JP2013067754A - 塗料組成物及び構造色を発現する周期構造を有する金属製キャップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂から成り、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:アクリル樹脂の重量比が20:80乃至45:55であるベース樹脂、及び硬化剤から成り、紫外線波長領域UV−C(280nm〜200nm)の範囲の波長を有するレーザ光に対する硬化後の塗膜の透過率が70%以上であることを特徴とする塗料組成物。
【選択図】なし
Description
光照射により微細周期構造を形成し、構造色を発現する方法も提案されており、例えば、LIPS(Laser Induced Periodic Structures)がある(例えば、非特許文献1参照)。これは、レーザ照射により物質表面に自己組織的に形成される微細周期構造であり、このLIPSを利用した構造色を発現する構造体も提案されている(特許文献1)。
上記LIPSを利用した構造色を発現可能な構造体は、版型が不要で、模様の変更がスキャニング・プログラムの変更で対応できるため、少量多品種への適用が容易であると共に、平面のみならず、曲面や凹凸面にも容易に適用することが可能である。更に、版型を用いた場合のように被形成面と接触することがないため、成形品への追加工も可能になるという、優れた作用効果を有している。
すなわち、微細周期構造形成用被膜層に微細周期構造を形成して、構造色を発現させる為には、YAG第4高調波(波長266nm)のレーザ光の波長に対して、透過率の低い(吸収の大きい)被膜層を設ける必要がある。その際、予め、微細周期構造形成用被膜層、及び保護層を形成した金属キャップにレーザ光照射をすることが好ましいが、その場合、レーザ光の持つ波長に対して透過率が高い保護層を選択しないと、効率よく被膜層に微細周期構造を形成することができないのである。しかし、アクリル系塗料は、加工性に劣るため、かかる塗料からなる塗膜を有する塗装金属板はキャップ加工に耐えることができない。また仕上げワニスとして使用されている塩化ビニル系塗料は、熱安定性に劣るため、塗膜焼付けの際に褐色に変色するおそれがあり、褐変を防止するためにエポキシ樹脂を配合することも考えられるが、エポキシ樹脂は、YAG第4高調波の透過率が低いため、効率よく微細周期構造を形成することができないことがわかった。
本発明の他の目的は、微細周期構造が形成された構造体表面の保護層に好適に利用可能な塗料組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、傷付きや汚れ等が有効に防止された、構造色を発現可能な規則的配列を有する微細周期構造が形成された金属製キャップを提供することである。
本発明の塗料組成物においては、
1.硬化剤が、ベース樹脂100重量部当り5乃至30重量部の量で含有されていること、
2.硬化剤が、メラミン樹脂であること、
3.熱安定剤として、ベース樹脂100重量部当り1乃至30重量部の量でエポキシ化大豆油が含有されていること、
4.熱安定剤として、ベース樹脂100重量部当り0.5乃至5重量部の量でエポキシ樹脂が含有されていること、
が好適である。
本発明の金属製キャップにおいては、被膜が、ポリエステル樹脂から成ることが好適である。
しかもかかる塗膜は、熱安定性にも優れているため、塗膜焼付けの際に変色するおそれがないことは勿論、透明性にも優れており、この保護塗膜より下層に形成される微細周期構造形成用被膜層の意図する構造色を鮮明に発現させることができ、基材として鏡面仕上げ材を用いた場合にも光沢が損なわれることもない。
更に加工性に優れているため、プレス成形等のキャップへ過酷な加工に対しても塗膜が傷ついたりすることが有効に防止されており、金属製キャップ用の塗料組成物として有効に使用することができる。
本発明の塗料組成物は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂から成り、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:アクリル樹脂の重量比が20:80乃至45:55であるベース樹脂、及び硬化剤から成り、紫外線波長領域UV−C(280nm〜200nm)の範囲の波長を有するレーザ光に対する硬化後の塗膜の透過率が70%以上であることが重要な特徴である。
本発明の塗料組成物においては、ベース樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂を組合せで用いることが重要であり、これにより、加工性及び熱安定性の両方を兼ね備えた塗料組成物を提供することが可能になる。
この際、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:アクリル樹脂の重量比が20:80乃至45:55の範囲にあることも重要であり、上記範囲よりも塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の含有量が多い場合には、熱安定性に劣るようになり、上記範囲よりもアクリル樹脂が多い場合には、塗膜の加工性に劣ると共に、透明性が低下するおそれがある。
本発明に用いる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニル成分が80乃至95重量%で、酢酸ビニル成分が1乃至15重量%の範囲にあることが好ましく、平均重合度が80乃至1500の範囲にあることが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を挙げることができ、これらは単独または2種以上の組合せで使用することができる。
