JP2015059838A - 配線電流検出構造 - Google Patents

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寛之 高辻
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Abstract

【課題】 配線パターンを伝搬する信号の品位が劣化するおそれなく、また、EMC問題を発生させることなく、多層配線基板の内層に存在する配線パターンに流れる電流を簡単に検出する。【解決手段】 多層配線基板11の内層には、配線パターン13に近接したループ状部16aを有する磁界検出パターン16が形成されている。ループ状部16aの両端部の各側の磁界検出パターン16には、一対のビア17,18の各一端部が接続され、各他端部は、多層配線基板11の基板表面に露出して、抵抗素子22が抵抗成分として接続されている。配線パターン13と磁界検出パターン16との間には、接地電位に接続されるシールド電極パターン19が形成されている。配線電流検出構造は、磁界検出パターン16と、一対のビア17,18と、抵抗素子22とを備えて、構成される。【選択図】 図4

Description

本発明は、多層配線基板に形成された配線パターンに流れる電流を検出する配線電流検出構造に関するものである。
従来、この種の配線電流を検出するものとしては、例えば、特許文献1に開示された、図1(a)に平面図、同図(b)に断面図が示される電流検出機構がある。この電流検出機構では、両面配線基板上に渦巻き状に配線パターン1が形成され、渦巻き状配線パターン1は、スルーホール5で一端2が基板裏面に引き出される。渦巻き状配線パターン1の中心付近の基板表面には磁気センサ4が配置され、磁気センサ4は配線パターン3によって不図示の回路に接続される。磁気センサ4は、渦巻き状配線パターン1に流れる電流Iに比例して発生する磁束Φの密度を検出し、電気信号に変換する。
また、従来、特許文献2に開示された図2に示される密着固定型近磁界プローブPを用いて、配線電流を検出するものもある。近磁界プローブPは、フレキシブルなプリント配線板上にループコイルが形成されて構成され、プリント配線基板9に密着、固定して使用される。プリント配線基板9上には、多数のハーネス10やコネクタ等が配置されている。近磁界プローブPに備えられた高周波コネクタに高周波同軸ケーブル6の同軸コネクタ7が嵌められることで、配線パターンに電流が流れて生じる高周波誘導起電力は、近磁界プローブPのループコイルによって検知されて、計測器8で計測される。
特開2008−20402号公報 特開2000−147034号公報
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された電流検出機構は、電流を検出したい配線のパターンを渦巻き状に形成する必要がある。このため、電流を検出したい配線のパターンにインダクタンス分が生じ、配線パターンを伝搬する信号の品位が劣化するおそれがある。また、配線のパターンを渦巻き状に形成することで、直線状に形成する場合に比較して配線パターンから磁界が放射し易くなるので、EMC(Electro Magnetic Compatibility)問題が発生する可能性がある。
また、特許文献2に開示された近磁界プローブPを用いて配線電流を検出する従来技術では、プリント配線基板9の表面に近磁界プローブPを密着、固定して使用するため、多層配線基板の内層に存在する配線パターンを流れる電流を検出することは、困難である。特に、信号が伝搬する配線パターンの上下層がグランドプレーンに挟まれるストリップラインでは、配線パターンに生じる電磁界がグランドプレーンによって基板内部に閉じ込められてしまうため、配線パターンを流れる電流は全く検出することが出来ない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、多層配線基板の内層に存在する配線パターンに近接して形成されたループ状部を有する磁界検出パターンと、ループ状部の両端部の各側の磁界検出パターンに各一端部が接続され多層配線基板の基板表面に各他端部が露出する一対のビアと、この一対のビアの各他端部間に接続された抵抗成分とを備えて、配線電流検出構造を構成した。
本構成によれば、多層配線基板の内層に存在する配線パターンに電流が流れることによって生じる磁界は、その配線パターンに近接して形成された磁界検出パターンのループ状部に起電力を誘起する。従って、このループ状部の両端部が一対のビアによって多層配線基板の基板表面に引き出され、引き出された各部分の間に抵抗成分が設けられることで、抵抗成分の両端には、配線パターンに電流が流れることによってループ状部に誘起された起電力に対応する電圧が現れる。このため、この電圧を計測することで、多層配線基板の内層に存在する配線パターンに流れる電流を算出することが出来る。
よって、電流を検出したい配線のパターンを渦巻き状に形成することなく、配線パターンに流れる電流を検出できるので、配線パターンを伝搬する信号の品位が劣化するおそれなく、また、EMC問題を発生させることなく、配線パターンに流れる電流を簡単に検出することが出来る。また、配線パターンに流れる電流を検出する磁界検出パターンは、配線パターンと共に多層配線基板の内層に形成されるため、多層配線基板の内層に存在する配線パターンを流れる電流を検出することが可能になる。
また、本発明は、配線パターンが形成された基板層と多層配線基板の基板表面との間に基準電位に接続されるプレーン層が存在することを特徴とする。
