(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁界測定装置の構成図である。
この磁界測定装置10は、配線基板等の電子部品25から発生する磁界を測定するのに使用するものであって、その磁界が通る第1のループL1と第2のループL2が仮想的に設定される。
このうち、第1のループL1は、第2のループL2よりも大きく設定されており、第1のループL1の周囲に沿うようにして第1の導線11、第2の導線12、及び導体17が設けられる。
なお、各ループの大きさは特に限定されないが、本実施形態では第1のループL1を直径が約10mmの環状とし、第2のループL2を直径が約1mmの環状とする。
上記した第1の導線11、第2の導線12、及び導体17は、互いに電気的に接続されており、第1のループL1を貫く磁束の変化に伴って該第1のループL1の周囲に流れる誘導電流の電流経路を形成する。
更に、その第1のループL1は、半円状の第1の区間P1及び第2の区間P2と、これらの区間の間において第2のループL2が設けられるギャップ区間P3とに分けられる。
本実施形態では、第1の導線11と第2の導線12は、第1の区間P1において互いに並行するように設けられる。
また、ギャップ区間P3においては、第1の導線11と第2の導線12は、第2のループL2に沿うように設けられると共に、それらの先端が接続点Cにおいて半田等によって互いに接続される。
このように第2のループL2に沿うように第1の導線11と第2の導線12を設けることで、第1の導線11と第2の導線12の各々は、第2のループL2を貫く磁束の変化によって第2のループL2の周囲に発生する誘導電流の電流経路の一部を形成することになる。
また、これらの第1の導線11と第2の導線12の各々の周囲には、直径が約0.86mmの管状の第1の導体シールド13と第2の導体シールド14が設けられる。
このうち、第1の導体シールド13は、ギャップ区間P3において第1の導線11の一部を露出し、かつ、第1の区間P1において第1の導線11を覆う。同様に、第2の導体シールド14は、ギャップ区間P3において第2の導線12の一部を露出し、かつ、第1の区間P1において第2の導線12を覆う。
第1の導線11と第2の導線12の材料や、第1の導体シールド13と第2の導体シールド14の材料は特に限定されないが、他の金属材料と比較して電気抵抗の小さい銅をそれらの材料として使用するのが好ましい。
また、第1の導線11と第1の導体シールド13は、第1の導線11を芯線とする同軸ケーブルを形成する。なお、管状の第1の導体シールド13の内側には可撓性の絶縁性樹脂が充填されているため、上記の同軸ケーブルは可撓性を有する。このような同軸ケーブルはセミリジッドケーブルとも呼ばれる。
第2の導線12と第2の導体シールド14もこれと同様な構造のセミリジッドケーブルを形成する。
上記のセミリジッドケーブルの特性インピーダンスは特に限定されないが、演算回路19や磁界測定装置の出力を入力するスペクトルアナライザ等の外部機器の入力インピーダンスが50Ωであることが多いので、これに合わせて特性インピーダンスが50Ωのセミリジッドケーブルを使用するのが好ましい。これについては後述の各実施形態でも同様である。
一方、導体17は、銅棒等の金属棒を半円状に加工することで形成される。
その導体17は、前述の接続点Cにおいて半田等によって第1の導線11と第2の導線12の各々と電気的に接続される。そして、導体17の端部17aは、半田等によって第2の導体シールド14と電気的に接続される。
なお、第2の導体シールド14は、半田によって第1の導体シールド13と電気的に接続される。そのため、これらの第1の導体シールド13、第2の導体シールド14、及び導体17は、互いに接続され、最終的には磁界測定装置の出力を入力するスペクトルアナライザ等の外部機器の接地電位に接続される。
また、第1の導線11と第2の導線12の各々の出力端11e、12eには、第1のループL1や第2のループL2内を通る磁束の変化に起因して、それぞれ第1の電圧V1と第2の電圧V2が発生する。なお、本実施形態と以下の各実施形態では、第1の電圧V1と第2の電圧V2は、それぞれ接地電位を基準にしたときの各出力端11e、12eの電位を指すものとする。
これらの第1の電圧V1と第2の電圧V2は演算回路19に入力される。演算回路19は、第1の電圧V1と第2の電圧V2との和(V1+V2)を出力する第1の端子19aと、第1の電圧V1と第2の電圧V2との差(V1−V2)を出力する第2の端子19bとを備える。
そのような演算回路19としては、例えば、180°ハイブリッドを使用することができる。
次に、この磁界測定装置10を用いた磁界測定方法について説明する。
本方法では、以下のように、第1のループL1と第2のループL2の各々を貫く磁束の変化を同時に測定する。
第1のループL1内を貫く磁束が変化すると第1の導線11と第2の導線12の各々には誘導電界が生じ、これによって上記の第1の電圧V1と第2の電圧V2が発生することになる。
第1のループL1内を貫く磁束に関する限り、第1の導線11と第2の導線12はほぼ同じループ構造であるため、この磁束の変化によって2つの配線に生じる誘導電圧は等しい。
一方、第1の導線11と第2の導線12はギャップ区間P3において第2のループL2に沿って形成されるため、上記の第1の電圧V1と第2の電圧V2には、第2のループL2を貫く磁束の変化が原因で生じる誘導電圧も加わる。但し、その磁束変化に伴う誘導電圧は、第1の導線11と第2の導線12とで符号が逆になる。これは、接続点Cを始点にしたとき第1の導線11は第2のループL2を反時計回りに延在するに対し、第2の導線12は第2のループL2を時計周りに延在しているためである。
