JP2020167986A - 愛玩動物用マウスピース - Google Patents

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恵美 齊藤
Megumi Saito
恵美 齊藤
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【課題】愛玩動物がストレスなく常時装着することができ、愛玩動物の歯周病予防に資することが可能な愛玩動物用マウスピースを提供する。【解決手段】マウスピース1は、弾性を有する材料によって構成され、装着する愛玩動物の歯列の一部又は全部を覆う平面視で略U字形状に形成された装具本体2を備え、前記装具本体2には、薬液を浸透可能な吸収層が埋め込まれており、前記吸収層が歯列と接触する側に設けられている。装具本体2に孔を設け、孔に装着バンド3を取り付けることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、犬をはじめ、愛玩動物の歯列に所定期間装着するためのマウスピースに関する。
現代社会において、少子高齢化や単身世帯の増加に伴い、犬や猫を始めとする愛玩動物とともに生活する消費者が増加している。
独居で生活する者にとって愛玩動物は家族も同然であり、愛玩動物用のトリミングや幼稚園、しつけに関する通信教育や塾、愛玩動物専門のフィットネスクラブ、愛玩動物と一緒に宿泊することができるホテルまで、愛玩動物を大切に扱うための様々なサービスが展開されている。
このように、愛玩動物は人間と同じような扱いを受ける一方、人間と違って言葉を話すことができないために、病気や体調不良の訴えに気づきにくい面がある。
特に歯周病を始めとする口腔内の疾患に関しては、人間のような歯磨きを行う習慣がないため、完全に防止することは難しく、口腔ケアを必要としている動物が多い。愛玩同粒の中でも、特に犬の場合には、食の変化に加え、以前よりも硬いものを食べなくなっていることもあり、歯の劣化が著しい。
歯周病にかかる犬は成犬の80%にものぼり、歯周病になった口腔内をセルフケアすることができず、歯牙が脱落する。そして入れ歯などの処置ができないため食べることが困難になり、衰弱してやがて死を待つことになる。
そのため、早いうちからの予防歯科が必要となるが、ブラッシングの必要性が飼い主に浸透しておらず、小さいうちからのしつけがないとブラッシングすることは至難の業となる。実際に、愛犬が歯磨きが好きかどうかを調査した結果によると、「好き」と回答した人は20%に満たない。
そして、犬の歯牙の生え変わりは生後6カ月の一度のみであるので、この歯牙が脱落すると上述の通り食べることができなくなる。そのため、歯周病予防を実施して歯牙の脱落を防止することが非常に重要になる。
犬を始めとする愛玩動物の歯周病予防のための技術としては、特許文献1に開示されるように、口腔内の検査やブラッシングを目的としたアセンブリを愛玩動物に咥えさせるというものが開発されている。また、特許文献2に開示されるように、デンタルケアが可能で歯の洗浄機能を有する噛み物が開発されている。
特許第6029588号公報 特表2016―512040号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一時的な検査やブラッシングには使用可能であるものの、歯牙に付着した歯垢を除去するための後付けの方法であり、日常生活において継続して装着して歯垢の付着を防止するものではない。また、特許文献2に記載の技術も、噛み物を噛むことで一時的なブラッシング効果は期待できるが、継続して歯垢の付着を防止するものではない。また、噛み物の硬さによっては歯の破損や損傷を招く危険性がある。
本発明は、これらの課題に鑑み、愛玩動物がストレスなく常時装着することができ、愛玩動物の歯周病予防に資することが可能な愛玩動物用マウスピースを提供することを目的とする。
本発明者らは、歯列の一部または全部を覆う弾力性を有する材料によって形成した装具本体により歯列を覆うとともに、歯列に接する側の面に薬液を浸透させることが可能な吸収層を装具本体に埋め込み、薬液を浸透させた吸収層を歯肉に接触させることで、歯周病の原因となる細菌からの保護、歯牙に付着してしまった細菌の除去、及び安定した継続的な装着との相反する要請に応えられることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
