JP2013063243A - マウスピースとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬液の作用効果を下げず、口腔内の局所に均一に施すことができるマウスピースを提供する。
【解決手段】マウスピースAは、口腔内印象により型取りしたマウスピース本体1と、マウスピース本体1の内側に設けられた液体吸収保持層2とを備える。マウスピースAが口腔内の所定の位置に装着された際、液体吸収保持層2の端縁部20は歯頸部歯肉ラインCを越えて第1の歯肉位置に位置し、マウスピース本体1の端縁部10は第1の歯肉位置を超えて第2の歯肉位置に位置し、マウスピース本体1の端縁部10は歯肉Bに密吸着可能となるように形成される構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、マウスピースに関するものである。特に、口腔内の細菌およびウイルスの除菌による体内への感染予防と口腔内細菌やそれらの内毒素が血管を通じて広がる癌、動脈硬化、心筋梗塞、肺炎、糖尿病などの疾病原因予防に適するマウスピースおよびその製造方法に関するものである。
一般的に、口腔内の「う蝕菌・歯周病菌」に対する除菌システムとして、3DS(DENTAL DRUG DELIVERY SYSTEM)が知られている。
本発明者らは、2001年春、3DSである「う蝕菌」に対するドラック・リテーナー(DRUG RETAINER)の開発の依頼を、当時国立感染研究所の花田信弘先生(後に国立保健医療科学院口腔保険部長、現鶴見大学歯学部教授)から受けた。2001年の夏に、加熱・加圧成形器のバイオスター(BAIOSTER、ショイデンタル社製、4.3気圧)を使用して、薬剤スペース部にPEシート(コピープラスト<登録商標>、0.5mm)、リテーナー部にEVAシート(バイオプラスト<登録商標>、3mm・クリア)を使い、成形した後にPEシートを剥離除去して薬剤スペースを形成したドラック・リテーナーを開発し、東近江市の井田歯科東診療所にて「う蝕菌」に対する3DSの臨床データをとり始めて、3DSのドラック・リテーナーの開発を行った。その後、東近江市の川南歯科医院で歯周病菌に対する3DSの臨床データを取り始めた。2009年には、シンガポールでのFDI(世界歯科学会)にて「う蝕菌」(ミュータンス菌:MS菌)に対する除菌システムの発表を行った。2011年5月(福岡)には、日本歯周病学会の使用薬剤のガイドラインに沿った歯周病菌(Porhyromonas gingivalis:Pg菌)に対する3DSの臨床発表を行っている。
この3DSは、印象採得した歯型のドラック・リテーナーの内側に薬剤スペースを形成し、この薬剤スペースにジェル状の薬剤を配するものであり、この薬剤は0.05%のクロルヘキシジン、イソジンゲル、抗生剤などのジェル状の薬剤に限られていた。
他方、特許文献1に示されるような、ドラッグ・リテーナー用のトレーの内側にジェル状の試薬を保持させて薬効を施すタイプのものが知られている。
特許第4460826号公報
しかしながら、この特許文献1に示されるものは、ドラッグ・リテーナー用のポジショナーであり、歯を矯正するものである。即ち、ポジショナーは、歯牙の移動、矯正をするものである。ドラッグ・リテーナー用のポジショナーは、実際の口腔内の形状とは違い、ポジショナーの高分子シェルと歯牙/歯肉との間には隙間があり、高分子シェル内の試薬が外に漏れ出し試薬の作用効果が下がってしまう。また逆に唾液や歯肉溝滲出液などが高分子シェル内に浸入することで、試薬の濃度を下げてしまう。そのため、試薬の効果が持続できず、長時間装着しても、効果が薄いものであった。また矯正力を出すために高分子シェルには硬さが必要で、歯牙や歯肉にたえず力が加わってしまう。1日中装着していると、長時間の装着による不快感があり、問題となっていた。
3DSのドラック・リテーナーでは、上顎用及び下顎用はそれぞれ3.5mm(薬剤スペース0.5mm含む)の厚さがあり、上顎と下顎への同時装着は難しかった。3DSのドラック・リテーナーでは、0.05%のクロルヘキシジンのジェル状の薬剤を使用する場合は、上顎と下顎にそれぞれ20分ずつ、合計で40分間装着するものであった。また、抗生剤を使用する場合は、8時間装着して使用しなければならないものであった。
現在では、ドラッグ・リテーナー用としては、ジェル状の薬剤(薬剤を含有したジェル)を使用している。このジェル状の薬剤は、ドラック・リテーナーを使用しないと、そのままでは患部に留まることが出来ず、効果が限定されていた。液状の薬剤は、唾液や歯肉溝滲出液などで薬剤濃度が下がったり洗い流されたりしてしまうため、歯科では薬剤を液状のままで使用することができず、これをジェル状にする必要があった。また、ジェル化するには薬事法の関連から多くの時間とコストが必要であった。また、ジェル状の薬剤を使用する場合、ドラッグ・リテーナーを繰り返して使用する際に、使用後の清掃が非常に困難であった。即ち、粘性のあるジェルをきれい除去するのが困難であり、問題であった。
他方、近年、除菌効果が高い次亜塩素酸水やオゾン水などの電解機能(殺菌)水が歯科でも使われるようになってきたが、これらは液体そのものであるため、従来の3DS等のドラッグ・リテーナーでは流れ出てしまい、使用に耐えないものであった。
本発明は、以上のような従来の欠点に鑑み、マウスピースを口腔内に装着して使用した際に、液体の薬剤を使用できるものであり、液体の薬剤の効果を十分に発揮させるのに好適なマウスピースを提供することを目的としている。
本発明の請求項1に記載のマウスピースは、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と、液体吸収性を有し液体を保持する液体吸収保持層とを備え、
前記液体吸収保持層は、前記マウスピース本体の内側に設けられ、
口腔内の所定の位置に装着された際に、前記マウスピース本体の一端縁部が歯肉に密着可能となるように形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のマウスピースは、口腔内の所定の位置に装着された際に前記液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えて第1の歯肉位置に位置するように形成されるとともに、前記マウスピース本体の前記一端縁部が前記第1の歯肉位置を超えて第2の歯肉位置に位置するように形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のマウスピースは、口腔内印象により型取りされた熱可塑性樹脂でなることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載のマウスピースは、前記液体吸収保持層が、形状を変化しないで液体を吸収する材料で形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載のマウスピースは、前記マウスピース本体は、前記液体吸収保持層に積層された第1の熱可塑性樹脂層と、前記第1の熱可塑性樹脂層に積層された第2の熱可塑性樹脂層とを備え、口腔内の所定の位置に装着された際に、前記第1の熱可塑性樹脂層の端縁部は前記第1の歯肉位置に位置するように形成され、前記第2の熱可塑性樹脂層の端縁部は前記第2の歯肉位置に位置するように形成されていること特徴とする。
本発明の請求項6に記載のマウスピースは、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との間に設けられた分離層を更に備え、前記液体吸収保持層と共に前記第1の熱可塑性樹脂層が前記第2の熱可塑性樹脂層から分離可能にされていることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載のマウスピースは、前記マウスピース本体の内側面には複数の突部が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載のマウスピースは、前記マウスピース本体及び前記液体吸収保持層には開口部が設けられ、口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が前記開口部から露出するように形成されると共に、前記マウスピース本体の他端縁部が歯面に密着可能となるように形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載のマウスピースは、前記開口部を跨いで設けられた係止部材を更に備えることを特徴とする。
本発明の請求項10に記載のマウスピースは、前記マウスピース本体は、口腔内の所定の位置に装着された際に、歯列の表側に位置する表側部位と、歯列の裏側に位置する裏側部位とを有し、前記表側部位と前記裏側部位とは係止部材によって接続されると共に歯列の歯列方向長さよりも短く形成され、口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が前記表側部位と前記裏側部位との間に規定された空間から露出すると共に、前記マウスピース本体の前記一端縁部を含む全ての周縁部が歯肉及び歯面に密着可能に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項11に記載のマウスピースは、前記第2の熱可塑性樹脂層は前記第1の熱可塑性樹脂層よりも高い剛性を有することを特徴とする。
本発明の請求項12に記載のマウスピース製造方法は、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と、前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備えるマウスピースを製造するためのマウスピース製造方法であって、口腔内印象により型取りした石膏模型を調製する石膏模型調製工程と、前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、液体吸収性を有し液体を保持する液体吸収保持シートからなる前記液体吸収保持層と熱可塑性樹脂シートからなる前記マウスピース本体とを有するマウスピースを成形するマウスピース成形工程と、口腔内の所定の位置に装着された際に、前記マウスピース本体の端縁部が歯肉に密着可能となるように、前記マウスピースの端縁を調整するマウスピース調整工程とを含むことを特徴とする。
