JP2002093411A - 非水電解質二次電池用負極材料 - Google Patents
非水電解質二次電池用負極材料Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 充電・放電容量が大きく、サイクル寿命に優
れた非水電解質二次電池用負極材料。 【解決手段】 Siおよび/またはGeの非結晶質相、また
はこれとSiおよび/またはGeの固溶体または金属間化合
物の相とからなる負極材料。Liを注入すると、放電容量
とサイクル寿命がさらに改善される。上記非結晶質相
は、アモルファスメタルの製造法に従って形成するか、
Siおよび/またはGeのLi化物からLiを放電等により抜く
ことにより形成することができる。
れた非水電解質二次電池用負極材料。 【解決手段】 Siおよび/またはGeの非結晶質相、また
はこれとSiおよび/またはGeの固溶体または金属間化合
物の相とからなる負極材料。Liを注入すると、放電容量
とサイクル寿命がさらに改善される。上記非結晶質相
は、アモルファスメタルの製造法に従って形成するか、
Siおよび/またはGeのLi化物からLiを放電等により抜く
ことにより形成することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム等を多量
に吸蔵・放出することができる非水電解質二次電池用負
極材料に関する。さらに詳しくは、放電容量が高く、サ
イクル特性にも優れたリチウムイオン電池等の非水電解
質二次電池用負極材料に関する。
に吸蔵・放出することができる非水電解質二次電池用負
極材料に関する。さらに詳しくは、放電容量が高く、サ
イクル特性にも優れたリチウムイオン電池等の非水電解
質二次電池用負極材料に関する。
【0002】なお、本発明でいう非水電解質二次電池
は、支持電解質を有機溶媒に溶解した非水電解質を用い
た電池と、高分子電解質やゲル電解質等の非水電解質を
用いた電池とを包含する。
は、支持電解質を有機溶媒に溶解した非水電解質を用い
た電池と、高分子電解質やゲル電解質等の非水電解質を
用いた電池とを包含する。
【0003】
【従来の技術】携帯可能な小型の電気・電子機器の普及
と性能向上に伴い、リチウムイオン二次電池といった高
容量を得ることができる非水電解質二次電池の生産量は
大きく伸びており、その容量やサイクル寿命の向上が引
き続き求められている。
と性能向上に伴い、リチウムイオン二次電池といった高
容量を得ることができる非水電解質二次電池の生産量は
大きく伸びており、その容量やサイクル寿命の向上が引
き続き求められている。
【0004】現在の一般的な非水電解質二次電池では、
負極材料として主に炭素材が使用されている。しかし、
炭素材からなる負極では、LiC6の組成までしかLiを吸蔵
できないため容量の理論的最大値は372 mAh/g と、金属
リチウムの場合の約1/10に過ぎず、容量向上に限界があ
る。
負極材料として主に炭素材が使用されている。しかし、
炭素材からなる負極では、LiC6の組成までしかLiを吸蔵
できないため容量の理論的最大値は372 mAh/g と、金属
リチウムの場合の約1/10に過ぎず、容量向上に限界があ
る。
【0005】負極材料として当初使用された金属リチウ
ムは、非常な高容量を得ることができるものの、電池の
充電・放電を繰り返すとデンドライトが析出して短絡が
発生するため、充電・放電のサイクル寿命が短く、実用
的ではなかった。
ムは、非常な高容量を得ることができるものの、電池の
充電・放電を繰り返すとデンドライトが析出して短絡が
発生するため、充電・放電のサイクル寿命が短く、実用
的ではなかった。
【0006】高容量化を図るため、金属間化合物の形成
によりLiを可逆的に吸蔵・放出することができるAlとい
った元素を負極材に用いる提案もあったが、吸蔵・放出
に伴う体積変化により割れが生じ、微粉化する。そのた
め、この負極材料を用いた二次電池は、充電・放電のサ
イクルが進むと急激に容量が低下し、サイクル寿命が短
いものになる。
によりLiを可逆的に吸蔵・放出することができるAlとい
った元素を負極材に用いる提案もあったが、吸蔵・放出
に伴う体積変化により割れが生じ、微粉化する。そのた
め、この負極材料を用いた二次電池は、充電・放電のサ
イクルが進むと急激に容量が低下し、サイクル寿命が短
いものになる。
【0007】この体積変化による負極材料の微粉化を防
止するための対策として、電極材料としてのAlにLi、S
i、B等を添加してAl材の格子定数を大きくすることが
提案された (特開平3−280363号公報) 。しかし、効果
が不十分でサイクル寿命を十分に向上させることができ
ない。また、ケイ化物や他の金属化合物の格子間にLiを
吸蔵・放出させる提案もなされているが (特開平7−24
0201号、同9−63650 号各公報) 、いずれも大きな効果
があるものではなかった。
止するための対策として、電極材料としてのAlにLi、S
i、B等を添加してAl材の格子定数を大きくすることが
提案された (特開平3−280363号公報) 。しかし、効果
が不十分でサイクル寿命を十分に向上させることができ
ない。また、ケイ化物や他の金属化合物の格子間にLiを
吸蔵・放出させる提案もなされているが (特開平7−24
0201号、同9−63650 号各公報) 、いずれも大きな効果
があるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リチウムを
吸蔵・放出する量が大きく、非水電解質二次電池の負極
材料として用いた場合の充電・放電容量が大きく、しか
も充電・放電を繰り返すことによる容量低下が少なく、
サイクル寿命に優れている非水電解質二次電池用負極材
料を提供することを目的とする。
吸蔵・放出する量が大きく、非水電解質二次電池の負極
材料として用いた場合の充電・放電容量が大きく、しか
も充電・放電を繰り返すことによる容量低下が少なく、
サイクル寿命に優れている非水電解質二次電池用負極材
料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】シリコン(Si)およびゲル
マニウム(Ge)は、多量のLiを可逆的に吸蔵・放出するこ
とができ、高容量の非水電解質二次電池用の負極材料と
なることが知られている。例えば、Siの理論最大容量は
4200 mAh/g (9800 mAh/cc:比重2.33) であり、これは金
属Liの理論最大容量 (3900 mAh/g (2100 mAh/cc:比重0.
53) と比べても、電池の小型化という観点から重要な単
位体積あたりの容量では、Liの4倍以上という高さにな
る。Geは、理論最大容量が1600 mAh/g (8500 mAh/cc:比
重5.32)であり、やはり単位体積あたりの容量は非常に
高い。
マニウム(Ge)は、多量のLiを可逆的に吸蔵・放出するこ
とができ、高容量の非水電解質二次電池用の負極材料と
なることが知られている。例えば、Siの理論最大容量は
4200 mAh/g (9800 mAh/cc:比重2.33) であり、これは金
属Liの理論最大容量 (3900 mAh/g (2100 mAh/cc:比重0.
