JP6117461B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤ、特に、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を抑制する空気入りタイヤに関するものである。
トレッドにブロック状の陸部を複数形成した空気入りタイヤ(トレッドにブロックパターンを形成した空気入りタイヤ)がある。この種の空気入りタイヤの中には、ブロック状陸部の踏面(路面と接地する面)に複数のサイプを形成して、ブロック状陸部内の接地圧を均一にするものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−166608号公報
一般的に、トレッドに形成される溝やサイプの数が増えると、走行時の騒音が増加する傾向にある。この走行時の騒音は、新品時からトレッドが摩耗するにしたがって低下する傾向にある。
また、トレッドに形成される陸部は、摩耗の進行によって高さが低くなると剛性が上昇するため、路面に対する追従性が低下し、摩耗の進行速度が増したり、偏摩耗が生じたり、などの不具合が生じやすくなる傾向にある。
特許文献1の空気入りタイヤにおいても上記課題は解決されていない。
本発明は、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を抑制することを課題とする。
本発明の空気入りタイヤは、トレッドに設けられたタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝によって前記トレッドに形成された複数の陸部と、前記陸部の前記周方向溝側の側壁面に形成され、前記陸部の踏面側から前記周方向溝の底面側に向かって延び、前記陸部の高さ方向と直交する方向の面積が前記踏面側よりも前記底面側で大きく、前記側壁面のみに開口する切欠きと、を有している。
本発明の空気入りタイヤでは、陸部の周方向溝側の側壁面に形成された切欠きが側壁面のみに開口し、踏面(陸部の踏面)に開口していないことから、例えば、切欠きが踏面に開口しているものと比べて、新品時の走行騒音(走行時の騒音)を抑制することができる。
また、上記空気入りタイヤでは、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠きが踏面に開口する。この切欠きは、陸部の高さ方向と直交する方向の面積が踏面側よりも底面側で大きいことから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠きの踏面上の開口が大きくなり、陸部の剛性の上昇が抑制される。
以上のことから、上記空気入りタイヤによれば、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を抑制することができる。
なお、ここで言う「陸部の踏面」とは、陸部の路面と接地する部位を指し、「タイヤ周方向に延びる」とは、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる、タイヤ周方向にジグザグ状に延びる、及びタイヤ周方向に傾斜して延びるなどを含む。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、トレッドに設けられたタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝によって前記トレッドに形成された複数の陸部と、前記陸部の前記周方向溝側の側壁面から前記周方向溝と交差する方向に延びる幅方向溝と、前記幅方向溝の奥壁面に形成され、前記陸部の踏面側から前記幅方向溝の底面側に向かって延び、前記陸部の高さ方向と直交する方向の面積が前記踏面側よりも前記底面側で大きく、前記奥壁面のみに開口する切欠きと、を有している。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、陸部の幅方向溝の奥壁面に形成された切欠きが奥壁面のみに開口し、踏面(陸部の踏面)に開口していないことから、例えば、切欠きが踏面に開口しているものと比べて、新品時の走行騒音(走行時の騒音)を抑制することができる。
また、上記空気入りタイヤでは、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠きが踏面に開口する。この切欠きは、陸部の高さ方向と直交する方向の面積が踏面側よりも底面側で大きいことから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠きの踏面上の開口が大きくなり、陸部の剛性の上昇が抑制される。
以上のことから、上記空気入りタイヤによれば、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を抑制することができる。
請求項2の空気入りタイヤは、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記切欠きの前記開口の幅が、前記踏面側から前記底面側に向かって広くなっている。
