JP2013064771A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板の一方の面に表面保護フィルムが貼合され、もう一方の面に粘着剤層を介してセパレートフィルムが貼合されてなる積層体であって、カールおよびそれに伴う粘着剤層のスジの発生を抑制した簡便な構成の積層体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】偏光板と、上記偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、上記偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体であって、上記偏光板の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における上記偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1):
−0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
の関係を満たす、積層体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板と、偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体、および、その製造方法に関するものである。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものとして、広く用いられている。ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性直接染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは、通常、その片面または両面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤等を介して、トリアセチルセルロースやシクロオレフィンなどから形成される保護フィルム等を貼合することにより、偏光板が構成される。
偏光板はその一方の面に表面保護フィルムを、もう一方の面に粘着剤層を積層し、この粘着剤層の上にセパレートフィルムを積層した状態で液晶セルへ貼合されるまで一定期間保管されるのが一般的である。
しかしながら、偏光板は、その水分量によってはカールしやすいという問題があり、粘着剤層とセパレートフィルムが積層された状態でカールが発生した場合、粘着剤層とセパレートフィルムがズレ、粘着剤層にスジが発生する恐れがある。このスジは、偏光板からセパレートフィルムを剥離してこれを液晶セルに貼合した後にも残るため、液晶表示装置の表示品質に影響を与えてしまう。また、偏光板のカールも、液晶表示装置の表示品質に影響を与えてしまう。
かかる問題を解決する手段として、特開2008−122790号公報(特許文献1)および特開2005−326531号公報(特許文献2)には、偏光フィルムの水分量を比較的高めにし、かつ、偏光フィルムに貼合する保護フィルムの水分量を調節する方法が開示されている。
特開2008−122790号公報 特開2005−326531号公報
しかしながら、上記従来の偏光板の構成またはその製造方法は複雑であり、より簡便な構成の偏光板およびより簡便な偏光板の製造方法が要望されていた。そこで、本発明の目的は、偏光板の一方の面に表面保護フィルムが貼合され、もう一方の面に粘着剤層を介してセパレートフィルムが貼合されてなる積層体であって、カールおよびそれに伴う粘着剤層のスジの発生を抑制した簡便な構成の積層体およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、偏光板と、上記偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、上記偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体であって、
上記偏光板の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における上記偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1):
−0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
の関係を満たす、積層体である。
上記偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、上記偏光フィルムの一方の面に貼り合わされた光学補償フィルムとを含み、
上記光学補償フィルムは、セルロース系樹脂からなる透明支持体と、該透明支持体の片面に形成された配向膜と、該配向膜の上記透明支持体とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層とを有し、その透明支持体側で上記偏光フィルムの上記一方の面に貼り合わされており、
上記偏光フィルムの上記一方の面上の積層構成と、上記偏光フィルムの他方の面上の積層構成とが相違することが好ましい。
上記偏光板は、さらに、上記偏光フィルムの他方の面に貼り合わされた透明保護フィルムを含むことが好ましい。
上記透明保護フィルムと上記表面保護フィルムとが互いに貼合され、上記液晶化合物を含有するコーティング層と上記セパレートフィルムとが互いに貼合されていることが好ましい。
上記透明保護フィルムは、上記偏光フィルムと反対側の面に表面処理が施されていることが好ましい。
上記配向膜は、ポリビニルアルコール系樹脂からなることが好ましい。
上記液晶化合物を含有するコーティング層は、ディスコティック液晶を含有する光学補償層であることが好ましい。
上記光学補償層は、ディスコティック構造単位を有する液晶化合物からなる負の複屈折を有する層であり、
上記ディスコティック構造単位の円盤面が上記透明支持体面に対して傾いており、
上記ディスコティック構造単位の円盤面と上記透明支持体面とのなす角度が、上記光学補償層の厚さ方向において変化していることが好ましい。
上記ディスコティック構造単位の円盤面が上記透明支持体面に対してなす角度は、上記光学補償層の厚さ方向において上記光学補償層の上記透明支持体側からの距離の増加と共に増加していることが好ましい。
また、本発明は、偏光板と、上記偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、上記偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体の製造方法であって、
上記偏光板を、上記偏光板への上記表面保護フィルムおよび上記セパレートフィルムの貼合直前の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における上記偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、上記式(1)の関係を満たすように製造する偏光板製造工程と、
上記偏光板の一方の面への上記表面保護フィルムの貼合および上記偏光板の他方の面への上記粘着剤層を介しての上記セパレートフィルムの貼合を行なう積層体貼合工程と、を備える積層体の製造方法にも関する。
上記偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、上記偏光フィルムの一方の面に貼り合わされた光学補償フィルムと、上記偏光フィルムの他方の面に貼り合わされた透明保護フィルムとを含み、