53) と比べても、電池の小型化という観点から重要な単
位体積あたりの容量では、Liの4倍以上という高さにな
る。Geは、理論最大容量が1600 mAh/g (8500 mAh/cc:比
重5.32)であり、やはり単位体積あたりの容量は非常に
高い。
【0010】しかし、SiまたはGe (以下、Si等と総称す
ることもある) からなる負極材料は、Alの場合と同様
に、Liの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きいため、充電
・放電のサイクルを繰り返すと、割れにより微粉化し易
く、サイクル寿命が極端に短くなるため、Si等を負極材
料にする実用的な試みはこれまでほとんどなされたこと
がない。
ることもある) からなる負極材料は、Alの場合と同様
に、Liの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きいため、充電
・放電のサイクルを繰り返すと、割れにより微粉化し易
く、サイクル寿命が極端に短くなるため、Si等を負極材
料にする実用的な試みはこれまでほとんどなされたこと
がない。
【0011】本発明者らは、SiやGeからなる負極材料の
持つ、著しく高い理論容量という特性に着目し、この特
性を活かし、かつそのサイクル寿命を向上させる技術に
ついて検討を重ねた。その結果、負極材料中のSiやGeの
原子を、各原子が規則的に配列している結晶質相ではな
く、不規則に配列している非結晶質相の状態で存在させ
た方が、空隙が多くなるため、Liを吸蔵する容量が大き
くなり、しかもLiの吸蔵・放出に伴う体積変化も小さく
なり、サイクル寿命が著しく改善されることを見出し
た。
持つ、著しく高い理論容量という特性に着目し、この特
性を活かし、かつそのサイクル寿命を向上させる技術に
ついて検討を重ねた。その結果、負極材料中のSiやGeの
原子を、各原子が規則的に配列している結晶質相ではな
く、不規則に配列している非結晶質相の状態で存在させ
た方が、空隙が多くなるため、Liを吸蔵する容量が大き
くなり、しかもLiの吸蔵・放出に伴う体積変化も小さく
なり、サイクル寿命が著しく改善されることを見出し
た。
【0012】また、非結晶質のSiやGeに加えて、それら
元素を含む金属間化合物を共存させた負極材料は、Li吸
蔵相であるSi相またはGe相の量が減るために容量は低下
するものの、SiやGeのLi吸蔵・放出に伴う体積変化が固
溶体または金属間化合物で拘束される結果、サイクル寿
命がさらに改善されることが判明した。この改善は、固
溶体や金属間化合物の相が非結晶質のSiやGe相の周囲の
少なくとも一部を囲むようにして存在する場合により一
層効果的となる。
元素を含む金属間化合物を共存させた負極材料は、Li吸
蔵相であるSi相またはGe相の量が減るために容量は低下
するものの、SiやGeのLi吸蔵・放出に伴う体積変化が固
溶体または金属間化合物で拘束される結果、サイクル寿
命がさらに改善されることが判明した。この改善は、固
溶体や金属間化合物の相が非結晶質のSiやGe相の周囲の
少なくとも一部を囲むようにして存在する場合により一
層効果的となる。
【0013】さらに、これらの負極材料を使用する前
に、予めLi注入処理を施して、非結晶質のSi相やGe相に
Liを含有させ、使用時の放電等でLiを放出させると、Si
相またはGe相の格子間の空隙が広がり、Liの吸蔵量の増
大と体積変化の減少につながるため、容量およびサイク
ル寿命がさらに向上することもわかった。これはLiを吸
蔵している部分が非結晶質化したためと推測している。
に、予めLi注入処理を施して、非結晶質のSi相やGe相に
Liを含有させ、使用時の放電等でLiを放出させると、Si
相またはGe相の格子間の空隙が広がり、Liの吸蔵量の増
大と体積変化の減少につながるため、容量およびサイク
ル寿命がさらに向上することもわかった。これはLiを吸
蔵している部分が非結晶質化したためと推測している。
【0014】これらの知見に基づいて完成した本発明
は、Siおよび/またはGeから構成された非結晶質の相を
含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極材料
を要旨とする。ここで、非結晶質とは、非晶質と準結晶
(quasi-crystal) 状態の両者を含む意味である。
は、Siおよび/またはGeから構成された非結晶質の相を
含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極材料
を要旨とする。ここで、非結晶質とは、非晶質と準結晶
(quasi-crystal) 状態の両者を含む意味である。
【0015】本発明の好適態様にあっては、 (1) Siおよび/またはGeからなる元素Aと、周期表の2
A族元素、遷移元素、3B族元素および4B族元素から
選ばれたA以外の1種以上の元素B、とで構成される金
属間化合物の相をさらに含み、 (2) 該非結晶質の相が負極材料の2〜55vol%を占め、
および/または (3) 予めLi注入処理が施されている。
A族元素、遷移元素、3B族元素および4B族元素から
選ばれたA以外の1種以上の元素B、とで構成される金
属間化合物の相をさらに含み、 (2) 該非結晶質の相が負極材料の2〜55vol%を占め、
および/または (3) 予めLi注入処理が施されている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の負極材料は、電池の充電
・放電に伴ってLiを吸蔵・放出する種類の非水電解質二
次電池の負極材料として使用される。ただし、Liに限ら
ず、同様に卑な金属、例えばアルカリ金属に属する他の
金属を用いた非水電解質二次電池があれば、それに用い
ても同様な効果を奏することができる。
・放電に伴ってLiを吸蔵・放出する種類の非水電解質二
次電池の負極材料として使用される。ただし、Liに限ら
ず、同様に卑な金属、例えばアルカリ金属に属する他の
金属を用いた非水電解質二次電池があれば、それに用い
ても同様な効果を奏することができる。
【0017】本発明の負極材料は、Siおよび/またはGe
から構成された非結晶質の相を含む。即ち、非結晶質の
Si相、Ge相、およびSi−Ge合金相の少なくとも1種を含
む。負極材料中のSi相および/またはGe相の全てが非結
晶質である必要はなく、結晶質のSi相および/またはGe
相が共存していてもよい。しかし、非結晶質の相の割合
が多いほど、負極材料の容量やサイクル寿命が改善され
る。
から構成された非結晶質の相を含む。即ち、非結晶質の
Si相、Ge相、およびSi−Ge合金相の少なくとも1種を含
む。負極材料中のSi相および/またはGe相の全てが非結
晶質である必要はなく、結晶質のSi相および/またはGe
相が共存していてもよい。しかし、非結晶質の相の割合
が多いほど、負極材料の容量やサイクル寿命が改善され
る。
【0018】本発明において、非結晶質とは、結晶質以
外の状態、即ち、非晶質(アモルファス)に加えて、準
結晶質も包含する意味である。準結晶(quasi-crystal)
とは、回折点を与える非周期構造を持つ結晶を意味す
る。結晶質では決まった方向に決まった周期で同じ構造
が現われるのに対し、方向や周期は一定しないが、ある
一定の距離内に同じ構造が現われる状態が準結晶状態で
ある。代表的な準結晶では、結晶質の金属や金属間化合
物には見られない、5回または10回の回転対称性を有す
る。即ち、準結晶は、長距離方位規則性と準周期的並進
対称性を持ち、結晶とは異なって点対称性 (回転対称
性) を示すため、鋭い斑点からなる電子回折像を与える
