JP2013093304A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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知之 中谷
Yoshiki Sasaki
良樹 佐々木
Hideki Oku
秀樹 奥
Hiroyuki Ichinose
博幸 一瀬
Takashi Ofuji
敬士 大藤
Kenichiro Taniwa
賢一郎 谷輪
Kimita Araki
公太 荒木
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    • C03C8/00Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
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    • H01J11/10AC-PDPs with at least one main electrode being out of contact with the plasma
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Abstract

【課題】二枚の基板間の距離のバラつきを小さくすることでノイズの発生のバラつきを抑制した高品質なPDPを提供する。
【解決手段】前面ガラス基板3と背面ガラス基板11との間はガラス部材と、球状部材43と、を備える封着部材で封着され、ガラス部材は、50体積%以上90体積%以下のガラス粉末52と10体積%以上50体積%以下のフィラー42とを有し、フィラー42の最大粒径は、1μm以上50μm以下であり、球状部材43の含有率は、ガラス部材に対して0.1重量%以上0.17重量%以下であり、球状部材43は誘電体層8もしくは下地誘電体層13の最表面から合計0μmより大きく7μm以下の範囲で沈み込んでいる。
【選択図】図8

Description

ここに開示された技術は、複数の被封着物間の気密を保つための封着材料を用いた表示装置に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)や有機エレクトロルミネッセンスパネルなどに代表される表示装置は、二枚の基板を有している。二枚の基板は、それらの周縁部において一定の間隔で封着されている。つまり、表示装置は、中空構造を有している。封着材料として、ガラス粉末と、所望の間隔とほぼ同じ大きさのビーズと、を含有する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−151774号公報
しかし、二枚の基板間の距離がビーズの大きさによってバラつくため、PDPから発生するノイズにバラつきが生じるといった課題があった。
そこで本発明は、二枚の基板間の距離のバラつきを小さくすることでノイズの発生のバラつきを抑制した高品質なPDPを提供することを目的とする。
本発明は、前面板と背面板との間はガラス部材と、球状部材と、を備える封着部材で封着され、ガラス部材は、50体積%以上90体積%以下のガラス粉末と10体積%以上50体積%以下のフィラーとを有し、フィラーの最大粒径は、1μm以上50μm以下であり、球状部材の含有率は、ガラス部材に対して0.1重量%以上0.17重量%以下であり、球状部材は誘電体層もしくは下地誘電体層の最表面から合計0μmより大きく7μm以下の範囲で沈み込んでいることを特徴とする。
上記の構成によれば、表示装置各部から発生するノイズのバラつきが抑制され、高品質なプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
本実施の形態にかかるPDPの要部を示す斜視図 本実施の形態にかかるPDPの正面図 図2における3−3断面の一部を示す図 図2における4−4断面の一部を示す図 本実施の形態にかかるPDPの製造フローを示す図 本実施の形態にかかる封着材料の構成を示す図 本実施の形態にかかる熱処理プロファイルを示す図 (a)従来のPDPにおける封着部の様子を示した図、(b)本実施の形態における封着部の様子を示した図 球状部材の沈み込み量に対するノイズの結果を表す図
(実施の形態)
表示装置の一つであるPDPが、実施の形態として例示される。
[1.PDP1の構造]
本実施の形態にかかるPDPは、交流面放電型PDPである。図1から図3に示すように、前面板2と背面板10とが、対向して配置されている。さらに、放電空間16には、キセノン(Xe)を含む放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
[1−1.前面板2]
図1および図3に示すように、前面板2は、前面ガラス基板3を含む。複数の表示電極6が、前面ガラス基板3の表面に配置されている。それぞれの表示電極6は、前面ガラス基板3の長辺と平行に配置されている。それぞれの表示電極6は、一つの走査電極4と一つの維持電極5とを有する。走査電極4と維持電極5との間が放電ギャップである。走査電極4は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極4aと、透明電極4a上に積層されたバス電極4bとを含む。維持電極5は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極5aと、透明電極5a上に積層されたバス電極5bとを含む。バス電極4b、5bは、良好な導電性を得るために銀(Ag)を有する。前面板2は、表示電極6を被覆する誘電体層8を含む。前面板2は、誘電体層8を被覆する保護層9を含む。
保護層9は、放電を発生させるための電荷を保持する機能、および、維持放電の際に二次電子を放出する機能が求められる。電荷保持性能が向上することにより、印加電圧が低減される。二次電子放出数が増加することにより、維持放電を発生させる駆動電圧が低減される。本実施の形態にかかる保護層9は、MgOを含む。
