JP2006337664A - 導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明支持体上に帯電防止層およびハードコート層を順に積層した積層構造を有する導電性ハードコートフィルムにおいて、それぞれの機能層の面状均一性、および光学機能フィルム全体としての面状均一性に優れた導電性ハードコートフィルムを提供すること。
【解決手段】透明支持体上に、透明支持体側から帯電防止層およびハードコート層の2層の機能層が順次積層してなり、前記の2層のうち少なくとも帯電防止層に、少なくとも1種のレベリング剤を含有することを特徴とする導電性ハードコートフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置に関する。
液晶表示ディスプレイ(LCD)の他、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP),エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)などのようなディスプレイ装置では、表示面に埃などが付着して視認性が低下するのを防ぐために、表示面に比較的弱い導電性を有する透明導電性フィルムを設ける場合がある。また、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光の散乱や光学干渉の原理を用いた反射防止フィルムを設けたり、保護フィルムとして防汚性や耐擦傷性の高いハードコートフィルムを設けたりする場合がある。一般には、これらの機能性フィルムを組み合わせて用いたり、あるいは一つの透明支持体上にこれらの機能性フィルムを積層して用いたりすることにより、視認性、防汚性、耐擦傷性などをディスプレイ装置に付与している。
近年LCDに代表される、従来のCRTに比べ奥行きが薄く、表示領域の大きなディスプレイ装置の普及に従って、より高精細化、より高品質なディスプレイ装置が要求されるようになっている。それに伴い機能性フィルムの面状均一性、および耐擦傷性の向上が強く求められている。
機能性フィルムの製造方法として、大量生産性の観点からは、真空蒸着法やスパッタリング法に代表されるドライ製膜に対し、塗布によるウェット製膜が有利である。しかしながら、塗布によるウェット製膜は生産性の観点からは非常に有利である反面、塗布直後の溶剤乾燥を一定に保つことが非常に困難で、面状ムラが生じやすい。ウェット塗布において、より生産性を向上させるために塗布速度を高くすることは必須の技術である。だが単純に塗布速度を高くすると相対的に乾燥風の風速も高くなり、また支持体の高速移動に伴う同伴風の影響も受け、面状ムラは悪化する。以上のような理由により、光学性能や膜物性のバラツキを抑えた光学機能フィルムを得るためには、従来は塗布速度をあまり高くすることはできなかった。
塗布時のムラを低減させるためにはレベリング性を向上させることが有効であることが知られている。レベリング性を向上させる一つの手段として、塗布組成物中に界面活性剤(以下「レベリング剤」と表記することもある)を添加する方法が提案されている。塗布物にレベリング剤を添加すると表面張力が低下して被塗布物への濡れを改良し、塗膜形成過程での表面張力変化を小さく、または低下させて熱対流を防止して膜の均一性を改良するという機構に基づいている(非特許文献1参照)。
ある機能層の上に屈折率層の異なる機能層を積層するとき、反射率の相違により下の機能層表面の面状ムラや密着性の悪い部分が目立ちやすくなるので、最表面の機能層だけでなく、最表面層と透明支持体に挟まれた、内部の機能層の面状均一性を向上させることは重要である。
「コーティング用添加剤の最新技術」、桐生春雄監修、シーエムシー
本発明の第一の目的は、透明支持体上に帯電防止層およびハードコート層を順に積層した積層構造を有する導電性ハードコートフィルムにおいて、それぞれの機能層の面状均一性、および光学機能フィルム全体としての面状均一性に優れた導電性ハードコートフィルムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記導電性ハードコートフィルムの上に低屈折率層を積層した反射防止フィルムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記導電性ハードコートフィルムまたは上記反射防止フィルムを用いた偏光板を提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記導電性ハードコートフィルム、上記反射防止フィルムまたは上記偏光板を備えた画像表示装置を提供することにある。
上記課題は、透明支持体上に、透明支持体側から帯電防止層およびハードコート層の2層の機能層が順次積層してなり、前記の2層のうち少なくとも帯電防止層に、少なくとも1種のレベリング剤を含有する本発明の導電性ハードコートフィルムによって解決された。
以下、本発明の導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルム、偏光版、および画像表示装置を示す。
1.透明支持体上に、透明支持体側から帯電防止層およびハードコート層の2層の機能層が順次積層してなり、前記の2層のうち少なくとも帯電防止層に、少なくとも1種のレベリング剤を含有することを特徴とする導電性ハードコートフィルム。
2.該レベリング剤が、フッ素含有化合物および/またはケイ素含有化合物からなることを特徴とする上記1に記載の導電性ハードコートフィルム。
3.上記2のレベリング剤が、下記一般式[1]で表されるモノマーに相当する重合単位を含むポリマー、および/または、下記一般式[2]で表される重合単位を含むポリマーからなることを特徴とする導電性ハードコートフィルム。
一般式[1]
Figure 2006337664
(上記一般式[1]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R2)−を表し、Yは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上18以下の整数を表す。ここで、R2は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
一般式[2]
Figure 2006337664
(上記一般式[2]において、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基またはアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。)
4.該レベリング剤を、帯電防止層およびハードコート層の両層に含有することを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
5.該帯電防止層が、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、および五酸化アンチモンのうちいずれか1種以上を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
6.該ハードコート層が防眩性を有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
7.該ハードコート層が導電性微粒子を含有し、該導電性微粒子の平均粒径がハードコート層の平均膜厚の0.5倍以上1.5倍以下であることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
8.該ハードコート層の表面抵抗値が1.0×1012Ω/□以下であることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
9.前記導電性ハードコートフィルムの上に、屈折率が、透明支持体、帯電防止層、およびハードコート層のいずれの屈折率よりも低い値を有する低屈折率層を積層することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
10.該低屈折率層が熱硬化性および/または電離放射線硬化性の官能基を有する含フッ素化合物を含有することを特徴とする上記9に記載の反射防止フィルム。
11.上記1〜8のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム、または上記9および10のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光板保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
12.上記1〜8のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム、上記9および10のいずれかに記載の反射防止フィルム、または上記11に記載の偏光板を用いたことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、面状均一性に優れた導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムを提供することができる。
さらにこれらより、上記特徴を有する偏光板、画像表示装置を提供することができる。
(レベリング剤)
本発明に係るレベリング剤について詳細に説明する。
本発明に係るレべリング剤とは、塗布物の表面張力を低下させ被塗布物への濡れを改良する化合物である。
本発明で用いられるレベリング剤の質量平均分子量は、3000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるレベリング剤の好ましい添加量は、層形成用塗布液(塗料)に対して、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.5質量%である。レベリング剤の含有量が少なすぎると、高速塗布時において風ムラや乾燥ムラが発生することにより外観面状や諸性能の均一性が得られにくくなり、レベリング剤の含有量が多すぎると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり塗布液攪拌時の泡の発生の懸念が生じるのであまり好ましくない。
層形成用塗布液は、面状均一性向上の点から、水の含率が30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
本発明のレベリング剤は、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)を含有する塗料に用いることが好ましい。特に、ケトン系溶媒が好ましい。ケトン系溶媒の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが好ましい。
また、特にケトン系溶媒を全溶媒の10質量%以上含有する塗料であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
上記塗料を用いて層を形成後、該層の表面に存在するレベリング剤を、該層の隣接層を形成する塗料中に溶出させて、層と層の界面近傍にレベリング剤が残らないようにするため、隣接層の塗料中にレベリング剤を溶解する溶媒を含有させることが好ましい。そのような溶媒としては、上記ケトン系溶媒が好ましい。
塗料の溶媒は、ケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。例えば、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)などがあげられる。
本発明に使用されるレベリング剤としては、外観面状の観点から、フッ素含有化合物および/またはケイ素含有化合物からなるレベリング剤が好ましい。
本発明に使用されるレベリング剤としては、外観面状および各機能層間の密着性、耐擦傷性の観点から、少なくとも1種の下記一般式[1]で表されるモノマーに相当する重合単位を含むポリマー(以下「フッ素系ポリマー」と略記することもある)、および/または、少なくとも1種の下記一般式[2]で表される重合単位を含むポリマー(以下「シリコーン系ポリマー」と略記することもある)からなることが好ましい。混合比率は任意だが、外観面状や諸性能の均一性の点で、レベリング剤中の上記フッ素系ポリマーの比率が40〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、85〜95質量%であることが更に好ましい。
一般式[1]
Figure 2006337664
(上記一般式[1]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R2)−を表し、Yは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上18以下の整数を表す。ここで、R2は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
一般式[2]
Figure 2006337664
(上記一般式[2]において、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基またはアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。)
(フッ素系レベリング剤)
本発明に係る上記フッ素系ポリマーについて詳細に説明する。一般式[1]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは酸素原子、硫黄原子または‐N(R2)‐を表し、酸素原子または‐N(R2)‐がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。Yはフッ素原子または水素原子を表し、水素原子がより好ましい。R2は、水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。mは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。nは1〜18の整数を表し、1〜7がより好ましく、6が更に好ましい。
また、上記フッ素系ポリマー中に一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
上記フッ素系ポリマーは、一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する重合単位を含み、その含有量は、一般式[1]のYがフッ素原子の時は、該フッ素系ポリマーの全重合単位に基づいて5モル%以上であり、好ましくは5〜70モル% であり、より好ましくは7〜60モル% の範囲である。また、一般式[1]のYが水素の時は、該フッ素系ポリマーの全重合単位に基づいて5モル%以上であり、より好ましくは40〜100%である。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
一般式[1]で表されるモノマーの具体例としては、特開2004−163610号の〔0027〕〜〔0030〕に記載のF−1〜F−64、および特開2004−331812号の〔0026〕〜〔0029〕に記載のF−1〜F−85が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記フッ素系ポリマーは、一般式[1]で表されるモノマーに相当する重合単位のみからなっていてもよく、一般式[1]で表されるモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとの共重合体であっても良い。この共重合可能なモノマーの重合単位の量は、前記フッ素系ポリマーを構成する全重合単位に基づいて、50モル%より少ないことが好ましく、0〜20モル%であることがより好ましく、0〜10モル% であることが更に好ましい。
このような共重合可能な他の種類のモノマーとしては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2 Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
具体的には、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど
その他:
クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
マレイロニトリル、スチレンなど。
これらの中でも一般式[3]で表されるモノマーが好ましい。
一般式[3]
Figure 2006337664
一般式[3]において、R11は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、酸素原子、硫黄原子または−N(R13)−を表し、酸素原子または−N(R13)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R13は水素原子または炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。R12は置換基を有しても良い炭素数1以上20以下の、直鎖、分岐、または環状の、アルキル基、ポリ(オキシアルキレン)基を含むアルキル基、および置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。
