上記従来技術によると、回転止め部材となっているストッパーが、巻取軸及び第1スプロケットホイールと一体化された一体化回転部材となっているラチェットギヤの歯に係合することにより、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転してシャッターカーテンが急速異常降下することを防止できるが、切断により無機能化した無端走行部材となっているチェーンの交換作業や、前記駆動スプロケットホイールや被動スプロケットホイールから外れたチェーンをこれらの駆動スプロケットホイールや被動スプロケットホイールに掛け直す作業等を行うためには、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止することが求められる。
本発明の目的は、無端走行部材の無機能化時にシャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止できるシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置及びその方法を提供するところにある。
本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた被動回転部材と、前記巻取軸を回転させるための駆動装置に取り付けられた駆動回転部材と、前記被動回転部材と前記駆動回転部材に架け回され、前記駆動装置の回転駆動力を前記駆動回転部材から被動回転部材に伝達するための無端走行部材と、この無端走行部材の無機能化時に、前記被動回転部材又はこの被動回転部材と一体化された一体化回転部材に係合することにより前記巻取軸の回転を止めるための回転止め部材と、を備えているシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記回転止め部材は第1回転止め部材であって、この第1回転止め部材とは別部材となっている第2回転止め部材を有し、この第2回転止め部材は、前記第1回転止め部材が前記被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合しているときに、この被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合されることを特徴とするものである。
この装置では、無端走行部材の切断時等の無機能化時に被動回転部材又はこの被動回転部材と一体化された一体化回転部材に係合することにより巻取軸の回転を止めるための回転止め部材は、第1回転止め部材となっており、この第1回転止め部材とは別の部材となっている第2回転止め部材が用意されているとともに、第2回転止め部材は、第1回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに、この被動回転部材又は一体化回転部材に係合され、これにより無端走行部材の無機能化時における巻取軸の回転が止められるため、第1回転止め部材と第2回転止め部材とにより、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止することができる。
そして、第2回転止め部材を、被動回転部材又は一体化回転部材に対して係脱可能に係合するものとし、第1回転止め部材と第2回転止め部材を、被動回転部材又は一体化回転部材に対する係合から解除することにより、巻取軸を、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す等のために回転可能にすることができる。
第2回転止め部材の構造、形状は、被動回転部材又は一体化回転部材に係合することにより巻取軸を止めることができるものであれば、任意である。その一例は、被動回転部材又は一体化回転部材が外周部に円周方向に複数個形成された歯を有しているものとなっている場合には、第2回転止め部材を、これらの歯の間の凹部に挿入係合されるピン状部を有する部材とすることである。この例における第2回転止め部材のピン状部の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。
また、第2回転止め部材を、被動回転部材又は一体化回転部材を支持する支持部材に着脱可能又は出没可能又は紐等で取り付けて着脱可能とすることにより、第2回転止め部材を被動回転部材又は一体化回転部材に対して係脱可能に係合させることができる。
また、第2回転止め部材である上記ピン状部を有する部材をピン状部材とし、このピン状部材を、被動回転部材又は一体化回転部材を支持する支持部材に対して着脱可能としてもよい。
このように第2回転止め部材である上記ピン状部を有する部材をピン状部材とし、このピン状部材を、被動回転部材又は一体化回転部材を支持する支持部材に対して着脱可能とした場合には、この支持部材に、ピン状部材が着脱可能に配置される第1及び第2配置部を設け、第1配置部と第2配置部との間隔を、被動回転部材又は一体化回転部材の外周部に円周方向に複数個形成された歯同士の間隔(歯ピッチ)をtとし、nをゼロを含む整数としたとき、n×t+t/2としてもよい。
