JP2013087733A - エンジンの吸気制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スロットルボディ及びバルブボディの締結面には殆ど剪断荷重が作用せず,バルブボディ系の耐久性が高く,しかもスロットルボディの重量バランスが良いエンジンの吸気制御装置を提供する。
【解決手段】スロットルボディ2の上側壁に上向きの取り付け面15aを形成し,スロットルボディの上側壁から,取り付け面15aに締結されるバルブボディ16にわたりバイパス18を形成し,バルブボディ16には,バイパス18の一部と重なるバルブガイド孔20を,その軸線Bが水平面Hに対して角度θをなすように形成し,このバルブガイド孔20に,その下側のバルブシート面20aに開口するバイパス18の計量孔18dを開閉するバイパスバルブ30を嵌装し,このバイパスバルブ30を開閉駆動するモータ27を,バルブガイド孔20の高所側でバルブボディ16に取り付けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は,吸気道を有するスロットルボディに,前記吸気道を開閉するスロットルバルブのバルブ軸を水平姿勢で回転自在に支承し,このバルブ軸の一端に連結されるスロットル作動部材をスロットルボディの一側に配置し,その他側には,スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサを収容するセンサボックスを取り付け,前記スロットルバルブより上流の吸気道に開口する入口孔と,前記スロットルバルブより下流の吸気道に開口する出口孔とを両端部に有するバイパスの中間部に,これを開閉するバイパスバルブを設け,このバイパスバルブに,それを開閉駆動するモータを連結した,エンジンの吸気制御装置の改良に関する。
かゝるエンジンの吸気制御装置は,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
特開2002−332936号公報
従来のかゝるエンジンの吸気制御装置では,スロットルボディに鉛直方向の取り付け面を形成し,この取り付け面に,重量が比較的重い電動モータを支持するバルブボディが締結されるので,エンジンを搭載した車両の運転に伴なう上下振動時,スロットルボディ及びバルブボディの締結面及び締結用ボルトに剪断荷重が加えられ,バルブボディがスロットルボディに対してずれる可能性がある。またスロットルボディの一側に,バルブボディ,バイパスバルブ,電動モータ及びスロットルセンサ等が集中的に配設されるので,スロットルボディの両側に加えられる重量のバランスが悪い。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,スロットルボディ及びバルブボディの締結面,並びに締結用のボルトには殆ど剪断荷重が作用せず,バルブボディ系の耐久性が高く,しかもスロットルボディの重量バランスが良い前記エンジンの吸気制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,吸気道を有するスロットルボディに,前記吸気道を開閉するスロットルバルブのバルブ軸を水平姿勢で回転自在に支承し,このバルブ軸の一端に連結されるスロットル作動部材をスロットルボディの一側に配置し,その他側には,スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサを収容するセンサボックスを取り付け,前記スロットルバルブより上流の吸気道に開口する入口孔と,前記スロットルバルブより下流の吸気道に開口する出口孔とを両端部に有するバイパスの中間部に,これを開閉するバイパスバルブを設け,このバイパスバルブに,それを開閉駆動するモータを連結した,エンジンの吸気制御装置において,前記スロットルボディの上側壁の上面に取り付け面を形成し,前記スロットルボディの上側壁から,前記取り付け面に締結されるバルブボディにわたり前記バイパスを形成し,また前記バルブボディには,前記バイパスの一部と重なるバルブガイド孔を,その軸線が水平面に対して角度をなすように形成すると共に,このバルブガイド孔の下側のバルブシート面に開口して前記出口孔に連なる前記バイパスの一部を計量孔とし,前記バルブガイド孔に前記計量孔を開閉する前記バイパスバルブを摺動可能に嵌装し,このバイパスバルブをねじ機構を介して開閉駆動する前記モータを,前記バルブガイド孔の高所側で前記バルブボディに取り付けたことを第1の特徴とする。尚,前記モータは,後述する本発明の実施形態中の電動モータ27に,またスロットル作動部材はスロットルドラム8にそれぞれ対応する。