ポリ(オキシアルキルレン)基については、後で詳しく説明する。
炭素数1以上20以下の、直鎖、分岐のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。炭素数1以上20以下の環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基、及びイソボルニル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基等の多環シクロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、t-ブチル基、イソボルニル基がより好ましく、イソボルニル基が更に好ましい。
12のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。
一般式[3]で示されるモノマーの具体例としては特開2004−163610号の〔0033〕〜〔0041〕に記載の化合物A−1〜A−130および以下の例が挙げられるがこの限りではない。
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
(ポリ(オキシアルキレン)基)
次に、ポリ( オキシアルキレン) 基について説明する。
ポリ(オキシアルキレン)基は(OR)xで表すことができ、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、または−CH(CH3)CH(CH3)−であることが好ましい。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであっても良く、直鎖または分岐状のオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位であったり、または直鎖または分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであっても良い。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連結基(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連結基が3価以上の原子価を有する場合には、分岐状のオキシアルキレン単位が得られる。
また、ポリ(オキシアルキレン)基を有する重合単位を含む共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタアクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名"プルロニック"[Pluronic(旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)"カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、"トリトン"[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを、公知の方法で、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
一般式[3]で表されるポリオキシエチレン(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては特開2004−331812号の〔0038〕に記載の10個の例示化合物が挙げられるが、この限りではない。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタアクリル酸を示すものである。「(メタ)アクリレート」も同様である。
本発明によるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例としては特開2004−163610号の〔0054〕〜〔0063〕に記載のP−1〜P−68の化合物、特開2004−331812号の〔0046〕〜〔0052〕に記載のP−1〜P130の化合物および以下の例が挙げられるが、この限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。M w は重量平均分子量を表す。
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
(シリコーン系レベリング剤)
本発明で用いられる、一般式[2]で表される重合単位(以下、「ポリシロキサンセグメント」とも称する)を含むポリマーについて説明する。
本発明において、一般式[2]で表される重合単位はポリマー側鎖に導入されていることが好ましい。
以下、ポリシロキサンセグメントを側鎖に有するグラフトポリマーについて説明する。
一般式[2]で表されるポリシロキサンセグメントを側鎖に有するグラフトポリマーは、特にその主鎖構造に制限はないが、好ましくはエチレン性不飽和基を重合せしめて得られる構造を有し、ポリシロキサンセグメントと主鎖とは直接結合していても良く、適当な連結基を介して結合していても良い。
一般式[2]中、R1、R2は水素原子、置換基を有していても良い、アルキル基、アリール基を表わす。R1、R2は同一であっても異なっていてもよい。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。
1、R2において置換していても良い置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル)、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
pは10〜500の整数を表わし、好ましくは50〜300であり、特に好ましくは100〜250の場合である。
側鎖に一般式[2]で表わされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載の如く、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基又は酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサンを高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成されるが、本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法が特に好ましい。
シリコンマクロマーとしてはその重合性基に特に制限はないが、一般式[4]で表されるような構造が好ましく、一般式[4]においてR1、R2、pは一般式[2]と同じ意味を表す。
一般式[4]
Figure 2006337664
(一般式[4]において、R1、R2およびpは一般式[2]と同じ意味を表す。R3、R4及びR5は同一であっても異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を表し、R6は水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合または2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
3〜R5はそれぞれ、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)を表わし、より好ましくはフェニル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。R3〜R5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
3〜R5の置換していても良い好ましい置換基としては、R1,R2の置換基として挙げたものと同じである。
6は水素原子またはメチル基を表わす。Lは、単結合または2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜25からなるものであり、重合可能なビニル基を連結し得るものであれば特に制限はないが、より好ましくは下記一般式[6]あるいは一般式[7]で表されるような構造を有する。nは0または1を表す。
こうした一般式[4]で表されるような化合物は、例えば特開平6−322053号記載の方法で合成される。
一般式[6]
Figure 2006337664
一般式[7]
Figure 2006337664
上記一般式[6]あるいは一般式[7]において、L'は置換もしくは無置換の、直鎖、分岐もしくは脂環式のアルキレン基、および置換もしくは無置換のアリーレン基を表し、好ましくは炭素数1〜25のアルキレン基、およびアリーレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜25の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。L'の置換基としては、R1、R2の置換基として挙げたものが好ましい。
これら含シリコンマクロマーのうち特に好ましいのは、一般式[5]で表される構造であり、一般式[5]中、R1〜R6、pは一般式[4]中で用いられているものと同じ意味を表し、L'は一般式[6]及び[7]中で用いられているものと同じものを表す。
一般式[5]
Figure 2006337664
(一般式[5]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びpは一般式[4]と同じ意味を表す。L'は炭素数1〜25のアルキレン基、またはアリーレン基を表す。)
以下に本発明に有用な、側鎖にポリシロキサンセグメントを含む重合単位(繰り返し単位)の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
本発明において、上記グラフトポリマーは、一般式[4]または[5]で表されるモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとの共重合体であることが好ましい。このような共重合可能な他の種類のモノマーとしては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley Interscience(1975),Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
具体的には、本明細書[0028]〜[0047]が挙げられるが、この限りではない。
以上のような観点から本発明に用いられるグラフトポリマーは一般式[8]で表される形態が好ましい。
一般式[8]
Figure 2006337664
(一般式[8]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びp、L'は一般式[5]と同じ意味を表す。R11、R12、Xは一般式[3]と同じ意味を表す。a、bは各構成成分の質量分率(%)を表し、0.01≦a≦100、0≦b≦95の関係を表す。)
一般式[8]において、R1〜R6、p及びL'は一般式[5]と同じ意味を表す。R11、R12及びXは一般式[3]と同じ意味を表す。a、bは各構成成分の質量分率(%)を表す。aは0.01≦a≦100であり、1≦a≦80が好ましく、10≦a≦70がより好ましい。bは0≦b≦95であり、1≦b≦90が好ましく、10≦b≦50がより好ましい。
また一般式[5]で表されるポリシロキサン含有ビニル重合体を2種類以上併用しても良く、aの合計が0.01≦a≦100であり、1≦a≦80が好ましく、10≦a≦70がより好ましい。bの合計が0≦b≦95であり、1≦b≦90が好ましく、10≦b≦50がより好ましい。
本発明で用いられるポリシロキサンセグメントを含んでなる重合体グラフト部位を有するポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6000〜80,000がより好ましく、8,000〜60,000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明のグラフトポリマーは公知慣用の方法で製造することができる。例えば後述の有機溶媒中、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。もしくは場合によりその他の付加重合性不飽和化合物とを添加して、上記と同じ公知慣用の方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
以下、本発明によるグラフトポリマーの具体的な構造を示すが、この限りではない。
尚、下記式において、Sは前記の側鎖にポリシロキサンセグメントを含む繰り返し単位を表わす。また、Aは前述一般式[3]で表わされるモノマーから導かれる繰り返し単位を表わす。aおよびbは各構成成分の質量分率(%)を表わす。
Figure 2006337664
Figure 2006337664
本発明で用いられる側鎖にポリシロキサンセグメントを有するグラフトポリマーにおけるポリシロキサンセグメントの割合は、10質量%〜90質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましい。
本発明の反射防止膜において、本発明に係るグラフトポリマーの添加量は、帯電防止層および/またはハードコート層全固形分に対して0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
また2種類以上のグラフトポリマーを併用しても良く、添加量の合計が帯電防止層および/またはハードコート層全固形分に対して0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。上記範囲とすることにより塗布性が向上する。
(透明支持体)
本発明における透明支持体について説明する。
透明支持体としては、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
透明支持体がトリアセチルセルロースフィルムの場合、トリアセチルセルロースを溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースドープを単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
特に、環境保全の観点から、トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調整したトリアセチルセルロースドープを用いて作製したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
本発明に好ましく用いられるトリアセチルセルロースフィルムについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745)に例示されている。
上記の透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は1〜300μmが好ましく、30〜150μmがより好ましく、40〜120μmが特に好ましく、40〜100μmが最も好ましい。
透明支持体の光透過率(JIS K6714)は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
透明支持体のヘイズ(JIS K6714)は低い方が好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
透明支持体の屈折率は、1.40〜1.70であることが好ましい。
透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、透明支持体には、滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理とコロナ放電処理が特に好ましい。
(帯電防止層)
本発明における帯電防止層について説明する。
本発明の導電性ハードコートフィルムにおいて、帯電防止層を構築することで、導電性ハードコートフィルム表面に塵埃(埃など)が付着するのを防止する、すなわち優れた防塵性を発現させることができる。防塵性は、導電性ハードコートフィルム表面の表面抵抗値を下げることで発現され、帯電防止層の導電性が高いほど高い効果が得られる。これは本発明の反射防止フィルムでも同様である。本発明の導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムにおいては、ハードコート層表面の表面抵抗値が、1×1012Ω/□以下であることが好ましく、1×1010Ω/□以下であることがより好ましく、1×108Ω/□以下であることが更に好ましい。
本発明の導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムにおいて、支持体上に塗布(コーティング)方式で層を設置することを塗設と称する。帯電防止層は、透明支持体とハードコート層との間に塗設される。
帯電防止層を塗設する場合、導電材(電子伝導型の有機化合物や導電性粒子、イオン伝導型の有機化合物など)を結着剤(バインダーなど)に含有させて、帯電防止層を作製することが好ましい。特に、電子伝導型の導電材は、環境の変化を受け難く導電性能が安定し、特に低湿環境下でも良好な導電性能を発現する点で好ましい。
