JP2013064163A - 無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合組成物ならびに透明複合体およびその製造方法 - Google Patents

無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合組成物ならびに透明複合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコーン樹脂と無機酸化物粒子とが良好に複合化されることにより、相分離の発生やポアやクラックの発生がなく、光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れたシリコーン樹脂と無機酸化物粒子の複合組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】無機酸化物粒子表面に予め特定の分散剤を結合させて疎水性溶媒への分散性を持たせた後、無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させ、疎水性溶媒中で、無機酸化物粒子表面に予め結合している特定の分散剤と、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤とを置換させることで、無機酸化物粒子の表面に、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基を結合させた後、得られた片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーが結合することにより表面修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを複合化する。
【選択図】なし

Description

本発明は無機酸化物粒子とシリコーン樹脂複合組成物ならびに透明複合体およびその製造方法に関し、更に詳しくは、シリコーン樹脂のフィラー材として好適に用いられ、屈折率および機械的特性の向上と共に透明性維持を可能とする無機酸化物粒子と、この無機酸化物粒子のシリコーン樹脂への相溶性を向上することにより複合化した複合組成物ならびに透明複合体およびその製造方法に関するものである。
従来、シリカなどの無機酸化物をフィラーとして樹脂と複合化することにより、樹脂の機械的特性などを向上させる試みがなされている。このフィラーと樹脂とを複合化する方法としては、無機酸化物を水や有機溶媒中に分散させた分散液と樹脂ないしは樹脂原料成分とを混合する方法が一般的であり、分散液と樹脂を種々の方法により混合することにより、樹脂中に無機酸化物粒子が第2相として複合化された金属酸化物粒子複合化プラスチックを作製することができる(例えば、特許文献1参照)。
ここで、樹脂の中でも、シリコーン樹脂は、耐熱性、耐寒性等の耐候性に優れるとともに、電気特性、低毒性等にも優れていることから、化粧品材料や医用材料から電気電子材料まで、多岐に亘って使用されている。また、近年では、その透明性にも着目されるようになり、発光ダイオードの透明封止材料等、光学用途部材にも用いられるようになってきた。このような光学用途部材において要求される特性としては、透明性、屈折率等の光学的特性、硬度等の機械的特性、耐熱性等の熱的安定性が挙げられる。
ところで、一般に、樹脂と無機酸化物等の無機材料との複合化を行う場合、無機材料の表面を改質することにより、この無機材料と樹脂との間の相溶性を向上させる、あるいは、予め複合化されている原料を重合させて複合体を得る等の様々な方法が用いられている。
例えば、無機酸化物粒子を疎水性の樹脂と複合化しようとした場合、この無機酸化物粒子の表面は通常親水性であるため、無機酸化物粒子が樹脂中に分散しづらいという問題があった。そこで、一般的な解決法として、有機高分子分散剤などの表面修飾剤を無機酸化物粒子の表面に付与することにより、無機酸化物粒子の表面を疎水化することで、樹脂と無機酸化物粒子との相溶性を高める工夫がなされている。
しかしながら、樹脂としてシリコーン樹脂を選択した場合には、シリコーン樹脂の疎水性が高いために、無機酸化物粒子がシリコーン樹脂と相溶するまでその表面を疎水化することが難しく、したがってシリコーン樹脂と無機酸化物粒子が分離し、複合化することは困難であるという問題があった。
そこで、シリコーン樹脂と無機酸化物粒子とを複合化し、良好な光学的特性や熱的安定性を有する複合化プラスチックを得るために、例えば、酸化ジルコニウム粒子をキレート化剤存在下で水酸基含有ポリシロキサンと複合化した組成物が提案されている(特許文献2)。
また、酸化ジルコニウム粒子と多官能ポリシロキサンとを複合化した発光素子コーティング用組成物も提案されている(特許文献3)。
特開2005−161111号公報 特開2006−316264号公報 特開2009−091380号公報
ところで、特許文献2に記載されているように、キレート化剤を用いて無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを相溶化させる場合、特にキレート化剤が変質するために、得られる複合組成物や複合化プラスチックが経時変化や熱劣化によって着色を呈するという問題があった。
また、水酸基含有ポリシロキサンを用いる場合、ポリシロキサンとシリコーン樹脂間の架橋の進行に伴い水が発生するため、場合によっては、無機酸化物粒子とポリシロキサンとが相分離する、または、脱水に伴う体積収縮により複合化プラスチック中にポア(細孔)やクラック(亀裂)が発生する、といった不具合が生じる虞があった。
さらに、特許文献3に記載されているように、多官能ポリシロキサンを用いる場合も無機酸化物粒子とポリシロキサンとの配合に制約があり、特に無機酸化物粒子量が多い場合には、複合化プラスチック中にポアやクラックの発生が顕著となる問題があった。
さらにまた、これら各特許文献における無機酸化物粒子の粒径は20nm以上と大きいため、透明性が低下し、場合によっては透明でなくなるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シリコーン樹脂と無機酸化物粒子とが良好に複合化されることにより、相分離の発生やポアやクラックの発生がなく、着色も防止されることで、光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れたシリコーン樹脂と無機酸化物粒子の複合組成物、透明複合体ならびにこれらの製造方法を得ることを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、無機酸化物粒子の表面を、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤を用いて修飾する方法として、無機酸化物粒子表面に予め分散剤を結合させて疎水性溶媒への分散性を持たせた後、この無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させ、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤と交換を行うことで、無機酸化物粒子の表面に片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤が良好に導入されること、当該方法により表面修飾剤が導入された、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを複合化することにより、良好な複合組成物が得られることを見出した。
さらに、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子の表面を、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤を用いて修飾させることにより、シリコーン樹脂に対する無機酸化物粒子の相溶性が大幅に向上し、シリコーン樹脂と無機酸化物粒子との良好な複合組成物が得られること、当該複合組成物を硬化して形成された複合化プラスチックである透明複合体においては、シリコーン樹脂の耐熱性および耐光性が維持されるのみならず、無機酸化物粒子との複合化により光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れた透明複合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合組成物の製造方法は、無機酸化物粒子表面に予め特定の分散剤を結合させて疎水性溶媒への分散性を持たせた後、当該無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させ、当該疎水性溶媒中で、無機酸化物粒子表面に予め結合している特定の分散剤と、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤とを置換させることで、無機酸化物粒子の表面に、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基を結合させた後、得られた片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーが結合することにより表面修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを複合化することを特徴とする。
前記表面修飾剤は、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサン、モノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンから選択された1種または2種を有することが好ましい。
前記無機酸化物粒子表面に予め結合させる特定の分散剤は、有機酸化合物または有機塩基化合物であることが好ましい。
前記シリコーン樹脂は、ストレートシリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂であることが好ましい。
また、本発明の複合組成物は、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子と、シリコーン樹脂とを含有する複合組成物であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることを特徴とする。
本発明の透明複合体は、シリコーン樹脂中に、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子が分散され、特定の形状を有する透明複合体であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることを特徴とする。
本発明の透明複合体の製造方法は、本発明の複合組成物を特定の形状に成形固化してなることを特徴とする。
本発明の複合組成物によれば、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子と、シリコーン樹脂とを含有する複合組成物であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることとしたので、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との相溶性が高く、両者の複合性に優れており、また着色が防止さている。
さらに、本複合組成物を特定の形状に成形固化してなる透明複合体においては、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との相溶性が高いため、無機酸化物粒子がシリコーン樹脂中で凝集することなく良好に分散するため、光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れた複合体を得ることができる。
また、無機酸化物粒子の平均分散粒子径を1nm以上かつ20nm以下とナノ粒子化したので、透明性に優れ、さらに、本複合組成物を特定の形状に成形固化してなる透明複合体においても、透明性に優れた複合体を得ることができる。
本発明の複合組成物の製造方法によれば、無機酸化物粒子表面に予め特定の分散剤を結合させて疎水性溶媒への分散性を持たせた後、当該無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させ、当該疎水性溶媒中で、無機酸化物粒子表面に予め結合している特定の分散剤と、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤とを置換させることで、無機酸化物粒子の表面に、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基を結合させた後、得られた片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーが結合することにより表面修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを複合化することとしたので、シリコーン樹脂との相溶性に優れ、表面修飾剤における未反応の官能基が実質的に存在しない無機酸化物粒子を得た上で、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合化を行うことができる。そのため、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂中との複合性に優れ、光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れた複合体を得ることができる。
本発明の透明複合体によれば、シリコーン樹脂中に、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子が分散され、特定の形状を有する透明複合体であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることとしたので、シリコーン樹脂中における無機酸化物粒子の分散性に優れ、ポアやクラックの発生が無く、透明性等の光学的特性や機械的特性、熱的安定性に優れた透明複合体を得ることができる。
実施例の結果を示す表である。
本発明の一実施形態である無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合組成物、並びに本発明の一実施形態である無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との複合組成物の製造方法を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「複合組成物」
本実施形態の複合組成物においては、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子と、シリコーン樹脂とを含有する複合組成物であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されている。
ここで「複合組成物」とは、特定の形状を有さず、一度変形すると元の形状には戻らない不可逆的な変形性を有するものであって、後述の透明複合体の原料となるものを表すものとする。すなわち、例えば液状やチクソトロピー性を有するゲル状の状態にあるものを示すものとする。逆に後述の「透明複合体」においては、使用の目的や方法に合わせた一定の形状を維持できるものであるとし、例えば一般的な変形性のほとんど無い固体状のもののほか、ゴム等のような弾性変形性(形状復元性)を有するものも含むとする。
無機酸化物粒子としては、特に限定されないが、ジルコニア(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)などの元素の酸化物が用いられる。
これらの元素の酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe、FeO、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In、InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO、W)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO、Ce)、酸化アンチモン(Sb、Sb)酸化ゲルマニウム(GeO、GeO)などが挙げられる。また、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの複合酸化物であっても良い。特に、シリコーン樹脂との複合組成物を高屈折率化する場合には、高い屈折率を有し、無色透明であり硬度も高い酸化ジルコニウム(ZrO)や酸化チタン(TiO)を、好適に用いることができる。
この無機酸化物粒子の、複合組成物中やこの複合組成物から得られる透明複合体中における平均分散粒子径は、1nm以上かつ20nm以下であることが好ましい。
ここで、平均分散粒子径を1nm以上かつ20nm以下と限定した理由は、平均分散粒子径が1nm未満であると、この粒子を構成する粒子の一次粒子径も1nm未満となるため結晶性が乏しくなり、屈折率等の粒子特性を発現することが難しくなるからであり、一方、平均分散粒子径が20nmを超えると、レイリー散乱の影響が大きくなり、複合組成物や透明複合体の透明性が低下するからである。
このように、無機酸化物粒子は、ナノサイズの粒子であるから、この無機酸化物粒子をシリコーン樹脂中に分散させて複合組成物や透明複合体とした場合においても、光散乱が小さく、複合組成物や透明複合体の透明性を維持することが可能である。
この無機酸化物粒子の表面は、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤により修飾されている。この表面修飾剤は、ポリジメチルシロキサン骨格、特に直鎖状のポリジメチルシロキサン骨格を主鎖骨格に有し、当該主鎖の片末端(一端側)に官能基である極性基を1基のみ有している。そのため、この官能基(極性基)が無機酸化物粒子の表面へ選択的に結合すると、他端側、すなわちシロキサン骨格部分は揃って粒子外側(無機酸化物粒子の表面から遠ざかる方向)を向く形となる。そして、このシロキサン骨格部分とシリコーン樹脂とは相溶性が高く、かつ親和性も良好なことから、シリコーン樹脂中に無機酸化物粒子を均一に分散させることができ、良好な複合組成物を形成することができる。なおここで、「直鎖状」とは、ポリジメチルシロキサン骨格に枝分れ(分岐)がないことを意味している。
一方、シロキサン骨格に枝分れ(分岐)があったり、官能基がシロキサン骨格の中間に位置している(官能基がシロキサン骨格の中間に位置するケイ素に結合している)場合には、シロキサン骨格の少なくとも一部は、粒子表面方向を向いたり、粒子表面に平行な位置関係となりやすい。この場合、無機酸化物粒子の外側に向いたシロキサン骨格の量が減少することになり、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂間の相溶性や親和性が低下する虞が生じる。さらに、シロキサン骨格の方向に統一性がないために、シロキサン骨格同士の絡み合いや立体障害が生じ、やはり無機酸化物粒子とシリコーン樹脂間の相溶性や親和性が低下する虞がある。
また、この表面修飾剤は1官能基であり、当該官能基が無機酸化物粒子との結合に使用されるため、無機酸化物粒子に結合した表面修飾剤には官能基が存在しない。したがって、従来の多官能ポリシロキサンを用いた場合に、未反応で残留している官能基が原因となって発生するシリコーン樹脂との相溶性悪化、例えば白濁化などが発生する虞が無く、安定した複合組成物を得ることができる。
このような表面修飾剤としては、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサン、モノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンから選択された1種または2種を有することが好ましい。
