図1乃至図13にしたがって、本発明のタイヤの一実施形態に係るタイヤ10について説明する。なお、図中矢印Wはタイヤ回転軸と平行な方向(以下、タイヤ幅方向とする)を示し、矢印Rはタイヤの回転軸を通りタイヤ幅方向と直交する方向(以下、タイヤ半径方向とする)を示す。また、矢印Aはタイヤの回転方向(タイヤ周方向)を示す。また、ラジアル方向とは、タイヤ周方向と直交する方向であり、タイヤ半径方向及びタイヤ幅方向を含む方向とする。なお、本実施形態のタイヤ10は乗用車用であり、タイヤ10のタイヤサイズはPSR245/35R21である。
図2、及び図3に示すように、本実施形態に係るタイヤ10は、タイヤ骨格部材12と、サイド補強層13と、ベルト層14と、ベルト上補強層15と、サイドトレッド16と、トップトレッド18と、を備えている。
(タイヤ骨格部材)
タイヤ骨格部材12は樹脂材料で成形され、一対のタイヤ片12Aをタイヤ赤道面CLにおいてタイヤ軸方向に接合することにより環状とされている。なお、3つ以上のタイヤ片12Aを接合することによりタイヤ骨格部材12が形成されていてもよい。
また、タイヤ骨格部材12は、一対のビード部20と、一対のビード部20からそれぞれタイヤ半径方向外側に延びる一対のサイド部22と、サイド部22からタイヤ幅方向内側に延びるクラウン部24と、を有している。
なお、本実施形態のタイヤ骨格部材12では、タイヤ骨格部材12のタイヤ半径方向内側端から断面高さSHの30%までをビード部20といい、トップトレッド18を配置する部分をクラウン部24という。
タイヤ骨格部材12を構成する樹脂材料としては、ゴムと同等の弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。走行時の弾性と製造時の成形性を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。なお、タイヤ骨格部材12の全てを上記樹脂材料で形成してもよく、一部のみを上記樹脂材料で形成してもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78℃以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)が50%以上。JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130°C以上であるものを用いることができる。
タイヤ骨格部材12のビード部20には、ビードコア26が埋設されている。ビードコア26を構成する材料としては、金属、有機繊維、有機繊維を樹脂で被覆したもの、又は硬質樹脂等を用いることができる。なお、ビード部20の剛性が確保され、リム28との嵌合に問題がなければ、ビードコア26を省略してもよい。
タイヤ骨格部材12の一対のタイヤ片12Aの間には、クラウン部24のタイヤ幅方向の中心部、言い換えれば、タイヤ赤道面CL上に樹脂製の接合部材30が設けられている。接合部材30は断面視で略台形状に形成されており、接合部材30の両側面にタイヤ片12Aが接合されることにより、一対のタイヤ片12Aが互いに連結されている。
なお、接合部材30としては、タイヤ片12Aと同種又は異種の熱可塑性材料や溶融樹脂を用いることができる。また、接合部材30を用いずにタイヤ片12Aを連結することもできる。
この場合、例えば、タイヤ片12Aの端部の間に熱板を挟みつけ、端部同士を接近する方向に押付けながら熱板を除去して溶着する熱板溶着方法や、接着剤でタイヤ片12A同士を接着する方法を用いることができる。
(ベルト層)
クラウン部24の外周面には、ベルト層14が設けられている。このベルト層14は、例えば、樹脂被覆されたコードをタイヤ周方向に螺旋状に巻いて構成されている。本実施形態では、ベルト層14に用いるコードとして、スチールコードが用いられている。
(ベルト上補強層)
ベルト層14のタイヤ径方向外側には、ベルト層14を覆うベルト上補強層15が配置されている。ベルト上補強層15は、タイヤ赤道面CL側からベルト層14の端部14Eをタイヤ幅方向外側へ越えて延び、サイド部22とクラウン部24との境界付近で終端している。
ベルト上補強層15は、ゴムで被覆された複数の補強コードを備えている。ベルト上補強層15の補強コードは、有機繊維のモノフィラメント(単線)、又は有機繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)であり、タイヤ幅方向に延びてタイヤ周方向に並列されている。なお、ベルト上補強層15の補強コードは、タイヤ幅方向に対して10°以内の角度で傾斜していてもよい。
