JP2013078824A - ワークの切断方法及びワイヤソー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の溝付きローラに巻掛けされたワイヤを軸方向に往復走行させ、前記ワイヤにスラリを供給しつつ、ワークを相対的に押し下げて、往復走行する前記ワイヤに押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、前記溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された前記溝付きローラを準備する工程と、前記ワイヤ供給側のワイヤが前記ワイヤ回収側のワイヤよりも先に前記ワークに押し当てられるようにして前記ワークを切断する工程とを含むことを特徴とするワークの切断方法。
【選択図】 図1
Description
図8に示すように、ワイヤソー101は、主に、ワークを切断するためのワイヤ102、ワイヤ102を巻掛けした溝付きローラ103、ワイヤ102に張力を付与するための機構104、104’、ワークを下方へと送り出す手段105、切断時にスラリを供給する手段106で構成されている。
また、溝付きローラ103、巻掛けられたワイヤ102の近傍にはノズル111が設けられており、温度が調整されたスラリをスラリ供給手段106からワイヤ102に供給できるようになっている。
この際、上記したように、ワイヤは往復走行しながらその新線が供給されていく。従って、溝付きローラ103に巻掛けされたワイヤのうち新線が供給されていく側、つまりワイヤ供給側より、ワイヤが回収されていく側、すなわちワイヤ回収側の方がワイヤの摩耗量が大きくなり、従って、ワイヤ径が小さくなる。このため、ワイヤ回収側で切断されたウェーハの方がワイヤ供給側で切断されたウェーハより厚さが厚くなる傾向にある。このように1つのワークから得られるウェーハの厚さにばらつきが生じてしまうという問題があった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、ワイヤソーによるワークの切断において、特に溝間のピッチを狭くしたワイヤ回収側でワークの切り始めが局所的に薄くなり、TTVが悪化するのを抑制できるワークの切断方法及びワイヤソーを提供することを目的とする。
このように、この最大差を1mm以上とすることで、特にワイヤ回収側でワークの切り始めが局所的に薄くなってしまうのを確実に抑制できる。また、この最大差を5mm以下とすることで、溝付きローラの周囲に形成したポリウレタンなどの樹脂シェルの厚さの範囲内で溝を形成でき、さらに溝を再加工できる厚さを残すこともできるので、溝加工を低コストで容易に行うことができる。
このようにすることで、溝付きローラの複数の溝の底部の位置と溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された溝付きローラを、深さが異なる溝を形成するだけで容易に準備することができる。
このようにすることで、溝付きローラを準備する際に、溝の加工を容易に行うことができる。また、溝をV字形状にして溝加工をより容易にできる。
このように、この最大差が1mm以上であれば、ワイヤ回収側のワークを摩耗していないワイヤにより切断することを確実に避けることができ、TTVを確実に改善できる。また、この最大差が5mm以下であれば、溝付きローラの周囲に形成したポリウレタンなどの樹脂シェルの厚さの範囲内で溝を形成でき、さらに溝を再加工できる厚さを残すこともできるので、溝加工を低コストで容易に行うことができるものとなる。
このようなものであれば、溝付きローラの複数の溝の底部の位置と溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された溝付きローラを、深さが異なる溝を形成するだけで容易に構成できる。
このようなものであれば、溝付きローラの溝の加工が容易なものとなる。また、溝をV字形状にして溝加工がより容易なものとすることができる。
上記したような、切断されるウェーハの厚さを揃えるためにワイヤの摩耗を考慮して溝ピッチを変化させた溝付きローラを有するワイヤソーを用いて、例えばシリコンインゴットなどのようなワークを切断すると、ワイヤの摩耗が進んでいない切り始めにおいてウェーハの厚さが局所的に薄くなる現象が生じ、特に溝間のピッチを狭くしたワイヤ回収側でこの現象が顕著になるという問題を生じる。
図1に示すように、本発明のワイヤソー1は、主に、ワークWを切断するためのワイヤ2、溝付きローラ3、ワイヤ2に張力を付与するためのワイヤ張力付与機構4、4’、ウェーハ状に切断されるワークWを保持しつつ相対的に押し下げて切り込み送りするワーク送り手段5、切断時にワイヤ2にスラリを供給するためのスラリ供給手段14等で構成されている。
ここで、切断中に使用するスラリの種類は特に限定されず、従来と同様のものを用いることができ、例えば炭化珪素の砥粒を液体に分散させたものとすることができる。
また、図2(A)に示すように、溝付きローラ3の複数の溝6は、溝間のピッチがワイヤ供給側Bよりワイヤ回収側Cの方が狭くなるように形成される(t1>t2)。