これによると、無端走行部材の無機能化時に、巻取軸の回転を止めるために前述の第1回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合したときに、この係合により第1回転止め部材が変形等し、このために被動回転部材又は一体化回転部材の回転停止が歯同士の間隔tの半分程度ずれた角度位置で行われても、ピン状部材を、第1配置部と第2配置部のうち、どちらかに選択して配置することができるため、ピン状部材を被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合させることができる。
なお、上述のn×t+t/2は、正確にn×t+t/2となっている値でもよく、あるいは、正確なn×t+t/2の値に対し、第1及び第2配置部を形成する作業等に基づく誤差を含んだ値でもよい。
また、第1配置部及び第2配置部のそれぞれの個数は1個でもよく、複数個でもよい。すなわち、ピン状部材の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。
さらに、ピン状部材を、被動回転部材又は一体化回転部材を支持する支持部材に対して着脱可能に配置するための構造は、任意であり、その一例は、支持部材にピン状部材が挿入される孔を形成し、この孔にピン状部材を挿入することにより、支持部材にピン状部材を着脱可能に配置することである。
このようにした場合には、ピン状部材を支持部材に形成された孔に単に挿入するようにしてもよく、あるいは、支持部材にピン状部材を固定状態にして配置するための固定状態配置用部材を設けることにより、支持部材に形成された孔に挿入されることによってこの支持部材に配置されるピン状部材を、固定状態配置用部材によって固定状態にして支持部材に配置するようにしてもよい。
この固定状態配置用部材は、ピン状部材にねじ軸部を設けた場合には、このねじ軸部が螺入するナット部材とすることができる。このナット部材は、上記支持部材に結合されているものでもよく、結合されていないものでもよい。
また、固定状態配置用部材は、ピン状部材をチャック手段等で挟着するものでもよい。
本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止方法は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた被動回転部材と、前記巻取軸を回転させるための駆動装置に取り付けられた駆動回転部材とに架け回されて、前記駆動装置の回転駆動力を前記駆動回転部材から被動回転部材に伝達するための無端走行部材が無機能化したときに、前記被動回転部材又はこの被動回転部材と一体化された一体化回転部材に回転止め部材が係合することにより前記巻取軸の回転を止めるシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止方法において、前記回転止め部材は第1回転止め部材であって、この第1回転止め部材とは別部材となっている第2回転止め部材を、前記第1回転止め部材が前記被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合しているときに、前記被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合させる工程と、無機能化した前記無端走行部材を機能化するための工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
この方法では、無端走行部材の無機能化により第1回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに、この第1回転止め部材とは別部材となっている第2回転止め部材を、被動回転部材又は一体化回転部材に係合させる作業が行われるため、第1回転止め部材と第2回転止め部材とにより、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止することができる。そして、この後に、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業を行うことができる。
この方法において、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業は、第1回転止め部材と第2回転止め部材の両方が被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに行ってもよく、あるいは、第1回転止め部材を被動回転部材又は一体化回転部材に対する係合から解除し、第2回転止め部材だけが被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに行ってもよい。
