JP2013071258A - ガスバリア積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温多湿環境下においても、PET基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体を提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート基材(1)と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜(2)とを有し、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上であることを特徴とするガスバリア積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材を用いたガスバリア積層体およびその製造方法に関する。
近年、食品や非食品および医薬品などの包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持することが求められ、酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体の透過を防止する機能を有することが必要がある。このような包装材料としてはガスバリア積層体が知られている。近年、ガスバリア積層体は太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートを代表とした産業資材用途として用いられるようになってきた。
従来、裏面保護シートには温度・湿度などの影響が少ないアルミニウム等の金属箔をガスバリア層として一般的に用いられていた。しかしながら、金属箔は経年劣化により太陽電池のセルおよび配線等と絶縁不良を起こすなど欠点があった。
このような絶縁不良の問題を克服する包装材料として、フッ素樹脂フィルムに酸化珪素を蒸着した蒸着フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この蒸着フィルムは、透明性および酸素、水蒸気等のガス遮断性、並びに積層フィルムの密着性向上効果を有し、金属箔等では得られない絶縁特性、透明性を有する包装材料として好適とされている。
特開平10−308521号公報
しかしながら、樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜を積層した従来のガスバリア積層体は、高温高湿環境下に長時間曝された場合、基材と酸化珪素薄膜との密着性が低下する。基材表面にアンカーコートを施すことによって、こうした劣化を抑制することは可能であるものの、ガスバリア積層体の製造における工程数の増加につながる。しかも剥離劣化の発生箇所が基材表層のため、劣化を十分に抑えることができない。
本発明は、高温多湿環境下においても、PET基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)からなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜とを備え、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上であることを特徴とするガスバリア積層体が提供される。
本発明の第2側面によると、位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上であるポリエチレンテレフタレートフィルムを基材として選択する工程と、前記基材の少なくとも一方の面に酸化珪素薄膜を積層する工程とを含むことを特徴とするガスバリア積層体の製造方法が提供される。
本発明によると、高温多湿環境下においても、PET基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体およびその製造方法が提供される。
第1実施形態に係るガスバリア積層体の断面図である。 他の実施形態に係るガスバリア積層体の断面図である。 プレーナ型プラズマ処理装置でリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う形態を示す概略図である。 ホロアノード・プラズマ処理装置でリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う形態を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態に係るガスバリア積層体およびその製造方法を詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るガスバリア積層体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)からなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜とを備える。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、位相差測定法によるZ方向(膜厚方向)の屈折率Nzが1.555以上である。Z方向の屈折率Nzの上限は、1.565であることが好ましい。
Z方向の屈折率Nzは、位相差測定法、アッベの屈折率測定法などの手法を用いて求めることができる。しかしながら、アッベの屈折率測定法の場合には測定者による測定値のバラつきが大きくなる。これに対し、位相差測定法は測定者によらず安定して測定でき、測定者のバラつきも少ない。しかも、正確に屈折率を算出することができる。このため、Z方向の屈折率Nzの測定は位相差測定法を採用した。
本発明者は、樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜を積層した従来のガスバリア積層体における密着性の低下を種々研究した結果、酸化珪素薄膜が積層されたフィルム基材表面における凝集力の低下が基材との密着性の低下を引き起すことを究明した。
このような究明結果に基づいて、本発明者は酸化珪素薄膜を形成するPETフィルムからなる基材表面の凝集力に関してさらに鋭意研究した結果、PETフィルムからなる基材のZ方向(膜厚方向)の屈折率Nzが関連していることを見出した。