本発明の請求項13に記載のマウスピース製造方法は、前記マウスピース成形工程は、前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、液体吸収保持シートからなる前記液体吸収保持層と第1の熱可塑性樹脂シートからなる前記第1の熱可塑性樹脂層とを有する内側マウスピースを成形する内側マウスピース成形工程と、口腔内の所定の位置に装着された際に前記液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えて第1の歯肉位置に位置するように、前記内側マウスピースの端縁を調整する内側マウスピース調整工程と、前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、前記内側マウスピースに第2の熱可塑性樹脂シートからなる前記第2の熱可塑性樹脂層を形成することで外側マウスピースを成形する外側マウスピース成形工程と、を含み、前記マウスピース本体は、前記第2の熱可塑性樹脂層からなる前記外側マウスピースと前記第1の熱可塑性樹脂層から構成され、前記マウスピース調整工程においては、口腔内の所定の位置に装着された際に前記マウスピース本体の前記端縁部が前記第1の歯肉位置を超えて第2の歯肉位置に位置するように調整することを特徴とする。
本発明の請求項14に記載のマウスピース製造方法は、前記内側マウスピース成形工程においては、前記石膏模型に覆い被せた前記液体吸収保持シート上に、加熱した第1の熱可塑性樹脂シートを覆い被せて加圧成形することにより前記内側マウスピースを成形することを特徴とする。
本発明の請求項15に記載のマウスピース製造方法は、前記液体吸収保持シートは、前記石膏模型の外形形状に沿った立体形状を有することを特徴とする。
本発明の請求項16に記載のマウスピース製造方法は、前記内側マウスピース成形工程は、前記液体吸収保持シートと前記第1の熱可塑性樹脂シートとが積層溶着された積層シートを前記石膏模型に覆い被せて、加熱加圧成形により内側マウスピースを成形することを特徴とする。
本発明の請求項17に記載のマウスピース製造方法は、前記石膏模型調製工程は、石膏模型の歯頸部歯肉ラインを下げる加工を施す歯肉ライン調整工程を含むことを特徴とする。
本発明の請求項18に記載のマウスピース用積層シートは、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートであって、熱可塑性樹脂シートと、前記熱可塑性樹脂シートの表面に積層され溶着された液体吸収保持シートとを備え、前記液体吸収保持シートは、液体吸収性を有し液体を保持するものであることを特徴とする。
本発明の請求項19に記載のマウスピース用積層シートは、前記熱可塑性樹脂シートの前記表面には複数の突部が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項20に記載の積層シート製造方法は、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートを製造するための積層シート製造方法であって、熱可塑性樹脂シートの表面を加熱する加熱工程と、加熱された熱可塑性樹脂シートの表面に液体吸収保持シートを積層するシート積層工程と、積層された熱可塑性樹脂シートと液体吸収保持シートとを加圧して溶着させる加圧溶着工程と、を含み、前記液体吸収保持シートは、液体吸収性を有し液体を保持することを特徴とする。
本発明の請求項21に記載の積層シート製造方法は、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートを製造するための積層シート製造方法であって、熱可塑性樹脂シートを枠内に配置する枠内配置工程と、粉末状のPVAを溶解するPVA溶解工程と、溶解されたPVAを、前記枠内に配置された前記熱可塑性樹脂シート上に流し込む流込み工程と、前記熱可塑性樹脂シート上に流し込んだPVAを冷却硬化させて、前記熱可塑性樹脂シートに溶着された液体吸収保持シートを形成する液体吸収保持シート形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の請求項22に記載の液体吸収保持シートは、口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられ、前記液体吸収保持層を形成するための液体吸収保持シートであって、液体吸収性を有し液体を保持する性質を有すると共に、歯列の外形形状に沿う立体形状を有することを特徴とする。
本発明の請求項1に記載のマウスピースによれば、口腔内の所定の位置に装着された際に、マウスピース本体の端縁部が歯肉に密着可能となるように形成されているので、マウスピースの辺縁封鎖ができる。従って、液体吸収保持層に吸収され保持されている薬液が外に漏れ出ずに、薬液の作用効果が下がらない。また、マウスピースを口腔内の所定位置に装着した際には、マウスピース本体の周縁部が歯肉の粘膜と密着し吸着する(陰圧)のに加え、液体吸収保持層には十分な液体(薬液)が浸み込んでいるため、唾液や歯肉溝滲出液などがマウスピース本体内に浸入せず、薬液の濃度を下げず、薬液の効果を口腔内の局所に均一に施すことができる。
また、薬液が歯肉に浸み込むことにより歯肉付近に含まれる薬液の量が減ると、毛細管現象により咬合面付近の薬液が歯肉付近まで供給されるので、液体吸収保持層に吸収保持された薬液を無駄なく使用できると共に、長時間に亘って薬液効果を持続できる。
また、液体吸収保持層を設けることで、薬液を必要とする局所に均一な薬液スペースが確保でき、口腔内の所定位置にマウスピースを装着すると薬液が局所にいきわたり、歯周ポケットの深くまで薬液が届けられる。また、マウスピースは歯肉の粘膜面と密着しているので、歯肉溝滲出液はマウスピース内へ滲出せず、薬液が局所に一定時間留まることが出来る。
また、本発明のマウスピースは医科用の薬液を使用可能であり、薬事法の認可時間を短縮することが可能となり、大幅なコストダウンが可能となる。
本発明の請求項2に記載のマウスピースによれば、液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えるので、薬液を歯肉や歯周ポケット内部へ効率よく供給できる。また、マウスピース本体の一端縁部は液体吸収保持層の端縁部を超えるので、マウスピース本体の一端縁部を歯肉に密着させることができる。
本発明の請求項3に記載のマウスピースによれば、マウスピース本体は口腔内印象により型取りした一人ひとりに個人専用に作成されたカスタムマウスピースであるので、マウスピース本体の一端縁部と歯肉の粘膜面とをしっかり密着できる(辺縁封鎖できる)。従って、唾液の流入を防ぎ、薬液の濃度及び作用効果が下がるのを防ぐことができる。また、本発明のマウスピースは、歯牙に水平方向の力が加わらないために、歯槽骨の吸収が起こらず歯牙が喪失しない。また、マウスピース本体が熱可塑性樹脂で形成されているため、マウスピース本体を容易に成形できる。
本発明の請求項4に記載のマウスピースによれば、液体吸収保持層は形状を変化しなくても液体を吸収できるので、液体吸収保持層に薬液を容易に吸収/保持させることができる。
本発明の請求項5に記載のマウスピースによれば、マウスピース本体は、液体吸収保持層に積層された第1の熱可塑性樹脂層と、第1の熱可塑性樹脂層に積層された第2の熱可塑性樹脂層とを備えるので、液体吸収保持層の端縁部の位置とマウスピース本体の端縁部の位置の調整を容易にできる。
本発明の請求項6に記載のマウスピースによれば、液体吸収保持層を分離可能にされているので、液体吸収保持層が劣化したり汚れたりした場合には、新しい物と交換できる。
本発明の請求項7に記載のマウスピースによれば、口腔内の所定位置に装着された際に、複数の突部が歯肉を刺激することでマッサージ効果を得ることができる。
本発明の請求項8に記載のマウスピースによれば、口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が開口部から露出するので、マウスピースを装着しても歯の噛み合わせに影響しない。従って、マウスピース装着による不快感、違和感を緩和できる。
本発明の請求項9に記載のマウスピースによれば、口腔内の所定位置に装着された際に、係止部材が歯間に係止され、マウスピースの位置ずれを防止できる。また、開口部が広がりマウスピースが変形するのを防止できる。
本発明の請求項10に記載のマウスピースによれば、口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が露出するので、マウスピースを装着しても歯の噛み合わせに影響せず、マウスピース装着による不快感、違和感を緩和できる。また、マウスピース本体の前記一端縁部を含む全ての周縁部が歯肉及び歯面に密着可能に形成されているので辺縁封鎖ができ、薬液の漏出及び唾液等の浸入を防止して薬液の効果を維持できる。更に、表側部位と裏側部位とは係止部材によって接続されるので、表側部位と裏側部位が直接的に連結していなくても口腔内の所定の位置に装着可能であると共に、表側部位と裏側部位が歯列の歯列方向長さより短く形成されているので、口腔内における局所的な治療に用いることができる。
本発明の請求項11に記載のマウスピースによれば、第2の熱可塑性樹脂層は高い剛性を有するので、マウスピース全体の変形を防止できる。
本発明のマウスピース製造方法は、上記のマウスピースの製造に適しており、上記のマウスピースを容易に製造できるものである。
より具体的に、本発明の請求項12に記載のマウスピース製造方法によれば、口腔内印象により型取りした石膏模型を用いると共に、マウスピース本体の端縁部が歯肉に密着可能となるように端縁を調整するので、マウスピース本体の端縁部が歯肉に密吸着可能なマウスピースを製造できる。
また、本発明の請求項13に記載のマウスピース製造方法によれば、液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えるように内側マウスピースの端縁を調整するので、薬液を好適に歯肉及び歯周ポケットへ供給可能なマウスピースを製造できる。また、外側マウスピースの端縁部が液体吸収保持層の端縁部を超えるように調整するので、マウスピース本体の端縁部を歯肉に密吸着可能にできる。
本発明の請求項14に記載のマウスピース製造方法によれば、石膏模型に覆い被せた液体吸収保持シート上に、加熱した第1の熱可塑性樹脂シートを覆い被せて加圧成形することで内側マウスピースを成形するので、液体吸収保持シートと第1の熱可塑性樹脂シートとの溶着と内側マウスピースの成形とを同時にできる。
本発明の請求項15に記載のマウスピース製造方法によれば、液体吸収保持シートは立体形状を有するので、液体吸収保持層の厚みを均一にできる。
本発明の請求項16に記載のマウスピース製造方法によれば、液体吸収保持シートと第1の熱可塑性樹脂シートとが予め積層され溶着された積層シートを用いるので、マウスピースを製造する際に、被成形シートの石膏模型に接する面とは反対側の面を加熱するタイプの加熱成形器を用いることができる。
本発明の請求項17に記載のマウスピース製造方法によれば、石膏模型の歯頸部歯肉ラインを下げる工程を含むので、製造されたマウスピースは歯周ポケットを広げる働きを有し、より効率よく歯周ポケット内に薬液を供給可能なマウスピースを製造できる。
本発明の請求項18に記載のマウスピース用積層シートによれば、熱可塑性樹脂シートと液体吸収保持シートとが予め溶着されているので、これらを溶着させる工程を経ることなくマウスピースを容易に製造できる。