以下、塗布法で帯電防止層を作製する好ましい方法について記載する。
〈導電材〉
帯電防止層に用いられる好ましい導電材としては、π共役系導電性有機化合物、導電性微粒子などの電子伝導型の導電材が好ましい。
π共役系導電性有機化合物としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)等が挙げられる。
導電性微粒子としては、カーボン系、金属系、金属酸化物系、導電被覆系微粒子等が挙げられる。
カーボン系微粒子としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等のカーボン繊維、膨張化黒鉛粉砕品のカーボンフレーク等が挙げられる。
金属系微粒子としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属、及び、それらの金属を含有する合金の粉末や、金属フレーク、鉄、銅、ステンレス、銀メッキ銅、黄銅等の金属繊維等が挙げられる。
金属酸化物系微粒子としては、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、五酸化アンチモンなどが挙げられる。
導電被覆系微粒子としては、例えば、酸化チタン(球状、針状)、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ等の各種微粒子表面を、酸化錫、ATO、ITO等の導電材で被覆した導電性微粒子、金及び/又はニッケルなどの金属で表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂ビーズが好ましい。
帯電防止層の導電材としては、π共役系導電性有機化合物(特に、ポリチオフェン系導電性ポリマー)が好ましい。
導電性微粒子としては金属系微粒子(特に、金、銀、銀/パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウム)や金属酸化物系微粒子(特に、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛)が好ましい。特に、金属や金属酸化物などの電子伝導型の導電材が好ましく、なかでも金属酸化物系微粒子が特に好ましく、上記に挙げた金属酸化物系微粒子のうち少なくとも1種以上用いることが好ましい。
導電材の一次粒子の質量平均粒径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。導電材の平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電材の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
導電材の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、針状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは、不定形状、針状、鱗片状である。
〈帯電防止層の形成法〉
帯電防止層を塗布法で作製する場合、導電材は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することが好ましい。
導電材の分散においては、分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散剤を用いて分散することにより、導電材は極めて微細に分散することができ、透明な帯電防止層の作製を可能にする。
本発明に係る導電材の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上が含有されていればよい。導電材の分散性をさらに改良する目的で分散材にはアニオン性基が1分子当たり複数個含有されていてもよい。1分子当たり平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性の極性基を有する分散剤としては、ホスファノール(PE−510、PE−610、LB−400、EC−6103、RE−410など;東邦化学工業(株)製)、Disperbyk(−110、−111、−116、−140、−161、−162、−163、−164、−164、−170、−171など;ビックケミー・ジャパン社製)、アロニックスM5300など;東亞合成(株)製、KAYAMER(PM-21、PM-2など;日本化薬(株)製)などが挙げられる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性の官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明に係る帯電防止層に用いる導電材の分散に用いる分散剤は、アニオン性基、及び、架橋又は重合性の官能基を有し、かつ該架橋又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基、及び、架橋又は重合性の官能基を有し、かつ、該架橋又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。該分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の導電材に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
導電材は分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
導電材は、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、アイガーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルなどが含まれる。サンドグラインダーミル、ダイノミルなどのメディア分散機が特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
導電材を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない帯電防止層を作製できる。
本発明において、帯電防止層は、上記導電材以外に有機化合物のバインダーを含有することが好ましく、該バインダーにより層のマトリックスを形成し、導電材を分散させることが好ましい。このため帯電防止層は、分散媒体中に導電材を分散した分散液に、好ましくは、バインダーまたはバインダー前駆体を添加して作製することが好ましい。バインダーまたはバインダー前駆体としては、非硬化系の熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のような硬化系樹脂等を用いることができる。
バインダーまたはバインダー前駆体の軟化温度又はガラス転移点は、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。
本発明において、帯電防止層は、分散液にバインダー前駆体(架橋又は重合性の官能基を有する化合物)に、光重合開始剤等を加えて帯電防止層形成用の塗料とし、透明支持体上に該帯電防止層形成用の塗料を塗布して、バインダー前駆体の架橋又は重合反応により硬化させて作製することが特に好ましい。バインダー前駆体である架橋又は重合性の官能基を有する化合物としては、電離放射線硬化性化合物が好ましく、例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなどが好ましい。
上記作製法において帯電防止層のバインダーは、架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物として形成される。さらに、帯電防止層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させて硬化させて形成することが好ましい。
このようにして作製した帯電防止層のバインダーは、例えば、上記の分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となり、アニオン性基が導電材の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、導電材を含有する帯電防止層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良できるので好ましい。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S、BP-100、BDMK、CTX、BMS、2-EAQ、ABQ、CPTX、EPD、ITX、QTX、BTC、MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、500、907、369、1173、2959、4265、4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F、KB1、EB3、BP、X33、KT046、KT37、KIP150、TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI、EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、帯電防止層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
紫外線照射には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
帯電防止層の架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有することが好ましい。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
アニオン性基は、連結基を介してバインダーの側鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
バインダーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋又は重合構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96モル%であることが好ましく、4〜94モル%であることがさらに好ましく、6〜92モル%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二つ以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋又は重合構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98モル%であることが好ましく、6〜96モル%であることがさらに好ましく、8〜94モル%であることが最も好ましい。
バインダーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋又は重合構造の双方を有していてもよい。バインダーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋又は重合構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
架橋又は重合しているバインダーは、帯電防止層形成用の塗料を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって作製することが好ましい。
帯電防止層における導電材の含有量は、帯電防止層の質量に対し30〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは50〜75質量%である。導電材は帯電防止層内で二種類以上を併用してもよい。
帯電防止層の好ましい塗布溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい塗布溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、又は、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
塗布溶媒は、その他の溶媒を含んでいてもよい。例えば、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
帯電防止層の形成は、特に帯電防止層を電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
帯電防止層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、帯電防止層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、帯電防止層と帯電防止層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
帯電防止層の膜厚は用途により適切に設計することができる。優れた透明性を有する帯電防止層を作製する場合、膜厚は20〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは40〜300nm、更に好ましくは60〜200nmである。
帯電防止層のヘイズ値(JIS K 7105)は、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。この場合のヘイズは平滑な透明支持体に帯電防止層のみを塗設・硬化することによって求めた値である。
帯電防止層は透明支持体の上に塗設され、塗設後の表面の中心線平均粗さRa2(他層のRaと区別するために、帯電防止層塗設後のRaをRa2と表現する)は0.02〜0.25μmであることが好ましく、0.04〜0.20μmがさらに好ましく、0.06〜0.17μmが最も好ましい。中心線表面粗さはJIS B 0601により測定できる。
帯電防止層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。このために帯電防止層がハードコート処理されていることも好ましい。
帯電防止層には、前記の成分(レベリング剤、導電材、重合開始剤、光増感剤、バインダーなど)以外に、樹脂、界面活性剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
(ハードコート層)
本発明におけるハードコート層について説明する。
ハードコート層は、透光性ポリマーからなるバインダーから形成される。このハードコート層には、防眩性を付与するために透光性微粒子を添加したり、表面抵抗値をさらに減少させるために導電性微粒子を添加したりしてもよい。また、高屈折率化または低屈折率化、架橋縮小防止、高強度化のために無機微粒子を添加してもよい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗料を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋又は重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、帯電防止層で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましい。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層は、帯電防止層の表面に、ハードコート層形成用の塗料を塗布することで構築する。
塗布溶媒としては、帯電防止層で例示したケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類であることが好ましい。特に、ケトン系溶媒を用いることで、例えば、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。
特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
塗布溶媒は、帯電防止層で例示したケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
ハードコート層が電離放射線硬化性の化合物の架橋又は重合反応により作製される場合、架橋又は重合反応は酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、物理強度(耐擦傷性など)や耐薬品性に優れたハードコート層を作製することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜7μm、特に好ましくは3〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層には、レベリング剤、重合開始剤、光増感剤、バインダーなど以外に、樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