また、本発明のワイヤソーでは、溝付きローラの複数の溝の底部の位置と溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成される。すなわち、この溝付きローラに巻掛けされるワイヤのワークに対向する側の高さ位置が、ワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に低くなるようになる。ここで、溝付きローラの複数の溝は、ワイヤの横ぶれを防止するため、図2(B)に示すような、ワイヤの直径と同じR形状及び溝幅を持つU字形状であることが好ましい。
図3に示すように、溝付きローラ31の直径は一定であり、溝付きローラ31の複数の溝6の深さ(図3中のh)がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に深く形成されている(図3中の斜線)。尚、図3は、溝付きローラの両端から2つずつの溝のみを示したものであり、他の溝は省略してある。この溝付きローラ31の複数の溝6の底部9の位置と溝付きローラ31の回転軸8との間の距離(図3中のd)はワイヤ供給側Bからワイヤ回収側Cに向かって徐々に短くなっている。この溝付きローラ31は、既存の設備を用いて深さが異なる溝を形成するだけで容易に構成できる。この場合、溝をU字形状とするのが好ましく、特に溝がより深くなるワイヤ回収側で隣接する溝との干渉を避けることができる。
この溝付きローラ32においても同様に、複数の溝6の底部9の位置と溝付きローラ32の回転軸8との間の距離dはワイヤ供給側Bからワイヤ回収側Cに向かって徐々に短くなっている。この溝付きローラ32では、溝の加工を容易に行うことができる。また、この場合も溝をU字形状とすることが好ましいが、溝の深さhが同じなので溝をV字形状にすることもでき、さらに溝加工が容易なものとなる。
この最大差が1mm以上であれば、ワイヤ回収側のワークを摩耗していないワイヤにより切断することを確実に避けることができ、TTVを確実に改善できる。また、この最大差が5mm以下であれば、溝付きローラの周囲に形成したポリウレタンなどの通常用いられる樹脂シェルの厚さの範囲内で溝を形成できる。さらに、溝を再形成する場合に、樹脂シェルを再形成することなく、樹脂シェルの溝が形成された領域のみ除去して溝を再形成することもできる。すなわち、通常用いられる樹脂シェルの厚さの範囲内で溝形成を2回行うことができるので、コストを低減できる。
まず、溝付きローラ3の複数の溝の底部の位置と溝付きローラ3の回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された溝付きローラ3を準備する。
このようにすることで、溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された溝付きローラを、既存の設備を用いて深さが異なる溝を形成するだけで容易に準備することができる。この場合、溝をU字形状とするのが好ましく、特に溝がより深くなるワイヤ回収側で隣接する溝との干渉を避けることができる。
このようにすることで、溝付きローラを準備する際に、溝の加工を容易に行うことができる。また、この場合も溝をU字形状とすることが好ましいが、溝をV字形状にすることもでき、さらに溝加工が容易に行うことができる。
そして、ワイヤ2に張力を付与して軸方向へ往復走行させ、スラリ供給手段14によりワイヤ2へのスラリ供給を行った状態で、ワーク送り手段5によりワークWを相対的に押し下げてワークWをワイヤ列に対して切り込み送りさせてワークWを切断していく。この際、ワイヤ供給側のワイヤがワイヤ回収側のワイヤよりも先にワークに押し当てられるようにする。
この最大差が1mm以上であれば、ワイヤ回収側のワークを摩耗していないワイヤにより切断することを確実に避けることができ、TTVを確実に改善できる。また、この最大差が5mm以下であれば、溝付きローラの周囲に形成したポリウレタンなどの通常用いられる樹脂シェルの厚さの範囲内で溝を形成できる。さらに、溝を再形成する場合に、樹脂シェルを再形成することなく、樹脂シェルの溝が形成された領域のみ除去して溝を再形成することもできる。すなわち、通常用いられる樹脂シェルの厚さの範囲内で溝形成を2回行うことができるので、コストを低減できる。
図3に示すような溝付きローラを有する図1に示すような本発明のワイヤソーを用い、本発明のワークの切断方法に従ってワークの切断を行い、切断されたウェーハのTTVを評価した。ここで、ワークとして、直径300mm、長さ400mmのシリコンインゴットを用いた。また、溝の最小深さを0.25mm、最大深さを2mmとし、溝付きローラの複数の溝の底部の位置と溝付きローラの回転軸との間の距離の最大差を1.75mmとした。また、溝の形状は、図2(B)に示すような、ワイヤの直径0.14mmと同じR形状及び溝幅を持つU字形状とした。