請求項2の空気入りタイヤでは、切欠きの側壁面上(または奥壁面上)の開口の幅が踏面側から周方向溝の底面側(または幅方向溝の底面側)に向かって広くなっていることから、トレッド(陸部)の摩耗の進行とともに切欠きの踏面上の開口の側壁面側(または奥壁面側)の幅が広くなる。このため、上記空気入りタイヤは、例えば、切欠きの踏面上の開口の側壁面側(または奥壁面側)の幅が踏面側から周方向溝の底面側(または幅方向溝の底面側)に向かって一定または狭くなっているものと比べて、切欠きから周方向溝(または幅方向溝を介しての周方向溝)への排水性が向上する。
請求項3の空気入りタイヤは、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記切欠きの奥行きが、前記踏面側から前記底面側に向かって深くなっている。
請求項3の空気入りタイヤでは、切欠きの奥行きが、踏面側から周方向溝の底面側(または幅方向溝の底面側)に向かって深くなっていることから、トレッド(陸部)の摩耗の進行とともに陸部のタイヤ周方向に沿って連続した部分(陸部のタイヤ周方向の剛性が高い部分)の幅が狭まる。このため、上記空気入りタイヤは、例えば、切欠きの奥行きが踏面側から周方向溝の底面側(または幅方向溝の底面側)に向かって一定または浅くなっているものと比べて、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を効果的に抑制することができる。
請求項4の空気入りタイヤでは、請求項1〜請求項3の何れか1項の空気入りタイヤにおいて、前記切欠きは、タイヤ幅方向から見て前記陸部の高さ方向に対して傾斜し、前記陸部が路面に接地した際に閉じるように幅が設定されている
本発明によれば、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行による陸部の剛性の上昇を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたリブ状陸部を斜め上方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたリブ状陸部の平面図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたリブ状陸部の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたリブ状陸部をタイヤ幅方向に沿って切断したリブ状陸部の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたリブ状陸部が摩耗した状態を斜め上方から見た斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部の平面図である。 本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部を斜め上方から見た斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部の平面図である。 本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部の側面図である。 本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部をタイヤ幅方向に沿って切断したブロック状陸部の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部が摩耗した状態を斜め上方から見た斜視図である。 本発明のその他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部の平面図である。 本発明のその他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部の側面図である。 図12のZ-Z線断面図である。 本発明のその他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成されたブロック状陸部をタイヤ幅方向に沿って切断したブロック状陸部の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤの切欠きの第1変形例を示す、リブ状陸部の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤの切欠きの第2変形例を示す、リブ状陸部の側面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤについて図1〜図5を参照しながら説明する。図中の矢印Sはタイヤ周方向、矢印Wはタイヤ幅方向、矢印Hは陸部高さ方向を示している。なお、陸部高さ方向は、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向に直交する。
第1実施形態に係る空気入りタイヤ10(以下、単に「タイヤ10」と記載する。)は、内部構造として従来公知の空気入りタイヤの内部構造と同様のものを用いることができる。このため、タイヤ10の内部構造に関しては、説明を省略する。
図1、図2に示すように、タイヤ10の路面との接地部位を構成するトレッド12には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる複数の周方向溝14が形成され、これらの周方向溝14により複数のリブ状陸部20が形成されている。なお、リブ状陸部20は、本発明の陸部の一例である。
