JP2013082198A - 成形金型およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品の表面に微細で深い凹凸を付与できる成形金型およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】成形金型10の基材12の表面に金属めっき層14aを形成し、形成された金属めっき層14aの表面に化学的にエッチングを施す。これにより、成形金型10の転写面に微細で深い凹凸が形成される。凹凸の細かさは、例えば金属めっき層14aの表面の金属粒子の粒子径により制御することができる。また、凹凸の深さは、例えばエッチング量により制御することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形金型およびその製造方法に関するものである。
従来より、各種装飾品における艶消し加工や、ソフトフィール性付与、ゴム、プラスチック製品の滑り止め、グリップ性向上、塗装製品におけるアンカー効果による塗料の密着強化、レンズ・フィルム製品における光反射防止加工などを目的として、各種成形品では表面に粗化処理が施されることがある。この際、各種成形品の製造工数や表面粗化状態の再現性などを考慮して、成形金型を用いた型転写によって表面の粗化処理が行われることが望ましい。
この場合、予め、成形金型の転写面に粗化処理が施されるが、このような表面粗化技術としては、ブラスト加工や、ヘアライン加工、電鋳加工、放電加工などの加工技術が知られている。
特開2006−47558号公報
しかしながら、ブラスト加工の場合、緻密な粗さを形成することができないため、成形品の表面に微細で深い凹凸を付与することができないという問題がある。また、例えば円筒状の成形金型の内周面や、アスペクト比の高い比較的複雑な形状に対して粗化処理を行いにくい。ヘアライン加工の場合、一定方向に沿って粗さを形成することから、比較的複雑な形状に対しては粗化処理を行いにくい。電鋳加工の場合、加工コストが高い。放電加工の場合、比較的複雑な形状に対しては粗化処理を行いにくい。また、電極の消費に伴い粗さが変動しやすいため、粗さの再現性という点で劣っている。
本発明が解決しようとする課題は、成形品の表面に微細で深い凹凸を付与できる成形金型およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る成形金型は、成形金型の基材の表面に金属めっき層が形成されており、該金属めっき層の表面が化学的にエッチングされることにより前記成形金型の転写面に凹凸が形成されていることを要旨とするものである。
この際、前記成形金型の転写面の凹凸は、前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒界が化学的にエッチングされることにより形成されていることが好ましい。そしてこのとき、前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径は、2〜10μmの範囲内に設定されていることが好ましい。また、前記金属めっき層の金属は、銅またはニッケルであることが好ましい。
そして、前記成形金型の転写面の凹凸によって、前記成形金型の転写面の算術平均粗さRaが0.8〜2.0μm、十点平均粗さRzが15〜40μm、前記成形金型の表面の表面積比S/S0が4.0以上に設定されていることが望ましい。ただし、Sは前記成形金型の転写面の実測表面積であり、S0は前記成形金型の転写面が平坦面であるとしたときの理論表面積である。
ここで、前記金属めっき層の表面には、さらに離型層が形成されていても良い。また、前記成形金型の基材と前記金属めっき層との間には、さらに下地層が形成されていても良い。このとき、前記離型層は、フッ素樹脂粒子が分散された金属めっき層であることが好ましい。
そして、本発明に係る成形金型の製造方法は、成形金型の基材の表面に金属めっき層を形成する工程と、該金属めっき層の表面を化学的にエッチングして前記成形金型の転写面に凹凸を形成する工程とを有することを要旨とするものである。
この際、前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径を、2〜10μmの範囲内に設定することが望ましい。また、前記金属めっき層の表面に施すエッチング量を、5〜28μmの範囲内に設定することが望ましい。
本発明に係る成形金型によれば、成形金型の基材の表面に形成された金属めっき層の表面に施された化学的なエッチングにより成形金型の転写面に微細で深い凹凸が形成されていることから、これを用いて成形品を型成形したときに、成形品の表面に微細で深い凹凸を付与(転写)することができる。また、金属めっき層の形成と化学的なエッチング処理によるため、例えば円筒状の成形金型の内周面や、アスペクト比の高い比較的複雑な形状に対しても粗化処理を行うことができ、これにより得られる成形品の形状を選ばないという利点もある。