これらの表面修飾剤が有する末端基のうち、モノグリシジルエーテル末端は、グリシジル基の一部であるエポキシド部分が開環して無機酸化物粒子表面の水酸基と結合するものであり、またモノヒドロキシエーテル末端は、末端の水酸基と無機酸化物粒子表面の水酸基とが脱水縮合することで結合するものである。
これらの表面修飾剤の内、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンはもとより水酸基を含有しておらず、またモノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンは無機酸化物粒子と結合する官能基のみに水酸基を有するため、いずれの表面修飾剤とも、無機酸化物粒子表面に結合した後は、水酸基を有さない状態となっている。したがって、表面修飾剤のポリシロキサンとシリコーン樹脂間の架橋反応、例えばポリシロキサンのSiに結合するメチル基(−CH)とシリコーン樹脂のSiに結合するメチル基同士を過酸化物を触媒とする脱水素反応させることによる架橋、等により、複合組成物の硬化を進行させても、脱水反応に伴う水が発生することがない。また、このようにして得られる透明複合体は、収縮率が小さい。そのため、透明複合体におけるポアやクラックの発生が無く、また硬化したシリコーン樹脂中における無機酸化物粒子の分散性も良好に保たれることから、欠陥のない透明複合体を得ることができる。
本発明は、無機酸化物粒子の表面を、シリコーン樹脂に対する相溶性や分散性を向上するのに適した形に修飾するものであるから、シリコーン樹脂自体には特段の限定は無く、通常のシリコーン樹脂であれば問題なく使用することができる。これらのシリコーン樹脂のうち、特にストレートシリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂を好適に用いることができる。ここで、「ストレートシリコーン樹脂」とは、ポリシロキサン骨格にメチル基、フェニル基、水素原子が置換基として結合したポリマー(樹脂)であり、「変性シリコーン樹脂」とは、ストレートシリコーン樹脂に二次的に官能基を結合させ機能付与したポリマーである。
その理由として、ストレートシリコーン樹脂は側鎖が無く直線形状を有していることから、無機酸化物粒子との混合性に優れるためである。また、変性シリコーン樹脂は、官能基の導入により反応性や架橋性に優れているためである。ただし、導入された官能基の種類や量によっては、シリコーン樹脂を硬化させた場合に発生する副生成物やその量などの影響により、得られる透明複合体の透明度が低下する等の問題が生じる可能性があるため、変性シリコーンの選択には注意を要する場合がある。
ストレートシリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。また、変性シリコーン樹脂としては、エポキシ変性シリコーン樹脂、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン樹脂、カルビノール変性シリコーン樹脂、メタクリル変性シリコーン樹脂、フェノール変性シリコーン樹脂、メチルスチリル変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、メチルハイドロジェンシリコーン樹脂などが挙げられる。これらのシリコーン樹脂は、1種類を選択してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、このシリコーン樹脂としては、無機酸化物粒子等と混合後の複合組成物の特性として、特定の形状を有さず、一度変形すると元の形状には戻らない不可逆的な変形性を有するものであって、後述の透明複合体の原料となるものであり、例えば液状やチクソトロピー性を有するゲル状の状態にあるものであればよく、その重合度は特に限定されない。すなわち、複合組成物が上記特性を有するものであれば、モノマー(単量体)、オリゴマー(2〜数百程度の重合体)、ポリマー(数百以上の重合体)のいずれでもよく、またこれらを組み合わせることで重合度に幅を持たせたものを用いてもかまわない。
また、このシリコーン樹脂に対しては、その特性を損なわない範囲において、酸化防止剤、離型剤、カップリング剤、無機充填剤などを添加してもよい。
この複合組成物中の無機酸化物粒子の含有率は、1質量%以上かつ90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上かつ90質量%以下がより好ましく、10質量%以上かつ85質量%以下であればさらに好ましい。
ここで、複合組成物中の無機酸化物粒子の含有率を1質量%以上かつ90質量%以下と限定した理由は次の通りである。すなわち、含有率が1質量%未満であると、無機酸化物粒子量が少なすぎるために、無機酸化物粒子を複合化させたことによるシリコーン樹脂の光学特性や機械的特性の変化が発現しなくなるために、実質的に無機酸化物粒子を複合化させる効果が無いためである。一方、含有率が90質量%を越えると、無機酸化物粒子の分散性が十分に確保できなくなったり、複合組成物における流動性が低下し、成形性が悪化したりするためである。
また、本実施形態の複合組成物においては、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂のほかに、疎水性溶媒を添加することができる。
疎水性溶媒を添加する理由としては、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との混合物が高粘度の場合、流動性が悪化し、後述の透明複合体の成形性の低下や取り扱いの容易性が低下するといった問題が生じる場合があることから、混合物の粘度を低下させるためということが挙げられる。また、後述の製法において説明するように、表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子を、使用するシリコーン樹脂と相溶性の高い疎水性溶媒中に再分散させておき、この無機酸化物粒子分散液とシリコーン樹脂とを混合・攪拌することで複合組成物を得ることの方が、好ましいためである。
ここで、溶媒として疎水性のものを使用する理由としては、表面処理された無機酸化物の分散性が高く、シリコーン樹脂との相溶性が高いものが適しているためである。
このような疎水性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などの含塩素溶媒が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
「複合組成物の製造方法」
本実施形態の複合組成物の製造方法においては、無機酸化物粒子表面に予め特定の分散剤を結合させて疎水性溶媒への分散性を持たせた後、当該無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させ、当該疎水性溶媒中で、無機酸化物粒子表面に予め結合している特定の分散剤と、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤とを置換させることで、無機酸化物粒子の表面に、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基を結合させた後、得られた片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーが結合することにより表面修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを複合化する。
以下、製造手順を追って説明する。
本実施形態の複合組成物の製造方法においては、始めに無機酸化物粒子表面に特定の分散剤を結合させて、疎水性溶媒への分散性を持たせる。
この特定の分散剤は、分散剤が結合した無機酸化物粒子が疎水性溶媒に容易に分散するものであり、かつ、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤が共存する場合に、無機酸化物粒子表面において、既に結合している特定の分散剤と当該表面修飾剤とが、容易に置換を起こすことができるものである。特定の分散剤としては、上述の性質を有するものであれば特に限定はされないが、有機酸化合物または有機塩基化合物を挙げることができる。
ここで、有機酸化合物としてはカルボン酸、リン酸、スルホン酸等が、有機塩基化合物としてはアミン、フォスファゼン塩基等を挙げることができ、無機酸化物粒子との相性で適宜選択される。
これらの分散剤の中でも、特にカルボン酸やアミンが好適に用いられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸や、オレイン酸などの不飽和脂肪酸から選択された1種または2種以上を選択して用いればよい。また、アミンとしては、例えば、ピリジン、ビピリジンなどの芳香族アミンや、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、ブチルアミンなどの脂肪族アミンから選択された1種または2種以上を選択して用いればよい。
ここで、好適に用いられる分散剤をカルボン酸やアミンとした理由は、次のようなものである。
まず、カルボン酸やアミンは無機酸化物粒子表面と水素結合可能であるため、カルボン酸やアミンのみが存在する状態であれば、カルボン酸やアミンは無機酸化物粒子に容易に結合する。そして、得られたカルボン酸やアミンが表面に結合した無機酸化物粒子は、カルボン酸やアミンの存在により疎水性溶媒下での分散安定性を保持できる。
一方、無機酸化物粒子に対する結合性がカルボン酸やアミンよりも高い物質、すなわち片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤が存在する場合、無機酸化物粒子と分散剤との間の水素結合は弱い相互作用であるため、カルボン酸やアミンは速やかに無機酸化物粒子から脱離し、当該表面修飾剤と置換する。
これらの理由から、カルボン酸やアミンは、無機酸化物粒子を分散させる分散剤として機能し、かつ表面修飾剤との反応時には良好に脱離させることが可能であるため、好適に用いることができる。