本構成によれば、ストリップラインのように、信号等が伝搬する配線パターンが形成された基板層と多層配線基板の基板表面との間に、基準電位に接続されるプレーン層が存在していても、信号等が伝搬する配線パターンに近接して磁界検出パターンのループ状部が形成されるので、基準電位に接続されるプレーン層の存在にかかわらず、配線パターンを流れる電流に応じて生じる磁界を、磁界検出パターンのループ状部に鎖交させることが出来る。このため、ストリップラインのように、信号等が伝搬する配線パターンが形成された基板層と多層配線基板の基板表面との間に、基準電位に接続されるプレーン層が存在していても、信号等が伝搬する配線パターンを流れる電流を検出することが出来る。
また、本発明は、配線パターンと磁界検出パターンとの間に基準電位に接続されるシールド電極パターンを備えることを特徴とする。
本構成によれば、電流を検出したい配線パターンから放出される電界は、配線パターンと磁界検出パターンとの間に備えられたシールド電極パターンによって遮蔽され、磁界検出パターンに及ぼす影響が減じられる。このため、磁界検出パターンは、配線パターンから放出される電界の影響をほとんど受けずに、配線パターンを流れる電流に応じて生じる磁界を精度よく検出することが出来る。よって、抵抗成分の両端には、配線パターンに流れる電流に応じた電圧が正確に現れ、配線パターンに流れる電流は正確に検出されるようになる。
本発明によれば、上記のように、配線パターンを伝搬する信号の品位が劣化するおそれなく、また、EMC問題を発生させることなく、多層配線基板の内層に存在する配線パターンに流れる電流を簡単に検出することが出来る。
(a)は、配線電流を検出する第1の従来技術による電流検出機構の平面図、(b)はその断面図である。 近磁界プローブを用いて配線電流を検出する第2の従来技術の構成図である。 本発明の一実施の形態による配線電流検出構造を用いて構成された多層配線基板の断面図である。 (a)は、図3に示す多層配線基板の基板表面の平面図、(b)は、図3に示す多層配線基板の内層の基板層の平面図である。 本発明の一実施形態による配線電流検出構造において生じる磁気現象を説明するための平面図である。
次に、本発明の配線電流検出構造を実施するための形態について、説明する。
図3は、本発明の一実施の形態による配線電流検出構造を用いて構成された多層配線基板11の断面図である。
多層配線基板11の内層にはストリップライン12が形成されている。ストリップライン12は、信号が伝搬する、多層配線基板11の内層に存在する配線パターン13と、この配線パターン13を挟んで配線パターン13の上下層に形成された一対のグランドプレーン14,15とから構成される。グランドプレーン14,15は、銅箔等が基板面に一面にわたって形成されたベタ層として構成されており、基準電位である接地電位に接続される。グランドプレーン14は、配線パターン13が形成された基板層と多層配線基板11の基板表面との間において、基準電位に接続されるプレーン層を構成する。
図4(b)は、配線パターン13が形成された多層配線基板11の内層の基板層の平面図である。この基板層には磁界検出パターン16が形成されている。磁界検出パターン16は、流れる電流を測定したい配線パターン13に近接して形成されたループ状部16aを有する。ループ状部16aの両端部の各側の磁界検出パターン16には、一対のビア17,18の各一端部が接続されている。一対のビア17,18の各他端部は、多層配線基板11の基板表面に露出している。また、配線パターン13と磁界検出パターン16との間には、シールド電極パターン19が形成されている。このシールド電極パターン19は、両端部が一対のビア20,21によってグランドプレーン14に接続され、接地電位に接続される。
図4(a)は、多層配線基板11の基板表面の平面図である。基板表面に露出している一対のビア17,18の各他端部間には、抵抗素子22が抵抗成分として接続されている。本実施形態の配線電流検出構造は、磁界検出パターン16と、一対のビア17,18と、抵抗素子22とを備えて、構成される。
このような本実施形態の配線電流検出構造によれば、多層配線基板11の内層に存在する配線パターン13に電流Iが流れることによって生じる磁界Hは、図5に示され、磁界検出パターン16のループ状部16aに起電力を誘起する。なお、図5において図4と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。従って、このループ状部16aの両端部が一対のビア17,18によって多層配線基板11の基板表面に引き出され、引き出された各部分の間に抵抗素子22が設けられることで、抵抗素子22の両端には、配線パターン13に電流Iが流れることによってループ状部16aに誘起された起電力に対応する電圧Vが現れる。このため、この電圧Vを計測することで、多層配線基板11の内層に存在する配線パターン13に流れる電流Iを次のように算出することが出来る。
磁界Hを生じさせる磁束密度Bは、配線パターン13からループ状部16aの中心までの距離をr(例えば、数mmまたは数mm無い程度)とすると、次の(1)式に表される。
Figure 2015059838
従って、磁束密度Bによってループ状部16aに生じる磁束φは、ループ状部16aの面積をS、ループ状部16aの半径をa(例えば、数100μm〜数mm)とすると、次の(2)式に表される。
Figure 2015059838
よって、磁束φによってループ状部16aを流れる電流Iは、次の(3)式に表される。
Figure 2015059838
また、抵抗素子22の両端に現れる電圧をV、抵抗素子22のインピーダンスをZとすると、電流Iは次の(4)式に表される。
Figure 2015059838
従って、(3)式および(4)式から次の(5)式が導かれる。
Figure 2015059838
