JP5625376B2 - 耐摩耗性能評価装置及び耐摩耗性能評価方法、並びに耐摩耗性能評価用コンピュータプログラム - Google Patents

耐摩耗性能評価装置及び耐摩耗性能評価方法、並びに耐摩耗性能評価用コンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、移動体に取り付けられた構造体の耐摩耗性能を評価することに関する。
従来から、車両の加速度を測定して走行条件による摩耗の厳しさを評価することで、タイヤに関する耐摩耗性能評価を行うことがある。例えば、特許文献1には、移動体の前後・左右・上下方向の加速度を測定し、この3軸の加速度データを解析して走行条件を評価するタイヤ故障原因の定量解析方法が開示されている。
特開2006−84222号公報
ところで、乾燥している路面と雨等で濡れている路面とでは、同じ加速度であってもタイヤの滑り量は濡れている路面の方が大きく、その結果として、タイヤの摩耗量は濡れている路面の方が大きくなる傾向がある。特許文献1に開示された方法は、この点が考慮されておらず、タイヤの使用条件の厳しさを適切に評価できない。すなわち、特許文献1に開示された方法では、雨等により路面とタイヤとの摩擦係数が変化したことによるタイヤの使用条件の変化はタイヤの使用条件の厳しさに反映されず、タイヤの耐摩耗性能の評価精度が低下するおそれがある。本発明は、車両の加速度を測定して走行条件による摩耗の厳しさを評価することでタイヤの耐摩耗性能を評価するにあたり、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐摩耗性能評価装置は、移動体に取り付けられて路面と接する構造体の耐摩耗性能を評価するものであり、前記移動体に作用する加速度を測定する加速度測定手段が測定した加速度を、前記構造体の使用環境を表す指標に応じて分類する分類手段と、前記加速度測定手段が測定し、前記分類手段によって分類された前記移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、前記路面の状況毎に前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体が接する路面の状況であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記演算手段は、前記路面の状況に応じた係数を、当該路面の状況に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記移動体は、前記路面の状況を検出する路面状況検出手段を有し、前記演算手段は、前記路面状況検出手段の動作状態に応じた係数を前記耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記路面の状況は、前記路面の濡れ具合であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記移動体は車両であり、また、前記路面状況検出手段は、前記車両が有するワイパー又は雨量検知手段であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体の温度に関する指標であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記演算手段は、前記温度に関する指標に応じた係数を、当該温度に関する指標に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価装置において、前記構造体の使用環境を表す指標は、さらに、前記路面の濡れ具合を含み、前記分類手段は、前記加速度測定手段が測定した加速度を、前記温度に関する指標と前記路面の濡れ具合とに応じて分類することが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐摩耗性能評価方法は、移動体に取り付けられて路面と接する構造体の耐摩耗性能を評価するにあたって、前記移動体に作用する加速度を測定する加速度測定手段が測定した加速度を、前記構造体の使用環境を表す指標に応じて分類する手順と、分類された前記移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、前記路面の状況毎に前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する手順と、を含むことを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体が接する路面の状況であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する場合、前記路面の状況に応じた係数を、当該路面の状況に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記移動体が有する前記路面の状況を検出する路面状況検出手段の動作状態に応じた係数を前記耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記移動体の使用環境を表す指標は、前記構造体の温度を表す指標であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する場合、前記温度を表す指標に応じた係数を、当該温度を表す指標に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記耐摩耗性能評価方法において、前記移動体の使用環境を表す指標は、さらに、前記路面の濡れ具合を含み、前記分類する手順においては、前記加速度測定手段が測定した加速度を、前記温度を表す指標と前記路面の濡れ具合とに応じて分類することが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐摩耗性能評価用コンピュータプログラムは、前記耐摩耗性能評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明は、車両の加速度を測定して走行条件による摩耗の厳しさを評価することでタイヤの耐摩耗性能を評価するにあたり、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下を抑制できる。
図1は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置を有する耐摩耗性能評価システムの構成を示す図である。 図2は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置が解析するタイヤの回転軸を含む平面で切った状態を示す子午断面図である。 図3−1は、乾燥した路面と降雨により濡れた路面とで横加速度及びサイドスリップを測定した結果を示す図である。 図3−2は、乾燥した路面と降雨により濡れた路面とでスリップ角を測定した結果を示す図である。 図4は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。 図5−1は、加速度頻度分布の一例を示す図である。 図5−2は、加速度頻度分布の一例を示す図である。 図6は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。 図7は、横加速度の加速度頻度分布の一例を示す図である。 図8−1は、コーナーリングフォースとスリップ角との関係を示す模式図である。 図8−2は、スリップ量と制駆動力との関係を示す模式図である。 図9は、所定の係数によってDSNを補正した結果を示す図表である。 図10−1は、得られたDSNに所定の係数を乗じない場合における推定摩耗寿命とDSNとの関係を示す図である。 図10−2は、得られたDSNに所定の係数を乗じた場合における推定摩耗寿命とDSNとの関係を示す図である。 図11は、本実施形態の第2変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。 図12は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置を有する耐摩耗性能評価システムの構成を示す図である。 図13は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。 図14は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。 図15は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法で用いる重み付け係数のマップである。 図16は、本実施形態の第2変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、評価対象の構造体をタイヤとし、移動体を車両として、車両に取り付けられたタイヤの耐摩耗性能を評価する例を説明するが、タイヤの種類は限定されず、また、移動体は車両に限定されるものではない。
