JP2013069418A - リチウム二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン等の合金系材料を負極活物質に用いた場合において、リチウムとの反応性を改善することで、サイクル特性を改善することを課題とする。
【解決手段】リチウムの挿入及び脱離が可能な正極活物質を含む正極と、リチウムの挿入及び脱離が可能な負極活物質を含む負極と、電解液と、を有するリチウム二次電池の製造方法において、当該電池の組立て前に、当該負極にリチウムを挿入し、当該挿入の後に、当該負極に挿入したリチウムの一部を脱離し、当該脱離の後に、当該電池の組立を行うリチウム二次電池の製造方法に関する。
【選択図】図4

Description

本発明は、リチウム二次電池およびその製造方法に関するものであり、詳しくは充放電サイクル初期における不可逆容量が少ないリチウム二次電池に関する。
近年、環境技術の高まりにより、従来の発電方式よりも環境への負荷が小さい発電装置(例えば、太陽光発電)の開発が盛んに行われている。発電技術の開発と並行して蓄電装置の開発も進められている。
蓄電装置の一つとして、例えば、二次電池であるリチウム二次電池が挙げられる。リチウム二次電池は、エネルギー密度が高く、小型化に適しているため、広く普及している。リチウム二次電池の電極材料としては、リチウムを挿入し、脱離することが可能なものが好ましく、例えば、黒鉛などの炭素系材料や、シリコンやシリコン酸化物などの合金系材料が挙げられる。合金系の材料の中でも、特にシリコンの理論容量は黒鉛に比べ10倍ほど高く、シリコン系活物質はリチウムのホスト材料として有望視されている。
しかしながら、黒鉛などの炭素系材料やシリコンなどの合金系材料を負極活物質に用いたリチウム二次電池であっても、充電時に正極材料のLiFePO、LiCoO、LiMn等から負極活物質の合金系材料中に導入されたリチウムをすべて放電により取り出すことは極めて困難であり、リチウムが一定の量で合金系材料中に残留してしまうという課題を有している。すなわち、不可逆容量のリチウムが生じ、結果として二次電池の放電容量が低下し、電池能力が低下するという課題があった。
そこでこの課題を解決するため、多くの研究がなされており、特許文献でも報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。例えば、特許文献1には、負極炭素材料に電池組立後に正極リチウム含有金属酸化物を担持させ、かつ正極に電池内に配置したリチウムよりリチウムを担持させるリチウム二次電池が開示されている。このリチウム二次電池は、リチウム金属と正極とを抵抗体を介して接続させ、抵抗体によりリチウム金属と正極との間に流れる電流を制御して、電池組立後に、電気化学的接触により正極にリチウムを担持するものである。
また、特許文献2では、リチウムマンガン酸化物を正極活物質とした正極と、炭素材料を負極活物質とした負極を有するリチウム二次電池において、電池缶の中に予め金属リチウムを配設しておき、電解液を注入して金属リチウムと正極とを短絡させることにより、正極に負極の不可逆容量相当分のリチウムを導入し、その後に正極負極間に初期充電を行うことが開示されている。これにより、リチウムイオンは、金属リチウムから正極へ、さらに正極から負極へ移動し、負極に担持される。その結果、不可逆容量分のリチウムを負極が余分に担持することができるというものである。
また、特許文献3では、シリコンからなる負極材料に、イオン注入装置を用いて予めリチウムの注入処理を施した負極が開示されている。
特開平8−255635号公報 特開平10−223259号公報 特開2002−93411号公報
しかしながら、上記に示した特許文献1及び2に開示されたような従来の方法(いわゆる接触ドープ法等)は、炭素系材料及びシリコンを活物質に用いた負極にリチウムを補充することを目的としていたため、これら活物質の反応性を変化させるものではなかった。このため、サイクル劣化という点において改善が不十分であった。また、特にシリコンを活物質に用いる場合には、使用電位範囲を限定することで、シリコン負極本来の高容量を犠牲にしていた。さらに、従来の接触ドープ法では負極表面にリチウムが残留してしまうという課題があった。また、リチウム二次電池の製造工程が煩雑になる等の問題を有していた。また、特許文献3に開示された予めリチウムイオンを注入する方法では、注入濃度が微量であるため劣化改善の効果が薄く、加えて装置構成の実現の観点からも困難性が高いものであった。
そこで、本発明の一態様は、シリコン等の合金系材料を負極活物質に用いた場合において、リチウムとの反応性を改善することで、サイクル特性を改善することを課題とする。また、これにより合金系材料を用いた負極本来の高容量を犠牲にすることなく、高容量を維持して使用することができるリチウム二次電池を提供することを課題とする。また、リチウムが負極表面に残留することのない負極を有するリチウム二次電池を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、リチウムの挿入及び脱離が可能な正極活物質を含む正極と、リチウムの挿入及び脱離が可能な負極活物質を含む負極と、電解液と、を有するリチウム二次電池の製造方法において、当該電池の組立て前に、当該負極にリチウムを挿入し、当該挿入の後に、当該負極に挿入したリチウムの一部を脱離し、当該脱離の後に、当該電池の組立を行うことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法に関する。
特に、電池の組み立て前に行う負極へのリチウムの挿入は、当該負極を構成する負極活物質へのリチウムの挿入量が概略最大となるように行うことが好ましい。
また、電池の組み立て前の負極へのリチウムの挿入後に行う当該リチウムの一部脱離において、負極に挿入可能な全容量のうち少なくとも9%以上はリチウムを残存させることが好ましい。また当該残存量は、9%以上43%以下とすることができる。
また、上記の負極へのリチウムの挿入は、充放電レートを0.2Cとしたとき、前記負極と前記対極との電位差が0.03V以上0.2V以下の範囲で行うことが好ましい。
本発明の一態様により、予め負極にリチウムを補充させることができるとともに、リチウム二次電池の製造時に負極活物質の反応性を変化させることで、当該電池のサイクル劣化を改善することができる。