すなわち、通常、PETフィルムは二軸延伸した後、適切な熱固定温度で保持し、フィルム面に対して水平方向に分子が配列するように調整される。この分子の配列の度合で、Z方向の屈折率Nzが決まる。位相差測定法により算出されたZ方向の屈折率Nzが1.555以上であるPETフィルムを基材として用いることによって、この上に積層される酸化珪素薄膜の密着性が高められる。しかも、こうした特性は高温高湿環境下においても維持することができる。これは、本発明者によって始めて得られた知見である。
以下、第1実施形態に係るガスバリア積層体を図1を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態のガスバリア積層体を示す断面図である。ガスバリア積層体10は、PETフィルムからなる基材1の上に酸化珪素薄膜2を積層した構造を有する。
PETフィルムは、位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上に規定される。PETフィルムは、酸化珪素薄膜2の透明性を損なわれないように透明であることが好ましい。Z方向の屈折率の上限は、1.565であることが好ましい。
PETフィルムは、機械的強度が高く、寸法安定性にも優れる延伸したものが用いられる。第1実施形態において、PETフィルムは1.555以上の屈折率Nzを確保するために、二軸延伸および熱固定を経たものが用いられる。二軸延伸および熱固定の条件を適切に選択することによって、屈折率Nzを制御することができる。例えば、二軸延伸後に低温長時間の熱固定が行うことによって、PETフィルムの屈折率Nzを所望の範囲内に調整することが可能になる。
基材1の厚さは、特に制限されないが、薄過ぎると、巻取り装置で酸化珪素薄膜を形成する際にシワの発生やフィルムの破断が生じるおそれがある。一方、厚過ぎると、フィルムの柔軟性が低下するため巻取り装置での加工が困難となるおそれがある。3〜200μmの厚さを有する基材は、何等不都合を生じることなく巻取り装置で酸化珪素薄膜を形成することができる。より好ましい基材1の厚さは、6〜50μmである。
薄膜2を構成する酸化珪素は、XPS測定法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si比)が特定の値を有することが好ましい。O/Si比が小さ過ぎると、十分なバリア性を確保できず、しかも着色して透明性が損なわれることからクラック等の膜欠陥が生じ易くなるおそれがある。その結果、酸化珪素薄膜2を有するガスバリア積層体10のバリア性が低下し、酸化珪素薄膜2と基材1との間の密着性も低下するおそれがある。O/Si比を1.6〜2.0の範囲に規定した酸化珪素薄膜2は、透明で、かつ基材1に対して高い密着性を示す。
酸化珪素薄膜2は、適切な厚さを有することが好ましい。酸化珪素薄膜2の厚さが薄過ぎると、均一な膜を形成することができず、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことが困難になる。一方、酸化珪素薄膜2の厚さが厚過ぎると、残留応力により柔軟性を保持できず、成膜後の外的要因によって亀裂が生じるおそれがある。5〜300nmの範囲の厚さに規定した酸化珪素薄膜2は、膜厚の均一化とガスバリア材として適切な柔軟性を示す。より好ましい酸化珪素薄膜2の厚さは10〜300nmである。
酸化珪素薄膜2は、緻密性および基材1に対する密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオン・ビームアシスト法を用いて蒸着してもよい。また、酸素等の各種ガスなどを吹き込みつつ蒸着を行う(反応蒸着)ことによって、蒸着される酸化珪素薄膜の透明性をより一層高めることができる。
第1実施形態に係るガスバリア積層体は、図2に示すように基材1表面に下地層3を形成し、この下地層3上に酸化珪素薄膜2を設けた構造にしてもよい。下地層3は、例えばアンカーコート層から形成することができる。また、基材1表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)処理による前処理を施すことによって下地層3を形成することもできる。
アンカーコート層は、基材1の表面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥することによって形成することができる。アンカーコート層からなる下地層3は、基材1と酸化珪素薄膜2との密着性をさらに向上させる作用を有する。
アンカーコート剤は、例えば溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン期含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂またはアルキルチタネート等から選択され、これらは単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
アンカーコート層は、通常、5nm〜5μm程度の厚さにすることができる。このような厚さを有するアンカーコート層は、内部応力が抑制された均一な膜厚で基材表面に形成することができる。より好ましいアンカーコート層の厚さは、10nm〜1μmである。
アンカーコート層の塗布性、接着性を改良するために、アンカーコートに先立って、基材表面に放電処理を施してもよい。
一方、下地層の形成において基材表面にRIE処理を施す場合には、プラズマが利用される。プラズマ中に発生したラジカルやイオンにより、基材表面に官能基を付与する、化学効果が得られる。また、イオンエッチングによって表面不純物を除去すると共に、表面粗さを大きくする、物理的効果も得られる。その結果、基材1と酸化珪素薄膜2と密着性をさらに向上させ、高温高湿環境下においても両者は剥離しない構造となる。
さらに、RIE処理はPETフィルムからなる基材のZ方向の屈折率Nzをより適切な値に調整する作用も有する。