[1−2.背面板10]
図1および図3に示すように、背面板10は、背面ガラス基板11を含む。複数のアドレス電極12が背面ガラス基板11の表面に配置されている。それぞれのアドレス電極12は、背面ガラス基板11の短辺と平行に配置されている。言い換えると、それぞれのアドレス電極12は、表示電極6と直交する方向に配置されている。アドレス電極12は、良好な導電性を得るために銀(Ag)を含む。アドレス電極12の膜厚は、1.0μm以上2.5μm以下が好ましい。
[1−2−1.下地誘電体層13]
背面板10は、複数のアドレス電極12を被覆する下地誘電体層13を含む。下地誘電体層13は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、25重量%以上35重量%以下である。
ガラス成分は、三酸化二ビスマス(Bi)を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)の群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、三酸化モリブデン(MoO)、三酸化タングステン(WO)、二酸化セリウム(CeO)、二酸化マンガン(MnO)、酸化銅(CuO)、三酸化二クロム(Cr)、三酸化二コバルト(Co)、五酸化二バナジウム(V)および三酸化二アンチモン(Sb)の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
フィラーは、三酸化二アルミニウム(Al)、二酸化珪素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
[1−2−2.隔壁14]
下地誘電体層13上には放電空間16を区切る隔壁14が配置されている。隔壁14は、アドレス電極12と平行に配置された縦隔壁24と、表示電極6と平行に配置された横隔壁26とを含む。縦隔壁24は、アドレス電極12とアドレス電極12との間に配置されている。
隔壁14は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、70重量%以上90重量%以下である。ガラス成分は、Biを20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、CaO、SrOおよびBaOの群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、MoO、WO、CeO、MnO、CuO、Cr、Co、VおよびSbの群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
フィラーは、Al、SiO、TiO、ZrO、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
[1−2−3.蛍光体層15]
背面板10は、蛍光体層15を含む。蛍光体層15は、下地誘電体層13の表面および隔壁14の側面に配置されている。蛍光体層15は、赤色光を発する赤色蛍光体層151、青色光を発する青色蛍光体層152および緑色光を発する緑色蛍光体層153を含む。赤色蛍光体層151、青色蛍光体層152および緑色蛍光体層153は、紫外線によって励起される発光中心を有する。
赤色蛍光体層151に用いられる赤色蛍光体は、一例として、610nm以上630nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu3+付活赤色蛍光体である。赤色蛍光体は、具体的には、Y:Eu3+(YOX蛍光体)、(Y,Gd):Eu3+(YGX蛍光体)およびY(P,V)O:Eu3+(YPV蛍光体)などの蛍光体粒子である。
青色蛍光体層152に用いられる青色蛍光体層は、一例として、420nm以上500nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu2+付活青色蛍光体である。Eu2+を付活剤とする青色蛍光体は、Eu2+イオンの4f5d→4f電子エネルギー遷移に基づいて発光する。そのために、1msec未満の残光時間の青色発光が実現できる。青色蛍光体は、具体的には、BaMgAl1017:Eu2+(BAM蛍光体)、CaMgSi:Eu2+(CMS蛍光体)、SrMgSi:Eu2+(SMS蛍光体)などの蛍光体粒子である。
緑色蛍光体層153に用いられる緑色蛍光体は、一例として、500nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有し残光時間が2msecを超え5msec未満のMn2+付活短残光緑色蛍光体と、490nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有するCe3+付活緑色蛍光体またはEu2+付活緑色蛍光体を含む蛍光体である。緑色蛍光体は、具体的には、ZnSiO:Mn2+(ZSM蛍光体)およびYAl12:Ce3+(YAG蛍光体)などの蛍光体粒子である。
[1−3.封着部40]
図2に示すように、PDP1は、封着部40を備える。封着部40は、前面板2の周縁と背面板10の周縁とを封着する。つまりPDP1は、封着部40によって気密封着されている。封着部40は、PDP1における表示領域の外側に設けられる。封着部40の幅は、3mm〜8mmが好ましい。
図4は、図2のPDPの長辺4−4を切断した断面図を示している。
図4に示すように、封着部40は、ガラス部41、フィラー42および球状部材43を含む。封着部40は、前面ガラス基板3と背面ガラス基板11との間に設けられている。封着部40と背面ガラス基板11との間には、アドレス電極12および下地誘電体層13が設けられている。また、封着部40と前面ガラス基板3との間には、誘電体層8が設けられている。下地誘電体層13および誘電体層8は封着部40が形成される領域を超えることなく、封着部40の途中まで設けられている。封着部40と重なっているアドレス電極12の幅は、50μm〜70μmである。また、封着部40において、封着部40と重なっているアドレス電極12全体の面積比率は25%以上35%以下である。封着部40の形成方法については、後に詳細に述べられる。