本発明の請求項19に記載のマウスピース用積層シートによれば、複数の突部が形成されているので、マッサージ効果を備えたマウスピースを製造できる。
本発明の請求項20に記載の積層シート製造方法によれば、熱可塑性樹脂シートの表面を加熱して液体吸収保持シートに溶着させるので、マウスピース用積層シートを容易に製造できる。また、本発明の請求項21に記載の積層シート製造方法によれば、溶解したPVAを熱可塑性樹脂シート上に流しんで液体吸収保持シートを形成するので、流し込むPVAの量を調整することで簡単に液体吸収保持層の厚みを調整できる。
本発明の請求項22に記載の液体吸収保持シートによれば、歯列の外形形状に沿う立体形状を有するので、均一な厚さの液体吸収保持層を形成できる。
本発明の第1の実施形態に係るマウスピースを口腔内の所定の位置に装着した状態を示す断面図である。 図1に示すマウスピースの全体斜視図である。 石膏模型の歯肉ラインを調整する工程を説明する石膏模型断面図である。 図1に示すマウスピースの製造に用いられる液体吸収保持シートを示す図であって、(a)は裁断/縫合前の状態を示す平面図、(b)は裁断/縫合後の状態を示す平面図である。 図4(b)に示す液体吸収保持シートを石膏模型に覆い被せる状態を説明する斜視図である。 図1に示すマウスピースの製造に用いられる積層シートの製造方法を説明する概念図であって、(a)は第1の熱可塑性樹脂シートを加熱する工程を示し、(b)は第1の熱可塑性樹脂シート上に液体吸収保持シートを載置した状態を示し、(c)は完成した積層シートを示すものである。 本発明の第2の実施形態に係るマウスピース示す図であって、(a)は平面図、(b)は口腔内の所定の位置に装着した状態を示す断面図、(c)は石膏模型に装着された状態を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るマウスピースを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は図8(a)のVIIIb−VIIIb線断面図である。 図8に示すマウスピースの製造に用いられる積層シートを示す正面図である。 図8に示すマウスピースの変形例であって、図8(b)に相当する断面図である。 図10に示すマウスピースの製造に用いられる積層シートを示す正面図である。 本発明の第4の実施形態に係るマウスピースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は石膏模型に装着された状態を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係るマウスピースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は石膏模型に装着された状態を示す斜視図である。 第5の実施形態に係るマウスピースの変形例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は石膏模型に装着された状態を示す斜視図である。 本発明の実施例1で得た上顎用のマウスピース全体を液体吸収保持層側から写した写真である。 図15に示す上顎用のマウスピースの上顎左側頬側に相当する一部分を写した写真である。 本発明の実施例1で得た上顎用のマウスピースと下顎用のマウスピースとを印象採得後に調製した歯型の上下の石膏模型にそれぞれ装着した状態の右側頬側面を写した写真である。 本発明の実施例1で得た上顎用のマウスピースと下顎用のマウスピースをそれぞれ上下の歯列に装着した状態の上下顎前歯部唇側面の歯列(患者Y)を正面から写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用前の上顎左側臼歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用後の上顎左側臼歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用前の下顎前歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用後の下顎前歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用前の上顎前歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例1で得たマウスピースの使用後の上顎前歯部舌側面(患者Y)を写した写真である。 本発明の実施例2で得たマウスピースの使用前の上下顎前歯部唇側面(患者H)を写した写真である。 本発明の実施例2で得たマウスピースの使用後の上下顎前歯部唇側面(患者H)を写した写真である。 本発明の実施例2で得たマウスピースの使用前の上顎前歯部舌側面(患者H)を写した写真である。 本発明の実施例2で得たマウスピースの使用後の上顎前歯部舌側面(患者H)を写した写真である。
[第1の実施形態]
以下図面を参照しながら、本発明に従うマウスピースの第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係るマウスピースAを口腔内の所定の位置に装着した状態を示す断面図であり、図2は上顎用のマウスピースAを示す全体斜視図である。
図1及び図2を参照して、図示のマウスピースAはマウスピース本体1を備え、このマウスピース本体1は口腔内印象により歯列と歯肉とを型取りしたものであり、熱可塑性樹脂からなるものである。マウスピース本体1は、歯列の形状に対応した内面形状を有し、全体的にはU字形に形成されている。そして、マウスピース本体1は、歯頸部歯肉ラインC(歯列Dと歯肉Bとの境目付近)および歯肉Bを覆う形状に形成されている。また、マウスピース本体1は第1の熱可塑性樹脂層11と第2の熱可塑性樹脂層12とから構成されている。
このマウスピース本体1の内側には液体吸収保持層2が設けられている。液体吸収保持層2は液体を吸収して保持するものであり、歯頸部歯肉ラインCを越えて歯肉Bの所定範囲を覆う形状に形成されている。
図1に示されるように、マウスピースAを口腔内の所定の歯列Dと歯肉Bに装着した際に、液体吸収保持層2の端縁部20は、歯頸部歯肉ラインCを越えて所定の歯肉B位置(第
1の歯肉位置)に位置するような長さに形成されている。また、マウスピース本体1の端縁部10は、液体吸収保持層2の端縁部20を超えて所定の歯肉B位置(第2の歯肉位置)に位置する長さに形成されている。
液体吸収保持層2の端縁部20の長さは、歯頸部歯肉ラインCを越えて、歯頸部歯肉ラインCから好ましくは1〜7mm、さらに好ましくは2〜3mmの歯肉Bを覆うものであり、マウスピース本体1の端縁部10の長さは、歯頸部歯肉ラインCを越え液体吸収保持層2の端縁部20を超えて、液体吸収保持層2の端縁部20から好ましくは5〜11mm、さらに好ましくは6〜8mmの歯肉Bを覆うものである。
歯肉Bが腫れあがっている場合は、本実施形態におけるマウスピースAを使用して腫れが引き正常な歯肉になると、腫れていた歯肉Bが引き下がることになる。この場合は、歯肉の引き下がる量を見越して液体吸収保持層2の長さを設定する必要がある。また、腫れがなくなり歯肉Bが大幅に引きさがった場合は、マウスピースAを改めて造り替える必要がある。なお、歯肉が正常な場合には、液体吸収保持層2の端縁部20は、歯頸部歯肉ラインCから2〜3mmの長さを有するのが好ましい。
マウスピース本体1の端縁部10は更に、歯肉Bに密着可能となるように形成されている。これにより、マウスピース本体1の端縁部10にて辺縁封鎖ができ、液体吸収保持層2に保持されている液体を漏れ出さない作用がある。このようにマウスピース本体1の端縁部10が歯肉Bに密着可能となるのは、マウスピースAが口腔内印象により型取りされて、歯肉Bの形状に合うように形成されていることと、歯肉Bに適度な液体があるため、マウスピース本体1の端縁部10が歯肉Bに密着して吸着することによるものである。
マウスピース本体1は熱可塑性樹脂で形成されるものであり、具体的には熱可塑性樹脂シートを加熱加圧して形成されるものである。熱可塑性樹脂シートの厚みが1mmの場合、加熱、加圧成形された後の厚さは約0.75mmとなり、マウスピースを歯に装着した際の装着感が非常によくなる。液体吸収保持層2の厚みが大きい場合は、熱可塑性樹脂シートの厚みが1.5mmのものを使用するとよい。また、歯周病の酷い患者には、厚さ2mmの熱可塑性樹脂シートを用いれば、歯肉への密着を向上でき、薬液を保持/維持しやすくなる。
熱可塑性樹脂シートの素材は、熱可塑性樹脂であり、加熱成形できる樹脂であれば制限がなく、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることができ、またポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンおよびこれらのポリマーを構成する単量体かなる共重合体等)、ポリビニルアセテート(PVA)およびポリウレタンエラスポリオレフィン等が含まれる。これらのうち、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリオレフィン、ポリウレタンエラスポリオレフィンが好ましく、さらに好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびポリオレフィンである。
液体吸収保持層2は、そのものは形状は変化するものであり、液体を吸収する際に、形状を変化させずに吸収できる素材からなるのがよい。つまり、例えば台所用スポンジに水を含ませるためには、スポンジを握り潰して手を離す等してスポンジの形状を変化させる必要があるが、このような形状変化を要することなく液体を吸収可能なものを液体吸収保持層2の素材として用いるのがよい。液体吸収保持層2の厚さは、好ましくは0.1〜1.2mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mmである。装着性からは通常、薄い方がよいが、液体吸収保持層2の厚さは必要に応じて適宜決定すればよい。例えば、重度の歯周病の人の場合には、装着時や脱着時に歯牙に余分な力が加わると歯が抜ける恐れがあるので、液体吸収保持層2の厚みを大きくして、歯に負担をかけないようにすればよい。
液体吸収保持層2の素材は、例えばレーヨン、スパンテックス、メラミンスポンジ、PVAスポンジ、ウレタンスポンジ、PVCスポンジ、POスポンジ、オレフィン系スポンジ、ACスポンジ、布、包帯、ガーゼであり、薄くて液体の吸収力が高いものが好ましい。熱接着、接着剤、または接着シートによる接着層をもつものであってもよい。また、液体吸収保持層2の厚みを調節することにより、保持できる液体の量を調節できる。また、重度の歯周病の場合や急性の腫れがある場合は、液体吸収保持層2の厚みを調節することにより、歯牙への接触状態を変更することが可能である。