アクリル酸やメタクリル酸のエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどがある。尚、上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタアクリル酸を示す。
好適なアクリル樹脂としては、これに限定されないが、メタクリル酸メチルを挙げることができる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂等を挙げることができるが、本発明においては特にメラミン樹脂を好適に用いることができる。これらの樹脂はエタノール、ブタノール等のアルコール類でエーテル化されていることが好ましい。
硬化剤は、アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体から成るベース樹脂100重量部に対して、5乃至30重量部の量で用いることが望ましい。
熱安定剤は、アクリル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体から成るベース樹脂100重量部に対して、1乃至30重量部の量で用いることが望ましい。
本発明の塗料組成物には、それ自体公知の変性剤、配合剤、レベリング剤、改質剤、滑剤、硬化促進剤等を従来公知の処方で配合し得る。
尚、本発明において、透過性或いは不透過性は、次のように定義される。
すなわち、特定の波長に対して、そのものにおける光の透過率が70%以上の場合を「透過性」、透過率が10%以上70%未満の場合を「半透過性」、透過率が10%未満の場合を「不透過性」とし、ある波長に対してそのものが透過性を示す場合、その波長の光はそのものの内部まで進入し、一方不透過性を示す場合は、その光はそのものの表面近傍にしか進入しない。
本発明の金属製キャップは、YAG第4高調波(波長266nm)に対して不透過性を有する被膜が形成された金属板の該被膜表面に、上述した塗料組成物から成る保護塗膜を成形してなる積層体から成り、YAG第4高調波(波長266nm)の照射により、前記被膜と保護塗膜の界面に構造色を発現する規則的配列を有する周期構造が形成されていることが重要な特徴である。
これにより、レーザ光は保護塗膜を透過して被膜に達し、被膜表面でレーザアブレーションを発生して、被膜と保護層の界面に微細周期構造を形成することが可能となり、金属製キャップは外面から構造色を視認できると共に、微細周期構造は保護塗膜よりも内部に形成されているため、微細周期構造が傷ついたり、或いは汚れ等によって、意図する構造色が発現されないということが有効に防止される。
本発明の金属製キャップにおいては、この積層金属板を、キャップ形状にプレス成形した後、例えばその頂板部外面等にレーザ照射することによって、図2に示すように、被膜2と保護層3の界面にレーザアブレーションによる凹部4が、可視光波長(約400nm〜700nm)に近い間隔で規則的に配列された周期構造を形成する。
上述した積層金属板に用いる金属板としては、これに限定されないが、ティンフリースチール、錫めっき鋼板、ブリキ等の各種表面処理鋼板、アルミニウム箔等の軽金属板等、従来金属缶や金属製キャップに用いられている金属板を用いることができる。
尚、本発明の積層構造体においては、金属板の被膜側の表面粗さが、平均表面粗さ(Ra)で10μm以下、特に3μm以下であることが特に好ましい。これにより平滑な被膜を形成することができ、レーザアブレーションによって規則的な配列を有する微細周期構造により発現される構造色が鮮明に映し出すことが可能となるのである。
上述した積層金属板に形成される被膜は、YAG第4高調波に対して不透過性を有する、芳香環を有する化合物を含有する材料から形成される。
尚、本発明における芳香環の骨格構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、フェナンスレン環、アズレン環、ピレン環などの芳香族炭化水素環、ピリジン環、ピラジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾピロール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ジベンゾチオフェン環等の複素芳香族環等を挙げることができる。
樹脂フィルムを構成可能な樹脂としては、YAG第4高調波に対して不透過性を有する、芳香環を有する化合物、特に分子鎖中に芳香環を有する高分子化合物であり、この条件を満たす限り、フィルム形成可能な従来公知のすべての熱可塑性樹脂を使用することができる。
本発明における被膜を樹脂フィルムから構成する場合には、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートイソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート等を特に好適に使用することができる。
塗料は、分子鎖中に芳香環を有する高分子化合物をベース樹脂として用いることもできるし、また硬化剤や重合開始剤等が芳香環を有する化合物からなっていてもよい。
ベース樹脂となる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、ノボラック樹脂、キシレン樹脂、芳香族系アクリル樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
また上記熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂塗料
、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂との組み合わせで使用することもできる。