防眩機能、液晶表示装置の視野角拡大機能を付与する目的で後述する平均粒径0.2〜10μmの透光性微粒子を含有することもできる。また、表面抵抗値を低下させ、液晶表示装置の防塵機能を付与する目的で平均粒径1μm以上導電性微粒子を含有することもできる。さらには、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で、後述する一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を添加することができる。
〈透光性微粒子〉
ハードコート層には、防眩性や内部散乱性付与の目的で、透光性微粒子を含有させることが好ましい。本発明において、「透光性」とは、光を透過させる性質を有するもの、又は屈折率を有するものと定義される。透光性微粒子としては、無機化合物の粒子および/又は有機高分子(樹脂)の粒子が挙げられる。
透光性微粒子の平均粒径は0.4〜20μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜12μm、更に好ましくは1.8〜6.0μmである。
そのうち、ハードコート層に防眩性を付与するための透光性微粒子(防眩性微粒子とも称する)の粒径は、0.8〜20μmであることが好ましく、より好ましくは1.6〜12μm、更に好ましくは2.4〜6μmであり、特に、ハードコート層の表面に凸形状を形成させるために、ハードコート層の厚みと同程度の粒子が好ましく、ハードコート層の厚みの0.3倍〜2.0倍の粒径であることがより好ましく、0.3倍〜1.4倍の粒径であることが更に好ましい。また、防眩性粒子の屈折率は、透光性バインダーマトリックスの屈折率との差がゼロであるか、又は0.05以下であることが好ましい。
一方、内部散乱性を付与する粒子(散乱粒子とも称する)は、内部散乱を起こすために、粒径は0.4μm以上で、屈折率は、透光性バインダーマトリックスの屈折率との差が0.05〜0.5のものであることが好ましい。屈折率差が0.05よりも小さいと、十分な散乱を起こさせるために多量の散乱粒子を添加する必要が生じ、好ましくない。
散乱粒子は、防眩性を付与する粒径であってもよく、または防眩性付与に寄与せず、防眩性層内に埋め込まれる粒子であってもよい。防眩性を高めすぎないために、ハードコート層の厚みよりも小さな粒径の粒子であることが好ましく、その粒径は0.4〜8.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜6.0μm、特に好ましくは1.8〜4.0μmである。
透光性微粒子において、2種類以上の粒子径の異なる透光性微粒子を用い、それらの混合を行なうことにより、表示品位に関わる視野角特性と外光の写り込みを各々独自に最適化することができ、透光性微粒子の混合比により細かい設定が可能となり、1種類の場合よりも制御が可能となり、様々な設計が容易とすることができ、好ましい。
透光性微粒子の屈折率としては、透光性微粒子以外の透光性バインダーマトリックスの屈折率との関係で選択すべきであり、先に示した透光性バインダーマトリックスの屈折率と好ましい屈折率差を満たす範囲の中で、1.40〜1.80の範囲にあることがより好ましい。また、単分散性が高いほど、拡散特性にばらつきが少なくなり、ヘイズの設計が容易となり好ましい。
透光性微粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子(例えば日本触媒(株)製シーホスタシリーズ 屈折率=1.43)、アルミナ粒子(例えば住友化学工業(株)製スミコランダムシリーズ 屈折率=1.64)、TiO2粒子等の無機化合物の粒子、あるいは ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体粒子(屈折率1.55)、架橋アクリル粒子(例えば綜研化学(株)製MXシリーズ 屈折率=1.49)、メラミン粒子(屈折率1.57)、架橋メラミン粒子、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン粒子(屈折率1.68)、架橋ベンゾグアナミン粒子(例えば日本触媒(株)製エポスターシリーズ 屈折率=1.68)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(例えば綜研化学(株)製SXシリーズ 屈折率=1.61)などの樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、シリカ粒子、特に架橋スチレン粒子が好ましい。透光性微粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できるが、表面突起形状が揃う真球状粒子がより好ましい。
また、異なる2種以上の透光性微粒子を併用して用いてもよい。素材種が2種類以上でも、粒径が2種類以上でも、その制限は無い。透光性微粒子の好ましい添加量はハードコート層中に、100〜1000mg/m2であり、より好ましくは300〜800mg/m2である。
<導電性粒子>
本発明の導電性ハードコートフィルムの場合、ハードコート層単独では導電性の機能がなくとも、下に形成された帯電防止層の効果でハードコート層上でも帯電防止効果のある表面抵抗値が測定される。尚、後述するように、低屈折率層はハードコート層に比べて非常に薄膜なため、ハードコート層上に更に低屈折率層を形成した本発明の反射防止フィルムも、その表面抵抗値等の帯電防止効果は劣化しない。より高い帯電防止性を得るには、ハードコート層は、膜面方向の体積抵抗率(PVH)が膜厚方向の体積抵抗率(PVV)より10倍若しくはそれ以上大きい(PVH≧10×PVV)異方導電性膜であることが好ましい。この場合、膜厚方向の体積抵抗率(PVV)は108Ω・cm以下が好ましい。膜厚方向の体積抵抗率が108Ω・cmを超えると最終的に得られるフィルムの帯電防止性が不十分となり好ましくない。ハードコート層を異方導電性とするために使用される導電性微粒子としては、金及び/又はニッケルで表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機ビーズやベンゾグアナミン・メラニン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体が好ましく、平均粒径はハードコート層平均膜厚の0.5倍以上1.5倍以下が好ましい。より好ましくは0.7倍以上1.2倍以下である。
<無機微粒子>
ハードコート層には、層の屈折率を高めるため、上記の透光性微粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、一次粒子の平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。
また逆に、高屈折率の透光性微粒子を用いた光拡散層では、透光性微粒子との屈折率差を大きくするためにバインダーの屈折率を低くしなければならない。このためにシリカ微粒子、中空シリカ微粒子を用いることも好ましい。好ましい粒径は前記の高屈折率化無機微粒子と同じである。
ハードコート層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、無機微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該無機微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
(低屈折率層)
本発明に用いられる低屈折率層は、含フッ素化合物を含有する。特に、含フッ素化合物を主体とする低屈折率層を構築することが好ましい。含フッ素化合物を主体とする低屈折率層は、通常反射防止フィルムの最外層として位置し、防汚層としての機能も有する。ここで、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層の中に含まれる構成成分のうち、含フッ素化合物の質量比が最も大きいことを意味し、含フッ素化合物の含有率が低屈折率層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましい。
低屈折率層の含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋又は重合反応により形成することが好ましく、該架橋または重合性の官能基は電離放射線硬化性および/または熱硬化性の官能基であることが好ましい。以下、低屈折率層に含まれる含フッ素化合物について記載する。
〈含フッ素化合物〉
低屈折率層に含まれる含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47、さらに好ましくは1.38〜1.45である。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素シラン化合物、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテルなどが挙げられる。
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの架橋又は重合反応により合成されたものが挙げられる。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが含まれる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位とフッ素原子を含まない繰り返し構造単位からなる共重合体も用いることができる。
上記共重合体は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーとフッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることができる。
フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物などが挙げられる。
含フッ素界面活性剤は、疎水性部分を構成する炭化水素の水素原子の一部または全部が、フッ素原子により置換されているもので、その親水性部分はアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性のいずれであってもよい。
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルとしては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
低屈折率層の含フッ素化合物としては、架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーが特に好ましい。架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーは、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物を架橋又は重合させることにより得られる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有さない含フッ素化合物に、架橋又は重合性の官能基を側鎖として導入することにより得ることができる。架橋又は重合性の官能基としては、光(好ましくは紫外線照射)、電子ビーム(EB)照射あるいは加熱などにより反応して含フッ素ポリマーが架橋又は重合構造を有するようになる官能基であることが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロールおよび活性メチレン等の基が挙げられる。架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物として、市販品を用いてもよい。
低屈折率層の含フッ素化合物は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位をからなる共重合体を主成分として含有することが好ましい。該共重合体由来の成分は最外層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。以下に、低屈折率層に用いられるのに好ましい上記共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%であり、特に好ましくは30〜50質量%である。
上記共重合体は(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を有する。(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)または(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位は、上記共重合体中に5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
上記共重合体には、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合させることもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式[9]で表されるものが挙げられる。
一般式[9]
Figure 2006337664
一般式[9]中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式[9]中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式[9]中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、透明支持体など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式[10]で表されるものが挙げられる。
一般式[10]
Figure 2006337664
一般式[10]中、X、x、yはそれぞれ一般式[9]と同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式[9]におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式[10]で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式[9]又は一般式[10]で表わされる共重合体の好ましい具体例として、特開2004−45462号公報の[0043]〜[0047]に記載されたものが挙げられる。また、一般式[9]又は一般式[10]で表わされる共重合体の合成法も該公報に詳しく記載されている。
本発明において、低屈折率層を作製するのに用いる組成物は、塗料の形態をとることが好ましく、含フッ素化合物を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが0.01〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層は、目的に応じて充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)、オルガノシラン化合物及びその誘導体、バインダー、レベリング剤等の添加剤を含有することができる。特に、充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのポリシロキサン化合物等)を添加することは好ましい。
以下に、低屈折率層に用いる好ましい充填剤、滑り剤等について記載する。
〈低屈折率層の好ましい充填剤〉
充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)を改良する点で、添加することが好ましい。低屈折率層に添加する充填剤としては無機微粒子が好ましく、中でも屈折率が低い二酸化珪素(シリカ)、中空のシリカ、細孔を有するシリカ、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)、中空シリカである。
充填剤の一次粒子の質量平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。低屈折率層において充填剤は、より微細に分散されていることが好ましい。充填剤の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、不定形状であることが好ましく、また、粒子構造として中空、細孔または微細空隙を有する構造であることがさらに好ましい。特に好ましい形状は、球形状、不定形状である。充填剤は、結晶質、非晶質のいずれでも良い。
充填剤は、分散液中あるいは塗料中で、分散安定化を図るために、あるいは低屈折率層の構成成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤による表面処理が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシ化合物(例、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。特に、シランカップリング剤処理が有効である。
充填剤の表面処理は、低屈折率層の塗料の調製前にあらかじめ表面処理を実施しておくことが好ましいが、カップリング剤による表面処理の場合、塗料の調製時に塗料中にカップリング剤を添加して実施することも好ましい。
充填剤は、媒体(溶媒など)中に予め分散されていることが好ましい。
