JP2013083575A - タイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラム - Google Patents

タイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤ摩耗予測を高精度に実現することが可能なタイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラムを提供する。
【解決手段】タイヤ摩耗予測方法は、二輪自動車用タイヤの摩耗を予測するタイヤ摩耗予測方法であって、複数のキャンバー角の各々に対応するトレッド踏面の第1摩擦エネルギーと、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの使用頻度とを用いて、トレッド踏面に生じた全摩擦エネルギーを算出するステップAを含む。
【選択図】図1

Description

タイヤの摩耗を予測するタイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラムに関する。
空気入りタイヤの開発において、有限要素法などの数値解析手法や計算機環境の発達により、実際に空気入りタイヤを製造し、自動車に装着して走行試験を行わなくても、新たに設計した空気入りタイヤ摩耗寿命といったタイヤ性能の予測・評価が可能になってきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、乗用車用タイヤの摩耗寿命予測手法として、タイヤがフリーローリングの状態、駆動力が付与されている状態、制動力が付与されている状態など、それぞれの走行状態ごとに摩擦エネルギーを算出するとともに、それぞれの摩擦エネルギーの総和をタイヤの摩耗予測に用いることで、予測精度を向上させるという手法が開示されている。
このようなタイヤ摩耗予測方法を用いて、空気入りタイヤの設計・製造・評価といった開発サイクルの一部を数値解析で置き換えることで、空気入りタイヤの開発期間の短縮を実現することができる。
特許3320653号公報
ところで、自動二輪車用タイヤのような空気入りタイヤでは、走行中にキャンバー角が大きく変動する。よって、このような空気入りタイヤでは、走行中にタイヤ接地面において実際に接地する接地領域が大きく移動する。
しかしながら、従来技術に係る方法は、走行中にキャンバー角が大きく変動し、接地領域が移動する場合を考慮していないため、このような空気入りタイヤを対象とした場合には、精度の高いタイヤ摩耗予測を行えないという問題があった。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、タイヤ摩耗予測を高精度に実現することが可能なタイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は以下の特徴を備える。すなわち、本発明の第1の特徴は、二輪自動車用タイヤの摩耗を予測するタイヤ摩耗予測方法であって、
複数のキャンバー角の各々(キャンバー角θ1・・・n)に対応するトレッド踏面の第1摩擦エネルギー(第1摩擦エネルギーCAEw1・・・n)と、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの使用頻度(使用頻度Af1・・・n)とを用いて、トレッド踏面に生じた全摩擦エネルギー(全体摩擦エネルギーEw)を算出するステップAを含むことを要旨とする。
本発明の第1の特徴に係るタイヤ摩耗予測方法によれば、タイヤ摩耗寿命を予測するための新たな要素として、キャンバー角の各々の第1摩擦エネルギーと、キャンバー角の各々の使用頻度を考慮して、より正確なタイヤ摩耗寿命予測を算出できる。すなわち、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、自動二輪車用タイヤのように、走行中にキャンバー角が大きく変動することによって、実際に接地する接地領域が大きく移動するようなタイヤであっても、タイヤ摩耗寿命予測を高精度に実現できる。
本発明の第2の特徴は、上記特徴に係り、前記ステップAは、前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1(ステップS110)と、前記使用頻度を取得するステップA2(ステップS120)と、前記複数のキャンバー角の各々ごとに前記第1摩擦エネルギーと前記使用頻度とを乗算して、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを算出するステップA3(ステップS130)と、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第2摩擦エネルギーの総和を、前記全体摩擦エネルギーとして算出するステップA4(ステップS140)とを含むことを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、上記特徴に係り、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1において、前記タイヤがフリーローリングの状態となる第1状態摩擦エネルギー(第1状態摩擦エネルギーCAEwf)と、前記タイヤに駆動力が付与されている状態となる第2状態摩擦エネルギー(第2状態摩擦エネルギーCAEwd)と、前記タイヤに制動力が付与されている状態となる第3状態摩擦エネルギー(第3状態摩擦エネルギーCAEwb)とを取得するステップ(ステップS210)と、前記タイヤが前記フリーローリングの状態となる第1状態頻度(第1状態頻度Sf)と、前記タイヤに前記駆動力が付与されている状態となる第2状態頻度(第2状態頻度Sd)と、前記タイヤに前記制動力が付与されている状態となる第3状態頻度(第3状態頻度Sb)とを取得するステップ(ステップS230)と、前記第1状態摩擦エネルギーと前記第1状態頻度とを乗算し、前記第