JP2013073984A - 電解コンデンサの電極用の焼結体シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持箔表面に電極用の弁作用金属粉末焼結体を設ける積層体の場合、箔と粉末との間で焼結ひずみが生じやすく、積層体がそったり、または粉末焼結部分に亀裂や剥離が発生したりする。一方、支持箔を省いた焼結体ではもろいシートになりやすい。このような焼結ひずみを解消しながら、焼結体の弾性を高める電解コンデンサ電極用の焼結体シートと製造方法を提供する。
【解決手段】弁作用金属粉末にはポリイミド粉末が含有されている。製造方法では、弁作用金属粉末とポリイミド粉末等を混合して造粒し、仮成形後、脱脂、真空チャンバ8内を排気し加圧後、電源装置5と電極3、4を介して放電プラズマ焼結を行う。
【選択図】図1
【解決手段】弁作用金属粉末にはポリイミド粉末が含有されている。製造方法では、弁作用金属粉末とポリイミド粉末等を混合して造粒し、仮成形後、脱脂、真空チャンバ8内を排気し加圧後、電源装置5と電極3、4を介して放電プラズマ焼結を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、電解コンデンサの電極用の焼結体シートおよびその製造方法に関するものである。
一般に電解コンデンサ用の電極材には、単位面積当たりの静電容量を高めるため、電気化学的または化学的にエッチング処理することにより、エッチングピットを形成したエッチング箔の表面に、化成により酸化皮膜を設けるタイプと、粉末を電極用に焼結し、化成により酸化皮膜を設けるタイプとがある。ところで、エッチング箔のエッチングピットの深さの限界や、エッチング処理を省けるメリットから、特許文献1のように、支持箔表面に電極用の粉末焼結体を設ける電極シートの提案が盛んになってきている。この作成方法による電極シートは、アルミニウムの支持箔表面にペースト状にしたアルミニウム粉末を塗布するなどして層状に堆積させ、これを焼結することによって得られている。
支持箔表面に電極用の粉末焼結体を設ける積層体の場合、箔と粉末との間で焼結ひずみが生じやすく、積層体がそったり、波うったり、または粉末焼結部分に亀裂や剥離が発生したりする場合がある。一方、支持箔を省いて粉末を焼結した場合には、もろいシートになりやすい。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、焼結ひずみを解消しながら、焼結体の弾性を高める電解コンデンサの電極用の焼結体シートを得ることを目的としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、下記の電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シートおよびその製造方法を提供するものである。
(1)弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シート。
(2)弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している顆粒組成物を得る工程と、その顆粒組成物を放電プラズマ焼結により焼結する焼結工程とを有する電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シートの製造方法。
(1)弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シート。
(2)弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している顆粒組成物を得る工程と、その顆粒組成物を放電プラズマ焼結により焼結する焼結工程とを有する電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シートの製造方法。
本発明は、弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有しているので、焼結体の弾性を高めた電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シートを得ることができる。