図7にTTVの結果を示す。図7に示すように、TTVの平均は8.0μm、分散は0.3μmと後述する比較例の平均8.7μm、分散2.0μmと比べ大幅に改善されていることが分かった。なお、測定器はコベルコ科研SBW−330を用いた。
このように、本発明のワイヤソー及びワークの切断方法は、ワイヤソーによるワークの切断において、特に溝間のピッチを狭くしたワイヤ回収側でワークの切り始めが局所的に薄くなり、TTVが悪化するのを抑制できることが確認できた。
図8に示すような、溝付きローラの直径が一定で、複数の溝の深さも一定である従来のワイヤソーを用い、ワイヤ供給側と回収側のワイヤが同時にワークに押し当てられるようにした以外、実施例と同様の条件でシリコンインゴットを切断し、実施例と同様に評価した。
図6に切断されたウェーハの切断方向の厚さ分布を示す。図6に示すように、ワイヤ供給側と回収側の切り始めの厚さの差が大きくなり、切り始めの厚さは回収側の方が薄くなっていることが分かった。
図7にTTVの結果を示す。図7に示すように、TTVの平均は8.7μm、分散は2.0μmと実施例1の結果と比べ大幅に悪化してしまった。
4、4’…ワイヤ張力付与機構、 5…ワーク送り手段、 6…溝、
7、7’…ワイヤリール、 8…回転軸、 9…底部、 10…駆動モータ、
11…スラリタンク、 12…スラリチラー、 13…ノズル、
14…スラリ供給手段、W…ワーク。
Claims (8)
- 複数の溝付きローラに巻掛けされたワイヤを軸方向に往復走行させ、前記ワイヤにスラリを供給しつつ、ワークを相対的に押し下げて、往復走行する前記ワイヤに押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワークの切断方法であって、
前記溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成された前記溝付きローラを準備する工程と、
前記ワイヤ供給側のワイヤが前記ワイヤ回収側のワイヤよりも先に前記ワークに押し当てられるようにして前記ワークを切断する工程とを含むことを特徴とするワークの切断方法。 - 前記溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離の最大差を1mm以上、5mm以下の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載のワークの切断方法。
- 前記溝付きローラを準備する工程において、前記溝付きローラの直径が一定であり、前記複数の溝の深さがワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に深く形成された前記溝付きローラを準備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワークの切断方法。
- 前記溝付きローラを準備する工程において、前記複数の溝の深さが同じであり、前記溝付きローラの直径がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に小さくなるように形成された前記溝付きローラを準備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワークの切断方法。
- 複数の溝付きローラに巻掛けされ、軸方向に往復走行するワイヤと、該ワイヤにスラリを供給するノズルと、ワークを保持しつつ該ワークを相対的に押し下げて前記ワイヤへ送るワーク送り手段を具備し、前記ノズルから前記ワイヤにスラリを供給しつつ、前記ワーク送り手段により保持された前記ワークを、往復走行する前記ワイヤに押し当てて切り込み送りし、前記ワークをウェーハ状に切断するワイヤソーであって、
前記溝付きローラは、該溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に短くなるように形成されたものであり、
前記ワイヤ供給側のワイヤが前記ワイヤ回収側のワイヤよりも先に前記ワークに押し当てられるようにして前記ワークを切断できるものであることを特徴とするワイヤソー。 - 前記溝付きローラの複数の溝の底部の位置と該溝付きローラの回転軸との間の距離の最大差が1mm以上、5mm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のワイヤソー。
- 前記溝付きローラの直径が一定であり、前記溝付きローラの複数の溝の深さがワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に深く形成されたものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のワイヤソー。
- 前記溝付きローラの複数の溝の深さが同じであり、前記溝付きローラの直径がワイヤ供給側からワイヤ回収側に向かって徐々に小さくなるように形成されたものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のワイヤソー。
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