また紫外線硬化型塗料の場合は、例えば、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒の組み合わせから成る紫外線カチオン型塗料や、紫外線硬化型モノマー乃至プレポリマーと光重合触媒の組み合わせから成る紫外線ラジカル重合型塗料を挙げることができる。
上記塗料は、エナメル或はラッカー等の有機溶媒溶液の形で、或は水性分散液または水溶液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気泳動塗装等で金属板に施し、焼付け、或いは紫外線硬化させることによって、金属板上に被膜を形成する。
尚、塗膜の硬化が進みすぎると、被膜が硬くなりすぎて、レーザ出力を上げないと、効果的にレーザアブレーションを発生させることができず、経済性及び生産性に劣るようになるので好ましくない。
また添加剤として、フェノール系の酸化防止剤等を配合してもよい。
また被膜は、必ずしも基材表面の全面に形成されている必要はなく、所望のパターンを形成することにより、また新たな加飾効果を付加することもできる。
被膜が金属板との間に接着性がない場合には、接着剤層を設けることもできる。
本発明の金属製キャップにおいて、本発明の塗料組成物から形成される保護塗膜の厚みは、1乃至10μm、特に3乃至5μmの範囲にあるのが好ましい。上記範囲よりも薄いと、保護層を形成することによる微細周期構造の保護が充分でなく、一方上記範囲よりも厚いと、上記範囲にある場合に比してレーザ光の被膜への到達が効果的に行われず、経済性に劣るだけなので好ましくない。
本発明の塗料組成物から保護塗膜を形成するには、塗工量にもよるが、160乃至180℃の温度で5分乃至15分間焼付けすることが好適である。
本発明の金属製キャップに、YAG第4高調波(波長266nm)の照射により、構造色を発現する規則的配列を有する周期構造を形成するには、図3に示すレーザ光照射装置により形成する。尚、図3中、11はレーザ発振器、12はビームスプリッタ、13はコリメータ素子、14は光束選択素子、15は集光素子をそれぞれ示す。
すなわち、前述した金属板表面に被膜及び本発明の塗料組成物からなる保護塗膜が形成された積層金属板から成る金属製キャップ20を、レーザ光照射装置の集光素子15から所定の距離のところに配置する。この位置は集光素子15により複数の光束が交差する干渉領域である(図3参照)。
レーザ光照射装置10が、レーザ光を出力し、ビームスプリッタ12がレーザ光を分割して複数の光束を形成し、集光素子15がそれら複数の光束を交差させて干渉領域を形成し、金属製キャップ20に照射させる。前述した通り、金属製キャップ20は、レーザ光に対して透過性を有する本発明の塗料組成物から成る保護塗膜、及びレーザ光の波長に対して不透過性を示す材料からなる被膜を有しているため、レーザ光は保護塗膜を透過して、被膜表面に到達し、被膜の表面からは先に進入することができない。
更に、レーザ光の照射を干渉領域で行うことで、被膜2の表面に周期的な光強度分布が励起し、高強度部でレーザアブレーションが発生する。このレーザアブレーションが発生することで、被膜表面に凹部4が形成され、被膜表面に凹凸形状の微細周期構造が形成され、この微細周期構造は周期的強度分布と同じ周期で形成される。
・使用した樹脂
主樹脂:テレフタル酸エステル-イソフタル酸エステル共重合体
(東洋紡績(株)社製 バイロンGK880) 100PHR
硬化樹脂:ベンゾグアナミン 30PHR
添加剤:ノボラック型エポキシ樹脂 3PHR
(金属基材との密着性を向上させるために添加)
主樹脂溶解に使用した溶剤はシクロヘキサノン。固形分20%狙いで溶液を作製。
・使用した樹脂
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(日信化学工業(株)社製 ソルバインA)
n-ヘキサンで塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を分散させたところにMEKを加え、溶解させ、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体溶液を得た。尚、溶剤の割合は、n-ヘキサン(20%)MEK(80%)であり、固形分20%で塗料化した。
メラミン樹脂:三井サイテック(株)社製 サイメル303
アクリル樹脂:メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)
微細周期構造形成用被膜層として、アルミニウム製板(厚み0.25mm)の片面側に、L−1塗料を塗布して、190℃で10分間加熱、厚み1.5μmの塗膜を得た。次にその保護層として、ベース樹脂である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の配合比別の塗料を、その上に塗布して、170℃で10分間加熱、厚み4μmの塗膜を得た。その後、170℃の温度で加熱して、被覆層、保護層の積層塗装金属板を作成した。そして、この塗装金属板を用いてキャップ成形を行い、口径38mmリシール缶用キャップを作成した。
次に、上記キャップに対して、レーザ光照射装置を用いて、フルエンス(レーザ照射エネルギー密度)が20〜25mJ/cm2で1パルスを照射し、樹脂被膜の表面に構造色発色用凹部を、約1.6μmの周期で規則的に形成した。
照射するレーザ光には、Qスイッチ パルスYAGレーザ第4高調波(波長266nm)を用いた。パルスYAGレーザのパルス幅は5nsである。
(1)キャップ成形性(成形)
上記評価用キャップにおいて、成形加工時の成形性評価を行った。キャップ成形の各行程に耐え得る性能(塗膜の剥けがないこと、クラックがないこと)を持っているかどうか目視で確認する。