よって、上記のように第1の電圧V1と第2の電圧V2の和をとれば第2のループL2を貫く磁束の変化分の寄与がキャンセルされ、第1のループL1を貫く磁束の変化分のみを抽出することができる。そして、その和(V1+V2)は演算回路19の第1の端子19aから出力されるので、その出力値から第1のループL1を貫く磁束変化を測定することが可能となる。
なお、第1の導線11と第2の導線12は第1のループL1の一部にのみ沿って設けられるため、和(V1+V2)は第1のループL1に沿った全誘導起電力には必ずしも等しくはならない。、但し、和(V1+V2)をとることで、前述のように第2のループL2を貫く磁束の変化分をキャンセルできるという実益がある。
また、上記のような符号の違いを利用して、第1の電圧V1と第2の電圧V2の差(V1−V2)をとれば、第1のループL1を貫く磁束の変化分の寄与をキャンセルして、第2のループL2を貫く磁束の変化分のみを抽出することもできる。そして、その差(V1−V2)は演算回路19の第2の端子19bから出力されるので、その出力値から第2のループL2を貫く磁束変化を測定することが可能となる。
このように、本実施形態に係る磁界測定装置10では、第1のループL1と第2のループL2を貫く磁束の変化をそれぞれ和(V1+V2)と差(V1−V2)から同時に求めることが可能となる。
しかも、本実施形態では、第1のループL1が第2のループL2よりも大きいため、磁束変化によって第1のループL1において生じる誘導電圧が高められ、電子部品25から発生した磁束の変化を上記の和(V1+V2)によって高感度に検出できる。
一方、第1のループL1よりも小さな第2のループL2では、電子部品25の近傍の微小領域における磁束変化を捉えることができ、上記の差(V1−V2)によって高い空間分解能で磁束変化を検出することができる。
特に、ギャップ区間P3においては第1の導線11や第2の導線12が剥き出しになっているため、これらの導線を曲げて微小な第2のループL2に簡単に沿わすことができ、磁界測定の高分解能化が容易となる。
このように高感度化と高分解能化とを同時に実現できるので、磁界が弱い場合であっても高感度な第1のループL1でその磁界分布の大雑把な分布を把握しつつ、高分解能な第2のループL2でその磁界分布の詳細を把握でき、磁界測定の方途が広まる。
また、第1の導線11と第2の導線12の各々を第1の導体シールド13と第2の導体シールド14で覆ったことで、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々に外部電界が原因の電圧が重畳する危険性を低減でき、磁界測定の精度が高められる。
特に、第1のループL1と第2のループL2を同一の平面内に設定することで、その平面の法線に沿った磁界成分をこれらのループで測定できる。そのため、第1のループL1と第2のループL2で異なる方向の磁界成分を検出することがなくなり、ユーザの磁界測定の便宜に資することができる。
更に、第1のループL1の各区間P1〜P3のうち、電子部品25との距離が最も短いギャップ区間P3に第2のループL2を設定することで、第2のループL2によって電子部品25の表面近傍の磁束を捉えることができる。
しかも、そのギャップ区間P3においては、露出している第1の導線11と第2の導線12の曲げ加工を阻害するものがないので、その第1の導線11と第2の導線12を小さく曲げることにより、第2のループL2を用いた磁界測定の更なる高分解能化を実現できる。
次に、本願発明者が行った調査について説明する。
その調査では、上記の演算回路19から出力された和(V1+V2)と差(V1−V2)とを測定した。また、測定対象の電子部品25としては、線幅が100μmのマイクロストリップ線路が表面に形成された配線基板を使用した。
調査に際しては、このマイクロストリップ線路にシグナルジェネレータから周波数が100MHzで出力が0dBmの正弦波を供給しながら、マイクロストリップ線路の短手方向に沿って磁界測定装置10を走査しながら和(V1+V2)と差(V1−V2)の出力をスペクトルアナライザで測定した。
和(V1+V2)についての測定結果を図2(a)に示す。
図2(a)の横軸は、マイクロストリップ線路の中心を原点とした場合における磁界測定装置10の走査距離を示す。そして、縦軸は、和(V1+V2)の出力電力値をdBmで示す。
なお、この調査は、マイクロストリップ線路の表面から測った第2のループL2の高さzを様々に変えて複数回行った。
本実施形態と以下の各実施形態では、高さzが25μmのときのグラフの最大値をマイクロストリップ線路への入力値で割った値を磁界測定の感度とみなす。図2(a)によれば、高さzが25μmのときの和(V1+V2)の最大値は−34dBmであるから、本実施形態では、和(V1+V2)を利用した磁界測定の感度は−34dBとなった。
一方、図2(b)は、図2(a)と同一の調査を差(V1−V2)について行って得られたグラフである。
図2(b)に示すように、高さzが25μmのときの差(V1−V2)の最大値は−56dBmであるから、差(V1−V2)を利用した磁界測定の感度は−56dBということになる。
図2(a)、(b)の結果より、和(V1+V2)の感度の方が差(V1−V2)の感度よりも大きな値となり、第1のループL1による磁界の測定感度が第2のループL2のそれよりも高いことが確かめられた。
