JP2013064041A - N−ビニルラクタム系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アゾ系重合開始剤および/または有機過酸化物と還元剤との存在下、アルコールを必須に含む水性溶媒中で、N−ビニルラクタムを必須とする単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とするN−ビニルラクタム系重合体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
<単量体成分>
本発明法は、N−ビニルラクタムを必須とする単量体成分を重合する方法である。N−ビニルラクタムは、ラクタム環を有する単量体であり、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−4−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−プロピルピロリドン、N−ビニル−4−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−プロピルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5−プロピルピロリドン、N−ビニル−5−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−プロピルカプロラクタム、N−ビニル−7−ブチルカプロラクタム等が挙げられる。
単量体の重合に際しては、重合開始剤を用いる。本発明では、重合開始剤として、アゾ系重合開始剤および/または有機過酸化物を用いる。アゾ系重合開始剤とは、アゾ結合を有し、熱等によりラジカルを発生する化合物を言う。
本発明では、低分子量のN−ビニルラクタム系重合体を得るために、還元剤(連鎖移動剤)を用いる。使用可能な還元剤は、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール化合物;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、およびこれらの水和物等;亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩等の重亜硫酸塩(水に溶解して重亜硫酸塩を発生する化合物を含む)等の、低級酸化物およびその塩等が挙げられる。これらの塩は、ナトリウム等の金属塩、アンモニウム塩または有機アミン塩である。上記還元剤は、2種以上用いてもよい。
重合開始剤の分解触媒等として作用する還元性化合物として、重金属イオン(あるいは重金属塩)を使用してもよい。本発明で重金属とは、比重が4g/cm3以上の金属を意味する。重金属の中でも鉄および/または銅が好ましく、上記還元性化合物として、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅(I)および/またはその水和物、硫酸銅(II)および/またはその水和物、塩化銅(II)および/またはその水和物等の重金属塩等を用いることが好ましい。
上記重合反応においては、重合反応の促進やN−ビニルラクタムの加水分解の防止等を目的として、アンモニアおよび/またはアミン化合物を用いてもよい。アンモニアやアミン化合物は、重合反応において、助触媒として機能する。すなわち、アンモニアおよび/またはアミン化合物が反応系に含まれると、含まれない場合に比較して、重合反応の進行がより一層促進される。また、塩基性pH調節剤としても機能しうる。なお、アンモニアは臭気の原因となり、また着色にも影響を及ぼすため、量を抑えて用いることが好ましい。アンモニアを用いるときは、常温にて気体状の単体としてそのまま用いてもよいし、水溶液(アンモニア水)として用いてもよい。アンモニアおよび/またはアミン化合物の添加は、任意の適切な方法で行うことができ、例えば、重合初期より反応容器内に仕込んでおいてもよいし、重合中に反応容器中に逐次添加してもよい。
本発明のN−ビニルラクタム系重合体の製造方法は、N−ビニルラクタムを必須とする単量体成分をアルコールを必須に含む水性溶媒中で重合する方法である。用い得るアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。アルコールは2種以上を用いてもよい。アルコールを含む水性溶媒を用いるのは、理由は定かではないが、得られる重合体の着色(特に高温加熱着色)を抑制する効果が見出されたからである。
重合の際の温度は好ましくは70℃以上であり、より好ましくは75〜110℃であり、さらに好ましくは80〜105℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなり、重合体の分散性が向上する傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
本発明では、重合反応終了後、反応液に有機酸またはその水溶液を添加することが好ましい。この際、重合反応時の反応温度を維持して行うことが好ましい。これにより、残存するN−ビニルラクタムが、酸によって加水分解されるので、未反応の単量体量(すなわち、反応液中における単量体の残存量)を低減することができる。例えば、単量体がN−ビニル−2−ピロリドンであるならば、酸によって2−ピロリドンへと加水分解される。