以上により、合金系材料負極の容量を維持しつつ、サイクル劣化を改善することができる。特に負極活物質にシリコンを用いることで、シリコン負極本来の高容量を維持しつつ、サイクル劣化を改善することができる。
また、本発明の一態様では、従来の接触ドープ法とは異なり負極表面にリチウムが残存することがないため、リチウム二次電池の信頼性を向上させることができる。
また、本発明の一態様では、リチウムイオン注入装置等の機器を別途用いるものではないため、製造装置や製造工程を複雑化あるいは煩雑化することなくリチウム二次電池を製造することができる。
シリコン負極を用いたフルセルでの充放電カーブを示す図。 シリコン負極を用いたハーフセルでの充放電カーブを示す図。 電気化学的なエージング処理を行うためのセルの断面図。 サイクル特性を示す図。 蓄電装置の一形態を説明するための平面図および断面図。 蓄電装置の応用の形態を説明するための図。 蓄電装置の応用の形態を説明するための図。 電気化学的なエージング処理の条件を示す図。 電気化学的なエージング処理の比較の条件を示す図。 サイクル特性を示す図。
以下、実施の形態について説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、電気化学的なエージング処理について説明する。
図1は、負極の活物質にシリコンを用いた場合のリチウム二次電池の充放電特性を示したものである。当該特性は、正極/電解液/負極構造を有するフルセルを形成して測定した。図中の4本の曲線は、それぞれ1回目の充電101a、1回目の放電102a、2回目の充電101b、2回目の放電102bの際の電圧の変動を示したものである。1回目の充電101aに比べ、1回目の放電102aは大きく容量を低下させている。このことから、1回目の充放電効率が悪いことがわかる。また、1回目の充電101aに比べ、2回目の充電101bでは容量が低下している。同様に、1回目の放電102aに比べ、2回目の放電102bでは容量が低下している。このように、充放電のサイクルを重ねるに伴い、容量は徐々に低下する。
図2は、負極の活物質にシリコンを用いた場合のリチウム二次電池の充放電特性を示したものであり、ハーフセルを形成して測定した結果を示すものである。ハーフセルでの測定は、正極に負極の活物質として評価するシリコンを用い、負極には金属リチウムを用いている。なお、金属リチウム電極を用いたハーフセルの場合には、シリコン活物質からなる電極が正極となることに留意すべきである。
4本の曲線は、それぞれ1回目の充電201a、1回目の放電202a、2回目の充電201b、2回目の放電202bを示したものである。1回目と2回目の充放電サイクルで、充放電曲線が大きく異なることがわかる。すなわち、1回目の放電202aにおいては、曲線が急激に下降しこの間容量を形成しない。このことは、正極(シリコン活物質からなる電極)側に不可逆容量が形成されたと理解される。つまりシリコン活物質との反応により電解液が分解し、充電電流が電極表面に皮膜を形成することに消費されるというものである。また、これと同時に、シリコン活物質がリチウムと十分反応できておらず、シリコン内に捕捉され残存することで放電容量が低下すると考えられる。このことから、1回目の充放電によって、シリコン活物質の状態変化が起きていると考えられる。
従って、本実施の形態における電気化学的なエージング処理を負極に施さない場合には、フルセルを形成すると、正極および電解液の劣化を加速させる要因となる。また一般的に、負極は正極よりも面積または容量を大きく形成するため、劣化の大きな要因となる。
そこで、本実施の形態では、電池の組立て前に、負極活物質に以下のような電気化学的な処理(以下、電気化学的なエージング処理という)を施すことで、予め皮膜形成を行うとともに、合金系材料負極のリチウムとの反応性を改善して、合金系材料負極へのリチウムの挿入脱離を容易にする。
まず、合金系材料電極と対極を組み合わせて、電気化学的なエージング処理のためのセル(以下、エージング用セルという)を作製する。図3を用いて、エージング用セルについて説明する。図3は、エージング用セルの断面図である。エージング用セル300は、容器301と、容器内の電解液302、エージングの対象である電極305、対極306、セパレータ307とで構成される。また、電極305は、少なくとも集電体303と集電体303上に形成された活物質層304とで構成される。電極305はこの電気化学的なエージング処理を経て、リチウム二次電池の負極として用いられるものである。電解液に浸かる電極305と対極306とはセパレータによって位置的に隔離され、それぞれエージング用セル300の外部へ端子が引き出されている。両端子に電圧を印加することによって、電極305へのリチウムイオンの挿入または脱離を行う。
活物質層304としては、リチウムイオンの挿入、脱離が可能な材料を用い、例えばシリコン、シリコン酸化物等の珪素系活物質、錫系活物質等の合金系材料を用いることができる。図3では集電体303を示したが、集電体303を用いず活物質層304を単体で電極305として用いても良い。黒鉛と比較すると、シリコンの理論リチウム吸蔵容量が著しく大きい。吸蔵容量が大きいと小面積でも十分に充放電が可能であり、負極として機能するため、コストの低減及び二次電池の小型化に寄与する。ただし、シリコンなどはリチウム吸蔵により4倍程度の体積膨張を起こすため、膨張の緩和や抑制についての機構を備えた構造とすることが好ましい。
集電体303は、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、錫、ニッケル、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高い材料を用いることができる。また、集電体303は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状に形成されたものを適宜用いることができる。
対極306は、合金系材料へリチウムの挿入または脱離を目的とするもので、例えば金属リチウムを用いることができる。
電解液302は、電解質塩を含む非水溶液又は電解質塩を含む水溶液である。例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSONなどのリチウム塩がある。