図示していないが、PDPの短辺3−3を切断した断面図も、図4と同様に封着部40は、前面ガラス基板3と背面ガラス基板11との間に設けられている。封着部40と背面ガラス基板11との間には、下地誘電体層13が設けられている。また、封着部40と前面ガラス基板3との間には、誘電体層8が設けられている。下地誘電体層13および誘電体層8は封着部40が形成される領域を超えることなく、封着部40の途中まで設けられている。
なお、本実施の形態では、PDPの長辺側の封着部について説明する。
ガラス部41は、一例として、Bi、B、ZnO、Vなどを主成分としたガラス粉末から形成される。組成比は、Biが20重量%〜50重量%、Bが20重量%〜40重量%、ZnOが10重量%〜30重量%、Vが0.5重量%〜2.5重量%である。フィラー42は、一例として、Al、SiO、TiO、ZrO、MgOおよびコージライトなどを主成分としている。フィラー42は、ガラス部41の熱膨張係数を調整する作用と、ガラス部41の流動状態を調整する作用とを有する。
ガラス部41の体積とフィラー42の体積の和に対して、ガラス部41は、50体積%以上90体積%以下であり、フィラー42は、10体積%以上50体積%以下であることが好ましい。
フィラー42の最大粒径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。フィラー42の最大粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される。本実施の形態において、最大粒径とは、D99の値である。D99とは、体積基準の積算粒度分布が99%となる粒径である。フィラー42の最大粒径が50μmを超えると、アドレス電極12の断線発生率が上昇するからである。フィラー42が、球状部材43とアドレス電極12に挟まれた場合、PDP1の内圧と、大気圧との差によって、アドレス電極12にフィラー42が押し付けられる。フィラー42の最大粒径が50μmを超えると、アドレス電極12がフィラー42からうける力によって、断線発生率が上昇する。
フィラー42の最大粒径が1μm未満になると、ガラス部41の流動性が低下する。ガラス部41の流動性は、フィラー42の一つあたりのせん断力にフィラー42の総数を乗じた値に依存するからである。ガラス部41の流動性が低下すると、前面板2および/または背面板10との密着性が低下する。つまり、封着部40の封着性能が低下する。フィラー42の最大粒径が、1μm以上50μm以下の範囲であると、アドレス電極12の断線発生が抑制される。さらに、ガラス部41の流動性低下が抑制される。
なお、フィラー42の最大粒径は、28μm以上50μm以下であるとより好ましい。ガラス部41の流動性低下をより抑制できるからである。
球状部材43は、前面板2と背面板10との間隔を一定の範囲に保つ作用を有する。球状部材43は、一例として、Al、ZrOなどのセラミクスや、KO−BaO−Al−SiO系ガラスなどを主成分とする。球状部材43は、後述される封着工程における温度では、変形しない。なお、球状部材43は、必ずしも幾何学的に「球形」でなくてもよい。顕微鏡などによる観察によって、概ね「球状」と認められればよい。具体的には、一つの球状部材43における最大径と最小径の比率が1.2未満であることが好ましい。球状部材43の直径は、前面板2と背面板10との間隔の設計値によって決定される。PDP1の周縁部の間隔を表示領域の間隔より大きくすることが好ましいので、例えば、隔壁14の高さが120μmであれば、球状部材43の直径は130μm程度が好ましい。
球状部材43は、ガラス部41の重量とフィラー42の重量との和に対して、0.1重量%以上0.17重量%以下であることが好ましい。球状部材43が0.17重量%を超えると、後に詳細に述べるように封着部40の高さが不安定になり、PDP1からの騒音も不安定になるからである。
また、球状部材43が0.1重量%未満になると、PDP1点灯時に発生する騒音が増大するからである。具体的には、球状部材43が0.1重量%未満になると、封着部40の長さ3cmあたりに含まれる球状部材43が1個未満になる領域が発生しやすくなる。この場合、前面板2と背面板10との間隔が設計値より下回る部分が増加する。つまり、前面板2および/または背面板10の周縁において変形する部分が増加する。変形した部分の歪によって、騒音が増大する。
つまり、封着部40の長さ3cmあたりに含まれる球状部材43の数は、1個以上20個以下が好ましい。封着部40の長さ3cmあたりに含まれる球状部材43の平均数は、9個程度が好ましい。
なお、封着部40の長さ3cmあたりに含まれる球状部材43の数は、封着部40の長辺における5箇所、短辺における3箇所で測定される。具体的には、PDP1の背面板10側から、可視光線が照射される。ガラス部41は、可視光線を透過しない。一方、球状部材43は、可視光線を透過する。可視光線が照射された領域の内、長さ3cmに相当する領域が観察される。目視などによって、球状部材43の数が求められる。目視の場合には、顕微鏡、拡大鏡等を用いることが好ましい。
球状部材43が、ガラス部41の重量とフィラー42の重量との和に対して、0.1重量%以上0.17重量%以下の範囲であると、PDP1点灯時の騒音を安定させることができる。
さらに、球状部材43は、少なくとも前面板2に形成される誘電体層8および背面板10に形成される下地誘電体層13のいずれかの表面から0μmより大きく5μm以下の範囲で沈み込んでいる。
