JP2013060881A - 燃料ポンプの駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PWM制御の周波数が高いほど、補正値HOSACYをより大きな値に設定し、補正値HOSACYを、デューティ比の指示値TGDUに加算し、加算結果のデューティ比DTTGDUに基づくPWM制御信号を駆動回路に対して出力する。駆動回路の回路抵抗によって駆動出力の立ち上がりがなまされ、損失が発生し、損失量は高周波数であるほど多くなるので、周波数が高いほどデューティ比をより大きく増大補正すれば、損失分を補償して、デューティ比の指示値に見合った電力を燃料ポンプに供給できる。
【選択図】図3
Description
このため、PWM制御信号の周波数を変化させると、デューティ比の指示値に見合った電力供給が行えず、燃料ポンプのPWM制御においては、燃料圧力の安定性や応答性が悪化することで、エンジンへの燃料噴射量の計量精度が低下し、エンジンの排気性状、燃費、出力性能が低下するという問題があった。
図1は、本発明に係る燃料ポンプの駆動制御装置を含む、車両用エンジンのシステム図である。
図1において、エンジン1は、吸気通路2に燃料噴射弁3を備え、この燃料噴射弁3が開弁することでエンジン1に対する燃料噴射がなされる。
吸気通路2の燃料噴射弁3が配設される部分よりも上流側には、スロットルモータ9で開閉される電子制御スロットル10が配され、この電子制御スロットル10の開度によってエンジン1の吸入空気量を調整する。
燃料供給装置13は、燃料タンク11、燃料ポンプ12、圧力調整弁14、オリフィス15、燃料ギャラリー配管16、燃料供給配管17、燃料戻し配管18、ジェットポンプ19、燃料移送管20を含んで構成される。
燃料ポンプ12の吐出口には燃料供給配管17の一端が接続され、燃料供給配管17の他端は燃料ギャラリー配管16に接続され、更に、燃料ギャラリー配管16に燃料噴射弁3の燃料供給口が接続される。
燃料戻し配管18には、上流側から順に、圧力調整弁14、オリフィス15、ジェットポンプ19が介装されている。
前述のように、圧力調整弁14は、燃料噴射弁3に供給される燃料圧力が最小圧力FPMINよりも高くなると開弁するが、圧力調整弁14の下流側に設けられるオリフィス15によって、燃料戻し配管18を介して燃料タンク11内に戻される燃料流量が絞られるようになっているため、燃料ポンプ12からの燃料の吐出量を戻し流量以上に増やすことで、前記最小圧力FPMINよりも高い圧力にまで燃料圧力を昇圧できるようになっている。
ジェットポンプ19は、圧力調整弁14、オリフィス15を介して燃料タンク11内に戻される燃料の流れによって、燃料移送管20を介して、燃料を移送させる。
そこで、ジェットポンプ19は、圧力調整弁14及びオリフィス15を介して燃料タンク11の領域11a内に戻される燃料の流れによって、燃料移送管20内に負圧を作用させ、燃料移送管20が開口する領域11b内の燃料を、燃料移送管20を介してジェットポンプ19まで導き、圧力調整弁14を介して燃料供給配管17から戻される燃料と共に領域11a内に排出させる。
燃料噴射弁3による燃料噴射、点火プラグ6による点火、電子制御スロットル10の開度などを制御するエンジン制御ユニットとして、コンピュータを備えるECM(エンジン・コントロール・モジュール)31を設けてある。
ECM31とFPCM30とは相互に通信可能に構成され、ECM31からFPCM30に向けては、燃料ポンプ12のPWM制御におけるデューティ比及び周波数を指示する信号である方形波のパルス信号PINSなどが送信され、FPCM30からECM31に向けては、診断情報などが送信される。
尚、本願におけるデューティ比とは、周波数に対応する1周期におけるオン時間割合(%)である。
更に、ECM31は、燃料圧力センサ33が検出した燃圧FUPRや、エンジン1の運転条件(エンジン負荷、エンジン回転速度など)などに基づいて、燃料ポンプ12のPWM制御におけるデューティ比(%)及び周波数(Hz)を決定する。そして、ECM31は、これらデューティ比及び周波数に対応するデューティ比及び周波数の方形波パルス信号PINSを、燃料ポンプ12のPWM制御におけるデューティ比及び周波数を指示する信号として、FPCM30に送信する。
そして、FPCM30は、ECM31側から受信したパルス信号PINS(周波数、デューティ比の指示値)に基づいて、内蔵する駆動回路をPWM制御し、燃料ポンプ12への電力供給を制御する。