図2に示すように、リブ状陸部20は、タイヤ周方向に沿って連続して延びている。このリブ状陸部20の路面と接地する踏面20Aには、切欠き(例えば、溝、サイプ、窪み)などが形成されておらず、該踏面20Aはタイヤ周方向に連続した平面とされている(図3参照)。また、図4に示すように、リブ状陸部20の周方向溝14側の側壁面20Bは、陸部高さ方向Hに沿っている。
図1、図4に示すように、側壁面20Bには、リブ状陸部20の踏面20A側から周方向溝14の底面14A側へ向かって延びる溝状の切欠き22が形成されている。
図1に示すように、切欠き22は、側壁面20Bのみに開口(以下では、切欠き22の側壁面20B上の開口を「開口23A」として記載する。)している、言い換えると、延在方向の両端部22Aがリブ状陸部20内で終端している。また、切欠き22は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面20A側よりも底面14A側で大きくなっている。なお、本実施形態では、切欠き22の陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面20A側から底面14A側に向かって漸増している。
図3に示すように、切欠き22は、陸部高さ方向に沿って延びている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、図16に示すように、切欠き22が陸部高さ方向に対して傾斜して延びていてもよい。なお、切欠き22の陸部高さ方向に対する角度θは、−45〜45度に設定することが好ましい。
図4に示すように、切欠き22の奥行きDは、リブ状陸部20の踏面20A側から周方向溝14の底面14A側に向かって深くなっている。ここで、切欠き22の奥行きDは、リブ状陸部20に対する深さであり、陸部高さ方向と直交する方向で計測するものである。
図3に示すように、切欠き22の開口23Aは、略長方形とされている。また、切欠き22の幅は一定であり、リブ状陸部20の踏面20Aが路面に接地して該リブ状陸部20が圧縮変形すると、該切欠き22を構成する壁面同士が接触して開口23Aが閉じるように壁面間の距離(切欠きの幅)が設定されている。また、本実施形態では、切欠き22の幅(本実施形態では、幅一定のため、開口23Aの幅W1と同じ)を1.5mm以下に設定している。
図1、図2に示すように、切欠き22は、リブ状陸部20の両側壁面20Bにタイヤ周方向に間隔Xをあけて複数形成されている。なお、この間隔Xは、図1に示すように、リブ状陸部20の高さY(陸部高さ方向に沿って計測した高さ)の0.2〜2.5倍に設定されている。
また、本実施形態の切欠き22は、図2に示すように、リブ状陸部20のタイヤ幅方向の中心を通る直線に対して左右対称形状となるように配置されている。しかし、本発明のその他の実施形態では、リブ状陸部20のタイヤ幅方向の中心を通る直線に対して左右非対称、例えば、一方の側壁面20Bに形成された切欠き22の位置と、他方の側壁面20Bに形成された切欠き24の位置とがタイヤ周方向にずれている構成としてもよい。
次に、タイヤ10の作用効果を説明する。
図1に示すように、タイヤ10では、新品時には、リブ状陸部20の側壁面20Bに形成された切欠き22が側壁面20Bのみに開口し、踏面20Aに開口していないことから、例えば、切欠き22が踏面20Aに開口しているものと比べて、新品時の走行騒音(走行時の騒音)を抑制することができる。
また、上記タイヤ10では、図5に示すように、トレッド12(リブ状陸部20)の摩耗が進行すると、切欠き22が踏面20Aに開口(以下では、切欠き22の踏面20A上の開口を「開口23B」として記載する。)する。この切欠き22は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面20A側よりも底面14A側で大きいことから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠き22の踏面20A上の開口23Bの面積が大きくなり、リブ状陸部20の剛性の上昇が抑制される。
以上のことから、タイヤ10によれば、新品時の走行騒音を抑制しつつ、摩耗の進行によるリブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性の上昇を抑制することができる。
また、タイヤ10では、切欠き22の奥行きDが、リブ状陸部20の踏面20A側から周方向溝14の底面14A側に向かって深くなっていることから、トレッド12(リブ状陸部20)の摩耗の進行とともにリブ状陸部20のタイヤ周方向に沿って連続した部分(リブ状陸部のタイヤ周方向の剛性が高い部分)の幅が狭まる。このため、上記タイヤ10は、例えば、切欠き22の奥行きDが踏面20A側から底面14A側に向かって一定または浅くなっているものと比べて、摩耗の進行によるリブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性の上昇を効果的に抑制することができる。