ので、電子顕微鏡の高分解能像や暗視野像の観察等から
判別することができる。
外の状態、即ち、非晶質(アモルファス)に加えて、準
結晶質も包含する意味である。準結晶(quasi-crystal)
とは、回折点を与える非周期構造を持つ結晶を意味す
る。結晶質では決まった方向に決まった周期で同じ構造
が現われるのに対し、方向や周期は一定しないが、ある
一定の距離内に同じ構造が現われる状態が準結晶状態で
ある。代表的な準結晶では、結晶質の金属や金属間化合
物には見られない、5回または10回の回転対称性を有す
る。即ち、準結晶は、長距離方位規則性と準周期的並進
対称性を持ち、結晶とは異なって点対称性 (回転対称
性) を示すため、鋭い斑点からなる電子回折像を与える
ので、電子顕微鏡の高分解能像や暗視野像の観察等から
判別することができる。
【0019】SiやGeは、特に単位体積当たりではLiをは
るかに凌ぐ高い理論最大容量を示すが、サイクル寿命が
悪いことは既に説明した通りである。本発明では、この
SiやGeの少なくとも一部が非結晶質の相として存在す
る。それにより、Liの吸蔵量が増大して容量がさらに増
大する上、充電・放電を繰り返した場合のサイクル寿命
が著しく向上する。その理由は次のように推測される。
るかに凌ぐ高い理論最大容量を示すが、サイクル寿命が
悪いことは既に説明した通りである。本発明では、この
SiやGeの少なくとも一部が非結晶質の相として存在す
る。それにより、Liの吸蔵量が増大して容量がさらに増
大する上、充電・放電を繰り返した場合のサイクル寿命
が著しく向上する。その理由は次のように推測される。
【0020】Siおよび/またはGeの非結晶質相は、四面
体が無秩序に歪んだ構造を持ち、結晶質相に比べて格子
間の空隙 (マイクロボイド) が大きく、またSiまたはGe
原子が未結合手 (ダングリングボンド) をかなり有して
いる。そのため、Liの拡散が容易となり、かつ空隙が大
きいためにLi吸蔵量が増大し、負極材料とした場合に大
きな容量を示すことができる。しかも、非結晶質相の場
合には、最初から空隙である部分においてLiの吸蔵・放
出が起こるので、結晶質相に比べて、Liの吸蔵・放出に
伴う体積変化が著しく少なくなり、負極材料のサイクル
寿命が著しく改善される。
体が無秩序に歪んだ構造を持ち、結晶質相に比べて格子
間の空隙 (マイクロボイド) が大きく、またSiまたはGe
原子が未結合手 (ダングリングボンド) をかなり有して
いる。そのため、Liの拡散が容易となり、かつ空隙が大
きいためにLi吸蔵量が増大し、負極材料とした場合に大
きな容量を示すことができる。しかも、非結晶質相の場
合には、最初から空隙である部分においてLiの吸蔵・放
出が起こるので、結晶質相に比べて、Liの吸蔵・放出に
伴う体積変化が著しく少なくなり、負極材料のサイクル
寿命が著しく改善される。
【0021】非結晶質化の程度は、格子間の空隙量に依
存する。従って、非結晶質化の程度が増加するにつれ、
材料の密度は小さくなる。このことから、結晶質材の密
度に対する非結晶質材の密度の比によって、非結晶質化
の程度を表わすことができ、この密度比が小さいほど非
結晶質化の程度が大きい。本発明の負極材料では、この
密度比が0.995 以下であることが好ましく、0.98以下で
あることがさらに好ましい。
存する。従って、非結晶質化の程度が増加するにつれ、
材料の密度は小さくなる。このことから、結晶質材の密
度に対する非結晶質材の密度の比によって、非結晶質化
の程度を表わすことができ、この密度比が小さいほど非
結晶質化の程度が大きい。本発明の負極材料では、この
密度比が0.995 以下であることが好ましく、0.98以下で
あることがさらに好ましい。
【0022】しかし、負極材料の全体がLi吸蔵相である
Siおよび/またはGeからなる相であると、たとえそれが
非結晶質を含んでいても、充電・放電による体積変化が
かなりの程度で起こるので、Li吸蔵相であるSiおよび/
またはGeを非結晶質化するという手法だけでは、サイク
ル寿命の改善に限界がある。
Siおよび/またはGeからなる相であると、たとえそれが
非結晶質を含んでいても、充電・放電による体積変化が
かなりの程度で起こるので、Li吸蔵相であるSiおよび/
またはGeを非結晶質化するという手法だけでは、サイク
ル寿命の改善に限界がある。
【0023】上記の限界を超えてサイクル寿命をさらに
改善するには、このLi吸蔵相に加えて、Li吸蔵能を全く
またはほとんど示さない別の相が共存した組織とするこ
とが有効である。この別の相は、充電・放電時の体積変
化をほとんど示さないので、この相が負極材料中に共存
することで、Li吸蔵相であるSiおよび/またはGeの相が
体積変化に対して拘束を受け、体積変化が少なくなるた
め、負極材料が割れにくくなり、サイクル寿命が改善さ
れる。但し、この別の相はLi吸蔵能がないか、非常に小
さいので、その分だけ電池の容量は低下する。
改善するには、このLi吸蔵相に加えて、Li吸蔵能を全く
またはほとんど示さない別の相が共存した組織とするこ
とが有効である。この別の相は、充電・放電時の体積変
化をほとんど示さないので、この相が負極材料中に共存
することで、Li吸蔵相であるSiおよび/またはGeの相が
体積変化に対して拘束を受け、体積変化が少なくなるた
め、負極材料が割れにくくなり、サイクル寿命が改善さ
れる。但し、この別の相はLi吸蔵能がないか、非常に小
さいので、その分だけ電池の容量は低下する。
【0024】本発明者の知見では、このような別の相
は、Li吸蔵相であるSiおよび/またはGeを含む金属間化
合物であることが好ましい。このような負極材料、例え
ば、Si相とSiを含む金属間化合物の相とからなる負極材
料は、Siと金属間化合物中のSi以外の元素とを含有する
原料から容易に製造することができる。Li吸蔵相と別の
相が同じ元素(例、Si)を含有しているので、両相間の
結合が強く、体積変化の拘束力が高い。Siおよび/また
はGeを含む金属間化合物の相は、結晶質、非晶質または
それらの混合組織のいずれでもよい。
は、Li吸蔵相であるSiおよび/またはGeを含む金属間化
合物であることが好ましい。このような負極材料、例え
ば、Si相とSiを含む金属間化合物の相とからなる負極材
料は、Siと金属間化合物中のSi以外の元素とを含有する
原料から容易に製造することができる。Li吸蔵相と別の
相が同じ元素(例、Si)を含有しているので、両相間の
結合が強く、体積変化の拘束力が高い。Siおよび/また
はGeを含む金属間化合物の相は、結晶質、非晶質または
それらの混合組織のいずれでもよい。
【0025】特に好ましい別の相は、Siおよび/または
Geからなる元素Aと、周期表の2A族元素、遷移元素、
3B族元素および4B族元素から選ばれたA以外の1種
以上の元素Bとで構成される固溶体および/または金属
間化合物の相である。これらの固溶体や金属間化合物
は、特にサイクル寿命の改善効果が高い。
Geからなる元素Aと、周期表の2A族元素、遷移元素、
3B族元素および4B族元素から選ばれたA以外の1種
以上の元素Bとで構成される固溶体および/または金属
間化合物の相である。これらの固溶体や金属間化合物
は、特にサイクル寿命の改善効果が高い。
【0026】元素Bの具体例としては、 2A族元素:Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra 遷移元素:Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd;ランタノイ