上記光学補償フィルムは、セルロース系樹脂からなる透明支持体と、該透明支持体の片面に形成された配向膜と、該配向膜の上記透明支持体とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層とを有し、その透明支持体側で上記偏光フィルムの上記一方の面に貼り合わされており、
上記偏光板製造工程は、上記光学補償フィルムと、上記偏光フィルムと、上記透明保護フィルムとをこの順で積層した状態で二つのロールの間を通過させることで互いに貼合する偏光板貼合工程を含むことが好ましい。
上記偏光板製造工程は、上記偏光板を60℃以上90℃以下の雰囲気下に210秒以上滞留させる乾燥工程を含むことが好ましい。
本発明の積層体は、偏光板の一方の面に表面保護フィルムが貼合され、もう一方の面に粘着剤層を介してセパレートフィルムが貼合されてなる簡便な構成の偏光体であり、カールが発生しにくく、それに伴う粘着剤層のスジも発生しにくい。また、本発明の積層体の製造方法によると、カールの発生およびそれに伴う粘着剤層のスジの発生を抑制することが可能な積層体、すなわち、表面保護フィルムと、偏光板と、粘着剤層と、セパレートフィルムとがこの順で積層された簡便な構成の積層体を製造することができる。
本発明に係る積層体の層構成の好ましい一例を示す概略断面図である。 本発明に係る積層体を製造するための装置の一例を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の積層体およびその製造方法について詳細に説明する。
<積層体の構成>
図1は、本発明に係る積層体の層構成の好ましい一例を示す概略断面図である。積層体1は、偏光板20と、偏光板20の一方の面に貼合されている表面保護フィルム30と、偏光板20の他方の面に粘着剤層50を介して貼合されているセパレートフィルム40とを備える。表面保護フィルム30は、偏光板20の表面を保護するために設けられる。粘着剤層50は、表面保護フィルム30付き偏光板20を他の部材、たとえば液晶セルへ貼合するために用いられ、セパレートフィルム40は、粘着剤層50の表面を仮保護する。偏光板20は、偏光フィルム21を有する。なお、偏光フィルムの一方の面上の積層構成と、偏光フィルムの他方の面上の積層構成とが相違する場合には、積層体のカールの問題が生じやすいところ、本発明の積層体は、このような構成においてもカールの発生を抑制しうるという点でより効果的である。
偏光板20は、偏光フィルム21と、偏光フィルム21の一方の面に貼合されている透明保護フィルム22と、偏光フィルム21の他方に面に貼合されている光学補償フィルム23とを含む。光学補償フィルム23は、セルロース系樹脂からなる透明支持体231と、透明支持体231の片面に形成された配向膜232と、配向膜232の透明支持体231とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層233とを有し、その透明支持体231側で偏光フィルム21の一方の面に貼り合わされている。そして、偏光板20の透明保護フィルム22と、表面保護フィルム30とが貼合され、偏光板20の光学補償フィルム23のコーティング層233と、セパレートフィルム40が粘着剤層50を介して貼合されている。
偏光板20は、その水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における偏光板20の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1):
−0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
の関係を満たす。
偏光板20が、上記関係を満たすことにより、偏光板20に表面保護フィルム30およびセパレートフィルム40を積層して形成した積層体1において、カールが生じにくく、それに伴う粘着剤層50のスジの発生も抑制される。これに対して、「R1(%)−R0(%)」が−0.85(%)未満の場合、積層体1において、カールが生じやすく、それに伴う粘着剤層50のスジの発生が生じやすくなる。
上述のようなカールは、主に積層体を液晶表示装置に適用する前において発生しうる。積層体を液晶表示装置に適用する前において発生するカールについては、表面保護フィルム側が凸面、すなわちセパレートフィルム側が凹面となるカールの方が、表面保護フィルム側が凹面、すなわちセパレートフィルム側が凸面となるカールよりもさらに不都合である。前者においては、液晶セルとの貼合面が凹面となり、凸面である場合より精度良く貼合することが困難となるからである。
偏光板20は、その水分率R1(%)について、上記関係を満たすことにより、積層体1のカールが抑制され、それに伴う粘着剤層のスジの発生も抑制される。なお、偏光板は、その水分率R1(%)について、さらに好ましくは下記式(2):
−0.5(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(2)
の関係を満たす。
[偏光板の水分率の測定方法]
本明細書でいう偏光板の水分率は、光透過法により測定した水分測定値(赤外線水分率計を用いて測定した値)に基づき算出した換算値である。本明細書において、偏光板の水分率は、以下のようにして算出される。まず偏光板の水分測定値を光透過法により測定し、次いで、この偏光板の水分率を乾燥重量法(105℃で1時間乾燥させて乾燥前後の重量差により含水率を求める)により求める。すなわち、測定対象の状態および雰囲気下にある偏光板の重量をW1、同じ偏光板を105℃で1時間乾燥させた後の偏光板の重量をW2としたときに、以下の式(3):
偏光板の水分率(%)={(W1−W2)/W1}×100 式(3)
で算出される値を偏光板の水分率とする。
種々の水分測定値(赤外線水分率計を用いて測定した値)の偏光板について乾燥重量法に基づく水分率を求める同様の操作を行うと、水分測定値から水分率を求める換算式を得ることができる。得られた換算式を用いることにより、赤外線水分率計を用いて測定した水分測定値に基づいて、乾燥重量法の基づく水分率を見積もることができる。
赤外線水分率計での水分率は装置メーカの取り扱い説明書に準じて測定すればよい。赤外線水分率計としては、クラボウRX−300やフジワークIM−3SCVなどが挙げられる。
また、平衡含水率とは偏光板を温度23℃、相対湿度55%の雰囲気下において平衡に達した状態での水分率を意味する。偏光板は、温度23℃、相対湿度55%という一定の雰囲気下に置くと、水分率が変動し次第に水分率が平衡状態になる。平衡含水率とはこの平衡状態にある水分率を意味する。本明細書において平衡含水率は、具体的には、偏光板を温度23℃、相対湿度55%のクリーンルームで7日間保持したときの水分率とする。平衡含水率は、上記水分率と同様に、光透過法により測定した水分測定値(インライン水分率計を用いて測定した値)に基づいて、換算式から算出される乾燥重量法に基づく値である。また、本発明において偏光板の水分率とは、偏光板を構成する個々の部材の水分率を意味するのではなく個々の構成部材が組み合わさってできた偏光板全体の水分率を意味する。積層体における偏光板の水分率は、たとえば、積層体から表面保護フィルムおよびセパレートフィルムを剥離した後、エタノールなどの有機溶媒を使用して粘着剤を拭き取ることにより偏光板を取得し、この偏光板の水分率を測定することにより求めることができる。
[セパレートフィルム]