(i)1次加工行程:プレス機にてカップ状に成形。
(ii)2次加工行程:ベントホール、ブリッジ、ビードなどを成形。
(iii) モールド行程:キャップ内側にシール材として樹脂をモールド成形。
○:これら全ての工程で塗膜の剥け、クラック、外観変化が無かった。
×:何れかの工程で塗膜の剥け、クラック、外観変化があった。
上記記評価(1)で行った目視では確認できない微細なクラックを確認するため、酸銅水溶液をキャップ外面(特にクラックが起きやすい側面)に付着させ、反応により、微細なクラック有無の判定を行う。塗膜にクラックがあった場合は、アルミ板と硫酸銅が反応し、錆が発生する。
○:反応無し。クラック無し。
×:反応有り。微細なクラックが発生している。
ホットパック充填を想定した熱水に対する問題がないかどうか確認するため、沸騰したお湯に成形したキャップを完全に漬け込み、30分間煮沸する。その後、取り出し、塗膜の剥け、クラックなどを観察する。
○:塗膜に剥け、クラック無し。
△:塗膜に小さなクラックが確認できる。
×:塗膜に剥け、または明らかなクラックが確認できる。
塗布した塗膜の硬化焼付けの際、塗膜の変色がないかどうか確認するため、アルミ板(厚さ0.25mm)に塗布量40mg(膜厚約4μm)で塗料を塗布し、下記焼き付け乾燥条件に対する塗板の変色の有無を目視にて観察する。
○焼き付け条件 (i)170℃10分、(ii)180℃10分
○:変色無し。
△:やや変色している。
×:明らかに変色している。
測定用試料の保護層塗料を下記条件で作製し、可視紫外近赤外分光高度計にて測定する。波長266nmのときの透過率を読みとる。
使用機器:島津製作所社製 可視紫外近赤外分光光度計 UV-3100PC
試料作製:石英スライドガラスにバーコーターにて塗布。膜厚は4μm。
170℃10分で焼き付け乾燥。
○:波長266nmの透過率が70%以上である。(透過性)
△:波長266nmの透過率が10%以下70%以上である。(半透過性)
×:波長266nmの透過率が10%以下である。(不透過性)
ベース樹脂である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の配合比別の塗料を作成した。各実施例、比較例について、成形性、焼き付け試験、煮沸試験、透過率の評価を行い、結果を(表1)に示す。
ベース樹脂である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の配合比を50:50及び20:80に固定し、硬化樹脂であるメラミン樹脂の添加量別の塗料を作成した。各実施例、比較例について、成形性、硫酸銅試験、煮沸試験、透過率の評価を行い、結果を(表2)に示す。
ベース樹脂である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の配合比を50:50及び20:80、また硬化樹脂であるメラミン樹脂の添加量を5重量部に固定し、熱安定剤であるエポキシ化大豆油(ESO)の添加量別の塗料を作成した。各実施例、比較例について、焼き付け試験、成形性、硫酸銅試験、煮沸試験、透過率の評価を行い、結果を(表3)に示す。また、熱安定剤をノボラック型エポキシ樹脂とした塗料については、(表4)に示す。
しかも本発明の塗料組成物は、熱安定性に優れているため、塗膜焼付けの際に変色するおそれがないことは勿論、透明性にも優れており、この保護塗膜より下層に形成される微細周期構造形成用被膜層に意図する構造色を鮮明に発現させることができ、基材として鏡面仕上げ材を用いた場合にも光沢が損なわれることもなく、更にも加工性に優れているため、金属製キャップのみならず、過酷な成形加工に付される包装体等の用途にも好適に用いることができる。
Claims (7)
- 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂から成り、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:アクリル樹脂の重量比が20:80乃至45:55であるベース樹脂、及び硬化剤から成り、紫外線波長領域UV−C(280nm〜200nm)の範囲の波長を有するレーザ光に対する硬化後の塗膜の透過率が70%以上であることを特徴とする塗料組成物。
- 前記硬化剤が、ベース樹脂100重量部当り5乃至30重量部の量で含有されている請求項1記載の塗料組成物。
- 前記硬化剤が、メラミン樹脂である請求項1又は2記載の塗料組成物。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の塗料組成物には、熱安定剤として、前記ベース樹脂100重量部当り1乃至30重量部の量でエポキシ化大豆油が含有されていることを特徴とする塗料組成物。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の塗料組成物には、熱安定剤として、前記ベース樹脂100重量部当り0.5乃至5重量部の量でエポキシ樹脂が含有されていることを特徴とする塗料組成物。
- YAG第4高調波(波長266nm)に対して不透過性を有する被膜が形成された金属板の該被膜表面に、請求項1乃至5の何れかに記載の塗料組成物から成る保護塗膜を成形してなる積層体から成り、YAG第4高調波(波長266nm)の照射により、前記被膜と保護塗膜の界面に構造色を発現する規則的配列を有する周期構造が形成されていることを特徴とする金属製キャップ。
- 前記被膜が、ポリエステル樹脂から成る請求項6記載の金属製キャップ。
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