この図2に示すように、FPCM30は、ECM31が出力する方形波パルス信号PINSなどを入力するための入力回路30a、FPCM30からECM31に向けて診断結果の情報などを出力するための出力回路30b、入力回路30a及び出力回路30bを介してECM31のマイクロコンピュータと通信を行うマイクロコンピュータ30c、マイクロコンピュータ30cが出力するPWM制御信号に応じて燃料ポンプ12への電力供給をオン/オフ制御する駆動回路(スイッチング回路)30d、外部電源(バッテリ)から電力供給を受けてマイクロコンピュータ30cに電源供給を行うマイコン電源回路30eなどを含んでいる。
以下では、FPCM30による燃料ポンプ12のPWM制御を詳細に説明する。
図3のフローチャートに示すルーチンは、一定の時間間隔で割り込み実行され、まず、ステップS101では、ECM31が出力する方形波パルス信号PINSから、PWM制御における周波数の指示値TGF(Hz)及びデューティ比の指示値TGDU(%)を判断する。
ここで、ステップS102では、補正値HOSACYを、周波数の指示値TGFが高いほどより大きな値に設定し、デューティ比の指示値TGDUをより大きな値に補正するようにする。
このため、損失による電力低下を補って、デューティ比に見合う電力を燃料ポンプ12に供給するためには、周波数が高いほどデューティ比をより大きく増大補正する必要があり、ステップS102では、補正値HOSACYを、周波数の指示値TGFが高いほどより大きな値に設定する。
そして、ステップS104では、周波数の指示値TGFと、当該指示値TGFに基づき補正したデューティ比の指示値DTTGDUとに対応するPWM制御信号を、駆動回路30dに出力する。
図6のフローチャートに示すルーチンは、一定の時間間隔で割り込み実行され、まず、ステップS201では、ECM31が出力する方形波パルス信号PINSから、PWM制御における周波数の指示値TGF(Hz)及びデューティ比の指示値TGDU(%)を判定する。
FPCM30のマイクロコンピュータ30cには、駆動回路30dの電源電圧VBが入力され、電源電圧VBをモニタできるようになっており、係るモニタ結果を用いて補正値HOSACYを算出する。尚、FPCM30が、ECM31から電源電圧VBの情報を読み込み、補正値HOSACYの算出を行うことができる。
そこで、ステップS202では、周波数の指示値TGFが高いほど補正値HOSACYをより大きな値に設定し、かつ、駆動回路30dの電源電圧VBが高いほど補正値HOSACYをより大きな値に設定する。
尚、デューティ比の指示値TGDUは、電源電圧VBに応じて設定されるものとする。
ステップS203では、デューティ比の指示値TGDUに、ステップS202で設定した補正値HOSACYを加算し、当該加算結果を、最終的なデューティ比指示値DTTGDUに設定する。
上記PWM制御によると、PWM制御の周波数が変化し、また、駆動電圧VBが変化しても、駆動回路30dの回路抵抗による損失分を補って、デューティ比の指示値に見合う電力供給を燃料ポンプ12に対して行え、燃料圧力の安定性や圧力変化の応答性を維持できる。
図8のフローチャートに示すルーチンは、一定の時間間隔で割り込み実行され、まず、ステップS301では、駆動回路30dの温度を検出する温度センサ51の出力を読み込んで、駆動回路30dの温度TDCを検出する。
尚、ECM31が温度センサ51の出力を読み込んで、駆動回路30dの温度TDCを検出し、係る検出結果を、FPCM30に送信することができる。また、温度センサ51は、駆動回路30dのパッケージの温度や、パッケージの近傍の雰囲気温度又は基板温度を検出するセンサとすることができ、駆動回路30dの温度又は駆動回路30dの温度に相関する温度を検出できればよい。
駆動回路30dの温度が上昇すると、駆動回路30dの回路抵抗が増え、駆動出力の損失分が増えるため、デューティ比の補正量を低温時に比べてより増大させる必要がある。
そこで、ステップS302では、駆動回路30dの温度TDCが高いほど補正値HOSATEMPをより高い値に設定し、最終的なデューティ比の目標値が、駆動回路30dの温度TDCが高いほど、より高い値に補正されるようにする。
そして、次のステップS304では、デューティ比の指示値TGDUに、ステップS303で算出した補正値HOSACY、及び、ステップS302で算出した補正値HOSATEMPを加算し、当該加算結果を、最終的なデューティ比指示値DTTGDUに設定する。
上記のPWM制御によると、駆動回路30dの温度の変化による損失分の変化に対応して、デューティ比を補正できるので、周波数変化に対応しつつ温度変化があっても、デューティ比の指示値TGDUに対応する電力を燃料ポンプ12に供給できる。
図9のフローチャートに示すルーチンは、一定の時間間隔で割り込み実行され、まず、ステップS401では、駆動回路30dの温度に影響を与えるエンジン1の温度(エンジン1の放熱量)を推定するための各種状態量の検出を行う。