歯列の一部が欠損している場合は、これに対応する箇所が歯肉の形状に対応した内面形状を有するマウスピースとするのが好ましく、或いはこれに対応する箇所に人口歯を配したマウスピースとすることも可能である。本実施形態におけるマウスピースAは、歯牙の治療(充填、義歯、歯冠修復、欠損)による口腔内の変化に対応できるものである。従来のナイトガードは、その都度、不適合の場合は作り変えていたが、内面に上記の均一な液体吸着保持シートの層を有することで口腔内変化に対応でき、マウスピースの使用期間が延び、患者の負担も軽減できる。
マウスピース本体1と液体吸収保持層2とは、後述する加熱加圧溶着によってマウスピース本体1内側面に液体吸収保持層2が食い込んだ状態で結合されるものである。或いは、マウスピース本体1と液体吸収保持層2との結合は、接着剤、接着シートにて行ってもよく、接着にはプライマー(両者の接着を補充する物質、例えば、ポリエチレンシート)を用いてもよい。
本実施形態におけるマウスピースAでは、マウスピース本体1を構成する第1の熱可塑性樹脂層11と第2の熱可塑性樹脂層12とが分離可能なように、第1の熱可塑性樹脂層11と第2の熱可塑性樹脂層12との間に分離層と接着層を形成してもよい。分離層を第2の熱可塑性樹脂層12側に、接着層を第1の熱可塑性樹脂層11側に形成すれば、液体吸収保持層2が劣化した場合や汚れた場合に、液体吸収保持層2と第1の熱可塑性樹脂層11を取り外して新しいものと交換することができる。なお、このような液体吸収保持層2と熱可塑性樹脂層11との組み合わせを特に「内側マウスピース」と称し、熱可塑性樹脂層12を特に「外側マウスピース」と称することとする。分離層は分離可能なものであって、例えば、シリコンスプレーにてシリコンの薄い被膜を作ることで形成できる。
本実施形態におけるマウスピースAは、上顎用と下顎用とを別々に形成してもよく、また上顎用と下顎用とが一体に形成されていてもよく、左右片顎だけで構成されてもよい。また、本実施形態におけるマウスピースAには、口腔外に突き出す持ち手を設けてもよい。
本発明に使用される液体は、歯科用として通常使用されている薬液であり、例えば次亜塩素酸水やオゾン水などの電解機能(殺菌)水、クロルヘキジン、イソジン等である。そして、医科用で使用可能な薬剤が使用できる。また、機能水外の薬剤も使用できる。
次亜塩素酸水について説明する。次亜塩素酸水は、pH7.0〜8.0、600〜700ppm(希釈して200ppmの場合もある)、ORP(酸化還元電位)+825mVであり、化学式は次の化1となる。
マクロライド系の抗生剤はリボソームに作用点をおいているので、その菌が作用点を変異させると抗生剤が結合できなくなり、その瞬間に耐性菌となる。これに対し、次亜塩素酸水は溶菌させるものであり、細菌壁を破壊し体内成分を溶出して、細菌の複製能力をつかさどる核酸を傷害させることで、耐性菌にならない形で歯周病菌、むし歯菌を完全に細胞死させる。溶菌成分はHClOである。炭酸水素ナトリウムは腐食薬ではないので、粘膜にやさしい形でバイオフィルムに浸透しHClO殺菌する。pH7.0〜8.0の弱アルカリ性であるので、歯質の脱灰しない環境である。pH7.0〜8.0では、HClOが60〜70%、NaHCOも60〜70%存在する。スケーリングルートプレーニング(SRP)において出血させると、1分につき数万の生きた細菌を血管に送り、これを15分続けるので、10秒以内に殺菌しないと菌血床になる。これを防ぐには600〜700ppmの高純度次亜塩素水でないと問題となる。また、歯周病菌は−200mVでしか繁殖しないのでORP(酸化還元電位)は+825mVである環境が必要となるものである。
これらの薬液が、液体吸収保持層2によって吸着し保持されるので、長時間に亘って歯列Dの歯面や歯肉B、特に歯周ポケットEに働くことが可能となり、薬液の効果が持続する。また、薬液によっては、短時間で薬液の効用を果たすことができ、患者への負担を減らすことが可能となる。
本実施形態におけるマウスピースAに使用されるのは薬液であるので、マウスピースAの使用後の清掃が、水洗い程度の簡便なもので足り、何度も繰り返し使用可能となる。
本実施形態におけるマウスピースAは、透明の材質で形成するのが好ましい。透明の材質であれば、口腔内の薬液の状態やマウスピースの歯列への装着状態/密着状態を確認できる。
本実施形態におけるマウスピースAは、歯型に密着していないルーズなドラッグ・リテーナーや、セットアップされたポジショナー用の模型で制作されたドラック・リテーナーではなく、実際の口腔内ではマウスピースの辺縁で薬剤の封鎖ができ薬剤が流出せず、薬剤の作用効果が大幅に増大するものである。また、本実施形態におけるマウスピースAは、一定時間口腔内で使用しても歯や歯肉に痛みを生じさせず、特に歯牙に力(矯正力)を加えない(矯正力が働ない)ため、歯が短時間で移動して歯牙を動揺させ、歯が抜けてしまうような危険もない。さらに、歯牙の移動により上下の歯がかみ合わなくなり、オープンバイトになってしまう恐れもない。
<<マウスピースの第1の製造方法>>
次に、本実施形態におけるマウスピースAの第1の製造方法について説明する。第1の製造方法は、口腔内印象により型取りした石膏模型を調製する石膏模型調製工程と、石膏模型を用いた加熱加圧形成により液体吸収保持層2とマウスピース本体1とを有するマウスピースを成形するマウスピース成形工程と、マウスピースの端縁を調整するマウスピース調整工程とを含むものである。
印象採得して歯型の石膏模型を調製する工程は、通常の歯科で行われている方法等を適用できるものである。また、熱可塑性樹脂シート(例えばEVAシート)には、加熱・加圧成形器における決められた加熱時間と冷却時間にて、加熱、冷却が行われる。
第1の製造方法について更に詳述する。
<印象採得して歯型の石膏模型を調製する工程>
先ず、本実施形態におけるマウスピースAは、口腔内に装着されたマウスピースAの辺縁が、総入れ歯の様に歯肉に密着してしっかり歯肉と吸着している必要がある。これにより、マウスピースAの外からの唾液の侵入を完全に防ぎ、液体吸収保持層2に保持された薬液の濃度が下がらず、薬液の作用効果を維持できる。また、薬液を含んだ液体吸収保持層は密閉されることになり、歯周ポケットEに供給された薬液が移動歯肉溝滲出液によって流されず、薬液の作用効果を維持できる。
この様なマウスピースAを製造するには、正確な歯型と歯肉の印象採得が必要となる。
((1):印象採得の注意)
1 齦頬移行部までしっかり印象が採れていること
2 最後方歯より後方に7〜8mmまで採れていること
3 印象の気泡がないこと
4 歯頚部、歯肉のマージンが明確に採れていること
この印象採得された印象に硬石膏を注入して正確に口腔内を再現しなければいけない。
((2):石膏模型の注意)
1 硬石膏で混水比を守ること
2 石膏の気泡がないこと
3 模型の厚みは2〜3cmであること
4 前歯の前後的歯軸に対して模型の基底面は可及的に垂直でフラットな面であること
((3):石膏模型の調整)
モデルトリマー(登録商標)で、加熱加圧形成するときに空気が溜まらないように石膏模型の余剰な部分を削除した後、石膏模型の厚みを調整する。また、前歯の頬舌的な歯軸に対して基底面を直角になる様に調整する。これは、前歯の唇側のマウスピースの厚みを確保するためである。
((4):石膏模型の修正)
印象の気泡を彫刻刀で、石膏の気泡をモデルリペア(登録商標)などで修正する。ブリッジのアンダーカットはブロッキングパテ(登録商標)で修正する。加熱加圧形成時に背圧にならないようベント用の穴を開けるか、上顎の口蓋部や下顎の舌部を削合する。マウスピースAの外形を石膏模型に記入する場合もある。
((5):石膏模型の歯肉ライン調整)
上述のようにして得られた石膏模型に対し、歯頸部歯肉ラインを下げる加工を更に施すこともできる。より具体的に、図3に示す石膏模型63の歯肉先端部位63Aを切除して、歯頸部歯肉ライン63Cを実線で示す位置から点線で示す位置へ下げる加工を行う。歯頸部歯肉ライン63Cを下げる量は、液体吸収保持層2の厚みの半分以下とするのが好ましい。このように歯頸部歯肉ライン63Cが下げられた石膏模型63を用いて後述の方法にてマウスピースAを製造すると、マウスピースAを口腔内の所定の位置に装着した際、歯頸部歯肉ラインCがマウスピースAにより押し下げられて歯周ポケットEが広がる。その結果、薬液が歯周ポケットE内へ浸透しやすくなり、薬液の効果を増大できる。
<マウスピースの形成機器>
当該第1の製造方法では、歯科技工用の加熱・加圧成形器が使用されるものであり、この加熱・加圧成形器には、バイオスター(ショイデンタル社製<SCHEU−DENTAL GmbH>、最大6気圧、ヒーター作動時・最大850W)またはミニスターS(ショイデンタル社製、最大3気圧)を用いることができる。この加熱・加圧成形器には内臓タイマーがあり、加熱する熱可塑性樹脂シートの厚さに対応できるものである。
これらの加熱・加圧成形器の特徴は、加熱成形する熱可塑性樹脂シートの加熱面が歯型の石膏模型の表面側にくるため、液体吸収保持シート上に積層する時は液体吸収保持シートや材料との接着が強固になる。また、熱可塑性樹脂シートが加熱され溶けた面あるいは溶融状態に近く非常に柔らかくなった面が、正確に印象された歯型や歯肉の石膏模型に加圧形成され冷却されるので密着の良い精度の高いマウスピースAが製造でき、口腔内装着時のマウスピースAの吸着が良くなる。熱可塑性樹脂シート(EVAシート等)は、薬液やマウスピースAの歯や歯肉への密着状態の確認を可能にするため、透明感のあるものを使うのが好ましい。
<マウスピースAの形成方法>
第1の製造方法におけるマウスピースの形成方法は、次の工程の順に行うものである。なお、以下の説明は、加熱・加圧成形器のミニスターS(ショイデンタル社製)による形成工程である。熱可塑性樹脂シートの操作は、それぞれの熱可塑性樹脂シートで加熱・加圧成形器メーカーが決めている加熱時間と冷却時間の指示に従うことなる。以下、熱可塑性樹脂シートとしてEVAシートを用いた場合を例に説明する。
1) 上述した方法で調製された石膏模型を、加熱・加圧成形器のモデルカップにあるモデルプラットホームにセットする。または、ステンレス鋼製砂の中に模型を埋めてセットする。
2) モデルプラットホームにセットされた石膏模型の咬合面に液体吸収保持シートを載せる。液体吸収保持シートには上述したような素材のものを使用する。
3) 第1のEVAシート(第1の熱可塑性樹脂シート)を手順に従いチャンバーにセットし、ハロゲンヒーターを第1のEVAシート上に移動させて加熱し、その表面だけが軟化して溶融に近い状態にする。1.0mmのEVAシート(BIOPLAST<登録商標>)であれば、加熱時間は40秒である。EVAシートは透明(クリア)または透明系の色つきのものである。