(実施形態1)
本実施形態は、移動体(車両)に取り付けられて路面と接する構造体(タイヤ)の耐摩耗性能を評価するにあたり、移動体に作用する加速度を測定する加速度測定手段が測定した加速度を、構造体の使用環境に応じて分類し、分類された移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、路面の状況毎に構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する点に特徴がある。構造体の使用環境とは、構造体が使用される際における構造体周囲の環境全般であり、例えば、路面の状況、構造体自体の温度や構造体の周囲温度等である。次の説明においては、構造体の使用環境として、構造体が接する路面の状況を用いる。
図1は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置を有する耐摩耗性能評価システムの構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置が解析するタイヤの回転軸を含む平面で切った状態を示す子午断面図である。図1に示すように、耐摩耗性能評価システム10は、構造体であるタイヤ1の耐摩耗性能を評価するにあたり、評価対象のタイヤ1が取り付けられた車両8の加速度を測定し、測定した加速度から走行シビアリティ(DSN:Driving Severity Number)をタイヤ1の耐摩耗性能評価指標として算出する。そして、算出されたDSNとタイヤ1の実際の摩耗状態とを比較して、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。これによって、タイヤ1の使用条件を考慮して耐摩耗性能を評価できる。
耐摩耗性能評価システム10は、車両8の前後方向(X軸方向)及びこれに直交する横方向(Y軸方向)の加速度を測定可能な2軸加速度センサ11を車両8に搭載して、各々の方向に対する加速度を独立に測定する。そして、耐摩耗性能評価システム10は、この2方向の加速度に関する頻度分布を求め、前後方向及び横方向に対するタイヤ1の使用条件の厳しさを定量的に示す値であるDSNを算出し、これをタイヤ1の耐摩耗性能評価指標として用いて、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。
ここで、耐摩耗性能評価システム10を用いた解析方法、すなわち、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を適用する対象であるタイヤ1について説明する。タイヤ1は、耐摩耗性能の評価対象の構造物であり、図1に示すように、移動体である車両8に装着される。図2に示すように、タイヤ1は、カーカスや補強ベルト等をゴム材料によって被覆した複合材料であり、トレッド面5が地面と接地する。タイヤ内面4とトレッド面5との間にはアンダートレッド6が設けられている。トレッド面5とアンダートレッド6との間のゴム層をキャップトレッド7といい、キャップトレッド7を構成するゴム材料をトレッドゴムという。トレッド面5には複数の溝2及び複数のブロック3が形成されている。そして、複数の溝2及び複数のブロック3により、トレッド面5にはトレッドパターンが形成される。
タイヤ1が車両8に取り付けられて転動すると、トレッドゴムが摩耗する結果、タイヤ1のトレッド面5等が摩耗する。そして、このトレッド面5等の摩耗量は、トレッド面5等に作用する摩擦力、ひいてはトレッド面5等に作用する加速度に比例する。したがって、車両8に装着されたタイヤ1の使用条件の厳しさを、このタイヤ1のトレッド面5等に作用する加速度に基づいたDSNにより定量的に評価することで、タイヤ1の摩耗を評価したり、摩耗量を推定したりすることが可能となる。
ここで、DSNは、例えば、車両8の各方向、本実施形態では2方向(前後及び横方向)に対する加速度を一定距離毎(例えば、タイヤ1回転毎)に同期して測定し、各方向における一定距離毎の加速度の総和として算出する。具体的には、DSNは、各方向における一定距離毎の加速度の2乗と当該加速度の出現頻度との積の総和として算出する。すなわち、このDSNは、タイヤ1に作用するストレスの総和に応じた値となる。
したがって、例えば、DSNが大きくなるほど加速度を受けた量が大きいということになるので、タイヤ1にとって摩耗しやすい環境にあった、という評価ができる。そして、この評価値としてのDSN自体から、異なる種類のタイヤ1の摩耗を相対的に評価したり、タイヤ1の摩耗量を推定したりすることができる。次に、耐摩耗性能評価システム10及び耐摩耗性能評価装置20を説明する。
図1に示すように、耐摩耗性能評価システム10は、耐摩耗性能評価装置20と、加速度測定手段である2軸加速度センサ11と、路面状況検出手段12と、距離センサ13と、入力装置14と、ディスプレイ15とを備える。耐摩耗性能評価装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、4つのタイヤ1が装着された車両8の2方向の加速度を測定する2軸加速度センサ11、種々の情報を入力可能な入力装置14、種々の解析結果、情報を表示可能なディスプレイ15が接続されている。
耐摩耗性能評価装置20は、処理部21及び記憶手段としての記憶部22を備え、この処理部21と記憶部22とは互いに接続されている。上述の2軸加速度センサ11、路面状況検出手段12、距離センサ13、入力装置14、ディスプレイ15は、入出力ポート27を介してこの耐摩耗性能評価装置20内の処理部21に接続されている。記憶部22は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実現するコンピュータプログラムを格納している。ここで、記憶部22は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
なお、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実現できるものであってもよい。また、処理部21の機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、記憶部22は、処理部21に内蔵されるものであっても、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。
処理部21は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。処理部21は、分類手段である条件判定部23と、加速度頻度分布作成部24と、演算手段であるDSN演算部25と、情報取得部26とを有する。これらのうち、少なくとも条件判定部23及びDSN演算部25により、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法が実現される。条件判定部23と、加速度頻度分布作成部24と、DSN演算部25と、情報取得部26とは相互にデータをやり取りできるように構成されている。
条件判定部23は、車両8に作用する加速度を測定する2軸加速度センサ11が測定した加速度を、車両8に装着されるタイヤ1が接する路面の状況に応じて分類する。加速度頻度分布作成部24は、2軸加速度センサ11が測定した加速度の出現頻度の分布(加速度頻度分布)を、車両8の前後方向及び前後方向に直交する幅方向毎、かつ前記路面の状況毎に作成して記憶部22へ格納する。DSN演算部25は、2軸加速度センサ11が測定し、条件判定部23によって分類された車両8の加速度と当該加速度の出現頻度とから、路面の状況毎にタイヤ1のDSNを演算する。情報取得部26は、2軸加速度センサ11からDSNを求める際に必要な情報を取得する。
2軸加速度センサ11で測定したデータから車両8の加速度やDSNを算出し、タイヤ1の摩耗を評価し、類推する場合、処理部21は、予め設定されている耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順に基づいて前記コンピュータプログラムを処理部21に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部21を構成する条件判定部23と、加速度頻度分布作成部24と、DSN演算部25とは、適宜記憶部22へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。