本発明に述べる弁作用金属粉末は、アルミニウム、タンタルなどの弁作用を有する金属の少なくとも1種から構成される。純度は、99.8質量%以上好ましくは99.9質量%以上で、例えば、珪素、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、チタン、クロム、亜鉛、ガリウム、バナジウム、ニッケル及びホウ素の少なくとも1種の合金元素を必要範囲内において添加した合金あるいは上記の不可避的不純物元素の含有量を限定したものも含まれる。
弁作用金属粉末の形状は、特に限定されず、球状、不定形状、鱗片状、繊維状等のいずれも使用できるが、粉末の平均粒径は0.1μm以上30μm以下、特に1μm以上10μm以下が好ましい。平均粒径が0.1μmより小さいと、所望の耐電圧が得られないおそれがある。また、30μmより大きいと、所望の静電容量が得られない場合がある。
弁作用金属粉末の形状は、特に限定されず、球状、不定形状、鱗片状、繊維状等のいずれも使用できるが、粉末の平均粒径は0.1μm以上30μm以下、特に1μm以上10μm以下が好ましい。平均粒径が0.1μmより小さいと、所望の耐電圧が得られないおそれがある。また、30μmより大きいと、所望の静電容量が得られない場合がある。
本発明に述べるポリイミド粉末は、芳香族のポリイミド樹脂の粉末で、平均粒径が0.1μm以上30μm以下、特に0.3μm以上10μmが好ましい。平均粒径が0.1μmより小さいと取り扱いが困難でまた、30μmより大きいと、弁作用金属粉末に添加しても焼結体の弾性を高められない場合のほか、所望の静電容量が得られない場合がある。
本発明に述べる放電プラズマ焼結は、加圧しながら粉末にパルス状の電流を直接通電させることで、粒子間に火花放電とプラズマ発生を引き起こさせ粉末を多孔質に焼結させるものである。多孔質の度合いは、空孔率として30%以上70%以内の範囲内で設定するのが電解コンデンサ用として好ましい。
放電プラズマ焼結の加工は、まず、炭素材からなる筒状の成形ダイと上下のパンチの間の成形型内に焼結される粉末を充填セットし、次に、2MPaから10MPa程度で加圧して仮成形後、成形型を加熱しバインダや揮発分を蒸発させる。次に、真空度を3Paから7Pa程度に減圧排気し、パンチにより40MPaから60MPa程度で加圧した後、成形ダイの材料装入部付近の温度が焼結できる程度になるまで通電し、この温度で3分から7分間程度保持して通電を停止して、焼結を終了する。
得られた焼結体は、化成処理によって焼結体の表面全体に誘電体である酸化皮膜を形成する。化成処理は、一般的な化成処理方法が利用でき、たとえば、沸騰した純水中に浸漬し、表面に擬似ベーマイトを形成する。次に、ホウ酸、リン酸等の無機酸イオンや、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカルボン酸等の有機酸イオンを含む水溶液中に積層箔を浸漬し、所定の電圧を印加し、陽極酸化を行う。その後、熱処理、減極処理、陽極酸化を繰り返し、その後、洗浄、乾燥して化成工程を終了する。
放電プラズマ焼結の加工は、まず、炭素材からなる筒状の成形ダイと上下のパンチの間の成形型内に焼結される粉末を充填セットし、次に、2MPaから10MPa程度で加圧して仮成形後、成形型を加熱しバインダや揮発分を蒸発させる。次に、真空度を3Paから7Pa程度に減圧排気し、パンチにより40MPaから60MPa程度で加圧した後、成形ダイの材料装入部付近の温度が焼結できる程度になるまで通電し、この温度で3分から7分間程度保持して通電を停止して、焼結を終了する。
得られた焼結体は、化成処理によって焼結体の表面全体に誘電体である酸化皮膜を形成する。化成処理は、一般的な化成処理方法が利用でき、たとえば、沸騰した純水中に浸漬し、表面に擬似ベーマイトを形成する。次に、ホウ酸、リン酸等の無機酸イオンや、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカルボン酸等の有機酸イオンを含む水溶液中に積層箔を浸漬し、所定の電圧を印加し、陽極酸化を行う。その後、熱処理、減極処理、陽極酸化を繰り返し、その後、洗浄、乾燥して化成工程を終了する。