前者によると、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業は、第1回転止め部材と第2回転止め部材の両方が被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに行われるため、この作業を、第1回転止め部材と第2回転止め部材の両方で被動回転部材又は一体化回転部材の回転を一層確実に止めているときに行うことができる。
また、本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた被動回転部材と、前記巻取軸を回転させるためのブレーキ付き駆動装置に取り付けられた駆動回転部材と、前記被動回転部材と前記駆動回転部材に架け回され、前記駆動装置の回転駆動力を前記駆動回転部材から被動回転部材に伝達するための無端走行部材と、この無端走行部材の無機能化時に、前記被動回転部材又はこの被動回転部材と一体化された一体化回転部材に係合することにより前記巻取軸の回転を止めるための回転止め部材と、を備えているシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記被動回転部材と前記駆動回転部材に対して着脱可能となっていて、これらの被動回転部材と駆動回転部材とを連結する連結装置を有し、この連結装置は、前記回転止め部材が前記被動回転部材又は前記一体化回転部材に係合しているときに、前記ブレーキ付き駆動装置のブレーキ力を、前記駆動回転部材を介して前記被動回転部材に伝達可能となっていることを特徴するものである。
このシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置は、被動回転部材と駆動回転部材に対して着脱可能となっていて、これらの被動回転部材と駆動回転部材とを連結する連結装置を有しており、また、この連結装置は、回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合しているときに、ブレーキ付き駆動装置のブレーキ力を、駆動回転部材を介して被動回転部材に伝達可能となっているため、無端走行部材の無機能化時において、回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合していることと、ブレーキ付き駆動装置のブレーキ力が駆動回転部材及び連結装置を介して被動回転部材に伝達されること、とにより、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止することができる。
この装置において、連結装置を、ブレーキ付き駆動装置の回転駆動力を、駆動回転部材を介して被動回転部材に伝達可能とするものとしてもよい。
これによると、回転止め部材を被動回転部材又は一体化回転部材に対する係合から解除した後に、無機能化した無端走行部材を機能化する等のために巻取軸を回転させることが必要となった場合には、ブレーキ付き駆動装置の回転駆動力を、駆動回転部材及び連結装置を介して被動回転部材に伝達することにより、巻取軸を回転させることができる。
また、このように連結装置を、ブレーキ付き駆動装置の回転駆動力を、駆動回転部材を介して被動回転部材に伝達可能とするものとする場合には、この連結装置を、複数個の回転部材を直列接続することにより形成するとともに、これらの回転部材のうち、少なくとも1個の回転部材の配置位置を、この1個の回転部材が接続されている回転部材の中心部を中心とする円弧上の位置に変更可能とするとともに、この1個の回転部材を、被動回転部材と駆動回転部材のうち、一方と接続される回転部材としてよい。
これによると、被動回転部材と駆動回転部材の間隔が異なっている各種のシャッター装置について、連結装置の上記1個の回転部材の配置位置を、この1個の回転部材が接続されている回転部材の中心部を中心とする円弧上の位置に変更することにより、これらの回転部材同士の接続を確保しながら、上記1個の回転部材を、間隔が異なっている被動回転部材と駆動回転部材のうち、この1個の回転部材が接続されるべき一方に接続することが可能になるため、連結装置は、被動回転部材と駆動回転部材の間隔が異なっている各種のシャッター装置に対する汎用性を有するようになる。
また、本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止方法は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた被動回転部材と、前記巻取軸を回転させるためのブレーキ付き駆動装置に取り付けられた駆動回転部材とに架け回されて、前記駆動装置の回転駆動力を前記駆動回転部材から被動回転部材に伝達するための無端走行部材が無機能化したときに、前記被動回転部材又はこの被動回転部材と一体化された一体化回転部材に回転止め部材が係合することにより前記巻取軸の回転を止めるシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止方法において、前記回転止め部材によって前記巻取軸の回転が止められているときに、前記被動回転部材と前記駆動回転部材とを連結装置で連結し、前記ブレーキ付き駆動装置のブレーキ力を、前記駆動回転部材及び前記連結装置を介して前記被動回転部材に伝達する工程と、無機能化した前記無端走行部材を機能化するための工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