ド (La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu) ;ならびにアクチノイド (Ac、Th、P
a、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、Lr) 3B族元素:B、Al、Ga、In、Tl 4B族元素:C、Si、Ge、Sn、Pb が挙げられる。B元素として好ましいのは遷移元素であ
り、中でもCo、V、Ti、Niが特に好ましい。
Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd;ランタノイ
ド (La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu) ;ならびにアクチノイド (Ac、Th、P
a、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、Lr) 3B族元素:B、Al、Ga、In、Tl 4B族元素:C、Si、Ge、Sn、Pb が挙げられる。B元素として好ましいのは遷移元素であ
り、中でもCo、V、Ti、Niが特に好ましい。
【0027】このSiおよび/またはGeを含有する金属間
化合物および/または固溶体からなる別の相は、Li吸蔵
相であるSiおよび/またはGeの非結晶質相を体積変化に
対して拘束するように、このLi吸蔵相を少なくとも部分
的に包囲していることが好ましい。溶製中に金属間化合
物および/または固溶体をSiおよび/またはGe相と同時
に生成させた場合には、一般にこの部分的な包囲という
条件は満たされる。
化合物および/または固溶体からなる別の相は、Li吸蔵
相であるSiおよび/またはGeの非結晶質相を体積変化に
対して拘束するように、このLi吸蔵相を少なくとも部分
的に包囲していることが好ましい。溶製中に金属間化合
物および/または固溶体をSiおよび/またはGe相と同時
に生成させた場合には、一般にこの部分的な包囲という
条件は満たされる。
【0028】また、このLi吸蔵相は、それらの少なくと
も一部が負極材料の粒子の表面の露出していることが好
ましく、それらの少なくとも一部が互いに連結した組織
となっていることがさらに好ましい。Li吸蔵相であるSi
やGeの相が表面に露出していると、外部の電解液からLi
が固溶体や金属間化合物の相を介さずに、直接SiやGeの
相に侵入でき、また互いに連結していると、別のSiやGe
の相に容易に移動できるからである。
も一部が負極材料の粒子の表面の露出していることが好
ましく、それらの少なくとも一部が互いに連結した組織
となっていることがさらに好ましい。Li吸蔵相であるSi
やGeの相が表面に露出していると、外部の電解液からLi
が固溶体や金属間化合物の相を介さずに、直接SiやGeの
相に侵入でき、また互いに連結していると、別のSiやGe
の相に容易に移動できるからである。
【0029】SiやGeの非結晶質相が互いに連結した組織
の占める割合は、多ければ多いほどよいが、一部であっ
てもそのような構造があれば効果はある。このような、
SiやGeの非結晶質相の少なくとも一部が粒子表面に露出
し、かつ互いに連結しているような組織は、SiやGeを含
む金属間化合物が初晶として析出する材料の場合に得る
ことができる。
の占める割合は、多ければ多いほどよいが、一部であっ
てもそのような構造があれば効果はある。このような、
SiやGeの非結晶質相の少なくとも一部が粒子表面に露出
し、かつ互いに連結しているような組織は、SiやGeを含
む金属間化合物が初晶として析出する材料の場合に得る
ことができる。
【0030】本発明の負極材料において、Siおよび/ま
たはGeの非結晶質相 (非晶質相+準結晶相) は、負極材
料中の2〜55 vol% の割合を占めることが好ましい。残
りの相は、Siおよび/またはGeの結晶質相であるか、こ
の結晶質相と上述したような金属間化合物の相とから構
成されうる。SiおよびGeの非結晶質相は、少量であって
も容量はサイクル寿命の改善を与えるが、負極材料中の
割合が2vol%未満であると、効果がほとんどなくなる。
Siおよび/またはGeの非結晶質相の割合がが55vol% を
超えると、容量は大きくなるが、残りが全てが体積変化
を抑える上記の金属間化合物の相であっても、サイクル
寿命の十分な改善が得られないことがある。Siおよび/
またはGeの非結晶質相のより好ましい範囲は6〜55vol%
である。負極材料中のSiおよび/またはGeの非結晶質相
の割合は、SEM画像解析により決定することができ
る。
たはGeの非結晶質相 (非晶質相+準結晶相) は、負極材
料中の2〜55 vol% の割合を占めることが好ましい。残
りの相は、Siおよび/またはGeの結晶質相であるか、こ
の結晶質相と上述したような金属間化合物の相とから構
成されうる。SiおよびGeの非結晶質相は、少量であって
も容量はサイクル寿命の改善を与えるが、負極材料中の
割合が2vol%未満であると、効果がほとんどなくなる。
Siおよび/またはGeの非結晶質相の割合がが55vol% を
超えると、容量は大きくなるが、残りが全てが体積変化
を抑える上記の金属間化合物の相であっても、サイクル
寿命の十分な改善が得られないことがある。Siおよび/
またはGeの非結晶質相のより好ましい範囲は6〜55vol%
である。負極材料中のSiおよび/またはGeの非結晶質相
の割合は、SEM画像解析により決定することができ
る。
【0031】非結晶質のSiおよび/またはGe相を含む本
発明の負極材料のサイクル寿命をさらに改善する別の手
段は、使用前の負極材料に予めLiを注入(ドープ)して
おくことである。このLiに注入により、Li吸蔵相である
非晶質のSi相やGe相の格子間の空隙が広がり、一旦放電
等によりLiを除去した後に充電等によりLiを吸蔵させた
場合のLi吸蔵量が増大して容量が改善される上、体積変
化がさらに少なくなって、サイクル寿命も向上する。
発明の負極材料のサイクル寿命をさらに改善する別の手
段は、使用前の負極材料に予めLiを注入(ドープ)して
おくことである。このLiに注入により、Li吸蔵相である
非晶質のSi相やGe相の格子間の空隙が広がり、一旦放電
等によりLiを除去した後に充電等によりLiを吸蔵させた
場合のLi吸蔵量が増大して容量が改善される上、体積変
化がさらに少なくなって、サイクル寿命も向上する。
【0032】このLi注入によるサイクル寿命の改善効果
は、本質的にSiおよび/またはGe相のみからなる負極材
料(前述した体積変化を抑制する金属間化合物の相を含
有しない材料)の場合に特に有効である。負極材料へLi
の注入は、例えば、周知のイオン注入技術を利用して行
うことができる。Li注入量は1016〜1018イオン/cm3の
範囲が好ましい。
は、本質的にSiおよび/またはGe相のみからなる負極材
料(前述した体積変化を抑制する金属間化合物の相を含
有しない材料)の場合に特に有効である。負極材料へLi
の注入は、例えば、周知のイオン注入技術を利用して行
うことができる。Li注入量は1016〜1018イオン/cm3の
範囲が好ましい。
【0033】本発明の非結晶質のSiおよび/またはGeを
含む非水電解質二次電池用負極材料の製造方法は特に制
限されず、このような材料の製造が可能な各種の方法に
より製造することができる。説明を簡略化するために、
以下では非結晶質のSi相を含む負極材料の製造について
説明するが、非結晶質相がGe相またはSi−Ge合金相であ
っても基本的には同じ方法を採用できる。
含む非水電解質二次電池用負極材料の製造方法は特に制
限されず、このような材料の製造が可能な各種の方法に
より製造することができる。説明を簡略化するために、
