JP2013076785A - 防眩フィルム、偏光板、画像表示装置、及び防眩フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
【選択図】 図3
Description
以上のような現状を鑑みて、本発明は、硬度に優れ、高コントラストでかつギラツキを抑えた防眩フィルムを提供することを目的とする。更に、そのような防眩フィルムを用いた偏光板、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
[1]
透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
[2]
防眩層の膜厚が3〜5μmである[1]に記載の防眩フィルム。
[3]
前記(A)硬化性化合物を硬化して得られた樹脂と、前記(C)透光性樹脂粒子の屈折率差が0.01以下である[1]又は[2]に記載の防眩フィルム。
[4]
前記(B)フォスフィンオキサイド系開始剤がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[5]
前記透明セルロースエステルフィルムが、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を1個以上4個以下有する化合物のエステル化化合物を含む[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[6]
前記(A)硬化性化合物がウレタンアクリル化合物である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[7]
前記硬化性組成物が、更に、無機微粒子を全固形分に対して3〜30質量%含む[1]〜[6]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[8]
前記防眩層上に、更に、前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する[1]〜[7]のいずれか1項に記載の防眩フィルム
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
[10]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
[11]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は[9]若しくは[10]に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
[12]
透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤
本発明の防眩フィルムは、透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
図1は、硬化前の防眩層A1を有する防眩フィルム10を示す模式図である。硬化前の防眩フィルム10は、透光性樹脂粒子1と硬化性化合物と光重合開始剤を含有する硬化性組成物2が透明セルロースエステルフィルムB上に塗布されている。この後、塗布された硬化性組成物2が硬化されることで防眩層が形成されるが、本発明者らの検討によれば、光重合開始剤によりその硬化の進行具合が異なり、得られる防眩層の表面形状が異なることが分かった。
図2は、前記光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系以外の(表面硬化性)開始剤のみを使用し、硬化性組成物3を硬化させて防眩層A2を形成した防眩フィルム20を示す模式図である。フォスフィンオキサイド系以外の開始剤は表面硬化性を有するため、防眩層の表面から先に硬化が進み、図2のような層内部の透光性樹脂粒子に対して凹凸の追従が緩やかで凹凸の変化がなだらかな表面形状が形成される。図2のような表面凹凸形状を有する防眩フィルム20は防眩層A2が比較的長周期の凹凸を形成するため画像表示装置の画素と干渉を起こし、ギラツキを生じやすい。図3は、前記光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系開始剤(内部硬化性開始剤)を使用し、硬化性組成物4を硬化させて防眩層A3を形成した防眩フィルム30を示す模式図である。フォスフィンオキサイド系開始剤を使用した場合は、表面硬化性の開始剤に対して相対的に防眩層の内部から硬化が進み、図3のような層内部の透光性樹脂粒子に対して凹凸が追従して凹凸が透光性樹脂粒子の位置に局在した表面形状を形成する。図3のような表面凹凸形状を有する防眩フィルム30は、防眩層A3が比較的短周期の凹凸を形成するため画像表示装置の画素と干渉を起こしにくく、ギラツキが発生しにくい。
本発明における防眩層は、光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系開始剤を特定量用いることで、高コントラストと低ギラツキを両立したまま、高硬度を達成させることができた。なお、本発明の防眩フィルムは図3と同様の表面凹凸形状を有している。
防眩層の膜厚は、例えば、防眩層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し基材からの法線方向の厚みの平均値で表すことができる。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の硬化性化合物を含有する。該硬化性化合物は硬化後に透光性樹脂となりバインダーのはたらきをすることが好ましい。
防眩層を構成するマトリックスを形成する樹脂バインダーとしては、硬化性化合物が電離放射線等による硬化して形成される、飽和炭化水素鎖を主鎖として有する透光性ポリマー(バインダーポリマーともいう)であることが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂は、硬化性化合物全量に対して10〜100質量%含有することが好ましい。
これらの2個以上のエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂としては、市販品を用いることができる。具体的には共栄社化学(株)製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I; 日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、例えば、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等; 新中村化学工業(株)製のUA100H、U4H、U6H、U15HA、UA32P、U6LPA、U324A、U9HAMI等; ダイセル・サイテック(株)製のEbecrylシリーズ、例えば、1290、5129、254、264、265、1259、1264、 4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等; 荒川化学工業(株)製のビームセットシリーズ、例えば、577、577BV、577AK等; DPHA40H(日本化薬(株)製)、CN9006、CN968(SARTOMER社製)等が挙げられる。この中でも、好ましくは、3個以上のエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂が好ましく、具体的には、UV1700B(日本合成化学工業(株)製)、DPHA40H(日本化薬(株)製)、ビームセット577(荒川化学工業(株)製)、U15HA(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