また、図3(a)は、図2(a)の各グラフを規格化したものである。その規格化は、各グラフの頂点を原点に合わせることによって行った。
本実施形態と以下の各実施形態では、高さzが25μmのときのグラフをこのように規格化して、値が−6dBmのときのグラフの幅の半分を磁界測定の分解能とみなす。
図3(a)によれば、本実施形態では、和(V1+V2)を利用したときの磁界測定の分解能は約1.3mmとなった。
そして、図3(b)は、図2(b)の各グラフを規格化したものである。
図3(b)に示すように、差(V1−V2)を利用したときの磁界測定の分解能は0.45mmとなった。
図3(a)、(b)の結果より、第2のループL2による磁界測定の分解能が第1のループL1におけるよりも高くなることが確かめられた。
なお、図2(a)、(b)と図3(a)、(b)のいずれの調査においても、マイクロストリップラインの下方には厚さ約0.8mmの絶縁層を介して接地層が存在する。よって、上記の調査結果はその接地層を流れる逆向きの電流により生じた磁界が重ね合わさり、マイクロストリップライン近傍に局在した磁界分布を測定している。そのため、直径約10mmの第1のループL1の分解能は本来より高く測定され、感度は本来より低く測定されているものと考えられる。それにもかかわらず、第1のループL1により磁界測定の高感度化が実現され、第2のループL2により磁界測定の高分解能化が実現できることに変わりはない。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図1に示したように、外部電界から第1の導線11や第2の導線12を外部電界からシールドするために、管状の第1の導体シールド13と第2のシールド14を設けた。
これに対し、本実施形態では、以下のようにして配線基板のグランドパターンを利用して第1の導線11や第2の導線12をシールドする。
図4は、本実施形態に係る磁界測定装置40をその一方の主面側から見た平面図である。なお、図4において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態では、配線基板41の内層に第1の導線11と第2の導線12を形成する。
また、その配線基板41の一方の主面には、銅を材料とする第1の導体層31がグランドプレーンとして形成される。その第1の導体層31にはパターニングによって第1のアイランド31aと第2のアイランド31bが設けられる。
これらのアイランド31a、31bは、第1のビア導電体36を介してそれぞれ第1の導線11と第2の導線12と電気的に接続される。
そして、配線基板41の縁部には第1の同軸コネクタ44と第2の同軸コネクタ45が固定される。このうち、第1の同軸コネクタ44は、芯線44aと円筒状のアースコンタクト44bとを備えており、その芯線44aが第1のアイランド31aと半田付けされると共に、アースコンタクト44bが第1の導体層31と接続される。
同様に、第2の同軸コネクタ45の芯線45aが第2のアイランド31bとはんだ付けされ、アースコンタクト45bが第1の導体層31に接続される。
第1の同軸コネクタ44と第2の同軸コネクタ45の種類は特に限定されないが、本実施形態ではこれらのコネクタとしてSMA(Sub Miniature Type A)コネクタを使用する。
一方、配線基板41において電子部品25と対向する部分には、第1のループL1に沿った開口41aが第1の導体層31に形成される。
そして、第2のループL2に重なる部分の第1の導体層31には第1のギャップ31xが形成されており、その第1のギャップ31xにおいて第1の導線11と第2の導線12の各々の一部が露出する。
図5は、配線基板41の他方の主面側から見た磁界測定装置40の平面図である。なお、図5では、前述の演算回路19(図1参照)を省略してある。
図5に示すように、配線基板41の他方の主面の全面には、第2の導体層34がグランドプレーンとして形成される。その第2の導電層34は、配線基板41に形成された第2のビア導電体37を介して第1の導電層31(図4参照)と接続され、第1の導電層31と共に接地接続される。
また、第2のビア導電体37の配列は特に限定されないが、第1の導線11と第2の導線12の各々の伝達特性を良好にするため、これらの導線の両側に所定の間隔をおいて第2のビア導電体37を設けるのが好ましい。
なお、第1〜第3のビア導電体36〜38は、例えば、ドリル加工により配線基板41に貫通孔を形成し、その貫通孔の内面に銅めっきを施すことで形成され得る。
そして、上記の第1の同軸コネクタ44と第2の同軸コネクタ45のそれぞれのアースコンタクト44b、45bは、上記の第2の導体層34にも接続される。
一方、配線基板41において電子部品25と対向する部分には、第1のループL1に沿った開口41aが第2の導電層34に形成される。
更に、その第2のループL2に重なる部分の第2の導体層34には第2のギャップ34xが形成される。
図6は、第1の導線11の敷設経路に沿った配線基板41の断面図である。
図6に示すように、配線基板41は、第1の導体層31、第1の絶縁層32、第1の導線11、第2の絶縁層33、及び第2の導体層34をこの順に形成してなる。
そして、第1の導線11の先端部分には第3のビア導電体38が形成され、当該第3のビア導電体38において第1の導線11、第2の導線12、第1の導体層31、及び第2の導体層34が互いに電気的に接続されることになる。