有機繊維としては、ナイロンやPET、ガラス、アラミド等の材料を用いることができる。なお、補強コードの材料として、スチール等の金属を用いてもよい。また、ベルト上補強層15は、補強コードをゴムではなく樹脂で被覆したものであってもよい。
(サイド補強層)
タイヤ骨格部材12のタイヤ外側面側には、サイド補強層13が配置されている。サイド補強層13は、タイヤ骨格部材12の外面に沿ってビードコア26のタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側へ向けて延び、更にベルト上補強層15の外面に沿ってタイヤ赤道面CL側へ延び、ベルト上補強層15の端部15E、及びベルト層14の端部14Eを越えてベルト層14の端部14E付近で終端している。
サイド補強層13は、ゴムで被覆された複数の補強コードを備えている。サイド補強層13の補強コードは、有機繊維のモノフィラメント(単線)、又は有機繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)であり、それぞれラジアル方向(タイヤ径方向)に延びてタイヤ周方向に並列されている。なお、サイド補強層13の補強コードは、タイヤ径方向に対して10°以内の角度で傾斜していてもよい。
有機繊維としては、ナイロンやPET、ガラス、アラミド等の材料を用いることができる。なお、補強コード34の材料として、スチール等の金属を用いてもよい。また、サイド補強層13は、補強コードをゴムではなく樹脂で被覆したものであってもよい。
(サイドトレッド)
サイド補強層13の外周面には、タイヤ骨格部材12のビード部20からクラウン部24のタイヤ幅方向外側まで延びる一対のサイドトレッド16が設けられている。サイドトレッド16は、従来のゴム製の空気入りタイヤのサイドウォールに用いられているゴムと同種のものを用いることができる。
なお、サイドトレッド16のタイヤ半径方向内側の端部16IEは、タイヤ骨格部材12のビード部20の内周面、より詳しくはビードコア26のタイヤ径方向内側まで延びている。また、サイドトレッド16のタイヤ半径方向外側の端部16OEは、ベルト上補強層15の端部15Eの近傍に位置している。
(トップトレッド)
ベルト上補強層15のタイヤ半径方向外側には、トレッドとしてのトップトレッド18が配置されている。トップトレッド18は、タイヤ骨格部材12を形成している樹脂材料よりも耐摩耗性に優れたゴムで形成されており、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているトレッドゴムと同種のものを用いることができる。
図1に示すように、トップトレッド18の踏面には、本実施形態のタイヤ10を車両に装着した際の車両幅方向外側(矢印OUT方向側)から車両幅方向内側(矢印IN方向側)へ、タイヤ周方向(矢印A方向、及び矢印A方向とは反対方向)に連続して延びる第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106が形成されている。これら第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106が本発明の主溝である。
第1周方向溝100の長手方向に対し直交する方向の断面は、図2に示すように、略U字形状を呈している。第1周方向溝100は、溝幅W1が8.2mm、溝深さD1が7.8mmである。
第2周方向溝102の長手方向に対し直交する方向の断面は、図2に示すように、略半円形状を呈している。第2周方向溝102は、溝幅W2が25mm、溝深さD2が8.3mmである。
第3周方向溝104の長手方向に対し直交する方向の断面は、図3に示すように、略U字形状を呈している。第3周方向溝104は、溝幅W3が10.5mm、溝深さD3が8.3mmである。
第4周方向溝106の長手方向に対し直交する方向の断面は、図3に示すように、略U字形状を呈している。第4周方向溝106は、溝幅W4が10.5mm、溝深さD4が7.8mmである。
図1に示すように、トップトレッド18には、第1周方向溝100の車両幅方向外側にアウト側ショルダーリブ108が区画されており、アウト側ショルダーリブ108の車両幅方向内側に第1周方向溝100と第2周方向溝102とでアウト側セカンドリブ110が区画され、アウト側セカンドリブ110の車両幅方向内側に第2周方向溝102と第3周方向溝104とでセンターリブ112が区画されている。なお、タイヤ赤道面CLはセンターリブ112を通っている。