本発明に係るマウスピースは、弾性を有する材料によって構成され、装着する愛玩動物の歯列の一部又は全部を覆う平面視で略U字形状に形成された装具本体を備え、前記装具本体には、薬液を浸透可能な吸収層が埋め込まれており、前記吸収層が歯列と接触する側に設けられている。
このマウスピースによれば、歯列の一部または全部を覆う装具本体により歯列を覆うとともに、歯列に接する側の面に薬液を浸透させることが可能な吸収層を装具本体に埋め込むため、装着するだけで、歯牙と細菌とが接触することを防止する効果、付着してしまった細菌の除菌を促進する効果、及び、歯肉ポケットへのマッサージ効果が得られる。また、装具本体は弾力性のある材料によって形成されているため、愛玩動物が異物感を感じることなく装着を継続することができる。
また、上記のマウスピースにおいて、装具本体に孔を設け、孔に装着バンドを取り付けることが好ましい。
この愛玩動物用マウスピースによれば、装具本体に装着バンドを設けているため、装着中に外れてしまうことを防止する。そのため、弾力性を有する材料でできている効果と相まって、さらに継続した装着が期待できる。また、装着中に万が一マウスピースが外れてしまったとしても、マウスピースを飲み込んでしまう事故を防ぐことができる。
また、上記のマウスピースにおいて、装具本体は、切歯に対応する部位と、犬歯に対応する部位と、第1〜第3前臼歯に対応する部位と、第4前臼歯に対応する部位とを有し、孔は、第4前臼歯に対応する部位に設けられることが好ましい。
この愛玩動物用マウスピースによれば、孔が第4前臼歯に対応する部位に設けられていうため、装具本体を歯列に確実に保持しつつ、口の開閉を邪魔することのない位置に装着バンドを配置することができる。
また、上記のマウスピースにおいて、装具本体は、切歯に対応する部位と、犬歯に対応する部位と、第1〜第3前臼歯に対応する部位と、第4前臼歯に対応する部位とを有し、装具本体の下端部は下端線により規定され、切歯に相当する部位においては、歯冠部のみを覆うように下端線の位置が設定されることが好ましい。
この愛玩動物用マウスピースによれば、口を開ける際に装具本体が邪魔になることが防止され、愛玩動物が嫌がることなく装着を継続することができる。
本発明によれば、愛玩動物がストレスなく常時装着することができ、愛玩動物の歯周病予防に資することが可能な愛玩動物用マウスピースを提供することが可能となる。
図1は、本実施形態に係るマウスピース1をイヌの下顎歯列に装着して、歯列の左斜め上方から右斜め下方に向けて視認したときの様子を示す図である。 図2Aは、装具本体2の全体構成を示す、上方から見た図である。 図2Bは、装具本体2の全体構成を示す、斜め上方から見た図である。 図2Cは、装具本体2の裏側の構成を示す、下方から見上げた図である。 図2Dは、装具本体2の裏側の構成を示す、斜め下方から見上げた図である。 図3Aは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して左斜め上方から右斜め下方に向けて視認したときの様子を示す図である。 図3Bは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して、歯列の正面から視認したときの様子を示す図である。 図3Cは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して、歯列の上方から下方に向けて視認したときの様子を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
<マウスピース1>
〔全体構成〕
図1は、本発明の好適な実施形態である、マウスピース1をイヌの下顎歯列に適用して、歯列の左斜め上方から右斜め下方に向けて視認したときの様子を示す図である。本発明においては、上顎に適用される装具と下顎に適用される装具とで大きな相違はないため、下顎に適用されマウスピース1のみについて記述する。
マウスピース1は、歯列の一部または全部を覆うように、平面視で略U字形状に形成された装具本体2と、装具本体2に取り付けられた装着バンド3とを備える。
装具本体2を形成する材料としては、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET−G)又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)が好適である。これらの材料は適度な硬さと適度な弾性を有し、歯列に装着した際に、その弾性力により適度なフィット感が得られて外れにくく、かつ、愛玩動物が嫌がらず装着を継続することができる。装具本体2は、後述するように、材料を溶解し、装着する愛玩動物の歯列を形どった模型に被せて固めることで、歯列の形状に適合する溝が形成された所望の形状に形成する。