これにより、面内のノイズ発生のバラつきが抑制される。ノイズ発生は面内によって異なり、前面ガラス基板と背面ガラス基板との距離のバラつきによってノイズが大きい箇所と小さい箇所ができてしまう。したがって、ノイズの小さい箇所が存在したとしても、PDPから発生するノイズは、面内で発生する一番大きいノイズで決められる。
そこで、本発明の実施の形態を適用することで、面内におけるノイズ発生のバラつきを抑制しつつ、面内全体のノイズが低減される。
球状部材の沈み込みについてより具体的に説明する。図8(a)に示すように、球状部材43は、前面板2に形成される誘電体層8および背面板10に形成される下地誘電体層13の表面に接している。しかし、本実施の形態では図8(b)に示すように、球状部材43は、前面板2に形成される誘電体層8および背面板10に形成される下地誘電体層13の表面から沈み込んだ状態で配置されている。これは、下記の製造工程の封着工程で説明するが、PDPが封着される際に、球状部材43が誘電体層8および下地誘電体層13の表面から沈み込んだ状態になるためである。
[2.PDP1の製造方法]
次に、図5を用いてPDP1の製造方法について説明する。
図5に示すように、本実施の形態にかかるPDP1の製造方法は、前面板作製工程A1、背面板作製工程B1、封着用ペースト塗布工程B2、封着工程C1、排気工程C2および放電ガス供給工程C3を有する。
[2−1.前面板作製工程A1]
[2−1−1.表示電極6の形成]
フォトリソグラフィ法によって、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5が形成される。まず、インジウム錫酸化物(ITO)などからなる透明電極4a、5aが形成される。
次に、バス電極4b、5bが形成される。バス電極4b、5bの材料には、銀(Ag)と銀を結着させるためのガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含む電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、電極ペーストが、透明電極4a、5aが形成された前面ガラス基板3に塗布される。次に、乾燥炉によって、電極ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、電極ペースト中の溶剤が除去される。次に、例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、電極ペーストが露光される。
次に、電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存した電極ペーストが電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、電極パターンが焼成される。焼成によって、電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、電極パターン中のガラスフリットが溶ける。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、バス電極4b、5bが形成される。
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
[2−1−2.誘電体層8の形成]
誘電体層8の材料には、誘電体ガラスフリットと樹脂と溶剤などを含む誘電体ペーストが用いられる。まずダイコート法などによって、誘電体ペーストが所定の厚みで前面ガラス基板3上に塗布される。塗布された誘電体ペーストは、走査電極4および維持電極5を被覆する。次に、乾燥炉によって、誘電体ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、誘電体ペースト中の樹脂が除去される。焼成によって、誘電体ガラスフリットが溶ける。溶けた誘電体ガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、誘電体層8が形成される。
上述の方法の他、スクリーン印刷法、スピンコート法などを用いることができる。また、誘電体ペーストを用いずに、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、誘電体層8となる膜を形成することもできる。
[2−1−3.保護層9の形成]
保護層9は、一例として、EB(Electron Beam)蒸着装置により形成される。保護層9がMgOとCaOを含む場合、保護層9の材料は単結晶のMgOからなるMgOペレットと単結晶のCaOからなるCaOペレットである。つまり、保護層9の組成に合わせてペレットを選択すればよい。MgOペレットまたはCaOペレットには、さらに不純物としてアルミニウム(Al)、珪素(Si)などが添加されていてもよい。
まず、EB蒸着装置の成膜室に配置されたMgOペレットおよびCaOペレットに電子ビームが照射される。電子ビームのエネルギーを受けたMgOペレットおよびCaOペレットの表面は蒸発していく。MgOペレットから蒸発したMgOおよびCaOペレットから蒸発したCaOは、成膜室内を移動する前面ガラス基板3上に付着する。より詳細には、表示領域となる領域が開口したマスクを介して、MgOおよびCaOが誘電体層8上に付着する。前面ガラス基板3は、ヒータによって約300℃に加熱されている。成膜室の圧力は、約10−4Paに減圧された後、酸素ガスが供給され、酸素分圧が約3E−2Paになるように保たれる。保護層9の膜厚は、電子ビームの強度、成膜室の圧力、前面ガラス基板3の移動速度などによって、所定の範囲に収まるように調整される。
[2−2.背面板作製工程B1]
[2−2−1.アドレス電極12の形成]
フォトリソグラフィ法によって、背面ガラス基板11上に、アドレス電極12が形成される。アドレス電極12の材料には、導電体としての銀(Ag)粒子と銀粒子同士を結着させるガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含むアドレス電極ペーストが用いられる。