また、トップトレッド18には、センターリブ112の車両幅方向内側に第3周方向溝104と第4周方向溝106とでイン側セカンドリブ114が区画され、イン側セカンドリブ114の車両幅方向内側に第4周方向溝106でイン側ショルダーリブ116が区画されている。
これらアウト側ショルダーリブ108、アウト側セカンドリブ110、センターリブ112、イン側セカンドリブ114、及びイン側ショルダーリブ116が本発明の陸部に相当している。
(アウト側ショルダーリブ)
アウト側ショルダーリブ108には、車両幅方向外側に複数の第1幅方向溝118がタイヤ周方向に間隔を開けて形成されており、車両幅方向内側に複数のサイプ120がタイヤ周方向に間隔を開けて形成されている。第1幅方向溝118とサイプ120とは一直線上に配置され、アウト側ショルダーリブ108のタイヤ幅方向中央付近で連結されている。
この第1幅方向溝118の長手方向に対し直交する方向の断面は、図4に示すように、略U字形状を呈している。第1幅方向溝118は、タイヤ10を車両に装着し、トップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有している。一方、サイプ120は、トップトレッド18が接地した際に、閉じてしまう溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触するような溝幅を有している。第1幅方向溝118の溝深さD5は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106の溝深さよりも浅い。
図1に示すように、サイプ120は、第1周方向溝100から車両幅方向外側に向けて延びてリブ内で終端し、第1幅方向溝118は、サイプ120の車両幅方向外側の端部から車両幅方向外側に向けて延びて、接地端18Eを超えた位置で終端している。サイプ120は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも浅く形成されている。
なお、トップトレッド18の接地端18Eとは、タイヤ10をJATMA YEAR BOOK(日本自動車タイヤ協会規格 2015年度版)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのものである。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。また、接地幅TWとは、一方の接地端18Eから他方の接地端18Eまでのタイヤ幅方向に沿って計測した寸法である。なお、本実施形態のトップトレッド18の接地幅TWは、216mmである。また、トップトレッド18の一方の接地端18Eと他方の接地端18Eとの間で実際に路面と接する部分を接地面と呼ぶ。
ここで、タイヤ10の周方向を矢印A方向、及び矢印A方向と反対方向としたときに、本実施形態の第1幅方向溝118、及びサイプ120は、車両幅方向外側の端部が、車両幅方向内側の端部よりも矢印A方向となるように傾斜している。言い換えれば、第1幅方向溝118、及びサイプ120は、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。なお、本実施形態では、第1幅方向溝118の溝幅中心線、及びサイプ120の溝幅中心線がタイヤ幅方向に対して45°以下で傾斜している。
ここで、トップトレッド18のタイヤ1周分の全接地面、即ち、路面と接触可能なトップトレッド18の外周面の面積である一方の接地端18Eと他方の接地端18Eとの間のタイヤ外周面の面積、言い換えればトップトレッド18の接地幅TW×トップトレッド18のタイヤ1周分(即ち全周)の周方向長さ(即ち、周長)で得られる面積に対して、一つの第1幅方向溝118の開口面積は、0.02%以下とすることが好ましい。
なお、トップトレッド18の接地面積、言い換えれば、トップトレッド18の実際に路面と接触している部分の面積に対して、一つの第1幅方向溝118の開口面積は、1.5%以下とすることが好ましい。
さらに、ベルト層14の配置されている領域、言い換えれば、ベルト層14のタイヤ幅方向の一方の端部14Eと他方の端部14Eとの間の領域において、全ての第1幅方向溝118をタイヤ周方向に投影した領域、言い換えれば、ベルト層14の端部14Eと、全ての第1幅方向溝118の内で最もタイヤ赤道面CL側に位置する第1幅方向溝118の端部を通るタイヤ周方向に延びる仮想線FL1との間の第1幅方向溝配置領域A1の面積(トップトレッド18の接地面において、ベルト層14の端部14Eから第1幅方向溝118のタイヤ赤道面CL側の端部までのタイヤ幅方向に沿って計測した長さ×トップトレッド18の外周面のタイヤ周方向長さ(即ち、周長))に占める一つの第1幅方向溝118の開口面積は、1.5%以下とすることが好ましい。