なお、第1〜第3のビア導電体36〜38で配線基板41のビアホールの内部の全てを充填する必要はなく、ビアホールの内面のみに第1〜第3のビア導電体36〜38を形成してもよい。
再び図4を参照する。
本実施形態に係る磁界測定装置40においても、第1実施形態と同様に、第1のループL1や第2のループL2を貫く磁束が変化することで、第1の導線11と第2の導線12の端部に第1の電圧V1と第2の電圧V2が発生する。
そして、第1実施形態で説明したのと同じ理由により、これらの電圧の和(V1+V2)によって第1のループL1を貫く磁束の変化を測定でき、差(V1−V2)によって第2のループL2を貫く磁束の変化を測定できる。
また、本実施形態では、第1の導体層31と第2の導体層34が第1実施形態の第1の導体シールド13と第2の導体シールド14(図1参照)を兼ね、これらの導体層によって外部電界から第1の導線11と第2の導線12をシールドできる。
以上説明した本実施形態によれば、配線基板41の内層に第1の導線11と第2の導線12を形成する。その第1の導線11と第2の導線12は、銅膜等をパターニングして形成され得るため、第1実施形態のように同軸ケーブルを利用する場合と比較して、微細加工が容易となる。
そのため、第1のループL1や第2のループL2の大きさを第1実施形態よりも小さくし、第1実施形態と比較して磁界測定の空間分解能を高めることができる。
なお、本実施形態は上記に限定されない。
図7(a)は、本実施形態の第1変形例に係る磁界測定装置60をその一方の主面側から見た平面図である。なお、図7(a)では、前述の演算回路19(図1参照)を省略してある。
図7(a)に示すように、本変形例では、第1のギャップ31xに連通する第1の孔31yを第1の導体層31に形成する。
また、図7(b)は、この磁界測定装置60を他方の主面側から見た平面図である。
図7(b)に示すように、第2の導体層34には、第2のギャップ34xに連通する第2の孔34yが形成される。
本変形例では、第2のループL2を内包するように第1の孔31yと第2の孔34yを設けることにより、第2のループL2を貫く磁束が第1の導体層31や第2の導体層34でシールドされるのを防止して、その磁束の変化を高い感度で検出することが可能となる。
図8は、本実施形態の第2変形例に係る磁界測定装置62の平面図である。なお、図8では、前述の演算回路19(図1参照)を省略してある。
この変形例では、電子部品25と対向する配線基板41の先端部分に突起41zを設け、当該突起41zに上記の第2のループL2を設定する。
このようにすると、電子部品25の表面の凹凸が大きい場合でも、その凹凸に沿って突起41zを走査することができ、電子部品25の表面近傍の磁界の分布の把握が容易となる。
(第3実施形態)
図9は、本実施形態に係る磁界測定装置70の構成図である。なお、図9において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態では、第1実施形態の導体17(図1参照)を省く。
そして、第1のループL1の第1の区間P1に沿って第1の導線11と第1の導体シールド13を設けると共に、第2の区間P2に沿って第2の導線12と第2の導体シールド14を設ける。
なお、第1の導体シールド13と第2の導体シールド14は、演算回路19との接続点において接地されている。
第1実施形態で説明したように、第1の導線11と第1の導体シールド13との同軸構造や、第2の導線12と第2の導体シールド14との同軸構造を有する同軸ケーブルとしては、セミリジッドケーブルを使用し得る。
これらの第1の導体シールド13や第2の導体シールド14は、第1の導線11や第2の導線12を外部電界からシールドし、これらの導線から出力される第1の電圧V1や第2の電圧V2に外部電界が原因の電圧が重畳するのを防止する役割を担う。
更に、ギャップ区間P3においては、第1の導体シールド13と第2の導体シールド14の各々から露出した第1の導線11と第2の導線12の各々の一部が第2のループL2に沿って延在する。
そして、このように露出した第1の導線11の先端11aが半田等により第2の導体シールド14に接続され、かつ、第2の導線12の先端12aが半田等により第1の導体シールド13に接続される。
なお、第1実施形態では、第1のループL1の周りに生じる誘導電流の電流経路の一部を導体17(図1参照)で形成したが、本実施形態では導体17を省略し、導体17が担っていた電流経路としての機能を第1のシールド13と第2の導体シールド14に担わせる。
次に、この磁界測定装置70を用いた磁界測定方法について説明する。
第1のループL1の内側を貫く磁束が変化すると、第1のループL1に沿って誘導電界が生じる。
そのような誘導電界によって第1の導線11と第2の導線12の各々からは第1の電圧V1と第2の電圧V2が出力される。
また、第1の電圧V1と第2の電圧V2は、それぞれ接地電位を基準にしたときの第1の導線11と第2の導線12の各々の出力端11e、12eの電位であるが、本実施形態ではこれらの電圧の符号は互いに逆になる。
これは、第1の導線11と第2の導線12が各々の先端11a、12aを始点として第1のループL1に沿って互いに逆向きに延在しているのに対して、第1のループL1の内側を貫く磁束の変化による誘導電圧の電位勾配の向きは第1のループL1に沿って同一方向に生じるからである。