また、電解液302は、電解質塩を含む非水溶液とすることが好ましい。つまり、電解液302の溶媒は、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどが挙げられ、これらの一又は複数を用いることができる。さらに、非プロトン性有機溶媒として、一のイオン液体又は複数のイオン液体を用いてもよい。イオン液体は、難燃性および難揮発性であることから、エージング用セル300の内部温度が上昇した際にセル300の破裂又は発火などを抑制でき、エージング処理を安全に行うことができる。
また、電解液302として、電解質塩を含み、且つゲル化された高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まる。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はフッ素系ポリマーなどがある。
さらに、電解液302としては、LiPOなどの固体電解質を用いることができる。
セパレータ307として、絶縁性の多孔体を用いる。例えば、紙、不織布、ガラス繊維、或いはナイロン(ポリイミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンといった合成繊維、或いは合成樹脂、セラミック等で形成されたものを用いればよい。ただし、電解液302に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
次に、エージング処理を行い電気化学的な反応によって、負極を構成する合金系材料へのリチウムの挿入または脱離を行う。
エージング処理を目的とした電極305へのリチウムの挿入又は脱離は、電極305及び対極306間に電圧を印加して行う。まず対極からリチウムを電極305に供給し、活物質層304へリチウムを挿入する。リチウムの挿入は、活物質層304へ挿入が可能な最大の挿入量を挿入することができる。ここで挿入が可能な最大の挿入量とは、概略最大となるような最大値の近傍を含む主旨であり、理論的な挿入量の最大値を意図するものではない。また、当該エージング処理は活物質層を構成する合金系材料のリチウムとの反応性の改善を目的の一つとするものであり、挿入量は必ずしも最大であることに限られない。具体的には、全容量の約7%以上のリチウムを挿入することが好ましい。
活物質層304へのリチウムの挿入が完了した後、活物質層304からリチウムを脱離させる処理を行う。ただし、活物質層304へ挿入されたリチウムのうち一部のリチウムは脱離させることができない。これは、皮膜形成や活物質層304を構成する合金系材料の反応性の改善に消費されたと考えられる。すなわち不可逆容量を形成する分のリチウムについては脱離させることができない。従って、ここでは少なくとも不可逆容量を形成する分のリチウムを残存させ、その他の分を脱離させる処理を行う。具体的には、全容量の概略9%以上にあたるリチウムを残存させて、その他の分を脱離させることが好ましい。さらに、好ましくは、全容量の概略9%以上43%以下のリチウムを残存させて脱離させると良い。
以上の電気化学的なエージング処理は、充放電レートを0.2Cで行うと良いがこれに限られない。
エージング処理の終了後、エージング用セルを解体し、電気化学的なエージング処理が施された電極305と、正極とを組み合わせてリチウム二次電池を作製する。
次に、図4において、本実施の形態における電気化学的なエージング処理を施したリチウム二次電池のサイクル特性を示す。横軸に充放電を繰り返した回数(サイクル数)を示し、縦軸にサイクル数に伴う容量(mAh/g)の変動を示す。曲線401は、比較例としてエージング処理を一切行っていない場合のサイクル特性を示すものである。この場合、サイクル数の増加に伴い容量が低減していることが明らかである。50サイクルにおいて、劣化が進行している。
曲線402は、エージング処理を行った場合のサイクル特性を示す。まずサイクルの開始時において、エージング未処理の場合の120mAh/g程度と比べ、容量が140mAh/gと高いことがわかる。図4において、グラフを左右に横切る点線404は、エージング処理を行った場合の初期の容量値に対する20%の劣化を示すラインである。エージング処理を行った場合には、サイクルの初期においては容量の低下が見られるものの、初期の20%以上もの容量の大きな低下は見られず、サイクル数の増加に伴う容量の大きな変動は見られない。容量はほぼ安定しており、サイクル数の増加とともにわずかに上昇している。
なお、曲線403は、不可逆容量分に相当する約0.1mAh分のリチウムを、電気化学的に予め電極に挿入した場合のサイクル特性の測定結果である。サイクル数の増加に伴い、放電容量が著しく減少していることが明らかである。この結果から、不可逆容量に相当する量のリチウムを予め負極電極に挿入しただけでは、サイクル劣化を改善することはできないことがわかる。
以上のことから、本実施の形態1に記載の電気化学的なエージング処理を適切に行った場合に限って、サイクル劣化を抑制することができる。このことから、シリコン等の合金系材料を負極活物質に用いた場合において、予め活物質層に対してリチウムの充放電を行うことで、当該合金材料のリチウムとの反応性を改善することができる。このため、合金系材料を用いた負極本来の高容量を犠牲にすることなく、高容量を維持して使用することができるリチウム二次電池を提供するができる。また、従来の接触ドープ法とは異なりリチウムが負極表面に残留することのない負極を有するリチウム二次電池を提供することが可能となる。また、本発明の一態様では、リチウムイオン注入装置等の機器を別途用いるものではないため、製造装置や製造工程を複雑化あるいは煩雑化することなくリチウム二次電池を製造することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態1に示した本発明の一態様に係る電極305の作製方法について、図3を用いて説明する。特に本実施の形態では、活物質層304に合金系材料としてシリコンを用いた場合について説明する。
活物質層304は複数のウィスカー状(髭状、紐状、または繊維状)部分を有し、当該ウィスカー状の活物質は、結晶性を有する構造である芯と、非晶質構造である外殻で形成されていることが好ましい。外殻である非晶質構造は、イオンの貯蔵及び放出に伴う体積変化に強い(例えば、体積変化に伴う応力を緩和する)という特色を有する。また、芯である結晶性を有する構造は、導電性及びイオン移動度に優れており、イオンを貯蔵する速度及び放出する速度が単位質量あたりで速いという特徴と有する。従って、芯及び外殻を有する複数のウィスカー状の活物質を備える電極305を用いることで、高速に充放電が可能となり、充放電容量及びサイクル特性が向上したリチウム二次電池を作製することができる。