2状態摩擦エネルギーと前記第2状態頻度とを乗算し、前記第3状態摩擦エネルギーと前記第3状態頻度とを乗算するとともに、乗算結果の総和を前記第1摩擦エネルギーとして算出するステップ(ステップS240)とを含むことを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、上記特徴に係り、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1において、予測対象とする車両のキャンバー角、タイヤ一輪あたりの荷重、及びタイヤ内圧を含む車両データを考慮して、前記第1摩擦エネルギーを取得することを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、上記特徴に係り、タイヤの摩耗寿命を予測するステップBを更に含み、前記ステップBは、タイヤのトレッド部におけるゴムの摩耗抵抗指数Glを取得するステップB1(ステップS20)と、前記摩耗抵抗指数(Gl)と前記全体摩擦エネルギーの逆数(1/Ew)との乗算結果に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測するB2(ステップS30)とを含むことを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、上記特徴に係り、前記ステップB2は、前記摩耗抵抗指数と前記全体摩擦エネルギーの逆数との乗算結果に対して、タイヤ棄却限界に至るまでの残溝の深さを乗算した値に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測することを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、タイヤ摩耗予測装置であって、上述のタイヤ摩耗予測方法を実行することを要旨とする。
本発明の第8の特徴は、タイヤ摩耗予測プログラムであって、上述のタイヤ摩耗予測方法をコンピュータに実行させることを要旨とする。
本発明によれば、タイヤ摩耗予測を高精度に実現することが可能なタイヤ摩耗予測方法、タイヤ摩耗予測装置及びタイヤ摩耗予測プログラムを提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法に関わる処理を説明するフローチャートである。 図2は、本発明の第1実施形態に係る全体摩擦エネルギーEwを算出する処理を説明するフローチャートである。 図3は、本発明の実施形態に係る複数のキャンバー角θ1・・・nを説明するための図である。 図4は、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEwの一例を示す図である。 図5は、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する使用頻度の一例を示す図である。 図6は、本発明の実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法を実行するタイヤ摩耗予測装置の構成図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法に関わる処理を説明するフローチャートである。
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
[第1実施形態]
まず、本発明に係るタイヤ摩耗予測方法の第1実施形態について説明する。具体的には、(1)タイヤ摩耗予測方法、(2)タイヤ摩耗予測装置、(3)作用・効果について説明する。
(1)タイヤ摩耗予測方法
本実施形態に係るタイヤ摩耗予測装置は、タイヤ摩耗予測方法により、タイヤ摩耗寿命予測値を算出する。具体的には、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤのトレッド踏面に生じる摩耗を予測するための全体摩擦エネルギーを算出し、当該全体摩擦エネルギーに基づいて、タイヤ摩耗寿命予測値を算出する。なお、本実施形態において、予測対象とする空気入りタイヤは、自動二輪車用タイヤのように、走行中にキャンバー角が大きく変動するものを想定している。
図1を参照して、タイヤ摩耗予測方法の全体処理について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法による全体処理を説明するフローチャートである。
まず、ステップS10において、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するトレッド踏面に生じる第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの使用頻度とを用いて、トレッド踏面に生じる摩耗を予測するための全摩擦エネルギーEwを算出する。なお、摩擦エネルギーは、単位面積当りの摩擦エネルギーであり、単位はkgf/cm(SI単位系ではN/m)である。本実施形態に係る全体摩擦エネルギーEwは、トレッド踏面における複数の位置と、当該複数の位置に対応する摩擦エネルギーとによって示される分布データといえる。また、全摩耗エネルギーEwの具体的な算出方法については、後述する(図2参照)。
ステップS20において、タイヤ摩耗予測装置は、タイヤのトレッド部におけるゴムの摩耗抵抗指数Glを取得する。具体的に、JIS K6264で規定されているランボーン摩耗試験によって、摩耗寿命の予測を行なうタイヤ(例えば、タイヤサイズ110/70R17のタイヤ)のトレッド部のゴムと同等のゴムサンプルの標準気温(例えば、25°C)における摩耗抵抗指数Glを求めて、タイヤ摩耗予測装置に入力する。