なお、この処理部21は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。さらに、上記耐摩耗性能評価システム10は、入力装置14、ディスプレイ15等を備えた端末装置から、通信により処理部21や記憶部22にアクセスするものであってもよい。また、耐摩耗性能評価システム10は、2軸加速度センサ11及び路面状況検出手段12及び距離センサ13とともに入力装置14、ディスプレイ15及び耐摩耗性能評価装置20も車両8に搭載してもよいし、2軸加速度センサ11及び路面状況検出手段12及び距離センサ13といったセンサ類のみを車両8に搭載してもよい。センサ類のみを車両8に搭載する場合、2軸加速度センサ11と、路面状況検出手段12と、距離センサ13とは、電波等の搬送波によって無線で測定結果を耐摩耗性能評価装置20に送信するようにしてもよい。
入力装置14は、キーボード、マウス、ディスプレイ15上に形成されたタッチパネル等の入力デバイスを使用することができ、ディスプレイ15を視認しながら情報を入力できるようになっている。入力装置14で入力されたこれらの各情報は、耐摩耗性能評価装置20に入力される。ディスプレイ15は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネル等、表示内容を視認することができるものであれば、どのようなものでもよい。このディスプレイ15は、例えば、加速度頻度分布(加速度ヒストグラム)やDSN演算部25による演算結果等を表示することができる。なお、本実施形態において、入力装置14、ディスプレイ15は、耐摩耗性能評価装置20に外付けするものであるが、これらは内蔵されていてもよい。
2軸加速度センサ11は、車両8に作用する2方向の加速度を測定可能なセンサであり、車両8の前後方向(走行軸方向)及びこの前後方向に直交する幅方向の加速度を測定する。2軸加速度センサ11が車両8の加速度を測定可能な2方向は、上述したように、車両8の前後方向及び左右方向である。2軸加速度センサ11は、車両8において、タイヤ1に作用する方向の加速度を精度よく測定できる位置に設けられる。2軸加速度センサ11は、予め設定された所定距離毎に同期して2方向の加速度をそれぞれ測定する。すなわち、車両8の移動距離を測定可能な距離センサ13の出力に応じて一定の距離間隔毎に同期して車両8の前後方向及び幅方向の加速度を測定する。
本実施形態では、予め設定される所定距離は、タイヤ1の1回転分の距離とする。2軸加速度センサ11は、タイヤ1の回転パルスあるいは車両8が備えるプロペラシャフトの回転パルス等の信号に同期して、2方向の加速度を1対として測定する。そして、2軸加速度センサ11は、同期して測定した2方向に対する1対の加速度データを耐摩耗性能評価装置20に出力する。なお、タイヤ1の回転パルスあるいは車両8のプロペラシャフトの回転パルス等は距離センサ13によって取得される。本実施形態では、予め設定される所定距離として、タイヤ1の回転パルスを用いる。この場合、距離センサ13は、タイヤ1の車軸に設けられた車軸回転速度検出センサである。
条件判定部23は、タイヤ1が接する路面の状況に応じて出力された2方向に対する1対の加速度データを記憶部22に格納する。加速度頻度分布作成部24は、2方向に対する1対の加速度データを記憶部22から読み出して、路面の状況毎に加速度頻度分布を作成する。そして、DSN演算部25は、加速度データ、及びその加速度データに対応する出現頻度を記憶部22に格納された2方向に対する1対の加速度データ及び加速度頻度分布から読み出して、路面の状況毎にタイヤ1のDSNを演算する。
図3−1は、乾燥した路面と降雨により濡れた路面とで横加速度及びサイドスリップを測定した結果を示す図である。図3−2は、乾燥した路面と降雨により濡れた路面とでスリップ角を測定した結果を示す図である。図3−1、図3−2は、いずれも定常円旋回試験の結果であり、乾燥した路面(ドライ路面)のμ(路面とタイヤとの間の摩擦係数)は0.9、濡れた路面(ウェット路面)のμは0.6である。両方とも車両の速度は同一なので、横加速度(車両の幅方向の加速度)は同一になる。図3−1の実線はドライ路面のサイドスリップ、点線はウェット路面のサイドスリップ、一点鎖線はドライ路面の横加速度、2点鎖線はウェット路面の横加速度である。図3−2の実線はドライ路面のスリップ角、点線はウェット路面のスリップ角である。
図3−1、図3−2から分かるように、ドライ路面とウェット路面とでは、横加速度は同一であるにも関わらず、サイドスリップ及びスリップ角は、いずれもウェット路面の方が大きい。これは、ドライ路面とウェット路面とでは、それぞれμが異なることが原因である。タイヤの耐摩耗性能を評価する際に用いるDSNは、上述したように、タイヤに作用する加速度ではなく車両に作用する加速度を用いて求められる。このため、μが変化したことによるタイヤの使用条件の変化はDSNに反映されず、タイヤの耐摩耗性能の評価精度が低下するおそれがある。本実施形態では、路面の状況(本実施形態ではタイヤ1が接する路面の濡れ具合)に応じてそれぞれDSNを求めて、タイヤの使用条件の変化をDSNに反映させる。これによって、車両の加速度を測定して走行条件による摩耗の厳しさを評価することでタイヤの耐摩耗性能を評価するにあたり、タイヤの使用条件が変化する場合において、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下を抑制する。
図4は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。図5−1、図5−2は、加速度頻度分布の一例を示す図である。図5−1は、車両8の前後方向における加速度頻度分布であり、図5−2は、車両8の横方向における加速度頻度分布である。本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実行するにあたり、ステップS100において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20の情報取得部26は、2軸加速度センサ11から車両8の前後方向における加速度(前後加速度)Gx及び横方向における加速度(横加速度)Gyを取得する。この場合、情報取得部26は、距離センサ13から取得されたタイヤ1の回転パルスの信号に同期して2軸加速度センサ11が測定した2方向の加速度、すなわち、前後加速度Gx及び横加速度Gyを1対として取得して、記憶部22へ格納する。
次にステップS101へ進み、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20の条件判定部23は、車両8の走行中の天候、すなわち、評価対象であるタイヤ1の使用される環境が雨天であるか否かを判定する。これは、車両8に搭載される路面状況検出手段12によって判定される。この例において、路面状況検出手段12は、車両8のワイパーや雨量検知手段であり、例えば、条件判定部23がワイパーの動きを検出した場合には、雨天であると判定する。また、路面状況検出手段12として雨量検知手段を用いる場合には、雨量検出手段が所定の雨量を検出した場合に、条件判定部23が雨天と判定する。また、路面状況検出手段12は、車両8の前方の路面を撮影するカメラであってもよいし、GPS(Global Positioning System)から得られる車両8の走行している場所及び地域別の天気状況から車両8の走行している場所の天候を判定するものであってもよい。
ステップS101でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨天でないと判定した場合、ステップS102へ進む。ステップS102において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20の加速度頻度分布作成部24は、雨天でない場合(ドライ路面)における加速度頻度分布Dを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成する。図5−1は前後方向の加速度頻度分布であり、図5−2は横方向の加速度頻度分布である。このように、ステップS102では、前後方向と横方向とのそれぞれに対してドライ路面における加速度頻度分布Dが作成されて記憶部22へ格納される。