また、切欠き22は、陸部高さ方向に沿って延びていることから、リブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性の上昇を効果的に抑制することができる。一方、例えば、図16に示すように、切欠き22を角度θで傾斜させた場合には、走行時に、切欠き22を構成する壁面同士が接触して互いを支え合うため、リブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性の上昇を抑制するためには、複数の切欠き22を形成させる必要がある。このように、リブ状陸部20に複数の切欠き22を形成した場合には、摩耗後に踏面20Aに開口する切欠き22の開口23Bの数が増えて、エッジ効果や排水性を向上させることができる。
また、切欠き22は、リブ状陸部20の踏面20Aが路面に接地した際に閉じることから、摩耗が進行して切欠き22が踏面20Aに開口しても、接地時にこの開口23Bが閉じるため、リブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性が低下しすぎるのを抑制することができる。
また、切欠き22を配置する間隔Xは、リブ状陸部20の高さYの0.2〜2.5倍に設定されている。この間隔Xが高さYの0.2倍未満の場合には、切欠き22間の間隔Xが狭すぎてリブ状陸部20のタイヤ周方向の剛性が低下しすぎる。また、間隔Xが高さYの2.5倍を超える場合には、切欠き22間の間隔Xが広すぎてリブ状陸部20のせん断剛性が高くなりすぎ、リブ状陸部20の摩耗の進行速度を上昇させる虞がある。このため、切欠き22を配置する間隔Xは、リブ状陸部20の高さYの0.2〜2.5倍に設定することが好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る空気入りタイヤについて図1〜5、図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態に係る空気入りタイヤ30(以下、単に「タイヤ30」と記載する。)は、第1実施形態のタイヤ10と同様に、内部構造として従来公知の空気入りタイヤの内部構造と同様のものを用いることができる。このため、タイヤ30の内部構造に関しては、説明を省略する。
図6に示すように、タイヤ30の路面との接地部位を構成するトレッド32には、複数の周方向溝14が形成されると共に、周方向溝14と交差するようにタイヤ幅方向に直線状に延びる複数の交差溝34が形成されている。トレッド32には、これらの周方向溝14により平面視で矩形状の複数のブロック状陸部40が形成されている(図1参照)。なお、ブロック状陸部40は、本発明の陸部の一例である。
図3に示すように、ブロック状陸部40の路面と接地する踏面40Aには、切欠き(例えば、溝、サイプ、窪み)などが形成されておらず、該踏面40Aがタイヤ周方向に連続した平面とされている。また、図4に示すように、ブロック状陸部40の周方向溝14側の側壁面40Bは、陸部高さ方向Hに沿っている。
図1、図4に示すように、側壁面40Bには、ブロック状陸部40の踏面40A側から周方向溝14の底面14A側へ向かって延びる第1実施形態と同じ構成の切欠き22が形成されている。
次に、タイヤ30の作用効果を説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
ブロック状陸部40は、タイヤ周方向に連続していないことから、第1実施形態のリブ状陸部20と比べて、タイヤ周方向の剛性が低く、路面に対する追従性が高いため、摩耗の進行速度を遅くすることができる。
一方で、ブロック状に形成された陸部は、踏み込み側の摩耗量と蹴り出し側の摩耗量とが異なる偏摩耗(所謂、ヒール・アンド・トー摩耗)が生じやすい傾向にある。特に、ブロック状に形成された陸部は、摩耗によって高さが低くなって剛性が高まると、上記偏摩耗がより生じやすくなる傾向にある。
このため、上記タイヤ30では、図5に示すように、切欠き22の陸部高さ方向と直交する方向の面積を踏面20A側よりも底面14A側で大きくしていることから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠き22の踏面20A上の開口23Bの面積が大きくなり、リブ状陸部20の剛性の上昇が抑制される。これにより、ブロック状陸部40の偏摩耗が効果的に抑制される。
また、図3に示すように、第2実施形態のタイヤ30の切欠き22は、第1実施形態のタイヤ10と同様に、陸部高さ方向に沿って延びているが、本発明はこの構成に限定されず、図16に示すように、タイヤ30の切欠き22が陸部高さ方向に対して傾斜して延びていてもよい。なお、切欠き22の陸部高さ方向に対する角度θは、第1実施形態と同様に−45〜45度に設定することが好ましい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤについて図7〜11を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第3実施形態に係る空気入りタイヤ50(以下、単に「タイヤ50」と記載する。)は、第1実施形態のタイヤ10と同様に、内部構造として従来公知の空気入りタイヤの内部構造と同様のものを用いることができる。このため、タイヤ50の内部構造に関しては、説明を省略する。
図8に示すように、タイヤ50の路面との接地部位を構成するトレッド52には、複数の周方向溝14が形成されると共に、周方向溝14と交差するようにタイヤ幅方向に直線状に延びる複数の交差溝34が形成されている。トレッド52には、これらの周方向溝14により複数のブロック状陸部60が形成されている(図7参照)。