ステップS30において、タイヤ摩耗予測装置は、摩耗抵抗指数Glと、全体摩擦エネルギーEwの逆数1/Ewとの乗算結果Gl×(1/Ew)とに基づいて、摩耗寿命を予測する。具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、摩耗抵抗指数Glと、全体摩擦エネルギーEwの逆数1/Ewとの乗算結果Gl×(1/Ew)に対して、タイヤ棄却限界に至るまでの残溝の深さを乗算した値に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測する。なお、タイヤ棄却限界に至るまでの残溝の深さは、トレッド部に形成される溝深さNSDから、タイヤの棄却限界とされる1.1mmを減算した値を用いることが好ましい。
より詳細には、タイヤ摩耗予測装置は、摩耗寿命予測値Tlを下記1式によって算出することによって、タイヤの摩耗寿命を予測する。
Figure 2013083575
・・・・・・・・・・・1式
上記の式では、タイヤの棄却限界を1.1mmとした場合を例に挙げているが、これに限定されず、適切な値を設定してもよい。また、溝深さNSDは、例えば、トレッド部の複数の溝深さの平均値でもよいし、トレッド部の複数の溝深さの最小値でもよい。
また、タイヤ幅方向の各位置における摩耗寿命の予測を行うのであれば、タイヤ幅方向の各位置における溝深さの情報と、タイヤ幅方向の各位置での全体摩擦エネルギーEwの大きさに基づいて、上述した式から予測することができる。なお、上述した、ステップS20乃至S30は、本実施形態において、タイヤの摩耗寿命(期間)を予測するステップを構成する。
次に、図2を参照して、ステップS10において、全体摩擦エネルギーEwを算出する処理を具体的に説明する。図2には、全体摩擦エネルギーEwを算出する処理のフローチャートが示されている。
ステップS110において、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの第1摩擦エネルギーCAEwを取得する。ここで、図3には、本実施形態に係る複数のキャンバー角の概念図が示されている。図3に示すように、複数のキャンバー角とは、空気入りタイヤ10の走行中に使用される範囲のキャンバー角θを、所定ピッチ角Δθずつ区分けした角度の異なる複数のキャンバー角θ1・・・nである。なお、所定ピッチ角Δθは、5度以下であることが好ましい。また、所定ピッチ角Δθが小さいほど、nの値は大きくなる。
また、タイヤ摩耗予測装置は、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを取得する。
ここで、図4には、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEwの一例が示されている。同図において、縦軸は、第1摩擦エネルギーCAEwの大きさを示し、横軸は、タイヤ踏面に沿って、タイヤ幅方向に測定した距離である。同図では、“0度”、“10度”、“20度”、“30度”の4種類のキャンバー角θに対応する各々の第1摩擦エネルギーCAEwが示されている。なお、同図に示すように、第1摩擦エネルギーCAEwは、特定のキャンバー角θにおいて、タイヤ接地面内の複数の位置と、当該複数の位置に対応する摩擦エネルギーとを含む摩擦エネルギーの分布データといえる。また、タイヤ接地面の特定の位置に限定した摩耗予測を行うのであれば、分布データである必要はなく、特定の位置に限定した摩擦エネルギーのデータを第1摩擦エネルギーCAEwとしてもよい。
また、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nの測定は、例えば、特開平7−63658号公報に記載のタイヤ踏面の接地部測定装置10を用いて行なうことができる。すなわち、接地部測定装置10を用いて、キャンバー角θ1・・・nの各々の場合の滑り量S(cm)を測定すると共に、路面22に設けられている3成分力変換器32を用いて剪断力τ(kgf/cm2 )を測定する。なお、特開平7−63658号公報にも記載されているように、タイヤ踏面の摩擦仕事量Eは2式で算出できる。
Figure 2013083575
・・・・・・・・・・・2式
従って、接地部測定装置10によって測定された滑り量Sと剪断力τとを用いて、2式によりタイヤ踏面の摩擦仕事量を算出し、算出結果を各摩擦エネルギーとして用いる。なお、滑り量Sと剪断力τとを測定する方法については、特開平7−63658号公報、特許3320653号公報等に開示されている方法を用いることができる。
このような方法によって、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを取得する。なお、第1摩擦エネルギーの測定に用いるキャンバー角θの範囲は、2輪車の使用方法を鑑みると0°〜50°の範囲であることが好ましい。
ステップS120において、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの使用頻度Af1・・・nを取得する。ここで、使用頻度Af1・・・nとは、空気入りタイヤを装着した車両が、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々を使用する割合である。
具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤを装着した車両が走行する際に変動するキャンバー角データを取得する。また、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤを装着した車両の市場走行試験を行って、市場走行時において変動するキャンバー角データを取得する。
ここで、キャンバー角データは、車両に設置したGPS(Global Positioning System)によって検出されるデータに基づいて、車両のタイヤ幅方向における傾斜データを取得するとともに、当該傾斜データをキャンバー角データとして取得することもできる。 なお、キャンバー角データは、車両に設置した傾斜センサによって検出した傾斜データをキャンバー角データとして取得してもよい。更に、キャンバー角データは、市場走行シミュレーションによって、車両の傾斜データを算出するとともに、この傾斜データをキャンバー角データとして取得してもよい。