本発明に述べる顆粒組成物は、弁作用金属粉末とポリイミド粉末との混合粉末を固め、大きな粒に成形したもので、プレードライ法、転動造粒法、流動層造粒法など通常の造粒法が用いられる。たとえば、プレードライ法の場合、上記の弁作用金属粉末とポリイミド粉末との混合粉末と、バインダとしてパラフィンワックス、カンファーまたは高級脂肪酸等のバインダを有機溶媒中に分散させた後、スプレードライヤーにかけスプレードライすることにより、粉末直径が0.1μmから数10μmの粒子を、10μmから数100μmに増粒する。10μm未満だと取り扱いが不便となる。1000μmを越えると成形後に粒界が残り、強度が落ちるため好ましくない。
顆粒化することにより粉末の取り扱いが容易になるだけでなく、顆粒組成物中のポリイミド粉末の分散性が安定しているので、焼結体のポリイミド粉末の分散性も向上する。そのため、少ない量で焼結体の弾性を高めるので、静電容量の減少を最小限に抑えることができる。
顆粒化することにより粉末の取り扱いが容易になるだけでなく、顆粒組成物中のポリイミド粉末の分散性が安定しているので、焼結体のポリイミド粉末の分散性も向上する。そのため、少ない量で焼結体の弾性を高めるので、静電容量の減少を最小限に抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電解コンデンサの電極用の焼結体シートの製造装置である放電プラズマ焼結装置の概略図を示している。油圧装置1を備えたプレス装置2に下部電極3と上部電極4とその電源装置5を配設するとともに下部パンチ6と上部パンチ7を配設し、更に、減圧下で焼結をおこなうため、真空チャンバー8や真空ポンプ9を備えて構成されている。そして、成形ダイ10の中に入れた弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している混合粉末体11を下部パンチ6と上部パンチ7によって加圧して放電プラズマにより焼結する。なお、本発明の実施の形態では成形ダイ10の型構造は円筒状ものとかぎらずどのような形状であってもよい。
(実施例1)
(顆粒組成物の作成)
まず、平均粒径5μmのアルミニウム粉末100質量部と、平均粒径4μmのポリイミド樹脂10質量部に、バインダとしてカンファー10質量部を混合し、溶剤としてのメチルセルソルブ50質量部に分散させた後、スプレードライヤーにかけスプレードライすることにより、混合末を平均粒径80μmに増粒した。
(顆粒組成物の作成)
まず、平均粒径5μmのアルミニウム粉末100質量部と、平均粒径4μmのポリイミド樹脂10質量部に、バインダとしてカンファー10質量部を混合し、溶剤としてのメチルセルソルブ50質量部に分散させた後、スプレードライヤーにかけスプレードライすることにより、混合末を平均粒径80μmに増粒した。
(焼結体シートの作成)
次に、成形ダイとして、外径60mm、高さ50mm、上下のパンチとして外径40mm、高さ25mmの炭素材で、成形ダイとパンチを組み合わせて、図1に示すような成形型を構成した。
次に、この成形型内に、上記の顆粒組成物粉末を充填セットし、5MPaで加圧して仮成形後、成形型を加熱しバインダや揮発分を蒸発させた。次に、真空度5Paに減圧排気し、パンチにより50MPaで加圧した後、成形ダイの材料装入部付近の温度が430℃になるまで通電し、この温度で5分間保持して通電を停止して、焼結を終了した。上記の通電焼結により、外径40mm、厚さ1mm、空孔率52%の円盤状の焼結体が得られた。
次に、成形ダイとして、外径60mm、高さ50mm、上下のパンチとして外径40mm、高さ25mmの炭素材で、成形ダイとパンチを組み合わせて、図1に示すような成形型を構成した。
次に、この成形型内に、上記の顆粒組成物粉末を充填セットし、5MPaで加圧して仮成形後、成形型を加熱しバインダや揮発分を蒸発させた。次に、真空度5Paに減圧排気し、パンチにより50MPaで加圧した後、成形ダイの材料装入部付近の温度が430℃になるまで通電し、この温度で5分間保持して通電を停止して、焼結を終了した。上記の通電焼結により、外径40mm、厚さ1mm、空孔率52%の円盤状の焼結体が得られた。
(化成処理)