セパレートフィルム40は、離型処理されたプラスチックフィルムであれば特に限定されず、公知のセパレートフィルムを用いることができる。セパレートフィルム40としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂からなるフィルムに、シリコーン樹脂などによる離型処理を施したものを用いることができる。
[粘着剤層]
粘着剤層50を形成する粘着剤としては、従来から液晶セルと偏光板の貼合に用いられてきた種々の粘着剤、たとえば、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテルなどの粘着剤を用いて形成されたものを用いることができる。また、エネルギー線硬化型、熱硬化型の粘着剤を用いてもよく、これらの中でも、透明性、耐候性、耐熱性などに優れるアクリル系樹脂をベースポリマーとしたアクリル系粘着剤が好適である。
アクリル系粘着剤は特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルなどを2種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。さらに、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシ基、水酸基、アミド基、アミン基、エポキシ基などの官能基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系粘着剤は、単独でも勿論使用可能であるが、通常は架橋剤が併用される。架橋剤としては、2価または多価の金属塩であって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が、有機系架橋剤として広く使用されている。
エネルギー線硬化型粘着剤とは、紫外線や電子線などのエネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルムなどの被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力の調整ができる性質を有する粘着剤である。エネルギー線硬化型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤は、一般にはアクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分とする。通常は、さらに架橋剤が配合されており、また必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤を配合することもできる。
粘着剤組成物には、上述したベースポリマーおよび架橋剤のほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、たとえば天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤、光重合開始剤などの適宜の添加剤を配合することもできる。さらに微粒子を含有させて、光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層50の厚みは1〜40μmであることが好ましいが、積層体1の加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く塗ることが望ましく、良好な加工性を保ち、かつ偏光板20の寸法変化を押さえる点から、より好ましくは3〜25μmである。粘着剤層50が薄すぎると粘着性が低下し、厚すぎると粘着性がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
[表面保護フィルム]
表面保護フィルム30としては、ハンドリングが容易であり、ある程度の透明性が確保される、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などから好ましくは形成され、これらの1種または2種以上を単層または多層状に成形したフィルムを用いることができる。
このような表面保護フィルム30としては、具体的には、ポリエチレン樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているサニテクト((株)サンエー化研より販売)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているE−マスク(日東電工(株)製)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているマスタック(藤森工業(株)製)などの市販品が挙げられる。
中でも単独で偏光板20に対して粘着性を有する自己粘着性の表面保護フィルムは、表面保護フィルム表面の粘着剤層を保護する必要性が無いことから簡便であり、より好適に使用できる。偏光板20に対して好適な剥離力を示す自己粘着性樹脂フィルム(表面保護フィルム)の市販品としては、たとえば、ポリエチレン樹脂からなるトレテック(東レ(株)製)などを挙げることができる。
表面保護フィルム30と偏光板20との間の剥離力は、好ましくは0.01〜5N/25mmであり、より好ましくは0.01〜2N/25mm、さらに好ましくは0.01〜0.5N/25mmである。剥離力が0.01N/25mm未満であると、偏光板20と表面保護フィルム30との密着力が小さいため、表面保護フィルム30の部分的な剥がれが生じることがある。また、剥離力が5N/25mmを超えると、偏光板20から表面保護フィルム30を剥離するのが困難となるため好ましくない。
[偏光板]
(偏光フィルム)
偏光フィルム21としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるフィルムに二色性色素を吸着配向させたもの、分子的に配向したポリビニルアルコールフィルム中に、ポリビニルアルコールの二色性脱水生成物(ポリビニレン)の配向した分子鎖を含有するポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマー等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものが好適に用いられる。
偏光フィルム21を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは99〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000の範囲内、好ましくは1500〜5000の範囲内である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。通常、偏光フィルム製造の開始材料としては、厚みが20〜100μm、好ましくは30〜80μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを用いる。工業的には、フィルムの幅は1500〜4000mmが実用的である。この未延伸フィルムを、たとえば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、水洗工程の順に処理し、架橋工程までの工程で一軸延伸を施し、最後に乾燥して偏光フィルムを得る。得られる偏光フィルムの厚さは、たとえば5〜50μmである。
染色工程で用いられる二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性色素は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