ここで、該透光性樹脂粒子を除く防眩層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の透光性樹脂粒子を含有する。
本発明の防眩層における表面凹凸形状を作るためには、透光性樹脂粒子の平均粒径に対する防眩層の膜厚の比(防眩層の膜厚/透光性樹脂粒子の平均粒径)を1.0〜3.0に設計することが好ましく、より好ましくは1.3〜2.7、最も好ましくは1.5〜2.5である。この比率が1.0以上であると、膜表面の凹凸が大きくなりすぎず、黒締りや点欠陥の観点で優れる。一方、3.0以下であると、所望の防眩性を達成するために多量の粒子を添加する必要がなく、膜の硬度の観点で優れる。
表面凹凸形状を、本発明の特定の範囲に調整する手段として、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子を使用することや、屈折率が互いに異なる2種以上の粒子を使用することも好ましい。
なお、本発明において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
透光性樹脂粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物はフォスフィンオキサイド系開始剤を含有する。また、フォスフィンオキサイド系開始剤以外の開始剤も併用することが可能である
本発明におけるフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
nは1又は2であり;
mは1又は2であり;
R1は、n=1のとき、炭素数1〜18のアルキル基、炭素鎖が1個以上不連続のO原子によって中断された炭素数2〜18のアルキル基、フェニル基が置換した炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、又は5員若しくは6員のO−、S−若しくはN−含有複素環基であり(ここで、前記フェニル基、前記ナフチル基、前記ビフェニル基、前記シクロアルキル基、及び前記複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、及び炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜5個が好ましい。);
R1は、n=2のとき、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素鎖が1個若しくは数個の不連続のO原子によって中断された炭素数2〜18のアルキレン基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基が置換したフェニル基、フェニル基が置換した炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したフェニル基、が置換した炭素数1〜6のアルキレン基;フェニレン基又はキシリレン基(ここで、前記フェニレン基及び前記キシレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜3個が好ましい。);あるいは、−CH2CH=CHCH2−、−CH2−C≡C−CH2−、又は下記式(2)〜(4)のいずれかで表される基であり;
R2は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、又は5員若しくは6員のO−、S−若しくはN−含有複素環基であり(ここで、前記フェニル基、前記ナフチル基、前記ビフェニル基、及び前記複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜4個が好ましい。);
Qは、単結合、−CR6R7−、−O−又は−S−であり;
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり;
R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。
mは2であることが特に好ましい。
R1は、n=1のとき、クミル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。n=2のとき、フェニル基が好ましい。
R2は、フェニル基が好ましく、置換基を有する、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、置換基を有するフェニル基が更に好ましい。該置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。置換基の数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、3がより好ましい。
R3は、クミル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
本発明においては、フォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤を用いることもできる。
本発明におけるフォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、表面硬化性の光重合開始剤であることが好ましい。フォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、具体的にはアセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
また、その他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、及び特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
具体的には、特開2000−80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
また、オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は、有機高分子増粘剤を含むことができる。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより組成物の粘度が増大するものを意味し、添加することにより組成物の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、更に好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
有機高分子増粘剤の添加量は防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して0.5〜10質量%が好ましく、1.0〜7.0質量%がより好ましく、2.0〜5.0質量%が特に好ましい。
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
該フッ素系ポリマーとしては、
下記(i)のモノマーに由来する繰り返し単位を含む、アクリル樹脂若しくはメタアクリル樹脂、又は該繰り返し単位とこれに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、あるいは、
下記(i)のモノマーに由来する繰り返し単位と、更に下記(ii)のモノマーに由来する繰り返し単位とを含む、アクリル樹脂若しくはメタアクリル樹脂、又はこれら繰り返し単位に共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体
が挙げられる。
一般式イ
一般式ロ