次にステップS103へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。これは、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数を予め定めておき、現在のデータ数と比較することにより判定される。ステップS103でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS100〜ステップS103を繰り返す。ステップS103でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合、ステップS104へ進む。
ステップS104において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20のDSN演算部25は、ドライ路面におけるDSN(DSN_D)を演算する。ここで、タイヤ1の前後方向におけるDSN(DSNx)は式(1)で、タイヤ1の横方向におけるDSN(DSNy)は式(2)で求められる。式(1)のGxは前後加速度であり、Pxは前後加速度Gxの出現頻度である。また、式(2)のGyは横加速度であり、Pyは横加速度Gyの出現頻度である。ドライ路面におけるDSNは、前後方向(DSN_Dx)及び横方向(DSN_Dy)それぞれについて演算される。
DSNx=Σ(Px×Gx)・・(1)
DSNy=Σ(Py×Gy)・・(2)
次に、ステップS101へ戻って説明する。ステップS101でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨天であると判定した場合、ステップS105へ進む。ステップS105において、加速度頻度分布作成部24は、雨天(ウェット路面)における加速度頻度分布Wを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成する。ステップS105では、ドライ路面の場合と同様に、前後方向と横方向とのそれぞれに対してウェット路面における加速度頻度分布Wが作成されて記憶部22へ格納される。
次にステップS106へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。この判定の手法は上述した通りである。ステップS106でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS100〜ステップS106を繰り返す。
ステップS106でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合、ステップS107へ進む。ステップS107において、DSN演算部25は、ウェット路面におけるDSN(DSN_W)を演算する。DSN_Wは、ドライ路面の場合と同様に、前後方向(DSN_Wx)及び横方向(DSN_Wy)それぞれについて演算される。
DSN_D(DSN_Dx及びDSN_Dy)及びDSN_W(DSN_Wx及びDSN_Wy)の両方が求められたらステップS108に進み、これらを用いてタイヤ1の耐摩耗性能を評価する。例えば、DSN_DとDSN_Wとの和を評価対象であるタイヤ1のDSNとして、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。このようにしても、本実施形態では、条件判定部23がドライ路面とウェット路面とで車両8の加速度(前後加速度Gx及び横加速度Gy)を区別し、それぞれの路面に対してDSNを求める。すなわち、条件判定部23は、車両8に作用する加速度を路面の状況に応じて分類し、DSN演算部25は、分類された加速度とその出現頻度とからDSNを演算する。これによって、μが変化したことによるタイヤ1の使用条件の変化はDSNに反映される。その結果、タイヤ1の使用条件が変化しても、その変化はDSNに反映されているので、車両8の加速度を測定して走行条件による摩耗の厳しさを評価することでタイヤ1の耐摩耗性能を評価するにあたり、タイヤ1の耐摩耗性能の評価精度低下を抑制できる。
(第1変形例)
本変形例は、上述した実施形態と略同様であるが、路面の状況に応じた所定の係数を、路面の状況に対応するDSNに乗じて補正する点が異なる。一般的に、ウェット路面においては、ドライ路面よりもタイヤ1の滑り量は大きく、タイヤ1はより摩耗しやすくなるので、例えば、雨天ではなくドライ路面(μが相対的に高い)においては得られたDSNに乗ずる所定の係数を相対的に小さくし、雨天でありウェット路面(μが相対的に低い)においては得られたDSNに乗ずる所定の係数を相対的に大きくする。これによって、μが変化したことによるタイヤ1の使用条件の変化をより適切にDSNに反映させることができる。
図6は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。図7は、横加速度の加速度頻度分布の一例を示す図である。図7の点線はドライ路面の横加速度であり、一点鎖線はウェット路面の横加速度であり、実線はドライ路面及びウェット路面両方の横加速度である。図8−1は、コーナーリングフォースとスリップ角との関係を示す模式図である。図8−2は、スリップ量と制駆動力との関係を示す模式図である。図8−1、図8−2の実線はドライ路面のもので、点線はウェット路面のものであり、両図のdはドライ路面のものであることを意味し、wはウェット路面のものであることを意味する。本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法は、図1に示す耐摩耗性能評価システム10及び耐摩耗性能評価装置20で実現できる。
本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS200〜ステップS207は、上述した実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS100〜ステップS107と同様なので説明を省略する。なお、図7に示すように、ウェット路面の横加速度は、ドライ路面の横加速度よりも小さくなる。ステップS207において、ウェット路面におけるDSN(DSN_W)が求められたら、ステップS208へ進む。ステップS208において、DSN演算部25は、DSN_Wに重み付けをする。重み付けは、DSN_Wに所定の係数を乗ずることである。
所定の係数は、例えば、評価対象であるタイヤ1のウェット路面におけるコーナーリングスティフネスCSwのドライ路面におけるコーナーリングスティフネスCSdの比(コーナーリングスティフネス比)の逆数(CSd/CSw)や、評価対象であるタイヤ1のウェット路面における制駆動スティフネスDSwのドライ路面における制駆動スティフネスDSdの比(制駆動スティフネス比)の逆数(DSd/DSw)を用いる。ここで、コーナーリングスティフネスCS及び制駆動スティフネスDSについて説明する。図8−1に示すように、タイヤ1は、スリップ角SAの増加とともにコーナーリングフォースCFは大きくなる。コーナーリングスティフネスCSは、スリップ角SAとコーナーリングフォースCFとの関係が比例する領域における傾き(CF/SA)である。また、図8−2に示すように、タイヤ1は、スリップ量SLの増加とともに制駆動力Fdbは大きくなる。制駆動スティフネスDSは、スリップ量SLと制駆動力Fdbとの関係が比例する領域における傾き(Fdb/SL)である。
コーナーリングスティフネスCSが大きくなると、同じコーナーリングフォースCFである場合のスリップ角SAは小さくなる。また、制駆動スティフネスDSが大きくなると、同じ制駆動力Fdbである場合のスリップ量SLは小さくなる。このように、コーナーリングスティフネスCSや制駆動スティフネスDSは、タイヤ1の滑りにくさを表す指標となる。そして、コーナーリングスティフネス比の逆数(CSd/CSw)は、ドライ路面に対するウェット路面の横滑りの程度を表し、制駆動スティフネス比の逆数(DSd/DSw)は、ドライ路面に対するウェット路面の縦(前後方向)滑りの程度を表す。一般に、タイヤ1の摩耗に対する厳しさは、タイヤ1の滑り量に依存するので、コーナーリングスティフネス比の逆数や制駆動スティフネス比の逆数を係数としてDSNに乗ずることにより、μが変化したことによるタイヤ1の使用条件の変化をより適切にDSNに反映させることができる。本変形例では、DSN_Wに対して所定の係数を求めて記憶部22へ格納しておき、DSN演算部25は、記憶部から所定の係数を読み出して、DSN_Wに乗ずる。
ステップS208で、DSN_Wに所定の係数を乗じたら、ステップS209に進む。ステップS209においては、DSN_D及び所定の係数(1/DSや1/CS)を乗じたDSN_Wを用いて、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。本変形例では、条件判定部23によって、ドライ路面とウェット路面とで車両8の加速度(前後加速度Gx及び横加速度Gy)を区別してそれぞれDSNを求めるので、μが変化したことによるタイヤ1の使用条件の変化がDSNに反映される。さらに、タイヤ1の滑りにくさを表す係数(コーナーリングスティフネス比の逆数や制駆動スティフネス比の逆数)によりウェット路面のDSNを重み付けする。その結果、タイヤ1の使用条件が変化しても、その変化はDSNにより適切に反映されるので、タイヤ1の耐摩耗性能の評価精度低下をより確実に抑制できる。