まず、集電体303上に、熱CVD法、好ましくはLPCVD法により、シリコン層を活物質層304として形成する。そして、集電体303及び活物質層304を有する電極を形成する。
集電体303は、電極の集電体として機能する。このため、箔状、板状、または網状の導電性部材を用いる。集電体303は、特に限定されないが、チタン、白金、アルミニウム、銅等に代表される導電性の高い金属元素を用いることができる。なお、集電体としてアルミニウムを用いる場合は、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、集電体303として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素を用いてもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
集電体303上の活物質層304には、複数のウィスカー状の構造を形成する。複数のウィスカー状の活物質の材料は、複数のウィスカー状に形成できる材料であり、且つイオンを吸蔵及び放出できれば、特にシリコンに限られない。本実施の形態では、該材料としてシリコンを用いる場合の作製方法について説明する。
複数のウィスカー状の活物質は、LPCVD(Low Pressure CVD)法により形成することができる。ここで、複数のウィスカー状の活物質の形成時の温度は、400℃より高く、且つLPCVD装置、集電体303が耐えうる温度以下とすればよく、好ましくは500℃以上580℃未満とするとよい。
また、複数のウィスカー状の活物質を形成する際は、原料ガスとして、シリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコンまたは塩化シリコンがある。具体的には、SiH、Si、SiF、SiCl、SiClなどである。なお、原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンなどの希ガス及び水素ガスのいずれか一以上を含ませてもよい。
また、複数のウィスカー状の活物質を形成する際の圧力は、10Pa以上1000Pa以下、好ましくは20Pa以上200Pa以下とするとよい。
また、シリコンを含む堆積性ガスの流量を多くすると堆積速度が速くなるため、非晶質構造となりやすく、シリコンを含む堆積性ガスの流量を少なくすると堆積速度が遅くなるため、結晶性を有する構造となりやすい。そこで、シリコンを含む堆積性ガスの流量は、堆積速度(デポレート)などを考慮して適宜選択すればよい。例えば、シリコンを含む堆積性ガスの流量は、300sccm以上1000sccm以下とすればよい。
なお、原料ガスにホスフィン又はジボランなどを含ませると、複数のウィスカー状の活物質に一導電型を付与する不純物元素(リン又はボロンなど)を含ませることができる。複数のウィスカー状の活物質に一導電型を付与する不純物元素を含ませることで、電極305の導電性を高めることができ、充放電容量が増大したリチウム二次電池を作製することができる。
なお、LPCVD法を用いると、集電体303と活物質層304の界面において、イオン及び電子の移動が容易となり、さらに密着性を高めることができる。また、スループットを高めることができる。
次に、複数のウィスカー状の活物質に接するグラフェンを形成する。これにより、電極305において、イオンの吸蔵及び放出に伴ってウィスカー状の活物質の体積が変化しても、グラフェンがその体積変化による応力を緩和するため、ウィスカー状の活物質の微粉化及び剥離等、電極の構造破壊を引き起こしにくい。このため、サイクル特性を向上させることが可能となる。また、高い導電率(高い電子移動度)を有するグラフェンが複数のウィスカー状の活物質の間に設けられることにより、電極305に優れた電気特性を付与することが可能となる。
まず、グラフェンの形成はHummers法と呼ばれる酸化法やディップコート法を用いることによっても可能であるが、複数のウィスカー状の活物質のように、複雑な曲面や凹凸を有する活物質に酸化グラフェンを形成する場合は電気泳動法を用いることが好ましい。
電気泳動法は、容器に得られた酸化グラフェンを分散させた溶液中に被形成物(複数のウィスカー状の活物質)を設けて陽極とし、導電性を有する材料、例えば、金属材料又は合金材料を陰極として、陽極と陰極の間に適切な電圧(例えば、5V乃至20V)を加えることで、被形成物の表面、すなわち、複数のウィスカー状の活物質の表面に酸化グラフェンの層を形成するものである。これは、酸化グラフェンに、水素イオンが離脱した種々の官能基が結合していることで、極性溶媒中において酸化グラフェンが負に帯電するためである。電圧を加えることで負に帯電した酸化グラフェンは陽極に引き寄せられ、被形成物に付着する。必要な厚さの酸化グラフェンが得られたら、被形成物を酸化グラフェン溶液から引き上げ、乾燥させる。
電気泳動を行う時間(電圧を加える時間)は、被形成物203の表面が酸化グラフェンに覆われるのにかかる時間より長時間行えばよく、例えば、0.5分以上30分以下、好ましくは5分以上20分以下とすればよい。
次に、還元処理を行い、形成された酸化グラフェンから酸素の一部を脱離させる。還元処理としては、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の還元性の雰囲気で150℃以上、好ましくは200℃以上の温度で加熱する。加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど、酸化グラフェンがよく還元されるため、純度の高い(すなわち、炭素以外の元素の濃度の低い)グラフェンが得られる。ただし、加熱する温度は酸化グラフェンと被形成物との反応性も考慮して決定されるべきである。なお、酸化グラフェンは150℃で還元されることが知られている。
上記還元処理によって、形成された酸化グラフェンはグラフェンとなる。その際、グラフェンは、隣接する酸化グラフェン同士が結合し、より巨大な網目状、或いはシート状のネットワークを形成する。従って、活物質層の平面視において、グラフェンが複数のウィスカー状の活物質上に連続的に広がって形成される。換言すると、グラフェンは、活物質層(複数のウィスカー状の活物質)の平面方向に一様に広がり、複数のウィスカー状の活物質に接して形成される。