なお、キャンバー角データのサンプリング周期は、短いほどデータ数が多くなるので好ましいが、装置の処理能力などに応じて、適宜決定すればよい。例えば、GPSを用いる場合には、10Hz以下の頻度でデータを測定するのが好ましいが、GPSの精度に応じて、適切な頻度を適宜決定すればよい。
また、タイヤ摩耗予測装置は、取得したキャンバー角データを複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に分類して、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々の使用頻度Af1・・・nを算出する。例えば、キャンバー角θiを10度とし、ピッチ角Δθを1度とした場合、使用頻度Afを算出する方法は、次のようになる。例えば、タイヤ摩耗予測装置は、キャンバー角データの全データ数(例えば、200)に対し、キャンバー角が9.5度以上〜10.5度未満の範囲内におけるデータ数(例えば、10)の割合を、使用頻度Af(例えば、0.05=10/200)として算出する。
ここで、図5には、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する使用頻度の一例が示されている。なお、同図では、キャンバー角θの傾斜方向は、一方向(+方向)のみが示されている。同図に示すように、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々の使用頻度Af1・・・nを算出する。
ステップS130において、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと使用頻度Af1・・・nとを乗算して、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを算出する。
例えば、タイヤ摩耗予測装置は、特定のキャンバー角θ(例えば、θ)に対応する第1摩擦エネルギーCAEw(例えば、CAEw)と、特定のキャンバー角θ(例えば、θ)に対応する使用頻度Af(例えば、Af)とを乗算して、第2摩擦エネルギー(CAEw×Afを取得する。
タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの数(n)だけ、上述した乗算を行って、複数のキャンバー角θ1・・・nの数(n)に対応する複数の第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを取得する。
ステップS140において、タイヤ摩耗予測装置は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nの総和を、タイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwとして算出する。具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、下記の3式によって、全体摩擦エネルギーEwを算出する。なお、下記3式において、iは、キャンバー角θ1・・・nの各々の角度に対応する。
Figure 2013083575
・・・・・・・・・・・3式
なお、全体摩擦エネルギーEwは、タイヤ接地面内の複数の位置と、当該複数の位置に対応する摩擦エネルギーとを含む摩擦エネルギーの分布データといえる。例えば、タイヤ摩耗予測装置は、タイヤ接地面内の所定領域(例えば、1cm)ごとの位置に対応する摩擦エネルギーの分布データを、全体摩擦エネルギーEwとして算出することができる。このようにして、タイヤ摩耗予測装置は、タイヤ全体、すなわち、タイヤ接地面全体の全体摩擦エネルギーEwを算出することができる。なお、タイヤ接地面の特定の位置に限定した摩耗予測を行うのであれば、特定の位置に対応する全体摩擦エネルギーEwを算出してもよい。例えば、タイヤ幅方向の各位置における摩耗予測を行うのであれば、タイヤ幅方向の各位置に対応する全体摩擦エネルギーEwを算出すればよい。
(2)タイヤ摩耗予測装置
図6には、本発明の実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法を実行するタイヤ摩耗予測装置(シミュレーション装置)としてのコンピュータ300の概略が示されている。図6に示すように、コンピュータ300は、半導体メモリー、ハードディスクなどの記憶部(不図示)、処理部(不図示)などを備えた本体部310と、入力部320と、表示部330とを備える。処理部は、図1乃至2を用いて説明した空気入りタイヤのタイヤ摩耗予測方法に関わる処理を実行する。
コンピュータ300は、図示しないが着脱可能な記憶媒体と、この記憶媒体に対して書き込み・読み出しを可能にするドライバが備えられていてもよい。図1乃至2を用いて説明した空気入りタイヤのタイヤ摩耗予測方法に関わる処理を実行するプログラムを予め記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出されたプログラムを実行してもよい。コンピュータ300の記憶部にプログラムを格納(インストール)して実行してもよい。コンピュータ300は、図示しないが、例えば、ネットワークに接続可能であってもよい。ネットワークを介して、タイヤ摩耗予測方法に関わる処理を実行するプログラムを取得してもよい。
(3)作用・効果