RIEによる処理は、巻取り式のインライン装置を用いて行うことができる。巻取り式のインライン装置としては、基材が設置される冷却ドラムに電圧を印加するプレーナ型処理装置を用いることができる。例えば、図3に示すプレーナ型処理装置で基材をRIE処理する方法は、処理ロール11の内側に電極(陰極)12を配置し、PETフィルムからなる基材1を処理ロール11に沿って搬送しながら、基材1の表面にプラズマ中のイオン13を作用してRIE処理を行う。このような方法によれば、基材1は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得ることによってRIEによる処理を行うことができる。
また、RIE処理はホロアノード・プラズマ処理装置を用いて行うこともできる。例えば、図4に示すホロアノード・プラズマ処理装置は陽極としての処理ロール21を備える。陰極22およびその両端に配置された遮蔽板23は、処理ロール21の外部に処理ロール21と対向するように配置されている。陰極22は、処理ロール21側が開口したボックス形をなす。遮蔽板23は、処理ロール21に沿った曲面形状を有する。ガス導入ノズル24は、陰極22に上方に配置され、処理ロール21と陰極22および遮蔽板23の間の空隙にガスを導入する。マッチングボックス25は、陰極22に背面に配置されている。
このようなホロアノード・プラズマ処理装置で基材をRIE処理するには、PETフィルムからなる基材1を処理ロール21に沿って搬送しながら、マッチングボックス25から陰極22に電圧を印加し、ガスが導入される処理ロール21と陰極22および遮蔽板23の間にプラズマを発生して、陽極である処理ロール21側にプラズマ中のラジカルを引き寄せることによって、基材1表面にラジカルを作用させる。このラジカル作用は、化学反応だけで、主にプラズマエッチングがなされるに留まり、基材と酸化珪素薄膜との密着性を十分に向上させることができない。
このようなことから、図4に示すホロアノード・プラズマ処理装置において、陽極としての処理ロール21の面積(Sa)を対極となる基材1の面積(Sc)より大きい(Sa>Sc)構成にすることによって、基材1上に多くの自己バイアスを発生させることができる。この大きな自己バイアスにより、前述の化学反応に加えて、プラズマ中のイオン26を基材1に引き寄せるスパッタ作用(物理的作用)が働くため、RIE処理後の基材1表面に酸化珪素薄膜を形成した際、それらの間の密着性を向上できる。
RIE処理において、ホロアノード電極中に磁石を組み込んで、磁気アシスト・ホロアノードとすることが好ましい。これによって、より強力で安定したプラズマ表面処理を高速で行うことが可能となる。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果をさらに高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることができる。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、例えばアルゴン、酸素、窒素、水素を使用することができる。これらのガスは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
RIE処理において、2基以上の処理装置を用いて、連続して処理を行うこともできる。このとき、2基以上の処理装置は同じものを使用する必要はない。例えば、プレーナ型処理装置で基材を処理し、その後に連続してホロアノード・プラズマ処理装置を用いて処理を行うこともできる。
第1実施形態に係るガスバリア積層体において、前述した図1および図2のいずれの構造の場合も、さらに別の層を含むことができる。例えば、基材1の他方の面にも酸化珪素薄膜を形成してもよい。
また、酸化珪素薄膜2上にオーバーコート層を形成して保護および接着性を向上させてもよい。オーバーコート層の材料は、例えば溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等から選択することができる。オーバーコート層は、これらの材料を用いた単独層、または2種類以上の積層によって構成することができる。
オーバーコート層には、フィラーを添加してバリア性、摩耗性、滑り性等を向上させることもできる。フィラーとしては、例えばシリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラー、および層状無機フィラーなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。オーバーコート層は、前述の樹脂にフィラーを添加し、重合または縮合させることにより形成することが好ましい。
基材1の片面のみに酸化珪素薄膜が設けられる場合、他方の面には公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを含む層を設けてもよい。
実施形態に係るガスバリア積層体は、産業資材、包装材料としての適性を考慮して、別のフィルムを積層することができる。このフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリフッ化ビニルフィルムやポリフッ化ジビニルなどのフッ素系樹脂フィルムなどを用いることができる。さらに、これら以外の樹脂フィルムを積層することもできる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るガスバリア積層体の製造方法は、最初に、PETフィルムから位相差測定法によるZ方向(膜厚方向)の屈折率Nzが1.555以上のPETフィルムを選択し、これを基材として用いる。位相差測定は、後述する実施例の位相差測定装置を用いて行うことができる。
次いで、前記基材表面に酸化珪素薄膜を積層してガスバリア積層体を製造する。
酸化珪素薄膜の積層は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、およびプラズマ気相成長法等を採用できる。生産性を考慮すれば、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法における加熱方式は特に限定されず、例えば電子線加熱方式、抵抗加熱方式、および誘導加熱方式等を採用できる。電子線加熱方式または抵抗加熱方式は、蒸発材料の選択性を広げることができるため、より好ましい。
第2実施形態において、酸化珪素薄膜を基材表面に積層するに先立って、前述の第1実施形態のようにアンダーコート層またはRIE処理による下地層を形成することを許容する。