図9は、所定の係数によってDSNを補正した結果を示す図表である。図9は、ウェット路面の滑りがドライ路面の滑りよりも5%増加するとして転動シミュレーションを実行した結果を示す。図9のDSNは、加速度頻度分布から求めた値であり、補正後DSNは加速度頻度分布から求めたDSNに上述した所定の係数を乗じた値である。また、図9のDSNは、前後方向のDSNxと横方向のDSNyとの和である。図10−1は、得られたDSNに所定の係数を乗じない場合における推定摩耗寿命とDSNとの関係を示す図である。図10−2は、得られたDSNに所定の係数を乗じた場合における推定摩耗寿命とDSNとの関係を示す図である。
図9に示すように、ウェット路面及び合計の補正後DSNは、補正前のDSNに比べて大きい値となっている。このように、所定の係数を用いてDSN_Wに重み付けすることにより、図3−1、図3−2で示したように、同じ横加速度であってもウェット路面の方がドライ路面よりもタイヤ1の摩耗については厳しい条件であることがウェット路面のDSNに反映されている。
図10−1、図10−2は、DSNと、このDSNから推定されたタイヤ1の摩耗寿命とを複数プロットしたものであり、両図の直線は、それぞれの複数のプロット点を最小自乗法で一次関数に近似したものである。Rは相関係数であり、相関係数が大きいほど近似した直線は、DSNと摩耗寿命との相関が高いことを意味する。図10−1の摩耗寿命とDSNとの関係と図10−2の摩耗寿命と補正後DSNとの関係とを比較すると、補正後DSNを用いた場合の方が相関係数は高く、得られたDSNに所定の係数を乗じることにより、DSNから摩耗寿命を推定する際の精度が向上する。
(第2変形例)
本変形例は、上述した変形例と略同様であるが、加速度測定手段が測定した加速度を、ウェット路面の状況(本変形例では路面の濡れ具合、すなわち、雨量)に応じて分類してDSNを演算するとともに、それぞれのDSNに乗ずる所定の係数を、ウェット路面の状況に応じて変更する点が異なる。例えば、ウェット路面においては、雨量が増加するにしたがって、得られたDSNに乗ずる所定の係数を大きくする。これによって、μが変化したことによるタイヤの使用条件の変化をさらに適切にDSNに反映させることができる。
図11は、本実施形態の第2変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法は、図1に示す耐摩耗性能評価システム10及び耐摩耗性能評価装置20で実現できる。本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS300〜ステップS304は、上述した第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS200〜ステップS204と同様なので説明を省略する。
ステップS301においてYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨天であると判定した場合、ステップS305へ進む。ステップS305において、条件判定部23は、雨量の範囲がAであるか否かを判定する。本変形例では、路面状況検出手段12として車両8のワイパーを用い、ワイパーのモード(例えば、間欠、緩、急)によって雨量、すなわちタイヤ1が接する路面の濡れ具合を判定する。例えば、ワイパーのモードが間欠モードである場合は雨量範囲がA、緩モードである場合は雨量範囲がB、急モードである場合は雨量範囲がC(A<B<C)とする。
ステップS305でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨量範囲はAであると判定した場合(ワイパーが間欠モードである場合)、ステップS306へ進む。ステップS306において、加速度頻度分布作成部24は、雨量範囲Aにおけるウェット路面の加速度頻度分布WAを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成して、記憶部22へ格納する。
次にステップS307へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。ステップS307でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS300〜ステップS307を繰り返す。ステップS307でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合、ステップS308へ進む。ステップS308において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20のDSN演算部25は、雨量範囲Aにおけるウェット路面のDSN(DSN_WA)を演算して記憶部22へ格納する。
次にステップS305に戻って説明する。ステップS305でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨量範囲はAでないと判定した場合、ステップS309へ進む。ステップS309において、条件判定部23は、雨量の範囲がBであるか否かを判定する。ステップS309でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨量範囲はBであると判定した場合(ワイパーが緩モードである場合)、ステップS310へ進む。ステップS310において、加速度頻度分布作成部24は、雨量範囲Bにおけるウェット路面の加速度頻度分布WBを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成して、記憶部22へ格納する。
次にステップS311へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。ステップS311でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS300〜ステップS311を繰り返す。ステップS311でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合、ステップS312へ進む。ステップS312において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20のDSN演算部25は、雨量範囲Bにおけるウェット路面のDSN(DSN_WB)を演算して記憶部22へ格納する。
次にステップS309に戻って説明する。ステップS309でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23が雨量範囲はBでないと判定した場合、ステップS313へ進む。この場合、雨量範囲はC(ワイパーが急モード)である。ステップS313において、加速度頻度分布作成部24は、雨量範囲Cにおけるウェット路面の加速度頻度分布WCを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成して、記憶部22へ格納する。
次にステップS314へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。ステップS314でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS300〜ステップS314を繰り返す。ステップS314でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合、ステップS315へ進む。ステップS315において、耐摩耗性能評価システム10の耐摩耗性能評価装置20のDSN演算部25は、雨量範囲Cにおけるウェット路面のDSN(DSN_WC)を演算して記憶部22へ格納する。
DSN_D、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCが得られたら、ステップS316に進み、DSN演算部25は、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCに重み付けをする。重み付けは、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCに所定の係数を乗ずることである。所定の係数は、例えば、評価対象であるタイヤ1のコーナーリングスティフネス比の逆数(CSd/CSw)や、制駆動スティフネス比の逆数(DSd/DSw)である。本変形例では、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCそれぞれに対して所定の係数を求めて記憶部22へ格納しておき、DSN演算部25は、記憶部22から所定の係数を読み出して、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCに乗ずる。