本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法では、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々の第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々の使用頻度Af1・・・nとを取得する。かかるタイヤ摩耗予測方法では、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々毎に、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと使用頻度Af1・・・nとを乗算して、第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを算出する。また、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応する複数の第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nの総和を、タイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwとして算出して、タイヤの摩耗を予測する。
このように、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、タイヤ摩耗を予測するための新たな要素として、キャンバー角θ1・・・nの各々の第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと、キャンバー角の各々の使用頻度Af1・・・nを考慮して、より正確なタイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwを算出できる。
すなわち、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、自動二輪車用タイヤのように、走行中にキャンバー角が頻繁に変動することによって、実際に接地する接地領域が移動するようなタイヤであっても、より正確なタイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwを算出できるので、タイヤ摩耗予測を高精度に実現できる。
また、タイヤ摩耗寿命予測値Tlを算出する要素である摩耗抵抗指数Gl、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・n、及び、使用頻度Af1・・・nなどは、室内摩耗試験やシミュレーションなどによって取得することが可能な値である。したがって、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、精度のよい値を取得可能であるとともに、実車両による市場走行試験を行う必要がなく、短期間にタイヤの摩耗寿命を予測できる。
また、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、タイヤ棄却限界に至るまでの残溝の深さを考慮して、タイヤ摩耗寿命予測値Tlを算出するので、残溝の深さを考慮しない場合と比べて、より精度の高いタイヤ摩耗寿命を予測することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法について説明する。本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法は、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応するタイヤの第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを取得するステップS110において、図7に示す処理を実行する。図7は、本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法による処理を説明するフローチャートである。以下、図7を参照して、本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法について説明する。
ステップS210において、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤがフリーローリングの状態となる第1状態摩擦エネルギーCAEwfと、空気入りタイヤに駆動力が付与されている状態となる第2状態摩擦エネルギーCAEwdと、空気入りタイヤに制動力が付与されている状態となる第3状態摩擦エネルギーCAEwbとを取得する。
具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、上述した第1実施形態に示したように、接地部測定装置10を用いて、第1状態摩擦エネルギーCAEwf1・・・nと、第2状態摩擦エネルギーCAEwd1・・・nと、第3状態摩擦エネルギーCAEwb1・・・nとを、キャンバー角θ1・・・nの各々毎に取得する。
つまり、接地部測定装置10を用いて、キャンバー角θ1・・・nの各々毎に、フリーローリングの状態と、駆動力が付与されている状態と、制動力が付与されている状態との各々の状態の滑り量S(cm)を測定する。また、路面22に設けられている3成分力変換器32を用いて、剪断力τ(kgf/cm2)を測定する。
タイヤ摩耗予測装置は、接地部測定装置10によって測定された滑り量Sと剪断力τとに基づいて、キャンバー角θ1・・・nの各々毎に、2式によりタイヤ踏面の摩擦仕事量を算出するとともに、これを第1状態摩擦エネルギーCAEwf1・・・n、第2状態摩擦エネルギーCAEwd1・・・n、及び第3状態摩擦エネルギーCAEwb1・・・nとして取得する。
ステップS220において、タイヤ摩耗予測装置は、市場走行時に空気入りタイヤに付与される前後方向の加速度データを含む市場走行データを取得する。ここで、前後方向の加速度データは、車両を所定距離だけ市場走行させた際に、車両に設置した加速度センサによって、所定サンプリング周期で測定された値である。
ステップS230において、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤがフリーローリングの状態となる第1状態頻度Sfと、空気入りタイヤに駆動力が付与されている状態となる第2状態頻度Sdと、空気入りタイヤに制動力が付与されている状態となる第3状態頻度Sbとを取得する。なお、状態頻度とは、空気入りタイヤを装着した車両が、各々の状態毎に使用される割合である。