この方法では、無端走行部材の無機能化により回転止め部材で巻取軸の回転が止められているときに、被動回転部材と駆動回転部材とを連結装置で連結する作業が行われ、これにより、ブレーキ付き駆動装置のブレーキ力が、駆動回転部材及び連結装置を介して被動回転部材に伝達されるため、回転止め部材とブレーキ付き駆動装置のブレーキ力との両方により、シャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止することができる。そして、この後に、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業を行うことができる。
この方法において、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業は、回転止め部材を被動回転部材又は一体化回転部材に対する係合から解除し、ブレーキ付き駆動装置の回転駆動力を、駆動回転部材及び連結装置を介して被動回転部材及び巻取軸に伝達することによりシャッターカーテンを全閉にした工程の後に、実施してもよい。
これによると、無機能化した無端走行部材を機能化するための作業を、巻取軸がシャッターカーテンの自重で回転するおそれが少ない状態にして行うことができるため、この作業を容易に行えるようになる。
以上において、無端走行部材が無機能化するとは、巻取軸がシャッターカーテンの自重で自由回転してしまう状態になることをいう。この無機能化の一例は、無端走行部材が切断することであり、また、他の例は、無端走行部材が前述した駆動回転部材や被動回転部材から外れることであり、さらに、他の例は、無端走行部材と駆動回転部材、被動回転部材との間に生じる摩擦力により、駆動回転部材の回転が被動回転部材に伝達されるとともに、駆動回転部材の停止が被動回転部材に伝達される場合には、上記摩擦力の大きさが本来の大きさよりも小さくなったり、消滅したりすることである。そして、無機能化した無端走行部材を機能化するとは、無機能化が無端走行部材の切断である場合には、切断した無端走行部材を新しい無端走行部材に交換することであり、無機能化が、無端走行部材が駆動回転部材や被動回転部材から外れることである場合には、無端走行部材をこれらの駆動回転部材や被動回転部材に掛け直すことや、無端走行部材を新しい無端走行部材に交換することであり、無機能化が、摩擦力の大きさが本来の大きさよりも小さくなったり、消滅したりすることである場合には、無端走行部材を新しい無端走行部材に交換することである。
また、第1回転止め部材が被動回転部材又は前述した一体化回転部材に係合しているときに、前述した第2回転止め部材を、この被動回転部材又は一体化回転部材に係合させるのではなく、第1回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合していないときに、第2回転止め部材を、この被動回転部材又は一体化回転部材に係合させてもよく、第2回転止め部材を被動回転部材又は一体化回転部材に係合させた後に、第1回転止め部材が被動回転部材又は一体化回転部材に係合してもよく、係合しなくてもよい。
また、以上説明した本発明において、被動回転部材、駆動回転部材及び無端走行部材の種類は任意であり、その一例は、被動回転部材、駆動回転部材及び無端走行部材を、被動スプロケットホイール、駆動スプロケットホイール、チェーンとすることであり、また他の例は、被動回転部材、駆動回転部材及び無端走行部材を、被動タイミングプーリ、駆動タイミングプーリ、タイミングベルトとすることである。
また、本発明に係る装置及び方法は、シャッターカーテンが任意のカーテン構成部材で構成されているシャッター装置に適用することができる。すなわち、本発明では、シャッターカーテンの全体又は主要部が同じ種類のカーテン構成部材、例えば、スラットで形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部がシートや、パネル、ネット、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等により形成されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの全体又は主要部が、これらのスラットと、シートと、パネルと、ネットと、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材等とのうち、複数のカーテン構成部材の組み合わせで形成されていてもよい。
また、巻取軸に、シャッターカーテンの下方への閉じ移動で戻しばね力が蓄圧される戻しばねが配置され、シャッターカーテンの上方への開き移動が、この戻しばねに蓄圧された戻しばね力が補助力として利用されて行われるようになっていてもよい。