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記バルブシート面を平面に形成する一方,前記バイパスバルブを,前記バルブシート面に対向する平坦な下面を有する底壁と,この底壁の両側端から立ち上がる両側壁と,前記底壁の前端及び後端より起立する前端壁及び後端壁とよりなっていて,上側面を開放面とした箱形に構成して,前記バルブシート面及び前記底壁の下面との当接により前記バイパスバルブの前記バルブガイド孔内での回転を阻止するようにし,前記ねじ機構を,前記バイパスバルブ内に前記開放面から収容されると共に,コイルばねにより前記後端壁との当接位置に保持され,内部に前記バルブガイド孔の軸方向に延びるねじ孔を有するスライドピースと,前記モータの回転出力軸に連設されて前記ねじ孔に螺合されるねじ軸とで構成し,前記後端壁には,これを軸方向に貫通して上下方向に延びる規制溝を形成する一方,前記スライドピースには,前記後端壁の内面に当接するストッパフランジと,このストッパフランジの後端面に突設されて規制溝に係合して該スライドピースの回転を阻止すると共に,前記前記バイパスバルブ及び前記スライドピース間の上下方向及び横幅方向の相対変位を許容する回り止め突起とを形成し,前記バルブガイド孔を,前記モータと反対側のその前端面がバイパスの中間部内周から起立する肩部となるように形成し,この肩部に前記バイパスバルブの前端を受け止めてその全開位置を規制するようにしたことを第2の特徴とする。
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,前記バルブボディに,前記モータを嵌装するモータハウジングを形成し,このモータハウジングの下面に,前記バルブボディに連設されて前記スロットルボディに支承される補強部を形成したことを第3の特徴とする。
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記ストッパフランジ及び前記後端壁の当接面を,前記コイルばねの荷重により該当接面間に前記バイパスバルブを前記バルブシート面側に押圧する分力が発生するよう斜面に形成したことを第4の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,スロットルボディ及びバルブボディの締結面は,重力方向と交差する配置となるので,エンジンを搭載した車両の走行中,スロットルボディ及びバルブボディに激しい上下振動が加えられても,スロットルボディ及びバルブボディの締結面,並びに締結用のボルトには殆ど剪断荷重が作用せず,これによりバルブボディのずれを防いで,バルブボディ系の耐久性の向上を図ることができる。
また重量物のモータを支持するバルブボディがスロットルボディの上側壁に取り付けられることで,スロットル駆動部材,センサボックス及びバルブボディは,スロットルボディの両側面及び上面に分散して配置されることになり,スロットルボディに加えられる重量のバランスを図ることができる。
しかもモータは,バイパスより高所に配置されることになるから,バイパスに侵入した異物はモータ側へ上り難く,モータへの異物の侵入防止に寄与し得る。
本発明の第2の特徴によれば,スライドピース及びバイパスバルブはコイルばねにより軸方向にガタ無く連結されるので,バイパスバルブはスライドピースの軸方向移動に遅れなく追従することができる。しかも,スライドピース及びバイパスバルブは,回り止め突起及び規制溝37の係合部において上下方向Y及び横幅方向Xにおいて相対変位が可能であるから,バルブガイド孔内でバルブシート面に密着するバイパスバルブに対してモータの回転出力軸が偏心していても,バイパスバルブに対するスライドピースの上下方向及び横幅方向Xの変位により上記偏心を吸収することができる。したがって,構造が複雑なオルダムジョイントを用いずとも,電動モータの出力軸及びバイパスバルブに偏荷重が作用することを防ぐことができるので,バイパスバルブをバルブシート面に密着させた適正な姿勢をもってスムーズに摺動させることができる。
またバルブガイド孔の下側面が,スロットルバルブより下流の吸気道に連なる計量孔が開口するバルブシート面になっているので,バイパスバルブは,中間開度ないし全閉の位置にあるとき,重力と,エンジンの吸気負圧の作用によりバルブシート面に確実に密着することができ,計量孔の開度調節を精確に行うことができる。
さらにバルブガイド孔及びバイパスバルブは,それぞれの下側面が平面になっているので,バルブガイド孔及びバイパスバルブ間の摺動間隙の範囲内でバイパスバルブが横幅方向に移動することがあっても,バイパスバルブにより調節された計量孔の開度に変動を生じさせることはない。のみならず,バルブガイド孔及びバイパスバルブのそれぞれの下側面が平面になっていることで,バイパスバルブのバルブガイド孔内での回転を簡単に阻止でき,ねじ機構の作動を確実にさせることができる。
