JP2013067709A - ヒアルロン酸修飾物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒアルロン酸ないしヒアルロン酸塩を有機溶媒に溶解するように処理したのち、特定の割合でポリ−α−ヒドロキシ酸をグラフト化する。
【選択図】なし
Description
項1.ヒアルロン酸またはその塩に、モノマー単位の重合度が15〜40のポリ−α−ヒドロキシ酸を、グラフト結合により側鎖として有するヒアルロン酸修飾物。
項2.ポリ−α−ヒドロキシ酸の重量分率が60〜90%である、項1に記載のヒアルロン酸修飾物。
項3.ヒアルロン酸またはその塩が、重量平均分子量が3万〜15万である、項1または2に記載のヒアルロン酸修飾物。
項4.ヒアルロン酸またはその塩を、有機溶媒に溶解するように処理した後、モノマー単位の重合度が15〜40のポリ−α−ヒドロキシ酸をグラフト化することを特徴とするヒアルロン酸修飾物の製造方法。
項5.グラフト化反応を多段階で行う、項4に記載の製造方法。
項6.項1〜3のいずれか1項に記載のヒアルロン酸修飾物から得られるフィルム。
項7.キャスト法により、項6記載のフィルムを製造する方法。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、ヒアルロン酸またはその塩に、モノマー単位の重合度が15〜40のポリ−α−ヒドロキシ酸を、グラフト結合により側鎖として有することを特徴とするものである。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、ヒアルロン酸またはその塩に、ポリ−α−ヒドロキシ酸をグラフト化することにより得ることができる。具体的には、ヒアルロン酸またはその塩を、有機溶媒に溶解するように処理した後、末端水酸基を活性化させたポリ−α−ヒドロキシ酸をカップリング反応させることにより得られる。もしくは、ヒアルロン酸またはその塩を有機溶媒に溶解するように処理した後、ヒアルロン酸の水酸基を重合開始点としてラクトン類のグラフト重合を行うことにより得られる。どちらの場合においても、反応性を高めるためにヒアルロン酸またはヒアルロン酸塩の水酸基、あるいはカルボキシル基に、水酸基やカルボキシル基を有する、メチレン鎖やポリエチレングリコール鎖などのスペーサーを導入しておいても良い。
フィルムの製造方法については特に限定はされないが、例えば溶媒からキャストする方法や、ホットプレス、押出成形など、溶融体を加工する方法などが挙げられる。
1−ドデカノール1.03mlとL−ラクチド10.0gを100mlナスフラスコに入れ、3時間真空下で乾燥した。そこに、2−エチルヘキサン酸スズ28.2mgを加えて、8時間真空下で乾燥を行った。その後、150℃のオイルバスに浸漬し、完全に溶融させてから、オイルバスの温度を115℃に下げ、24時間反応を行った。反応終了後、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いた再沈殿法により、精製を行い、末端定量法により求めた重合度が22.2のポリ−L−乳酸(PLLA22)を9.87g得た。なお、PLLA22の同定は、1H−NMR(CDCL3)およびGPC(DMF、ポリスチレン標準)により行った。得られたPLLA22の組成および収率を、表1に示した。
合成例1−1で得られたポリ−L−乳酸(PLLA22)1.48gを塩化メチレン8mlに溶解した後、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)227mgを加え、アルゴン置換した後、室温で12時間攪拌した。反応終了後にエタノール/n−ヘキサン(3/7 v/v)を用いて再沈殿により精製を行い、PLLA22の活性エステル体(PLLA22−CI)を1.41g(収率92.8%)で得た。CDIによる活性化率は、97%であった。
1−ドデカノールの量を0.515mlに変更した以外は、合成例1−1と同様に反応を行った。末端定量法により求めた重合度が42.5のポリ−L−乳酸(PLLA42)を得た。得られたPLLA42の組成および収率を、表1に示した。
ポリ−L−乳酸(PLLA22)1.48gの代わりに、ポリ−L−乳酸(PLLA42)2.96gを用いた以外は、合成例1−2と同様に反応を行った。収率は98.2%、CDIによる活性化率は、100%であった。
1−ドデカノール1.59mlとε−カプロラクトン10gを100mlナスフラスコに入れ、8時間真空下で乾燥した。そこに、2−エチルヘキサン酸スズ5mgを加えて、8時間真空下で乾燥を行った。その後、150℃のオイルバスに浸漬し、完全に溶融させてから、168時間反応を行った。反応終了後、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いた再沈殿法により、精製を行い、末端定量法により求めた重合度が28のポリ−ε−カプロラクトン(PCL28)を6.88g得た。なお、PCL28の同定は、1H−NMR(CDCL3)およびGPC(DMF、PEG標準)により行った。得られたPCL28の組成および収率を、表2に示した。