また、成形金型の基材に直接、化学的なエッチングが施されるのではなく、基材の表面に形成された金属めっき層の表面に化学的なエッチングが施されることから、成形金型の表面の粗化状態は、基材の材質や基材の表面の加工状態などに影響されない。このため、基材の材質にとらわれることなく、種々の材質の基材に対して適用できる。また、種々の材質の基材に適用した場合にも、成形金型の表面の粗化状態の再現性が高い。
また、化学的なエッチングによって金属めっき層の表面に凹凸が形成されていることから、使用によって成形金型の転写面が汚れた場合には、金属めっき層を剥離した後、再度金属めっき層を形成し、その表面に化学的なエッチングを施すことにより、成形金型を再生することができる。この場合、基材を切削加工したりする必要がないため、再生の精度に優れる。また、メンテナンス性にも優れる。
この際、金属めっき層の表面の金属粒子の粒界が化学的にエッチングされるのであれば、成形金型の転写面には、より微細で深い凹凸が形成される。これにより、成形品の表面には、より微細で深い凹凸を付与することができる。このとき、凹凸の細かさなどは、金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径により制御することができる。そして、金属粒子の粒子径が特定範囲にあることで、成形金型の転写面には、より微細な凹凸が形成される。また、金属めっき層の金属が銅またはニッケルであると、金属粒子の粒界をエッチングしやすい。
そして、このような凹凸によって、成形金型の転写面の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、成形金型の表面の表面積比S/S0が特定範囲に設定されていれば、成形品に微細で深い凹凸を付与することができる。
ここで、金属めっき層の表面に、さらに離型層が形成されていれば、成形品の脱型を容易にすることができる。離型層が、フッ素樹脂粒子が分散された金属めっき層であれば、表面に化学的なエッチングが施された金属めっき層との密着性にも優れる。また、成形金型の基材と金属めっき層との間に、さらに下地層が形成されていれば、基材の腐食を防止して耐久性を向上させることができる。
そして、本発明に係る成形金型の製造方法によれば、成形品の表面に微細で深い凹凸を付与(転写)できる成形金型が得られる。このとき、凹凸の細かさなどは、金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径により制御することができる。また、凹凸の深さなどは、化学的なエッチング量により制御することができる。そして、金属粒子の粒子径やエッチング量が特定範囲にあることで、成形金型の転写面には、より微細で深い凹凸が形成される。
本発明に係る成形金型の製造方法の一例を説明する模式図である。 実施例1の成形金型の表面の拡大写真(a)と断面の拡大写真(b)である。 実施例1のゴム成形体の表面の拡大写真である。 比較例の成形金型の表面の拡大写真である。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る成形金型は、基材と、基材の表面に形成された金属めっき層とを備えている。この金属めっき層の表面には化学的なエッチング処理が施されており、これにより、金属めっき層の表面には凹凸が形成されている。成形金型の表面は成形品の表面に形状を転写する転写面であり、金属めっき層の表面の凹凸により、成形金型の転写面には凹凸が形成されている。エッチング処理された後の金属めっき層の表面は、断面で見ると、浸食により形成されたリアス式海岸線様の形状をしており、細い襞様の形状をしている。
金属めっき層の表面の凹凸は、金属めっき層の表面が化学的にエッチングされることで形成されているが、金属めっき層の表面の金属粒子の粒界が化学的にエッチングされていても良いし、金属粒子の粒界以外の部分が化学的にエッチングされていても良い。
金属めっき層の表面の金属粒子の粒界が化学的にエッチングされると、金属めっき層の表面の金属粒子の大きさよりなる凸部が、金属粒子間程度の間隔で、金属めっき層の表面に多数形成される。これによると、成形金型の転写面には、微細な凹凸が形成される。この場合、金属めっき層の表面の金属粒子の粒径の大きさにより、凹凸の細かさを制御することができる。