架橋工程で用いられる架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
(光学補償フィルム)
光学補償フィルム23は、セルロース系樹脂からなる透明支持体と、該透明支持体の片面に形成された配向膜と、該配向膜の上記透明支持体とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層とを有する。該光学補償フィルム23は、その透明支持体側で偏光フィルム21の上記一方の面に貼り合わされる。
光学補償フィルム23を構成する透明支持体231は、好ましくはセルロース系樹脂で構成される。セルロース系樹脂として具体的には、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのアセチルセルロース系樹脂が挙げられるが、なかでもトリアセチルセルロースが一般的に用いられる。
透明支持体231の片面に形成される配向膜232は、親水性の樹脂で構成されることが多く、特にポリビニルアルコール系樹脂で構成されるのが一般的である。ポリビニルアルコール系樹脂は、例えばアルキル基などが導入された、変性ポリビニルアルコールであってもよい。通常は、透明支持体231の一方の面にこのような親水性の樹脂からなるコーティング層を形成し、その表面をラビング処理することにより、配向膜232とされる。
液晶性化合物を含有するコーティング層233は、ディスコティック液晶を含む塗布液をコーティングし、配向させた光学補償層であるのが一般的であるが、例えば、ネマチック液晶が傾斜配向したフィルム(新日本石油株式会社から販売されている“NHフィルム”など)を使用することもできる。このコーティング層233は、好ましくは、ディスコティック構造単位を有する液晶性化合物からなる負の複屈折を有する光学補償層である。そのディスコティック構造単位の円盤面は透明支持体面に対して傾いていることが好ましく、さらに、そのディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が光学補償層の厚さ方向において変化していることがより好ましい。この形態において、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対してなす角度は、光学補償層の厚さ方向において光学補償層の透明支持体側からの距離の増加とともに増加している、いわゆるハイブリッド配向したものも有効である。ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対してなす角度は、例えば、5度〜50度程度の範囲で透明支持体側から順次増加した構造とすることができる。透明支持体上に配向膜及びディスコティック液晶のコーティング層が形成されている光学補償フィルムの具体的な例としては、富士写真フイルム(株)から販売されている“ワイドビュー”フィルム(“WVフィルム”と表現されることもある)などが挙げられる。
(透明保護フィルム)
透明保護フィルム22としては、たとえば、セルロース系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
透明保護フィルム22としては、透明で耐薬品性の高いものが好ましく、たとえば、セルロース系樹脂フィルムが好ましい。
透明保護フィルムに用いられ得るセルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、セルロースの部分または完全酢酸エステル化物であって、たとえばトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
このような酢酸セルロース系樹脂のフィルムとしては、適宜の市販品、たとえばフジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などを好適に用いることができる。
また、位相差特性を付与した酢酸セルロース系樹脂フィルムも好適に用いられ、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、WV BZ 438(富士フィルム(株)製)、KC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。酢酸セルロースは、アセチルセルロースとも、セルロースアセテートとも呼ばれる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムは、特に水系の接着剤を用いて偏光フィルム21と積層させる場合には、偏光フィルム21との接着性を高めるため、ケン化処理が施される。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような透明保護フィルムは、ロール状態にあると、フィルム同士が接着してブロッキングを生じ易い傾向にあるので、通常はロール端部に凹凸加工を施したり、端部にリボンを挿入したり、プロテクトフィルムを貼合したりしてロール巻きとされたものが用いられる。
透明保護フィルムは、厚みが薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣るものとなる。一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。したがって、透明保護フィルムの適当な厚みは、たとえば5〜100μmであり、好ましくは10〜80μm、より好ましくは20〜40μmである。
(接着剤層)
偏光板20において、偏光フィルム21と、透明保護フィルム22または光学補償フィルム23とは、たとえば、水系接着剤からなる接着剤層を介して貼合される。偏光フィルム21と、透明保護フィルム22または光学補償フィルム23とを貼合する接着剤としては、たとえば、水溶媒系接着剤、有機溶媒系接着剤、ホットメルト系接着剤、無溶剤型接着剤などを用いることができる。水溶媒系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤が例示され、有機溶媒系接着剤としては、二液型ウレタン系接着剤が例示され、無溶剤型接着剤としては、一液型ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤が例示される。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いる場合、接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されていてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下である。
また、偏光フィルム21と、透明保護フィルム22または光学補償フィルム23とを貼合する際の接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
(粘着剤層)
偏光板20において、偏光フィルム21と、透明保護フィルム22または光学補償フィルム23とは、たとえば、偏光板20とセパレートフィルム40の貼合に用いられる粘着剤層50と同様の粘着剤層を介して貼合することもできる。
(他の光学層)
偏光板20は、実用に際して図示しない他の光学層が積層されていてもよい。または、透明保護フィルム22または光学補償フィルム23がこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルム、光を拡散させる光拡散フィルムが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