ステップS316で、DSN_WA、DSN_WB、DSN_WCに所定の係数を乗じたら、ステップS317に進む。ステップS317においては、DSN_D及び所定の係数(1/CS)を乗じたDSN_WA、DSN_WB、DSN_WCを用いて、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。本変形例では、条件判定部23によって、ドライ路面とウェット路面とで車両8の加速度(前後加速度Gx及び横加速度Gy)を区別し、さらにウェット路面においては、路面の濡れ具合に応じてそれぞれDSNを求めるので、μが変化したことによるタイヤの使用条件の変化をよりDSNに反映させることができる。そして、タイヤ1の滑りにくさを表す係数をウェット路面の濡れ具合に応じて求め、ウェット路面のDSNを重み付けする。その結果、タイヤの使用条件が変化しても、その変化はDSNにさらに適切に反映されるので、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下をさらに確実に抑制できる。
(実施形態2)
本実施形態は、移動体に作用する加速度を構造体の使用環境を表す指標に応じて分類し、分類された移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、路面の状況毎に構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する点は実施形態1と同様であるが、構造体の使用環境として、構造体の温度に関する指標を用いる点が異なる。実施形態1と同様に、本実施形態においても構造体はタイヤであり、移動体は車両である。
図12は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価装置を有する耐摩耗性能評価システムの構成を示す図である。この耐摩耗性能評価システム10aは、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法を実現する。耐摩耗性能評価システム10aは、図1に示す耐摩耗性能評価システム10と略同様であるが、構造体としてのタイヤ1の温度に関する指標(以下、必要に応じて温度指標という)を検出する温度指標検出手段を有する点が異なる。温度指標とは、タイヤ1の摩耗に影響を与える温度に関する環境であり、例えば、タイヤ1の表面温度(トレッド面の温度)や路面温度、あるいはタイヤ1の周囲の大気温度等である。
温度指標検出手段は、タイヤ1のトレッド面の温度を検出する表面温度計16や、タイヤ1の周囲の雰囲気温度を検出する雰囲気温度計17である。この他にも、温度検出手段として、路面の温度を検出する路面温度計を用いてもよい。表面温度計16や路面温度計は、非接触で温度を検出できるものが好ましく、例えば、放射温度計を用いる。雰囲気温度計17は、熱電対やサーミスタ等を用いることができる。表面温度計16でタイヤ1のトレッド面の温度を検出する場合、タイヤ1が路面と接触した直後の温度を検出するようにすることが好ましい。このようにすれば、タイヤ1のトレッド面の温度低下が小さいうちに表面温度計16でトレッド面の温度を検出できる。その結果、実際にタイヤ1と路面とが接触している状態をDSNに反映させることができる。表面温度計16及び雰囲気温度計17は、入出力ポート27に接続されており、これらが検出したタイヤ1のトレッド面の温度や、タイヤ1の周囲の雰囲気温度は、入出力ポート27を介して処理部21が取得する。
図13は、本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実行するにあたり、ステップS400において、耐摩耗性能評価システム10aの耐摩耗性能評価装置20の情報取得部26は、2軸加速度センサ11から車両8の前後方向における加速度(前後加速度)Gx及び横方向における加速度(横加速度)Gyを取得する。この点は、実施形態1と同様である。
次にステップS401へ進み、耐摩耗性能評価システム10aの耐摩耗性能評価装置20の条件判定部23は、温度指標tを取得するとともに、第1温度域値t1と比較する。温度指標tは、上述したように、タイヤ1のトレッド面の温度、路面温度、あるいはタイヤ1の周囲に存在する大気温度等のうち、少なくとも一つである。次のt1、t2、t3は、温度指標tの大きさ毎にDSNを分類するための温度閾値であり、t1<t2<t3である。タイヤ1の耐摩耗性は、温度指標tに依存するので、タイヤ1の耐摩耗性能を評価するにあたっては、温度指標tを考慮することにより、評価精度を向上させることができる。
条件判定部23がt<t1であると判定した場合(ステップS401、Yes)、ステップS402へ進む。ステップS402において、耐摩耗性能評価システム10aの耐摩耗性能評価装置20の加速度頻度分布作成部24は、t<t1における加速度頻度分布Aを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成する。ステップS402では、前後方向と横方向とのそれぞれに対してt<t1における加速度頻度分布Aが作成されて記憶部22へ格納される。
次にステップS403へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合(ステップS403、No)、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS400〜ステップS403を繰り返す。条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合(ステップS403、Yes)、ステップS404へ進む。
ステップS404において、耐摩耗性能評価システム10aの耐摩耗性能評価装置20のDSN演算部25は、t<t1におけるDSN(DSN_A)を演算する。ここで、タイヤ1の前後方向におけるDSN(DSNx)は上述した式(1)で、タイヤ1の横方向におけるDSN(DSNy)は上述した式(2)で求められる。
次に、ステップS401へ戻って説明する。条件判定部23がt≧t1であると判定した場合、ステップS405へ進む。ステップS405において、条件判定部23は、t1≦t<t2であるか否かを判定する。条件判定部23がt1≦t<t2であると判定した場合(ステップS405、Yes)、ステップS406へ進む。ステップS406において、加速度頻度分布作成部24は、t1≦t<t2における加速度頻度分布Bを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成し、記憶部22へ格納する。
次にステップS407へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。この判定の手法は上述した通りである。条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合(ステップS407、No)、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS400〜ステップS407を繰り返す。
条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合(ステップS407、Yes)、ステップS408へ進む。ステップS408において、DSN演算部25は、t1≦t<t2におけるDSN(DSN_B)を演算する。DSN_Bは、t<t1における場合と同様に、前後方向(DSNx)及び横方向(DSNy)それぞれについて演算される。
次に、ステップS405へ戻って説明する。ステップS405において、条件判定部23がt2≦tであると判定した場合(ステップS405、No)、ステップS409へ進む。ステップS409において、条件判定部23はt2≦t<t3か否かを判定する。条件判定部23が、t2≦t<t3であると判定した場合(ステップS409、Yes)、ステップS410へ進む。ステップS410において、加速度頻度分布作成部24は、t2≦t<t3における加速度頻度分布Cを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成し、記憶部22へ格納する。