トップトレッド18の接地幅TWの範囲内において、第1幅方向溝118のタイヤ幅方向に沿って計測した長さL1は、接地幅TWに対して1.5〜20%の範囲内に設定することが好ましい。
第1幅方向溝118のタイヤ周方向のピッチに対する第1幅方向溝118の溝幅(平均値)の比率、言い換えれば、タイヤ周方向に隣接する一方の第1幅方向溝118の溝幅中心線と他方の第1幅方向溝118の溝幅中心線とのタイヤ周方向に沿って計測する距離に対する、第1幅方向溝118の溝幅(平均値)の比率は、8〜15%の範囲内とすることが好ましい。
さらに、アウト側ショルダーリブ108には、第1幅方向溝118と第1幅方向溝118との中間部に、図5の断面形状を有する複数のピンサイプ122が設けられている。ピンサイプ122は、開口部が円形とされた小径の孔であるが、トップトレッド18が接地した際に壁面同士が接触しない程度の径に形成されている。これら複数のピンサイプ122は、間隔を開けて第1幅方向溝118と平行に配置されている。
これらのピンサイプ122が、アウト側ショルダーリブ108の圧縮剛性低減部とされており、アウト側ショルダーリブ108の第1幅方向溝118と第1幅方向溝118との間のブロック状部分の圧縮剛性を低減している。ここでいう圧縮剛性とは、路面と接地して圧縮力を受けた際のつぶれ難さを意味する。
ピンサイプ122の直径φは、1〜2mmの範囲内とすることが好ましい。ピンサイプ122の深さD6は、アウト側ショルダーリブ108を区画している第1周方向溝100の溝深さD1の20〜100%の範囲内とすることが好ましい。本実施形態のタイヤ10において、ピンサイプ122の深さD6の実寸法としては、1〜4mmの範囲内とすることが好ましい。
(アウト側セカンドリブ)
図1に示すように、アウト側セカンドリブ110には、非横断サイプ124、浅溝126、及び浅溝127がタイヤ周方向に交互に配置されている。
非横断サイプ124は、第1周方向溝100から車両幅方向内側へ向けて延びてリブ内で終端する第1幅方向サイプ部124A、第1幅方向サイプ部124Aのリブ内の終端部分からタイヤ回転方向とは反対方向に向けて延びる周方向サイプ部124B、周方向サイプ部124Bの第1幅方向サイプ部124A側とは反対側の端部から車両幅方向外側へ向けて延びて第1周方向溝100に接続する第2幅方向サイプ部124Cを有して、トレッド平面視で略U字状に形成されている。
なお、第1幅方向サイプ部124A、及び第2幅方向サイプ部124Cは、車両幅方向外側端部が、車両幅方向内側端部よりも矢印A方向側に位置するように、タイヤ幅方向に対して若干傾斜している。言い換えれば、第1幅方向サイプ部124A、及び第2幅方向サイプ部124Cは、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。
また、周方向サイプ部124Bは、矢印A方向側の端部が、矢印A方向側とは反対側の端部よりも車両幅方向外側となるように、タイヤ周方向に対して若干傾斜している。言い換えれば、周方向サイプ部124Bは、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。これらの第1幅方向サイプ部124A、及び第2幅方向サイプ部124Cは、何れもアウト側ショルダーリブ108に設けられたサイプ120の延長線上に配置されている。
このように、非横断サイプ124は、アウト側セカンドリブ110のタイヤ周方向の剛性を低下させすぎないように、アウト側セカンドリブ110をタイヤ幅方向に横断しないように形成されている。なお、非横断サイプ124は、トップトレッド18が接地した際に、閉じてしまう溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触するような溝幅を有している。また、本実施形態の非横断サイプ124は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも浅く形成されている。
浅溝126は、アウト側セカンドリブ110の幅方向中央部よりも若干車両幅方向内側に形成されている。浅溝126は、矢印A方向側の端部が矢印A方向側とは反対側の端部に対して車両幅方向外側となるように、タイヤ周方向に対して若干傾斜して直線状に延びており、長手方向両端部がリブ内で終端している。
この浅溝126の長手方向に対し直交する方向の断面は、図6に示すように、略U字形状を呈している。浅溝126は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも溝幅が狭く、かつトップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有していることが好ましい。