以下では非結晶質のSi相を含む負極材料の製造について
説明するが、非結晶質相がGe相またはSi−Ge合金相であ
っても基本的には同じ方法を採用できる。
【0034】第1の方法は、公知のアモルファスメタル
の製造法を応用して、非結晶質状態が凍結されるような
手法で負極材料を製造する方法である。例えば、Si原料
またはSiと他のB元素とを含む原料を用い、原料の溶湯
を急冷して凝固させる液相凍結法(単ロール急冷法
等)、プラズマCVD 法、電子ビーム蒸着法、スパッタリ
ング法といった気相凍結法、イオンを固相に打ち込む固
相法等、のいずれかの方法でSi相が非結晶質となった負
極材料を製造することができる。
の製造法を応用して、非結晶質状態が凍結されるような
手法で負極材料を製造する方法である。例えば、Si原料
またはSiと他のB元素とを含む原料を用い、原料の溶湯
を急冷して凝固させる液相凍結法(単ロール急冷法
等)、プラズマCVD 法、電子ビーム蒸着法、スパッタリ
ング法といった気相凍結法、イオンを固相に打ち込む固
相法等、のいずれかの方法でSi相が非結晶質となった負
極材料を製造することができる。
【0035】この方法では、凝固時に2vol%以上の非結
晶質を形成する冷却速度で急冷することが好ましく、さ
らに好ましくは6vol%以上の非結晶質を形成する冷却速
度以上の急冷とする。
晶質を形成する冷却速度で急冷することが好ましく、さ
らに好ましくは6vol%以上の非結晶質を形成する冷却速
度以上の急冷とする。
【0036】第2の方法は、Si相が結晶質相である以外
は本発明と同じ組成の負極材料に、LiまたはLiイオンを
含む化合物を混合した混合物から作製した負極を用いて
電池を作製し、この電池を放電して負極からLiを抜く
と、負極中のSi相は非結晶質化する。Liは、結晶質のSi
相と金属間化合物を形成するのに十分な量で使用するこ
とが好ましい。しかし、結晶質のSi相を部分的に非結晶
質化するのであれば、それより少量でもよい。
は本発明と同じ組成の負極材料に、LiまたはLiイオンを
含む化合物を混合した混合物から作製した負極を用いて
電池を作製し、この電池を放電して負極からLiを抜く
と、負極中のSi相は非結晶質化する。Liは、結晶質のSi
相と金属間化合物を形成するのに十分な量で使用するこ
とが好ましい。しかし、結晶質のSi相を部分的に非結晶
質化するのであれば、それより少量でもよい。
【0037】また、この方法の変形として、負極材料を
構成する原料にLiを一緒に溶解してSiのLi化物の相を析
出させ、このSiのLi化物を含む負極材料から負極を作製
し、放電等の処理により負極からLiを抜き取ると、上と
同様に非晶質化したSi相を含む負極になる。この場合の
Liの使用量は、溶製中に析出するSi相と金属間化合物を
形成するのに十分な量とすることが好ましく、この量よ
り不足すると、Si相の部分的な非結晶質化にとどまる。
構成する原料にLiを一緒に溶解してSiのLi化物の相を析
出させ、このSiのLi化物を含む負極材料から負極を作製
し、放電等の処理により負極からLiを抜き取ると、上と
同様に非晶質化したSi相を含む負極になる。この場合の
Liの使用量は、溶製中に析出するSi相と金属間化合物を
形成するのに十分な量とすることが好ましく、この量よ
り不足すると、Si相の部分的な非結晶質化にとどまる。
【0038】本発明に係る負極材料から、当業者には周
知の電極の製造方法にしたがって非水電解質二次電池用
負極を製造することができる。例えば、本発明の負極材
料の粉末に、適当なバインダを混合し、必要に応じて導
電性向上のために適当な導電粉を混合する。この混合物
に、バインダが溶解する溶媒を加え、必要であればホモ
ジナイザー、ガラスビーズを用いて充分に攪拌してスラ
リー状にする。このスラリーを圧延銅箔、銅電析銅箔な
どの電極基板 (焦電体) に、ドクターブレード等を用い
て塗布し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化させるこ
とで非水電解質二次電池用負極を製造することができ
る。
知の電極の製造方法にしたがって非水電解質二次電池用
負極を製造することができる。例えば、本発明の負極材
料の粉末に、適当なバインダを混合し、必要に応じて導
電性向上のために適当な導電粉を混合する。この混合物
に、バインダが溶解する溶媒を加え、必要であればホモ
ジナイザー、ガラスビーズを用いて充分に攪拌してスラ
リー状にする。このスラリーを圧延銅箔、銅電析銅箔な
どの電極基板 (焦電体) に、ドクターブレード等を用い
て塗布し、乾燥した後、ロール圧延等で圧密化させるこ
とで非水電解質二次電池用負極を製造することができ
る。
【0039】バインダとしては、PVDF (ポリフッ化ビニ
リデン) 、PMMA (ポリメチルメタクリレート) 、PTFE
(ポリテトラフルオロエチレン) 等の非水溶性の樹脂、
ならびにCMC(カルボキシメチルセルロース) 、PVA(ポリ
ビニルアルコール) などの水溶性樹脂が例示される。溶
媒としては、バインダに応じて、NMP(N-メチルピロリド
ン) 、DMF(ジメチルホルムアミド) 等の有機溶媒、また
は水を使用する。
リデン) 、PMMA (ポリメチルメタクリレート) 、PTFE
(ポリテトラフルオロエチレン) 等の非水溶性の樹脂、
ならびにCMC(カルボキシメチルセルロース) 、PVA(ポリ
ビニルアルコール) などの水溶性樹脂が例示される。溶
媒としては、バインダに応じて、NMP(N-メチルピロリド
ン) 、DMF(ジメチルホルムアミド) 等の有機溶媒、また
は水を使用する。
【0040】導電粉としては、炭素材 (例、カーボンブ
ラック、黒鉛) と金属 (例、Ni) のいずれも使用できる
が、好ましいのは炭素材である。炭素材は、その層間に
Liを吸蔵することができるので、導電性に加えて、負極
の容量にも寄与することができ、また保液性にも富んで
いる。好ましい炭素材はアセチレンブラックである。炭
素材の配合量は、負極材料の5〜80質量%の範囲が好ま
しい。
ラック、黒鉛) と金属 (例、Ni) のいずれも使用できる
が、好ましいのは炭素材である。炭素材は、その層間に
Liを吸蔵することができるので、導電性に加えて、負極
の容量にも寄与することができ、また保液性にも富んで
いる。好ましい炭素材はアセチレンブラックである。炭
素材の配合量は、負極材料の5〜80質量%の範囲が好ま
しい。
【0041】この負極を非水電解質二次電池に使用す
る。非水電解質二次電池は、基本構造として、負極、正
極、セパレータ、非水系の電解質を含んでいる。負極以
外の正極、セパレータ、電解質については特に制限され
ず、従来より公知のもの、あるいは今後開発される材料
を適当に使用すればよい。非水電解質二次電池の形状も
特に制限されず、円筒型、角型、コイン型、シール型等
のいずれでもよい。
る。非水電解質二次電池は、基本構造として、負極、正
極、セパレータ、非水系の電解質を含んでいる。負極以
外の正極、セパレータ、電解質については特に制限され
ず、従来より公知のもの、あるいは今後開発される材料
を適当に使用すればよい。非水電解質二次電池の形状も
特に制限されず、円筒型、角型、コイン型、シール型等
のいずれでもよい。
【0042】
【実施例】以下の実施例および比較例における負極試験
の要領は次の通りである。 <負極試験>供試負極材料の粉末(平均粒径約30μm)
の質量に対して、バインダのポリフッ化ビニリデンを10
%、溶媒のN−メチルピロリドンを10%添加し、得られ
た混合物の質量に対して、導電粉のアセチレンブラック
粉末を10%加えて混練し、均一なスラリとした。