これらの光学層は、偏光板20が液晶表示装置の視認側偏光板として用いられる場合には、好ましくは透明保護フィルム22の偏光フィルム21と貼合されている面とは反対側の面に積層される。透明保護フィルム22とこれら光学層とは、上述の透明保護フィルム22または光学補償フィルム23と偏光フィルム11との貼合において説明したのと同様の接着剤層または粘着剤層を介して貼合することができる。
<偏光フィルムの製造方法>
偏光フィルム21の製造方法は限定されないが、以下、代表的な2つの方法を例示する。第1の方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、空気あるいは不活性ガス中で一軸延伸後、膨潤工程、染色工程、ホウ酸処理工程および水洗工程の順に溶液処理し、最後に乾燥を行う方法である。第2の方法は、未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水溶液で膨潤工程、染色工程、ホウ酸処理工程および水洗工程の順に溶液処理し、ホウ酸処理工程および/またはその前の工程で湿式にて一軸延伸を行い、最後に乾燥を行う方法である。
いずれの方法においても、一軸延伸は、1つの工程で行ってもよいし、2つ以上の工程で行なってもよい。延伸方法は、公知の方法を採用することができ、たとえばフィルムを搬送する2つのニップロール間に周速差をつけて延伸を行うロール間延伸、たとえば特許第2731813号公報に記載されたような熱ロール延伸法、テンター延伸法などがある。また、基本的に工程の順序は、上述のとおりであるが、処理浴の数や、処理条件などに制約はない。また、上記第1および第2の方法に記載されていない工程を別の目的で付加してもよい。かかる工程の例としては、ホウ酸を含む溶液中でホウ酸処理工程を行なった後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)またはホウ酸を含まない塩化亜鉛などを含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)を行なう工程などが挙げられる。
膨潤工程は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行われる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。予め気体中で延伸したフィルムを膨潤させる場合には、たとえば20〜70℃、好ましくは30〜60℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、30〜300秒間、好ましくは60〜240秒間である。はじめから未延伸の原反フィルムを膨潤させる場合には、たとえば10〜50℃、好ましくは20〜40℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、30〜300秒間、好ましくは60〜240秒間である。
膨潤工程では、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいため、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなどの公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用することも有用である。本工程では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、たとえば処理槽前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理浴は、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを0.01〜0.1重量%の範囲で添加した水溶液も使用可能である。
二色性色素による染色工程は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行われる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、たとえば10〜45℃、好ましくは20〜35℃の温度条件下、重量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=0.003〜0.2/0.1〜10/100の濃度の水溶液を用いて、30〜600秒間、好ましくは60〜300秒間浸漬処理を行う。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、たとえばヨウ化亜鉛などを用いてもよい。また、他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用してもよい。さらに、ヨウ化物以外の化合物、たとえばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合、ヨウ素を含む点で下記の架橋工程と区別される。水100重量部に対し、ヨウ素を0.003重量部以上含んでいるものであれば染色槽とみなすことができる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、たとえば20〜80℃、好ましくは30〜70℃の温度条件下、重量比で二色性染料/水=0.001〜0.1/100の濃度の水溶液を用いて、30〜600秒、好ましくは60〜300秒浸漬処理を行う。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを含有していてもよく、たとえば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は単独でもよいし、2種類以上の二色性染料を併用することもできる。
上述したように、染色槽でフィルムを延伸させてもよい。延伸は染色槽の前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行われる。また、膨潤工程と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色浴中および/または浴出入口に設置することもできる。
ホウ酸処理工程は、水100重量部に対してホウ酸を1〜10重量部含有する水溶液に、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより行われる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を1〜30重量部含有させることが好ましい。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、たとえば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもよい。
ホウ酸処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止するなど)などのために実施される。耐水化のためにホウ酸処理工程が行われる場合には、必要に応じて、ホウ酸以外に、またはホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