まず、スクリーン印刷法などによって、アドレス電極ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲でアドレス電極ペーストが乾燥される。乾燥によって、アドレス電極ペースト中の溶剤が除去される。例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、アドレス電極ペーストが露光される。次に、アドレス電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存したアドレス電極ペーストがアドレス電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、アドレス電極パターンが焼成される。焼成によって、アドレス電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、アドレス電極パターン中のガラスフリットが溶ける。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、アドレス電極12が形成される。
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
[2−2−2.下地誘電体層13の形成]
下地誘電体層13の材料には、ガラスフリット、フィラー、樹脂および溶剤などを含む下地誘電体ペーストが用いられる。ガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率は、25重量%以上35重量%以下である。
まず、スクリーン印刷法などによって、下地誘電体ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。塗布された下地誘電体ペーストは、アドレス電極12を被覆する。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で下地誘電体ペーストが乾燥される。乾燥によって、下地誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、下地誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、下地誘電体ペースト中の樹脂が除去される。また、焼成によって、ガラスフリットが溶ける。一方、焼成によっても、フィラーは溶けない。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス成分となる。つまり、下地誘電体層13は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。以上の工程によって、下地誘電体層13が形成される。スクリーン印刷法の他にも、スピンコート法、ダイコート法などを用いることができる。
[2−2−3.隔壁14の形成]
フォトリソグラフィ法によって、隔壁14が形成される。隔壁14の材料には、フィラーと、フィラーを結着させるためのガラスフリットと、感光性樹脂と、溶剤などを含む隔壁ペーストが用いられる。ガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率は、80重量%以上85重量%以下である。
まず、ダイコート法などによって、隔壁ペーストが所定の厚みで下地誘電体層13上に塗布される。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で隔壁ペーストが乾燥される。乾燥によって、隔壁ペースト中の溶剤が除去される。次に、例えば井桁パターンのフォトマスクを介して、隔壁ペーストが露光される。次に、隔壁ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存した隔壁ペーストが隔壁パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば500℃から600℃の温度範囲で隔壁パターンが焼成される。焼成によって、隔壁パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、隔壁パターン中のガラスフリットが溶ける。一方、焼成によっても、フィラーは溶けない。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス成分となる。つまり、隔壁14は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。以上の工程によって、隔壁14が形成される。
[2−2−4.蛍光体層15の形成]
蛍光体層15の材料には、蛍光体粒子とバインダと溶剤などとを含む蛍光体ペーストが用いられる。
まず、ディスペンス法などによって、蛍光体ペーストが所定の厚みで隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に塗布される。次に、乾燥炉によって、蛍光体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、蛍光体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、蛍光体ペースト中の樹脂が除去される。以上の工程によって、蛍光体層15が形成される。ディスペンス法の他にも、スクリーン印刷法などを用いることができる。
以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
[2−3.封着用ペースト塗布工程B2]
背面板10の画像表示領域外に封着材料を含む封着用ペーストが塗布される。
[2−3−1.封着材料]
図6に示すように、本実施の形態にかかる封着材料50は、ガラス部材51と球状部材43を含む。ガラス部材51は、ガラス粉末52とフィラー42を含む。