また、本発明に係る装置及び方法は、各種の用途のためのシャッター装置に適用することができ、これらのシャッター装置には、シャッターカーテンで出入口等の開口部を開閉するための管理用シャッター装置や、全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置、さらには、管理及び防災の併用シャッター装置が含まれる。そして、防災用シャッター装置には、エレベータや階段等の昇降手段の近辺に防災区画を形成するための昇降手段用シャッター装置が含まれる。
本発明によると、無端走行部材の無機能化時にシャッターカーテンの自重で巻取軸が自由回転することを一層確実に防止できるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、管理用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、後述する操作装置が操作されることにより、出入口等の開口部をシャッターカーテンが開閉するものとなっている。なお、本発明は、上記操作装置の代わりに人や車両等を感知するセンサが用いられ、このセンサからの信号に基づいてシャッターカーテンが出入口等の開口部を開閉するようになっている管理用シャッター装置にも適用することができる。
図1には、本実施形態に係る管理用シャッター装置の全体の正面図が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向となっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3,4と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床5と、天井部材6とで囲まれている。左右の建物躯体3,4には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右2個のガイドレール7,8が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール7,8に案内されてシャッターカーテン1は上下方向に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材6で仕切られている天井裏空間9には、左右2個のブラケット10,11が配置されており、これらのブラケット10,11は、天井裏空間9に存在する下がり壁等の建物躯体12にボルト等の結合具で結合されているとともに、ブラケット10,11に巻取軸13の軸方向の両端部が回転自在に支持されているため、ブラケット10,11は、巻取軸13を回転自在に支持する支持部材となっている。この巻取軸13に、シャッターカーテン1の上端部がボルト等の止着具で止着されており、また、シャッターカーテン1は、天井部材6に配置されたまぐさ14のスリット15を通過して天井裏空間9の側から出入口2の側に垂下されており、シャッターカーテン1の上下方向の開閉移動は、正逆回転する巻取軸13によるシャッターカーテン1の巻き取り、繰り出しによって行われる。
なお、ブラケット10,11に、これらのブラケット10,11に跨る左右方向の長さを有するケース部材を取り付けることにより、このケース部材とブラケット10,11とにより、天井裏空間9に、巻取軸13が内部に収納されたシャッターボックスを設けてもよい。このようなシャッターボックスを設ける場合には、後述するチェーン交換に関する作業を行えるようにするために、蓋等で開閉される又は常時開口している作業用開口部をシャッターボックスに形成する。この作業用開口部を設けるシャッターボックスの位置は任意の位置でよいが、好ましくは、シャッターボックスにおける後述のチェーン配置位置に近い箇所に、作業用開口部を形成する。このような作業用開口部は、上記ケース部材が設けられず、ブラケット10,11により上記シャッターボックスが形成される場合、及びこのシャッターボックスが、上述のように、上記ケース部材とブラケット10,11とにより形成される場合には、例えば、天井部材6におけるチェーン配置位置に近い箇所に形成してもよい。
シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分を形成しているカーテン本体部16と、このカーテン本体部16の下端部に取り付けられた座板17とを有しており、カーテン本体部16は、カーテン構成部材となっている多数のスラット18を上下に連設することによって形成されたスラット連設部となっている。
図2は、図1で示されている左右2個のブラケット10,11の部分を拡大して示した一部破断の正面図であり、この図2では、巻取軸13が断面として示されている。巻取軸13の左側の端部には、巻取軸13の筒状の本体部19よりも小径であって、この本体部19の中心部に配置された軸首部材20が設けられ、この軸首部材20は、本体部19の内部に溶接等で取り付けられている板状の中子部材21,22を介して本体部19に結合されている。軸首部材20における左側の端部20Aは本体部19から突出しており、この突出部20Aは、左右2個のブラケット10,11のうち、左側のブラケット10に配置されている滑り軸受けやボールベアリング等による軸受け部材23により、ブラケット10に回転自在に支持されている。このため、軸首部材20は、巻取軸13におけるブラケット10の側の中心軸となっている。