の要領は次の通りである。 <負極試験>供試負極材料の粉末(平均粒径約30μm)
の質量に対して、バインダのポリフッ化ビニリデンを10
%、溶媒のN−メチルピロリドンを10%添加し、得られ
た混合物の質量に対して、導電粉のアセチレンブラック
粉末を10%加えて混練し、均一なスラリとした。
【0043】得られたスラリを、厚さ30μmの電解銅箔
に塗布し、乾燥してロール圧延することにより圧密化し
たものを、直径13 mm のポンチで打ち抜き、非水電解質
二次電池の負極とした。この負極の厚さは約100 μmで
あった。なお、電子ビーム蒸着により負極材料の薄膜を
基板上に直接形成した負極の場合には、得られた蒸着基
板をそのまま負極として負極試験に用いた。
に塗布し、乾燥してロール圧延することにより圧密化し
たものを、直径13 mm のポンチで打ち抜き、非水電解質
二次電池の負極とした。この負極の厚さは約100 μmで
あった。なお、電子ビーム蒸着により負極材料の薄膜を
基板上に直接形成した負極の場合には、得られた蒸着基
板をそのまま負極として負極試験に用いた。
【0044】この負極の単極での性能を、対極および参
照極にLi金属を用いた、いわゆる3極式セルを用いて評
価した。電解液としては、エチレンカーボネートとジメ
トキシエタンの1:1の混合溶媒中に支持電解質のLiPF
6 を1M濃度で溶解させた溶液を用いた。測定は25℃で行
い、グローブボックスのように不活性雰囲気を維持でき
る装置を用いて、雰囲気の露点が−70℃程度である条件
で測定した。
照極にLi金属を用いた、いわゆる3極式セルを用いて評
価した。電解液としては、エチレンカーボネートとジメ
トキシエタンの1:1の混合溶媒中に支持電解質のLiPF
6 を1M濃度で溶解させた溶液を用いた。測定は25℃で行
い、グローブボックスのように不活性雰囲気を維持でき
る装置を用いて、雰囲気の露点が−70℃程度である条件
で測定した。
【0045】この3極式セルを、まず1/10充電 (10時間
で満充電となるような条件) で参照極の電位に対して負
極の電位が0Vとなるまで充電を行い、同じ電流値で参
照極の電位が負極の電位に対して2Vになるまで放電を
行った。この1サイクル目の放電容量をその負極材料の
放電容量とし、1サイクル目の放電容量に対する10サイ
クル目の放電容量の割合 (容量維持率、%) をサイクル
寿命の目安として記録した。
で満充電となるような条件) で参照極の電位に対して負
極の電位が0Vとなるまで充電を行い、同じ電流値で参
照極の電位が負極の電位に対して2Vになるまで放電を
行った。この1サイクル目の放電容量をその負極材料の
放電容量とし、1サイクル目の放電容量に対する10サイ
クル目の放電容量の割合 (容量維持率、%) をサイクル
寿命の目安として記録した。
【0046】実施例1 図1に模式的に示す電子ビーム蒸着装置を用いて、高純
度SiまたはGeのターゲットを配置した装置内を一旦Arガ
ス雰囲気とした後、10-5〜10-6torrになるまで減圧し、
この真空雰囲気中でCu基板上にSiまたはGeの非結晶質薄
膜を電子ビーム蒸着により形成し、この蒸着基板を負極
として使用した。この時の基板温度を変化させることに
より、非結晶質化の程度が異なるSiまたはGe薄膜を形成
した。
度SiまたはGeのターゲットを配置した装置内を一旦Arガ
ス雰囲気とした後、10-5〜10-6torrになるまで減圧し、
この真空雰囲気中でCu基板上にSiまたはGeの非結晶質薄
膜を電子ビーム蒸着により形成し、この蒸着基板を負極
として使用した。この時の基板温度を変化させることに
より、非結晶質化の程度が異なるSiまたはGe薄膜を形成
した。
【0047】SiまたはGeの薄膜が付着した基板 (負極)
の質量をマイクロ天秤で、その体積をメスシリンダー
で、それぞれ測定した。同様の手法で、蒸着前の基板の
質量と体積を予め測定しておき、薄膜 (負極材料) の密
度ρa を、次式に従って算出した: 薄膜密度= (負極質量−基板質量) / (負極体積−基板
体積) 。
の質量をマイクロ天秤で、その体積をメスシリンダー
で、それぞれ測定した。同様の手法で、蒸着前の基板の
質量と体積を予め測定しておき、薄膜 (負極材料) の密
度ρa を、次式に従って算出した: 薄膜密度= (負極質量−基板質量) / (負極体積−基板
体積) 。
【0048】作製した負極を用いて、上記のように放電
容量を測定した。比較のために、市販の完全に結晶質の
SiまたはGeを粉砕し、分級して、平均粒径約30μmの粉
末を得た。この結晶質粉末を用いて常法により負極を作
製し、同様に放電容量の測定を行った。
容量を測定した。比較のために、市販の完全に結晶質の
SiまたはGeを粉砕し、分級して、平均粒径約30μmの粉
末を得た。この結晶質粉末を用いて常法により負極を作
製し、同様に放電容量の測定を行った。
【0049】これらの試験結果を、完全に結晶質のSiま
たはGeの密度ρc に対する薄膜密度ρa の比 (この密度
比は薄膜の非結晶質化の程度を表し、ρa /ρc =1は
完全な結晶質を意味し、この密度比が小さいほど非結晶
質化度が高い) のデータと一緒に表1に示す。
たはGeの密度ρc に対する薄膜密度ρa の比 (この密度
比は薄膜の非結晶質化の程度を表し、ρa /ρc =1は
完全な結晶質を意味し、この密度比が小さいほど非結晶
質化度が高い) のデータと一緒に表1に示す。
【0050】
【表1】 表1に示す結果から、SiとGeの元素の相違により放電容
量の大きさが異なり、Siの方がやや高い放電容量を示す
が、どちらの材料も、密度比が小さくなり、非結晶質化
の程度が大きくなるに従って放電容量が大きくなること
がわかる。非結晶質化による放電容量の増大は、最高で
完全に結晶質(密度比=1)の材料の3倍前後もの大き
さになった。これは、非結晶質化により空隙や未結合手
が増加し、Liを吸蔵する容量が増加したためであると考
えられる。また、密度が0.995 以下 (0.99) となると、
上記効果が明らかになり、さらに密度が0.98以下になる
とより大きな効果を有することがわかる。
量の大きさが異なり、Siの方がやや高い放電容量を示す
が、どちらの材料も、密度比が小さくなり、非結晶質化
の程度が大きくなるに従って放電容量が大きくなること
がわかる。非結晶質化による放電容量の増大は、最高で
完全に結晶質(密度比=1)の材料の3倍前後もの大き
さになった。これは、非結晶質化により空隙や未結合手
が増加し、Liを吸蔵する容量が増加したためであると考
えられる。また、密度が0.995 以下 (0.99) となると、
上記効果が明らかになり、さらに密度が0.98以下になる
とより大きな効果を有することがわかる。
【0051】実施例2 本実施例は、SiまたはGeの非結晶質相に予めLiを注入し
た負極材料の性能を、実施例1の負極材料と比較して例
示する。
た負極材料の性能を、実施例1の負極材料と比較して例
示する。
【0052】実施例1で得られた、非結晶質のSi相また
はGe相を含むSiまたはGeの薄膜を基板に蒸着させた負極
(薄膜の密度比ρa /ρc =0.98のもの) に、図2に模
式的に示したイオン注入装置を用いてLiを注入した。Li
の注入量が1017イオン/cm3となるように、イオン注入
装置を設定した。このLiを注入した、非結晶質のSiまた
はGe相を含む薄膜から、実施例1と同様にして負極の作
製と負極試験とを行い、放電容量とサイクル寿命を記録
した。但し、最初の充電の前に、限界まで放電を行っ
て、Liを負極から抜いた。試験結果を、実施例1の結晶
質試料および同じ密度比のLi未注入の非結晶質試料と一
緒に、次の表2に示す。
