記間隔可変部は、前記一対の光学面のうちの一方の光学面に対して他方の光学面がなす角度を変化させることを特徴とする請求項10に記載の照明光学系。
  12. 前記光学調整部は、前記一対の光学面に入射する光の入射角を入射位置に応じて変化させる入射角可変部を有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の照明光学系。
  13. 前記入射角可変部は、複数のレンズを有し、該複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズは前記光軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項12に記載の照明光学系。
  14. 前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布または前記被照射面における照度分布を計測する計測部を備え、
    前記光学調整部は、前記計測部からの出力に応じて、前記一対の光学面の位置関係を変更する制御部を備えることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の照明光学系。
  15. 前記被照射面と光学的に共役な面を形成する投影光学系と組み合わせて用いられ、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の照明光学系。
  16. 光源からの光により被照射面を照明する照明光学系において、
    前記光源と前記被照射面との間の光路中に配置された波面分割型のオプティカルインテグレータと、
    前記オプティカルインテグレータと前記被照射面との間の光路中に配置されて、前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布または前記被照射面における照度分布を調整する調整ユニットとを備え、
    前記調整ユニットは、前記照明光学系の光軸方向に近接して配置された一対の光学面を有し、前記光軸方向に沿った前記一対の光学面の間隔の最大値は前記光源からの光の可干渉距離よりも小さいことを特徴とする照明光学系。
  17. 所定のパターンを照明するための請求項1乃至16のいずれか1項に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
  18. 前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備え、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置であることを特徴とする請求項17に記載の露光装置。
  19. 前記調整ユニットは、前記投影光学系の前記開口絞りから前記投影光学系の光軸方向に所要距離だけ間隔を隔てた位置、または前記開口絞りの近傍の位置に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  20. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
    前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
    前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
  21. 光源からの光により被照射面を照明する照明方法において、
    オプティカルインテグレータに光を通過させることと、
    前記オプティカルインテグレータからの光を、該光の進行方向に近接して配置された一対の光学面で多重干渉させて射出することと、
    前記一対の光学面で多重干渉された光で前記被照射面を照明することと、を含むことを特徴とする照明方法。
  22. 前記多重干渉させて射出することは、照明瞳における瞳強度分布と前記被照射面における照度分布との少なくとも一方の分布を調整することを含むことを特徴とする請求項21に記載の照明方法。
  23. 前記照明光学系の照明瞳における瞳強度分布または前記被照射面における照度分布を計測することをさらに含み、
    前記少なくとも一方の分布を調整することは、前記計測することによって得られた結果に基づいて前記少なくとも一方の分布を調整することを特徴とする請求項22に記載の照明方法。
  24. 前記少なくとも一方の分布を調整することは、前記一対の光学面の位置関係を変更することを含むことを特徴とする請求項22または23に記載の照明方法。
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