よって、本実施形態において第1のループL1の内側を貫く磁束の変化を求めるには、第1の電圧V1と第2の電圧V2の差(V1−V2)を求めればよいことになる。そして、その差(V1−V2)は演算回路19の第2の端子19bから出力されるので、その出力値から第1のループL1を貫く磁束変化を測定することが可能となる。
なお、第1の導線11と第2の導線12はギャップ区間P3において第2のループL2に沿って形成されるため、上記の第1の電圧V1と第2の電圧V2には、第2のループL2を貫く磁束の変化が原因で生じる誘導電圧も含まれる。
但し、その磁束変化に伴う誘導電圧は、第1の導線11と第2の導線12とで符号が同じである。これは、上記のように各先端11a、12aを始点にしたときの第1の導線11と第2の導線12の各々の延在方向が、第2のループL2に生じる誘導電圧の電位勾配の方向に一致するからである。
従って、上記のように第1の電圧V1と第2の電圧V2の差をとれば第2のループL2を貫く磁束の変化分の寄与がキャンセルされ、第1のループL1を貫く磁束の変化分のみを抽出することができる。
また、これとは逆に、第1の電圧V1と第2の電圧V2の和(V1+V2)をとれば、第1のループL1を貫く磁束の変化分の寄与をキャンセルして、第2のループL2を貫く磁束の変化分のみを抽出することもできる。そして、その和(V1+V2)は演算回路19の第1の端子19aから出力されるので、その出力値から第2のループL2を貫く磁束変化を測定することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1のループL1と第2のループL2の磁束変化をそれぞれ差(V1−V2)と和(V1+V2)から同時に求めることが可能となる。
更に、第1実施形態と同様に、大きい第1のループL1によって磁界を感度良く測定できると共に、小さい第2のループL2によって磁界を高い空間分解能で測定できる。
第1実施形態と同様の方法で感度と分解能を調査したところ、差(V1−V2)によって第1のループL1内の磁束変化を測定する場合は、感度が−38dBとなり、空間分解能は1.4mmとなった。
また、和(V1+V2)によって第2のループL2内の磁束変化を測定する場合は、感度が−56dBとなり、空間分解能は0.6mmとなった。
しかも、第1のループL1の第1の区間P1と第2の区間P2の各々においては、第1の導線11と第2の導線12のそれぞれが一本ずつ設けられるので、これらの導線を並行して設ける場合と比較して第1の導線11と第2の導線12を曲げ加工し易くなる。これにより、第1の実施形態よりも第1のループL1を微細化するのが容易となり、第1のループL1を用いた磁界測定の空間分解能を高めることができる。
(第4実施形態)
第3実施形態では、図9に示したように、セミリジッドケーブルを利用して第1のループL1と第2のループL2の各々を貫く磁束変化を捉えたが、本実施形態ではこれと同様の構造を配線基板を利用して作製する。
図10は、本実施形態に係る磁界測定装置75の平面図である。なお、図10において、第2実施形態で説明したのと同じ要素には第2実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態では、配線基板41の内層に第1の導線11と第2の導線12を設ける。
第1の導線11と第2の導線12は、配線基板41の第1の導体層31と第2の導電層34に形成された開口41aが内包する第1のループL1に沿って形成されると共に、第3のビア導電体38において第1の導体層31と電気的に接続される。
更に、第1の導体層31に形成された第1のギャップ31xにおいて第1の導線11と第2の導線12の各々の一部が露出する。
図11は、配線基板41の他方の主面側から見た磁界測定装置75の平面図である。
図11に示すように、配線基板41の他方の主面側の第2の導体層34にも上記の第3のビア導電体38が形成されており、そのビア導電体38を介して第1の導線11と第2の導線12の各々が第2の導体層34に電気的に接続される。
図12は、第1の導線11の敷設経路に沿った配線基板41の断面図である。
図12に示すように、第1の導体層31と第2の導体層34との間には、第2実施形態で説明した第1の絶縁層32と第2の絶縁層33が設けられる。
再び図10を参照する。
このような磁界測定装置75においては、第3実施形態で説明したのと同じ理由により、第1の電圧V1と第2の電圧V2の差(V1−V2)と和(V1+V2)を利用して、第1のループL1と第2のループL2の各々を貫く磁束の変化を測定できる。
また、第1の導体層31と第2の導体層34が、外部電界をシールドする第1の導体シールド13と第2の導体シールド14(図9参照)の機能を兼ねるため、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々に外部電界が原因の電圧が重畳する危険性を低減できる。
更に、配線基板41の内層の第1の導線11と第2の導線は銅膜等をパターニングすることで微細に形成できるので、第1のループL1や第2のループL2の大きさを第3実施形態よりも小さくし、第3実施形態と比較して磁界測定の空間分解能を高めることができる。
(第5実施形態)
第1〜第4実施形態では、演算回路19(図1参照)において算出された第1の電圧V1と第2の電圧V2の和(V1+V2)と差(V1−V2)に基づいて、第1のループL1や第2のループL2を貫く磁束の変化を求めた。
これに対し、本実施形態では、そのような演算回路19が不要な磁界測定装置について説明する。