充填剤の添加量は、低屈折率層の全質量に対し5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。少なすぎると物理強度(耐擦傷性など)の改良効果が減り、多すぎると低屈折率層が白濁することがある。
充填剤の平均粒径は、低屈折率層の膜厚に対し20〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%、特に好ましくは30%〜50%である。
低屈折率層に添加する充填剤が二酸化珪素微粒子の場合、中空の二酸化珪素微粒子を用いることが特に好ましい。中空の二酸化珪素微粒子は、屈折率が1.17〜1.45であることが好ましく、より好ましくは1.17〜1.40、さらに好ましくは1.17〜1.37である。ここで、中空の二酸化珪素微粒子の屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空の二酸化珪素微粒子を形成している外殻の二酸化珪素のみの屈折率を表わすものではない。中空の二酸化珪素微粒子を用いることで低屈折率層の屈折率を下げることができる。
この時、粒子内の空洞の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(1)で表される。
数式(1) x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは10〜60%が好ましく、20〜60%がさらに好ましく、30〜60%であることが最も好ましい。
充填剤は、2種類以上を併用して用いることも好ましい。また、平均粒子径が異なる粒子も併用して用いることができる。
〈低屈折率層の好ましい滑り剤〉
滑り剤は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、防汚性を改良する点で添加することが好ましい。
滑り剤としては、含フッ素エーテル化合物(パーフルオロポリエーテル、及び、その誘導体など)、ポリシロキサン化合物(ジメチルポリシロキサンなど)などが挙げられる。ポリシロキサン化合物が好ましい。
ポリシロキサン化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。
ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物中にはジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位(置換基)を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。
好ましい置換基の例としては(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
滑り剤の分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シロキサン化合物のSi原子含有量には特に制限はないが5質量%以上であることが好ましく、10〜60質量%であることが特に好ましく、15〜50質量%であることが最も好ましい。
特に好ましい滑り剤は、下記一般式[11]で表わされる架橋又は重合性の官能基を有する、ポリシロキサン化合物である。滑り剤であるポリシロキサン化合物は、低屈折率層形成組成物に添加された後、該ポリシロキサン化合物の架橋又は重合性の官能基が架橋又は重合することにより層中に導入することができる。
一般式[11]
Figure 2006337664
一般式[11]中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を表し、それぞれの基が複数ある場合それらは互いに同じであっても異なっていてもよく、R1、R3、R4のうち少なくとも一つの基が架橋又は重合性の官能基を表す。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、rは0≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われているポリシロキサン部分はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
本発明に用いられる低屈折率層は、一般式[11]で表わされる架橋又は重合性の官能基を有するポリシロキサン化合物と含フッ素化合物とを含む硬化性組成物から形成されることが好ましい。
ポリシロキサン化合物の含有量は、含フッ素化合物に対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
ポリシロキサン化合物において、好ましい架橋又は重合性の官能基は、低屈折率層(最外層)の他の構成成分(含フッ素化合物、バインダー、など)と架橋又は重合反応して結合を形成することができる官能基であればよく、例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等)、ラジカル種による架橋または重合が可能な不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、酸無水物、イソシアネート基、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの架橋又は重合性官能基は低屈折率層の構成成分に合わせて適宜選択される。好ましくは、電離放射線硬化性および/または熱硬化性の官能基である。
また、一般式[11]の架橋又は重合性の官能基は、含フッ素化合物が有する架橋又は重合性の官能基と架橋又は重合反応することが好ましく、特に好ましい官能基はカチオン開環重合反応性基(特に、エポキシ基、オキセタニル基など)、ラジカル重合反応性基(特に、(メタ)アクリロイル基)である。
一般式[11]のR2が表す置換基は、炭素数1〜20の置換又は無置換の有機基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基等)、フッ素化アルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)または炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、フッ素化アルキル基またはフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。こららはさらにこれらの基で置換されていてもよい。
一般式[11]のR1、R3またはR4が架橋又は重合性の官能基でない場合には、上記有機基をとることができる。
pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは10≦q≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦q≦400であり、特に好ましくは100≦q≦300である。rは0≦r≦500を満たす整数を表わし、好ましくは0≦r≦qであり、特に好ましくは0≦r≦0.5qである。
一般式[11]で表わされる化合物のポリシロキサン構造は、その繰り返し単位(−OSi(R22−)が単一の置換基(R2)のみで構成された単独重合体であっても、異なる置換基を有する繰り返し単位の組み合わせによって構成されたランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
一般式[11]で表わされる化合物の質量平均分子量は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105である。
一般式[11]で表されるポリシロキサン化合物は市販されているもの、例えば、KF-100T、X-22-169AS、KF-102、X-22-3701IE、X-22-164B、X-22-164C、X-22-5002、X-22-173B、X-22-174D、X-22-167B、X-22-161AS、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-170DX、X-22-176D、X-22-1821(信越化学工業(株)製)、AK-5、AK-30、AK-32(東亜合成化学(株)製)、サイラプレーンFM-0275、FM-0721、FM-0725、FM-7725、DMS-U22、RMS-033、RMS-083、UMS-182(チッソ(株)製)等を用いることもできる。また、市販のポリシロキサン化合物が含有する水酸基、アミノ基、メルカプト基等に架橋、又は、重合性官能基を導入することで作製することもできる。
以下に、一般式[11]で表わされる好ましいポリシロキサン化合物の好ましい具体例として特開2003−329804号公報の[0041]〜[0045]に記載されたものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式[11]で表わされるポリシロキサン化合物の添加量は、低屈折率層形成組成物の全固形分に対し、0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
〈低屈折率層及びその形成法〉
低屈折率層は、上記含フッ素化合物、さらに必要に応じて、上記充填剤、上記ポリシロキサン化合物を溶媒に溶解、又は、分散した塗料を塗布することにより作製することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
2種類以上の溶剤を併用することもできる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物であれば、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、含フッ素化合物を架橋又は重合反応させ、低屈折率層を作製することが好ましい。
含フッ素化合物が、ラジカルで架橋又は重合する官能基を有していれば、ラジカル重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。また、カチオンで架橋又は重合する官能基を有していれば、カチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するものが好ましい。特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、例えば紫外線など用いる化合物に応じた光の照射によって硬化させ、低屈折率層を作製することができる。
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光ラジカル重合開始剤も好ましく用いることができ、帯電防止層で記載した開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、含フッ素化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。さらには、これらの光重合開始剤と併用して光増感剤も好ましく用いることができ、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。市販の光増感剤も好ましく用いることができ、帯電防止層で記載した増感剤等が挙げられる。
バインダーは、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、最外層と隣接する層との密着性を改良する点で、添加することが好ましい。
含フッ素化合物が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーは含フッ素化合物と架橋又は重合する官能基を有するバインダーであることが好ましい。
特に、含フッ素化合物が、光架橋又は光重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーとして光架橋又は光重合性の官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、帯電防止層で記載したものが挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
低屈折率層は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と、一般式[11]で表されるポリシロキサン化合物、及び/又は、該架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物と架橋又は重合するバインダーとから形成される硬化物であることが好ましい。
低屈折率層は、含フッ素化合物、その他低屈折率層の構成成分を溶解あるいは分散させた塗料を、塗布と同時又は塗布後に、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させ、作製することが好ましい。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
低屈折率層の作製は、特に最外層を電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成する場合には、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
低屈折率層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、最外層と最外層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下の雰囲気で、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
低屈折率層の膜厚は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜150nm、特に好ましくは60〜120nmである。低屈折率層を防汚層として用いる場合、膜厚は3〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜35nm、特に好ましくは7〜25nmである。
低屈折率層は反射防止フィルムの物理強度を改良するために、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
また、低屈折率層の表面の水に対する接触角は後述する鹸化処理の前後で変わらないことが望ましく、鹸化処理の前後で変化量が10°以内であることが好ましく、特に好まし
くは5°以内である。
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
低屈折率層には、前記の成分(含フッ素化合物、重合開始剤、光増感剤、充填剤、滑り剤、バインダーなど)以外に、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50、更に好ましくは1.35〜1.48、特に好ましくは1.37〜1.45である。
低屈折率層には、後述の一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物、及び、その誘導体(加水分解物、および該加水分解物が縮合して生成した架橋ケイ素化合物など)からなる群から選ばれた化合物を含有することも好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明において、導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの各層に特に好ましく用いることができるオルガノシラン化合物について記載する。
本発明の導電性ハードコート層と反射防止層のうちの少なくとも1層には、層間密着力を強化するために、オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれか、いわゆるゾル成分(以降このようにも称する)を含有する。特に低屈折率層は、反射防止能と耐擦傷性を両立させるために、オルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを含有することが好ましく、導電層を含むハードコート層には、オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体としては、下記一般式(a)で表される化合物及び/又はその誘導体を用いることができる。好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するオルガノシラン化合物であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイルなど)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノなど)を含有するオルガノシラン化合物である。
一般式(a) (R10s−Si(Z)4-s
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6である。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表す。好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよい。