吸気制御装置の組み立てに際して,上側面を開放面とした箱形のバイパスバルブ内に,その開放面からスライドピースをコイルばねと共に収納してから,バイパスバルブをバルブガイド孔に嵌装すれば,バイパスバルブの上方開放面はバルブガイド孔の上側面で閉鎖されるから,ガイドピースの前記上方開放面からの離脱を防ぐことができ,したがってガイドピースの特別な離脱防止手段が不要であり,組立性を良好にすると共に,構造の簡素化を図ることができる。しかも,上側面を開放面とした箱形のバイパスバルブ内の収容空間は,上側面を開放面とした分,広い横断面を持つことになるので,バイパスバルブのコンパクト化を図りながら,その収容空間にコイルばね及びスライドピースを容易に収容することができる。
またバイパスバルブ及びバルブガイド孔は,それぞれの横断面が方形をなすことになるので,バイパスバルブが全開位置を占めるときは,バルブガイド孔には,バイパスに連通する大なる容積の膨張室がバイパスバルブの前端面によって画成されることになり,バイパスにおける吸気の流れを上記膨張室で効果的に減衰させ,その吸気中に含まれる異物のバイパスバルブ側への侵入を防ぐことができる。
またバルブガイド孔を,その前端面がバイパスの中間部内周から起立する肩部となるように形成し,この肩部にバイパスバルブの前端を受け止めてその全開位置を規制するようにしたので,バイパスバルブの全閉位置を規制する特別なストッパ部材をバルブボディに設けずに済み,構造の簡素化を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,比較的重量が重いモータを支持するモータハウジングを補強部を介してスロットルボディ側に支持させることになり,モータハウジングのモータに対する支持剛性が強化され,上下振動に対する電動モータ系の耐久性の向上を図ることができる。
本発明の第4の特徴によれば,前記コイルばねのセット荷重を利用して,バイパスバルブを,計量孔の上流端が開口するバルブガイド孔のバルブシート面に押しつけることができ,したがって振動によるバイパスバルブの浮き上がりを防ぎ,計量孔の開度調節をより精確に行うことができる。
本発明の実施形態に係るエンジンの吸気制御装置をエンジンへの取り付け状態で示すもので,(A)は側面図,(B)はエアクリーナを取り除いて示す背面図。 図1(B)の2−2線断面図。 図2の3−3線断面図。 図2の要部の分解斜視図。
本発明の実施形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず,図1において,自動二輪車の車体に搭載されたエンジンEに吸気管1を介してスロットルボディ2が取り付けられる。このスロットルボディ2は,吸気管1を通してエンジンEの吸気ポートに連通する吸気道3を中心部に有する。スロットルボディ2の上流端にはエアクリーナ4が接続され,吸気管1には,エンジンEの吸気ポートに向けて燃料を噴射し得る燃料噴射弁5が装着される。スロットルボディ2は,エンジンEへの取り付け状態において,吸気道3の軸線Aが水平面Hに対して上流側を上向きにした角度θをなすように傾斜して配置される。
図1及び図2において,スロットルボディ2の中間部には,吸気道3の軸線Aと直交して水平に配置されるバルブ軸6が回転自在に支承され,このバルブ軸6には,吸気道3を開閉するバタフライ型のスロットルバルブ7が固着される。バルブ軸6の一端には,スロットル操作部材(図示せず)に連なる操作ワイヤを接続するスロットルドラム8が固着され,このスロットルドラム8と反対側のスロットルボディ2の側面にセンサボックス9が取り付けられる。このセンサボックス9には,スロットルバルブ7の開度を検知するスロットルセンサ10,吸気道3の下流側のブースト負圧を検出する負圧センサ11,並びにこれらセンサの出力信号や,その他エンジンEの運転情報を得て後述する電動モータ27の作動を制御する電子制御ユニット12が収められる。
図2に注目して,スロットルボディ2の上側壁には,スロットルバルブ7を跨ぐ一定の領域を他の部分より肉厚とする支持台15が形成される。この支持台15には,吸気道3の軸線Aと平行な上向きの取り付け面15aが形成され,その取り付け面15aに,バルブボディ16が重ねられ,そしてボルト17により支持台15に締結される。
支持台15及びバルブボディ16には,スロットルバルブ7を迂回して吸気道3の上流部及び下流部間を連通するバイパス18が形成される。このバイパス18は,スロットルバルブ7より上流の吸気道3に開口するように支持台15に設けられる入口孔18aと,支持台15からバルブボディ16にかけて設けられる縦孔18bと,入口孔18a及び縦孔18bの中間部で支持台15からバルブボディ16にかけて設けられる上下方向の計量孔18dと,この計量孔18dを迂回して入口孔18a及び縦孔18b間を連通するように前記取り付け面15aに形成される下部連通溝18cと,縦孔18b及び計量孔18d間を連通するようにバルブボディ16に設けられる上部連通溝18eと,計量孔18dをスロットルバルブ7より下流の吸気道3に連通するように支持台15に設けられる出口孔18fとで構成される。而して,スロットルバルブ7の全閉時,バイパス18を流れるエンジンEの吸気は,入口孔18a,下部連通溝18c,縦孔18b,上部連通溝18e,計量孔18d及び出口孔18fを順次通過することになる。取り付け面15aとバルブボディ16の下面との間には,バイパス18の各部を囲むシール部材19が介装される。