図13は、本実施形態に係る磁界測定装置80の構成図である。なお、図13において、第1〜第4実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
この磁界測定装置80では、第1のループL1の第1の区間P1に沿って第1の導線11を設けると共に、その第1の導線11に並行して第2の導線12を設ける。
これら第1の導線11と第2の導線12の各々の一部は、ギャップ区間P3において第1の導体シールド13や第2の導体シールド14から露出する。
そのように露出した第1の導線11の一部は、第2のループL2の略全周に沿って敷設されており、第2のループL2を貫く磁束の変化によって流れる誘導電流の電流経路の一部を形成する。なお、第1の導線11の先端11aは半田等によって第1の導体シールド13と接続されているため、第1の導線11を流れる上記の誘導電流は第1の導体シールド13にも流れる。
一方、ギャップ区間P3において露出した第2の導線12は、その先端12aが半田等によって導体17と接続される。その導体17は、第1のループL1の第2の区間P2に沿って設けられると共に、その端部17aが半田等によって第2の導体シールド14と電気的に接続される。
なお、第2の導体シールド14は、半田等によって第1の導体シールド13とも電気的に接続される。
そして、第1の導線11と第2の導線12の各々の出力端11e、12eは、第1の同軸コネクタ81と第2の同軸コネクタ82の各々の芯線81a、82aと接続される。これらの同軸コネクタの種類は特に限定されないが、本実施形態では第1実施形態と同様にこれらの同軸コネクタとしてSMAコネクタを使用する。
また、第1の同軸コネクタ81と第2の同軸コネクタ82はそれぞれアースコンタクト81b、82bを有しており、上記の第1の導体シールド13と第2の導体シールド14の各々がこれらのアースコンタクト81b、82bと電気的に接続される。
なお、実使用下においてはアースコンタクト81b、82bは接地されるため、これらのアースコンタクト81b、82bとの接続点における第1の導体シールド13と第2の導体シールド14も接地電位となる。
次に、この磁界測定装置80を用いた磁界測定方法について説明する。
第1のループL1を貫く磁束が変化すると、第1のループL1に沿って誘導電圧が生じる。本実施形態では、第1のループL1を囲む導体17と第2の導線12が誘導電流のパスとなるため、第2の同軸ケーブル82の芯線82aから出力される第2の電圧V2そのものが上記の誘電電圧に等しくなる。
一方、第2のループL2を貫く磁束の変化により生じる誘導電圧は、ギャップ区間P3において第2のループL2の略全周に沿って設けられた第1の導線11に生じ、第1の同軸ケーブル81の芯線81aから出力される第1の電圧V1がその誘導電圧に等しくなる。
このように、本実施形態によれば、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々が単独で第2のループL2と第1のループL1に生じる誘導電圧に等しくなるので、これらの和や差を算出するための演算回路19(図1参照)が不要となり、装置構成を簡略化できる。
更に、第1〜第4実施形態と同様に、大きい第1のループL1によって磁界を感度良く測定できると共に、小さい第2のループL2によって磁界を高い空間分解能で測定できる。
第1実施形態と同様の方法で感度と分解能を調査したところ、第2の電圧V2によって第1のループL1内の磁束を測定する場合は、感度が−41dBとなり、空間分解能は1.9mmとなった。
また、第1の電圧V1によって第2のループL2内の磁束を測定する場合は、感度が−54dBとなり、空間分解能は0.4mmとなった。
なお、本実施形態は上記に限定されない。
図14は、本実施形態の変形例に係る磁界測定装置90の構成図である。
この例では、ギャップ区間P3に露出していた第1の導線11と第2の導線12の各々を絶縁樹脂89で覆うことにより、第1の導線11や第2の導線12が電子部品25と電気的にショートする危険性を低減する。
また、第1の導体シールド13、第2の導体シールド14、及び導体17もその絶縁樹脂89で覆われており、これらの導電体が電子部品25と電気的にショートするのを防止することもできる。なお、これと同様の絶縁処理を、図1及び図9、並びに後述の図18の磁界測定装置に対しても施してもよい。
(第6実施形態)
本実施形態では、配線基板を利用して第5実施形態と同様の構造を作製する。
図15は、本実施形態に係る磁界測定装置91の平面図である。なお、図15において、第4実施形態で説明したのと同じ要素には第4実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態では、配線基板41の内層に第1の導線11と第2の導線12を設ける。
第1の導線11と第2の導線12は、配線基板41の第1の導体層31と第2の導電層34に形成された開口41aが内包する第1のループL1の半周部分に沿って形成されると共に、第3のビア導電体38において第1の導体層31と電気的に接続される。
第3のビア導電体38は第1のギャップ31xの両側に一つずつ設けられており、その第1のギャップ31xから第1の導線11と第2の導線12が露出する。
図16は、配線基板41の他方の主面側から見た磁界測定装置91の平面図である。
図16に示すように、配線基板41の他方の主面側の第2の導体層34にも上記の第3のビア導電体38が形成されており、そのビア導電体38を介して第1の導線11と第2の導線12が第2の導体層34に電気的に接続される。
