JP2013087346A - 透明電極膜のクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な操作手順で、付着した酸化亜鉛膜を確実に除去できる酸化亜鉛膜のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】透明導電膜として酸化亜鉛膜を生成する透明導電膜生成装置のチャンバー内面に付着した酸化亜鉛膜クリーニングするに当たり、チャンバー内を塩化メチルガスと水素ガスとで水素リッチの塩化メチルー水素混合ガス雰囲気に形成し、この塩化メチルー水素混合ガス雰囲気にあるチャンバー内にプラズマを発生させてチャンバー内面に付着した透明電極膜を除去する。
【選択図】なし

Description

近年、透明電極は太陽電池、液晶、有機EL等の電極として欠かせないものとなっている。この透明電極の材料として、酸化亜鉛は材料の入手が容易で、高い透明性を有する良好な結晶が得られるという利点を有している。
一般にプラズマを利用した酸化膜の成膜システムでは、酸化膜の生成時にチャンバーの内壁面やチャンバー内に存在する各種装置の表面(以下チャンバー内面という)にも酸化膜が付着する。このチャンバー内面に生成物である酸化膜が付着したまま、成膜作業を繰り返すと、プラズマ放電電流値が不安定になったり、チャンバー内面に付着している膜が剥がれ、この剥がれた膜に起因する成分が基板に付着して基板に成膜した膜質が悪化することになる。
このため、酸化膜の成膜システムでは、チャンバー内をクリーニングして付着した膜を除去するようにしているのであるが、酸化亜鉛膜を成膜するシステムでは、プラズマ成膜装置でガスクリーニングに使用されている三フッ化塩素ガスでは取り除くことができず、酸で洗う湿式クリーニングが用いられていた。ところが湿式クリーニングは装置分解を伴うメンテナンスを要し、生産性を低下するという問題があるうえ、酸化亜鉛膜は水分を吸着しやすい膜であることから、メンテナンス回数が増えると膜質及び真空度に悪影響を及ぼすという問題もあつた。
酸化亜鉛膜を成膜するシステムにおいて、クリーニングガスとしてメタン−水素の混合ガスを使用するチャンバー内面のクリーニング方法が提案されている。(特許文献1)
特開2010−3872号
先に提案されたメタン−水素の混合ガス雰囲気中でクリーニングを行うものでは、クリーニング処理工程の途中からメタンガスの供給を止める操作が必要であり、クリーニング処理の操作が面倒であるという問題を有している。
本発明は、簡単な操作手順で、付着した酸化亜鉛膜を確実に除去できる酸化亜鉛膜のクリーニング方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明では、クリーニングガスとして水素リッチの塩化メチルー水素混合ガスを使用することを特徴とするものである。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、透明導電膜として酸化亜鉛膜を生成する透明導電膜生成装置のチャンバー内面に付着した酸化亜鉛膜をクリーニングするに当たり、チャンバー内を塩化メチルガスと水素ガスとで水素リッチの塩化メチルー水素混合ガス雰囲気に形成し、この塩化メチルー水素混合ガス雰囲気にあるチャンバー内にプラズマを発生させてチャンバー内面に付着した酸化亜鉛膜を除去するようにしたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜を生成するチャンバー内面に付着した透明導電膜をクリーニングするに当たり、チャンバー内を塩化メチルガスと水素ガスとで水素リッチの塩化メチルー水素混合ガス雰囲気に形成し、この塩化メチルー水素混合ガス雰囲気にあるチャンバー内にプラズマを発生させてチャンバー内面に付着した透明導電膜を除去するようにしたことを特徴としている。
本発明では、クリーニングガスを水素リッチの塩化メチルー水素混合ガスとしていることから、炭素系膜を生成することなく、高いエッチングレートで確実に酸化亜鉛膜あるいは酸化亜鉛を主成分とする透明電極膜を除去することができる。この結果、簡単な操作で堆積物を除去できることに加え、酸化亜鉛膜の堆積に起因する膜剥がれや絶縁不良の問題を予防することができ、品質やスループットの向上に寄与することができる。
本発明方法を適用するプラズマ・イオンプレーティング成膜装置の概略構成図である。
本発明の実施に適したプラズマ・イオンプレーティング成膜装置は、図1に概略的に示すように、気密性の真空チャンバー(1)と、この真空チャンバー(1)の1つの側壁(2)に設けられた陰極として作用するプラズマガン(3)と、真空チャンバー(1)の底壁(4)に設けられた陽極として機能するハース(5)と、真空チャンバー(1)の上壁に設けられた成膜対象のワークを搬送する基板搬送装置(6)と、真空チャンバー(1)の上壁を構成する水平シャッター(7)と、プラズマガン(3)と対向する状態に配置されたダミーアノード(8)とを有している。