浅溝126の溝深さD7は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106の溝深さよりも浅く形成することが好ましい。本実施形態の浅溝126は、長さが20mm、溝幅が2mm、溝深さが6.5mmである。
浅溝126が、アウト側セカンドリブ110の圧縮剛性低減部とされており、アウト側セカンドリブ110の非横断サイプ124と非横断サイプ124との間のブロック状部分の圧縮剛性を低減している。
浅溝127は、アウト側セカンドリブ110の第2周方向溝102側に形成されており、第1幅方向サイプ部124Aの延長線上に配置されている。浅溝127の長手方向に対し直交する方向の断面は、図7に示すように、略U字形状を呈している。浅溝127は、溝幅W8が浅溝126よりも狭く、溝深さD8が浅溝126よりも浅く形成されている。本実施形態の浅溝127は、溝幅W8が1mm、溝深さD8が2mmである。なお、浅溝127は、後述する第2周方向溝102の溝壁に形成される浅溝134に連結されている。
(センターリブ)
センターリブ112には、第1傾斜溝128と第2傾斜溝130とがタイヤ周方向に間隔を開けて交互に配置されている。
第1傾斜溝128は、第2周方向溝102から第3周方向溝104に向けてタイヤ幅方向に対して傾斜して延び、後述する短溝132を介して第3周方向溝104に接続されている。
第1傾斜溝128は、車両幅方向内側の端部が車両幅方向外側の端部よりも矢印A方向側となるようにタイヤ幅方向に対して傾斜している。言い換えれば、第1傾斜溝128は、トレッド平面視で右上がりに傾斜している。なお、第1傾斜溝128のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、略45°に設定されている。
この第1傾斜溝128の長手方向に対し直交する方向の断面は、図8に示すように、略U字形状を呈している。第1傾斜溝128の溝幅W9は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも狭く、トップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有している。本実施形態の第1傾斜溝128は、溝幅W9が3.2mm、溝深さD9が6.5mmである。
センターリブ112には、この第1傾斜溝128の車両幅方向内側の端部から第3周方向溝104に向けて延びて、第3周方向溝104に接続する短溝132が形成されている。短溝132は、タイヤ幅方向に対して第1傾斜溝128とは反対方向に傾斜している。言い換えれば、短溝132は、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。短溝132は、第1傾斜溝128と同じ溝深さに形成されている。短溝132は、第1傾斜溝128よりも溝幅が狭く形成されているが、トップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有している。
第2傾斜溝130は、第2周方向溝102から車両幅方向内側へ向けて傾斜して延びており、センターリブ112のリブ内における第3周方向溝104の近傍で終端している。第2傾斜溝130は、車両幅方向内側の端部が車両幅方向外側の端部よりも矢印A方向側となるようにタイヤ幅方向に対して傾斜している。言い換えれば、第2傾斜溝130は、トレッド平面視で右上がりに傾斜しており、第1傾斜溝128と平行に設けられている。
第2傾斜溝130の長手方向に対し直交する方向の断面は、図9に示すように、略U字形状を呈している。第2傾斜溝130の溝幅W10は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも狭く、トップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有している。本実施形態の第2傾斜溝130は、溝幅W10が3.4mm、溝深さD10が6.5mmである。
図1、及び図2に示すように、第2周方向溝102の溝壁には、アウト側セカンドリブ110の浅溝127とセンターリブ112の第2傾斜溝130とを連結する浅溝134が形成されている。浅溝134は、浅溝127と連結される側の端部が、第2傾斜溝130と連結される側の端部よりも車両幅方向外側に位置するようにタイヤ周方向に対して45°以下の比較的小さい角度で傾斜している。