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。特に、架橋又は重合性の官能基が好ましく、エポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)が好ましい。またこれら置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(b)
Figure 2006337664
一般式(b)において、R11は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合、*−COO−**、*−CONH−**、*−O−**、又は*−NH−CO−NH−**を表し、単結合、*−COO−**、*−CONH−**が好ましく、単結合、*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。ここで、*は=C(R11)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
1は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
tは0または1を表す。tとして好ましくは0である。
10は一般式(a)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(a)、一般式(b)の化合物は、2種類以上を併用してもよい。
一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物としては、特開2004−331812号の段落〔0067〕〜〔0073〕に記載のM−1〜M−47の化合物を用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらの具体例の中で、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(M−12)、(M−25)、(M−26)、(M−31)、(M−32)、(M−39)、(M−42)が好ましく、(M−1)、(M−2)、(M−25)、(M−31)、(M−42)がより好ましく、(M−1)、(M−2)、(M−25)が特に好ましい。
本発明において、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の誘導体とは、一般式(a)、一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物、部分縮合物などを意味する。以下、本発明で用いるオルガノシラン化合物の好ましい誘導体(加水分解物及び/又は部分縮合物)について説明する。
オルガノシラン化合物の加水分解反応及び/又は縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒を塗料あるいは塗料の一部として用いることが好ましく、その他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1〜90質量%の範囲であり、好ましくは20〜70質量%の範囲である。
オルガノシラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明では、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式R13OH(式中、R13は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R14COCH2COR15(式中、R14は炭素数1〜10のアルキル基、R15は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR13p1(R14COCHCOR15p2、Ti(OR13q1(R14COCHCOR15q2、およびAl(OR13r1(R14COCHCOR15r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR13およびR14は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R15は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1およびr2は、それぞれ、p1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が低下するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が低下するおそれがあり好ましくない。
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体(加水分解物、部分縮合物)、さらに必要に応じて添加される金属キレート化合物などを含む組成物に、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加することが好ましい。
本発明では、一般式R14COCH2COR15で表されるβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が好ましく用いられ、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/又はアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の誘導体(加水分解物、部分縮合物等)などの縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。
β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を構成するR14及びR15は、前記金属キレート化合物を構成するR14及びR15と同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体の添加量は、添加する層により適宜調整される。添加量は層の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体は、これらを含有する層の他の成分と架橋又は重合反応することが、皮膜の物理強度(耐擦傷性など)を極めて向上させることが可能となるので、好ましい。このため、オルガノシラン化合物が架橋又は重合する官能基を有したり、無機微粒子やバインダーなどにオルガノシラン化合物と架橋又は重合する官能基を有する化合物用いたりすることが好ましい。
例えば、電離放射線硬化性の架橋又は重合性の官能基を有するオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体は、さらに、皮膜中の電離放射線硬化性の架橋又は重合性の官能基を有する他の化合物と架橋又は重合反応して硬化物を生成する。
オルガノシラン化合物を添加するのに好ましい層は、帯電防止層、ハードコート層、防眩層、光拡散層、高屈折率層、低屈折率層、最外層であり、より好ましくはハードコート層、防眩層、光拡散層、低屈折率層、最外層であり、特に好ましくは最外層及び/又は該最外層の隣接層である。
さらに支持体上の各層に無機フィラーを添加することが好ましい。各層に添加する無機フィラーはそれぞれ同じでも異なっていても良く、各層の屈折率、膜強度、膜厚、塗布性などの必要性能に応じて、種類、添加量は調節されることが好ましい。
本発明に使用する無機フィラー形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられるが、球状が分散性がよくより好ましい。また、無機フィラーの種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNi等が挙げられる。無機フィラーの平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm、さらに好ましくは0.001〜0.06μmである。ここで、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
本発明における無機フィラーの使用方法は特に制限されるものではないが、例えば、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。
本発明において、無機フィラーの凝集、沈降を抑制する目的で、分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤および、前記一般式(a)または(b)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物も含め、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特にシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。分散安定化剤としてのシランカップリング剤の添加量は特に制限されるものではないが、例えば、無機フィラー100質量部に対して、1質量部以上の値とするのが好ましい。また、分散安定化剤の添加方法も特に制限されるものではないが、予め加水分解したものを添加することもできるし、あるいは、分散安定化剤であるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合後、さらに加水分解および縮合する方法を採ることができるが、後者の方がより好ましい。
また本発明の前記一般式(a)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物は、無機フィラーの分散安定化剤として用いられる以外に、さらに各層のバインダー構成成分の一部として、塗布液調製時の添加剤としても用いることが好ましい。
(導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムの形成法等)
本発明において導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムを構成する各層は、塗布法により作製したものが好ましい。塗布で形成する場合、各層はディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2,681,294号明細書記載)により作製することができる。2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号の各明細書および原崎勇次著、「コーティング工学」、253頁、朝倉書店(1973年)に記載がある。エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法が好ましい。特に、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法が好ましい。
エクストルージョンコート法は、ダイコート法とも呼ばれ、ダイコーターは、バックアップロールに支持されて連続走行するウェブに対して、スロットダイから塗布液をビードにして塗布することにより、ウェブ上に塗膜を形成することのできる方式である。
スロットダイの内部にはポケットが形成されている。ポケットは、スロットダイの幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケットへの塗布液の供給は、スロットダイの側面から、又はスロット開口部とは反対側の面の中央から行うことが望ましい。
スロットは、ポケットからウェブへの塗布液の流路であり、ポケットと同様にスロットダイの幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部は、一般に、幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロットのスロット先端における、バックアップロールのウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロットの開口部が位置するスロットダイの先端リップは、先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部とされている。このランドであって、スロットに対してウェブの走行方向の上流側を上流側リップランド、下流側を下流側リップランドと称する構造を有しているコーターが好ましい。
マイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を支持体に転写させて塗工することを特徴とする塗布法である。
マイクログラビアコート法では、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、より好ましくは100〜300本/インチである。グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、より好ましくは5〜200μmである。グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、より好ましくは5〜200rpmである。支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、より好ましくは1〜50m/分である。
(導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルム)
本発明の導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で最外層を有する側の表面を移動させたときの、最外層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
さらに導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムは、防汚性能を改良するために、最外層を有する側の表面の水に対する接触角が80゜以上であることが好ましい。更に好ましくは90゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
本発明に係る導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムのヘイズは、0.5〜60%であることが好ましく、1〜50%であることがさらに好ましく、1〜40%であることが最も好ましい。
本発明の導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムの反射率は低いほど好ましく、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。
(反射防止フィルムの構成)
本発明の反射防止フィルムの構成例を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限るものではない。
図1は、本発明の反射防止フィルムの一例を模式的に示す概略断面図であり、この場合、反射防止膜は、透明支持体1、帯電防止層2、ハードコート層3、そして屈折率が最も低い低屈折率層4の順序の層構成を有する。ハードコート層3には、導電性微粒子5が分散しており、ハードコート層3の導電性微粒子5以外の部分の素材の屈折率は1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層4の屈折率は1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明においてはハードコート層は防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層乃至4層で構成されていてもよい。同様に低屈折率層においても1層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
本発明の導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムは、帯電防止層のみ、または帯電防止層とハードコート層の両層にレベリング剤を有する。これにより、界面の密着性、面状均一性、および高速塗布適性が向上し、生産性を高め高品位の製品を得ることができる。
レべリング剤としては、少なくとも1種の上記一般式[1]で表されるモノマーに相当する重合単位を含むポリマーおよび/または少なくとも1種の上記一般式[2]で表される重合単位を含むポリマーが好適である。
図1に示す態様では透明支持体1、帯電防止層2、低屈折率層4は、以下の関係を満足する屈折率を有する。すなわち、帯電防止層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
図1のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、帯電防止層が下記数式(2)、低屈折率層が下記数式(3)をそれぞれ満足することがさらに優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムとすることができる点で好ましい。
数式(2) (m8λ/4)×0.7<n88<(m8λ/4)×1.3
数式(2)中、m8は正の整数(一般に1、2または3)であり、n8は帯電防止層の屈折率であり、そして、d8は帯電防止層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