図8に示すように、ブロック状陸部60の路面と接地する踏面60Aには、切欠き(例えば、溝、サイプ、窪み)などが形成されておらず、該踏面60Aがタイヤ周方向に連続した平面とされている。また、図10に示すように、ブロック状陸部60の周方向溝14側の側壁面60Bは、該ブロック状陸部60の根元側が末広がりとなるように、陸部高さ方向と平行な直線L2に対して角度αで傾斜している。なお、角度αは、20〜30度の範囲に設定されている。また、本発明のその他の実施形態では、側壁面60Bは、ブロック状陸部60の根元側が末広がりとなるように湾曲させる構成としてもよく、このような構成とした場合には、湾曲した側壁面60Bの接線と陸部高さ方向とのなす角度を角度αとする。なお、側壁面60Bを湾曲させた場合の角度αは、20〜60度の範囲に設定することが好ましい。
図7、図10に示すように、側壁面60Bには、ブロック状陸部60の踏面60A側から周方向溝14の底面14A側へ向かって延びる切欠き62が形成されている。また、切欠き62は、側壁面60Bのみに開口(以下では、切欠き62の側壁面60B上の開口を「開口63A」として記載する。)している、言い換えると、延在方向の両端部62Aがブロック状陸部60内で終端している。また、切欠き62は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面60A側よりも底面14A側で大きくなっている。なお、本実施形態では、切欠き62の陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面60A側から底面14A側に向かって漸増している。
図9に示すように、本実施形態の切欠き62は、タイヤ幅方向から見て略台形状とされている。そして、切欠き62の開口63Aの幅W1は、踏面60A側から底面14A側に向かって広くなっている。
図10に示すように、切欠き62の奥行きDは、ブロック状陸部60の踏面60A側から周方向溝14の底面14A側に向かって深くなっている。ここで、切欠き62の奥行きDは、ブロック状陸部60に対する深さであり、陸部高さ方向と直交する方向で計測するものである。
図8に示すように、切欠き62は、ブロック状陸部60の両側壁面60Bにタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている。
また、本実施形態の切欠き62は、図8に示すように、ブロック状陸部60のタイヤ幅方向の中心を通る直線に対して左右対称形状となるように配置されている。しかし、本発明のその他の実施形態では、ブロック状陸部60のタイヤ幅方向の中心を通る直線に対して左右非対称、例えば、一方の側壁面60Bに形成された切欠き62の位置と、他方の側壁面60Bに形成された切欠き62の位置とがタイヤ周方向にずれている構成としてもよい。
次に、タイヤ50の作用効果を説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
タイヤ50では、図11に示すように、トレッド52(ブロック状陸部60)の摩耗が進行すると、切欠き62が踏面60Aに開口(以下では、切欠き62の踏面60A上の開口を「開口63B」として記載する。)する。この切欠き62は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面60A側よりも底面14A側で大きいことから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠き62の踏面60A上の開口63Bの面積が大きくなり、ブロック状陸部60のタイヤ周方向の剛性の上昇が抑制される。
そしてタイヤ50では、切欠き62の開口63Aの幅が踏面60A側からの底面14A側に向かって広くなっていることから、トレッド52(ブロック状陸部60)の摩耗の進行とともに切欠き62の開口63Bの側壁面側の幅が広くなる。このため、上記タイヤ50は、例えば、開口63Bの幅W1が踏面60A側から底面14A側に向かって一定または狭くなっているものと比べて、切欠き62から周方向溝14への排水性を向上させることができる。
また、ブロック状陸部60の側壁面60Bの角度αを、20〜30度の範囲に設定していることから、ブロック状陸部60の摩耗とともに、開口63Bが大きくなるが、踏面60Aも大きくなるため、路面に対する接地面積が確保される。
上記第3実施形態では、ブロック状陸部60の側壁面60Bに切欠き62を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、第1実施形態のリブ状陸部20の側壁面20Bに切欠き62を形成してもよい。なお、第1実施形態のリブ状陸部20への切欠き62の適用は、隣接する切欠き22間に切欠き62を形成するものであっても、切欠き22の代わりとして切欠き62を形成するものであっても構わない。また、第2実施形態のブロック状陸部40の側壁面40Bに切欠き62を形成してもよい。なお、第2実施形態のブロック状陸部40への切欠き62の適用は、隣接する切欠き22間に切欠き62を形成するものであっても、切欠き42の代わりとして切欠き62を形成するものであっても構わない。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る空気入りタイヤについて図12〜15を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第4実施形態に係る空気入りタイヤ70(以下、単に「タイヤ70」と記載する。)は、第1実施形態のタイヤ10と同様に、内部構造として従来公知の空気入りタイヤの内部構造と同様のものを用いることができる。このため、タイヤ70の内部構造に関しては、説明を省略する。