また、左右2個のブラケット10,11のうち、右側のブラケット11における巻取軸13と対面する内面には、連結軸30が巻取軸13と同軸的に配置されており、この連結軸30は、図3で示されているように、連結軸30の軸方向に複数個、本実施形態では2個配置されている滑り軸受けやボールベアリング等による軸受け部材31,32を介してブラケット11に回転自在に配置されている。図3は、図2の連結軸30における軸受け部材31,32の周辺を断面として示した正面図である。軸受け部材31は、板金の折り曲げ品であって、ブラケット11に溶接等で取り付けられた支持板33と、この支持板33にビス等の止着具で止着された板状の押さえ部材34とで支持されている。また、軸受け部材32は、板金製であるブラケット11に形成された支持部35と、このブラケット11に溶接等で取り付けられた板状の押さえ部材36とで支持されている。これらの軸受け部材31,32により、連結軸30は、ブラケット11に回転自在に支持されている。
また、連結軸30における巻取軸13の側の端部30Aは、巻取軸13の本体部19の内部に挿入されている。この端部30Aの外周にはボス部材37が結合されており、このボス部材37の外周部には、図4に示されているように、凹部37Aと凸部37Bとが円周方向に交互に形成されている。図4は、連結軸30の部分を断面とし、ブラケット11を巻取軸13の側から見た側面図である。図2及び図3に示されているように、巻取軸13の本体部19の内部には板状の中子部材38が溶接等で取り付けられており、この中子部材38の内周部には、ボス部材37の凹部37Aと凸部37Bに係合する凸部と凹部が形成されており、これらの凹部及び凸部の係合により、巻取軸13と連結軸30は円周方向に連結されている。
以上の構造により、巻取軸13におけるブラケット11の側の端部は、連結軸30及び軸受け部材31,32を介してブラケット11と支持板33に支持されているとともに、巻取軸13と連結軸30は一体となって回転するようになっており、また、連結軸30は、巻取軸13におけるブラケット11の側の中心軸となっている。
図2及び図3に示されているように、ブラケット11における巻取軸13と対面する内面には、巻取軸13を回転させるための駆動装置となっている開閉機40が配置されている。この開閉機40のブラケット11への配置は、ブラケット11に複数個、本実施形態では図4に示されているように4個結合されている支柱部材41〜44に、開閉機40のフランジ部40A(図2及び図3を参照)を結合することにより行われている。
これを一層具体的に説明すると、開閉機40のフランジ部40Aは、開閉機40の本体部40Bにおけるブラケット11の側の端部に形成されており、また、それぞれの支柱部材41〜44は、ブラケット11から巻取軸13の側へ延びる長さを有しており、これらの支柱部材41〜44のうち、1本の支柱部材41には、図3に示されているように、支柱部材41の頂部から巻取軸13の側へさらに延びる棒状部41Aが設けられている。この棒状部41Aをフランジ部40Aに形成されている孔45に挿入した後に、フランジ部40Aの孔46にブラケット11の側とは反対側から挿入したビス等の止着具47を、他の支柱部材42〜44に形成されているそれぞれのねじ穴48へねじ込む。これにより、開閉機40は、支柱部材41〜44と止着具47によりブラケット11に取り付けられることになる。
このブラケット11への開閉機40の取付作業は、支柱部材41の棒状部41Aをフランジ部40Aの孔45に挿入した後に、フランジ部40Aの孔46にブラケット11の側とは反対側から挿入した止着具47を支柱部材42〜44のそれぞれのねじ穴48へねじ込むことにより行うため、これらの止着具47についての支柱部材42〜44のねじ穴48へのねじ込み作業を、開閉機40の全体重量を支柱部材41の棒状部41Aによって支持しながら行えることになり、したがって、ブラケット11への開閉機40の取付作業を一人の作業者により行える。
開閉機40は、電動モータとブレーキとの組み合わせで構成されている。すなわち、本実施形態における巻取軸13を回転させるための駆動装置は、ブレーキ付き駆動装置となっている。電動モータの回転軸は、開閉機40の駆動軸49であり、この駆動軸49は、ブレーキがオンとなることにより回転することはできない。このブレーキのオンは、操作手段で操作される電気的手段又は手作業で操作される機械的手段により行われる。
開閉機40の駆動軸49には、本実施形態における駆動回転部材となっている小径の駆動スプロケットホイール50が取り付けられており、また、前述した連結軸30には、図3に示されているように、この連結軸30に結合された厚板状のベース部材51を介して、本実施形態における被動回転部材となっている大径の被動スプロケットホイール52が取り付けられており、駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52には、本実施形態における無端走行部材となっているチェーン53が架け回されている。このため、巻取軸13と開閉機40は、スプロケットホイール50,52とチェーン53とからなる伝動手段及び連結軸30を介して動力的に接続されており、開閉機40の駆動軸49の正逆回転は、巻取軸13に伝達される。