このホウ酸処理工程は、その目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行われる。耐水化のためのホウ酸処理工程、色相調整のためのホウ酸処理工程は特に区別されるものではないが、下記の条件で実施することができる。原反フィルムを膨潤工程、染色工程、ホウ酸処理工程を行なう場合であって、ホウ酸処理工程が架橋による耐水化を目的としている場合には、水100重量部に対してホウ酸を3〜10重量部、ヨウ化物を1〜20重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、50〜70℃、好ましくは55〜65℃の温度で行われる。浸漬時間は、90〜300秒である。なお、予め延伸したフィルムに染色工程、ホウ酸処理工程を行う場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、50〜85℃、好ましくは55〜80℃である。
耐水化のためのホウ酸処理工程の後、色相調整のためのホウ酸処理工程を行うようにしてもよい。たとえば、二色性染料がヨウ素の場合、この目的のためには、水100重量部に対してホウ酸を1〜5重量部、ヨウ化物を3〜30重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、10〜45℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、3〜300秒、好ましくは10〜240秒である。続く色相調整のためのホウ酸処理工程は、耐水化のためのホウ酸処理工程と比較して、通常、低いホウ酸濃度、高いヨウ化物濃度、低い温度で行われる。
これらのホウ酸処理工程は複数の工程からなっていてもよく、通常、2〜5の工程で行われることが多い。この場合、使用する各ホウ酸処理槽の水溶液組成、温度は上述した範囲内で、同じであっても異なっていてもよい。上記耐水化のためのホウ酸処理工程、色相調整のためのホウ酸処理工程をそれぞれ複数の工程で行ってもよい。
なお、ホウ酸処理工程においても、染色工程と同様にフィルムの延伸を行ってもよい。最終的な積算延伸倍率は、4〜7倍、好ましくは4.5〜6.5倍である。ここでいう積算延伸倍率は、原反フィルムの長さ方向基準長さが、全ての延伸処理終了後のフィルムにおいてどれだけの長さになったかを意味し、たとえば、原反フィルムにおいて1mであった部分が全ての延伸処理終了後のフィルムにおいて5mとなっていれば、そのときの積算延伸倍率は5倍となる。
ホウ酸処理工程の後、水洗工程が行われる。水洗工程は、耐水化および/または色相調整のためにホウ酸処理工程を施したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧とを併用することによって行われる。水洗工程における水の温度は、通常、2〜40℃であり、浸漬時間は2〜120秒である。
ここで、延伸処理後のそれぞれの工程において、フィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行ってもよい。具体的には、染色工程で延伸を終了した場合、以後のホウ酸処理工程および水洗工程で張力制御を行う。染色工程の前工程で延伸が終了している場合には、染色工程およびホウ酸処理工程を含む以後の工程で張力制御を行う。ホウ酸処理工程が複数のホウ酸処理工程からなる場合には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で上記フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うか、最初から3段目までのホウ酸処理工程で上記フィルムを延伸し、延伸処理を行ったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うことが好ましい。工業的には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で上記フィルムを延伸し、延伸工程を行ったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行うことがより好ましい。なお、ホウ酸処理後に、上述したヨウ化物処理または亜鉛処理を行う場合には、これらの工程についても張力制御を行うことができる。
張力制御するためのニップロール、フィルムの搬送方向を制御するためのガイドロールとしては、ゴムロール、ステンレススチール製研磨ロール、スポンジゴムロールなどを用いることができる。
膨潤工程から水洗工程までのそれぞれの工程における張力は同じであってもよく、異なっていてもよい。張力制御におけるフィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、150〜2000N/m、好ましくは600〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が150N/mを下回ると、フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が2000N/mを超えると、フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅と張力検出器の張力値から算出する。なお、張力制御を行った場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
偏光フィルムの作製工程の最後には、乾燥処理が行われる。乾燥処理は、張力を少しずつ変えて多くの段数で行う方が好ましいが、設備上の制約などから、通常、2〜3段で行われる。2段で行われる場合、前段における張力は600〜1500N/mの範囲から、後段における張力は250〜1200N/mの範囲から設定されることが好ましい。張力が大きくなりすぎると、フィルムの破断が多くなり、小さくなりすぎるとシワの発生が多くなり好ましくない。また、前段の乾燥温度を30〜90℃の範囲から、後段の乾燥温度を40〜100℃の範囲から設定することが好ましい。温度が高くなりすぎると、フィルムの破断が多くなり、また光学特性が低下し、温度が低くなりすぎるとスジが多くなり好ましくない。乾燥処理温度は、たとえば60〜600秒とすることができ、各段における乾燥時間は同一でも異なっていてもよい。時間が長すぎると、生産性の面で好ましくなく、時間が短すぎると乾燥が不十分になり好ましくない。
以上のようにして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理が施されて、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常5〜50μmである。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、偏光板と、偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体の製造方法であって、次の(i)偏光板製造工程と、(ii)積層体貼合工程とを有する。
偏光板製造工程は、偏光板を、上記偏光板への表面保護フィルムおよびセパレートフィルムの貼合直前の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1):
−0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
の関係を満たすように製造する工程である。
積層体貼合工程は、偏光板の一方の面への表面保護フィルムの貼合、および、偏光板の他方の面への粘着剤層を介してのセパレートフィルムの貼合を行なう工程である。