はGe相を含むSiまたはGeの薄膜を基板に蒸着させた負極
(薄膜の密度比ρa /ρc =0.98のもの) に、図2に模
式的に示したイオン注入装置を用いてLiを注入した。Li
の注入量が1017イオン/cm3となるように、イオン注入
装置を設定した。このLiを注入した、非結晶質のSiまた
はGe相を含む薄膜から、実施例1と同様にして負極の作
製と負極試験とを行い、放電容量とサイクル寿命を記録
した。但し、最初の充電の前に、限界まで放電を行っ
て、Liを負極から抜いた。試験結果を、実施例1の結晶
質試料および同じ密度比のLi未注入の非結晶質試料と一
緒に、次の表2に示す。
【0053】
【表2】 表2から、非結晶質のSi相またはGe相を含む負極材料に
Liを注入すると、放電容量が増大するだけでなく、特に
サイクル寿命が著しく改善されることがわかる。これ
は、Liの吸蔵に利用可能な空隙が増えため、Liの吸蔵量
が増大し、かつ充電・放電に伴う体積変化が少なくなる
ためであると考えられる。
Liを注入すると、放電容量が増大するだけでなく、特に
サイクル寿命が著しく改善されることがわかる。これ
は、Liの吸蔵に利用可能な空隙が増えため、Liの吸蔵量
が増大し、かつ充電・放電に伴う体積変化が少なくなる
ためであると考えられる。
【0054】実施例3 7vol%の非結晶質または結晶質のSi相またはGe相が析出
している負極材料を次のようにして作製した。
している負極材料を次のようにして作製した。
【0055】<試料1 (実施例) >高周波誘導加熱炉を
用いて 469gのNiと 509gのSiをArガス雰囲気下で溶解
した後、22gのLiをNi箔で包んで投入し、溶解した。得
られたSi−Ni−Li系の溶湯をArガスアトマイズ法を用い
て凝固させ、粉末化した。得られた粉末の平均粒径は30
μmであった。
用いて 469gのNiと 509gのSiをArガス雰囲気下で溶解
した後、22gのLiをNi箔で包んで投入し、溶解した。得
られたSi−Ni−Li系の溶湯をArガスアトマイズ法を用い
て凝固させ、粉末化した。得られた粉末の平均粒径は30
μmであった。
【0056】この粉末の組織を透過型電子顕微鏡、電子
線回折および電子エネルギー損失分光法等で観察したと
ころ、Ni−Si金属間化合物相 (NiSi2 等) のマトリック
ス中にLi7Si6の相が析出したものであった。Li7Si6相の
体積率はSEM画像解析による測定で約7%であった。
線回折および電子エネルギー損失分光法等で観察したと
ころ、Ni−Si金属間化合物相 (NiSi2 等) のマトリック
ス中にLi7Si6の相が析出したものであった。Li7Si6相の
体積率はSEM画像解析による測定で約7%であった。
【0057】この粉末を用いて、上記のように負極を作
製した。その後、この負極を組み込んだ3極式セルを限
界まで放電させて、負極中の金属間化合物からLiを抜き
取った。Liを抜き取った負極では、金属間化合物から生
成したSi相がほぼ完全に非結晶質化していることを、X
線回折によるハローパターンにより確認した。従って、
この負極材料は約7vol%の非結晶質相を含んでいる。
製した。その後、この負極を組み込んだ3極式セルを限
界まで放電させて、負極中の金属間化合物からLiを抜き
取った。Liを抜き取った負極では、金属間化合物から生
成したSi相がほぼ完全に非結晶質化していることを、X
線回折によるハローパターンにより確認した。従って、
この負極材料は約7vol%の非結晶質相を含んでいる。
【0058】<試料2 (実施例) >469 gのNiと818 g
のGeを試料1の場合と同様に溶解した後、16gのLiを同
様に投入して溶解した。以下、試料1と同様の方法で負
極を作製し、Liの抜き取りを行った。ガスアトマイズで
得られた粉末は、Ni−Ge金属間化合物相のマトリックス
中にLiGeの相が析出したものであった。LiGe相の体積率
はSEM画像解析による測定で約7%であった。Li抜き
取り後は、ほぼ完全に非結晶質化したGe相が生成してお
り、このGe相の体積率は約7%になる。
のGeを試料1の場合と同様に溶解した後、16gのLiを同
様に投入して溶解した。以下、試料1と同様の方法で負
極を作製し、Liの抜き取りを行った。ガスアトマイズで
得られた粉末は、Ni−Ge金属間化合物相のマトリックス
中にLiGeの相が析出したものであった。LiGe相の体積率
はSEM画像解析による測定で約7%であった。Li抜き
取り後は、ほぼ完全に非結晶質化したGe相が生成してお
り、このGe相の体積率は約7%になる。
【0059】<試料3 (比較例) >Liを投入しなかった
こと、放電によるLi抜き取りを行わなかったこと以外は
試料1と同様の方法を用いて、Ni−52質量%Si合金で構
成した負極材料からなる負極を作製した。この負極材料
は結晶質のSi相とNi−Si金属間化合物相のマトリックス
とからなる組織を持ち、Si相の体積率は約7%であっ
た。
こと、放電によるLi抜き取りを行わなかったこと以外は
試料1と同様の方法を用いて、Ni−52質量%Si合金で構
成した負極材料からなる負極を作製した。この負極材料
は結晶質のSi相とNi−Si金属間化合物相のマトリックス
とからなる組織を持ち、Si相の体積率は約7%であっ
た。
【0060】<試料4 (比較例) >試料3と同様にNi−
64質量%Ge合金で構成した負極を作製した。この負極材
料は結晶質のSi相とNi−Ge金属間化合物相のマトリック
スとからなる組織を持ち、Ge相の体積率は約7%であっ
た。
64質量%Ge合金で構成した負極を作製した。この負極材
料は結晶質のSi相とNi−Ge金属間化合物相のマトリック
スとからなる組織を持ち、Ge相の体積率は約7%であっ
た。
【0061】試料1ないし4に用いた粉末 (平均粒径は
何れも約30μm) を用いて、上記のようにして放電容量
およびサイクル寿命を測定した。結果を表3に示す。
何れも約30μm) を用いて、上記のようにして放電容量
およびサイクル寿命を測定した。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】 表3からわかるように、金属間化合物のマトリックス中
に非結晶質化したSi相またはGe相を含む試料1、2の負
極材料は、同じマトリックス中に結晶質のSi相またはGe
相を含有する試料3、4からなる負極材料より放電容量
およびサイクル寿命ともに優れたものになった。
に非結晶質化したSi相またはGe相を含む試料1、2の負
極材料は、同じマトリックス中に結晶質のSi相またはGe
相を含有する試料3、4からなる負極材料より放電容量
およびサイクル寿命ともに優れたものになった。
【0063】また、実施例1および2と比較して、Siや
Ge単体のものより、Ni−Si、Ni−Ge等の金属間化合物の
相を配置した合金で構成した負極材料を用いた負極は非
晶質SiまたはGeの量が減少するため放電容量は劣るが、
サイクル寿命は優れたものになった。
Ge単体のものより、Ni−Si、Ni−Ge等の金属間化合物の
相を配置した合金で構成した負極材料を用いた負極は非
晶質SiまたはGeの量が減少するため放電容量は劣るが、
サイクル寿命は優れたものになった。
【0064】実施例4 表4に示す組成の溶解原料を用いて、実施例3の試料1
と同様の方法でLiの投入溶解と負極作製後の放電による
Li抜き取りを利用して、Siの金属間化合物または固溶体
相と非結晶質化したSi相とから構成された負極材料から
なる負極を作製した。Liの投入量は、原料組成から予想
される量のSi相と金属間化合物を形成するのに十分な量
となるように、Si含有量に応じて増大させた。