ガラス粉末52は、一例として、Bi、B、ZnO、Vなどを主成分としたガラスである。組成比は、Biが20重量%〜50重量%、Bが20重量%〜40重量%、ZnOが10重量%〜30重量%、Vが0.5重量%〜2.5重量%である。ガラス部材51の軟化点は、460℃から480℃程度である。ガラス粉末52が熱処理されることによって、ガラス部41になる。
ガラス部材51に対して、ガラス粉末52は、50体積%以上90体積%以下であり、フィラー42は、10体積%以上50体積%以下であることが好ましい。つまり、封着材料50の組成比は、封着部40の組成比と同じである。PDP1の製造工程において、封着材料50の特定の材料が損失しないからである。
封着材料50において、フィラー42の最大粒径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。フィラー42の最大粒径が50μmを超えると、アドレス電極12の断線発生率が上昇するからである。フィラー42が、球状部材43とアドレス電極12に挟まれた場合、PDP1の内圧と、大気圧との差によって、アドレス電極12にフィラー42が押し付けられる。フィラー42の最大粒径が50μmを超えると、アドレス電極12がフィラー42からうける力によって、断線発生率が上昇する。
フィラー42の最大粒径が1μm未満になると、ガラス部41の流動性が低下する。ガラス部41の流動性は、フィラー42の一つあたりのせん断力にフィラー42の総数を乗じた値に依存するからである。ガラス部41の流動性が低下すると、前面板2および/または背面板10との密着性が低下する。つまり、封着部40の封着性能が低下する。フィラー42の最大粒径が、1μm以上50μm以下の範囲であると、アドレス電極12の断線発生が抑制される。さらに、ガラス部41の流動性低下が抑制される。
なお、フィラー42の最大粒径は、28μm以上50μm以下であるとより好ましい。ガラス部41の流動性低下をより抑制できるからである。
球状部材43は、前面板2と背面板10との間隔を一定の範囲に保つ作用を有する。球状部材43は、一例として、Al、ZrOなどのセラミクスや、KO−BaO−Al−SiO系ガラスなどを主成分とする。球状部材43は、後述される封着工程における温度では、変形しない。なお、球状部材43は、必ずしも幾何学的に「球形」でなくてもよい。顕微鏡などによる観察によって、概ね「球状」と認められればよい。具体的には、一つの球状部材43における最大径と最小径の比率が1.2未満であることが好ましい。
球状部材43は、ガラス部材51の重量に対して、0.1重量%以上0.17重量%以下であることが好ましい。球状部材43が0.17重量%を超えると、後に詳細に述べるように封着部40の高さが不安定になり、PDP1からの騒音も不安定になるからである。
また、球状部材43が0.1重量%未満になると、PDP1点灯時に発生する騒音が増大するからである。具体的には、球状部材43が0.1重量%未満になると、封着部40の長さ1cmあたりに含まれる球状部材43が1個未満になる領域が発生しやすくなる。この場合、前面板2と背面板10との間隔が設計値より下回る部分が増加する。つまり、前面板2および/または背面板10の周縁において変形する部分が増加する。変形した部分の歪によって、騒音が増大する。
球状部材43が、ガラス部41の重量とフィラー42の重量の和に対して、0.1重量%以上0.17重量%以下の範囲であると、PDP1点灯時の騒音を安定させることができる。
ガラス部材51については、加熱による収縮率が、85%以上95%以下であることが好ましい。収縮率は、ガラス部材51の圧粉体を加熱処理することによって測定される。圧粉体は、5.79gのガラス部材51を約0.2MPaで加圧することによって成形された直径が20mmの円盤形状である。加熱処理に際して、圧粉体が、研磨粉で表面研磨された板ガラス上に載置される。加熱処理は、500℃にて10分間の焼成である。雰囲気は、大気である。その後、流動した試料の直径4点が測定される。4点の平均値を20mmで除算した値が収縮率である。圧粉体は、粒子の集合体なので、内部に空隙が存在する。加熱処理によって、軟化したガラス粉末52によって空隙が埋められる。よって、加熱処理後には、直径が収縮する。収縮率が85%以上95%以下であることは、測定された4点の直径の平均値が17mm以上19mm以下であることを意味する。
収縮率が95%を超えると封着部40の形状が不安定になる。つまり、封着性能が悪化する場合がある。収縮率が85%未満であると、後述するように、前面板2と背面板10との間で封着部40が十分につぶれないので、封着性能が悪化する場合がある。よって、ガラス部材51の、加熱による収縮率が、85%以上95%以下の範囲であると、良好な封着性能が得られる。
なお、ガラス部材51の、加熱による収縮率が、89%以上93%以下であるとより好ましい。より良好な封着性能が得られるからである。なお、収縮率が89%以上93%以下であることは、測定された4点の直径の平均値が17.8mm以上18.6mm以下であることを意味する。
[2−3−2.封着用ペースト]
本実施の形態にかかる封着用ペーストは、封着材料50と、溶媒とを含む。つまり、封着用ペーストは、溶媒に封着材料50が分散したものである。封着用ペーストは、さらに、有機バインダを含んでもよい。粘度の調整が容易になるからである。
(溶媒)
