JP2013078997A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】周方向溝及び傾斜溝の接合部において分流及び合流する水を整流することができ、トレッド踏面全域における排水性能を向上させる。
【解決手段】本発明に係るタイヤ1は、トレッド踏面において、タイヤ周方向Xに延びる周方向溝11及びタイヤ幅方向Yに対して傾斜して延びる傾斜溝12を有しており、傾斜溝12の少なくとも一端は、周方向溝11に対して開口するように構成されており、周方向溝11の底部11A及び傾斜溝12の底部12Aの一部に、凸部20が形成されており、凸部20は、周方向溝11の底部11Aにおいてタイヤ周方向Xに延びる周方向凸部21と、周方向凸部21から分岐して延びる分岐凸部22とを有している。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るタイヤ1は、トレッド踏面において、タイヤ周方向Xに延びる周方向溝11及びタイヤ幅方向Yに対して傾斜して延びる傾斜溝12を有しており、傾斜溝12の少なくとも一端は、周方向溝11に対して開口するように構成されており、周方向溝11の底部11A及び傾斜溝12の底部12Aの一部に、凸部20が形成されており、凸部20は、周方向溝11の底部11Aにおいてタイヤ周方向Xに延びる周方向凸部21と、周方向凸部21から分岐して延びる分岐凸部22とを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤに関する。
従来、排水性能を向上させるために、タイヤ周方向に延びる周方向溝及びタイヤ幅方向に対して傾斜して延びる傾斜溝の接合部において、傾斜溝に対向する周方向溝の壁面部に突起を配置する構成が知られている(特許文献1)。
しかしながら、トレッド踏面において、周方向溝及びタイヤ幅方向に延びる幅方向溝が設けられた場合、かかる溝内の水は、周方向溝及び傾斜溝の接合部で分流及び合流する。
上述の構成では、溝内の水が、周方向溝と傾斜溝とに分流する場合には、排水性能を向上させることができるが、溝内の水が、周方向溝及び傾斜溝から合流する場合には、排水性能を向上させることができないという問題点があった。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、周方向溝及び傾斜溝の接合部において分流及び合流する水を整流することができ、トレッド踏面全域における排水性能を向上させることができるタイヤを提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、トレッド踏面において、タイヤ周方向に延びる周方向溝及びタイヤ幅方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を有するタイヤであって、前記傾斜溝の少なくとも一端は、前記周方向溝に対して開口するように構成されており、前記周方向溝の底部及び前記傾斜溝の底部の一部に、凸部が形成されており、前記凸部は、前記周方向溝の底部において前記タイヤ周方向に延びる周方向凸部と、該周方向凸部から分岐して延びる分岐凸部とを有していることを要旨とする。
以上説明したように、本発明によれば、周方向溝及び傾斜溝の接合部において分流及び合流する水を整流することができ、トレッド踏面全域における排水性能を向上させることができるタイヤを提供することができる。
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3、図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタイヤ1について説明する。図1に、本実施形態に係るタイヤ1におけるトレッド踏面の一部の平面図を示す。
図1乃至図3、図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係るタイヤ1について説明する。図1に、本実施形態に係るタイヤ1におけるトレッド踏面の一部の平面図を示す。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、トレッド踏面において、タイヤ周方向Xに延びる複数の周方向溝11及びタイヤ幅方向Yに対して傾斜して延びる複数の傾斜溝12を有している。
ここで、タイヤ周方向Xは、タイヤ回転軸を中心軸とする周方向であり、タイヤ幅方向Yは、タイヤ回転軸と平行な方向である。
傾斜溝12の少なくとも一端は、周方向溝11に対して開口するように構成されている。例えば、傾斜溝12は、隣接する2本の周方向溝11に連通又は交差するように構成されていてもよい。