さらにバルブボディ16には,計量孔18dの上流側開口端を横切りながら上部連通溝18eの下流端部と一部が重なるバルブガイド孔20が設けられる。このバルブガイド孔20は,その軸線Bが吸気道3の軸線Aと平行となるように配置される。したがって,バルブガイド孔20は,その軸線Bが水平面Hに対して吸気道3の上流側を上向きにした角度θをなすように配置される。
またバルブボディ16の高所側の端部には円筒状のモータハウジング21が一体に連設され,このモータハウジング21には,バルブガイド孔20の高所側の後端に環状段部22を介して連なるモータ装着孔23と,このモータ装着孔23の後端に連なる,それより大径で環状のシール凹部24とが設けられる。モータハウジング21の下面には,バルブボディ16に一体に連なり且つスロットルボディ2の支持台15に支承される補強部25が突設される。
図2〜図4において,バルブガイド孔20には,モータ装着孔23側からバイパスバルブ30が摺動自在に嵌装される。これらバルブガイド孔20及びバイパスバルブ30は,断面が方形をなしていて,バルブガイド孔20内でのバイパスバルブ30の回転を不能にしている。
この方形断面のバルブガイド孔20は,その低所側の前端が前記上部連通溝18eの中間位置で終っていて,その各一辺の長さが円形断面の上部連通溝18eの内径より長くなっている。したがって,バルブガイド孔20の前端壁は,上部連通溝18eの中間部内周から起立する肩部20bを形成することになる。
モータ装着孔23には電動モータ27の固定円筒部27aが嵌装され,シール凹部24には,固定円筒部27aの基端外周面に密接するOリング28が装着される。その際,固定円筒部27aの端面と環状段部22との間には,固定円筒部27aの端面より突出する回転出力軸27bの外周面に密接する円板状のシール部材29が挟持される。そして電動モータ27はモータハウジング21にボルト30により締結される。電動モータ27は,後端部側方に突出するカプラ31を備えている。
電動モータ27の回転出力軸27bは,ねじ機構33を介してバイパスバルブ30に連結される。ねじ機構33は,バイパスバルブ30に回転不能に支持され,中心部にねじ孔42を有するスライドピース34と,前記回転出力軸27bに一体に連設されてスライドピース34のねじ孔42に螺合されるねじ軸35とで構成される。而して,回転出力軸27b即ちねじ軸35を回転すれば,回転不能のスライドピース34は軸方向に送られ,このスライドピース34がバイパスバルブ30を全閉位置と全開位置との間で軸方向に移動させることができる。バイパスバルブ30の全閉位置は,バイパスバルブ30が前記肩部20bに当接して計量孔18dの上流端を閉鎖する前進位置であり,バイパスバルブ30の全開位置は,バイパスバルブ30が計量孔18dの上流端を全開にする後退位置である。
図2及び図4に明示するように,スライドピース34の前端部には,これを横幅方向に貫通する横孔36が穿設され,前記ねじ孔42の先端は,この横孔36に開口して終わっている。
一方,前記ねじ軸35は,その先端部が球状端部35cに形成され,その球状端部35cが横孔36の円筒状内面に当接することで,バイパスバルブ30の前記全開位置が規制されるようになっている。
バイパスバルブ30は,前記肩部20bに対向する前端壁30aと,電動モータ27側の後端壁30bと,この両端壁30a,30b間を一体に連結して相対向する側壁30c,30c及び底壁30dとよりなっていて,上面を開放面30eとした箱形をなしている。その底壁30dの下面は平坦面になっており,後端壁30bには,これを軸方向及び上下方向に貫通する規制溝37が設けられる。
一方,スライドピース34は,バイパスバルブ30内に配置される円筒部34aと,この円筒部34aの後端に形成されて,前記後端壁30bの内面に当接するストッパフランジ34bと,このストッパフランジ34bの後端面に突設されて規制溝37に摺動自在に面接触する回り止め突起34cとよりなっており,ストッパフランジ34b及び規制溝37の対向面間には間隙44が設けられる。したがって,スライドピース34及びバイパスバルブ30は,上下方向Y及び横幅方向Xに相対変位が可能になっている。
また前記前端壁30aとストッパフランジ34bとの間には,スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38が縮設される。このコイルばね38は,そのセット荷重によりバイパスバルブ30を,ストッパフランジ34bと後端壁30bとの当接位置に保持するもので,これによりスライドピース34及びバイパスバルブ30間を常に軸方向にガタ無く連結する。
またバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20においては,バイパスバルブ30のバルブシート面20aから浮き上がりを防ぐべく,上下方向Yの間隙39はバイパスバルブ30の摺動を可能にする範囲で極力小さく管理されるが,バイパスバルブ30の横幅方向Xの変位は,バイパスバルブ30のバルブシート面20aからの浮き上がりに影響しないので,横幅方向Xの間隙40については比較的ラフな管理が可能となる。
前記ストッパフランジ34bと後端壁30bとの当接面41,41′は,下方に向かってコイルばね38側に寄るように傾斜しており,したがって,両当接面41,41′がコイルばね38のセット荷重で互いに押圧されると,両当接面41,41′間に後端壁30b即ちバイパスバルブ30を下方に押圧する分力が発生し,これによりバイパスバルブ30を,計量孔18dの上流端が開口するバルブガイド孔20のバルブシート面20aに押しつけるようになっている。しかも,バルブガイド孔20及びバイパスバルブ30は,横断面が方形をなしていて,それぞれの下側面が平面になっているので,バルブガイド孔20及びバイパスバルブ30間の前記間隙40の範囲内でバイパスバルブ30がその軸線と直交する横幅方向Xに移動することがあっても,バイパスバルブ30により調節された計量孔18dの開度に変動を生じさせることはない。
スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38には,前記横孔36を覆う密着巻き部38aが形成され,この密着巻き部38aにより,バイパスバルブ30内に侵入したダスト(バックファイヤガスに含まれる煤など)の横孔36への侵入を防ぐことができ,したがって上記ダストのねじ孔42及びねじ軸35の螺合部への侵入を防ぐことができ,ねじ機構33のスムーズな作動が保証される。
次に,この実施例の作用について説明する。
スロットルバルブ7の全閉時,スロットルボディ2の一側面に取り付けられたセンサボックス9内の電子制御ユニット12が,スロットルバルブ開度,エンジンの吸気負圧,吸気温,エンジン温度,エンジン回転数等のエンジンの運転条件に関する情報に基づいて,エンジン始動時,ファストアイドリング時,通常アイドリング時,エンジンブレーキ時など,エンジンの運転条件に対応したバイパスバルブ25の最適開度を得べく,電動モータ28への通電を制御して,電動モータ27の回転出力軸27bを正転又は逆転させる。ロータ28aが回転又は逆転すると,その回転はねじ機構27により減速されながらスライドピース34を介してバイパスバルブ25に軸方向変位として伝達されるので,バイパスバルブ25の開度調節をきめ細かく行うことができる。
而して,ねじ機構33のねじ軸35がバイパスバルブ30を後方へ引き寄せて,その先端の球状部35aをバイパスバルブ30の横孔36の内面に突き当てることで,バイパスバルブ30の全開位置(図2参照)が規制され,このとき計量孔18dは全開となる。またねじ機構33のねじ軸35がバイパスバルブ30を前方へ送り出して,バイパスバルブ30の前端をバルブボディ16の肩部20bに当接させることで,バイパスバルブ30の全閉位置が規制され,このとき計量孔18dは全閉となる。そしてバイパスバルブ30の上記全開位置及び全閉位置間の中間位置により計量孔18dの開度が調節される。この計量孔18dの開度により,バイパス15を流れる吸気量がきめ細かく制御され,エンジン始動,ファストアイドリング,通常アイドリング,エンジンブレーキ等に対応することができる。
スロットルバルブ7を開放していけば,その開度に応じた量の吸気が吸気道3を通してエンジンに供給され,エンジンは出力運転域に移っていく。
ところで,スライドピース34及びバイパスバルブ30はコイルばね38により軸方向にガタ無く連結され,バイパスバルブ30はスライドピース34の軸方向移動に遅れなく追従することができる。しかも,スライドピース34及びバイパスバルブ30は,回り止め突起34cと規制溝37との面接触部において上下方向Y及び横幅方向Xにおいて相対変位が可能であるから,バルブガイド孔20内でバルブシート面20aに密着するバイパスバルブ30に対して,製作誤差により電動モータ27の回転出力軸27bが偏心していても,バイパスバルブ30に対するスライドピース34の上下方向Y及び横幅方向Xの変位により上記偏心を吸収することができる。したがって,構造が複雑なオルダムジョイントを用いずとも,電動モータ27の回転出力軸27b及びバイパスバルブ30に偏荷重が作用することを防ぐことができるので,バイパスバルブ30をバルブシート面20aに密着させた適正な姿勢をもってスムーズに摺動させることができる。またスライドピース34及びバイパスバルブ30間を軸方向に連結するコイルばね38の固定端は,バイパスバルブ30の前端壁30aで支承されるので,その固定端を支承する専用のリテーナ部材も不要となり,以上により吸気制御装置の部品点数の削減及び構造の簡素化をもたらすことができる。