と同様の方法でLiの投入溶解と負極作製後の放電による
Li抜き取りを利用して、Siの金属間化合物または固溶体
相と非結晶質化したSi相とから構成された負極材料から
なる負極を作製した。Liの投入量は、原料組成から予想
される量のSi相と金属間化合物を形成するのに十分な量
となるように、Si含有量に応じて増大させた。
【0065】各負極の負極材料粒子の走査型電子顕微鏡
画像解析から、非結晶質Si相の面積率を求め、この値を
その負極材料中の非結晶質Si相の体積率と見なし、表4
に示す。また、上記のようにして測定した放電容量とサ
イクル寿命の結果も表4に一緒に示す。
画像解析から、非結晶質Si相の面積率を求め、この値を
その負極材料中の非結晶質Si相の体積率と見なし、表4
に示す。また、上記のようにして測定した放電容量とサ
イクル寿命の結果も表4に一緒に示す。
【0066】
【表4】 表4からわかるように、Liの抜き取りにより非晶質化さ
せたSi相と、Siを含有する金属間化合物または固溶体の
相とから構成された負極材料は、最高で98%という非常
に優れたサイクル寿命と、高い放電容量とが両立した、
極めて優秀な負極性能を示す。しかし、非結晶質Si相の
割合が2vol%より少ないと放電容量が現行の炭素材より
低くなることがあり、またこの割合が55vol%より多くな
ると、サイクル寿命が85%を下回ることがある。
せたSi相と、Siを含有する金属間化合物または固溶体の
相とから構成された負極材料は、最高で98%という非常
に優れたサイクル寿命と、高い放電容量とが両立した、
極めて優秀な負極性能を示す。しかし、非結晶質Si相の
割合が2vol%より少ないと放電容量が現行の炭素材より
低くなることがあり、またこの割合が55vol%より多くな
ると、サイクル寿命が85%を下回ることがある。
【0067】
【発明の効果】非結晶質のSi相および/またはGe相を含
む本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、高い放電
容量を示すがサイクル寿命が極端に短い結晶質のSi相お
よび/またはGe相を含む負極材料に比べて、さらに高い
放電容量を示し、かつサイクル寿命が著しく改善され
る。
む本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、高い放電
容量を示すがサイクル寿命が極端に短い結晶質のSi相お
よび/またはGe相を含む負極材料に比べて、さらに高い
放電容量を示し、かつサイクル寿命が著しく改善され
る。
【0068】この負極材料にLiを予め注入しておくと、
サイクル寿命がさらに改善される。また、非結晶質のSi
相および/またはGe相に加えて、Siおよび/またはGeを
含有する金属間化合物または固溶体の相が共存する組織
の負極材料にすると、サイクル寿命がさらに改善され、
現行の炭素材負極より高容量で、サイクル寿命もより優
れている、非常に高性能の負極材料となる。
サイクル寿命がさらに改善される。また、非結晶質のSi
相および/またはGe相に加えて、Siおよび/またはGeを
含有する金属間化合物または固溶体の相が共存する組織
の負極材料にすると、サイクル寿命がさらに改善され、
現行の炭素材負極より高容量で、サイクル寿命もより優
れている、非常に高性能の負極材料となる。
【図1】実施例で非結晶質のSiまたはGe薄膜の形成に使
用した電子ビーム蒸着装置の略式説明図である。
用した電子ビーム蒸着装置の略式説明図である。
【図2】実施例でSiまたはGe薄膜のLi注入に使用したイ
オン注入装置の略式説明図である。
オン注入装置の略式説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中本 貴之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 島村 治成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 米村 光治 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 禰宜 教之 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 竹下 幸輝 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 山本 祐義 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 小比賀 基治 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ05 AL11 AM03 AM04 AM05 AM06 CJ15 DJ12 DJ16 DJ17 DJ18 HJ02 HJ13 5H050 AA07 AA08 BA17 CB11 EA10 EA24 FA12 FA18 FA19 FA20 GA16 HA02 HA13
Claims (4)
- 【請求項1】 Siおよび/またはGeから構成された非結
晶質の相を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池
用負極材料(ただし、非結晶質とは、非晶質と準結晶質
とを含む意味である)。 - 【請求項2】 Siおよび/またはGeからなる元素Aと、
周期表の2A族元素、遷移元素、3B族元素および4B
族元素から選ばれたA以外の1種以上の元素B、とで構
成される金属間化合物の相をさらに含む、請求項1記載
の非水電解質二次電池用負極材料。 - 【請求項3】 該非結晶質の相が負極材料の2〜55 vol
% を占める、請求項1または2記載の非水電解質二次電
池用負極材料。 - 【請求項4】 予めLi注入処理が施されている、請求項
1ないし3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負
極材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000273853A JP2002093411A (ja) | 2000-09-08 | 2000-09-08 | 非水電解質二次電池用負極材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000273853A JP2002093411A (ja) | 2000-09-08 | 2000-09-08 | 非水電解質二次電池用負極材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002093411A true JP2002093411A (ja) | 2002-03-29 |
Family
ID=18759718
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000273853A Pending JP2002093411A (ja) | 2000-09-08 | 2000-09-08 | 非水電解質二次電池用負極材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002093411A (ja) |
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-
2000
- 2000-09-08 JP JP2000273853A patent/JP2002093411A/ja active Pending
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