次にステップS411へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。この判定の手法は上述した通りである。条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合(ステップS411、No)、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS400〜ステップS411を繰り返す。
条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合(ステップS411、Yes)、ステップS412へ進む。ステップS412において、DSN演算部25は、t2≦t<t3におけるDSN(DSN_C)を演算する。DSN_Cは、t<t1における場合と同様に、前後方向(DSNx)及び横方向(DSNy)それぞれについて演算される。
次に、ステップS409へ戻って説明する。ステップS409において、条件判定部23がt3≦tであると判定した場合(ステップS409、No)、ステップS413へ進む。ステップS413において、加速度頻度分布作成部24は、t3≦tにおける加速度頻度分布Dを、車両8の前後方向及び前後方向に直交する横方向毎に作成し、記憶部22へ格納する。
次にステップS414へ進み、条件判定部23は、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたか否かを判定する。この判定の手法は上述した通りである。条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数は得られていないと判定した場合(ステップS414、No)、DSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られるまでステップS400〜ステップS414を繰り返す。
条件判定部23がDSNを演算するために必要な加速度のデータ数が得られたと判定した場合(ステップS414、Yes)、ステップS415へ進む。ステップS415において、DSN演算部25は、t3≦tにおけるDSN(DSN_D)を演算する。DSN_Dは、t<t1における場合と同様に、前後方向(DSNx)及び横方向(DSNy)それぞれについて演算される。
次に、ステップS416に進み、これらを用いてタイヤ1の耐摩耗性能を評価する。この評価は、実施形態1で説明した通りである。本実施形態では、温度指標t、すなわち、タイヤ1の温度に関する指標の水準毎にDSNを求め、これらに基づいて得られたもの(例えば、DSN_AとDSN_BとDSN_CとDSN_Dとの和)をタイヤ1のDSNとして、温度指標を考慮してタイヤ1の耐摩耗性能を評価する。これによって、タイヤ1の温度指標tを考慮できるので、評価精度が向上する。
(第1変形例)
図14は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。図15は、本実施形態の第1変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法で用いる重み付け係数のマップである。本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS500〜ステップS515は、上述した実施形態2に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法のステップS400〜ステップS415と同様なので説明を省略する。
ステップS500〜ステップS515により、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dが得られたら、ステップS516に進み、DSN演算部25は、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに重み付けをする。重み付けは、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに所定の重み付け係数K(図15参照)を乗ずることである。所定の重み付け係数Kは、温度指標tの大きさに基づいて設定される。
タイヤ1のゴムの摩耗量は、摩擦エネルギーとゴムの温度とに依存している。本実施形態では、ゴムの温度は温度指標tと略等価であり、摩擦エネルギーはDSNと略等価である。図15に示すマップ30a、30b、30cは、DSNの大きさ毎に、タイヤ1のゴムの摩耗量(TD)と温度(t)との関係を記述したものである。DSN1<DSN2<DSN3である。図15に示すように、一般に、ゴムの摩耗量(TD)は、DSN、すなわち、摩擦エネルギーが小さいときには、温度(t)の増加とともに小さくなり、DSNが大きくなるにしたがって、温度(t)の増加とともに大きくなる傾向がある。
重み付け係数Kは、例えば、図15に示すように、マップ30a、30b、30cに示すように、摩擦量(TD)に対応して設定される。すなわち、本変形例において、重み付け係数Kは、摩擦量(TD)が大きくなるにしたがって大きく設定される。そして、重み付け係数Kは、DSN毎に温度(t)に対してマップ30a、30b、30cに記述され、記憶部22へ格納される。DSN演算部25は、得られたDSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに対して、対応するマップ30a、30b、30cを記憶部22から読み出す。そして、DSN演算部25は、読み出したマップ30a、30b、30cに、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dの温度指標tを与え、対応する重み付け係数Kを読み出す。そして、DSN演算部25は、読み出した重み付け係数Kを、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに乗ずる。
ステップS516で、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに重み付け係数Kを乗じたら、ステップS517に進む。ステップS517においては、重み付け係数Kを乗じたDSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dを用いて、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。このように、本変形例では、条件判定部23によって、温度指標tに基づいて車両8の加速度(前後加速度Gx及び横加速度Gy)を温度指標tの水準毎に分類して水準毎にDSNを求め、さらに、求めたDSNに温度指標tの水準に応じた重み付けをして、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。これによって、タイヤ1の使用中にタイヤ1の温度や使用環境の温度が変化しても、その変化はDSNに適切に反映されるので、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下をさらに確実に抑制できる。なお、重み付け係数Kには、評価対象のタイヤ1が有するトレッドゴムの摩耗のランボーン温度依存性を元に設定してもよい。
(第2変形例)
本実施形態の第2変形例は、上述した第1変形例と同様であるが、使用環境を表す指標は、さらに、構造体の使用環境を表す指標に前記路面の濡れ具合を加え、移動体に作用する加速度を、温度指標と路面の濡れ具合とに応じて分類する点が異なる。次に、本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を説明する。
図16は、本実施形態の第2変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法の手順を示すフローチャートである。本変形例に係る耐摩耗性能評価方法であるDSN解析方法を実行するにあたり、ステップS601において、耐摩耗性能評価システム10aの情報取得部26は、車両8の前後加速度Gx及び横加速度Gyを取得する。
次にステップS602へ進み、条件判定部23は、車両8の走行中の天候、すなわち、評価対象であるタイヤ1の使用される環境が雨天であるか否かを判定する。これによって、路面の濡れ具合(すなわち路面の摩擦係数)を考慮する。雨天か否かを判定する手法は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。条件判定部23が雨天であると判定した場合(ステップS602、Yes)、ステップS603へ進む。