次に、表面に特定の分散剤を結合させた無機酸化物粒子を、疎水性溶媒中へ分散させる。
疎水性溶媒としては、当該無機酸化物粒子が安定に分散するものであればよいが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などの含塩素溶媒が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
ここで、疎水性溶媒を使用する理由としては、次工程において片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤を無機酸化物粒子に作用させる際に、良好な結果が得られるためである。
無機酸化物粒子表面に特定の分散剤を結合させて、疎水性溶媒への分散性を持たせるとともに、この無機酸化物粒子を疎水性溶媒中に分散させるための、より具体的な方法としては、次のような方法が挙げられる。
例えば、無機酸化物粒子として正方晶ジルコニア粒子を用い、分散媒として疎水溶媒、さらに特定の分散剤となるカルボン酸を加えて混合し、その後、0.05mmφ〜1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルやボールミルなどの湿式混合法を用いて分散処理を行うという方法が挙げられる。これにより疎水溶媒中への正方晶ジルコニア粒子の分散と同時に、カルボン酸による正方晶ジルコニア粒子の処理を行い、カルボン酸が表面に結合(水素結合)した正方晶ジルコニア分散液を調製すればよい。
また、無機酸化物粒子としてシリカ(酸化ケイ素)を使用する場合には、特定の分散剤としてアミン類、特にブチルアミンを選択することが好ましい。
次に、無機酸化物粒子を分散させた疎水性溶媒中へ、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤を加え、当該表面修飾剤を無機酸化物表面に既に結合している特定の分散剤と置換させることにより、無機酸化物粒子表面に当該表面修飾剤を結合し、表面修飾させる。
この表面修飾剤としては、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサン、モノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンから選択された1種または2種を有することが好ましい。
ここで、これらの表面修飾剤は、片末端に官能基であるエポキシ基ないしは水酸基を1基のみ有しているが、この官能基は極性基であり、極性すなわち親水性を有する無機酸化物粒子の表面との親和性が高く、また極性すなわち親水性を有する無機酸化物粒子の表面に結合可能である。一方、無機酸化物粒子の分散媒は疎水性溶媒であり、表面修飾剤の官能基とは親和性が低く反応することも無い。したがって、表面修飾剤の官能基は、無機酸化物表面と相互に引き合い、選択的に結合することが可能になる。
また、これらの表面修飾剤は1官能基であり、当該官能基が無機酸化物粒子との結合に使用されているから、表面修飾剤の官能基の反対側(表面修飾剤の他端側)、すなわちシロキサン骨格部分には官能基が存在しない。そして、シロキサン骨格部分は疎水性を有しており、疎水性溶媒に対する親和性は高いが、無機酸化物粒子に対する親和性はほとんど無い。
このように、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤を用い、この表面処理剤を疎水性溶媒中で無機酸化物粒子と反応させることにより,表面修飾剤の官能基(極性基)は無機酸化物粒子へ選択的に配向・結合し、一方他端側は疎水性溶媒中に分散しようとして、無機酸化物粒子の外側を向く形となる。したがって、これらの表面処理剤は、官能基部分を無機酸化物粒子と結合し、他端側は無機酸化物粒子に対して放射状に離れるような形となる。
表面修飾剤がこのような形態で無機酸化物粒子表面を修飾するため、無機酸化物粒子表面にはシリコーン樹脂に対して相溶性を持たせるために十分な量の表面修飾剤を修飾させることが可能となる。そして、表面修飾剤の他端側であり、無機酸化物粒子に対して放射状に離れた位置にあるシロキサン骨格部分は、シリコーン樹脂との相溶性が高く、かつ結合性も良好である。これらのことから、無機酸化物粒子をシリコーン樹脂中に均一に分散させることができ、良好な複合組成物を形成することができる。
すなわち、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤を用いるとともに、疎水性溶媒を用いることによって、はじめて、効率的に無機酸化物粒子の表面修飾が実現可能となる。
一方、従来の多官能ポリシロキサンを表面修飾剤として用いた場合において、官能基がポリシロキサン骨格中に分散して存在する場合には、各官能基と無機酸化物粒子が結合するため、ポリシロキサン骨格が無機酸化物粒子から放射状に離れず、無機酸化物の表面に張り付くような形となる。このため、無機酸化物粒子表面に、シリコーン樹脂に対して相溶性を持たせるために十分な量の表面修飾剤を修飾させることが難しくなる。さらに、分子形状の面から、全ての官能基を無機酸化物表面に向けることは困難であるから、未反応の官能基が表面修飾剤上に残留し、シリコーン樹脂との相溶性を低下させる。したがって無機酸化物粒子をシリコーン樹脂中に均一に分散させることが難しくなる。
また,多官能基がポリシロキサンの片末端に存在する場合には、そのすべての官能基が金属酸化物粒子の表面に確実に反応することが困難であり、未反応の官能基、すなわち極性基の残留は、疎水性であるシリコーン樹脂との相溶に対して、ゲル化や白濁化の発生などの悪影響を与える可能性がある。
なお、本発明において使用される表面修飾剤が有する官能基、すなわち末端のうち、モノグリシジルエーテル末端は、グリシジル基の一部であるエポキシド部分が開環して無機酸化物粒子表面の水酸基と結合するものであり、またモノヒドロキシエーテル末端は、末端の水酸基と無機酸化物粒子表面の水酸基とが脱水縮合することで、無機酸化物粒子表面と結合するものである。
これらの結合反応は、表面修飾剤と無機酸化物粒子を共存させて加熱するだけでも進行するが、反応の進行を容易にするための触媒を添加することが好ましい。例えばモノグリシジルエーテル末端の場合には、エポキシド部分を開環させるための触媒として、スズ化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを選択することができ、またモノヒドロキシエーテル末端の場合には、脱水縮合用の触媒として、やはりスズ化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを選択することができ、これらを1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、無機酸化物粒子として、スズ酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物などの触媒作用を有するものを選択する場合には、触媒を使用せず、この無機酸化物粒子を触媒の代わりとすることもできる。
なおここで、官能基と無機酸化物粒子表面との結合に伴い、脱水反応に伴う水が発生する場合がある。後述のように、シリコーン樹脂を硬化するための架橋反応時に発生する水は、樹脂中に残留して白濁等の問題を生じさせる場合があるため好ましくないが、表面修飾剤の官能基と無機酸化物粒子表面との結合は疎水性溶媒中で行われており、発生する水は容易に系外に除去できるため、特に問題とはならない。
また、これらの表面修飾剤の内、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンはもとより水酸基を含有しておらず、またモノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンは無機酸化物粒子と結合する官能基のみに水酸基を有するため、いずれの表面修飾剤とも、無機酸化物粒子表面に結合した後は、水酸基を有さない分子構造となっている。したがって、表面修飾剤のポリシロキサンとシリコーン樹脂間の架橋反応、例えばポリシロキサンのSiに結合するメチル基(−CH)とシリコーン樹脂のSiに結合するメチル基同士を過酸化物を触媒とする脱水素反応させて架橋させる、等により、複合組成物の硬化を進行させても、脱水反応に伴う水が発生することがなく、また得られる透明複合体の収縮が小さいため、透明複合体におけるポアやクラックの発生が無く、また硬化したシリコーン樹脂中における無機酸化物粒子の分散性も良好に保たれることから、欠陥のない透明複合体を得ることができる。
表面修飾剤である、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーとしては、数平均分子量が500以上かつ10000以下のものが好適である。
ここで、ポリマーの数平均分子量を500以上かつ10000以下と限定した理由は、ポリマーの数平均分子量が500未満であると、疎水性であるシロキサン骨格部分の量が少ないために無機酸化物粒子のシリコーン樹脂への相溶が困難となり、シリコーン樹脂との複合化の際に透明性が失われるからであり、一方、ポリマーの数平均分子量が10000を超えると、ポリマーがシリコーン樹脂特性へ及ぼす影響が大きくなり、屈折率等の複合体特性が低下するからである。
表面修飾剤の無機酸化物粒子に対する質量比は、無機酸化物粒子に対して5質量%以上かつ200質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ100質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上かつ100質量%以下である。
ここで、表面修飾剤の質量比を5重量%以上かつ200重量%以下と限定した理由は、表面修飾剤の質量比が5質量%未満であると、表面修飾剤量が少なすぎるために金属酸化物粒子のシリコーン樹脂への相溶が困難となり、シリコーン樹脂との複合化の際に透明性が失われるからであり、一方、表面修飾剤の質量比が200質量%を超えると、複合組成物や透明複合体における表面修飾剤の割合が無視できなくなるために、複合組成物や透明複合体の特性に及ぼす影響が大きくなり、特性の低下を引き起こす虞があるからである。