4) 上記液体吸収保持シートが載せられている石膏模型がセットされているモデルカップにチャンバーを被せて加圧し、冷却する。即ち、加熱された第1のEVAシートを反転させて、加熱面が液体吸収保持シートに接するようにして、加熱・加圧成形器により加圧成形した後、冷却する。冷却時間は60秒である。これにより、第1のEVAシートと液体吸収保持シートとが積層された内側マウスピースが形成される。このとき、液体吸収保持シート(液体吸収保持層2)は第1のEVAシート(第1の熱可塑性樹脂層11)の内側面に食い込んだ状態で結合される(内側マウスピース成形工程)。
5) 冷却後、内側マウスピースと石膏模型を取り出す。この内側マウスピースの周縁部を歯の歯冠部から2〜3mm程度の歯肉(歯周ポケットを含む)を覆うようにカットする(内側マウスピース調整工程)。
6) 石膏模型にレジン分離剤を塗布する。レジン分離剤を塗布するのは、完成したマウスピースの白濁を防ぎ透明なものとするためである。
7) 歯の歯冠部から2〜3mm程度に歯肉(歯周ポケットを含む)を覆うようにカットした内側マウスピースを、上記レジン分離剤を塗布した石膏模型に被せる。この石膏模型をモデルプラットホームにセットする。ここで、必要に応じて接着剤や接着シートを内側マウスピースに塗布/積層してもよい。また、分離層を形成する場合には、シリコンスプレーを塗布する。
8) 1.0mm又は1.5mmの第2のEVAシート(第2の熱可塑性樹脂シート)を手順に従いチャンバーにセットし、ハロゲンヒーターを第2のEVAシート上に移動させて加熱する。1.5mmのEVAシート(BIOPLAST<登録商標>)であれば、加熱時間は90秒である。
9) 上記内側マウスピースが載せられている石膏模型がセットされているモデルカップにチャンバーを被せて加圧し、冷却する。即ち、加熱された第2のEVAシートを反転して、第2のEVAシートの加熱面が第1のEVAシート上に接するようにして被せ、加熱・加圧成形器により加圧成形した後、冷却する。冷却時間は180秒である。これにより内側マウスピースに積層された外側マウスピースが成形され、マウスピースが形成される(外側マウスピース成形工程)。
10) マウスピースを石膏模型から取り出す。このマウスピースを所望するマウスピース外形線にそってカットする。即ち、液体吸収保持層の周縁部から6〜8mm程度の歯肉を覆うように、外側マウスピースをカットする(マウスピース調整工程)。
11) カットしたマウスピースの辺縁を研磨ポイントなどで研磨する。
12) フィニシングリキッド(登録商標)で辺縁を最終研磨して、本実施形態におけるマウスピースAを形成する。
<<マウスピースAの第2の製造方法>>
次に、本実施形態におけるマウスピースAの第2の製造方法について説明する。第2の製造方法は、上述した第1の製造方法と略同一であるが、液体吸収保持シートが歯列の外形形状に沿った立体形状を有する点で異なる。立体形状を有する液体吸収保持シートは例えば次のようにして形成される。
図4(a)に示す様に、液体吸収保持シート60の一対の角部61を裁断して取り除き、ラインL1及びL2に沿って裁断する。点線で示すライン同士を縫合することで、図4(b)に示す様な液体吸収保持シート62とする。ここで、例えば、液体吸収保持シート60は一辺が10cmの正方形であって、ラインL1は2.5cm、ラインL2は4.5cm、縫合部分の幅W3は1.4cmである。
このように形成された液体吸収保持シート62を図5に示す様に石膏模型63に被せると、液体吸収保持シート62は石膏模型63の外形に沿った立体形状となる。この状態で、加熱された第1のEVAシートを載せて加圧成形することで、内側マウスピースが得られる。
このように、液体吸収保持シートを予め石膏模型の歯列の外形に沿う立体形状とすることで、液体吸収保持層2の厚みを均一にでき、マウスピースAの装着時における不快感をなくすことができる。つまり、フラットな状態の液体吸収保持シートを用いると、加熱加圧成形された際に皺が寄り、液体吸収保持層2の厚みのばらつきが大きくなる。この場合、マウスピースを装着した際に厚みの大きい部分が歯肉Bに当たり、不快感や痛みが生じることがある。しかしながら、液体吸収保持層2の厚みを均一にすることで、このような不快感や痛みをなくすことができる。
なお、図4に示す裁断/縫合方法は一例であって、本発明はこれに限定されず、最終的に液体吸収保持層2の厚みをより均一にできるものであればよく、また裁断又は縫合の何れかのみを行うものでもよい。また、立体形状の形成方法は裁断又は/及び縫合によるものに限定されず、例えば粉末状のPVAを溶解して得られた液状PVAを、所望の立体形状となるように硬化させて、これをマウスピース製造用の液体吸収保持シートとすることもできる。
<<マウスピースAの第3の製造方法>>
次に、本実施形態におけるマウスピースAの第3の製造方法について説明する。マウスピースAの第3の製造方法も、上述した第1の製造方法と同様に、口腔内印象により型取りした石膏模型を調製する石膏模型調製工程と、石膏模型を用いた加熱加圧形成により液体吸収保持層2とマウスピース本体1とを有するマウスピースを成形するマウスピース成形工程と、マウスピースの端縁を調整するマウスピース調整工程とを含むものである。
<印象採得して歯型の石膏模型を調製する工程>
印象採得して歯型の石膏模型を調製する工程は、上述した第1の製造方法におけるものと同一であるので説明を省略する。
<マウスピースの形成機器>
当該第3の製造方法では、歯科技工用の加熱・加圧成形器が使用されるものであり、この加熱・加圧成形器には、例えばプロフォーム(CG社製)、モデルキャプチャートライ(松風社製)、エルコプレス(エルコデント社製)などを用いることができる。これらの加熱・加圧成形器は、加熱成形する熱可塑性樹脂シートの加熱面とは反対面が歯型の石膏模型の表面側にくる点で、上述したバイオスター等と異なる。
<マウスピースの形成方法>
第3の製造方法では、液体吸収保持シートと第1の熱可塑性樹脂シートとが予め積層された積層シートを用いる。この積層シートは、例えば次のようにして得られる。
まず、図6(a)に示す様に、支持台50の上面にポリエチレンシート51を載置し、ポリエチレンシート51の上に厚さ1mmのEVAシート(第1の熱可塑性樹脂シート)52を積層する。これを、例えば220°Cに加熱したヒータHで約40秒加熱し、EVAシート52の表面を溶解させる。次に、図6(b)に示す様に、表面が溶解したEVAシート52の上に液体吸収保持シート53を載せ、例えば2.5気圧で加圧して、EVAシート52と液体吸収保持シート53とを溶着させる。その後、加圧したまま冷却してEVAシート52を硬化させ、ポリエチレンシート51を剥がすことで、図6(c)に示すような液体吸収保持シート53とEVAシート(第1の熱可塑性樹脂シート)52とを有する積層シート54が得られる。
或いは、この方法に代えて、所定の大きさを有する枠内にEVAシート(第1の熱可塑性樹脂シート)を配置し、粉末状のPVAを溶解し、これを枠内に配置されたEVAシート上に流し込んで冷却硬化させてもよい。PVAが冷却硬化することでEVAシート上に液体吸収保持シートが形成され、この液体吸収保持シートはEVAシートに対して積層されて溶着された状態となる。このとき、EVAシート上に流し込むPVAの量を調整することで、形成される液体吸収保持シートの厚みを自由に調整でき、ひいては最終的に形成される液体吸収保持層の厚みを簡単に調整できる。
第3の製造方法におけるマウスピースの形成方法は、次の工程の順に行うものである。なお、工程の理解を容易にするため、積層シートとして図6(c)に示す積層シート54を用いて説明する。
1) 上述した方法で調製された石膏模型を、加熱・加圧成形器の所定の位置にセットする。
2) 液体吸収保持シート53が石膏模型側にくるように積層シート54を石膏模型に載せ、加熱加圧成形したのち、冷却する。これにより内側マウスピースが成形される(内側マウスピース成形工程)。
3) 内側マウスピースと石膏模型とを取り出し、内側マウスピースの周縁部を歯の歯冠部から2〜3mm程度の歯肉B(歯周ポケットEを含む)を覆うようにカットする(内側マウスピース調整工程)。
4) 石膏模型にレジン分離剤を塗布する。
5) 上述したように周縁部がカットされた内側マウスピースを、レジン分離剤を塗布した石膏模型に被せる。この石膏模型を所定位置にセットする。ここで、必要に応じて接着剤や接着シートを内側マウスピースに塗布/積層してもよい。また、分離層を形成する場合には、シリコンスプレーを塗布する。
6) 1.0mm又は1.5mmの第2のEVAシート(第2の熱可塑性樹脂シート)を手順に従いセットして加熱する。
7) 石膏模型に被せた内側マウスピースを加熱された第2のEVAシートで覆い、加熱・加圧成形器により加圧成形した後、冷却する。これにより外側マウスピースが成形され、内側マウスピースと外側マウスピースからなるマウスピースが成形される(外側マウスピース成形工程)。
8) マウスピースを石膏模型から取り出す。このマウスピースを所望するマウスピース外形線にそってカットする。即ち、液体吸収保持層の周縁部から6〜8mm程度の歯肉を覆うように、外側マウスピースをカットする(マウスピース調整工程)。
9) カットしたマウスピースの辺縁を研磨ポイントなどで研磨する。
10) フィニシングリキッド(登録商標)で辺縁を最終研磨して、本実施形態におけるマウスピースAを形成する。
上述した第3の製造方法では、平面上で溶着された積層シート54を用いるので、より均一なマウスピースAを製造することができる。
[第2の実施形態]
以下図面を参照しながら、本発明に従うマウスピースの第2の実施形態について説明する。図7(a)は本実施形態に係るマウスピースAaの平面図であり、図7(b)はマウスピースAaを口腔内の所定の位置に装着した状態を示す断面図であり、図7(c)はマウスピースAaを石膏模型に装着した状態を示す斜視図である。なお、上述したマウスピースAと略同一の部材には同一の符号を付し説明は省略する。
本実施形態におけるマウスピースAaは、その先端部が切除されて略U字形の開口部70が形成されている。この開口部70はマウスピースAaを高さ方向に貫通するものであって、マウスピースAaが口腔内の所定の位置に装着された際に、歯の咬合面が開口部70から露出するように形成されている。マウスピースAaの咬合面側端部は、歯の最大膨隆部Mを超えて咬合面側に位置するのが好ましく、最大膨隆部Mから0.5mm〜1mmの位置に位置するのが更に好ましい。このような構成により、マウスピースAaの先端部が切除されていても、装着時にマウスピースAaが歯肉B側へ位置ずれを起こすのを防止でき、マウスピースAaを所定位置に保持できる。
上述したマウスピースAと同様に、マウスピースAaの周縁部10は歯肉Bに密着可能であって辺縁封鎖が可能にされている。また、本実施形態におけるマウスピースAaにおいて、マウスピース本体1の咬合面側端縁部(他端縁部)10aは、液体吸収保持層2の咬合面側端縁部を超えて延び、歯面に密着可能となるように形成されている。これにより、マウスピースAaに形成された開口部70を介して唾液がマウスピースAa内に浸入するのが防止される。このように、本実施形態においても、唾液等によって薬液の濃度が下がることがなく、薬液の作用効果を維持することができる。