図2に示すように、第2周方向溝102の溝壁を基準として計測する浅溝134の溝深D11さは0.5mmである。なお、浅溝134と浅溝127とは図10に示すように溝底同士が連結されており、浅溝134と第2傾斜溝130とは図11に示すように溝底同士が連結されている。
(イン側セカンドリブ)
イン側セカンドリブ114には、サイプ140と細溝142とがタイヤ周方向に間隔を開けて交互に配置されている。
サイプ140は、トップトレッド18が接地した際に、閉じてしまう溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触するような溝幅を有している。サイプ140は、一方の端部が第3周方向溝104に接続され、他方の端部が第4周方向溝106に接続されている。言い換えれば、サイプ140は、イン側セカンドリブ114をタイヤ幅方向に横断している。
サイプ140は、車両幅方向外側の端部が車両幅方向内側の端部よりも矢印A方向側となるようにタイヤ幅方向に対して傾斜している。言い換えれば、このサイプ140は、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。サイプ140のタイヤ幅方向に対する傾斜角度は、45°以下に設定されている。なお、本実施形態のサイプ140は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも浅く形成されている。
細溝142は、両端部がイン側セカンドリブ114内で終端しており、サイプ140とサイプ140との間に、2つの細溝142が間隔を開けて直線上に配置されている。これら2つの細溝142は、サイプ140と平行に形成されている。
細溝142の長手方向に対し直交する方向の断面は、図12に示すように、略U字形状を呈している。細溝142の溝幅W11は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106よりも狭く、かつトップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有していることが好ましい。
細溝142の溝深さD11は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106の溝深さよりも浅く形成することが好ましい。本実施形態の細溝142は、長さが8.5mm、溝幅W11が1mm、溝深さD11が2mmである。なお、これらの細溝142が、圧縮剛性低減部とされている。
(イン側ショルダーリブ)
イン側ショルダーリブ116には、イン側幅方向溝144、及びサイプ146が間隔を開けてタイヤ周方向に交互に形成されている。
イン側幅方向溝144は、車両幅方向外側の端部がトップトレッド18の接地端18Eよりも車両幅方向外側に位置し、イン側ショルダーリブ116内において、第4周方向溝106の近傍で終端している。また、イン側幅方向溝144は、車両幅方向内側の端部が接地端18Eよりも車両幅方向内側に位置している。
イン側幅方向溝144は、車両幅方向外側の端部が車両幅方向内側の端部よりも矢印A方向側となるようにタイヤ幅方向に対して傾斜している。言い換えれば、イン側幅方向溝144は、トレッド平面視で左上がりに傾斜している。なお、本実施形態では、イン側幅方向溝144の溝幅中心線がタイヤ幅方向に対して45°以下で傾斜している。
イン側幅方向溝144の長手方向に対し直交する方向の断面は、図13に示すように、略U字形状を呈している。イン側幅方向溝144の溝幅W12は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106の溝幅よりも狭く、トップトレッド18が接地した際に閉じない溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触しないような溝幅を有している。
また、イン側幅方向溝144の溝深さD12は、第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106の溝深さよりも浅い。本実施形態のイン側幅方向溝144の溝幅W12は3.8mm、溝深さD12は5.2mmである。
ここで、トップトレッド18のタイヤ1周分の全接地面、即ち、路面と接触可能なトップトレッド18の外周面の面積である一方の接地端18Eと他方の接地端18Eとの間のタイヤ外周面の面積、言い換えればトップトレッド18の接地幅TW×トップトレッド18のタイヤ1周分(即ち全周)の周方向長さ(即ち、周長)で得られる面積に対して、一つのイン側幅方向溝144の開口面積は、0.02%以下とすることが好ましい。