具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、空気入りタイヤに付与される前後方向の加速度データに基づいて、第1状態頻度Sfと、第2状態頻度Sdと、第3状態頻度Sbとを取得する。ここで、フリーローリングの状態では、加速度データは、“0”の値となる。また、駆動力が付与されている状態では、加速度データは、車両進行方向への加速を示す“+”の値となる。制動力が付与されている状態では、加速度データは、車両進行方向とは逆方向への加速を示す“−”の値となる。
また、タイヤ摩耗予測装置は、加速度データの全データ数の内、加速度データが“0”となるデータ数をカウントするとともに、全データ数に対する“0”となるデータ数の割合を第1状態頻度Sfとして算出する。同様に、タイヤ摩耗予測装置は、加速度データが“+”となるデータ数をカウントするとともに、全データ数に対する“+”となるデータ数の割合を第2状態頻度Sdとして算出する。また、タイヤ摩耗予測装置は、加速度データが“−”となるデータ数をカウントするとともに、全データ数に対する“−”となるデータ数の割合を第3状態頻度Sbとして算出する。
ステップS240において、タイヤ摩耗予測装置は、第1状態摩擦エネルギーCAEwfと第1状態頻度Sfとを乗算し、第2状態摩擦エネルギーCAEwdと第2状態頻度Sdとを乗算し、第3状態摩擦エネルギーCAEwbと第3状態頻度Sbとを乗算するとともに、乗算結果の総和を第1摩擦エネルギーCAEwとして算出する。具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、下記の4式によって、第1摩擦エネルギーCAEwを算出する。
Figure 2013083575
・・・・・・・・・・・4式
ここで、上記4式において、iは、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する。つまり、タイヤ摩耗予測装置は、上記の4式によって、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出する。
以上のように、第2実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法では、キャンバー角θ1・・・nの各々毎に、フリーローリングの状態に対応する第1状態摩擦エネルギーEwf、駆動力が付与されている状態に対応する第2状態摩擦エネルギーEwd、制動力が付与されている状態に対応する第3状態摩擦エネルギーEwbを取得する。タイヤ摩耗予測方法では、フリーローリングの状態に対応する第1状態頻度Sf、駆動力が付与されている状態に対応する第2状態頻度Sd、制動力が付与されている状態に対応する第3状態頻度Sbを取得する。
また、タイヤ摩耗予測方法では、第1状態摩擦エネルギーEwfと第1状態頻度Sfとを乗算し、第2状態摩擦エネルギーEwdと第2状態頻度Sdとを乗算し、第3状態摩擦エネルギーEwbと第3状態頻度Sbとを乗算し、乗算結果の総和を第1摩擦エネルギーCAEwとして算出する。
このようにして、本実施形態に係るタイヤ摩耗予測方法によれば、フリーローリングの状態、駆動力が付与されている状態、制動力が付与されている状態の各々の状態を考慮して、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出するので、各々の状態を考慮していない第1実施形態に比べて、より精度の高いタイヤ摩耗寿命を予測できる。
第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nは、実測またはシミュレーションにより求めた値を定数として用いることも可能であるが(第1実施形態)、本実施形態(第2実施形態)のように各走行状態を考慮することにより、より正確な第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを求めることができる。
また、かかるタイヤ摩耗予測方法によれば、第1状態頻度Sf、第2状態頻度Sd、及び、第3状態頻度Sbが、市場走行データに基づいて算出されるので、実測に基づいて、より精度の高いタイヤ摩耗寿命を予測できる。なお、第1状態頻度Sf、第2状態頻度Sd、及び、第3状態頻度Sbは、シミュレーション等の室内試験によって取得してもよい。この場合、短期間にタイヤの摩耗寿命を予測できる。
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
例えば、タイヤ摩耗予測方法では、予測対象とする車両に関する車両データを考慮して第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出してもよい。具体的に、第1摩擦エネルギーCAEwを取得するステップS120において、タイヤ摩耗予測装置は、予測対象とする車両のキャンバー角、タイヤ一輪あたりの荷重、及びタイヤ内圧を含む車両データを考慮して、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出してもよい。なお、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出するための車両データは、車両が停止している静的状態、車両が走行している動的状態のいずれか一方又は両方を考慮したデータを用いることが好ましい。
このようなタイヤ摩耗予測方法によれば、車両データを考慮して第1摩擦エネルギーCAEwを算出するので、車両データを考慮していない場合と比べて、より精度の高いタイヤ摩耗寿命予測を実現できる。