また,バルブガイド孔20の下側面が,スロットルバルブ7より下流の吸気道3に連なる計量孔18dが開口するバルブシート面20aになっているので,バイパスバルブ30は,中間開度ないし全閉の位置にあるとき,重力と,エンジンEの吸気負圧の作用とによりバルブシート面20aに確実に密着することができる。
さらに,スライドピース34のストッパフランジ34bと,バイパスバルブ30の後端壁30bとの当接面41,41′は,下方に向かってコイルばね38側に寄るように傾斜していて,コイルばね38のセット荷重を受けると,バイパスバルブ30を下方に押圧する分力を発生させるので,これによってもバイパスバルブ30はバルブシート面20aに押しつけられ,バルブシート面20aにより確実に密着することができ,したがって振動によるバイパスバルブ30の浮き上がりを防ぎ,計量孔18dの開度調節を精確に行うことができる。
またバイパスバルブ30の全開位置の規制は,バイパスバルブ30自体に設けられる横孔36の円筒状内周面にねじ軸35の球状端部35aが当接することで規制されるので,その規制専用のストッパ部材をバイパスバルブ30に設ける必要がなく,部品点数の削減及び構造の簡素化に寄与し,コストの低減を図ることができる。
しかも,ねじ軸35の球状端部35aと横孔36の円筒状内周面との当接部は,接触面積が比較的広い面接触となるので,その当接部の面圧を低く抑えてその耐摩耗性を高め,バイパスバルブ30の全開位置精度を長期にわたり適正に維持することができる。
上記ねじ軸35が螺合するねじ孔42をスライドピース34に加工する際には,それに先立ってねじ孔42の下孔と横孔36とを交差するようにドリル加工し,その後,上記下孔にねじ孔をリーマ加工するもので,そうすることにより,ねじ孔42の加工不足を確実に防ぐことができるのみならず,その際に発生する切粉を横孔36からスムーズに排出することができ,またねじ孔42の洗浄時には,残留する切粉を横孔36からスムーズに排出することができるので,高精度のねじ孔42を得ることができる。
この吸気制御装置の組み立てに際しては,先ずコイルばね38を装着したスライドピース34を,コイルばね38を縮めながらバイパスバルブ30内にその開放面30eから収納して,スライドピース34の回り止め突起34cをバイパスバルブ30の規制溝37に係合しながら,ストッパフランジ34bをバイパスバルブ30の後端壁30b内面に当接させる。それからシール部材29及びOリング28を装着した電動モータ27側のねじ軸35をスライドピース34のねじ孔42に螺合して,電動モータ27及びバイパスバルブ30の組立体を構成する。尚,最初にスライドピース34のねじ孔42にねじ軸35を螺合し,その後,スライドピース34をコイルばね38と共に,バイパスバルブ30内に開放面から収納してもよい。何れにせよ,バイパスバルブ30及びスライドピース34相互の組み立てが容易であり,延いては電動モータ27及びバイパスバルブ30の組立体の組立性が向上する。
次に,上記組立体のバイパスバルブ30をバルブボディ16のバルブガイド孔20に嵌装する。このとき,バイパスバルブ30の開放面30eはバルブガイド孔20の上側面で閉鎖されるから,バイパスバルブ30の開放面30eからのスライドピース34の離脱を防ぐことができ,したがってスライドピース34のための特別な離脱防止手段が不要であり,組立性を良好にすると共に,構造の簡素化を図ることができる。しかも,上側面を開放面30eとした箱形のバイパスバルブ30内の収容空間は,上側面を開放面30eとした分,広い横断面を持つことになるので,バイパスバルブ30のコンパクト化を図りながら,その収容空間にコイルばね38及びスライドピース34を容易に収容することができる。
続いて,電動モータ27をモータハウジング21のモータ装着孔23に嵌装した後,ボルト32で電動モータ27をモータハウジング21に締結して,バルブボディ16及び電動モータ27の組立体を構成する。
そして,この組立体のバルブボディ16を,スロットルボディ2の支持台15の上向きの取り付け面15aに載せて,ボルト17により支持台15に締結する。これら支持台15及びバルブボディ16の締結面は,重力方向と交差する配置となるので,エンジンEを搭載した車両の走行中,スロットルボディ2及びバルブボディ16に激しい上下振動が加えられても,前記支持台15及びバルブボディ16の締結面,並びに締結用のボルト17には殆ど剪断荷重が作用せず,これによりバルブボディ16のずれを防いで,バルブボディ16系の耐久性の向上を図ることができる。