なお、以上のようにして得られた、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤が結合することにより表面修飾された無機酸化物粒子は、処理溶媒である疎水性溶媒や、未反応で残留している表面修飾剤、置換により無機酸化物粒子から除去された特定の分散剤であるカルボン酸やアミン等が共存した状態にある。したがって、無機酸化物粒子を疎水性溶媒から分離後、適当な有機溶媒等を用いて洗浄し、残留している表面修飾剤や特定の分散剤等を除去すればよい。なお、洗浄に用いる有機溶媒としては、残留している表面修飾剤や特定の分散剤等を除去することを目的として使用するものであり、これら除去対象の物質は極性基を有していることから、用いる有機溶媒は完全な疎水性溶媒ではなく、ある程度の親水性を有する極性有機溶媒を用いることが好ましい。
これまで、無機酸化物粒子を分散させた疎水性溶媒中へ、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーからなる表面修飾剤を加え、当該表面修飾剤を無機酸化物表面に既に結合している特定の分散剤と置換させることにより、無機酸化物粒子表面に当該表面修飾剤を結合・修飾させる方法について説明してきた。この方法についてより具体的な方法としては、例えば、前記カルボン酸が表面に配位した正方晶ジルコニア分散液に、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤を加え、更に適量の触媒を添加し、環流処理を施すという方法を示すことができる。
ここで触媒としては、スズ化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などが挙げられ、適宜選択される。
環流処理後、表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子をアルコール等の有機溶媒によって洗浄し、未反応の表面修飾剤や無機酸化物粒子から脱離したカルボン酸を系外へ除去した後、真空下で乾燥させることにより、表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子を得ることができる。
次に、表面修飾剤が結合することにより、粒子表面が修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを混合し、本実施形態の複合組成物を得ることができる。
ここで、シリコーン樹脂自体には特段の限定は無く、上述のシリコーン樹脂であれば問題なく使用することができるが、特にストレートシリコーン樹脂、または変性シリコーン樹脂を好適に用いることができる。
表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを混合する方法は特に限定されず、ミキサー、各種ミル、超音波の印加等、従来知られている方法を用いればよい。
なお、表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子は、粒子のままの状態でシリコーン樹脂とを混合することも可能ではあるが、使用するシリコーン樹脂と相溶性の高い疎水性溶媒中に再分散させておき、この無機酸化物粒子分散液とシリコーン樹脂とを混合・攪拌することにより、複合組成物を得ることが好ましい。これは、ある程度の粘度を有するシリコーン樹脂に対して無機酸化物粒子を直接投入して、均一かつ粒子凝集を防いだ状態で分散させることは多大な労力を要するのに対して、低粘度の疎水性溶媒中に無機酸化物粒子を投入して分散させることにはさほどの労力を要さず、また得られた分散液とシリコーン樹脂との混合も、液体同士の混合のため、やはり労力を要さないためである。
また、表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との混合物が高粘度の場合、流動性が悪化するため、後述の透明複合体の成形性の低下や取り扱いの容易性が低下するといった問題が生じる場合がある。この問題を防ぐためには、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との混合物に対して適当な溶媒を加えて、混合物の粘度を低下させることが好ましい。ここで使用される溶媒としては、表面処理された無機酸化物の分散性が高く、シリコーン樹脂との相溶性が高いものが適していることから、疎水性溶媒が選択される。
このような疎水性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などの含塩素溶媒が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
これらのことから、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との混合・攪拌に際しては、両成分の混合攪拌の開始と同時に、あるいはある程度の混合攪拌を進めた後に、疎水性溶媒を添加することができる。
表面修飾剤により修飾された無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とを混合し、複合組成物を得るための、より具体的な方法としては、例えば、洗浄・乾燥させた無機酸化物粒子を、疎水性溶媒へ再分散させた後、シリコーン樹脂を投入し、混合攪拌すればよい。
さらに、得られた複合組成物に対して適宜疎水性溶媒を追加し、ミキサーなどを用いて混合することで粘度を調整し、透明複合体を形成するための成形に適した、流動し易い状態の複合組成物としてもよい。
以上のようにして、本実施形態の複合組成物を得ることができる。
「透明複合体」
本実施形態の透明複合体は、シリコーン樹脂中に、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子が分散され、特定の形状を有する透明複合体であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることを特徴とする。
なおここで、「特定の形状を有する」とは、透明複合体が液状、ゲル状などの不可逆的な変形性を有しておらず、使用の目的や方法に合わせた一定の形状を維持できるものであって、通常のほとんど変形しない固体状のものの他、ゴム状態等の弾性変形性(形状復元性)を有するものであることを意味している。形状自体の特定性を示すものではない。
ここで、透明複合体は、前記複合組成物におけるシリコーン樹脂の重合度や架橋度、あるいはシリコーン樹脂と表面修飾剤のシロキサン骨格との間の重合や架橋数を高めることにより、特定の形状を有する状態を得るものである。したがって、透明複合体を構成する各成分、すなわち、表面が片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤により修飾されている無機酸化物粒子、シリコーン樹脂、の2成分については上述の複合組成物と同一である。
なお、透明複合体においては、疎水性溶媒は基本的には含まれておらず、含まれていてもごく微量である。
この透明複合体は、自身を構成する無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との相溶性が高く、両成分間の親和性が高いことから、シリコーン樹脂中における無機酸化物粒子の分散性が良好である。したがって、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂とが相分離を起こしたり、無機酸化物粒子の凝集が発生したりすることなどに起因する、光学的特性、機械的特性、熱的安定性などの劣化を起こすことがなく、良好な特性を維持することができる。
また、上述したように無機酸化物粒子を修飾する表面修飾剤には水酸基が残存しないことから、透明複合体を形成する際に複合組成物を硬化させたとしても、硬化時の脱水反応に伴う水の発生がなく、さらに得られる透明複合体の収縮が小さい。そのため、透明複合体には、ポアやクラックの発生がない。加えて、透明複合体の形成材料である複合組成物にはキレート化剤を使用していないので、透明複合体に着色が発生する虞もない。
また、この透明複合体に含まれる無機酸化物粒子の平均分散粒子径を20nm以下としていることから、平均分散粒子径が20nmを超えると影響が大きくなるレイリー散乱の発生も低く抑えられており、透明複合体の透明性が低下することもない。
このように、無機酸化物粒子は、ナノサイズの粒子であるから、この無機酸化物粒子をシリコーン樹脂中に分散させて複合組成物や光学材料とした場合においても、光散乱が小さく、複合組成物や光学材料の透明性を維持することが可能である。
一方、この透明複合体に含まれる無機酸化物粒子の平均分散粒子径を1nm以上としていることから、この粒子を構成する粒子の一次粒子径も1nm未満となることがなく、したがってこの粒子の結晶性の低下が抑止されている。無機酸化物粒子の結晶性が維持されることから、無機酸化物自体が有する特性、すなわち屈折率や硬度、耐熱性等の特性が劣化することがなく、したがって無機酸化物粒子を複合化させる効果を十分に得ることができる。
ここで、無機酸化物粒子を複合化させる効果としては、次の様なものを挙げることができる。
まず光学的特性としては、透明複合体の屈折率制御が挙げられる。シリコーン樹脂の屈折率は1.4程度であるから、屈折率が1.8以上の高屈折率酸化物粒子を複合化させることにより、透明複合体の屈折率を高めることができる。特に屈折率2.15の正方晶酸化ジルコニウムや、屈折率2.6程度の酸化チタン等、高屈折率の無機酸化物粒子を複合化させることが有効であり、これらの高屈折率無機酸化物を用いることにより、透明複合体の屈折率を、例えばベース樹脂であるシリコーン樹脂単体に比べて0.1から0.2程度高い1.5から1.65程度まで高めることが可能である。なお、透明性については、前記のとおり無機酸化物粒子の平均分散粒子径を20nm以下とすることで、光散乱の発生を十分低く抑えられることから、十分な透明性が保たれている。
なお、中空シリカ粒子のような低屈折率粒子を複合化すれば、透明複合体の屈折率を低下させることも可能である。