溶媒として、α−ターピネオール、ブチルカービトールなどの水に対して難溶性の溶剤が用いられる。また、多価アルコール誘導体として、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、アリルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、グリシドール、テトラヒドロフルフィリルアルコール、t−ブタノール、フリフリルアルコール、プロパルギルアルコール、1−プロパノール、メタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、15−クラウン−5、18−クラウン−6、酸化プロピレン、1,4−ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドラフラン、アセトアルデヒド、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、γ−ブチロラクトン、グリセリン、グリセリン1,2−ジメチルエーテル、グリセリン1,3−ジメチルエーテル、グリセリン1−アセタート、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールクロロヒドリン、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールなどのような水に対して自由混合できる溶剤を用いることができる。
(有機バインダ)
有機バインダとして、平均分子量3万から20万の、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アクリル樹脂などが用いられる。また、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)やPVA(ポリビニルアルコール)などの高分子を添加することもできる。
また、必要に応じて、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、アビエチン酸メチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸−2−エチルヘキシン、2−ニトロビフェニル、ジノニルナフタリン、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルのいずれか1つ以上の可塑剤が添加されてもよい。
封着用ペーストは、上述の材料を混合し、かつ、分散することにより得られる。具体的には、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロールなどの各種混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
[2−3−3.封着用ペーストの塗布]
封着用ペーストの塗布には、スクリーン印刷法、ディスペンス法、インクジェット法などが用いられる。特に、ディスペンス法は、一つないし複数のノズルを有する口金の吐出ノズル先端から封着用ペーストを吐出する方法である。ディスペンス法は、スクリーン印刷法などに比べると、材料の使用効率が高い。
また、スクリーン印刷法は、封着用ペーストが開放系で存在する。よって、有機成分の揮発などの影響を考慮する必要が生じる。
一方、ディスペンス法では、封着用ペーストが閉鎖系で存在する。よって、封着用ペーストにおいて粘度の変化が少なく塗布量が一定で安定するという特徴を有する。
[2−3−4.封着用ペーストの仮焼成]
塗布された封着用ペーストは、350℃程度の温度で仮焼成される。仮焼成によって、溶剤成分などが除去される。仮焼成によって、封着用ペーストは、一定の形状に保たれる。
[2−4.封着工程C1から放電ガス供給工程C3まで]
前面板2と背面板10とが対向配置される。次に、前面板2と背面板10の周縁部が封着材料50により封着される。その後、放電空間16に放電ガスが封入される。
本実施の形態にかかる封着工程C1、排気工程C2、および放電ガス供給工程C3は、同一の装置において、図7に例示された温度プロファイルに基づいて処理を行う。
図7における封着温度とは、前面板2と背面板10とが封着材料50により封着されるときの温度である。本実施の形態における封着温度は、例えば約490℃である。軟化点とは、ガラス粉末52が軟化する温度である。本実施の形態における軟化点は、例えば約430℃である。排気温度とは、放電空間内に含まれていた大気などが、放電空間から排気されるときの温度である。本実施の形態における排気温度は、例えば約400℃である。
まず、封着工程C1において、温度は、室温から封着温度まで上昇する。温度上昇によって、仮焼成後の封着用ペーストに残留していた有機バインダが除去される。次に、温度は、a−bの期間、封着温度に維持される。封着温度に維持されることによって、ガラス粉末52は、軟化する。つまり、仮焼成で形成された封着用ペーストが、前面板2と背面板10との間で潰れることによって、封着部40が形成される。ガラス粉末52は、軟化することによって、ガラス部41に転じる。そして、前面板の誘電体層と背面板の下地誘電体層とを形成するガラス成分も軟化し、球状部材43の一部が誘電体層および下地誘電体層に沈み込む。その後、温度は、b−cの期間に封着温度から排気温度に下降することで、球状部材が沈み込んだ状態で、誘電体層、下地誘電体層および封着部材が硬化する。そして、b−cの期間において、放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。
その後、排気工程C2において、温度は所定の期間、排気温度に維持される。放電空間内の排気は継続される。その後、温度は、室温程度まで下降する。
最後に、放電ガス供給工程C3において、放電空間内に放電ガスが導入される。つまり、温度が室温程度に下がった以降の期間に放電ガスが導入される。
[3.検証]
各々のPDPについて、球状部材43の沈み込み量に対するPDPのノイズ発生について実験をおこなった。結果は図9に示している。
球状部材43の沈み込み量は誘電体層8の表面から沈み込んだ分の距離と下地誘電体層13の表面から沈み込んだ分の距離との合計である。
また、総厚差σは、封着部40が形成される領域における前面ガラス板の外側から背面ガラス板外側までの距離を、表示部領域における前面ガラス板の外側から背面ガラス板外側までの距離で引いた厚差を複数個所で測定し、複数個所の総厚差のバラつき度合いを示している。したがって総厚差σの値が小さいほど、バラつきがより小さく、前面板と背面板間の距離が面内においてより一定の値をとる。