図2は、本発明に係る積層体を製造するための装置の一例を示す概略図である。図2に示す装置60を用いて、図1に示す積層体1を製造する場合について説明する。まず、透明保護フィルム22、偏光フィルム21、光学補償フィルム23を、たとえば水系接着剤からなる接着剤層を介してこの順に積層した状態で、二つのニップロール61,62の間を通過させることにより互いに貼合する偏光板貼合工程が行なわれる。ついで、乾燥炉63内を通過させることにより乾燥工程が行なわれる。以上の工程を経て偏光板20が製造される。すなわち、偏光板製造工程は、偏光板貼合工程および乾燥工程とを有する。
次に、バックアップロール64を使用して、偏光板20の透明保護フィルム22の表面に表面保護フィルム30を貼合し、さらに不図示の構成部材を使用して偏光板20の光学補償フィルム23の表面に粘着剤層50を介してセパレートフィルム40を貼合する積層体貼合工程が行なわれる。
以下に、(i)偏光板製造工程および(ii)積層体貼合工程の詳細について説明する。
(i) 偏光板製造工程
(偏光板貼合工程)
偏光板貼合工程で用いられる二つのニップロールとしては、ゴムロール、ステンレススチール製研磨ロール、スポンジゴムロールなどを用いることができる。その中でも、ゴムロールとしてはNBRなどからなるものが好ましく、ステンレススチール製研磨ロールとしては、SUS304、SUS316などからなるものが好ましい。また、ニップロールとして、円筒状のロールを使用してもよいし、クラウンロールを使用してもよい。
ニップロール61,62のロールの押し込み量を調整することで、偏光板20の水分率を調整することが可能である。押し込み量が少ない場合は、偏光フィルム21と透明保護フィルム22,23間の接着剤量が多くなり、偏光板20の水分率が高くなり易い傾向にあるものの、押し込み量が少なすぎるとムラなどの欠陥が発生する恐れがあり好ましくない。また、ニップロール61,62間の押し込み量が大きすぎる場合は、水分率は小さくなる傾向にあり、好ましくない。偏光板貼合工程における温度は、通常15〜30℃程度の範囲である。なお、接着剤は、その調製後、たとえば15〜40℃の温度下で塗布される。
上記においては、偏光フィルム21に、透明保護フィルム22と光学補償フィルム23とを同時に貼合する方法について説明したが、偏光フィルム21において、ニップロールを用いて、片面ずつ逐次に貼合することもできる。なお、製造効率の面から両面同時貼合することが好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程は、水系接着剤を用いた場合には、水系接着剤中に含まれる水を除去するため行なわれる。乾燥は適切な温度に保持された乾燥炉を連続的に通過させることにより行われ、たとえば、乾燥炉内を連続して通過させながら行うことができるが、これに限定されるものではない。
乾燥炉63内における乾燥工程において、好ましくは、偏光板が60℃以上90℃以下の雰囲気下に所定時間以上滞留するように制御される。乾燥時間が所定時間未満である場合には乾燥が不十分になり、製造された偏光板はカールが大きくなる場合がある。このときの所定時間は、好ましくは210秒以上であり、生産性の観点から好ましくは600秒以下である。
(水分率測定)
本発明に係る積層体の製造方法で用いられる偏光板は、表面保護フィルムおよびセパレートフィルムを貼合する直前の水分率R1(%)が、上記式(1)の関係を満たす。図2に示す装置60においては、表面保護フィルムおよびセパレートフィルムを貼合する直前の偏光板20の水分率R1(%)は、矢印で示したポイントP1において赤外線水分率計を用いて水分測定値を測定し、その後上述したように、換算式を用いて水分率R1(%)を求めることができる。ポイントP1は、偏光板に表面保護フィルムおよびセパレートフィルムを貼合する直前のポイントである。
(ii) 積層体貼合工程
本発明の積層体は、上記のように作成された偏光板の一方の面に表面保護フィルムが貼合され、もう一方の面に粘着剤層を介してセパレートフィルムが貼合される。セパレートフィルムを貼合するために用いられる粘着剤層を偏光板上に形成する方法としては特に制限されるものではなく、プロテクトフィルムを積層した面と違う面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、シリコーン系などの離型処理が施されているセパレートフィルムを積層して得てもよいし、セパレートフィルム上に粘着剤層を形成した後、偏光板に転写して積層してもよい。また、粘着剤層を偏光板上に形成する際には、必要に応じて偏光板および粘着剤層の少なくとも一方に密着処理、たとえばコロナ処理などを施してもよい。形成された粘着剤層の偏光板と反対側の表面は、上述のように離型処理が施されたセパレートフィルムで保護されており、セパレートフィルムは、液晶セルや他の光学フィルムなどへこの偏光板を貼合する前に剥がされる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例および比較例>
(偏光フィルムの作製)
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、緊張状態を保ったまま、30℃の純水に浸漬し膨潤させながら、その中で延伸倍率1.3倍まで長手方向に延伸した。このポリビニルアルコールフィルムを、上記延伸倍率を保持した状態で、30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/2/100の水溶液を用いて染色し、その後、54℃のヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液にて架橋処理を行ないながら、総倍率5.6倍になるように延伸した後、12℃の純水で洗浄した。洗浄後のポリビニルアルコールフィルムを、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
(接着剤の調製)
別途、100重量部の水に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製の「クラレポバール KL318」)1.8重量部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス(株)製の「スミレーズレジン 650」(固形分濃度30重量%の水溶液))0.9重量部を溶解させて、ポリビニルアルコール系樹脂接着剤を調製した。
(偏光板の作製)
先に得られた偏光フィルムの片面に、厚み83μmの光学補償フィルム(「WV FILM ワイドビューEA80」(商品名)、富士フィルム(株)製)を、また他面には、として、トリアセチルセルロース樹脂からなる厚さ83μmの透明保護フィルム(「マットハードコートTACフィルム DTAC AG6 UV80H−25W(H)」(商品名)、大日本印刷(株)製)を、それぞれ上記接着剤を介して、二つのニップロールの間を通過させることにより貼合し、積層フィルムを得た。また、実施例および比較例について、二つのニップロールの押し込み量は表1に示すように700と1000μmに設定した。
上記積層フィルムを、所定の温度に保たれた乾燥炉(合計3段)を順次通過させ、乾燥させることにより偏光板を得た。第1段の乾燥炉の温度は約50℃であり、第2段の乾燥炉の温度は約80℃であった。また、第3段の乾燥炉の温度は約45℃であった。第2段の乾燥炉の滞留時間は222秒であった。
(偏光板の水分率測定)
上記偏光板について、表面保護フィルムおよびセパレートフィルムを貼合する直前の時点で、上述の方法により水分測定値を測定して水分率R1(%)を算出した。この偏光板の平衡含水率R0(%)についても、上述の方法により測定し算出した。各偏光板について算出した、水分率R1(%)、平衡含水率R0(%)、および、水分率R1(%)−平衡含水率R0(%)の値を表1に示す。