なお、トレッド踏面において、傾斜溝12は、タイヤ幅方向Yの中心線CLからタイヤ幅方向Yの端部に向うに連れて、タイヤ回転方向(タイヤが自動車に装着された際のタイヤの回転方向)の反対方向に対して傾斜していてもよいし、タイヤ幅方向Yの中心線CLからタイヤ幅方向Yの端部に向うに連れて、タイヤ回転方向に対して傾斜していてもよい。
また、本実施形態に係るタイヤ1のトレッド踏面には、センターリブ31と、セカンドリブ32と、ショルダーリブ33とが形成されている。
そして、セカンドリブ32には、2本の周方向溝11及び2本の傾斜溝12によって区画された複数のブロック(陸部)2が形成されている。
なお、トレッド踏面に垂直な方向から見た各ブロック2の形状は、図1に示すように、平行四辺形状であってもよいし、矢羽根形状等の他の形状であってもよい。
また、ショルダーリブ33には、タイヤ幅方向Yに延びる横溝13が形成されている。
また、図1及び図2に示すように、周方向溝11の底部11A及び傾斜溝12の底部12Aの一部に、凸部20が形成されている。
かかる凸部20は、図1及び図2に示すように、周方向溝11の底部11Aにおいてタイヤ周方向Xに延びる周方向凸部21と、周方向凸部21から分岐して延びる分岐凸部22とを有している。
ここで、周方向凸部21及び分岐凸部22は、連続形状であってもよいし、断続形状であってもよい。例えば、周方向凸部21及び分岐凸部22の分岐点Pにおいて、周方向凸部21と分岐凸部22との間に所定長の隙間が設けられていてもよい。
なお、排水性能の観点からは、周方向凸部21及び分岐凸部22は、連続形状であることが好ましい。
かかる分岐凸部22は、周方向凸部21から分岐して、少なくとも傾斜溝12の底部12Aと周方向溝11の底部11Aとの境界Bまで延びるように構成されていてもよい。なお、分岐凸部22は、タイヤ幅方向Yに対して傾斜して延びるように構成されていてもよい。
ここで、かかる分岐凸部22は、周方向凸部21から分岐して、傾斜溝12の底部12Aと周方向溝11の底部11Aとの境界Bまで延びないように構成されていてもよい。
例えば、図1に示すように、分岐凸部22は、周方向凸部21から分岐して、傾斜溝12の底部12Aまで延びるように構成されており、傾斜溝12の底部12Aにおける分岐凸部22の端部Eと境界Bとの間のタイヤ幅方向Yにおける距離D2は、傾斜溝12のタイヤ幅方向Yにおける長さD1の5〜33%の長さに対応するように構成されていてもよい。
ここで、上述の距離D2が、上述の長さD1の5%未満である場合、傾斜溝12内において、整流効果が現れない。
一方、上述の距離D2が、上述の長さD1の33%を超える場合、傾斜溝12内の体積が減少して排水量が減少してしまう。
なお、図13に示すように、傾斜溝12の一端のみが、周方向溝11に対して開口している場合であっても、傾斜溝12の底部12Aにおける分岐凸部22の端部Eと境界Bとの間のタイヤ幅方向Yにおける距離D2は、傾斜溝12のタイヤ幅方向Yにおける長さD1の5〜33%の長さに対応するように構成されていてもよい。
また、図11に示すように、分岐凸部22が、周方向凸部21から分岐して、傾斜溝12の底部12Aまで延びていない場合であっても、傾斜溝12の底部12Aにおける分岐凸部22の端部Eと境界Bとの間のタイヤ幅方向Yにおける距離D2は、傾斜溝12のタイヤ幅方向Yにおける長さD1の5〜33%の長さに対応するように構成されていてもよい。
図11に示す構成において、分岐凸部22の延長線は、かかる境界Bと交わるように構成されていてもよい。
また、図2及び図3に示すように、周方向凸部21及び分岐凸部22は、凸部20が形成されていない領域の周方向溝11の深さAの5〜25%の長さに対応する幅W及び高さHを有するように構成されていてもよい。なお、かかる幅W及び高さHは、周方向凸部21及び分岐凸部22の延在方向の全体に渡って均一であってもよい。
ここで、上述の幅W及び高さHが、上述の深さAの5%未満である場合、周方向溝11内において、整流効果が現れない。
一方、上述の幅W及び高さHが、上述の深さAの25%を超える場合、周方向溝11内の体積が減少して排水量が減少してしまうと共に、周方向凸部21及び分岐凸部22が壁になって、周方向溝11内における整流を阻害することになってしまう。
さらに、周方向凸部21及び分岐凸部22は、トレッド踏面の垂直面において、図3(a)に示すように、概三角形状の断面形状を有するように構成されていてもよいし、図3(b)に示すように、概台形状の断面形状を有するように構成されていてもよいし、他の断面形状を有するように構成されていてもよい。
概三角形状や概台形状の断面形状を有する周方向凸部21及び分岐凸部22によれば、周方向溝11及び傾斜溝12の内部の容積の減少を防ぐことができ、排水効率の低下を防ぐことができる。