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、硬化性組成物100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲であり、更に好ましくは0.005〜3質量部の範囲であり、より好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量部以上であればフッ素系ポリマーを添加した効果が充分得られ、また5質量部以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
本発明のフィルムの各層を形成するための硬化性組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
塗布する際の硬化性組成物の固形分濃度は、3質量%以上60質量%以下であり、15質量%以上60質量%以下が更に好ましい。また、乾燥条件因子については適宜選択されるが、乾燥風の温度、給気/排気バランス、ベースの温度、塗布液の温度などを制御する。
本発明の防眩層には、上記の透光性樹脂粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、更に低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機微粒子(無機フィラー)使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒子径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
透光性樹脂粒子との屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して、1〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
本発明では、防眩層の上に低屈折率層を形成することもできる。低屈折率層は防眩層よりも低い屈折率を有し、厚さは50〜200nmであることが好ましく、70〜150nmであることが更に好ましく、80〜120nmであることが最も好ましい。
好ましい低屈折率層の硬化性物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、
などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、更に屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
架橋性又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記防眩層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−37
01IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (
商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
これらのポリシロキサンフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
本発明の防眩フィルムには、フィルムの物理的強度を更に付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明における透明セルロースエステルフィルム(支持体)としては、セルロースエステルフィルム(特に、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム))等が使用できる。
なお、本発明において「透明」とは、可視光線透過率が80%以上を意味する。
リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー(高分子化合物)であってもよい。以下、ポリマー(高分子化合物)である非リン酸エステル系の化合物のことを、非リン酸エステル系ポリマーとも言う。
前記カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。
クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
−糖残基−
前記糖エステル化合物とは、該化合物を構成する多糖中の置換可能な基(例えば、水酸基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、前記糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。前記糖エステル化合物を構成する多糖中の置換可能な基は、ヒドロキシル基であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中に含まれる構造単位の数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。すなわち、前記糖エステル化合物を構成する糖が2糖類〜4糖類であることが好ましく、2糖類〜3糖類であることがより好ましく、2糖類であることが特に好ましい。
一般式(I) (HO)m−G−(L−R1)n
一般式(II) (HO)t−G’−(L’−R2)r
(一般式(I)及び(II)中、GおよびG’はそれぞれ独立に単糖残基または二糖残基を表す。R1はそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表し、少なくとも1つは芳香族
基を表す。R2はそれぞれ独立に脂肪族基を表す。LおよびL’はそれぞれ独立に2価の
連結基を表す。m、n、rおよびtは0以上の整数を表す。但し、m+nおよびr+tはそれぞれ前記Gが残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しい。)
化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられが、これらに限定されるものではない。 これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フクラトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。また、化合物(B)において、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2個結合した化合物であることも、好ましい態様の1つである。
本発明の防眩フィルムは、一般に、最も単純な構成では、透明セルロースエステルフィルム(支持体)上に防眩層を塗設した構成である。
・支持体/ハードコート層/防眩層
・支持体/防眩層/ハードコート層
・支持体/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・支持体/防眩層/ハードコート層/低屈折率層
本発明の防眩フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
本発明における防眩層の硬化方法に関して、好ましい例を以下に述べる。
本発明では、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
本発明は、前記防眩フィルムの製造方法にも関する。
本発明の防眩フィルムの製造方法は、透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム基材上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤
ここで、 (A)〜(D)の各成分は前述したものを好ましく用いることでき、防眩層の塗布及び硬化条件も前述した方法が好ましい。