合成例2−1で得られたポリ−ε−カプロラクトン(PCL28)5.50gを塩化メチレン10mlに溶解した後、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)0.78gを加え、アルゴン置換した後、室温で12時間攪拌した。反応終了後にエタノール/n−ヘキサン(3/7 v/v)を用いて再沈殿により精製を行い、PCL28の活性エステル体(PCL28−CI)を4.68g(収率78.5%)で得た。CDIによる活性化率は、65%であった。
1−ドデカノール1.261ml、L−ラクチド10gおよびε−カプロラクトン7.689mlを100mlナスフラスコに入れ、8時間真空下で乾燥した。そこに、2−エチルヘキサン酸スズ2.675mgを加えて、8時間真空下で乾燥を行った。その後、150℃のオイルバスに浸漬し、完全に溶融させてから、オイルバスの温度を115℃に下げ、24時間反応を行った。反応終了後、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にメタノールを用いた再沈殿法により、精製を行い、末端定量法により求めた乳酸の重合度が11、カプロラクトンの重合度が12のポリ(カプロラクトン−乳酸)ランダム共重合体(P(CL−LA))を11.9g得た。なお、P(CL−LA)の同定は、1H−NMR(CDCL3)およびGPC(DMF、ポリスチレン標準)により行った。得られたP(CL−LA)の組成および収率を、表3に示した。
合成例3−1で得られたポリ(カプロラクトン−乳酸)ランダム共重合体(P(CL−LA))3.00gを塩化メチレン10mlに溶解した後、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)457mgを加え、アルゴン置換した後、室温で12時間攪拌した。反応終了後にエタノール/n−ヘキサン(3/7 v/v)を用いて再沈殿により精製を行い、P(CL−LA)の活性エステル体(P(CL−LA)−CI)を2.98g(収率96.5%)で得た。CDIによる活性化率は、48.7%であった。
30mlサンプル管にヒアルロン酸ナトリウム(分子量9万)800mgを入れ、超純水を加えて溶解した。そこに陽イオン交換樹脂(Dowex 50W×8−200)を、5.84ml(ヒアルロン酸ナトリウムのカルボキシル基に対して5当量)加え、8時間攪拌した。その後、濾過により陽イオン交換樹脂を除去し、得られたヒアルロン酸水溶液に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBA−OH)1.6g(ヒアルロン酸のカルボキシル基に対して1当量)を加えて中和し、透析の外液に超純水を用いて、2日間透析(MWCO:15,000)をした後、凍結乾燥して、ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HA/TBA)を1.19g(収率94.2%)得た。HA/TBAの塩交換率の同定は、1H−NMR(NaOD/D2O)で行い、TBA化率は98%であった。
HA/TBA400mgをジメチルスルホキシド(DMSO)9mlに溶解させ、そこに、ジメチルアミノピリジン(DMAP)19.6mgをDMSO1mlに溶解させたものを加え、1時間攪拌した。得られた溶液を60℃のオイルバス中で激しく攪拌しながら、ジメチルスルホキシド(DMSO)30mlに溶解させたPLLA22−CI550mgを滴下し、60℃で72時間攪拌した。その後、さらに、DMSO1mlにジメチルアミノピリジン(DMAP)58.8mgを溶解させたものを加え、1時間攪拌した。得られた溶液を60℃のオイルバス中で激しく攪拌しながら、THF20mlに溶解させたPLLA22−CI1.65gを滴下し、還流しながら60℃で72時間攪拌した。得られた溶液を、透析の外液にDMSOを用いて透析(MWCO:15,000)を5日間行った後、遠心分離により未反応の沈殿物を取り除き、DMSOを除去後、酢酸エチルで得られた反応混合物を洗浄し、さらに、得られた反応混合物をTHFで洗浄し、精製を行った結果、HA/TBA−g−PLLA22を340mg(収率57%)得た。
次に、得られたHA/TBA−g−PLLA22 340mgをDMSO40mlに溶解し、DMSO60mlに溶解したNaCl156mgを加え室温で5時間撹拌した。DMSOを除去し、反応混合物をエチレングリコールで洗浄し、その後メタノールで3回洗浄して精製した結果、HA−g−PLLA22を270mg(収率28.4%)で得た。HA−g−PLLA22の同定は、1H−NMR(DMSO)で行った。