微細な凹凸を形成するなどの観点から、金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径としては2〜10μmの範囲内に設定されていることが好ましい。より好ましくは3〜8μmの範囲内、さらに好ましくは4〜7μmの範囲内である。金属めっき層の金属粒子の粒子径は、例えばめっき金属の析出速度によって調節することができる。上記範囲内の粒子径とするには、めっき金属の析出速度は比較的高速であることが好ましい。具体的には、例えば3μm/hr以上の析出速度であることが好ましい。より好ましくは5μm/hr以上、さらに好ましくは7μm/hr以上である。
金属めっき層の金属が銅やニッケルであると、金属粒子の粒界をエッチングしやすいため、このような微細な凹凸を形成しやすい。この観点から、金属めっき層の金属としては、銅やニッケルが好ましい。より好ましくは銅である。また、めっき手法は電解めっき、無電解めっきとも可能であるが、複雑な形状にも均一にめっき層を形成しやすい観点から、無電解めっきが好ましい。なお、高速析出型の無電解銅めっき液としては、奥野製薬工業社製の「OPCカッパーT」や「OPCカッパーNCA」などが挙げられる。
金属めっき層の表面の凹凸の深さは、エッチング量により制御することができる。所望の凹凸深さを得るなどの観点から、エッチング量としては5〜28μmの範囲内に設定されていることが好ましい。より好ましくは10〜20μmの範囲内である。エッチング量は、エッチングの処理温度やエッチングの処理時間などにより調節することができる。処理温度としては、微細で均一な凹凸を形成する、エッチング液の分解抑制などの観点から、25〜35℃の範囲内に設定することが好ましい。処理時間としては、50〜250秒の範囲内に設定することが好ましい。なお、エッチング量は、エッチング前後での重量変化と、処理面積、めっき金属の比重から算出することができる。
金属めっき層の厚さは、エッチング量を確保するなどの観点から、エッチング量の2倍程度の厚さとすることが好ましい。この観点から、金属めっき層の厚さとしては、10〜60μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
金属めっき層の無電解めっき液には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤などが含まれる。金属イオンは、めっき金属のイオンである。還元剤としては、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒドなどを挙げることができる。このうち、めっき液の安定性などの観点から、次亜リン酸、ホルムアルデヒドが好ましい。錯化剤としては、クエン酸、リンゴ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などを挙げることができる。pH緩衝剤としては、乳酸、酢酸、コハク酸などを挙げることができる。
エッチング液は、主剤と助剤とにより構成される。エッチング液の主剤としては、硫酸および過酸化水素を挙げることができる。主剤とともに用いられる助剤としては、有機酸や塩素イオンなどを挙げることができる。エッチング液には、この他に界面活性剤などを含めることができる。有機酸としては、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。塩素イオン源としては、塩化ナトリウムなどを挙げることができる。なお、助剤は、エッチング性の向上やエッチング液の分解抑制などを目的として用いられる。
なお、金属めっき層の表面には、金属めっき層の表面を覆う表層が形成されていなくても良いし、このような表層がさらに形成されていても良い。このような表層が形成されておらず、成形金型の最表層が金属めっき層の場合には、金属めっき層の表面が成形金型の転写面となる。成形金型の最表層が表層である場合には、表層の表面が成形金型の転写面となる。表層は、成形金型の表面に求められる機能に応じて適宜形成される。このような表層としては、成形品の成形金型からの離型性を向上させる離型層などを挙げることができる。
離型層は、例えば、金属めっきにより形成されていても良いし、塗膜により形成されていても良い。金属めっきにより形成される離型層には、フッ素樹脂粒子が分散された無電解めっき液を用いると良い。塗膜により形成される離型層には、フッ素樹脂を含有する塗料を用いると良い。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを挙げることができる。
離型層の無電解めっき液には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤、フッ素樹脂粒子が含まれる。フッ素樹脂粒子の平均粒子径の大きさとしては、0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3μm以下である。フッ素樹脂粒子の配合量としては、特に限定されず、例えば1〜20g/Lの範囲内で適宜設定すれば良い。離型層の金属としては、特に限定されるものではないが、エッチング処理された金属めっき層との密着性に優れる、耐腐食性に優れるなどの観点から、ニッケルなどが好ましい。