次に機械的特性としては、透明複合体の硬度向上が挙げられる。通常の無機酸化物はシリコーン樹脂に比べて硬度が高いことから、無機酸化物粒子の複合化により透明複合体の表面硬度を高めることができるので、耐擦傷性向上や複合体自身の寸法精度向上を図ることができる。特に酸化ジルコニウムは、酸化物系セラミックス中でも高硬度であることから、複合化による表面硬度の向上に高い効果を発揮する。
また、シリコーン樹脂自体、骨格にケイ素(Si)を含むことから、通常の樹脂に比べて耐熱性や耐薬品性などの熱的安定性や化学的安定性に優れているが、無機酸化物の耐熱性はシリコーン樹脂に比べて高く、無機酸化物の材質を選定すれば化学的安定性も高いことから、無機酸化物粒子の複合化により、透明複合体の熱的安定性や化学的安定性をより高めることができる。
さらに、シリコーン樹脂は疎水性溶媒との相溶性が高いことからも解るように、疎水性(撥水性)であり、水蒸気ガスバリア性が高い。本発明の透明複合体においては、無機酸化物粒子表面の疎水性が高く、無機酸化物粒子とシリコーン樹脂との相溶性が高いことから、透明複合体における疎水性や水蒸気ガスバリア性は高い状態で維持されている。
このように高屈折率の無機酸化物粒子、特に酸化ジルコニウムをシリコーン樹脂と複合化させることにより、得られる透明複合体の屈折率を例えば1.5から1.65程度まで高めることが可能となり、さらに硬度の向上により寸法精度の向上も図れることから、光学素子における設計自由度が向上する。そのため、例えば光学レンズの小型化、薄型化、集積化、集光効率の向上、屈折率波長依存性の低減等を行うことができるようになる。したがって、このような光学素子を用いる機器であるCCDやCMOSカメラ等の特性向上、例えば高解像度化や高感度化が期待できる。
また、この透明複合体を発光素子であるLEDの封止材として用いた場合、従来の封止材成分である単体のシリコーン樹脂に比べて高屈折率であることから、封止材に覆われる、発光体や発光体を形成するための基板などの屈折率が高い部材(LEDの発光体である半導体材料の屈折率は2.5程度、半導体材料を成膜する透光性の基板の屈折率は1.76程度)との屈折率整合性を向上することができる。そのため、LEDの発光体から外部に発光光を取り出す過程において内部反射が低減される。
したがって、本実施形態の透明複合体をLEDの封止材に用いることで、LEDからの光取り出し効率を10%ないし15%程度改善することが期待でき、輝度向上を図ることができる。
さらに、この透明複合体は水蒸気ガスバリア性が高いことから、外部からの水分滲入を抑え、発光領域の劣化を抑制することが可能であり、これら発光素子の長寿命化が期待できる。
また、この透明複合体を有機ELの封止材として用いた場合、水蒸気ガスバリア性が高いことから、外部からの水分滲入を抑え、発光領域の劣化を抑制することが可能である。また、透明複合体中の無機酸化物粒子は、酸素ガスの透過性を効果的に抑制できるので、同様に発光領域の劣化を抑制することが可能である。
したがって、本実施形態の透明複合体を有機ELの封止材として使用することにより、有機ELにおける発光素子の長寿命化が期待できる。
「透明複合体の製造方法」
本実施形態の透明複合体は、本実施形態の複合組成物を特定の形状に成形固化することで、得ることができる。ここで、「特定の形状に成形固化する」とは、本実施形態の複合組成物を単純に成形する工程だけではなく、単に成形された複合組成物中のシリコーン樹脂や表面修飾剤に対して重合度や架橋度を高めるための作用を与えることにより、使用の目的や方法に合わせた一定の形状を維持できるものを形成するという工程や内容を含むものであり、単純に成型する工程と区別して記載する。
本製造方法においては、始めに、本実施形態の複合組成物を、金型等の型を用いて成型したり、型状の容器に充填したりすることにより、透明複合体として得たい形状に成形された成形体(成型体および充填物)を得る。使用する複合組成物は、疎水性溶媒等の添加により、成型に適した粘度となるように調整しておくことが好ましい。
次いで、この成形体に、複合組成物中のシリコーン樹脂や表面修飾剤に対して重合や架橋を起こさせる作用を与えることで、シリコーン樹脂同士やシリコーン樹脂と表面修飾剤間での結合度(重合度)を高めることにより、この成形体を、金型や容器から外した後外力を加えても、一定の形状を維持できる状態とする。なお、この効果/作用を、以下複合組成物を「硬化」すると記載する場合がある。
ここで、シリコーン樹脂や表面修飾剤の骨格中に、反応性を有する炭素二重結合(C=C)を有する場合には、単に混合するだけでも、重合や架橋が進行し、複合組成物を硬化させることができる場合がある。
また、シリコーン樹脂として官能基を有する変性シリコーン樹脂を用い、また表面修飾剤にあらかじめ官能基を導入して(表面修飾剤を官能基で変性して)おくことで、これらの官能基同士を反応させることにより、複合組成物を硬化することも可能である。例えば、紫外線(UV光)により重合するアクリル基を官能基として導入したアクリル変性シリコーン樹脂やアクリル変性表面修飾剤とすることにより、紫外線照射によりシリコーン樹脂同士の重合やシリコーン樹脂と表面修飾剤との結合が進行し、複合組成物の硬化が可能となる。このような硬化方法としては、導入する官能基の種類により様々な方法が選択可能であるが、代表的には、加熱または光照射により開始されるラジカル反応を用いた方法が挙げられ、熱による(重合)反応、紫外線などの光による(重合)反応、ガンマ(γ)線による(重合)反応、あるいは、これらの複数を組み合わせた方法などを用いて、複合組成物を硬化することができる。
この方法においては、加熱や光照射によりラジカルを発生させる化合物を添加することも好ましい。
ただし、このような官能基同士の反応を用いる場合には、結合に伴う副生成物、特に脱水反応の場合に発生する水は、複合組成物と相溶しないため、得られる透明複合体中に粒子となって分散し透明度を低下させる虞があるほか、無機酸化物粒子と表面処理剤との結合を劣化させ、無機酸化物粒子の凝集を引き起こす虞もある。また、副生成物量が多い場合には、得られる透明複合体の収縮が大きくなり、透明複合体にポアやクラックが発生する虞がある。
このため、シリコーン樹脂や表面修飾剤に官能基を導入しておく方法は、官能基の種類や量に十分な注意を払う必要がある。
このような重合性官能基を用いることなく、重合および架橋反応により複合組成物を硬化させる方法としては、過酸化物などの加硫剤を加えることによって、ラジカルによる架橋反応を進行させる方法があり、好適に用いることができる。この反応は、例えば表面修飾剤のポリシロキサンのSiに結合するメチル基(−CH)と、シリコーン樹脂のSiに結合するメチル基同士を、過酸化物を触媒として脱水素させて結合させることにより、架橋結合させるものである。シリコーン樹脂同士の重合反応も、同様である。
この反応であれば、反応時に脱水反応に伴う水が発生することがなく、また得られる透明複合体の収縮が小さいため、透明複合体におけるポアやクラックの発生が無く、また硬化したシリコーン樹脂中における無機酸化物粒子の分散性も良好に保つことができる。
特に、本発明に用いられる表面修飾剤は1官能基型であり、この官能基は無機酸化物粒子との結合により消費されているから、無機酸化物粒子に結合している表面処理剤には官能基が存在しない。したがって、本発明に用いられる表面修飾剤、すなわちモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンやモノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサンにおいては、この過酸化物を触媒とする脱水素反応という方法を用いて、シリコーン樹脂と架橋反応させることにより、複合組成物の硬化を進行させていることが必要となる。
この反応に用いられる加硫剤としては、通常知られた有機過酸化物が挙げられる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、ターシャリブチルパーベンゾエート等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のようにして、欠陥が無く、光学的特性、機械的特性に優れ、高い熱的安定性や化学的安定性を有する、本実施形態の透明複合体を得ることができる。
以上、本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成の組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、本実施形態においては、透明複合体を製造することを前提とした複合組成物の製造方法について説明したため、用いる無機酸化物粒子の平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下であることとしたが、透明性を考慮しなくても良い場合には、このような範囲をはずれる平均分散粒子径の無機酸化物粒子を用いることもできる。例えば、複合組成物の成形体の表面硬度を向上させることのみを目的とする場合には、平均分散粒子径が20nmよりも大きい(例えば100nm)無機酸化物粒子を用いることもできる。このような場合であっても、本発明の複合組成物の製造方法を用いることにより、複合組成物中での無機酸化物粒子の分散性が高まり、良好な物性の成形体を作製することが可能な複合組成物とすることができる。
以下、実施例1〜7及び比較例1〜5により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1」