また、周方向溝11の底部11Aに形成されている分岐凸部22Aは、傾斜溝12が延びる方向に対して傾斜していてもよい。例えば、図4に示すように、周方向溝11の底部11Aに形成されている分岐凸部22Aは、傾斜溝12が延びる方向に対してブロック2B側に傾斜していてもよい。
ここで、傾斜溝12の底部12Aに形成されている分岐凸部22Bは、傾斜溝12が延びる方向と平行な方向に延びるように構成されていてもよい。
なお、分岐凸部22Aと分岐凸部22Bとの接合部分付近では、分岐凸部22Bの接線は、タイヤ周方向Xに沿うように構成されていてもよい。
本実施形態に係るタイヤ1によれば、上述の周方向凸部21及び分岐凸部22を設けることによって、周方向溝及び傾斜溝の接合部において分流及び合流する水を整流することができ、トレッド踏面全域における排水性能を向上させることができる。
次に、本発明の効果を明確にするために、図5乃至図12に示す従来例、比較例1〜3及び実施例1〜4に係るタイヤを用いて行った試験の結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
本試験では、全てのタイヤのサイズ及びパターン設計因子を同じとした。ここで、本試験では、全てのタイヤのサイズを「205/55R16」とした。
また、本試験では、全てのタイヤにおいて、周方向溝11の深さを「7.5mm」とし、周方向溝11の幅を「9.0mm」とし、センターリブ31のタイヤ幅方向Yの長さを「20mm」とし、セカンドリブ32のタイヤ幅方向の長さを「25mm」とした。
さらに、本試験では、セカンドリブ32におけるブロック2の数を「72個」とし、セカンドリブ32におけるブロック2のタイヤ周方向Xの長さを「25mm」とし、傾斜溝12のタイヤ幅方向に対する傾斜角度を「30deg」とし、傾斜溝12の幅を「3.0mm」とし、傾斜溝12の深さを「7.5mm」とした。
また、本試験では、横溝13の幅を「4.0mm」とし、横溝13の深さを「7.5mm」とし、横溝のタイヤ幅方向Yの長さを「10mm」とし、横溝の一端をショルダーリブ33のタイヤ幅方向Yの端部から外部に連通させた。
ここで、本試験において、従来例に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図5に示し、比較例1に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図6に示し、比較例2に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図7に示し、比較例3に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図8に示し、実施例1に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図9に示し、実施例2に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図10に示し、実施例3に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図11に示し、実施例4に係るタイヤにおいて用いたトレッド踏面の一部の平面図を図12に示す。
また、本試験では、実施例1及び2に係るタイヤにおいて、周方向溝11内の周方向凸部21の本数を「2本」とし、周方向溝11の壁面部と周方向凸部21との間のタイヤ幅方向Yの距離を「3mm」とし、分岐凸部22の端部Eと境界Bとの間のタイヤ幅方向Yの距離D2を「5.0mm」とし、トレッド踏面の垂直面における周方向凸部21及び分岐凸部22の断面形状を「概三角形状」とし、かかる断面形状における底辺の長さを「1.5mm」とし、かかる断面形状における高さを「1.5mm」とした。
図5に示すように、従来例に係るタイヤでは、トレッド踏面において、傾斜溝12が、タイヤ幅方向Yの中心線CLからタイヤ幅方向Yの端部に向うに連れて、タイヤ回転方向(タイヤが自動車に装着された際のタイヤの回転方向)の反対方向に対して傾斜している。
また、従来例に係るタイヤでは、上述の非特許文献1に示すように、周方向溝11及び傾斜溝12の接合部において、傾斜溝12に対向する周方向溝11の壁面部に突起が設けられている。
比較例1に係るタイヤ及び従来例に係るタイヤの相違点は、傾斜溝12の傾斜方向が反対であることである。すなわち、比較例1に係るタイヤでは、トレッド踏面において、傾斜溝12が、タイヤ幅方向Yの中心線CLからタイヤ幅方向Yの端部に向うに連れて、タイヤ回転方向に対して傾斜している。