また、被動スプロケットホイール52は連結軸30を介して巻取軸13に取り付けられていて、これらの被動スプロケットホイール52と巻取軸13とが一体となって回転するとともに、被動スプロケットホイール52は、前述したブラケット11及び支持板33に連結軸30と軸受け部材31,32とを介して支持されている。
図1で示した左右の建物躯体3,4のうち、一方の建物躯体4には、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための操作装置60が取り付けられている。この操作装置60には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。
前述した座板17が天井部材6に配置されたまぐさ14の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板17が図1に示すようにまぐさ14と床5との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号を受ける図示しない制御装置により、開閉機40のブレーキがオフになるとともに、電動モータの駆動軸49は正回転する。これにより、シャッターカーテン1は、駆動軸49の正回転及びシャッターカーテン1の自重による巻取軸13の正回転により巻取軸13から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が、座板17が床5に着床する全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキはオンとなるとともに、駆動軸49の正回転は停止する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板17が図1に示すようにまぐさ14と床5との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオフになるとともに、駆動軸49は逆回転し、これによる巻取軸13の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸13に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンに復帰するとともに、駆動軸49の逆回転は停止する。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンになるとともに、駆動軸49の正回転が停止するため、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンになるとともに、駆動軸49の逆回転が停止するため、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
巻取軸13を支持する前述した左右2個のブラケット10,11のうち、ブラケット11には、図4に示されているように、前述のチェーン53が切断の発生で無機能化したときに被動スプロケットホイール52の回転を止めるための回転止め装置70が配置されている。この装置70の配置位置は、ブラケット11における巻取軸13と対面する内面である。なお、図2及び図3では、装置70が省略されており、また、図4は、前述の開閉機40が省略されて示されている。また、図4がチェーン53の切断前を示しているのに対し、図6は、チェーン53の切断後を示している。
図4に示されているように、回転止め装置70は、被動スプロケットホイール52の外側においてブラケット11に配置されたラチェット装置71と、スイッチ72と、ガード部材73とを含んで構成されたものとなっている。より具体的には、この装置70は、前述の駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52とに掛け回された無端のチェーン53の内側に配置されているラチェット装置71と、チェーン53の外側に配置され、アクチュエータ72Aを備えたスイッチ72と、チェーン53の外側に配置され、チェーン53が切断したときに、このチェーン53が外側へ飛び跳ねることを防止するためのガード部材73とを有している。
ラチェット装置71は、中心軸74を中心に回動自在となっているラチェット部材75と、このラチェット部材75の爪部75Aを被動スプロケットホイール52の側へ常時回動付勢しているばね76と、ラチェット部材75に基端部が結合され、チェーン53とブラケット11との間を通過して先端部がチェーン53の外側に達している作動部材77と、ラチェット部材75に基端部がビス等の止着具78で回動自在に取り付けられ、チェーン53の切断を検知するための検知部材79とを有する。この検知部材79は、巻取軸13の側からチェーン53に被せられたものとなっており、また、この検知部材79には、チェーン53の外側の側面と対面する部分において、硬質の合成樹脂製等で形成された摩擦軽減部材80が配置されている。