(積層体の作製)
上記で得られた偏光板のトリアセチルセルロース側に厚さ60μmの、粘着剤層付き表面保護フィルム(NBO−0424、藤森工業(株)製)を、次いで光学補償フィルム側にアクリル系粘着剤からなる25μmの粘着剤層付の厚み38μmのセパレートフィルム(MRV−38、三菱樹脂(株)製)をそれぞれ積層して、表1に示す各実施例および各比較例の積層体(表面保護フィルムおよび粘着剤付セパレートフィルムが積層された偏光板)を得た。なお、得られた積層体における偏光板の水分率は、貼合直前の水分率と同様の値になっている。
<評価>
上記にて作製した各積層体について、以下の評価を行なった。
(粘着剤層のスジの評価)
上記の各積層体から、3インチサイズの測定サンプルを切り出し、温度23℃、相対湿度55%にて管理された雰囲気下で一週間保管した。保管後の測定サンプルを平面台の上に置き、測定サンプルの粘着剤層(偏光板とセパレートフィルムの間の粘着剤層)のスジを目視観察により、以下のレベル判定基準に基づいて評価した。
レベル1:粘着剤層に生じた最も深いスジの深さが3mm未満の場合
レベル2:粘着剤層に生じた最も深いスジの深さが5mm±2mm程度の場合
レベル3:粘着剤層に生じた最も深いスジの深さが8〜15mm程度の場合
レベル4:粘着剤層に生じた最も深いスジの深さがレベル3よりも深い場合
結果を表1に示す。
Figure 2013064771
表1に示されるように、偏光板の「水分率R1(%)−平衡含水率R0(%)」が、−0.85未満である比較例の積層体の粘着剤層にレベル3のスジが観察された。一方、偏光板の「水分率R1(%)−平衡含水率R0(%)」が−0.85(%)以上である実施例では、積層体のカール量は小さく、粘着剤層でのレベル3のスジの発生は観察されなかった。したがって、偏光板の「水分率R1(%)−平衡含水率R0(%)」が、上記式(1)の関係を満たす場合、粘着剤層のスジの発生を抑制することができると考えられる。
1 積層体、20 偏光板、21 偏光フィルム、22 透明保護フィルム、23 光学補償フィルム、231 透明支持体、232 配向膜、233 コーティング層、30 表面保護フィルム、40 セパレートフィルム、50 粘着剤層、61,62 ニップロール、63 乾燥炉、64 バックアップロール。

Claims (12)

  1. 偏光板と、前記偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、前記偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体であって、
    前記偏光板の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における前記偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1)の関係を満たす、積層体。
    −0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
  2. 前記偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、前記偏光フィルムの一方の面に貼り合わされた光学補償フィルムと、前記偏光フィルムの他方の面に貼り合わされた透明保護フィルムとを含み、
    前記光学補償フィルムは、セルロース系樹脂からなる透明支持体と、該透明支持体の片面に形成された配向膜と、該配向膜の前記透明支持体とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層とを有し、その透明支持体側で前記偏光フィルムの前記一方の面に貼り合わされており、
    前記偏光フィルムの前記一方の面上の積層構成と、前記偏光フィルムの前記他方の面上の積層構成とが相違する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記透明保護フィルムは、セルロース系樹脂フィルムである、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記透明保護フィルムと前記表面保護フィルムとが互いに貼合され、前記液晶化合物を含有するコーティング層と前記セパレートフィルムとが互いに貼合されている、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記透明保護フィルムは、前記偏光フィルムと反対側の面に表面処理が施されている、請求項3に記載の積層体。
  6. 前記配向膜は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる、請求項2に記載の積層体。
  7. 前記液晶化合物を含有するコーティング層は、ディスコティック液晶を含有する光学補償層である、請求項2に記載の複合偏光板。
  8. 前記光学補償層は、ディスコティック構造単位を有する液晶化合物からなる負の複屈折を有する層であり、
    前記ディスコティック構造単位の円盤面が前記透明支持体面に対して傾いており、
    前記ディスコティック構造単位の円盤面と前記透明支持体面とのなす角度が、前記光学補償層の厚さ方向において変化している、請求項7に記載の複合偏光板。
  9. 前記ディスコティック構造単位の円盤面が前記透明支持体面に対してなす角度は、前記光学補償層の厚さ方向において前記光学補償層の前記透明支持体側からの距離の増加と共に増加している、請求項8に記載の複合偏光板。
  10. 偏光板と、前記偏光板の一方の面に貼合されている表面保護フィルムと、前記偏光板の他方の面に粘着剤層を介して貼合されているセパレートフィルムとを備える積層体の製造方法であって、
    前記偏光板を、前記偏光板への前記表面保護フィルムおよび前記セパレートフィルムの貼合直前の水分率R1(%)が、温度23℃で相対湿度55%の雰囲気下における前記偏光板の平衡含水率をR0(%)とすると、下記式(1)の関係を満たすように製造する偏光板製造工程と、
    前記偏光板の一方の面への前記表面保護フィルムの貼合および前記偏光板の他方の面への前記粘着剤層を介しての前記セパレートフィルムの貼合を行なう積層体貼合工程と、を備える積層体の製造方法。
    −0.85(%)≦R1(%)−R0(%)≦−0.2(%) 式(1)
  11. 前記偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、前記偏光フィルムの一方の面に貼り合わされた光学補償フィルムと、前記偏光フィルムの他方の面に貼り合わされた透明保護フィルムとを含み、
    前記光学補償フィルムは、セルロース系樹脂からなる透明支持体と、該透明支持体の片面に形成された配向膜と、該配向膜の前記透明支持体とは反対側の面に形成された液晶化合物を含有するコーティング層とを有し、その透明支持体側で前記偏光フィルムの前記一方の面に貼り合わされており、
    前記偏光板製造工程は、前記光学補償フィルムと、前記偏光フィルムと、前記透明保護フィルムとをこの順で積層した状態で二つのロールの間を通過させることで互いに貼合する偏光板貼合工程を含む、請求項10に記載の積層体の製造方法。
  12. 前記偏光板製造工程は、前記偏光板を60℃以上90℃以下の雰囲気下に210秒以上滞留させる乾燥工程を含む、請求項10または11に記載の積層体の製造方法。
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