また、マウスピースAaは一対の係止部材71を更に備え、各係止部材71は開口部70を跨ぐように配置され、その両端がマウスピース本体1に接続されている。このように係止部材71を設けることにより、開口部70が広がってマウスピースAaが変形するのを防止できる。また、マウスピースAaを口腔内の所定の位置に装着すると、係止部材71は咬合面のコンタクトポイントよりも歯肉B寄りの位置にて歯間に係止され、マウスピースAaの位置ずれを防止する。
このようなマウスピースAaでは、歯の咬合面がマウスピースAaにて被覆されないので、マウスピースAaを装着しても噛み合わせに影響を与えない。つまり、上記実施形態におけるマウスピースAは歯列D全体を覆うため、マウスピースAの厚み分だけ顎を閉じることができない。これに対し本実施形態によれば、マウスピースAaを装着しても、装着していない状態と同様に顎を閉じることができ、マウスピース装着による不快感/違和感を軽減できる。
<<マウスピースAaの製造方法>>
本実施形態のマウスピースAaは、上述したマウスピースAの第1〜第3の製造方法を応用して製造できる。つまり、上述した第1〜第3の製造方法の何れかにより成形された内側マウスピースの先端部位を切除して略U字形の開口部を形成する。開口部を跨ぐように一対の係止部材71を内側マウスピースの所定位置に載置し、加熱した第2のEVAシートを被せて加圧成形する。これにより、係止部材71が第1の熱可塑性樹脂層11と第2の熱可塑性樹脂層12との間に挟持固定される。第2の熱可塑性樹脂層12の先端部位を、前記開口部に沿って切除することで、開口部70が形成される。
なお、本実施形態のマウスピースAaは一対の係止部材71を備えるものであったが、係止部材71を設けない構成とすることもできる。この場合には、開口部70を形成する工程を内側マウスピースに開口部を形成する工程と第2の熱可塑性樹脂層12の先端部を開口部に沿って切除する2工程に分ける必要はなく、マウスピース成形後に開口部70を形成すればよい。また、第2の熱可塑性樹脂層12を第1の熱可塑性樹脂層11よりも高い剛性を有するものとしても良い。このような構成とすることにより、開口部70が形成されたマウスピースAaの変形を抑制できる。更に、マウスピースAaに人口歯を取り付ければ、ブリッジとしての機能も備えることができ、噛む訓練に用いることもできる。
また、マウスピースAaに形成される開口部70は、全ての咬合面を露出させる略U字形状を有するものに限定されず、一部の咬合面を露出させるものであってもよい。更に、係止部材71を設ける箇所は図7(c)に示した箇所に限定されず、歯間に係止されれば異なる箇所に設けてもよい。例えば、図7(c)に示す例では、5番の歯と6番の歯との間に係止部材71を係止させる構成としているが、例えば6番の歯がない患者に用いる場合等は、4番の歯と5番の歯の間に係止部材71が係止されるように構成することができる。更に、図7(a)に示す例では一対の係止部材71を設けたが、係止部材71の本数は2本に限定されず、任意に設定でき、例えば全ての歯間に対応させて設けることもできる。
係止部材71は、ワイヤやガラス繊維、ナイロン繊維など、歯間に係止可能な素材であれば良く、またその太さは適宜設定できる。また、係止部材71の係止位置は図7(c)に示す位置に限定されず、その他の任意の位置、例えば下部鼓形空隙であってもよい。
係止位置を下部鼓形空隙とする場合には、係止部材71の太さを0.01mm程度とするのが好ましく、また、係止部材71をインターデンタルブラシ状、或いはデンタルフロスのように多数のガラス繊維又はナイロン繊維を束ねた構造とすれば、マウスピースAaの脱着時に歯間を清掃できる。
[第3の実施形態]
以下図面を参照しながら、本発明に従うマウスピースの第3の実施形態について説明する。図8(a)は本実施形態に係るマウスピースAbの斜視図であり、図8(b)は図8(a)のVIIIb−VIIIb線断面図である。なお、上述したマウスピースAと略同一の部材には同一の符号を付し説明は省略する。
図8に示すマウスピースAbでは、第1の熱可塑性樹脂層11の内側面に複数の突部11bが設けられ、液体吸収保持層2は突部11bの間に埋め込まれるように設けられている。このように構成されたマウスピースAbを口腔内の所定の位置に装着すると、突部11bが歯肉Bを刺激し、歯肉Bのマッサージ効果が得られる。このマッサージ効果は、顎の開閉に起因してマウスピースAbが上下方向に撓むことで更に高められる。このようなマウスピースAbは、例えば図9に示す様な積層シート54bを用いて製造できる。この積層シート54bは、片面に多数の突起11bが形成された第1の熱可塑性樹脂シート52bと、液体吸収保持シート53とが積層されたものである。
ここで、突部11bの密度が高いとマッサージ効果が高くなり、その分だけ歯肉Bに対する刺激が強くなる。一方、突部11bの密度が小さいとマッサージ効果も減少するが、歯肉Bに対する刺激を少なくできる。従って、歯肉Bの腫れが酷い場合には突部11bの密度が小さいものを使用し、歯肉Bの腫れが少ない場合には突部11bの密度が高いものを使用するのが好ましい。突部11bの大きさに決まりはなく、全ての突部11bの大きさが均一である必要もない。また、突部11bの密度も均一である必要はなく、密度の高い部分と低い部分とが混在していてもよい。
更に、図10に示すマウスピースAb’のように、突部11b全体を液体吸収保持層2で覆う構成としてもよい。このようなマウスピース10Ab’は、例えば図11に示す様な積層シート54b’を用いて製造できる。また、突起11bを上述した第1及び第2の実施形態に係るマウスピースA、Aaに設けることもできる。
[第4の実施形態]
以下図面を参照しながら、本発明に従うマウスピースの第4の実施形態について説明する。図12(a)は本実施形態に係るマウスピースAcの平面図であり、図12(b)はマウスピースAcを石膏模型に装着した状態を示す断面図である。
本実施形態におけるマウスピースAcは、歯列D及び歯肉Bを部分的に覆うように形成されている。より具体的に、マウスピースAcは、口腔内の所定の位置に装着された際に、歯列Dの前側に位置する前側部位A1と、歯列Dの裏側に位置する裏側部位A2とを有し、前側部位A1と裏側部位2とは一対の係止部材71により接続されている。マウスピースAcを口腔内の所定の位置に装着すると、係止部材71が歯間に係止され、マウスピースAcの位置ずれが防止される。また、歯の咬合面は、前側部位A1と裏側部位A2との間に規定された空間から露出し、噛み合わせに影響しない。
マウスピースAcの咬合面側端部は、上述した第2の実施形態におけるマウスピースAbと同様、歯の最大膨隆部より咬合面側に位置するのが好ましく、最大膨隆部Mから0.5mm〜1mmの位置に位置するのが更に好ましい。このような構成により、マウスピースAcが歯の咬合面を覆う部位を有しなくても、装着時にマウスピースAcが歯肉B側へ位置ずれを起こしたり、外れたりするのを防止でき、マウスピースAcを所定位置に安定して保持できる。
また、マウスピースAcの周縁部は、マウスピース本体1の全周縁部が歯肉B及び歯面に密着可能なように形成されている。つまり、マウスピース本体1の第2の熱可塑性樹脂層12の全周縁部が、液体吸収保持層2の周縁部を超えて延びるように形成されている。これにより、辺縁封鎖ができ、マウスピースAc内部に保持された薬液が漏れ出すのを防止すると共に、唾液等がマウスピースAc内部に浸入するのを防止できる。尚、マウスピースAcの歯列方向における側縁部は、歯間ではなく、歯面上に位置するのが好ましい。
このように、本実施形態に係るマウスピースAcは、歯列D及び歯肉Bを部分的に覆うように構成されているため、局所的な治療が必要な場合等において好適に用いることができる。
<<マウスピースAcの製造方法>>
本実施形態のマウスピースAcは、上述したマウスピースAaの製造方法を応用して製造できる。つまり、内側マウスピースの先端部位を切除して略U字形の開口部を形成する際に、その左右両端部位も切除して、内側マウスピースを前側部位と裏側部位とに分離する。一対の係止部材71を分離された内側マウスピースの所定位置に載置し、加熱した第2のEVAシートを被せて加圧成形する。これにより、係止部材71が第1の熱可塑性樹脂層11と第2の熱可塑性樹脂層12との間に挟持固定される。第2の熱可塑性樹脂層12の先端部位及び左右両端部位を、分離された内側マウスピース即ち前側部位と裏側部位の外形に沿って切除することで、本実施形態のマウスピースAcが形成される。
[第5の実施形態]
以下図面を参照しながら、本発明に従うマウスピースの第5の実施形態について説明する。図13(a)は本実施形態に係るマウスピースAdの平面図であり、図13(b)はマウスピースAdを石膏模型に装着した状態を示す斜視図である。なお、上述したマウスピースAcと略同一の部材には同一の符号を付し説明は省略する。
本実施形態におけるマウスピースAdは、第4の実施形態におけるマウスピースAcとほぼ同一であるが、マウスピースAdは奥歯専用のマウスピースであって、前側部位A1と裏側部位A2との間に奥側部位A3が設けられている点で異なる。この奥側部位A3は、マウスピースAdが口腔内の所定の位置に装着された際に、歯列Dの奥側に位置するものであり、前側部位A1と裏側部位A2とは係止部材71及び奥側部位A3により接続されている。本実施形態に係るマウスピースAdにも、歯列D及び歯肉Bを部分的に覆うように構成されているため、局所的な治療が必要な場合等において好適に用いることができる。なお、マウスピースAdの周縁部と最大膨隆部との位置関係や辺縁封鎖が可能な点等は前述したマウスピースAcと同一であるので説明は省略する。
以上、本発明の実施形態に係るマウスピースについて添付の図面を参照して説明したが、本発明かかる実施形態に限定されず、本考案の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、図13に示すマウスピースAdは奥歯専用のマウスピースとしたが、例えば図14(a)及び図14(b)に示すマウスピースAd’のように、奥歯だけでなく前歯をも覆うように構成してもよい。
ここで、本発明のさらなる特徴点を説明する。本発明のマウスピースは、通常は歯科用の治療用として用いられるものである。そして、本発明のマウスピースは、ナイトガード、スポーツガード、咬合スプリント、スリープスプリント、及び止血床等のマウスピースとしても好適である。
本発明のマウスピースは、ナイトガード、スポーツガード、咬合スプリントなどとしても使えるものであり、マウスピースの内面に乳歯及び永久歯の萌出の変化に対応すべく液体吸収保持層を有しているので、若年者の日々変化する口腔内に対応でき、作り変えの期間が延びるものである。
本発明のマウスピースのナイトガードは、就寝中の歯軋り、食いしばりを防ぐものである。本発明のマウスピースの咬合スプリントは、異常な噛みあわせを治したりするもので、歯ぎしり、食いしばりにより歯牙に大きな力が加わっていたが、液体吸収保持層が緩衝材の役目をすることで歯牙の負担を軽減できる、治療による歯の形態変化にも対応できるものである。