図12に示すように、タイヤ70のトレッド72には、複数の周方向溝14とこれに交差する複数の交差溝(図示省略)が形成されて複数のブロック状陸部80が形成されている。
図15に示すように、ブロック状陸部80の一方の側壁面80Bは、陸部高さ方向に沿って延びている。一方、他方の側壁面80Cは、陸部高さ方向と平行な直線L2に対して角度αで傾斜している。なお、角度αは、第3実施形態と同様に20〜30度の範囲内に設定することが好ましい。
図12に示すように、ブロック状陸部80の踏面80Aには、側壁面80Bから側壁面80Cに向かってタイヤ幅方向に延びる幅方向溝74がタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている。この側壁面80Bに形成された幅方向溝74の奥壁面74Aには、踏面80A側から幅方向溝74の底面74B側(底面14A側)へ延びる溝状の切欠き82が形成されている(図13参照)。切欠き82は、奥壁面74Aのみに開口(以下では、切欠き82の奥壁面74A上の開口を「開口83A」として記載する。)している、言い換えると、延在方向の両端部82Aがブロック状陸部80内で終端している。また、切欠き82は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面80A側よりも底面74B側で大きくなっている。なお、本実施形態では、切欠き82の陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面80A側から底面74B側に向かって漸増している。
一方、側壁面80Cには、図13に示すように、踏面80A側から底面14A側へ延びる溝状の切欠き84が形成されている。この切欠き84は、側壁面80Cのみに開口(以下では、切欠き84の側壁面80C上の開口を「開口85A」として記載する。)している、言い換えると、延在方向の両端部84Aがブロック状陸部80内で終端している。また、切欠き84は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面80A側よりも底面14A側で大きくなっている。なお、本実施形態では、切欠き82の陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面80A側から底面14A側に向かって漸増している。
これらの切欠き82、84はともに、図13、図14に示すように、タイヤ幅方向から見て陸部高さ方向に対して角度θで傾斜している。この角度θは、第1実施形態と同様に、−45〜45度の範囲内に設定することが好ましい。なお、本発明のその他の実施形態では、これらの切欠き82、84はともに、タイヤ幅方向から見て陸部高さ方向に沿って延びていてもよい。また、切欠き82、84はともに第1実施形態の切欠き22と同様に、ブロック状陸部80が路面に接地した際に閉じるように幅が設定されている。
次に、タイヤ70の作用効果を説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
タイヤ70では、トレッド72(ブロック状陸部80)の摩耗が進行すると、切欠き82、84が踏面80Aにそれぞれ開口する。これらの切欠き82、84は、陸部高さ方向と直交する方向の面積が踏面80A側よりも底面14A側で大きいことから、トレッド(陸部)の摩耗が進行すると、切欠き82、84の踏面80A上のそれぞれの開口の面積が大きくなり、ブロック状陸部80のタイヤ周方向の剛性の上昇が抑制される。
また、タイヤ70では、ブロック状陸部80に形成された幅方向溝74の奥壁面74Aに切欠き82が形成されていることから、例えば、ブロック状陸部80の側壁面80Bに切欠き82を形成するものと比べて、切欠きの深さが浅くても十分にブロック状陸部80のタイヤ周方向の剛性を低下させることができる。
(その他の実施形態)
第1実施形態では、リブ状陸部20の側壁面20Bが陸部高さ方向に沿っていたが、本発明はこの構成に限定されず、側壁面20Bを第3実施形態の側壁面60Bのように陸部高さ方向に角度αで傾斜させてもよい。また、同様に第2実施形態のブロック状陸部40の側壁面40Bを陸部高さ方向に角度αで傾斜させてもよい。
第1、第2、及び第4実施形態では、切欠き22の幅を、陸部20、40が路面に接地した際に閉じる程度の幅としているが、本発明はこの構成に限定されず、陸部が路面に接地しても閉じない程度の幅としてもよい。また、例えば、図17に示すように、陸部20、40、80に形成されるそれぞれの切欠き22間に、切欠き22よりも幅が広い切欠き90を形成する構成としてもよい。