(酸化ジルコニウム粒子の作製)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩(和光純薬工業社製)2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水(和光純薬工業社製)344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調整した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢などにより粉砕した後、電気炉を用いて、大気中500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離機を用いて上澄み液を分離することを繰り返して洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。遠心分離後の上澄み液の導電率が1mS/cm以下となるまで洗浄後、得られた沈殿物を乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム粒子を調製した。
得られた酸化ジルコニウム粒子の一次粒子径を電界放射型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子社製)を用いて測定したところ、3nmであった。
(酸化ジルコニウム粒子への表面修飾剤の結合)
次いで、この酸化ジルコニウム粒子10gに、疎水溶媒としてトルエン(和光純薬工業社製)を85g、特定の分散剤としてカルボン酸であるカプロン酸(和光純薬工業社製)5gを加えて混合し、酸化ジルコニウム粒子の表面にカプロン酸を結合させた。その後分散処理を行い、酸化ジルコニウム透明分散液を調製した。
次いで、この酸化ジルコニウム透明分散液100gに、表面修飾剤である片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーとしてモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量5000、下記式(1))10g、ジブチルスズジラウレート(和光純薬工業社製)1000ppmを加え、加熱環流下で表面修飾処理を施した。
Figure 2013064163
反応後の酸化ジルコニウム透明分散液から、溶媒をエバポレータにて除去し、メタノール洗浄と遠心分離を繰り返すことによって、酸化ジルコニウム粒子から脱離したカプロン酸、および未反応のモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンを除去し、実施例1の表面修飾剤により修飾された酸化ジルコニウム粒子を得た。得られた、表面修飾剤により修飾された酸化ジルコニウム粒子は12gであった。
(酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の作製)
得られた表面修飾剤により修飾された酸化ジルコニウム粒子12gを、トルエン50gへ再分散し、ストレートシリコーンレジンであるジメチルシリコーン(信越シリコーン社製:KF96―3000cS)4gを加えて混合攪拌し、実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物を得た。
(酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の評価)
得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物を、ガラス基板上に1mmの厚みに塗布し、可視光透過率測定試料とした。測定は、分光光度計V−570(日本分光社製)を用い、測定波長範囲は400nmから800nm、複合組成物を塗布していないガラス基板自体を比較対照として行った。得られた透過率の平均値を可視光透過率とした。
その結果、可視光透過率は86%であった。
また、得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物について、動的光散乱法を適用した粒度分布測定装置(Microtrac 9340−UPA、日機装社製)を用いて、この複合組成物内における酸化ジルコニウムの粒度分布を測定した。得られた分布結果より酸化ジルコニウムの体積平均粒子径(MV値)を算術平均により求め、その値を平均分散粒子径とした。
その結果、平均分散粒子径は4nmであった。
(酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体の作製)
得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物に、加硫剤であるベンゾイルパーオキサイド(Aldrich社製)0.2gを加え、攪拌溶解後、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、120℃にて30分加熱して硬化させ、実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体を得た。
この透明複合体の酸化ジルコニウムの含有率は38重量%であった。
(酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体の評価)
得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体の断面を、電界放射型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子社製)を用いて観察し、無作為に100個選び出した粒子の粒子径を測定し、その平均値を酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体内における酸化ジルコニウム平均分散粒子径とした。
その結果、平均分散粒子径は4nmであった。
また、得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体について、分光光度計V−570(日本分光社製)を用いて、厚さ方向(1mm)に、複合体組成物と同様に測定を行い、可視光透過率を求めた。
その結果、実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体の可視光透過率は83%であった。
また、得られた実施例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体を、大気中、150℃で24時間保持し、黄変の有無を目視観察により確認した。
その結果、黄変は見られなかった。
「実施例2」
実施例1の表面修飾剤を、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンからモノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量4600、下記式(2))に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
Figure 2013064163
得られた実施例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は81%、平均分散粒子径は5nmであった。
また、得られた実施例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、6nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、82%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「実施例3」
実施例1のシリコーン樹脂を、ジメチルシリコーンからメチルフェニルシリコーン(信越シリコーン社製:KF54−400cS)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた実施例3の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は84%、平均分散粒子径は4nmであった。
また、得られた実施例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、5nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、82%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「実施例4」
実施例1のシリコーン樹脂を、ジメチルシリコーンからアクリル変性シリコーン(Gelest社製:DMS−V22,200cS)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた実施例4の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は88%、平均分散粒子径は5nmであった。
また、得られた実施例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、5nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、85%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「実施例5」
実施例1のシリコーン樹脂を、ジメチルシリコーンからメチルハイドロジェンシリコーン(信越シリコーン社製:KF99−20cS)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた実施例5の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は82%、平均分散粒子径は7nmであった。
また、得られた実施例5の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、9nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、80%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「実施例6」
無機酸化物粒子として二酸化ケイ素(シリカ)粒子(Alfa−Aesar社製、一次粒子径10nm)を使用した。この二酸化ケイ素粒子を用いたこと、および特定の分散剤としてアミンであるブチルアミン(和光純薬工業社製)を用いたこと除いては、実施例1と同様の方法を用いて、実施例6の二酸化ケイ素−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた実施例6の二酸化ケイ素−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は92%、平均分散粒子径は13nmであった。