比較例2に係るタイヤ及び従来例に係るタイヤの相違点は、上述の接合部における突起の設定の有無である。すなわち、比較例2に係るタイヤでは、接合部において、傾斜溝12に対向する周方向溝11の壁面部に突起が設けられていない。
比較例3に係るタイヤ及び比較例1に係るタイヤの相違点は、上述の接合部における突起の設定の有無である。すなわち、比較例3に係るタイヤでは、接合部において、傾斜溝12に対向する周方向溝11の壁面部に突起が設けられていない。
実施例1に係るタイヤは、比較例2に係るタイヤに対して、上述の周方向凸部21及び分岐凸部22を設けている。
また、実施例2に係るタイヤは、比較例3に係るタイヤに対して、上述の周方向凸部21及び分岐凸部22を設けている。
さらに、実施例3に係るタイヤは、実施例1に係るタイヤにおいて、分岐凸部22が、傾斜溝12の底部12Aと周方向溝11の底部11Aとの境界Bまで延びないように構成されていているものである。
また、実施例4に係るタイヤは、実施例1に係るタイヤにおいて、分岐凸部22が、傾斜溝12の全ての底部12Aに渡って延びているように構成されていているものである。
なお、本試験では、テストコースにおいて、各タイヤを6Jのリムに組み込み、その後、水深10.0mmのプールにおいて、内圧200kPaで、速度50km/hから加速試験を行い、ハイドロプレーニング現象の発生時の速度において、ハイドロプレーニング性能を評価した。
表1に、かかる試験の結果を示す。ハイドロプレーニング性能の評価結果については指数で表示し、指数が大きいほど、ハイドロプレーニング性能が優れている。
かかる試験結果によれば、本発明の構成を具備する実施例1及び2に係るタイヤにおけるハイドロプレーニング性能は、従来例及び比較例1乃至3に係るタイヤにおけるハイドロプレーニング性能よりも優れていることが分かる。また、かかる試験結果によれば、傾斜溝12の傾斜方向に基づいて、ハイドロプレーニング性能が変わることが分かる。
また、表2に示すように、図9に示す実施例1に係るタイヤにおいて、傾斜溝12の底部12Aにおける分岐凸部22の端部Eと境界Bとの間のタイヤ幅方向Yにおける距離D2と、傾斜溝12のタイヤ幅方向Yにおける長さD1との関係を変化させた場合のハイドロプレーニング性能を評価した。
また、表3に示すように、図9に示す実施例1に係るタイヤにおいて、凸部20が形成されていない領域の周方向溝11の深さAと、周方向凸部21及び分岐凸部22の幅W及び高さHとの関係を変化させた場合のハイドロプレーニング性能を評価した。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
1…タイヤ、2…ブロック、11…周方向溝、12…傾斜溝、13…横溝、20…凸部、21…周方向凸部、22、22A、22B…分岐凸部、31…センターリブ、32…セカンドリブ、33…ショルダーリブ
Claims (5)
- トレッド踏面において、タイヤ周方向に延びる周方向溝及びタイヤ幅方向に対して傾斜して延びる傾斜溝を有するタイヤであって、
前記傾斜溝の少なくとも一端は、前記周方向溝に対して開口するように構成されており、
前記周方向溝の底部及び前記傾斜溝の底部の一部に、凸部が形成されており、
前記凸部は、前記周方向溝の底部において前記タイヤ周方向に延びる周方向凸部と、該周方向凸部から分岐して延びる分岐凸部とを有していることを特徴とするタイヤ。 - 前記分岐凸部は、前記周方向凸部から分岐して、少なくとも前記傾斜溝の底部と前記周方向溝の底部との境界まで延びるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記分岐凸部は、前記周方向凸部から分岐して、前記傾斜溝の底部まで延びるように構成されており、
前記傾斜溝の底部における前記分岐凸部の端部と前記境界との間の前記タイヤ幅方向における距離は、前記傾斜溝の前記タイヤ幅方向における長さの5〜33%の長さに対応するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ。 - 前記周方向凸部及び前記分岐凸部は、前記凸部が形成されていない領域の前記周方向溝の深さの5〜25%の長さに対応する幅及び高さを有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記周方向凸部及び前記分岐凸部は、前記トレッド踏面の垂直面において、概三角形状又は概台形状の断面形状を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
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