本発明の防眩フィルムは、偏光膜とその両側に配置された保護フィルムとを含む偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方に使用して、防眩性を有する偏光板とすることができる。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の防眩フィルム及び偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
特開平10−45804号公報、同08−231761号公報に記載の方法で、セルロースアシレートを合成し、その置換度を測定した。具体的には、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することでアシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、コア層用ドープとしてセルロースアシレート溶液を調製した。各セルロースアシレート溶液の固形分濃度が23.5質量%となるように溶剤(塩化メチレン/メタノール/ブタノール=84/15/1)の量は適宜調整した。
・セルロースアシレート(アセチル置換度2.85、数平均分子量150000)
100.0質量部
・糖エステル(下記糖エステル1) 11.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 2.0質量部
・溶剤 365.5質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、表層用ドープとしてセルロースアシレート溶液を調製した。各セルロースアシレート溶液の固形分濃度が18.0質量%となるように溶剤(塩化メチレン/メタノール/ブタノール=84/15/1)の量は適宜調整した。
・セルロースアシレート(アシル置換度2.81、数平均分子量150000)
100.0質量部
・糖エステル(上記糖エステル1) 5.5質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 1.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−2) 1.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−3) 1.0質量部
・溶剤 365.5質量部
−10℃に冷却された金属バンド支持体上に接するように前記コア層用ドープを膜厚35μmのコア層になるように、コア層用ドープの上に前記表層用ドープを膜厚5μmの表層になるように、支持体上にコア層用ドープが接するように、ダイから共流延した。得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、30〜40℃で搬送しながら乾燥させた後、枠張りして130℃で20分間後乾燥させて、膜厚60μmのトリアセチルセルロースフィルム基材Tを得た。
以下の組成で各成分を添加し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、表2に示す固形分濃度の防眩層用塗布液1を調製した。
・硬化性化合物1 (表2に記載の添加量)
・硬化性化合物2 (表2に記載の添加量)
・CAB 0.8質量部
・光重合開始剤 (表2に記載の添加量)
・透光性樹脂粒子 22.0質量部
・SP−13 0.1質量部
溶剤(MIBK、MEK)は固形分濃度が表2の値となるような量添加した。MIBKとMEKの質量比はいずれの塗布液においても70:30となるようにした。
使用した化合物の詳細については後述する。
表2中の開始剤の量は硬化性化合物に対する比率(質量%)であり、透光性樹脂粒子の量は全固形分に対する量である。また、表2における屈折率差は、透光性樹脂粒子を除いた硬化後のマトリックスの屈折率と透光性樹脂粒子の屈折率との差である。
特開2002−79616号公報の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。これを水分散液状態からメタノールに溶媒置換した。最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して、平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(B)とする。
前記分散液(B)の500質量部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水を9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。更に総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換し、最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して分散液(B−1)を調製した。
含フッ素ポリマー(P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物)を7.6g、DPHAを1.4g、分散液(B−1)を2.4g、光重合開始剤(イルガキュア907)0.46g、メチルエチルケトン190g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム社製)をロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液1を使用し防眩フィルム試料1を作製した。
特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。防眩層の膜厚(硬化後の平均膜厚)は12μmとなるように塗布量を調整した。得られた防眩層の屈折率は1.520であった。
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒間乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、防眩フィルム試料25を作製した。低屈折率層の屈折率は1.46であった。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
ビスコート360:トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)製]
CAB:セルロースアセテートブチレート[イーストマン・コダック製]
イルガキュア819:フォスフィンオキサイド系光重合開始剤[BASF製]
イルガキュア907:アセトフェノン系光重合開始剤[BASF製]
イルガキュア184:アセトフェノン系光重合開始剤[BASF製]
LUCIRIN TPO:フォスフィンオキサイド系光重合開始剤[BASF製]
SP−13:フッ素系界面活性剤
P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物(P−12)、主鎖にシリコーンを含み、側鎖に水酸基と重合性官能基としてアクリロイル基を有する含フッ素共重合体、数平均分子量3万、Mw/Mn=1.6
A:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
B:4μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
C:2.5μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
D:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.500)
E:1μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