数式(3) (m9λ/4)×0.7<n99<(m9λ/4)×1.3
数式(3)中、m9は正の奇数(一般に1)であり、n9は低屈折率層の屈折率であり、そして、d9は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長であり、380〜680(nm)の範囲の値である。
なお、図1に示した態様は、防眩性に優れた反射防止フィルムである。
(偏光板用保護フィルム)
本発明の導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いることができる。この場合、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。さらに好ましくは30°以下であり、特に好ましくは25°以下である。接触角を40°以下にすることは、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。この接触角は下記の鹸化処理の処理条件により調整することができる。
偏光板用保護フィルムとして用いる導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(帯電防止層/ハードコート層、または帯電防止層/ハードコート層/低屈折率層)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(帯電防止層/ハードコート層、または帯電防止層/ハードコート層/低屈折率層)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法。
上記(1)の手法において、透明支持体の一方の面のみが鹸化処理されている場合、各層は鹸化処理されていない側に塗設する。透明支持体の両方の面が鹸化処理されている場合、各層を塗設する側の鹸化処理した透明支持体の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理などの手法により表面処理し、その後、各層を塗設することが好ましい。
上記(2)において、導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルム全体を鹸化液に浸漬することが好ましい。この場合、導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムは各層を有する側の表面を保護フィルムで保護して鹸化液に浸せきし、偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面を鹸化処理することもできる。
さらにまた、導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理することもできる。
鹸化処理は、保護フィルムの上にハードコート性能および/または反射防止性能を付与した後に実施することで、よりコストを削減でき、特に(2)の手法が、偏光板用保護フィルムを安価に製造できる点で好ましい。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性(耐湿熱性、耐光性)、防塵性能において、本発明の帯電防止性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
従って、最外層を有する側の表面の表面抵抗値が1×1012Ω/□以下であることが好ましく、1×1010Ω/□以下であることがより好ましく、1×108Ω/□以下であることが更に好ましい。
最外層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、最外層を有する側の表面の水に対する接触角は90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
(鹸化処理)
上記の鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に透明支持体、又は、反射防止フィルムを適切な時間浸漬して実施するのが好ましい。
アルカリ液は、水酸化カリウム水溶液、及び/又は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは25゜以下である。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、上記のように、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。
本発明の導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、ハードコート性能および/または反射防止性能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを2枚の保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムをもう一方に用いた偏光板は、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角を非常に広げることができるので、好ましい。
(光学補償フィルム)
上記光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック化合物とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向で変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。すなわち、ディスコティック構造単位を有する化合物の配向状態としては、例えば、ハイブリッド配向、ベント配向、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向等であることが好ましく、ハイブリッド配向であることが特に好ましい。該角度は、光学異方性層中で光学補償フィルムの支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と光学補償フィルムの透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の一軸性を有し、且つ該透明支持体面の法線方向に光軸を有する態様、更に下記の条件を満足する態様も好ましい。
20≦{(nx+ny)/2−nz}×d≦400
式中、nxは面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、nzは面に垂直方向の屈折率である。また、dは光学異方性層の厚さ(nm)である。
(画像表示装置)
導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムは、それぞれ導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
本発明に用いる導電性ハードコートフィルム、反射防止フィルムおよび偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、上記の光学補償フィルムと反射防止フィルムを保護フィルムとして有する偏光板を用いることで、視野角特性と反射防止特性を大幅に改良できる。
また、さらに市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、透過型または半透過型の液晶表示装置において、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
(レベリング剤の調製)
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」および「%」は質量基準である。
(フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)の合成)
Figure 2006337664
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート 31.94g、ノルボルニルアクリレート 7.99g、ジメチル2,2'−アゾビスイソブチレート1.1g、2−ブタノン 30gを加え窒素雰囲気下で6時間78℃に加熱して反応を完結させ、P−3を得た。質量平均分子量は2.0×104であった。
(フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−6)の合成)
Figure 2006337664
1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート 23.96g、イソボルニルメタクリレート 15.97g、ジメチル2,2'−アゾビスイソブチレート1.1g、2−ブタノン 30gを用いてフルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)と同様な方法で(P−6)を得た。質量平均分子量は2.9×104であった。
(シリコーンポリマー(P−8)の合成)
Figure 2006337664
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、サイラプレーンFM−0721(チッソ(株)製)31.94g、ブチルメタクリレート7.99g、ジメチル2,2'−アゾビスイソブチレート 1.1g、2−ブタノン 30gを加え窒素雰囲気下で6時間78℃に加熱して反応を完結させた。質量平均分子量は2.9×104であった。
(帯電防止層用塗料AS−1〜4の調製)
・市販のATO分散ハードコート剤(日本ぺルノックス(株)製、固形分:45%、商品名:ペルトロンC−4456−S7): 100質量部
・シクロヘキサノン: 30質量部
・メチルエチルケトン: 10質量部
・シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−5103): 1.5質量部
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌した後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗布液(AS−1〜4)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液AS−1にはレベリング剤を添加せず、同量のシクロヘキサノン/メチルエチルケトン3:1混合液を添加した。
(ハードコート層用塗料HC−1〜4の調製)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製): 25.4質量部
・メチルイソブチルケトン: 40.0質量部
・プロピレングリコール: 6.3質量部
重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):
1.3質量部
・シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製):
5.2質量部
・セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル(株)製、分離量:40,000): 0.50質量部
・架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536、平均粒径3.5μm)の30%メチルイソブチルケトン分散液:
21.0質量部
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗料(HC-1〜4)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液HC-1にはレベリング剤を添加せず、同量のメチルイソブチルケトン/プロピレングリコール40:6.3混合液を添加した。
(ハードコート層用塗料HC−5〜8の調製)
・市販のジルコニア超微粒子分散ハードコート剤(JSR(株)製、固形分:50%、屈折率:1.69、商品名:KZ7973): 100質量部
・導電性粒子(金およびニッケルでメッキした平均粒径5μmのベンゾグアナミン・メラニン・ホルムアルデヒド縮合物球状粉体、日本化学工業(株)製、商品名:ブライト20GNR4.6−EH): 0.1質量部
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌した後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して導電性ハードコート層用塗布液(HC−5〜8)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液HC−5にはレベリング剤を添加せず、同量の上記市販ハードコート剤を添加した。
(ハードコート層用塗料HC−9〜12の調製)
・ポリスチレンビーズ(平均粒子径:3.5μm): 14重量部
・市販の紫外線硬化型樹脂(アクリレート系モノマー): 100重量部
・ベンゾフェノン系光重合開始剤: 5重量部
・チクソトロピー剤(シリカ): 2.5重量部
・トルエン: 総固形分が32重量%となるように計量して混合
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌してハードコート層用塗布液(HC−9〜12)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液HC−9にはレベリング剤を添加せず、同量のトルエンを添加した。
(ハードコート層用塗料HC-13〜16の調製)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製): 25.4質量部
・メチルイソブチルケトン: 40.0質量部
・プロピレングリコール: 6.3質量部
重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):
1.3質量部
・シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製):
5.2質量部
・セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル(株)製、分離量:40,000): 0.50質量部
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗料(HC-13〜16)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液HC-13にはレベリング剤を添加せず、同量のメチルイソブチルケトン/プロピレングリコール40:6.3混合液を添加した。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗料Ln−1〜4の調整)
・ポリシロキサンおよび水酸基を含有する熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、屈折率:1.44、JSR(株)製): 13質量部
・コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製): 1.3質量部
・前記ゾル液a: 0.6質量部
・メチルエチルケトン: 5質量部
・シクロヘキサノン: 0.6質量部
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(Ln−1〜4)を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液Ln−1にはレベリング剤を添加せず、同量のメチルエチルケトン/シクロヘキサノン5:0.6混合液を添加した。
(溶液Aの調製)
テトラメトキシシラン30gとメタノール240gを4つ口反応フラスコに入れ、液温を30℃に保ちながら攪拌し、次いで、これに水6gに硝酸2gを加えた水溶液を加えて30℃で5時間攪拌し、シロキサンオリゴマーのアルコール溶液(溶液A)を得た。シロキサンオリゴマーのGPCによるエチレングリコール/ポリエチレンオキサイド換算の相対分子量は950であった。
(溶液Bの調製)
別途、4つ口反応フラスコにメタノールを300g入れた後、シュウ酸30gを攪拌しながら混合した。この溶液を加熱し還流させながらテトラメトキシシラン30g及びトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン8gを滴下し5時間還流下で加熱した後、冷却し、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物の溶液(溶液B)を得た。
(低屈折率総用塗料Ln−5〜8の調製)
・溶液A: 30質量部
・溶液B: 100質量部
・酢酸ブチル: 総固形分が1重量%となるように計算して混合
・レベリング剤: 総塗布液量の0.3重量%となるように計算して混合
上記混合液を攪拌して、低屈折率層用塗布液(Ln−5〜8)を調製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液Ln−5にはレベリング剤を添加せず、同量の酢酸ブチルを添加した。
(低屈折率層用塗料Ln−9〜12の調製)