離型層の厚さは、特に限定されないが、エッチング処理されためっき層の凹凸を埋没させない程度の厚さにすると良い。具体的には、0.5〜3μmの範囲内とすることが好ましい。
また、成形金型の基材と金属めっき層との間には、基材の腐食を防止するなどの目的で、さらに下地層が形成されていても良い。下地層は、金属めっきにより形成することができる。下地層の無電解めっき液には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤などが含まれる。金属イオンは、めっき金属のイオンである。
下地層の金属としては、耐食性に優れることから、ニッケル、亜鉛、コバルト、錫などが好ましい。このうち、基材と金属めっき層との密着性を高くできるなどの観点から、ニッケルがより好ましい。下地層の厚さは、特に限定されるものではなく、1〜20μmの範囲内で適宜設定すれば良い。
成形金型の基材の材料としては、特に限定されるものではなく、耐久性等を考慮して適宜定めれば良い。具体的には、例えば、S55C等の炭素鋼材、SACM645等のアルミニウムクロムモリブデン鋼材、A5056等のアルミニウム合金、アルミニウム等を挙げることができる。
成形金型は、基材の表面に金属めっき層を形成した後、金属めっき層の表面を化学的にエッチングすることにより得ることができる。図1には、成形金型の製造工程の一例を示す。
図1(a)に示すように、まず、基材12の表面に、無電解めっきにより下地層14aを形成する。次に、図1(b)に示すように、下地層14aの上に、無電解めっきにより金属めっき層14bを形成する。次に、図1(c)に示すように、金属めっき層14bの表面を化学的にエッチング処理することにより、金属めっき層14bの表面に凹凸を形成する。次に、図1(d)に示すように、金属めっき層14bの上に、金属めっき層14bの表面の凹凸を埋没させないように、無電解めっきにより離型層14cを形成する。これらの工程を経て、成型金型10の表面に微細で深い凹凸が形成される。
なお、図1に示す例では、下地層14aと離型層14cの両方が設けられている構成について説明しているが、成形金型としては、例えば、下地層14aが設けられていなくても良いし、離型層14cが設けられていなくても良いし、下地層14aと離型層14cの両方が設けられていなくても良い。
以上の構成よりなる成形金型によれば、成形金型の基材の表面に形成された金属めっき層の表面に施された化学的なエッチングにより成形金型の転写面に微細で深い凹凸が形成されていることから、これを用いて成形品を型成形したときに、成形品の表面に微細で深い凹凸を付与(転写)することができる。また、金属めっき層の形成と化学的なエッチング処理によるため、例えば円筒状の成形金型の内周面など、比較的複雑な形状に対しても粗化処理を行うことができ、これにより得られる成形品の形状を選ばないという利点もある。
また、成形金型の基材に直接、化学的なエッチングが施されるのではなく、基材の表面に形成された金属めっき層の表面に化学的なエッチングが施されることから、成形金型の表面の粗化状態は、基材の材質や基材の表面の加工状態などに影響されない。このため、基材の材質にとらわれることなく、種々の材質の基材に対して適用できる。また、種々の材質の基材に適用した場合にも、成形金型の表面の粗化状態の再現性が高い。
また、化学的なエッチングによって金属めっき層の表面に凹凸が形成されていることから、使用によって成形金型の転写面が汚れた場合には、金属めっき層を剥離した後、再度金属めっき層を形成し、その表面に化学的なエッチングを施すことにより、成形金型を再生することができる。この場合、基材を切削加工したりする必要がないため、再生の精度に優れる。また、メンテナンス性にも優れる。
この際、成形金型は、転写面の凹凸によって、転写面の算術平均粗さRaが0.8〜2.0μm、十点平均粗さRzが15〜40μm、前記成形金型の表面の表面積比S/S0が4.0以上に設定されていることが好ましい。ただし、Sは前記成形金型の転写面の実測表面積であり、S0は前記成形金型の転写面が平坦面であるとしたときの理論表面積である。また、算術平均粗さRaや十点平均粗さRzは、JIS B0601に準拠して測定される。
本発明に係る成形金型は、表面に粗化処理が施される各種成形品に用いることができる。例えば、艶消し加工を行うような各種装飾品、塗装製品、光反射防止加工を行うようなレンズ・フィルム製品、滑り止め、グリップ性を付与したゴム、プラスチック製品などの成形用として用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例)
<ニッケルめっき液の調製>