ステップS603において、条件判定部23は、温度指標tを取得するとともに、第1温度域値t1と比較する。条件判定部23がt<t1であると判定した場合(ステップS603、Yes)、ステップS604へ進む。ステップS604〜ステップS606は、上述した実施形態2のステップS402〜ステップS404と同様なので、説明を省略する。
次に、ステップS603に戻って説明する。ステップS603において、条件判定部23がt≧t1であると判定した場合(ステップS603、No)、ステップS607へ進む。ステップS607〜ステップS609は、上述した実施形態2のステップS406〜ステップS408と同様なので、説明を省略する。
次に、ステップS602に戻って説明する。ステップS602において、条件判定部23が雨天でないと判定した場合(ステップS602、No)、ステップS610へ進む。ステップS610において、条件判定部23は、温度指標tを取得するとともに、第1温度域値t1と比較する。条件判定部23がt<t1であると判定した場合(ステップS610、Yes)、ステップS611へ進む。ステップS611〜ステップS613は、上述した実施形態2のステップS410〜ステップS412と同様なので、説明を省略する。
次に、ステップS610に戻って説明する。ステップS610において、条件判定部23がt≧t1であると判定した場合(ステップS610、No)、ステップS614へ進む。ステップS614〜ステップS616は、上述した実施形態2のステップS413〜ステップS415と同様なので、説明を省略する。
ステップS601〜ステップS616により、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dが得られたら、ステップS617に進み、DSN演算部25は、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに重み付けをする。重み付けは、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに、本実施形態の第2変形例に係る所定の重み付け係数K(図15参照)及び実施形態1の第1変形例に係る所定の係数(例えば、CSd/CSw)を乗ずることである。
ステップS617で、DSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dに重み付け係数Kを乗じたら、ステップS618に進む。ステップS618においては、重み付け係数K及び所定の係数CSd/CSw等を乗じたDSN_A、DSN_B、DSN_C、DSN_Dを用いて、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。このように、本変形例では、条件判定部23によって、温度指標tに基づいて車両8の加速度(前後加速度Gx及び横加速度Gy)を温度指標tの水準毎に分類して水準毎にDSNを求め、さらに、求めたDSNに温度指標tの水準及び路面の濡れ具合に応じた重み付けをして、タイヤ1の耐摩耗性能を評価する。これによって、タイヤ1の使用中にタイヤ1の温度や使用環境の温度、あるいは路面の摩擦係数が変化しても、その変化はDSNに適切に反映されるので、タイヤの耐摩耗性能の評価精度低下をさらに確実に抑制できる。
以上のように、本発明に係る耐摩耗性能評価装置及び耐摩耗性能評価方法、並びに耐摩耗性能評価用コンピュータプログラムは、タイヤの耐摩耗性能を評価することに有用である。
1 タイヤ
2 溝
3 ブロック
4 タイヤ内面
5 トレッド面
6 アンダートレッド
7 キャップトレッド
8 車両
10、10a 耐摩耗性能評価システム
11 2軸加速度センサ
12 路面状況検出手段
13 距離センサ
14 入力装置
15 ディスプレイ
20 耐摩耗性能評価装置
21 処理部
22 記憶部
23 条件判定部
24 加速度頻度分布作成部
25 DSN演算部
26 情報取得部
27 入出力ポート

Claims (17)

  1. 移動体に取り付けられて路面と接する構造体の耐摩耗性能を評価するものであり、
    前記移動体に作用する加速度を測定する加速度測定手段が測定した加速度を、前記構造体の使用環境を表す指標に応じて分類する分類手段と、
    前記加速度測定手段が測定し、前記分類手段によって分類された前記移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、前記路面の状況毎に前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する演算手段と、
    を含むことを特徴とする耐摩耗性能評価装置。
  2. 前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体が接する路面の状況である請求項1に記載の耐摩耗性能評価装置。
  3. 前記演算手段は、前記路面の状況に応じた係数を、当該路面の状況に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項2に記載の耐摩耗性能評価装置。
  4. 前記移動体は、前記路面の状況を検出する路面状況検出手段を有し、
    前記演算手段は、前記路面状況検出手段の動作状態に応じた係数を前記耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項2に記載の耐摩耗性能評価装置。
  5. 前記路面の状況は、前記路面の濡れ具合である請求項2から4のいずれか1項に記載の耐摩耗性能評価装置。
  6. 前記路面の状況は、前記路面の濡れ具合であり、前記移動体は車両であり、また、前記路面状況検出手段は、前記車両が有するワイパー又は雨量検知手段である請求項に記載の耐摩耗性能評価装置。
  7. 前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体の温度に関する指標である請求項1に記載の耐摩耗性能評価装置。
  8. 前記演算手段は、前記温度に関する指標に応じた係数を、当該温度に関する指標に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項に記載の耐摩耗性能評価装置。
  9. 前記構造体の使用環境を表す指標は、さらに、前記路面の濡れ具合を含み、
    前記分類手段は、前記加速度測定手段が測定した加速度を、前記温度に関する指標と前記路面の濡れ具合とに応じて分類する請求項7又は8に記載の耐摩耗性能評価装置。
  10. 移動体に取り付けられて路面と接する構造体の耐摩耗性能を評価するにあたって、
    前記移動体に作用する加速度を測定する加速度測定手段が測定した加速度を、前記構造体の使用環境を表す指標に応じて分類する手順と、
    分類された前記移動体の加速度と当該加速度の出現頻度とから、前記路面の状況毎に前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する手順と、
    を含むことを特徴とする耐摩耗性能評価方法。
  11. 前記構造体の使用環境を表す指標は、前記構造体が接する路面の状況である請求項10に記載の耐摩耗性能評価方法。
  12. 前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する場合、前記路面の状況に応じた係数を、当該路面の状況に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項11に記載の耐摩耗性能評価方法。
  13. 前記移動体が有する前記路面の状況を検出する路面状況検出手段の動作状態に応じた係数を前記耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項12に記載の耐摩耗性能評価方法。
  14. 前記移動体の使用環境を表す指標は、前記構造体の温度を表す指標である請求項10に記載の耐摩耗性能評価方法。
  15. 前記構造体の耐摩耗性能評価指標を演算する場合、前記温度を表す指標に応じた係数を、当該温度を表す指標に対応する耐摩耗性能評価指標に乗ずる請求項14に記載の耐摩耗性能評価方法。
  16. 前記移動体の使用環境を表す指標は、さらに、前記路面の濡れ具合を含み、
    前記分類する手順においては、前記加速度測定手段が測定した加速度を、前記温度を表す指標と前記路面の濡れ具合とに応じて分類する請求項14又は15に記載の耐摩耗性能評価方法。
  17. 請求項10〜16のいずれか1項に記載の耐摩耗性能評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とする耐摩耗性能評価用コンピュータプログラム。
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