上記の工程により、活物質層304を形成することができる。以上より、サイクル特性及び充放電容量が良好であるリチウム二次電池の電極を作製することができる。特に、本実施の形態に示したシリコンを用いた活物質層に実施の形態1で示した電気化学的なエージング処理を施すことにより、シリコンのリチウムとの反応性が改善され、サイクル特性において劣化が抑制された大容量のリチウム二次電池の作製が可能となる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に記載した電極を搭載した蓄電装置について説明する。
本実施の形態で説明する蓄電装置は、少なくとも、正極、負極、セパレータ、電解液で構成され、実施の形態1に記載したエージング処理を施した電極を負極に搭載している。
電解液は、電解質塩を含む非水溶液又は電解質塩を含む水溶液である。当該電解質塩は、キャリアイオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、又はマグネシウムイオンを含む電解質塩であればよい。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンがある。アルカリ土類金属イオンとしては、例えばカルシウムイオン、ストロンチウムイオン、又はバリウムイオンがある。本実施の形態において、当該電解質塩は、リチウムイオンを含んだ電解質塩(以下、含リチウム電解質塩という)とする。
上記構成とすることで、リチウム二次電池又はリチウムイオンキャパシタとすることができる。また、電解質塩を用いず、溶媒のみを電解液として用いることで、電気二重層キャパシタとすることができる。
ここでは、リチウム二次電池ついて図面を参照して説明する。
図5(A)および図5(B)に蓄電装置500の構成の一例を示す。また、図5(B)は、図5(A)の一点鎖線X−Yの断面図である。
図5に示す蓄電装置500は、外装部材502の内部に蓄電セル504を有する。また、蓄電セル504に接続する端子部506、および端子部508を有する。蓄電セル504は、負極510と、正極512と、負極510および正極512の間に設けられるセパレータ514を有する。
また、蓄電装置500は、外装部材502、蓄電セル504およびセパレータ514中を満たす電解液516を有する。外装部材502としては、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
負極510は、負極集電体515、負極活物質層517で構成される。本実施の形態では、負極活物質層517は、実施の形態1において示したエージング処理を施したものである。また、負極集電体515は、端子部508と接続され、端子部508の一部が外装部材502の外側に導出されている。
正極512は、正極集電体518および正極活物質層520で構成される。本実施の形態では、正極活物質層520は、正極集電体518の一方又は両方の面に形成される。また、正極512には正極集電体518および正極活物質層520の他にバインダおよび導電助剤が含まれていてもよい。また、正極集電体518は、端子部506と接続される。また、端子部506の一部が外装部材502の外側に導出されている。
なお、本実施の形態では、蓄電装置500の外部形態として、密封された薄型蓄電装置を示しているが、これに限定されない。蓄電装置500の外部形態として、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置など様々な形状を用いることができる。また、本実施の形態では、蓄電装置500として複数の蓄電セル504が積層された構成を示しているが、蓄電装置500に用いる蓄電セル504は一つでもよい。また、蓄電装置500に用いる一つまたは複数の蓄電セル504が捲回された構造であってもよい。
正極集電体518には、アルミニウム又はステンレスなどの導電材料を箔状、板状又は網状などの形状したものを用いることができる。また、別途基板上に成膜することにより設けられた導電層を剥離して正極集電体518として用いることもできる。
正極活物質層520は、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、V、Cr、MnO、その他のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン又はマグネシウムイオンの場合には、正極活物質層520として、前記リチウム化合物におけるリチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムなど)、ベリリウム又はマグネシウムを用いてもよい。
また、正極512は、正極集電体518上に正極活物質層520を塗布法又は物理気相成長法(例えばスパッタリング法)で形成することで作製できる。塗布法を用いる場合は、上記列挙した正極活物質層520の材料に導電助剤(例えばアセチレンブラック(AB))やバインダ(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF))などを混合させてペースト化し、正極集電体518上に塗布して乾燥させて形成する。このとき必要に応じて加圧成形するとよい。
なお、導電助剤としては、蓄電装置中で化学変化を起こさない電子伝導性材料であればよい。例えば、黒鉛、炭素繊維などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウム若しくは銀などの金属材料又はこれらの混合物の粉末や繊維などを用いることができる。
バインダとしては、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、又はジアセチルセルロースなどの多糖類があり、他には、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム若しくはポリエチレンオキシドなどの熱可塑性樹脂又はゴム弾性を有するポリマーなどがある。
また、正極活物質層520は、導電助剤およびバインダの代わりにグラフェン又は多層グラフェンを混合させてペースト化させてもよい。なお、グラフェンおよび多層グラフェンにカリウムなどのアルカリ金属を添加してもよい。また、該グラフェンおよび多層グラフェンは、Hummers法で酸化グラフェンを作製し、還元処理することで得ることができる。
このように、導電助剤およびバインダの代わりにグラフェン又は多層グラフェンを用いることで、正極512中の導電助剤およびバインダの含有量を低減させることできる。つまり、正極512の重量を低減させることができ、結果として、電極の重量あたりにおけるリチウム二次電池の充放電容量を増大させることができる。