硫酸ニッケル六水和物20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)25g/L、乳酸(錯化剤)27g/L、プロピオン酸(錯化剤)2.5g/LよりなるpH4.8のニッケルめっき液を調製した。
<PTFE粒子含有ニッケルめっき液の調製>
平均粒径0.2μmのPTFE微粒子10g/Lをカチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)0.2g/Lにより水中に分散させて、分散液を調製した。次いで、硫酸ニッケル六水和物20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)25g/L、乳酸(錯化剤)27g/L、プロピオン酸(錯化剤)2.5g/Lよりなる基本めっき液中に分散液を添加して、PTFE粒子含有ニッケルめっき液を調製した。
<エッチング液の調製>
硫酸150g/L、過酸化水素15g/L、フェニルテトラゾール0.1g/L、塩化ナトリウム(塩素イオンとして5ppm)、ベンゼンスルホン酸4.0g/LよりなるpH1.0未満のエッチング液を調製した。
<成形金型の作製>
100mm角、厚さ2mmのゴムシート成形金型の表面に、上記のニッケルめっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間30分の条件で無電解ニッケルめっきを行うことにより下地層を形成した(厚さ10μm)。次に、銅めっき液(奥野製薬工業社製「OPCカッパーT」)を用いて、めっき液温度60℃、めっき時間4時間の条件で無電解めっきを行うことにより無電解銅めっき層を形成した(厚さ35μm)。次に、上記エッチング液を用いて、温度30℃、処理時間120秒にてエッチング処理を行った。次に、上記のPTFE粒子含有ニッケルめっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間10分の条件で無電解めっきを行うことにより離型層を形成した(厚さ1μm)。これにより、実施例1の成形金型を得た。
(比較例)
<成形金型の作製>
100mm角、厚さ2mmのゴムシート成形金型の表面にブラスト処理を行った。ブラスト処理は、平均粒径50μmのアルミナ粒子(昭和電工社製シングルモランダム)を投射材として用い、吐出圧1.0bar、処理速度10mm/sec.にて行った。次に、実施例と同様、PTFE粒子含有ニッケルめっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間10分の条件で無電解めっきを行うことにより離型層を形成した(厚さ1μm)。これにより、比較例の成形金型を得た。
得られた成形金型の表面粗さを確認するため、成形金型の表面(離型層形成後の表面)の算術平均粗さRa、十点平均粗さRz、表面積比S/S0、エッチング量を測定した。測定方法は以下の通りである。また、測定結果を表1に示す。
<算術平均粗さRaの測定方法>
JIS B0601に準拠して、成形金型の表面の3つの位置において、それぞれの位置の任意の3点で、表面粗さ計(東京精密社製「サーフコム1400D」)を用いて測定し、測定した合計9点(3点×3つの位置)での平均値とした。基準線長さおよびカットオフ値はそれぞれ0.8mmとした。
<十点平均粗さRzの測定方法>
JIS B0601に準拠して、成形金型の表面の3つの位置において、それぞれの位置の任意の3点で、表面粗さ計(東京精密社製「サーフコム1400D」)を用いて測定し、測定した合計9点(3点×3つの位置)での平均値とした。
<表面積比S/S0の測定方法>
成形金型の表面の3つの位置において、キーエンス社製レーザー顕微鏡「VK−9510」を用いて0.6mmの範囲の表面積を実測したものである。
<エッチング量の測定方法>
下記の式1により算出した。
(式1)
エッチング量[μm]=(エッチング前後での重量変化[g])÷(めっき金属の比重[g/cm])×(処理面積[cm])×10−4
また、実施例および比較例について、ゴム成形体の作製を行い、成形金型の表面の凹凸がゴム成形体の表面に転写されていることの確認を行った。実施例、比較例のゴム成形体の凹凸表面について、摩擦係数を測定するため、摩擦測定機(KYOWA社製「Triboster TS500」)を用いて、ゴム成形体の表面の3つの位置において、それぞれの位置の任意の3点で動摩擦係数(μk)、静摩擦係数(μs)を測定した。測定条件は、荷重100gfで触針を面接触させ、7.5mm/secのスピードで触針をスライドさせた(区間距離10mm)。
<ゴム成形体の作製>
シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「KE−1204A/B」、混合質量比A/B=50/50)を混合し、成形金型に注型し、100℃×30分加熱した後、脱型した。このゴム成形体の表面には、成形金型の型表面に形成された凹凸に対応する凹凸が型転写により形成されている。