また、上述した第2実施形態では、ステップS230において、タイヤ摩耗予測装置が、キャンバー角θ1・・・nの各々に対応する第1状態頻度Sf、第2状態頻度Sd、第3状態頻度Sbを算出してもよい。具体的に、タイヤ摩耗予測装置は、加速度データと、加速度データに同期したキャンバー角データを含む市場走行データを取得してもよい。なお、キャンバー角データは、上述した第1実施形態と同様の方法で取得してもよい。
この場合、タイヤ摩耗予測装置は、キャンバー角データを複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に分類する際、キャンバー角データに同期する加速度データも関連付けて分類する。
また、タイヤ摩耗予測装置は、特定のキャンバー角θiに分類された加速度データの分類データ数の内、加速度データが“0”となるデータ数をカウントするとともに、分類データ数に対して、“0”となるデータ数の割合を第1状態頻度Sfとして算出する。同様の方法によって、第2状態頻度Sd、第3状態頻度Sbを算出する。
このようなタイヤ摩耗予測方法によれば、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々毎に、第1状態頻度Sf、第2状態頻度Sd、第3状態頻度Sbを算出するので、より精度の高いタイヤ摩耗寿命予測を実現できる。なお、この場合、タイヤ摩耗予測装置は、下記の5式によって、第1摩擦エネルギーCAEwを算出する。
Figure 2013083575
・・・・・・・・・・・5式
また、上述した実施形態では、キャンバー角θの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出するように構成されていたが、スリップ角SAθを更に考慮してもよい。この場合、タイヤ摩耗予測装置は、キャンバー角θの各々ごとにスリップ角SAθの各々に対応する第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを更に算出するとともに、当該キャンバー角θの各々ごとにスリップ角SAθの各々に対応する使用頻度を取得する。また、タイヤ摩耗予測装置は、これらの乗算結果から、第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを算出するとともに、第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nに基づいて、全体摩擦エネルギーEwを算出することにより、タイヤ摩耗寿命予測を行う。この場合、キャンバー角θにスリップ角SAθを更に考慮した全体摩擦エネルギーEwを算出できるので、より精度の高いタイヤ摩耗寿命予測を実現できる。
また、上述した実施形態では、空気入りタイヤとして、自動二輪車用タイヤを一例として挙げて説明したが、走行中にキャンバー角が変動し、実際に接地する接地領域が頻繁に移動するタイヤであれば、どのようなタイヤであってもよい。
また、上述した実施形態は組み合わせることも可能である。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
[比較評価]
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の実施例に係るタイヤ摩耗予測方法を用いて行った比較評価について説明する。
(1)実施例の説明
まず、以下のように、実施例1乃至2のタイヤ摩耗予測方法を比較することとした。
実施例1に係るタイヤ摩耗予測方法では、第1実施形態に係る方法を用いた。具体的に、かかる方法では、キャンバー角θ1・・・nの各々の第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと、キャンバー角θ1・・・nの各々の使用頻度Af1・・・nとを算出した。かかる方法では、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々毎に、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nと使用頻度Af1・・・nとを乗算して、第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nを算出した。かかる方法では、複数のキャンバー角θ1・・・nの各々に対応する複数の第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・nの総和を、タイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwとして算出して、タイヤの摩耗寿命を予測した。なお、キャンバー角θ1・・・nの所定ピッチ角は5度としている。
実施例2に係るタイヤ摩耗予測方法では、第2実施形態に係る方法を用いた。なお、かかる方法は、実施例1に係る方法と比べて、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nを算出する方法のみが異なり、他は、実施例1に係る方法と同様である。
具体的に、かかる方法では、キャンバー角θ1・・・nの各々毎に、フリーローリングの状態に対応する第1状態摩擦エネルギーEwf1・・・n、駆動力が付与されている状態に対応する第2状態摩擦エネルギーEwd1・・・n、制動力が付与されている状態に対応する第3状態摩擦エネルギーEwb1・・・nを取得する。かかる方法では、フリーローリングの状態に対応する第1状態頻度Sf、駆動力が付与されている状態に対応する第2状態頻度Sd、制動力が付与されている状態に対応する第3状態頻度Sbを取得する。
また、かかる方法では、第1状態摩擦エネルギーEwfと第1状態頻度Sfとを乗算し、第2状態摩擦エネルギーEwdと第2状態頻度Sdとを乗算し、第3状態摩擦エネルギーEwbと第3状態頻度Sbとを乗算し、乗算結果の総和を第1摩擦エネルギーCAEwとして算出する。なお、第1摩擦エネルギーCAEw1・・・nに基づいて、第2摩擦エネルギー(CAEw×Af)1・・・n及びタイヤ全体の全体摩擦エネルギーEwを算出して、タイヤの摩耗寿命を予測する点は、実施例1と同様である。