装着バンド3は、ゴム等で形成された弾力性を有する部材であり、装具本体2に取り付けられている。装着バンド3が装具本体2に対し、歯列に押し付ける方向に弾性力を付与しており、マウスピース1が適切に支持されるよう固定する。
〔装具本体2〕
図2A〜図2Dを用いて、装具本体2について説明する。図2Aは装具本体2を上方から見た図を、図2Bは装具本体2を斜め上方から見た図を、図2Cは、装具本体2の裏側を下方から見上げた図を、図2Dは、装具本体2の裏側を斜め下方から見上げた図を示す。本発明においては、上顎に適用される装具と下顎に適用される装具とで大きな相違はないため、下顎に適用されるマウスピース1のみについて記述する。また、簡略化のため、図2A〜図2Dにおいては装着バンド3を取り付けるためのバンド孔4については図示を省略している。
装具本体2は、一本一本の歯を覆い、歯周病の原因となる細菌から保護する目的及び歯周病を予防する薬液を歯列や歯肉に付与することを目的として設けられている。また、愛玩動物による人の噛み込みを防止する目的としても使用可能である。
装具本体2は、第1〜第3切歯に対応する部位T1、犬歯に対応する部位T2、第1〜第3前臼歯に対応する部位T3及び第4前臼歯に対応する部位T4からなる。
装具本体2の色彩としては、他者に安心感を与えるべく、装着していることが視認されやすいよう、無色透明ではなく有色の色彩が付与されていることが好ましい。
装具本体2には、それぞれの部位T1〜T4において、装着する愛玩動物の歯列の形状に適合する溝が設けられている。上述の通り、装具本体2は高強度のポリエチレンテレフタレート(PET−G)又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)で形成されており、これらの材料は適度な硬さと適度な弾性を有する。そして、歯列の形状に適合する溝との相乗効果により、歯列に装着する際に、位置合わせが容易でフィットしやすく、一旦装着すると外れにくいという効果が得られる。
また、図2C及び図2Dに示すように、装具本体の歯牙と接触する側の面には、薬液を浸透させることが可能な吸収層21が形成されている。吸収層21は、例えばガーゼのように液体を吸収して保持することができる層状の材料によって形成されており、所定期間にわたって薬液を保持することができる。
図3A〜図3Cに、装具本体2をイヌの歯列に装着した例を示した模式図を示す。図3Aは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して左斜め上方から右斜め下方に向けて視認したときの様子を示す図、図3Bは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して、歯列の正面から視認したときの様子を示す図、図3Cは、装具本体2をイヌの下顎歯列に装着して、歯列の上方から下方に向けて視認したときの様子を示す図である。
装具本体2の下端部は下端線2Lにより規定され、歯冠部(歯肉から上であって、口を開けたときに歯として視認できる部分)と、歯肉部(歯肉から下であって、口を開けたときに歯として視認できない部分)とを覆うように下端線2Lの位置が設定されている。
また、切歯に相当する部位T1においては、歯冠部のみを覆うように下端線2Lの位置が設定されている。これにより、口を開ける際に装具本体2が邪魔になることが防止され、愛玩動物が嫌がることなく装着を継続することができる。
〔装着バンド3〕
図1に戻る。装着バンド3は、ゴム製で弾力性のある紐状の部材であり、図示しないバンド孔に括ることで装具本体2に取り付けられている。装着バンド3を後頭部または顎にかけることで、マウスピース1を確実に装着することができる。また、マウスピース1が万が一外れたとしても、飲み込んでしまう事故を防ぐことができる。
装着バンド3を装具本体2に取り付けるためのバンド孔は、第4前臼歯に対応する部位T4付近に設けることが好ましい。このようにすることで、装具本体2を歯列に確実に保持しつつ、口の開閉を邪魔することのない位置に装着バンド3を配置することができる。
〔使用方法〕
本実施形態におけるマウスピース1の使用方法について説明する。
上記のように形成されたマウスピース1を着用するには、まず、歯周病予防に効果のある薬液を吸収層21に浸透させる。