(5)式の両辺を時間tで積分すると、次の(6)が導かれる。
Figure 2015059838
よって、配線パターン13に流れる電流Iは、次の(7)式によって算出される。
Figure 2015059838
このため、電流Iを検出したい配線のパターン13を渦巻き状に形成することなく、配線パターン13に流れる電流Iを検出できるので、配線パターン13を伝搬する信号の品位が劣化するおそれなく、また、EMC問題を発生させることなく、配線パターン13に流れる電流Iを簡単に検出することが出来る。また、配線パターン13に流れる電流Iを検出する磁界検出パターン16は、配線パターン13と共に多層配線基板11の内層に形成されるため、多層配線基板11の内層に存在する配線パターン13を流れる電流Iを検出することが可能になる。
また、本実施形態の配線電流検出構造によれば、信号等が伝搬する配線パターン13が形成された基板層と多層配線基板11の基板表面との間に、接地電位に接続されるグランドプレーン14が存在していても、配線パターン13に近接して磁界検出パターン16のループ状部16aが形成されるので、接地電位に接続されるグランドプレーン14の存在にかかわらず、配線パターン13を流れる電流Iに応じて生じる磁界Hを、磁界検出パターン16のループ状部16aに鎖交させることが出来る。このため、信号等が伝搬する配線パターン13が形成された基板層と多層配線基板11の基板表面との間に、接地電位に接続されるグランドプレーン14が存在していても、信号等が伝搬する配線パターン13を流れる電流Iを検出することが出来る。
また、本実施形態の配線電流検出構造によれば、電流Iを検出したい配線パターン13から放出される電界Eは、配線パターン13と磁界検出パターン16との間に備えられたシールド電極パターン19によって遮蔽され、磁界検出パターン16に及ぼす影響が減じられる。このため、磁界検出パターン16は、配線パターン13から放出される電界Eの影響をほとんど受けずに、配線パターン13を流れる電流Iに応じて生じる磁界Hを精度よく検出することが出来る。よって、抵抗素子22の両端には、配線パターン13に流れる電流Iに応じた電圧Vが正確に現れ、配線パターン13に流れる電流Iは正確に検出されるようになる。
なお、上記の実施形態では、一対のビア17,18の各他端部間に抵抗素子22が抵抗成分として接続される場合について、説明した。しかし、抵抗成分は抵抗素子22といった外付け部品に限られることはなく、配線パターンによって基板表面にパターン形成することも出来る。
また、上記の実施形態では、磁界検出パターン16が1ターンに満たないループ状部16aを有する場合について説明したが、1ターン以上の複数ターンを有するようにループ状部16aを形成してもよい。また、ループ状部16aは円形状に限らず、多角形状等に形成してもよい。
また、上記の実施形態では、電流Iを検出したい配線パターン13がストリップライン12を構成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、配線パターン13と多層配線基板11の基板表面との間にだけグランドプレーン14が存在するマイクロストリップラインについても、同様に本実施形態の配線電流検出構造を適用することが出来る。また、配線パターン13と多層配線基板11の基板表面との間に、基準電位に接続されるプレーン層が存在しない場合においても、同様に本実施形態の配線電流検出構造を適用することが出来、多層配線基板11の内層に存在する配線パターン13に流れる電流を検出することが出来る。
また、上記の実施形態では、電流Iを検出したい配線パターン13に高周波信号が伝搬する場合について説明したが、信号周波数は高周波に限られることはなく、低周波であってもよい。また、配線パターン13は信号を伝搬する配線に限られず、電源ラインを構成する電源供給に用いられる配線であってもよい。
本発明による配線電流検出構造によれば、配線パターン13に重畳する高周波ノイズの電流を測定することが出来、本発明による配線電流検出構造は、ノイズ対策の解析に好適な産業上の利用可能性を有する。
11…多層配線基板
12…ストリップライン
13…配線パターン
14,15…グランドプレーン
16…磁界検出パターン
16a…ループ状部
17,18,20,21…ビア
19…シールド電極パターン
22…抵抗素子

Claims (3)

  1. 多層配線基板の内層に存在する配線パターンに近接して形成されたループ状部を有する磁界検出パターンと、前記ループ状部の両端部の各側の前記磁界検出パターンに各一端部が接続され前記多層配線基板の基板表面に各他端部が露出する一対のビアと、この一対のビアの前記各他端部間に接続された抵抗成分とを備えて構成される配線電流検出構造。
  2. 前記配線パターンが形成された基板層と前記多層配線基板の基板表面との間に基準電位に接続されるプレーン層が存在することを特徴とする請求項1に記載の配線電流検出構造。
  3. 前記配線パターンと前記磁界検出パターンとの間に基準電位に接続されるシールド電極パターンを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線電流検出構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016190290A1 (ja) * 2015-05-28 2016-12-01 株式会社村田製作所 電流検出素子、送電装置及び電力伝送システム
JP2017020631A (ja) * 2015-07-15 2017-01-26 アズビル株式会社 ポジショナ

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