(2)評価方法
実施例1乃至2の方法を用いて、以下の条件において、評価を行った。
・ タイヤサイズ : 120/70ZR17
・ リムサイズ : 3.5×17
・ 内圧条件 : 250kPa
・ 荷重条件 : 1.34kN
・ 摩耗寿命評価方法 : 上述した条件の空気入りタイヤを装着した車両を市場走行させるとともに、タイヤ摩耗寿命の実測値を測定した。また、実施例1乃至2の方法によって、同条件の空気入りタイヤのタイヤ摩耗寿命予測値を算出するとともに、実測値、実施例1乃至2を比較評価した。
(3)評価結果
それぞれの方法による評価結果について、表1を参照しながら説明する。表1には、評価結果が示されている。なお、表1において、タイヤ摩耗寿命は、実測値を基準(100)にした場合の指数を示しており、この指数と基準(100)との差が小さいほど、タイヤ摩耗寿命予測の精度が高いことを示す。
Figure 2013083575
表1に示されるように、実施例1乃至2に係るタイヤ摩耗予測方法は、タイヤ摩擦寿命予測の精度が高い結果となった。つまり、キャンバー角θ1・・・nを考慮して、タイヤ摩擦寿命予測を行う本発明の予測の精度が高いことが証明された。
なお、実施例2係るタイヤ摩耗予測方法は、実施例1係るタイヤ摩耗予測方法と比べて、より精度が高い結果となった。つまり、フリーローリングの状態、駆動力が付与されている状態、制動力が付与されている状態の各々の状態を考慮して、タイヤ摩擦寿命予測を行う方が、精度が高いことが証明された。
10…空気入りタイヤ、300…コンピュータ、310…本体部、320…入力部、330…表示部

Claims (8)

  1. 二輪自動車用タイヤの摩耗を予測するタイヤ摩耗予測方法であって、
    複数のキャンバー角の各々に対応するトレッド踏面の第1摩擦エネルギーと、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの使用頻度とを用いて、トレッド踏面に生じた全摩擦エネルギーを算出するステップAを含む
    ことを特徴とするタイヤ摩耗予測方法。
  2. 前記ステップAは、
    前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1と、
    前記使用頻度を取得するステップA2と、
    前記複数のキャンバー角の各々ごとに前記第1摩擦エネルギーと前記使用頻度とを乗算して、前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの第2摩擦エネルギーを算出するステップA3と、
    前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第2摩擦エネルギーの総和を、前記全摩擦エネルギーとして算出するステップA4とを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗予測方法。
  3. 前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1において、
    前記タイヤがフリーローリングの状態となる第1状態摩擦エネルギーと、前記タイヤに駆動力が付与されている状態となる第2状態摩擦エネルギーと、前記タイヤに制動力が付与されている状態となる第3状態摩擦エネルギーとを取得するステップと、
    前記タイヤが前記フリーローリングの状態となる第1状態頻度と、前記タイヤに前記駆動力が付与されている状態となる第2状態頻度と、前記タイヤに前記制動力が付与されている状態となる第3状態頻度とを取得するステップと、
    前記第1状態摩擦エネルギーと前記第1状態頻度とを乗算し、前記第2状態摩擦エネルギーと前記第2状態頻度とを乗算し、前記第3状態摩擦エネルギーと前記第3状態頻度とを乗算するとともに、乗算結果の総和を前記第1摩擦エネルギーとして算出するステップと
    を含むことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ摩耗予測方法。
  4. 前記複数のキャンバー角の各々に対応するタイヤの前記第1摩擦エネルギーを取得するステップA1において、
    予測対象とする車両のキャンバー角、タイヤ一輪あたりの荷重、及びタイヤ内圧を含む車両データを考慮して、前記第1摩擦エネルギーを取得する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のタイヤ摩耗予測方法。
  5. タイヤの摩耗寿命を予測するステップBを更に含み、
    前記ステップBは、
    タイヤのトレッド部におけるゴムの摩耗抵抗指数Glを取得するステップB1と、
    前記摩耗抵抗指数と前記全体摩擦エネルギーの逆数との乗算結果に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測するステップB2とを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗予測方法。
  6. 前記ステップB2は、
    前記摩耗抵抗指数と前記全体摩擦エネルギーの逆数との乗算結果に対して、タイヤ棄却限界に至るまでの残溝の深さを乗算した値に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測する
    ことを特徴とする請求項5に記載のタイヤ摩耗予測方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗予測方法を実行するタイヤ摩耗予測装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗予測方法をコンピュータに実行させるタイヤ摩耗予測プログラム。
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