なお、トップトレッド18の接地面積、言い換えれば、トップトレッド18の実際に路面と接触している部分の面積に対して、一つのイン側幅方向溝144のの開口面積は、1.5%以下とすることが好ましい。
さらに、ベルト層14の配置されている領域、言い換えれば、ベルト層14のタイヤ幅方向の一方の端部14Eと他方の端部14Eとの間の領域において、全てのイン側幅方向溝144をタイヤ周方向に投影した領域、言い換えれば、ベルト層14の端部14Eと、全てのイン側幅方向溝144の内で最もタイヤ赤道面CL側に位置するイン側幅方向溝144の端部を通るタイヤ周方向に延びる仮想線FL2との間のイン側幅方向溝配置領域A2の面積(トップトレッド18の接地面において、ベルト層14の端部14Eからイン側幅方向溝144のタイヤ赤道面CL側の端部までのタイヤ幅方向に沿って計測した長さ×トップトレッド18の接地面のタイヤ周方向長さ)に占める一つのイン側幅方向溝144の開口面積は、5%以下とすることが好ましい。
また、トップトレッド18の接地幅TWの範囲内において、イン側幅方向溝144のタイヤ幅方向に沿って計測した長さL2は、接地幅TWに対して10〜20%の範囲内に設定する。
イン側幅方向溝144のタイヤ周方向のピッチに対するイン側幅方向溝144の溝幅(平均値)の比率、言い換えれば、タイヤ周方向に隣接する一方のイン側幅方向溝144の溝幅中心線と他方のイン側幅方向溝144の溝幅中心線とのタイヤ周方向に沿って計測する距離に対する、イン側幅方向溝144の溝幅(平均値)の比率は、8〜15%の範囲内とすることが好ましい。
サイプ146は、トップトレッド18が接地した際に、閉じてしまう溝幅、言い換えれば、互いに対向する一方の溝壁面と他方の溝壁面とが接触するような溝幅を有している。サイプ146は、イン側幅方向溝144と平行に形成され、一方の端部が第4周方向溝106に接続され、他方の端部がトップトレッド18の接地端18Eよりも車両幅方向内側に位置している。言い換えれば、サイプ146は、トップトレッド18の接地面内でイン側ショルダーリブ116をタイヤ幅方向に横断している。なお、サイプ146は、イン側セカンドリブ114のサイプ140の延長線上に配置されている。
なお、本実施形態では、タイヤ骨格部材12の一方のタイヤ片12Aと他方のタイヤ片12Aとを接合している接合部材30のタイヤ径方向外側に配置されているセンターリブ112以外のアウト側ショルダーリブ108、アウト側セカンドリブ110、及びイン側セカンドリブ114に、圧縮剛性低減部(ピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142)が設けられている。
本実施形態のタイヤ10は、予め成形されたタイヤ骨格部材12の外面に、ベルト層14、ベルト上補強層15、サイド補強層13を配置し、さらにその外面に、後にサイドトレッド16、及びトップトレッド18となる未加硫ゴムを配置したグリーンタイヤを得て、このグリーンタイヤを加硫モールドに装填して加硫成形することで製造される。
(作用、効果)
次に、本実施形態のタイヤ10の作用、効果を説明する。
本実施形態のタイヤ10では、トップトレッド18に、タイヤ周方向に延びる第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106が形成されており、これらの溝は、ウエット路面走行時、トップトレッド18と路面との間の水をタイヤ接地面外へ排出する排水用の主溝として機能する。
これら第1周方向溝100、第2周方向溝102、第3周方向溝104、及び第4周方向溝106によって、トップトレッド18には、陸部としてのアウト側ショルダーリブ108、アウト側セカンドリブ110、センターリブ112、イン側セカンドリブ114、及びイン側ショルダーリブ116が区画されている。
アウト側ショルダーリブ108には、複数の第1幅方向溝118、及びサイプ120がタイヤ周方向に間隔を開けて形成されており、これによってアウト側ショルダーリブ108のタイヤ周方向の剛性、及びタイヤ幅方向の剛性が適度に低減されている。また、ウエット路面走行時、第1幅方向溝118によってアウト側ショルダーリブ108と路面との間の水をタイヤ外側へ排水することができる。
アウト側ショルダーリブ108の第1幅方向溝118と第1幅方向溝118との間のブロック状部分には、第1幅方向溝118と平行に複数のピンサイプ122が形成されており、これによって該ブロック状部分の圧縮剛性を低減している。
このようにしてアウト側ショルダーリブ108の圧縮剛性を低減することで、アウト側ショルダーリブ108の振動がタイヤ骨格部材12を介して車両側に伝達し難くなり、騒音、及び乗り心地を改善可能となる。