さらに、実施例の成形金型の表面構造および断面構造を具体的に示すため、その代表例として実施例において作製した成形金型について、日立製「SEMEDX TypeN」、オリンパス製「GX51」を用いて、表面の拡大写真と断面の拡大写真を撮影した。これを図2(a)(b)に示す。また、実施例のゴム成形体の表面構造を具体的に示すため、実施例において作製したゴム成形体について、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、VK−9510)を用いて、表面の拡大写真を撮影した。これを図3に示す。また、比較例の成形金型の表面構造を具体的に示すため、成形金型の表面の拡大写真(1000倍))を撮影した。これを図4に示す。
図2(a)(b)によれば、成形金型の表面に、微細で深い凹凸が形成されていることが確認できる。そして、図3によれば、ゴム成形体の表面には、成形金型の凹凸に基づいて、微細で深い凹凸が転写されていることが確認できる。これに対し、図4によれば、比較例のブラスト処理による成形金型の表面には、実施例の成形金型ほどの微細で深い凹凸が形成されていないことが分かる。また、表1から、実施例の成形金型では、表面の凹凸が細かいことが分かる。これに対し、比較例の成形金型では、実施例の成形金型ほど表面の凹凸が細かくないことが分かる。そして、ゴム成形体の摩擦係数の測定結果から、実施例のゴム成形体では、表面の細かな凹凸により、滑りにくい(グリップ性の高い)表面が形成されていることが分かる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 成形金型
12 成形金型の基材
14 めっき
14a 下地層
14b 金属めっき層
14c 離型層

Claims (11)

  1. 成形金型の基材の表面に金属めっき層が形成されており、該金属めっき層の表面が化学的にエッチングされることにより前記成形金型の転写面に凹凸が形成されていることを特徴とする成形金型。
  2. 前記成形金型の転写面の凹凸が、前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒界が化学的にエッチングされることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
  3. 前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径が、2〜10μmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の成形金型。
  4. 前記金属めっき層の金属が、銅またはニッケルであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成形金型。
  5. 前記成形金型の転写面の凹凸によって、前記成形金型の転写面の算術平均粗さRaが0.8〜2.0μm、十点平均粗さRzが15〜40μm、前記成形金型の表面の表面積比S/S0が4.0以上に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の成形金型。
    ただし、Sは前記成形金型の転写面の実測表面積であり、S0は前記成形金型の転写面が平坦面であるとしたときの理論表面積である。
  6. 前記金属めっき層の表面には、さらに離型層が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の成形金型。
  7. 前記離型層が、フッ素樹脂粒子が分散された金属めっき層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の成形金型。
  8. 前記成形金型の基材と前記金属めっき層との間には、さらに下地層が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の成形金型。
  9. 成形金型の基材の表面に金属めっき層を形成する工程と、該金属めっき層の表面を化学的にエッチングして前記成形金型の転写面に凹凸を形成する工程とを有することを特徴とする成形金型の製造方法。
  10. 前記金属めっき層の表面の金属粒子の粒子径を、2〜10μmの範囲内に設定することを特徴とする請求項9に記載の成形金型の製造方法。
  11. 前記金属めっき層の表面に施すエッチング量を、5〜28μmの範囲内に設定することを特徴とする請求項9または10に記載の成形金型の製造方法。
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