さらにノイズAveは、面内の複数個所で測定したノイズの平均値である。ノイズσはノイズ複数個所で測定されたノイズのバラつき度合いを示している。したがって、ノイズσの値が小さいほど、ノイズのバラつきがより小さい。なお、ノイズ測定は、減圧チャンバーにPDPをセットし、2200m相当の高地条件(780hPa)でPDPから発生するノイズをマイクによって面内をずらしながら受け、PDPから1mはなれているところでノイズレベルを測定した。測定箇所は77箇所とした。
[3−1.比較例1]
比較例1では、ガラス部材51の重量に対して、0.083重量%の球状部材43が形成されている。このとき、球状部材43は誘電体層8の表面への沈み込み量と下地誘電体層13の沈み込み量との合計は、平均12.1μm沈み込んでいることがわかった。
このとき、総厚差σの値は1.6、ノイズAveは23.6dB、ノイズσは0.5であった。
[3−2.実験例2]
実験例2では、ガラス部材51の重量に対して、0.125重量%の球状部材43が形成されている。このとき、球状部材43は誘電体層8の表面への沈み込み量と下地誘電体層13の沈み込み量との合計は、平均6.5μm沈み込んでいることがわかった。
このとき、総厚差σの値は2.5、ノイズAveは23.5dB、ノイズσは0.4であった。
[3−3.実験例3]
実験例3では、ガラス部材51の重量に対して、0.167重量%の球状部材43が形成されている。このとき、球状部材43は誘電体層8の表面への沈み込み量と下地誘電体層13の沈み込み量との合計は、平均2.7μm沈み込んでいることがわかった。
このとき、総厚差σの値は3.1、ノイズAveは21.7dB、ノイズσは0.2であった。
[3−4.比較例4]
比較例4では、ガラス部材51の重量に対して、0.250重量%の球状部材43が形成されている。このとき、球状部材43は誘電体層8の表面への沈み込み量と下地誘電体層13の沈み込み量との合計は、0μmであった。
このとき、総厚差σの値は3.7、ノイズAveは21.9dB、ノイズσは0.5であった。
[3−5.結果]
比較例4に示すように、球状部材43の沈み込み量がより小さいほど、総厚差のバラつきが大きい。その結果、PDPの面内で発生するノイズのバラつきがより大きい。
さらに、比較例1に示すように、球状部材43の沈み込み量がより大きいほど、総厚差のバラつきは小さい。しかし、面内で発生するノイズが悪化するとともに、ノイズのバラつきも大きい。
したがって、実験例2、実験例3に示すように、球状部材43の沈み込み量が0より大きく、7μm以下を満たす場合、面内で発生するノイズが抑制され、さらにノイズのバラつきもより小さい。
[4.まとめ]
本実施の形態にかかる封着材料50は、ガラス部材51と、球状部材43と、を備える。ガラス部材51は、50体積%以上90体積%以下のガラス粉末52と10体積%以上50体積%以下のフィラー42とを有する。フィラー42の最大粒径は、1μm以上50μm以下である。球状部材43の含有率は、ガラス部材51に対して0.1重量%以上0.17重量%以下である。そして、球状部材が前記誘電体層もしくは前記下地誘電体層の最表面から合計0μmより大きく7μm以下の範囲で沈み込んでいることを特徴とする。
本実施の形態にかかる封着材料を備えるPDPによれば、PDP1点灯時の騒音を安定させることができる。
本発明は、PDP1のみならず、二枚の基板によって構成され、それらの周縁部において一定の間隔で張り合わされて中空構造を有する表示装置にとっても適用可能である。
本発明は、PDPなど高品質の表示装置を提供する上で、広く有用である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a、5a 透明電極
4b、5b バス電極
5 維持電極
6 表示電極
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
24 縦隔壁
26 横隔壁
40 封着部
41 ガラス部
42 フィラー
43 球状部材
50 封着材料
51 ガラス部材
52 ガラス粉末
151 赤色蛍光体層
152 青色蛍光体層
153 緑色蛍光体層

Claims (3)

  1. 前面板と背面板とが放電空間を介して配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
    前記前面板は前面ガラス基板上に誘電体層を有し、
    前記背面板は背面ガラス基板上に下地誘電体層を有し、
    前記前面板と前記背面板との間は
    ガラス部材と、
    球状部材と、
    を備える封着部材で封着され、
    前記ガラス部材は、50体積%以上90体積%以下のガラス粉末と10体積%以上50体積%以下のフィラーとを有し、
    前記フィラーの最大粒径は、1μm以上50μm以下であり、
    前記球状部材の含有率は、前記ガラス部材に対して0.1重量%以上0.17重量%以下であり、
    前記球状部材が前記誘電体層もしくは前記下地誘電体層の最表面から合計0μmより大きく7μm以下の範囲で沈み込んでいることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記ガラス部材の加熱による収縮率は、85%以上95%以下である、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記ガラス部材の加熱による収縮率は、89%以上93%以下である、請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
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