プラズマガン(3)は、ハース(5)に対してプラズマを照射するものであり、プラズマビーム(P)を発生させるプラズマガン本体(9)と、プラズマガン本体(9)の真空チャンバー(1)側において、プラズマガン本体(9)と同軸状に配置した中間電極(10)とを具備して構成してある。また、プラズマガン本体(9)は導体板(11)を介して直流電源(12)のマイナス端子に接続されており、導体板(11)とハース(5)との間で放電を生じさせることでプラズマビーム(P)を発生させている。中間電極(10)には永久磁石が内蔵されており、この永久磁石により、プラズマガン(3)により発生されたプラズマビーム(P)が収束される。
ハース(5)は、プラズマビーム(P)を吸引する磁界発生機能を有し、導電材料で形成され、前記直流電源(12)のプラス端子に接続されている。ハース(5)には、プラズマビーム(P)が入射される中央部に貫通孔(13)が形成されており、この貫通孔(13)に円柱状のタブレット(14)が充填されている。貫通孔(13)の周囲には、絶縁パイプ(15)が設けられハース(5)とタブレット(14)とがチャンバー内で絶縁されている。なお、このタブレット(14)が成膜する材料物質(蒸発物質)となり、タブレット(14)を保持している導電性タブレットホルダー(16)が前記直流電源(12)のプラス端子に接続されている。
ダミーアノード(8)は、プラズマガン(3)の装着壁面(2)と正対する状態に配置し、前記直流電源(12)のプラス端子に接続されている。このダミーアノード(8)を設けることにより、主アノードであるハース(5)に放電する際の磁界の生成・屈曲に伴う磁界の散乱の影響や、ハース(5)上にある蒸発材料の影響が軽減されるため、プラズマの点火をしやすくするとともに早期に安定状態を得ることができる。
なお、図では省略したが、真空チャンバー(1)の壁面には、クリーニングガス導入管が接続してある。
上述の構成からなるプラズマ・イオンプレーティング成膜装置を使用して、基板に酸化亜鉛膜を成膜した場合、チャンバー内の各部表面にも成膜成分である酸化亜鉛が付着する。このチャンバー内の各部表面に成膜成分である酸化亜鉛を除去しないまま作業を続けると、プラズマ放電電流値が不安定になったり、チャンバー内面に付着している膜が剥がれ、この剥がれた膜に起因する成分が基板に付着して基板に成膜した膜質が悪化することになる。
本発明は、このチャンバー内の各部表面に付着した成膜成分である酸化亜鉛をガスクリーニングにより除去するものであり、そのクリーニングガスとして、水素リッチの塩化メチルー水素混合ガスを使用するものである。酸化亜鉛膜を塩化メチルー水素混合ガスでクリーニング処理すると、酸化亜鉛は主にジメチル亜鉛としてガス体となって除去される。
このクリーニングガスでのクリーニング効果を検証するために、SUS板の表面に酸化亜鉛膜を付着させた試料に、配合比を変化させた水素リッチの塩化メチルー水素混合ガスを使用して、クリーニングを行った。その結果を表1に示す。
Figure 2013087346
表1から、水素が塩化メチルに対して10倍以上添加されているとエッチング効果が格段に上がっていることが分かる。そして、塩化メチル単体ではエッチングではなく、炭素系膜の成膜が支配的になり、水素担体では、エッチングレートが極めて小さいことが確認できた。
次に、このガスの圧力依存性を確認した結果を、表2に示す。
Figure 2013087346
表2から、クリーニング処理時の雰囲気圧力としては、60Paよりも低圧の真空状態で処理することが望ましいことがわかる。
これらのことから、酸化亜鉛膜のクリーニングガスとして水素リッチの塩化メチルー水素混合ガスを使用すると、カーボンを析出すること無く酸化亜鉛膜を除去することが可能となる。
尚、本実施例では純ZnOとして説明したが、実際の透明導電膜などの生産時には、導電性を高める目的で3価イオンの元素(AlやGaなど)が数%添加されており、これらの材料への適用においても同様の効果が得られる。
本発明により、透明電極の材料として、酸化亜鉛を使用する場合でもチャンバー内をガスクリーニングすることができるから、酸化亜鉛膜を太陽電池、液晶、有機EL等の電極として使用することができる。

Claims (3)

  1. 透明導電膜として酸化亜鉛膜を生成する透明導電膜生成装置のチャンバー内面に付着した酸化亜鉛膜クリーニングするに当たり、チャンバー内を塩化メチルガスと水素ガスとで水素リッチの塩化メチルー水素混合ガス雰囲気に形成し、この塩化メチルー水素混合ガス雰囲気にあるチャンバー内にプラズマを発生させてチャンバー内面に付着した酸化亜鉛膜を除去するようにしたことを特徴とする透明電極膜のクリーニング方法。
  2. 酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜を生成するチャンバー内面に付着した透明導電膜をクリーニングするに当たり、チャンバー内を塩化メチルガスと水素ガスとで水素リッチの塩化メチルー水素混合ガス雰囲気に形成し、この塩化メチルー水素混合ガス雰囲気にあるチャンバー内にプラズマを発生させてチャンバー内面に付着した透明導電膜を除去するようにしたことを特徴とする透明導電膜のクリーニング方法。
  3. 塩化メチルガスと水素ガスの混合比率が、塩化メチルガスに対して水素ガスを10倍以上添加したものである請求項1または2に記載の透明電極膜のクリーニング方法。
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