また、運動の最中に体に栄養補給するスポーツドリンクを摂取することが歯牙には大変悪く虫歯の原因になっているが、本発明のマウスピースのスポーツガードは、虫歯予防の薬剤を保持させることで、運動中の虫歯予防を可能とする。また、液体吸収保持層が衝撃の緩衝の役目も果たすことになる。
本発明のマウスピースは、歯牙に力を加える必要がないので、マウスピース全体の厚みを薄くすることができて、上顎用と下顎用のマウスピースを同時に使用でき、次亜塩素酸水などの電解機能水や液体の薬剤を使うことにより、例えば約3分間の装着時間で済むようにでき、装着時間を大幅短縮できるものである。
本発明のマウスピースは、液体の薬剤を術者の希望する時間、局所にとどめることが出来るものである。
口腔乾燥の患者、経口摂取していない患者、口腔機能障害のある患者は、咀嚼嚥下機能や味覚機能が低下しているので、従来は保湿剤配合の洗口剤をスプレー噴霧や粘膜に1から4時間おきに塗布していたが、本発明の厚みの薄いマウスピースの液体吸収保持層にこの薬液を吸収保持させることで絶えず保湿効果を保てるようになるものである。
また、本発明のマウスピースでは、人口唾液も同様に使用できる。本発明のマウスピースの液体吸収保持層に人口唾液を吸収保持させ、これを唾液量が低い人に用いると、口腔内が濡れた状態が保たれ、虫歯予防や口臭予防になる。口腔乾燥は虫歯に影響し、口腔粘膜の保湿は自浄作用を高めるためである。また、唾液分泌も期待でき、口腔内のリハビリにも効果的にできるため、特に高齢者や要介護者には有効である。口腔乾燥は、日中は自己意識でコントロールできるが、睡眠時はコントロールできないため、夜間に用いることで高い効果が期待できる。
虫歯や歯周病は細菌感染の感染症である。本発明のマウスピースでは、歯や粘膜に対してこれらの細菌に抵抗できるような栄養や免疫力を高める液体を液体吸収保持層に吸収保持させて、歯や粘膜に与えることができる。また、悪い細菌であるストレプトコッカス・ミュータンス菌(S.mutans)やポルフィロモナス・ジンジバリス菌(P.gingivalis)などの除菌後に、出産後の乳児の口腔内にいる常駐細菌といわれるストレプトコッカス・ミティス(S.mitis)などの良い細菌を積極的に補給できることが可能となる。バクテリアセラピー(予防医学療法)に使われるプロバイオテクスといわれる善玉菌の補給にも使えることになる。
本発明のマウスピースの液体吸収保持層にグルコン酸クロルヘキシジンを含むコンクールF(登録商標)を使うと虫歯予防や歯周病予防ができ、口腔内の朝のめざめがさわやかになる。また、就寝中の歯ぎしりや食いしばりの防止も同時に行える。日中には液体吸収保持層に口腔内の消臭剤や芳香剤を浸透させ数分間装着することで、接客業などの対面を主にする職業の方々の口臭予防になる。これらの使用前に口腔内のバイオフィルムをPMTCやSRPで細菌を浮遊細菌の状態にすることでより効果的に使えるものである。
また、本発明のマウスピースは、口腔内で包帯として使えるものである。即ち、手術後の血液も吸収でき、このマウスピースが口腔内で包帯として歯科では初めて使えるようになる。術後の口腔内では、唾液や歯肉溝滲出液などでたえず濡れた状態では包帯のように使えるものが全く無かったが、本発明のマウスピースの液体吸収保持層によって、術後の出血を吸収でき、またその患部に直接薬剤を長時間留められ、皮膚の処置(外科)が可能となるものである。
口腔内には500種類以上、10の八乗〜10の十一乗の細菌やウイルスが1平方センチメートルに存在するものである。この悪環境でインプラント手術や抜歯を行い、術後もこの環境で完治を数ヶ月待っている状況にある。本発明のマウスピースによって内科の手術前に口腔内の細菌やウイルスの除菌を行うことができることになり、人口呼吸器チューブに沿って口腔内細菌が肺に侵入し、人口呼吸器関連性肺炎や慢性閉塞性肺炎患者の口腔内細菌による下気道による肺炎リスクを軽減できる。
そして、本発明のマウスピースは、現在開発進行中の虫歯ワクチンや歯周病ワクチン投与後のバイオフィルム再形成を防ぐための手段になるものである。
[実施例1]
歯周病患者Y(38歳、女性)から口腔内印象により型取りした石膏模型を調製した後、加熱・加圧成形器バイオスター<ジョイデンタル社、4.3気圧>を用いて、加熱・加圧成形器バイオスターのモデルプラットホームにセットされた石膏模型の上に液体吸収保持層となる液体吸収保持シート<包帯:レーヨン・スパンテックス、厚み約0.3mm、株式会社キャン☆ドゥ製>を覆うように被せ、更に、加熱・加圧成形器バイオスターにて220℃で40秒間加熱されたマウスピース本体となる第1の熱可塑性樹脂シート<バイオプラスト、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)シート、厚み1mm、ショイデンタル社製>を加熱された面が液体吸収保持シートと接するように覆い被せて、4.3気圧で60秒間加圧してから、(空気で)冷却/放冷して内側マウスピースを得た。
この内側マウスピースの不要部分をトリミングして調整し、石膏模型に被せてモデルプラットホームにセットし、更に、第2の熱可塑性樹脂シート<バイオプラスト、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)シート、厚み1mm、ショイデンタル社製>を加熱・加圧成形器バイオスターにて220℃で40秒間加熱した後、内側マウスピース上に覆い被せて、加熱・加圧成形器バイオスターにて加圧成形して4.3気圧で60秒間加圧形成してから、(空気で)冷却/放冷した。石膏模型から成形されたマウスピースを取り外し、不要部分をトリミングして、本実施例のマウスピース(1)を得た。マウスピース(1)は、上顎用、下顎用それぞれに形成されている。上顎用のマウスピース(1)の写真を図15及び図16に示す。また、石膏模型に装着された上顎用及び下顎用のマウスピース(1)の写真を図17に示す。
プロフェショナルメカニカルトゥースクリーニング(PMCT)、スケーリングルートプレーニング(SRP)でバイオフィルムを除去した後、本発明のマウスピース(1)の液体吸収保持層の部分に250ppmの次亜塩素酸水溶液を吸収させて保持させてから、このマウスピース(1)を図18に示す様に歯周病患者Yに毎日1分間、装着してもらい、約3ヶ月間継続して使用してもらった。そして、本発明のマウスピース(1)の装着し使用した前後の歯周病菌(Pg菌)の菌数をPCR−Invadoer法で計測した。その結果を表1に示す。また、マウスピース(1)の装着前および約3ヶ月間装着後の上下顎の歯列を写した写真を図19〜24に示す。
約3ヶ月間、マウスピース(1)を装着しただけで、歯周病菌を著しく減少させることができた。また、図19〜図24から上下顎唇面辺縁歯肉の炎症が著しく軽減していることがわかり、歯肉の腫れが収まり、ポケットが浅くなり、歯肉が締まりよくなっていることが肉眼で観察され、歯周病菌(Pg菌)の菌数も0.00%となった。
本実施例の液体吸収保持シートの包帯として、ニチバン株式会社製の包帯(スパンテックス、60mm×3m×0.3mm)、イオン株式会社製の包帯(綿75%・ポリエステル22%・ポリウレタン3%、65mm×4m×0.3mm)、株式会社キャン☆ドゥ製の包帯(レーヨン・スパンテックス、50mm×4.5m×0.3mm)のものが使用可能であることが確認されている。
[実施例2]
歯周病患者H(51歳、女性)から口腔内印象により型取りした石膏模型を調製した後、加熱・加圧成形器バイオスター<ジョイデンタル社、4.3気圧>を用いて、加熱・加圧成形器バイオスターのモデルプラットホームにセットされた石膏模型の上に液体吸収保持層となる液体吸収保持シート<包帯:レーヨン・スパンテックス、厚み約0.3mm、株式会社キャン☆ドゥ製>を覆うように被せ、更に、加熱・加圧成形器バイオスターにて220℃で40秒間加熱されたマウスピース本体となる第1の熱可塑性樹脂シート<バイオプラスト、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)シート、厚み1mm、ショイデンタル社製>を加熱された面が液体吸収保持シートと接するように覆い被せて、4.3気圧で60秒間加圧してから、(空気で)冷却/放冷して内側マウスピースを得た。
内側マウスピースの不要部分をトリミングして調整し、石膏模型に被せてモデルプラットホームにセットし、更に、第2の熱可塑性樹脂シート<バイオプラスト、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)シート、厚み1mm、ショイデンタル社製>を加熱・加圧成形器バイオスターにて220℃で40秒間加熱した後、内側マウスピース上に覆い被せて、加熱・加圧成形器バイオスターにて加圧成形して4.3気圧で60秒間加圧形成してから、(空気で)冷却/放冷した。石膏模型から成形されたマウスピースを取り外し、不要部分をトリミングして、本実施例のマウスピース(2)を得た。マウスピース(2)は、上顎用、下顎用それぞれ形成されている。
プロフェショナルメカニカルトゥースクリーニング(PMCT)、スケーリングルートプレーニング(SRP)でバイオフィルムを除去した後、マウスピース(2)の液体吸収保持層の部分に250ppmの次亜塩素酸水溶液を吸収させて保持させてから、このマウスピース(2)を歯周病患者Hに毎日1分間、装着してもらい、約3ヶ月間継続して使用してもらった。そして、マウスピース(2)を装着し使用した前後の歯周病菌(Pg菌)の菌数をPCR−Invadoer法で計測した。その結果を表2に示す。また、マウスピース(2)の装着前および約3ヶ月間装着後の上下顎の歯列を写した写真を図25〜図28に示す。
約3ヶ月間、マウスピース(2)を装着しただけで、歯周病菌を著しく減少させることができた。また、図25〜図28から上下顎唇面辺縁歯肉の炎症が著しく軽減していることがわかり、歯肉の腫れが収まり、ポケットが浅くなり、歯肉が締まりよくなっていることが肉眼で観察され、歯周病菌(Pg菌)の菌数も0.00%となった。
HIV、SARS、院内感染するMRSA、結核、肝炎ウイルス、新型インフルエンザなどのウイルスが口腔内にいるが、これらに対しても本発明のマウスピースは液体薬剤で除菌を可能とするものである。ウイルスの体内の侵入は主に鼻腔からと口腔からの感染が考えられるが、様々なウイルスや細菌の体内の侵入を入り口で止める必要がある。本発明のマウスピースで口腔内からの感染を防ぐ、あるいは予防することができる。また、口腔内は多くの細菌やウイルスが存在しこれらを除菌することはとても重要である。たとえば、ICU患者の人口呼吸器チューブに口腔内細菌が付着、細菌が下気道することで死亡率が高い人口呼吸器関連性肺炎を起こすことが多い。また高齢者や要介護者も同様に口腔内細菌が肺炎を起こし、高齢化が進むわが国ではこのような肺炎で1日平均300人を超える死亡がある。したがって、手術前に口腔内の細菌やウイルスを本発明のマウスピースで除菌し良い常在菌にする口腔ケアが重要になる。食物摂取するのは口腔であり、この食物摂取の食育の指導も本発明のマウスピースのもうひとつの役割である。人間の全身にいきわたる血管を正常にし、血管内の細菌やウイルスを口腔内から侵入を防ぎ、血管内の炎症を抑えることが重要である。今後ますます歯科と医科の連携が必要になってくる。歯牙の喪失は細菌によるものが多い。iPS細胞を使った再製医療も、インプラント治療などの歯牙の補綴も歯をなくした口腔環境が細菌の原因なら、数年後同じ様に歯牙を喪失することになる。口腔内の細菌のコントロールは極めて重要なものである。本発明のマウスピースは上述のように、口腔内の細菌およびウイルスの除菌による体内への感染予防と癌、動脈硬化、心筋梗塞、肺炎、糖尿病などの疾病予防に適するものである。