なお、厳密には「活物質」とは、キャリアであるイオンの挿入および脱離に関わる物質のみを指す。ただし本明細書では、塗布法を用いて正極活物質層520を形成した場合、便宜上、正極活物質層520の材料、すなわち、本来「正極活物質」である物質に、導電助剤やバインダなどを含めて正極活物質層520と呼ぶこととする。
負極510には、実施の形態1に記載した電気化学的なエージング処理を施した電極を用いる。つまり、負極510は、負極集電体515を実施の形態1に示した集電体303とし、負極活物質層517として実施の形態1に示したエージング処理を施した活物質層304とする。
なお、図3に示した電極は、集電体303の一方の面だけに活物質層304が形成されている形態であるが、これに限らず、集電体303のもう一方の面に活物質層304が形成される形態であってもよい。例えば、LPCVD装置において、負極集電体を枠状のサセプターで保持しながら当該シリコン半導体により活物質層を形成することで、負極集電体の両面に同時に活物質層を形成することができ、負極集電体の両面を用いて電極を構成する場合に工程数を削減することができる。
電解液516は、上記したように電解質塩を含む非水溶液又は電解質塩を含む水溶液である。特に、リチウム二次電池では、キャリアイオンであるリチウムイオンを移送することが可能で、且つリチウムイオンが安定して存在することが可能である含リチウム電解質塩を用いる。例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSONなどのリチウム塩がある。なお、キャリアイオンをリチウム以外のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとする場合には、電解液516の溶質として、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、ストロンチウム塩又はバリウム塩など)、ベリリウム塩又はマグネシウム塩などを用いることができる。
また、電解液516は、電解質塩を含む非水溶液とすることが好ましい。つまり、電解液516の溶媒は、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどが挙げられ、これらの一又は複数を用いることができる。さらに、非プロトン性有機溶媒として、一のイオン液体又は複数のイオン液体を用いてもよい。イオン液体は、難燃性および難揮発性であることから、蓄電装置500の内部温度が上昇した際に蓄電装置500の破裂又は発火などを抑制でき、安全性を高めることが可能となる。
また、電解液516として、電解質塩を含み、且つゲル化された高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まり、蓄電装置500の薄型化および軽量化が可能となる。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はフッ素系ポリマーなどがある。
さらに、電解液516としては、LiPOなどの固体電解質を用いることができる。
セパレータ514として、絶縁性の多孔体を用いる。例えば、紙、不織布、ガラス繊維、或いはナイロン(ポリイミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維、或いは合成樹脂、セラミック等で形成されたものを用いればよい。ただし、電解液516に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
リチウム二次電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、充放電容量が大きい。また、動作電圧が高い。そのため、小型化および軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
本実施の形態に記載した蓄電装置をリチウムイオンキャパシタとする場合には、正極活物質層520の代わりに、リチウムイオンおよびアニオンの一方又は双方を可逆的に挿入・脱離できる材料を用いればよい。当該材料としては、活性炭、黒鉛、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)などがある。
本実施の形態に記載した蓄電装置は、正極および負極共に集電体と活物質層の密着性が高いため、電極を折り曲げることもでき、可撓性を有する蓄電装置を作製することもできる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
上記実施の形態に記載した蓄電装置は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用いることができる。
上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の具体例として、表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫や透析装置等の医療用電気機器などが挙げられる。また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。
図6に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図6において、表示装置5000は、蓄電装置5004として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置5000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体5001、表示部5002、スピーカー部5003、蓄電装置5004等を有する。蓄電装置5004は、筐体5001の内部に設けられている。表示装置5000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5004を無停電電源として用いることで、表示装置5000の利用が可能となる。