図17は、第1の導線11の敷設経路に沿った配線基板41の断面図である。
図17に示すように、第1の導体層31と第2の導体層34との間には、第2実施形態で説明した第1の絶縁層32と第2の絶縁層33が設けられる。
再び図15を参照する。
このような磁界測定装置91においては、第5実施形態で説明したのと同じ理由により、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々が単独で第2のループL2と第1のループL1に生じる誘導電圧に等しくなり、演算回路19(図1参照)を不要とすることができる。
更に、配線基板41の内層の第1の導線11や第2の導線12は銅膜等をパターニングして形成され得るため、第1のループL1や第2のループL2の大きさを第5実施形態よりも小さくして磁界測定の空間分解能を高めることができる。
(第7実施形態)
第5実施形態では、第1のループL1に沿って流れる誘導電流のパスの一部として導体17を形成した。
これに対し、本実施形態では、セミリジッドケーブルの導体シールドにその誘導電流のパスとしての機能を担わせることにより導体17を不要とする。
図18は、本実施形態に係る磁界測定装置95の構成図である。なお、図18において、図13で説明したのと同じ要素には図13におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態では、第1のループL1の第1の区間P1に沿って第1の導線11を設けると共に、第2の区間P2に沿って第2の導線12を設ける。
そして、ギャップ区間P3において一部が露出している第2の導線12の先端12aと第1の導電シールド13とを半田等により接続する。
更に、そのギャップ区間P3においては、露出している第1の導線11が第2のループL2に沿うように設けられると共に、その第1の導線11の先端11aが半田等によって第1の導体シールド13と接続される。
このような構造では、第1のループL1内の磁束変化に伴う誘導電流は、第2の導線12と第1の導電シールド13とを流れるようになり、第6実施形態と同様にその磁束変化が原因の誘導電圧は第2の電圧V2と等しくなる。
また、第2のループL2内の磁束変化による誘導電圧は、第6実施形態で説明したように、第1の電圧V1と等しくなる。
以上説明した本実施形態に係る磁界測定装置95でも、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々が単独で第2のループL2と第1のループL1に生じる誘導電圧に等しくなるので、これらの和や差を算出するための演算回路19(図1参照)を不要にすることができる。
更に、上記の第1〜第5実施形態と同様に、大きい第1のループL1によって磁界を感度良く測定できると共に、小さい第2のループL2によって磁界を高い空間分解能で測定できる。
第1実施形態と同様の方法で感度と分解能を調査したところ、第2の電圧V2によって第1のループL1内の磁束を測定する場合は、感度が−42dBとなり、空間分解能は2.0mmとなった。
また、第1の電圧V1によって第2のループL2内の磁束を測定する場合は、感度が−55dBとなり、空間分解能は0.4mmとなった。
しかも、第1のループL1の第1の区間P1と第2の区間P2の各々においては、第1の導線11と第2の導線12のそれぞれが一本ずつ設けられるので、これらの導線を並行して設ける場合と比較して第1の導線11と第2の導線12を曲げ加工し易くなる。これにより、第5の実施形態よりも第1のループL1を微細化するのが容易となり、第1のループL1を用いた磁界測定の空間分解能を高めることができる。
(第8実施形態)
本実施形態では、配線基板を利用して第7実施形態と同様の構造を作製する。
図19は、本実施形態に係る磁界測定装置97の平面図である。なお、図19において、第6実施形態で説明したのと同じ要素には第6実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態では、配線基板41の内層に第1の導線11と第2の導線12を設ける。その第1の導線11と第2の導線12は、それぞれ第1のループL1の片側半周部分に沿って設けられる。
また、第1のギャップ31xの横の配線基板41には第3のビア導電体38が二つ設けられており、一方の第3のビア導電体38により第1の導線11と第1の導体層31とが接続される。そして、他方の第3のビア導電体38によって、第2の導線12と第1の導体層31とが接続される。
図20は、配線基板41の他方の主面側から見た磁界測定装置97の平面図である。
図20に示すように、配線基板41の他方の主面側の第2の導体層34にも上記の第3のビア導電体38が二つ形成される。そして、一方のビア導電体38を介して第1の導線11と第2の導体層34が電気的に接続されると共に、他方のビア導電体38を介して第2の導線12と第2の導体層34が電気的に接続される。
図21は、第1の導線11の敷設経路に沿った配線基板41の断面図である。
図21に示すように、第1の導体層31と第2の導体層34との間には、第2実施形態で説明した第1の絶縁層32と第2の絶縁層33が設けられる。
再び図19を参照する。
このような磁界測定装置97においては、第7実施形態で説明したのと同じ理由により、第1の電圧V1と第2の電圧V2の各々が単独で第2のループL2と第1のループL1に生じる誘導電圧に等しくなり、演算回路19(図1参照)を不要とすることができる。