また重量物の電動モータ27を支持するバルブボディ16がスロットルボディ2の上側壁の支持台に取り付けられることで,スロットルドラム8,センサボックス9及びバルブボディ16は,スロットルボディ2の両側面及び上面に分散して配置されることになり,スロットルボディ2に加えられる重量のバランスを図ることができ,これによりスロットルボディ2と吸気管1との連結部に偏荷重が作用することを回避し得る。
またモータハウジング21の下面には,バルブボディ16に一体に連なり且つスロットルボディ2の支持台15に支承される補強部25が突設されるので,比較的重量が重い電動モータ27を支持するモータハウジング21を補強部25を介してスロットルボディ2側に支持させることになり,モータハウジング21の電動モータ27に対する支持剛性が強化され,上下振動に対する電動モータ27系の耐久性の向上を図ることができる。
エンジンEの運転中,ブローバイガスやEGRガス中のオイル,水分等の異物がバイパス18を侵入することがあり,その異物がバルブガイド孔20を通過して電動モータ27側へ侵入しようとしても,電動モータ27及びモータハウジング21間に介装されるシート部材29により電動モータ27への異物の侵入を防ぐことができる。しかも,モータハウジング21は,軸線Bを水平面Hに対し角度θをなして配置されるバルブガイド孔20の高所側に配置されるので,異物は,バルブガイド孔20から高所の電動モータ27へは上り難く,異物の電動モータ27への侵入防止に寄与し得る。したがって電動モータ28が異物の凍結あるいは堆積により作動不良を起こすことを未然に防ぐことができる。
方形断面のバルブガイド孔20は,その低所側の前端が前記上部連通溝18eの中間位置で終っており,その各一辺の長さが円形断面の上部連通溝18eの溝幅及び深さより長くなっている。
而して,バルブガイド孔20の前端壁は,上部連通溝18eの中間部内周から起立してバイパスバルブ30の全閉位置を規制する肩部20bを形成する。したがって,バイパスバルブ30の全閉位置を規制する特別なストッパ部材をバルブボディ16に設けずに済み,構造の簡素化を図ることができる。
しかもバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20の横断面が方形であることから,上記方形の一辺の長さを直径とする円形断面のバイパスバルブ及びバルブガイド孔を採用した場合に比して,前記肩部20bとバイパスバルブ30との当接面積を広く確保できて,バイパスバルブ30の耐久性の向上に寄与し得る。
さらにバイパスバルブ30及びバルブガイド孔20の横断面が方形をなすことで,バイパスバルブ30が全開位置を占めるときは,上記方形の一辺の長さを直径とする円形断面のバイパスバルブ及びバルブガイド孔を採用した場合に比して,バルブガイド孔20には,上部連通溝18eに連通する大なる容積の膨張室がバイパスバルブ30の前端面によって画成されることになり,吸気が上部連通溝18eを通過した後,その吸気の流れを上記膨張室で効果的に減衰させることができ,その結果,吸気中に含まれる異物のバイパスバルブ30側への侵入を防ぐことができる。
またバイパスバルブ30及び電動モータ27の回転出力軸27b間を連結するねじ機構33において,スライドピース34の円筒部34aを囲繞するコイルばね38には,横孔36を覆う密着巻き部38aが形成されるので,この密着巻き部38aにより,バイパスバルブ30内に侵入した異物の横孔36への侵入を防ぐことができ,したがって異物のねじ孔42及びねじ軸35の螺合部への侵入を防ぐことができ,ねじ機構33のスムーズな作動が保証される。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば前記電動モータ27に代えてステップモータ,その他の形式のモータを使用することができる。
2・・・・・スロットルボディ
3・・・・・吸気道
6・・・・・バルブ軸
7・・・・・スロットルバルブ
8・・・・・スロットル作動部材(スロットルドラム)
9・・・・・センサボックス
10・・・・スロットルセンサ
16・・・・バルブボディ
18・・・・バイパス
18a・・・入口孔
18d・・・計量孔
18f・・・出口孔
20・・・・バルブガイド孔
20a・・・バルブシート面
20b・・・肩部
21・・・・モータハウジング
25・・・・補強部
27・・・・モータ(電動モータ)
30・・・・バイパスバルブ
30a・・・前端壁
30b・・・後端壁
30c・・・側壁
30d・・・底壁
30e・・・開放面
33・・・・ねじ機構
34・・・・スライドピース
34b・・・ストッパフランジ
34c・・・回り止め突起
35・・・・ねじ軸
37・・・・規制溝
38・・・・コイルばね
41,41′・・・当接面

Claims (4)