また、得られた実施例5の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、16nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、90%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「実施例7」
実施例6の表面修飾剤を、モノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンからモノヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量4600)に変えたこと以外は実施例6と同様にして、実施例7の二酸化ケイ素−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた実施例7の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は90%、平均分散粒子径は12nmであった。
また、得られた実施例7の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、12nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、88%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「比較例1」
無機酸化物粒子として、一次粒子径50nmの酸化ジルコニウム粒子(Aldrich社製)を使用した。この一次粒子径50nmの酸化ジルコニウム粒子を用いたことを用いたこと除いては、実施例1と同様の方法を用いて、比較例1の二酸化ケイ素−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた比較例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は11%でやや白濁しており、平均分散粒子径は78nmであった。
また、得られた比較例1の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、85nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、12%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「比較例2」
表面修飾剤を、片末端に1官能基のみを有するモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンから、両末端に各々1官能基を有するビスヒドロキシエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量5000)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた比較例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は18%、平均分散粒子径は56nmであった。
また、得られた比較例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、61nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、16%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「比較例3」
表面修飾剤を、片末端に1官能基のみを有するモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンから、両末端に各々1官能基を有するジグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量5000)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた比較例3の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は23%、平均分散粒子径は34nmであった。
また、得られた比較例3の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、42nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、22%であった。さらに、黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変の発生が確認された。
「比較例4」
表面修飾剤を、片末端に1官能基のみを有するモノグリシジルエーテル末端ポリジメチルシロキサンから、両末端に各々1官能基を有するジシラノール末端ポリジメチルシロキサン(Aldrich社製:数平均分子量5300)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体を得た。
得られた比較例4の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂複合組成物の可視光透過率および平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した。その結果、可視光透過率は21%、平均分散粒子径は51nmであり、粒子の凝集が発生していると考えられたた。
また、得られた比較例4の酸化ジルコニウム−シリコーン樹脂透明複合体における平均分散粒子径を、実施例1と同様に測定した結果、55nmであった。さらに,可視光透過率を実施例1と同様に求めた結果、15%であった。さらに,黄変の有無を、実施例1と同様に確認した結果、黄変は見られなかった。
「比較例5」
無機酸化物粒子を含まないシリコーン樹脂単体として、ストレートシリコーンレジンであるジメチルシリコーン(信越シリコーン社製:KF96―3000cS)を選択し、このシリコーン樹脂(粘性液状)の可視光透過率を、実施例1と同様に測定した。
その結果、可視光透過率は93%であった。
以上の結果をまとめて、図1の表に示す。
なお黄変の評価については、黄変がないものを「○」、黄変したものを「×」とした。
評価の結果、各実施例の複合体組成物においては、無機酸化物粒子の平均分散粒子径は20nm以下であり、可視光透過率も81%以上と比較対照である比較例5(93%)に比べて大幅な低下はなく、良好な特性を有していることが分かった。
また、各実施例の透明複合体においても、無機酸化物粒子の平均分散粒子径は20nm以下であり、可視光透過率も81%以上と比較対照である比較例5(93%)に比べて大幅な低下はなく、さらには加熱処理後の黄変もなく、良好な特性を示していることが分かった。
一方、比較例1では、可視光透過率の低下が発生していた。これは、機酸化物粒子の一次粒子径が50nmと過大であること、さらに一次粒子径自体が大きいために粒子が凝集しやすいことから、複合体組成物中および透明複合体中における無機酸化物粒子の平均分散粒子径が過大となり、光散乱が発生したためと考えられる。
また、比較例2から4においては、無機酸化物粒子の一次粒子径自体は3nmと小さいが、複合体組成物中および透明複合体中における平均分散粒子径は30nm以上と過大であり、可視光透過率の低下が発生していた。これは、表面修飾剤として両末端に官能基を有するものを用いており、無機酸化物粒子に対して十分な表面修飾を行うことができないために、シリコーン樹脂中で無機酸化物粒子の凝集が発生して平均分散粒子径が過大となり、やはり光散乱に伴う可視光透過率の低下が発生したと考えられる。
以上の結果より、本発明の有用性が確かめられた。
本実施形態の無機酸化物粒子−シリコーン樹脂複合組成物は、機酸化物粒子とシリコーン樹脂との相溶性が高く、両者の複合性に優れており、また着色が防止さている。さらに、本複合組成物を特定の形状に成形固化してなる透明複合体においては、ポアやクラックの発生が無く、透明性に優れ、光学的特性、機械的特性、熱的安定性に優れた複合体を得ることができる。
さらに、無機酸化物粒子として、高屈折率の酸化ジルコニウムや酸化チタン等を選択することにより、高屈折率で透明性の高い透明複合体を得ることができる。
したがって、本実施形態の無機酸化物粒子−シリコーン樹脂複合組成物および透明複合体は、発光ダイオード(LED)の封止材、液晶表示装置用基板、有機EL表示装置用基板、カラーフィルタ用基板、タッチパネル用基板、太陽電池用基板などの光学シート、透明板、光学レンズ、光学素子、光導波路等はもちろんのこと、これ以外の様々な工業分野においても好適に使用することができ、その利用可能性は大である。

Claims (3)

  1. 平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子と、シリコーン樹脂とを含有する複合組成物であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることを特徴とする複合組成物。
  2. シリコーン樹脂中に、平均分散粒子径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子が分散され、特定の形状を有する透明複合体であって、当該無機酸化物粒子は、その表面が、片末端に1官能基を有するポリジメチルシロキサン骨格ポリマーよりなる表面修飾剤の該1官能基が結合することにより修飾されていることを特徴とする透明複合体。
  3. 請求項1に記載の複合組成物を特定の形状に成形固化してなることを特徴とする透明複合体の製造方法。
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