更に、配線基板41の内層の第1の導線11や第2の導線12は銅膜等をパターニングして形成され得るため、第1のループL1や第2のループL2の大きさを第7実施形態よりも小さくして磁界測定の空間分解能を高めることができる。
以上、各実施形態について詳細に説明したが、各実施形態は上記に限定されない。
例えば、外部のシグナルジェネレータ等の信号発生器から第1の導線11と第2の導線12の各々の出力端11a、12aに交流電流を入力することにより、第1〜第8実施形態の各々の磁界測定装置を磁界発生器として使用してもよい。
この場合、第1のループL1と第2のループL2の各々から発生した磁界に電子部品25を曝しつつ、電子部品25の動作不良を監視することで、電子部品25のどの部分において外部磁界が原因の不良が発生したかが分かる。特に、各ループの大きさが異なるので、大きな第1のループL1により不良箇所の大まかな見当をつけ、その後に小さな第2のループL2で不良箇所を正確に探索するという使用方法も可能となる。
特に、演算回路19として使用される180度ハイブリッドは、第1の端子19aや第2の端子19bから交流電流を入力することが可能であるため、各磁界測定装置から取り外さなくても前述のシグナルジェネレータと接続することができる。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1のループに沿って設けられ、該第1のループを貫く磁束の変化によって流れる誘導電流の電流経路の一部を形成する第1の導線と、
前記第1のループに沿って設けられ、前記電流経路の一部を形成する第2の導線と、
前記第1のループに沿って設けられて前記電流経路の一部を形成すると共に、前記第1の導線と前記第2の導線の各々と接続された導体とを有し、
前記第1の導線と前記第2の導線の各々の一部が、前記第1のループよりも小さい第2のループに沿って設けられて、該第2のループを貫く磁束の変化によって流れる誘導電流の電流経路の一部を形成することを特徴とする磁界測定装置。
(付記2) 前記第1の導線の前記一部を露出しながら該第1の導線の残りを覆う第1の導体シールドと、
前記第2の導線の前記一部を露出しながら該第2の導線の残りを覆う第2の導体シールドとを更に有することを特徴とする付記1に記載の磁界測定装置。
(付記3) 前記第1のループは第1の区間と第2の区間とを有し、
前記導体は、前記第1のループの前記第2の区間に沿って設けられ、
前記第1の導線と前記第2の導線は前記第1の区間において並行し、
前記第1の導体シールドから露出した前記第1の導線の前記一部、前記第2の導体シールドから露出した前記第2の導線の前記一部、及び前記導体が、前記第1の区間と前記第2の区間との間において接続されたことを特徴とする付記2に記載の磁界測定装置。
(付記4) 前記第1のループは第1の区間と第2の区間とを有し、
前記第1の導線は、前記第1の区間に沿って設けられ、
前記第2の導線は、前記第2の区間に沿って設けられ、
前記第1の区間と前記第2の区間との間において、前記第1の導体シールドから露出した前記第1の導線の前記一部が前記第2のシールドと電気的に接続され、かつ、前記第2の導体シールドから露出した前記第2の導線の前記一部が前記第1のシールドと電気的に接続されて、
前記第1の導体シールドと前記第2の導体シールドが前記導体を兼ねることを特徴とする付記2に記載の磁界測定装置。
(付記5) 第1の導体層、絶縁層、及び第2の導体層が順に形成された配線基板を更に有し、
前記配線基板の内層に前記第1の導線と前記第2の導線が形成され、
前記第1の導体層と前記第2の導体層が前記第1の導体シールドと前記第2の導体シールドを兼ねることを特徴とする付記2乃至付記4のいずれかに記載の磁界測定装置。
(付記6) 前記配線基板に、前記第1のループに沿う開口が形成され、
前記配線基板を平面視したときに、前記第2のループに重なる部分の前記第1の導体層と前記第2の導体層が除去され、該部分において、前記第1の導線の前記一部と前記第2の導線の前記一部が露出することを特徴とする付記5に記載の磁界測定装置。
(付記7) 前記第1の導線から出力される第1の電圧と、前記第2の導線から出力される第2の電圧との和を出力する第1の端子と、
前記第1の電圧と前記第2の電圧との差を出力する第2の端子とを備えた演算回路を更に備えたことを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の磁界測定装置。
(付記8) 第1のループに沿って設けられた第1の導線と、
前記第1のループに沿って設けられ、該第1のループを貫く磁束の変化によって流れる誘導電流の電流経路の一部を形成する第2の導線と、
前記第1のループに沿って設けられて前記電流経路の一部を形成し、かつ、前記第2の導線と電気的に接続された導体とを有し、
前記第1の導線の一部が、前記第1のループよりも小さい第2のループに沿って設けられて、該第2のループを貫く磁束の変化によって流れる誘導電流の電流経路の一部を形成することを特徴とする磁界測定装置。
(付記9) 前記第1の導線の一部を露出しながら該第1の導線の残りを覆う第1の導体シールドと、
前記第2の導線を覆う第2の導体シールドとを更に有することを特徴とする付記8に記載の磁界測定装置。
(付記10) 第1の導体層、絶縁層、及び第2の導体層が順に形成された配線基板を更に有し、
前記配線基板の内層に前記第1の導線と前記第2の導線が形成され、
前記第1の導体層と前記第2の導体層が前記第1の導体シールドと前記第2の導体シールドを兼ねることを特徴とする付記9に記載の磁界測定装置。