  1. 吸気道(3)を有するスロットルボディ(2)に,前記吸気道(3)を開閉するスロットルバルブ(7)のバルブ軸(6)を水平姿勢で回転自在に支承し,このバルブ軸(6)の一端に連結されるスロットル作動部材(8)をスロットルボディ(2)の一側に配置し,その他側には,スロットルバルブ(7)の開度を検出するスロットルセンサ(10)を収容するセンサボックス(9)を取り付け,前記スロットルバルブ(7)より上流の吸気道(3)に開口する入口孔(18a)と,前記スロットルバルブ(7)より下流の吸気道(3)に開口する出口孔(18f)とを両端部に有するバイパス(18)の中間部に,これを開閉するバイパスバルブ(30)を設け,このバイパスバルブ(30)に,それを開閉駆動するモータ(27)を連結した,エンジンの吸気制御装置において,
    前記スロットルボディ(2)の上側壁に上向きの取り付け面(15a)を形成し,
    前記スロットルボディ(2)の上側壁から,前記取り付け面(15a)に締結されるバルブボディ(16)にわたり前記バイパス(18)を形成し,
    また前記バルブボディ(16)には,前記バイパス(18)の一部と重なるバルブガイド孔(20)を,その軸線(B)が水平面(H)に対して角度(θ)をなすように形成すると共に,このバルブガイド孔(20)の下側のバルブシート面(20a)に開口して前記出口孔(18f)に連なる前記バイパス(18)の一部を計量孔(18d)とし,
    前記バルブガイド孔(20)に前記計量孔(18d)を開閉する前記バイパスバルブ(30)を摺動可能に嵌装し,このバイパスバルブ(30)をねじ機構(33)を介して開閉駆動する前記モータ(27)を,前記バルブガイド孔(20)の高所側で前記バルブボディ(16)に取り付けたことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの吸気制御装置において,
    前記バルブシート面(20a)を平面に形成する一方,前記バイパスバルブ(30)を,前記バルブシート面(20a)に対向する平坦な下面を有する底壁(30d)と,この底壁(30d)の両側端から立ち上がる両側壁(30c,30c)と,前記底壁(30d)の前端及び後端より起立する前端壁(30a)及び後端壁(30b)とよりなっていて,上側面を開放面(30e)とした箱形に構成して,前記バルブシート面(20a)及び前記底壁(30d)との当接により前記バイパスバルブ(30)の前記バルブガイド孔(20)内での回転を阻止するようにし,
    前記ねじ機構(33)を,前記バイパスバルブ(30)内に前記開放面(30e)から収容されると共に,コイルばね(38)により前記後端壁(30b)との当接位置に保持され,内部に前記バルブガイド孔(20)の軸方向に延びるねじ孔(42)を有するスライドピース(34)と,前記モータ(27)の回転出力軸(27b)に連設されて前記ねじ孔(42)に螺合されるねじ軸(35)とで構成し,
    前記後端壁(30b)には,これを軸方向に貫通して上下方向に延びる規制溝(37)を形成する一方,前記スライドピース(34)には,前記後端壁(30b)の内面に当接するストッパフランジ(34b)と,このストッパフランジ(34b)の後端面に突設されて規制溝(37)に係合して該スライドピース(34)の回転を阻止すると共に,前記前記バイパスバルブ(30)及び前記スライドピース(34)間の上下方向(Y)及び横幅方向(X)の相対変位を許容する回り止め突起(34c)とを形成し,
    前記バルブガイド孔(20)を,前記モータ(27)と反対側のその前端面がバイパス(18)の中間部内周から起立する肩部(20b)となるように形成し,この肩部(20b)に前記バイパスバルブ(30)の前端を受け止めてその全開位置を規制するようにしたことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
  3. 請求項1記載のエンジンの吸気制御装置において,
    前記バルブボディ(16)に,前記モータ(27)を嵌装するモータハウジング(21)を形成し,このモータハウジング(21)の下面に,前記バルブボディ(16)に連設されて前記スロットルボディ(2)に支承される補強部(25)を形成したことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
  4. 請求項2記載のエンジンの吸気制御装置において,
    前記ストッパフランジ(34b)及び前記後端壁(30b)の当接面(41,41′)を,前記コイルばね(38)の荷重により該当接面(41,41′)間に前記バイパスバルブ(30)を前記バルブシート面(20a)側に押圧する分力が発生するよう斜面に形成したことを特徴とする,エンジンの吸気制御装置。
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