Si(OC254を95mol%、C37―(OC3624―O―(CF22―C24―O―CH2Si(OCH33を5mol%、レベリング剤0.3mol%で混合したマトリックスに対して、中空シリカゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)を50wt%添加し、1.0N−HClを触媒に用いた低屈折率層用塗料(Ln−9〜12)を作製した。
レベリング剤として添加する化合物は、表1に記載した。なお、塗布液Ln−9にはレベリング剤を添加せず、同量のマトリックスを添加した。
Figure 2006337664
以下に、使用したレべリング剤A〜Cを示す。
レベリング剤A:本文明細書記載のフルオロ脂肪族含有ポリマー(P−3)
レベリング剤B:本文明細書記載のフルオロ脂肪族含有ポリマー(P−6)
レベリング剤C:本文明細書記載のフルオロ脂肪族含有ポリマー(P−6)と前記で合成したシリコーン系ポリマー(P−8)を、それぞれ質量比9:1で混合したもの。
[サンプル1〜28]
帯電防止層用塗料AS−1〜4およびハードコート層用塗料HC−1〜16を表2のように組合わせて導電性ハードコートフィルム(サンプル1〜28)を作成した。それぞれの導電性ハードコートフィルムの硬化乾燥条件は以下に示す。また、得られた導電性ハードコートフィルムの外観面状評価、平均積分反射率、スチールウール耐擦傷性評価、および表面抵抗値を表4に示す。
(導電性ハードコートフィルムの作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻きだして、上記帯電防止層用塗料を塗布し、70℃にて1分間乾燥させた後、紫外線照射(100mJ)により硬化処理して、厚さ約0.2μmの帯電防止層を作製した。
帯電防止層の上に、ハードコート層用塗料を塗布し、熱処理および紫外線照射による硬化処理を施して、厚さ約5μmの導電性ハードコートフィルムを作製した。なお、熱処理および硬化処理の条件は、サンプル1〜7では30℃15秒間、90℃20秒間乾燥、窒素パージ下で90mJ紫外線照射/サンプル8〜14では70℃1分間乾燥、窒素パージ下で120mJ紫外線照射/サンプル15〜21では120℃5分間乾燥、窒素パージ下で紫外線照射/サンプル22〜28では120Wのメタルハライドランプを20cmの距離から10秒照射した。
Figure 2006337664
[サンプル29〜80]
帯電防止層用塗料AS−1〜4、ハードコート層用塗料HC−1〜16および低屈折率層用塗料Ln−1〜12を表3のように組合わせて、導電性機能付き反射防止フィルム(サンプル29〜80)を作成した。それぞれの反射防止フィルムの硬化乾燥条件は以下に示す。また、得られた反射防止フィルムの外観面状評価、平均積分反射率、スチールウール耐擦傷性評価、および表面抵抗値を表4に示す。
(反射防止フィルムの作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻きだして、上記帯電防止層用塗料を塗布し、70℃にて1分間乾燥させた後、紫外線照射(100mJ)により硬化処理して、厚さ約0.2μmの帯電防止層を作製した。
帯電防止層の上に、ハードコート層用塗料を塗布し、熱処理および紫外線照射による硬化処理を施して、厚さ約5μmの帯電防止層/ハードコート層積層体を形成し、巻き取った。なお、熱処理および硬化処理の条件は、サンプル1〜7では30℃15秒間、90℃20秒間乾燥、窒素パージ下で90mJ紫外線照射/サンプル8〜14では70℃1分間乾燥、窒素パージ下で120mJ紫外線照射/サンプル15〜21では120℃5分間乾燥、窒素パージ下で紫外線照射/サンプル22〜28では120Wのメタルハライドランプを20cmの距離から秒照射した。
上記機能層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗料を塗布し、熱処理および硬化処理を施して厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。なお、熱処理および硬化処理の条件は、サンプル29〜42、57〜68では120℃150秒間、140℃8分間乾燥、窒素パージ下で300mJ紫外線照射/サンプル43〜49、69〜74では90℃1時間乾燥である。
サンプル50〜56、75〜80の場合、低屈折率層塗布前に、上記機能層を形成したトリアセチルセルロースフィルムを、50℃に加熱した1.5N−NaOH水溶液に2分間浸漬しアルカリ処理を行い、水洗後、0.5wt%−H2SO4水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥を行った。上記表面処理を行った機能層を形成したトリアセチルセルロースフィルム上に低屈性率層用塗料を膜厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥を行うことにより、低屈折率層を形成した。
Figure 2006337664
導電性ハードコートフィルム(実施例1〜12、比較例1〜16)反射防止フィルム(実施例13〜36、比較例17〜44)を作成した。得られた反射防止フィルムの外観面状評価、平均積分反射率、スチールウール耐擦傷性評価を表4、表5に示す。
(導電性ハードコートフィルムおよび反射防止フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を前記表4に示した。
(1)外観面状評価(光学的面状の目視評価)
フィルムを、1)三波長蛍光灯下での透過面状検査、ならびに2)機能層塗布面と反対側に油性黒インキを塗り、三波長蛍光灯下での反射面状検査を行って、面状の均一性(風ムラ、乾燥ムラ、塗布スジムラなどがないこと)を詳細に評価した。
1:面状劣悪
2:目標未達
3:まだ改良を要す
4:かなり良好
5:極めて良好
(2)平均積分反射率
フィルムをクロスニコルの偏光板に貼り合わせた後、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。それぞれの機能層の屈折率と膜厚が等しいとき、機能層間の界面の親和性が悪いと、微視的なムラが生じて、結果、積分反射率が上昇する。
(3)スチールウール耐擦傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
異動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、次の7段階の基準で評価した。
0:耐擦傷性低い
1〜2:目標未達
3:許容
4〜5:良好
6〜7:かなり良好〜極めて良好
(4)表面抵抗値の評価
導電性ハードコートフィルムならばハードコート層(最外層)、反射防止フィルムならば低屈折率層(最外層)を有する側の表面の表面抵抗値を、超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)を用いて、25℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
Figure 2006337664
Figure 2006337664
Figure 2006337664
上記表4および表5に示した結果をまとめると以下の通りであった。
表4および表5の結果から、透明支持体/帯電防止層/ハードコート層の層構成において、少なくとも帯電防止層にレベリング剤を添加すると、良好な外観面状およびスチールウール耐擦傷性、低い積分反射率、および低表面抵抗が得られることが分かる。また実施例内でレベリング剤の効果を比較すると、ω―Hフルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−3)と(P−6)の中ではイソボルニルを含有するコポリマーを有する化合物(P−6)の方が、全体的に評価結果が優れている。一方、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−6)よりは、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(P−6)とシリコーン系ポリマー(P−8)との混合物の方が、全体的に評価結果が優れていることが分かる。
(画像表示装置の評価)
実施例1〜12の導電性ハードコートフィルム、実施例13〜36の反射防止フィルムを、画像表示装置(TN、STN、IPS、VA、又はOCBのモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置、及び、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)、陰極管表示装置(CRT))のディスプレイ面に装着した。本発明の反射防止フィルムを用いた画像表示装置は、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
さらにまた、切断面の面積が100μm2以上の凹は存在せず、画素サイズが100ppi(100ピクセル/インチ:長さ1インチ当たりに100画素がある)における画像表示装置におけるギラツキ故障の発生が無かった。
(偏光板の作製−1)
<偏光板用保護フィルムの作製>
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。さらに、0.005mol/lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜12の導電性ハードコートフィルム、実施例13〜36の反射防止フィルムにおいて、導電性ハードコートフィルムではハードコート層、反射防止フィルムでは低屈折率層(最外層)を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄して、100℃で十分に乾燥させた。
導電性ハードコートフィルムではハードコート層、反射防止フィルムでは低屈折率層(最外層)を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明支持体の表面の水に対する接触角を評価したところ、40°以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
<偏光板保護フィルムの貼り合わせ>
特開2002−86554号公報に記載の偏光膜の一方の面に、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として用いて、本発明の導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フイルム(株)製フジタック、レターデーション値3.0nm)を同じ接着剤を用いて貼り合わせた。このようにして、本発明の偏光板を作製した。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(偏光板の作製−2)
光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)の、光学異方性層を有する側とは反対側の表面を上記偏光板の作製−1と同様の条件で鹸化処理した。
<偏光板保護フィルムの貼り合わせ>
特開2002−86554号公報に記載の偏光膜の一方の面に、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として用いて、偏光板の作製−1で鹸化処理した、本発明の導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルムの鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記の鹸化処理した光学補償フィルムを同じ接着剤を用いて貼り合わせた。このようにして、本発明の偏光板を作製した。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が広く、さらに、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
特に、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル−ポリスチレン粒子、架橋PMMA粒子、シリカ粒子による透過光の光散乱効果により、下方向の視野角が顕著に広がり、左右方向の黄色味が改善されていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(画像表示装置の評価)
実施例1〜12の導電性ハードコートフィルム、実施例13〜36の反射防止フィルムを、有機EL表示装置に装着したところ、反射防止性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れていた。
また、偏光膜の一方の面に上記偏光板作製−1で鹸化処理した導電性ハードコートフィルムまたは反射防止フィルム、もう一方の面にλ/4板を具備した偏光板を上記偏光板作製−1と同様の方法で作製した。上記の偏光板を有機EL表示装置に装着したところ、偏光板を貼ったガラス表面からの光の反射もカットされ、極めて視認性の高い表示装置が得られた。
本発明の反射防止フィルムの構成例を示す模式図である。
符号の説明
1 透明支持体
2 帯電防止層
3 ハードコート層
4 低屈折率層
5 導電性微粒子

Claims (12)

  1. 透明支持体上に、透明支持体側から帯電防止層およびハードコート層の2層の機能層が順次積層してなり、前記の2層のうち少なくとも帯電防止層に、少なくとも1種のレベリング剤を含有することを特徴とする導電性ハードコートフィルム。
  2. 該レベリング剤が、フッ素含有化合物および/またはケイ素含有化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の導電性ハードコートフィルム。
  3. 請求項2のレベリング剤が、下記一般式[1]で表されるモノマーに相当する重合単位を含むポリマー、および/または、下記一般式[2]で表される重合単位を含むポリマーからなることを特徴とする導電性ハードコートフィルム。
    一般式[1]
    Figure 2006337664
    (上記一般式[1]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R2)−を表し、Yは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上18以下の整数を表す。ここで、R2は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
    一般式[2]
    Figure 2006337664
    (上記一般式[2]において、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基またはアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。)
  4. 該レベリング剤を、帯電防止層およびハードコート層の両層に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
  5. 該帯電防止層が、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、および五酸化アンチモンのうちいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
  6. 該ハードコート層が防眩性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
  7. 該ハードコート層が導電性微粒子を含有し、該導電性微粒子の平均粒径がハードコート層の平均膜厚の0.5倍以上1.5倍以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
  8. 該ハードコート層の表面抵抗値が1.0×1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム。
  9. 前記導電性ハードコートフィルムの上に、屈折率が、透明支持体、帯電防止層、およびハードコート層のいずれの屈折率よりも低い値を有する低屈折率層を積層することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  10. 該低屈折率層が熱硬化性および/または電離放射線硬化性の官能基を有する含フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項9に記載の反射防止フィルム。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム、または請求項9および10のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光板保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ハードコートフィルム、請求項9および10のいずれかに記載の反射防止フィルム、または請求項11に記載の偏光板を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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