重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体溶液から、N−ビニルラクタム系重合体を得るには、乾燥する工程を行う。乾燥工程は、粉体化等を行う工程であり、粉砕工程も含む。乾燥や粉砕は、公知の一般的方法で行えばよく、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、ベルト式乾燥等により、粉末を得ることができる。常圧で加熱乾燥する場合は、乾燥温度は100〜200℃程度、乾燥時間は0.2〜180分程度が好ましい。減圧下で乾燥する場合は、減圧度に応じて乾燥温度を適宜選択すればよい。
N−ビニルラクタム系重合体の粉末(製品)を得るには、乾燥工程の前に、精製工程、脱塩工程、濃縮工程、希釈工程等を含んでいてもよい。反応液(重合液)を陽イオン交換樹脂で処理することにより、得られるN−ビニルラクタム系重合体溶液の色調を改善することができる。陽イオン交換樹脂で処理する工程は、重合中(重合工程と並行して)または重合後に行うことができる。重合反応中における陽イオン交換樹脂による処理は、任意の適切な方法で処理し得る。好ましくは、単量体成分の重合反応が行われている反応容器中へ陽イオン交換樹脂を添加することにより行う。具体的には、例えば、重合反応が行われている反応容器中へ陽イオン交換樹脂を添加して微細に懸濁させ、その後に濾過する方法が挙げられる。陽イオン交換樹脂による処理の時間は、任意の適切な時間を採用し得る。好ましくは1分〜24時間であり、より好ましくは3分〜12時間であり、さらに好ましくは5分〜2時間である。処理時間が短すぎると色調改善効果が充分に発現しないおそれがある。処理時間が長すぎると生産性が悪くなるおそれがある。
本発明のN−ビニルラクタム系重合体は、N−ビニルラクタムに由来する構造単位を必須として含んでいる。N−ビニルラクタムに由来する構造単位とは、N−ビニルラクタムがラジカル重合して形成される構造単位であり、N−ビニルラクタムの重合性炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合になった構造である。
上記のK値の測定法により測定した。
重合体主鎖末端の次亜リン酸(塩)に由来する構造単位は、31P−NMRを用いて、主鎖末端の次亜リン酸構造を定量することにより測定した。すなわち、31P−NMRの積分強度比から、全てのリン化合物に対する重合体の主鎖末端の次亜リン酸基の割合を計算した。さらに、単量体とリン化合物の使用量から、N−ビニルラクタムの全質量100質量%における主鎖末端のリンを含む構造単位の割合(質量%)を算出した。
31P−NMRの測定条件:
測定する重合体を室温で減圧乾燥し、得られた固形分を重水(アルドリッチ社製)に10%となるように溶解し、Varian社製UnityPlus−400(400MHz、パルスシーケンス:s2pu1、測定間隔:10.000秒、パルス:45.0度、捕捉時間:0.800秒、積算回数:128回)にて測定した。
以下の手順で高温条件下での色調の評価を行った。
(1)実施例、比較例で得られた重合体(粉体)を、窒素通気下、260℃で60分間加熱した後、空気中で放冷した。
(2)続いて、デシケーター中で空冷し、室温に戻ったサンプルを、色差計を用いて以下の条件で、L、a、bを測定した。
装置:日本電色工業株式会社「色差計SE−2000」
測定方法:加熱後のサンプルを石英セルに入れ、遮光下「反射モード」にて測定する。得られたL、a、bから黄色度(YI)を算出した。
N−ビニルピロリドン(NVP)の重合を行った。まず、マックスブレンド(住友重機械工業株式会社の登録商標)型の攪拌翼、ガラス製の蓋を備えたSUS製反応容器に、イオン交換水237.80部、イソプロパノール(IPA)237.80部、次亜リン酸ナトリウム(SHP)3.90部、ジエタノールアミン(DEA)0.50部を仕込み、83〜86℃に昇温した。
表1に示した各成分を用い、表2に示した条件で重合した以外は、実施例1と同様にしてNVPの重合を行った。得られた重合体の特性値を表3に示した。なお、「V−59」は、和光純薬工業社製の2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。また、比較例3のB−2に1.0/6とあるのは、1.0部を6回に均等に分けて入れたことを意味する。
Claims (4)
- アゾ系重合開始剤および/または有機過酸化物と還元剤との存在下、アルコールを必須に含む水性溶媒中で、N−ビニルラクタムを必須とする単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とするN−ビニルラクタム系重合体の製造方法。
- 上記還元剤には、次亜リン酸および/またはその塩が含まれる請求項1に記載のN−ビニルラクタム系重合体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法で得られるN−ビニルラクタム系重合体であって、窒素通気下、260℃で60分加熱後の黄色度が25以下であり、かつ、ハンターLab色空間におけるb値が13以下であることを特徴とするN−ビニルラクタム系重合体。
- 請求項2に記載の製造方法で得られるN−ビニルラクタム系重合体であって、主鎖末端に次亜リン酸および/またはその塩に由来する構造単位を有する請求項3に記載のN−ビニルラクタム系重合体。
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