表示部5002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図6において、据え付け型の照明装置5100は、蓄電装置5103として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置5100は、筐体5101、光源5102、蓄電装置5103等を有する。図6では、蓄電装置5103が、筐体5101および光源5102が据え付けられた天井5104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5103は、筐体5101の内部に設けられていても良い。照明装置5100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5103を無停電電源として用いることで、照明装置5100の利用が可能となる。
なお、図6では天井5104に設けられた据え付け型の照明装置5100を例示しているが、上記実施の形態に記載した蓄電装置は、天井5104以外、例えば側壁5105、床5106、窓5107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源5102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図6において、室内機5200および室外機5204を有するエアコンディショナーは、蓄電装置5203として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機5200は、筐体5201、送風口5202、蓄電装置5203等を有する。図6では、蓄電装置5203が、室内機5200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5203は室外機5204に設けられていても良い。或いは、室内機5200と室外機5204の両方に、蓄電装置5203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機5200と室外機5204の両方に蓄電装置5203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図6では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることもできる。
図6において、電気冷凍冷蔵庫5300は、蓄電装置5304として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫5300は、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303、蓄電装置5304等を有する。図5では、蓄電装置5304が、筐体5301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫5300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫5300の利用が可能となる。
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫5300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置5304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置5304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
次に、電気機器の一例である携帯情報端末について、図7を用いて説明する。
図7(A)及び図7(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図7(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図7(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図7(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図7(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示しており、バッテリー9635は、上記実施の形態で説明した蓄電装置を有している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図7(A)及び図7(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図7(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図7(C)にブロック図を示し説明する。図7(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図7(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態で説明した蓄電装置を具備していれば、図7に示した電気機器に特に限定されないことは言うまでもない。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、電気化学的なエージングの具体的な条件(電気化学的なエージング条件1、及び2)について図8乃至図10を用いて説明する。図8は電気化学的なエージングの条件1を示す図である。図9(A)及び(B)は電気化学的なエージングの条件2、3を示す図である。図10は、電気化学的なエージング条件1、2それぞれのエージング処理を行った負極を用いたリチウム二次電池のサイクル特性を比較したものである。
以下に説明する電気化学的なエージング条件1乃至3によるエージング処理は、いずれもエージングの対象として、実施の形態2で説明した複数のウィスカー状の部分を有するシリコンからなる活物質層を用いた。活物質層は集電体として機能するチタンシート上に形成し、これらをエージング用セルにおける正極として用いた。また共通して、対極(エージング用セルにおける負極)には金属リチウムを用いた。電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒にLiPFを溶解させたものを用いた。セパレータにはポリプロピレン(PP)を用いた。これらを充放電測定用のセル(宝泉株式会社製HSセル)に仕込み、充放電測定に用いた。充放電速度は0.2Cのレートに従った。
(電気化学的なエージング条件1)