また、第1実施形態〜第4実施形態では、周方向溝14がタイヤ周方向に沿って直線状に延びる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びる構成としてもよい。また、第2〜第4実施形態では、交差溝34がタイヤ幅方向に沿って直線状に延びる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤ幅方向に沿ってジグザグ状に延びる構成としてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、本発明に含まれる空気入りタイヤを6種類(以下の実施例1〜6)、本発明に含まれない比較例のタイヤを2種類(以下の比較例1、2)用意して以下の試験を実施した。
以下に試験に用いた実施例のタイヤ及び比較例のタイヤについて説明する。なお、試験に用いたタイヤのサイズは、195/65R15である。
実施例1:第1実施形態のタイヤ10の切欠き22の角度θを20度に設定したタイヤである(図16参照)。
実施例2:第2実施形態のタイヤ30と同じ構造のタイヤである。
実施例3:第2実施形態のタイヤ30の切欠き22の角度θを20度に設定したタイヤである(図16参照)。
実施例4:第2実施形態のタイヤ30の切欠き22の角度θを20度に設定し、ブロック状陸部40のタイヤ周方向の両壁面(交差溝34の溝壁面)を切欠き22と同じ方向に傾斜させたタイヤである。
実施例5:第2実施形態のタイヤ30の切欠き22間に切欠き90を形成し(図17参照)、これらの切欠き22、80の各角度θを20度に設定し、ブロック状陸部40のタイヤ周方向の両壁面(交差溝34の溝壁面)を切欠き22と同じ方向に傾斜させたタイヤである
較例1のタイヤ:実施例1のタイヤのリブ状陸部20に切欠き22を形成していないタイヤ。
比較例2のタイヤ:実施例2のタイヤのブロック状陸部40の側壁面40Bのみに開口する切欠き22が形成されておらず、踏面40Aに開口する切欠きが複数形成されているタイヤ。
以下に試験の内容について説明する。
試験1:新品時の供試タイヤをリム組みし、内圧を230kpaに設定した後、評価車両の駆動輪に装着し、テストコースを1000km走行した。その後、トレッドの摩耗量、及びヒール・アンド・トー摩耗による摩耗段差を測定した。なお、ヒール・アンド・トー摩耗の摩耗段差は、ブロック状陸部の蹴り出し側と踏み込み側の摩耗量の差で表す。測定結果を表1に示す。
試験2:新品時の供試タイヤをリム組みし、内圧を230kpaに設定した後、台上での騒音を測定した。なお、騒音は、60km/hの時点で測定した。また、騒音の基準値を比較例1の値として、その差異を表1に示した。
表1に示すように、リブ状陸部に切欠きを形成した実施例1は、リブ状陸部に切欠きを形成していない比較例1と比べて、トレッドの摩耗量が低減している。これは、トレッドの摩耗により、比較例1はリブ状陸部の剛性が上昇するのに対して、実施例1は切欠きによってリブ状陸部の剛性の上昇が抑制されていることを示していると言える。また、新品時には、実施例1及び比較例1のどちらにも陸部踏面に切欠きなどが形成されていないため両者の騒音は同じ水準となっている。
また、表1に示すように、ブロック状陸部に切欠きを形成した実施例2は、ブロック状陸部40の側壁面40Bのみに開口する切欠き22が形成されておらず、踏面40Aに開口する切欠きが複数形成されている比較例2と比べて、ブロック状陸部のヒール・アンド・トー摩耗量が低減している。これは、トレッドの摩耗により、比較例2のブロック状陸部の剛性が上昇するのに対して、実施例2〜は切欠きによってブロック状陸部の剛性の上昇が抑制されていることを示していると言える。また、新品時には、実施例1〜の陸部の踏面に切欠きが開口していないため、比較例2のように陸部の踏面に切欠きが複数形成されているものと比べて、騒音が低減されている。
10、30、50、70 空気入りタイヤ(タイヤ)
12、32、52、72 トレッド
14 周方向溝
14A 底面
20、40、60、80 リブ状陸部(陸部)
20A、40A、60A、80A 踏面
20B、40B、60B、80B、80C 側壁面
22、42、62、82、84 切欠き
74 幅方向溝
S タイヤ周方向
W タイヤ幅方向
H 陸部高さ方向
D 奥行き
S タイヤ周方向
W タイヤ幅方向

Claims (4)

  1. トレッドに設けられたタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝によって前記トレッドに形成された複数の陸部と、
    前記陸部の前記周方向溝側の側壁面から前記周方向溝と交差する方向に延びる幅方向溝と、
    前記幅方向溝の奥壁面に形成され、前記陸部の踏面側から前記幅方向溝の底面側に向かって延び、前記陸部の高さ方向と直交する方向の面積が前記踏面側よりも前記底面側で大きく、前記奥壁面のみに開口する切欠きと、
    を有する空気入りタイヤ。
  2. 前記切欠きの前記開口の幅が、前記踏面側から前記底面側に向かって広くなっている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記切欠きの奥行きが、前記踏面側から前記底面側に向かって深くなっている請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記切欠きは、タイヤ幅方向から見て前記陸部の高さ方向に対して傾斜し、前記陸部が路面に接地した際に閉じるように幅が設定されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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