第2実施形態において、酸化珪素薄膜上に前述の第1実施形態のようにオーバーコート層を形成することを許容する。
第2実施形態において、基材の他方の面にも酸化珪素薄膜を積層することを許容する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5および比較例1〜3)
まず、厚さ12μmのPETフィルム(基材)を8種用意し、それぞれ位相差を測定して面配向係数を求めた。すなわち、位相差測定装置(王子計測機器社製、KOBRA−WR)によりPETフィルムの40mm×40mmの面積について、0°〜50°(10°ピッチ)の入射角で位相差を測定した。算出された8種類のPETフィルムの入射角度40°の時のZ方向の屈折率Nzを下記表1に示す。
次いで、各PETフィルムの一方の面に電子線加熱方式により酸化珪素を蒸着して厚さ40nmの薄膜を積層することにより8種類のガスバリア積層体サンプルを製造した。
得られた各サンプルにおける酸化珪素薄膜中のO/Si比をX線光電子分光法(XPS)により求めた。測定装置は、X線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)である。X線源として、非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV−10mA)のX線出力で測定した。O/Si比を求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いた。8種類のサンプルのO/Si比を下記表1に示す。
また、各サンプルについて次のような手法によって剥離強度を調べた。
ガスバリア積層体サンプルの両面に厚さ100μmのPETフィルムをウレタン系の接着剤を用いて接着してラミネート構造とした。接着されたPETフィルムと酸化珪素薄膜との界面で剥がしきっかけを作って、剥離強度を測定した。引張試験機は、オリエンテック社性テンシロンRTC−1250を用いて、180°に剥離した時の剥離強度を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、表1の評価において剥離強度が2N/15mm以上を合格(○)、2N/15mm未満を不合格(×)、と判定した。
Figure 2013071258
前記表1から明らかなように屈折率Nzが1.545のPETフィルムを基材として用いた比較例1では、剥離強度が0.5N/15mmであり、合格範囲から外れている。また。屈折率Nzが1.541のPETフィルムを基材として用いた比較例2も同様に、剥離強度が0.3N/15mmであり、合格範囲から外れている。さらに、屈折率Nzが1.535のPETフィルムを基材として用いた比較例3では、剥離強度が0.2N/15mmであり、合格範囲から外れている。このように屈折率Nzが1.555未満のPETフィルムを基材として用いた比較例1〜3では、所望の密着性およびバリア性を有するガスバリア積層体を得ることができないことがわかる。
これに対し、位相差法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上のPETフィルムを基材として用いた実施例1〜5のサンプルではいずれも剥離強度は2.2N/15mm以上で、最大では3.2N/15mmにも及び、基材と酸化珪素薄膜の間に高い密着性を付与できることがわかる。
以上のように、位相差法によるZ方向の屈折率Nzが所定の範囲内に規定されたPETフィルムによって、高温高湿環境下でも密着性が劣化しにくいガスバリア積層体を提供できる。
本発明は、食品や精密電子部品および医薬品の包材として用いられ、特に太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートのような産業資材用途に利用可能なガスバリア積層体およびその製造方法を提供できる。
1…PET基材、2…酸化珪素薄膜、3…下地層、10…ガスバリア積層体。

Claims (8)

  1. ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された酸化珪素薄膜を有し、前記ポリエチレンナフタレートは、位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上であることを特徴とするガスバリア積層体。
  2. 前記酸化珪素薄膜は、X線光電子分光法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が1.6〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア積層体。
  3. 前記酸化珪素薄膜は、10〜300nmであることを特徴とする請求項1または2記載のガスバリア積層体。
  4. 前記基材と前記酸化珪素薄膜との間にアンカーコート層をさらに有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のガスバリア積層体。
  5. 前記アンカーコート層の材質は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂及びオキサゾリン基含有樹脂から選択されることを特徴とする請求項4記載のガスバリア積層体。
  6. 前記酸化珪素薄膜が積層された前記基材の面は、リアクティブイオンエッチング処理に織る下地層がさらに形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のガスバリア積層体。
  7. 前記リアクティブエッチング処理は、アルゴン、窒素、酸素、および水素からなる群から選択される少なくとも1種類のガスを用いて行われる処理であることを特徴とする請求項6記載のガスバリア積層体。
  8. 位相差測定法によるZ方向の屈折率Nzが1.555以上であるポリエチレンテレフタレートフィルムを基材として選択する工程と、前記基材の少なくとも一方の面に、酸化珪素薄膜を積層する工程とを含むことを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。
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