電気化学的なエージング条件1を図8に示す。横軸は容量(mAh)、縦軸は電圧(V)を示す。曲線701に示すように、電気化学的なエージング条件1では、二次電池の負極となる電極に容量にして0.10mAhの分、リチウム挿入した。これは全容量の約7%に相当する挿入量であり、負極の不可逆容量で消費されるリチウムの量にあたる。図8から分かるように、電極へのリチウム挿入直後は電圧が1V以上の高い値をとっている。これは主に電極表面への皮膜の形成にリチウムが消費されたと考えられる。従って、シリコンとリチウムの反応はほとんど行われていない。0.10mAh分のリチウム挿入時には、電圧は約0.12Vであった。
(電気化学的なエージング条件2)
電気化学的なエージング条件2を図9(A)に示す。横軸は容量(mAh)、縦軸は電圧(V)を示す。曲線801に示すように、電気化学的なエージング条件2では、まずリチウムを二次電池の負極となる電極に概略最大となる量を挿入した。グラフの左から右にかけてリチウムの挿入が進むため、容量が増加している。この負極へのリチウムの挿入は、充放電レートを0.2Cとしたとき、前記負極と前記対極との電位差が0.03V以上0.2V以下の範囲において行われる。その後、曲線802に示すように、0.13mAhの容量が残存するようにリチウムを脱離させてエージング処理を行った。図9(A)において点線で挟まれる区間803が0.13mAhの容量である。これは全容量の約9%を残存させたことに相当する。
(電気化学的なエージング条件3)
電気化学的なエージング条件3を図9(B)に示す。横軸は容量(mAh)、縦軸は電圧(V)を示す。曲線804に示すように、電気化学的なエージング条件3でも条件2と同様に、まずリチウムを二次電池の負極となる電極に概略最大となる量を挿入した。この負極へのリチウムの挿入は、充放電レートを0.2Cとしたとき、前記負極と前記対極との電位差が0.03V以上0.2V以下の範囲において行われる。次に、曲線805に示すように、リチウムを脱離させてエージング処理を行った。ここではエージング条件2とは異なり、0.76mAhの容量806が残存するようにリチウムを脱離させた。これは全容量の約43%に相当する。
(電気化学的なエージング処理の評価)
図4に、電気化学的なエージング処理を行った電極を用いたリチウム二次電池のサイクル寿命評価の測定結果を示す。電気化学的なエージング処理を行っていない電極を用いた二次電池のサイクル特性401は、サイクル数の増加とともに容量が減少しているため、劣化していることがわかる。これに対して、上述した電気化学的なエージング条件2に基づいてエージング処理を施した電極をリチウム二次電池に組み上げ、そのサイクル特性を測定したものが、曲線402である。サイクルの初期においては容量がわずかに低下するものの、全容量に対する20%以上の劣化を示す点線404を下回ることはない。一方、50サイクル以上の充放電を繰り返した場合には、サイクル数が増大しても容量の低下は一切見られず、それとは逆に容量が初期の値に回復する方向に増加していることがわかる。
一方、図4において曲線403は、電気化学的なエージング条件1に基づくエージング処理を行った電極を負極に用いたリチウム二次電池のサイクル特性を示すものである。充放電を繰り返すに伴い、容量が減少している。このことから、負極の不可逆容量に相当する量を予め電気化学的な方法で負極に挿入した場合であっても、シリコン等の合金系材料を活物質として用いたリチウム二次電池のサイクル特性は改善されないことがわかる。
図10において、電気化学的なエージング条件2と条件3に基づいてそれぞれ処理を施した負極を用いたリチウム二次電池のサイクル特性を比較する。横軸に示すサイクル数に対する放電容量(mAh/g)の変動を縦軸に示す。曲線901が電気化学的なエージング条件2に基づくエージング処理を施した電極によるものであり、曲線902は条件3に従ったものである。曲線901と曲線902はほぼ重なっており、いずれの場合においてもサイクル数に伴う容量の劣化は見られなかった。このことから、条件2、3によらず、負極のサイクル特性の劣化が改善されたことが明らかとなった。
以上のことから、電気化学的なエージング処理を負極に用いる活物質に施し、その後リチウム二次電池の負極として組み上げ用いることで、負極のサイクル特性に関する劣化が著しく改善されることがわかる。特に、負極に用いる合金系材料の活物質に、リチウムを挿入した後に当該リチウムを放出することで、負極のサイクル特性に関する劣化が著しく改善される。このことから、リチウムの充放電を目的とした電気化学的なエージング処理を、電池の組立前に負極となる電極に施すことで、負極に用いる合金系材料の活物質におけるリチウムとの反応性が改善されると考えられる。
101a 1回目の充電
101b 2回目の充電
102a 1回目の放電
102b 2回目の放電
300 エージング用セル
301 容器
302 電解液
303 集電体
304 活物質層
305 電極
306 対極
307 セパレータ

Claims (6)

  1. リチウムの挿入及び脱離が可能な正極活物質を含む正極と、リチウムの挿入及び脱離が可能な負極活物質を含む負極と、電解液と、を有するリチウム二次電池の製造方法において、
    前記リチウム二次電池の組立て前に、対極を用いて前記負極にリチウムを電気化学的に挿入し、
    前記挿入の後に、前記負極に挿入したリチウムの一部を電気化学的に脱離し、
    前記脱離の後に、前記リチウム二次電池の組立を行うことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記挿入は、充放電レートを0.2Cとしたとき、前記負極と前記対極との電位差が0.03V以上0.2V以下の範囲で行うことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記負極活物質は、シリコンであることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記負極活物質は、突起又は凸状の部分を有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記挿入は、前記負極にリチウムの挿入量が概略最大となるように行うことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記対極は、金属リチウムであることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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