具体的には、冷却水温度TW、吸気温度(外気温度)、エンジン回転速度、燃料噴射量、車速、アイドルストップ時間などを検出する。尚、これらの情報は、ECM31から読み込むことができ、また、FPCM30が各種センサの出力信号を読み込んで、冷却水温度TWなどを検出することができる。
具体的には、デューティ比の指示値TGDU、周波数の指示値TGF、電源電圧VB,ポンプ電流などの駆動回路30dの動作条件を検出する。
FPCM30がエンジン1近傍に配置される場合、エンジン1の温度に影響されてFPCM30(駆動回路30d)の温度が変化し、エンジン1の温度が高いほど、駆動回路30dの温度も高いものと推定される。
また、駆動回路30dの発熱は、デューティ比、周波数、電源電圧VB,ポンプ電流が高いほど大きくなるから、デューティ比、周波数、電源電圧VB,ポンプ電流が高いほど、駆動回路30dの温度が高いものと推定できる。
次のステップS404では、ステップS403で推定した駆動回路30dの温度TDCに応じてデューティ比の補正値HOSATEMP(≧0%)を算出する。ここでは、前記ステップS302と同様に、駆動回路30dの温度TDCが高いほど、デューティ比の補正値HOSATEMP(≧0%)として高い値を設定する。
即ち、図8のフローチャートに示したPWM制御では、駆動回路30dの温度をセンサで検出したのに対し、図9のフローチャートに示したPWM制御では、駆動回路30dの温度をエンジンの運転状態や駆動回路30dの動作状態などから推定する点が異なる。
そして、次のステップS406では、デューティ比の指示値TGDUに、ステップS405で算出した補正値HOSACY、及び、ステップS404で算出した補正値HOSATEMPを加算し、当該加算結果を、最終的なデューティ比指示値DTTGDUに設定する。
上記のPWM制御によると、温度センサ51が検出した温度に基づきデューティ比を補正する、図8のフローチャートに示した制御と同様に、駆動回路30dの温度の変化による損失分の変化に対応してデューティ比を補正できると共に、温度センサ51を省略できるので、システムコストを低減できる。
以上、好ましい実施形態を具体的に説明したが、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、図8又は図9のフローチャートに示したPWM制御において、駆動回路30dの温度と電源電圧VBとのいずれか一方に応じてデューティ比を補正することができ、駆動回路30dの温度及び電源電圧VBに応じてデューティ比を補正する処理に限定されるものではない。
(イ)請求項3記載の燃料ポンプの駆動制御装置において、
前記駆動回路の温度を、エンジンの運転条件及び/又は前記駆動回路の動作条件に基づき推定する、燃料ポンプの駆動制御装置。
上記発明によると、駆動回路の温度を推定するので、駆動回路の温度を検出するセンサが不要であり、温度センサを備える場合に比べて、システムコストを削減できる。
エンジンの運転条件を示す状態量として、冷却水温度TW、吸気温度、エンジン回転速度、燃料噴射量、車速、アイドルストップ時間のうちの少なくとも1つを検出する、燃料ポンプの駆動制御装置。
上記発明によると、エンジンの温度に相関する、冷却水温度TW、吸気温度、エンジン回転速度、燃料噴射量、車速、アイドルストップ時間のうちの少なくとも1つを検出することで、エンジンの温度に影響されて変化する駆動回路の温度を推定できる。
前記駆動回路の動作条件を示す状態量として、デューティ比、周波数、電源電圧,ポンプ電流のうちの少なくとも1つを検出する、燃料ポンプの駆動制御装置。
上記発明によると、駆動回路の発熱量に相関する、デューティ比、周波数、電源電圧,ポンプ電流のうちの少なくとも1つを検出することで、自身の発熱による駆動回路の温度変化を推定できる。
Claims (3)
- エンジンに向けて燃料を供給する電動式燃料ポンプの駆動回路を、デューティ比及び周波数の指示値に基づきPWM制御する駆動制御装置であって、
前記PWM制御における周波数に応じて、前記駆動回路に対して出力するPWM制御信号のデューティ比を変更する、燃料ポンプの駆動制御装置。 - 前記周波数及び前記駆動回路の電源電圧に応じて、前記駆動回路に対して出力するPWM制御信号のデューティ比を変更する、請求項1記載の燃料ポンプの駆動制御装置。
- 前記周波数及び前記駆動回路の温度に応じて、前記駆動回路に対して出力するPWM制御信号のデューティ比を変更する、請求項1記載の燃料ポンプの駆動制御装置。
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