薬液を吸収層21に浸透させたら、次に、愛玩動物の口をあけ、装具本体2を愛玩動物の歯列に着用する。このとき、装具本体2には、それぞれの歯の形状に適合する溝が形成されているため、正確に位置合わせが行われる。
装具本体2を歯列に着用したら、装着バンド3を愛玩動物の後頭部にかけ、装着を完了する。着用バンド3は弾力のある材料で形成されているため、装具本体2が歯列に押し付ける方向に力が加わるため、着用中にもずれることなく、安定した着用が可能となる。また、万が一マウスピース1が外れたとしても、マウスピース1を飲み込んでしまうという事故を防止することができる。
〔製造方法〕
本実施形態におけるマウスピース1の製造方法について説明する。
まず、装着する愛玩動物の歯列の形状を模した石膏型等の模型を用意し、模型に形成された歯列の上から、まず吸収層21を形成する材料、次に装具本体2を形成する材料となる平板状のシートの順で被せるように置き、材料を加熱して溶解させる。
このようにしてシートを圧接することで、歯牙と接する面に吸収層21が形成された材料が形成される。そして、不要な部位を切除して装具本体2を形成する。
このように、装具本体2を形成する材料を歯列の模型に被せるように溶解させ固めることで、装着する愛玩動物の歯列の形状に適合する溝を有する装具本体2を形成することができる。また、吸収層21を形成する材料を内側に配置した状態で材料を溶解させることで、吸収層21を装具本体2の歯列に接触する側の面に形成させることができる。
そして、装具本体2における第4前臼歯に相当する部位に穴をあけて図示しないバンド孔を形成し、最後に装着バンド3をバンド孔に通す。このようにして、マウスピース1を形成する。
このとき、装具本体2を形成する材料として、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET−G)又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を使用する。これらの材料で装具本体2を形成することで、適度なフィット感が得られて外れにくく、かつ、愛玩動物が嫌がらず装着を継続することができる。
なお、シート材料の厚みとしては、歯周病予防を目的としたマウスピース1と比して、噛み込みの防止を目的としたものは厚く形成する。このようにすることで、より、安全性の高いマウスピースを提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
1 マウスピース
2 装具本体
21 吸収層
T1 切歯に対応する部位
T2 犬歯に対応する部位
T3 第1〜第3前臼歯に対応する部位
T4 第4前臼歯に対応する部位
3 装着バンド

Claims (4)

  1. 弾性を有する材料によって構成され、装着する愛玩動物の歯列の一部又は全部を覆う平面視で略U字形状に形成された装具本体を備え、前記装具本体には、薬液を浸透可能な吸収層が埋め込まれており、前記吸収層が歯列と接触する側に設けられている、愛玩動物用マウスピース。
  2. 前記装具本体に孔を設け、前記孔に装着バンドを取り付ける、請求項1に記載のマウスピース。
  3. 前記装具本体は、
    切歯に対応する部位と、
    犬歯に対応する部位と、
    第1〜第3前臼歯に対応する部位と、
    第4前臼歯に対応する部位とを有し、
    前記孔は、前記第4前臼歯に対応する部位に設けられる、請求項2に記載のマウスピース。
  4. 前記装具本体は、
    切歯に対応する部位と、
    犬歯に対応する部位と、
    第1〜第3前臼歯に対応する部位と、
    第4前臼歯に対応する部位とを有し、
    前記装具本体の下端部は下端線により規定され、
    前記切歯に相当する部位においては、歯冠部のみを覆うように前記下端線の位置が設定される、請求項1〜3のいずれかに記載のマウスピース。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012153765A1 (ja) * 2011-05-09 2012-11-15 Ueda Tomokazu 複層マウスピース、この製造方法及び製造装置
JP2013063243A (ja) * 2011-09-02 2013-04-11 Tomokazu Ueda マウスピースとその製造方法
KR101686072B1 (ko) * 2015-02-03 2016-12-13 계명대학교 산학협력단 애견용 마우스피스 및 애견용 마우스피스 세트

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