アウト側セカンドリブ110には、複数の非横断サイプ124がタイヤ周方向に間隔を開けて形成されており、これによってアウト側セカンドリブ110のタイヤ周方向の剛性、及びタイヤ幅方向の剛性が適度に低減されている。
アウト側セカンドリブ110の非横断サイプ124と非横断サイプ124との間のブロック状部分には、浅溝126が形成されており、これによって該ブロック状部分の圧縮剛性を低減している。このようにしてアウト側セカンドリブ110の圧縮剛性を低減することで、アウト側セカンドリブ110の振動がタイヤ骨格部材12を介して車両側に伝達し難くなり、騒音、及び乗り心地を改善可能となる。なお、浅溝126は、両端部がアウト側セカンドリブ110のリブ内で終端しており、アウト側セカンドリブ110をタイヤ幅方向に横断していないので、アウト側セカンドリブ110のタイヤ幅方向の剛性、及び周方向の剛性を不要に低下させる虞が無い。
センターリブ112には、複数の第1傾斜溝128と第2傾斜溝130とがタイヤ周方向に間隔を開けて交互に配置されており、これによってセンターリブ112のタイヤ周方向の剛性、及びタイヤ幅方向の剛性が適度に低減されている。また、ウエット路面走行時、第1傾斜溝128と第2傾斜溝130によってセンターリブ112と路面との間の水を第2周方向溝102に排水することができる。
イン側セカンドリブ114には、複数のサイプ140がタイヤ周方向に間隔を開けて形成されており、これによってイン側セカンドリブ114のタイヤ周方向の剛性、及びタイヤ幅方向の剛性が適度に低減されている。
また、イン側セカンドリブ114のサイプ140とサイプ140との間のブロック状部分には、細溝142が形成されており、これにより該ブロック状部分の圧縮剛性を低減している。
このようにしてイン側セカンドリブ114の圧縮剛性を低減することで、イン側セカンドリブ114の振動がタイヤ骨格部材12を介して車両側に伝達し難くなり、騒音、及び乗り心地を改善可能となる。
イン側ショルダーリブ116には、イン側幅方向溝144、及びサイプ146が間隔を開けてタイヤ周方向に交互に形成されており、これにより、イン側ショルダーリブ116のタイヤ周方向の剛性、及びタイヤ幅方向の剛性が適度に低減されている。また、ウエット路面走行時、イン側幅方向溝144によってイン側ショルダーリブ116と路面との間の水をタイヤ外側へ排水することができる。
このように、本実施形態のタイヤ10では、圧縮剛性低減部としてのピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142を陸部の圧縮剛性の高い部分に設けたので、該圧縮剛性の高い部分の圧縮剛性が低減され、陸部の振動がタイヤ骨格部材12を介して車両側に伝達し難くなり、騒音、及び乗り心地を改善可能となる
なお、本実施形態のタイヤ10では、センターリブ112、イン側ショルダーリブ116に圧縮剛性低減部が設けられていないが、上記ピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142を設けてもよい。
[その他の実施形態]
以上、本発明のタイヤ10の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態のタイヤ10のトップトレッド18のトレッドパターンは、リブパターンであったが、ブロックパターンであってもよい。ブロックパターンである場合、剛性の高いブロックに優先的に圧縮剛性低減部を設けることがよい。
上記実施形態のタイヤ10では、圧縮剛性低減部、言い換えれば、圧縮剛性低減手段が、ピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142であったが、圧縮剛性低減部は、陸部の剛性を低減できる凹状の構成であればよく、ピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142以外の形態であってもよい。
上記、ピンサイプ122、浅溝126、及び細溝142を配置する位置、及び配置する個数は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
本実施形態のピンサイプ122の孔の形状は丸であったが、三角形、矩形、多角形、楕円等であってもよい。また、本実施形態の浅溝126、及び細溝142は、一定深さ、一定幅で、長手方向に直線形状であったが、溝深さ及び溝幅が変化していても良く、長手方向に曲がっていてもよい。
圧縮剛性低減部が浅溝、細溝の場合、陸部を区画する主溝に連結しない方がよい。これは、浅溝、細溝が陸部を区画する主溝に連結されると、陸部のタイヤ方向の剛性、及びタイヤ周方向の剛性が低下する虞あるからである。