PLLA22−CIの代わりに、PLLA42−CIを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。HA/TBA290mgをジメチルスルホキシド(DMSO)9mlに溶解させ、そこに、ジメチルアミノピリジン(DMAP)56.2mgをDMSO1mlに溶解させたものを加え、1時間攪拌した。得られた溶液を60℃のオイルバス中で激しく攪拌しながら、ジメチルスルホキシド(DMSO)90mlに溶解させたPLLA42−CI2.95gを滴下し、60℃で72時間攪拌した。得られた溶液を、透析の外液にDMSOを用いて透析(MWCO:15,000)を5日間行った後、遠心分離により未反応の沈殿物を取り除き、DMSOを除去し、精製を行った後の精製確認時に溶媒であるDMSOに不溶であることから、精製の確認を行うことが不可能となった。この後の塩交換もDMSOを用いることから、これ以上の反応は不可能となった。
HA/TBA400mgをDMSO20mlに溶解させ、そこにDMAP76.4mgを加え、1時間攪拌した。その溶液を60℃のオイルバス中で激しく攪拌しながら、DMSO20mlに溶解させたPCL28−CI4.3gを滴下し、60℃で72時間攪拌した。その後、反応溶媒を濃縮し、貧溶媒に酢酸エチルを用いた再沈殿を1回行い、遠心分離により上澄みを除去後、もう一度貧溶媒を加え、超音波照射し分散させ、また遠心分離し上澄みを除去する作業を3回繰り返し、精製を行った。収量は439mgであった。
次に、得られたHA/TBA−g−PCL28 439mgをDMSO30mlに溶解し、DMSO60mlに溶解したNaCl62.5mgを加え室温で5時間撹拌した。DMSOを除去し、反応混合物をエチレングリコールで洗浄し、その後メタノールで3回洗浄して精製した結果、HA−g−PCL28を196mg(収率25%)で得た。HA−g−PCL28の同定は、1H−NMR(DMSO)で行った。
HA/TBA400mgをDMSO20mlに溶解させ、そこにDMAP76.4mgを加え、1時間攪拌した。その溶液を60℃のオイルバス中で激しく攪拌しながら、DMSO20mlに溶解させたP(CL−LA)−CI 2.98gを滴下し、60℃で72時間攪拌した。その後、反応溶媒を濃縮し、貧溶媒に酢酸エチルを用いた再沈殿を2回行うことによって精製を行った。収量は535mgであった。
次に、得られたHA/TBA−g−P(CL−LA) 535mgをDMSO40mlに溶解し、DMSO30mlに溶解したNaCl81mgを加え室温で5時間撹拌した。DMSOを除去し、反応混合物をエチレングリコールで洗浄し、その後メタノールで3回洗浄して精製した結果、HA−g−PLLA22を345mg(収率28.9%)で得た。HA−g−P(CL−LA)の同定は、1H−NMR(DMSO)で行った。
実施例1〜3で得られたポリマー120mgを4wt%となるようにDMSO2.62mlに溶解し、それを直径3cmのテフロン(登録商標)シャーレに入れた。その後、80℃、常圧で24時間、続いて80℃、減圧下で24時間乾燥することによりフィルムを得た。また、ポリ−α−ヒドロキシ酸単独のフィルムに関しても、上述と同様の方法で作製を行った。この際、P(CL−LA)のフィルムのみ得ることができなかった。
<ヒアルロン酸修飾物からなるフィルムの膨潤率(吸水性)評価>
調製例2で得られたヒアルロン酸修飾物のフィルムを、2×2cmに切り抜き、乾燥状態の重量を予め測定した。その後、37℃のPBS(pH=7.4、I=0.14)に浸漬させ、所定時間(0.25、0.5、1、2、4、7、15、30、60、120、240分)経過後にフィルムを引き上げ、軽く超純水で洗浄し表面の水分を軽く拭き取った後、重量を測定した。
<ヒアルロン酸修飾物からなるフィルムの重量減少率(加水分解性)評価>
調製例2で得られたヒアルロン酸修飾物のフィルムのうち、実施例1〜3のポリマーから得られたものについて、5×5cmに切り抜き、乾燥状態の重量を測定した。その後、37℃のPBS(pH=7.4、I=0.14)に浸漬させ、所定時間(1、2、7、14日)経過後にフィルムを取り出し、超純水で洗浄して凍結乾燥を行った。そして凍結乾燥後のフィルムの重量を測定することにより、重量減少率を算出した。なお、PBSのpHを変化させないために2日おきにフィルムを浸漬させたPBSを1ml回収し、新しいPBSを加えた。
重量減少率(%)=(W0−Wt)/W0
W0:当初のフィルムの重量
Wt:時間tにおけるフィルムの重量
結果を図2に示した。
Claims (7)
- ヒアルロン酸またはその塩に、モノマー単位の重合度が15〜40のポリ−α−ヒドロキシ酸を、グラフト結合により側鎖として有するヒアルロン酸修飾物。
- ポリ−α−ヒドロキシ酸の重量分率が60〜90%である、請求項1に記載のヒアルロン酸修飾物。
- ヒアルロン酸またはその塩が、重量平均分子量が3万〜15万である、請求項1または2に記載のヒアルロン酸修飾物。
- ヒアルロン酸またはその塩を、有機溶媒に溶解するように処理した後、モノマー単位の重合度が15〜40のポリ−α−ヒドロキシ酸をグラフト化することを特徴とするヒアルロン酸修飾物の製造方法。
- グラフト化反応を多段階で行う、請求項4に記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒアルロン酸修飾物から得られるフィルム。
- キャスト法により、請求項6記載のフィルムを製造する方法。
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