無機微粒子:日産化学製のオルガノシリカゾル「MEK−ST」
得られた防眩フィルムを次の条件で鹸化処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗したトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム社製)と、防眩フィルム試料1〜33における鹸化処理済みの各々のフィルムとを、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護してフロント用偏光板を作製した。このとき、トリアセチルセルロースフィルムの膜厚は対応する防眩フィルムと同じものを使用した。
防眩フィルムを下記に示す光学補償フィルムに変更したこと以外は、前記フロント用偏光板と同様にして、リア用偏光板を作製した。
下記の組成の内層用及び外層用ドープをそれぞれ調製した。
内層用ドープの組成:
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
下記レターデーション発現剤 7質量部
下記染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
メタノール 63.3質量部
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
上記レターデーション発現剤 7質量部
下記の重合体P−2 9.0質量部
上記染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子 0.14質量部
(「AEROSIL R972」日本アエロジル(株)製)
ジクロロメタン 424.5質部
メタノール 63.4質量部
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられているフロント、及びリアの偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製したそれぞれの偏光板を、フロント側はトリアセチルセルロースフィルムが、リア側は光学補償フィルムが液晶セル側になるように配置し、透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、防眩フィルムを有する液晶表示装置を作製した。なお、リア側の偏光板は、フロントの防眩フィルムで使用したトリアセチルセルロースフィルムの膜厚と同じ膜厚光学補償フィルムを用いたものを使用した。
<1>鉛筆硬度
得られた防眩フィルム試料を、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した(ただし、重りの荷重は500gとした)。本発明では2H以上を合格とした。2H合格品の中でも、少しでも傷がついたものは2H−と表記し、2Hと区別した。
作製した防眩フィルムを、液晶テレビ(SHARP LC46−SE1)に実装し、測定機(TOPCON SR−UL1R)を用いた。防眩層を設けていないトリアセチルセルロースフィルムを用いて測定した際の値を100とし、各防眩フィルムでのコントラスト値を算出し、以下の基準で評価した。
97以上 : A
95以上97未満 : B
93以上95未満 : C
93未満 : D
ライトボックス上に千鳥格子パターン(80pixel/inch)が形成されたガラスセルを配置し、その上にサンプルを固定して目視にて評価を行った。
ギラツキが全く気にならない : A
ギラツキがほぼ気にならない : B
ギラツキが気になる : C
作製した防眩フィルムの色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L*a*b*色空間のL*、a*、b*値を求めることで色味を評価した。
b*0.19以下: A
b*0.19未満: B
作製した防眩フィルムの60°光沢度は光沢度計(日本電飾工業株式会社製、VG7000)を用い、JIS−Z8741に準拠して測定した。光沢度が20以下である場合、防眩性が強すぎて、逆に視認性を悪化させてしまう。光沢度が35以上である場合、防眩性が弱すぎて、反射防止性能として十分ではない。そのため、以下の基準で評価した。
光沢度20以上35以下の範囲内: A
光沢度20未満又は35超の範囲: B
防眩フィルム試料を20cm×20cmのサイズに切り取り、4隅が浮き上がっている面を上向きにして、25℃、60%RHの環境下で水平な机上に置いた。24時間経過後に各4隅の机面からの浮き上がり距離を定規で測定し、4隅の平均をとった。平均値を以下の基準でクラス分けして評価した。
5mm未満: A
5mm以上: B
JIS−K7136に準じて、得られた防眩フィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。装置には日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH2000を用いた。
以上の評価結果を表3に示す。
フォスフィンオキサイド系開始剤を特定量用いることで、高い鉛筆硬度が得られ、色味もなく、かつギラツキも目立たず、高いコントラストも達成できた。
糖エステルを支持体に用いることで、高い鉛筆硬度が得られた(防眩フィルム試料No.23)。また、防眩層の硬化性化合物としてウレタンアクリル化合物を用いることで、カール抑制に優れた効果が得られた(防眩フィルム試料No.24)。
A2、A3:硬化後の防眩層
10、20、30:防眩フィルム
B:透明セルロースエステルフィルム
1:透光性樹脂粒子
2、3、4:硬化性組成物
Claims (12)
- 透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量% - 防眩層の膜厚が3〜5μmである請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記(A)硬化性化合物を硬化して得られた樹脂と、前記(C)透光性樹脂粒子の屈折率差が0.01以下である請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
- 前記(B)フォスフィンオキサイド系開始剤がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記透明セルロースエステルフィルムが、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を1個以上4個以下有する化合物のエステル化化合物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記(A)硬化性化合物がウレタンアクリル化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記硬化性組成物が、更に、無機微粒子を全固形分に対して3〜30質量%含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
- 前記防眩層上に、更に、前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩フィルム
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は請求項9若しくは10に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
- 透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤
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