更に、本発明に係るマウスピースは、ヒトだけでなく、犬等の動物に用いることもできる。
A、Aa、Ab マウスピース
B 歯肉
C 歯頸部歯肉ライン
D 歯列
E 歯周ポケット
1 マウスピース本体
11 第1の可塑性樹脂層
12 第2の可塑性樹脂層
2 液体吸収保持層
10 マウスピース本体の端縁部
20 液体吸収保持層の端縁部
52 第1の熱可塑性樹脂シート
53 液体吸収保持シート
54 積層シート
63 石膏模型
70 開口部
71 係止部材



Claims (22)

  1. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と、液体吸収性を有し液体を保持する液体吸収保持層とを備え、
    前記液体吸収保持層は、前記マウスピース本体の内側に設けられ、
    口腔内の所定の位置に装着された際に、前記マウスピース本体の一端縁部が歯肉に密着可能となるように形成されていることを特徴とするマウスピース。
  2. 口腔内の所定の位置に装着された際に前記液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えて第1の歯肉位置に位置するように形成されるとともに、前記マウスピース本体の前記一端縁部が前記第1の歯肉位置を超えて第2の歯肉位置に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマウスピース。
  3. 前記マウスピース本体は、口腔内印象により型取りされた熱可塑性樹脂でなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスピース。
  4. 前記液体吸収保持層が、形状を変化しないで液体を吸収する材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマウスピース。
  5. 前記マウスピース本体は、前記液体吸収保持層に積層された第1の熱可塑性樹脂層と、前記第1の熱可塑性樹脂層に積層された第2の熱可塑性樹脂層とを備え、
    口腔内の所定の位置に装着された際に、前記第1の熱可塑性樹脂層の端縁部は前記第1の歯肉位置に位置するように形成され、前記第2の熱可塑性樹脂層の端縁部は前記第2の歯肉位置に位置するように形成されていること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマウスピース。
  6. 前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との間に設けられた分離層を更に備え、前記液体吸収保持層と共に前記第1の熱可塑性樹脂層が前記第2の熱可塑性樹脂層から分離可能にされていることを特徴とする請求項5に記載のマウスピース。
  7. 前記マウスピース本体の内側面には複数の突部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマウスピース。
  8. 前記マウスピース本体及び前記液体吸収層には開口部が設けられ、口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が前記開口部から露出するように形成されると共に、前記マウスピース本体の他端縁部が歯面に密着可能となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマウスピース。
  9. 前記開口部を跨いで設けられた係止部材を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のマウスピース。
  10. 前記マウスピース本体は、口腔内の所定の位置に装着された際に、歯列の表側に位置する表側部位と、歯列の裏側に位置する裏側部位とを有し、前記表側部位と前記裏側部位とは係止部材によって接続されると共に、歯列の歯列方向長さよりも短く形成され、
    口腔内の所定の位置に装着された際に、咬合面が前記表側部位と前記裏側部位との間に規定された空間から露出すると共に、前記マウスピース本体の前記一端縁部を含む全ての周縁部が歯肉及び歯面に密着可能に形成されていることを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載のマウスピース。
  11. 前記第2の熱可塑性樹脂層は前記第1の熱可塑性樹脂層よりも高い剛性を有することを特徴とする請求項9又は10に記載のマウスピース。
  12. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と、前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備えるマウスピースを製造するためのマウスピース製造方法であって、
    口腔内印象により型取りした石膏模型を調製する石膏模型調製工程と、
    前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、液体吸収性を有し液体を保持する液体吸収保持シートからなる前記液体吸収保持層と熱可塑性樹脂シートからなる前記マウスピース本体とを有するマウスピースを成形するマウスピース成形工程と、
    口腔内の所定の位置に装着された際に、前記マウスピース本体の端縁部が歯肉に密着可能となるように、前記マウスピースの端縁を調整するマウスピース調整工程と、を含むことを特徴とするマウスピース製造方法。
  13. 前記マウスピース成形工程は、
    前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、液体吸収保持シートからなる前記液体吸収保持層と第1の熱可塑性樹脂シートからなる前記第1の熱可塑性樹脂層とを有する内側マウスピースを成形する内側マウスピース成形工程と、
    口腔内の所定の位置に装着された際に前記液体吸収保持層の端縁部が歯頸部歯肉ラインを越えて第1の歯肉位置に位置するように、前記内側マウスピースの端縁を調整する内側マウスピース調整工程と、
    前記石膏模型を用いた加熱加圧成形により、前記内側マウスピースに第2の熱可塑性樹脂シートからなる前記第2の熱可塑性樹脂層を形成することで外側マウスピースを成形する外側マウスピース成形工程と、を含み、
    前記マウスピース本体は、前記第2の熱可塑性樹脂層からなる前記外側マウスピースと前記第1の熱可塑性樹脂層から構成され、
    前記マウスピース調整工程においては、口腔内の所定の位置に装着された際に前記外側マウスピースの端縁部が前記第1の歯肉位置を超えて第2の歯肉位置に位置するように調整することを特徴とする請求項12に記載のマウスピース製造方法。
  14. 前記内側マウスピース成形工程においては、前記石膏模型に覆い被せた前記液体吸収保持シート上に、加熱した第1の熱可塑性樹脂シートを覆い被せて加圧成形することにより前記内側マウスピースを成形することを特徴とする請求項13に記載のマウスピース製造方法。
  15. 前記液体吸収保持シートは、前記石膏模型の外形形状に沿った立体形状を有することを特徴とする請求項14に記載のマウスピース製造方法。
  16. 前記内側マウスピース成形工程においては、前記液体吸収保持シートと前記第1の熱可塑性樹脂シートとが積層溶着された積層シートを前記石膏模型に覆い被せて、加熱加圧成形により内側マウスピースを成形することを特徴とする請求項13に記載のマウスピース製造方法。
  17. 前記石膏模型調製工程は、石膏模型の歯頸部歯肉ラインを下げる加工を施す歯肉ライン調整工程を含むことを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載のマウスピース製造方法。
  18. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートであって、
    熱可塑性樹脂シートと、前記熱可塑性樹脂シートの表面に積層され溶着された液体吸収保持シートとを備え、
    前記液体吸収保持シートは、液体吸収性を有し液体を保持するものであることを特徴とするマウスピース用積層シート。
  19. 前記熱可塑性樹脂シートの前記表面には複数の突部が形成されていることを特徴とする請求項18に記載のマウスピース用積層シート。
  20. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートを製造するための積層シート製造方法であって、
    熱可塑性樹脂シートの表面を加熱する加熱工程と、
    加熱された熱可塑性樹脂シートの表面に液体吸収保持シートを積層するシート積層工程と、
    積層された熱可塑性樹脂シートと液体吸収保持シートとを加圧して溶着させる加圧溶着工程と、を含み、
    前記液体吸収保持シートは、液体吸収性を有し液体を保持することを特徴とする積層シート製造方法。
  21. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられるマウスピース用積層シートを製造するための積層シート製造方法であって、
    熱可塑性樹脂シートを枠内に配置する枠内配置工程と、
    粉末状のPVAを溶解するPVA溶解工程と、
    溶解されたPVAを、前記枠内に配置された前記熱可塑性樹脂シート上に流し込む流込み工程と、
    前記熱可塑性樹脂シート上に流し込んだPVAを冷却硬化させて、前記熱可塑性樹脂シートに溶着された液体吸収保持シートを形成する液体保持シート形成工程と、を含むことを特徴とする積層シート製造方法。
  22. 口腔内の所定の位置に装着されるマウスピース本体と前記マウスピース本体の内側に設けられた液体吸収保持層とを備える歯科用マウスピースの製造に用いられ、前記液体吸収保持層を形成するための液体吸収保持シートであって、
    液体吸収性を有し液体を保持する性質を有すると共に、歯列の外形形状に沿う立体形状を有することを特徴とする液体吸収保持シート。










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