次に、化成処理によっての表面全体に誘電体である酸化皮膜を形成する。まず、レーザー溶接により、焼結体の端部に短冊状のアルミニウム箔の引き出し電極を設ける。次に、沸騰した純水中に浸漬し、表面に擬似ベーマイトを形成する。次に、ホウ酸を含む水溶液中に焼結体を浸漬し、500Vの電圧を印加し、陽極酸化を行う。その後、熱処理、減極処理、陽極酸化を2度繰り返し、その後、洗浄、乾燥して化成工程を終了し、電解コンデンサ用電極材を得た。
次に、化成処理によっての表面全体に誘電体である酸化皮膜を形成する。まず、レーザー溶接により、焼結体の端部に短冊状のアルミニウム箔の引き出し電極を設ける。次に、沸騰した純水中に浸漬し、表面に擬似ベーマイトを形成する。次に、ホウ酸を含む水溶液中に焼結体を浸漬し、500Vの電圧を印加し、陽極酸化を行う。その後、熱処理、減極処理、陽極酸化を2度繰り返し、その後、洗浄、乾燥して化成工程を終了し、電解コンデンサ用電極材を得た。
(実施例2)
まず、平均粒径5μmのアルミニウム粉末100質量部と、平均粒径4μmのポリイミド樹脂10質量部に、バインダとしてカンファー10質量部を混合し、溶剤としてのメチルセルソルブ50質量部に分散させた後、スプレードライヤーにかけずに、乾燥させた。以降は実施例1と同様にして電解コンデンサ用電極材を得た。
まず、平均粒径5μmのアルミニウム粉末100質量部と、平均粒径4μmのポリイミド樹脂10質量部に、バインダとしてカンファー10質量部を混合し、溶剤としてのメチルセルソルブ50質量部に分散させた後、スプレードライヤーにかけずに、乾燥させた。以降は実施例1と同様にして電解コンデンサ用電極材を得た。
(比較例1)
ポリイミド樹脂を省く以外実施例1と同様に行おうとしたが、焼結後、焼結体にかけが発生した。
ポリイミド樹脂を省く以外実施例1と同様に行おうとしたが、焼結後、焼結体にかけが発生した。
(比較例2)
ポリイミド樹脂を省き、焼結後、焼結体にかけが発生しないように、成形ダイの材料装入部付近の温度が490℃になるまで通電する以外実施例1と同様に行って、電解コンデンサ用電極材を得た。
ポリイミド樹脂を省き、焼結後、焼結体にかけが発生しないように、成形ダイの材料装入部付近の温度が490℃になるまで通電する以外実施例1と同様に行って、電解コンデンサ用電極材を得た。
静電容量は、試料の電解コンデンサ用電極材を陽極とし、陰極として厚さ50μmのアルミニウム箔を使用し、電解液としてエチレングリコール 80wt%、1,6−デカンジカルボン酸 15wt%、ホウ酸アンモニウム 5wt%に浸漬して測定した。試料数は各20個としその平均値を表1に示す。
表1から、実施例は、比較例と比べ、静電容量、焼結体のかけの有無に対して良好な結果を得た。
1…油圧装置、2…プレス装置、3…下部電極、4…上部電極、5…電源装置、6…下部パンチ、7…上部パンチ、8…真空チャンバー、9…真空ポンプ、10…成形ダイ、11…混合粉末体
Claims (2)
- 弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している電解コンデンサの電極用の多孔質焼結体シート。
- 弁作用金属粉末にポリイミド粉末が含有している顆粒組成物を得る工程と、その顆粒組成物を放電プラズマ焼結により焼結する焼結工程とを有する電解コンデンサの多孔質焼結体シートの製造方法。
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JP2011210045A JP2013073984A (ja) | 2011-09-27 | 2011-09-27 | 電解コンデンサの電極用の焼結体シートおよびその製造方法 |
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WO2015019987A1 (ja) * | 2013-08-05 | 2015-02-12 | 東洋アルミニウム株式会社 | アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法 |
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- 2011-09-27 JP JP2011210045A patent/JP2013073984A/ja not_active Withdrawn
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