検知部材79は、ばね76で爪部75Aが中心軸74を中心に被動スプロケットホイール52の側へ常時回動付勢されているラチェット部材75に取り付けられているため、通常時の検知部材79は、図4に示されているように、ばね76のばね力により、摩擦軽減部材80において、チェーン53の外側の側面に接触しており、この接触により、ばね76によるラチェット部材75の中心軸74を中心とする回動限が規定されている。また、このときのラチェット部材75の爪部75Aは、被動スプロケットホイール52の歯52Aから離れている。
そして、このときの検知部材79は、摩擦軽減部材80において、チェーン53の外側の側面に当接しているため、巻取軸13を回転させるための開閉機40の駆動軸49の回転により、無端走行部材となっているチェーン53が走行した場合において、摩擦軽減部材80の摩擦軽減作用により、チェーン53の円滑な走行を保障することができる。
また、摩擦軽減部材80の摩耗量が所定値に達し、この摩擦軽減部材80を交換するなどの場合には、検知部材79は、巻取軸13の側からチェーン53に被せられたものとなっているため、ラチェット部材75に検知部材79を回動自在に取り付けている止着具78を取り外すことにより、検知部材79に新しい摩擦軽減部材80を取り付ける作業などを簡単に行え、また、この検知部材79を止着具78で再度ラチェット部材75に取り付ける作業も簡単に行える。
ラチェット装置71は、ブラケット11に3個のビス等による止着具81〜83で着脱可能に止着されている。前述したスイッチ72とガード部材73も、ブラケット11にビス等による止着具で着脱可能に止着されている。
図5は、図1及び図2で示されている右側のブラケット11を巻取軸13の側から見た側面図であって、図4で示されている被動スプロケットホイール52等を省略し、図2及び図3で示されている支持板33及び支柱部材41〜44のみを示している図である。また、この図5では、図3で示されている前述の押さえ部材34も省略されている。前述したように被動スプロケットホイール52をブラケット11と共に支持するための支持部材となっている支持板33は、図3で示されているように、上下両端部に設けられ、ブラケット11に溶接等で結合されているベース部33Aと、これらのベース部33Aから巻取軸13の側へ立ち上がった立上部33Bと、これらの立上部33Bの間に架設され、ブラケット11と平行になっている本体部33Cとからハット形状となっている。したがって、本体部33Cとブラケット11との間には空間部Sが存在し、この空間部Sに、被動スプロケットホイール52が前述の連結軸30に取り付けられて配置されている。
また、図4から分かるように、ラチェット装置71は、支持板33の配置位置から外れた位置において、ブラケット11に配置されている。
図5に示されているように、支持板33の本体部33Cには、連結軸30を挿通するための孔85が形成されているとともに、この孔85よりも小径の第1孔86も形成されている。この第1孔86が形成されている位置は、連結軸30を中心に回転する被動スプロケットホイール52の外周部と対応する位置である。これを一層具体的に説明すると、図4に示されているように、被動スプロケットホイール52の外周部には、チェーン53と噛み合うための歯52Aが円周方向に等間隔で形成されており、これらの歯52A同士の間には、凹部52Bが円周方向に等間隔で形成されており、第1孔86が形成されている位置は、多数の凹部52Bのうち、上述のラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Aが歯52Aに係合したときにおける1個の凹部52Bと対応する位置である。
また、図5に示されているように、支持板33の本体部33Cには、第1孔86と同じ大きさの直径を有する第2孔87も形成されている。この第2孔87の位置も、連結軸30を中心に回転する被動スプロケットホイール52の外周部と対応する位置であり、また、この第2孔87の位置は、第1孔86から被動スプロケットホイール52の外周部の円周方向に離れており、被動スプロケットホイール52の外周部の円周方向におけるこれらの第1及び第2孔86,87の間隔は、歯52A同士の間隔(歯ピッチ)をtとし、nをゼロを含む整数としたとき、n×t+t/2となっている。
これらの第1及び第2孔86,87には、図7で示されているピン状部材90が巻取軸13の側からブラケット11の側へ挿入される。このピン状部材90は、支持板33の本体部33Cとブラケット11との間の上述の空間部Sに突出し、第1及び第2孔86,87と適合する断面直径を有する小径部90Aと、第1及び第2孔86,87よりも大きい断面直径を有する大径部90Bと、小径部90Aと大径部90Bの間の段部90Cと、からなる段付き形状となっている。このため、第1及び第2孔86,87に巻取軸13の側から挿入されたピン状部材90が空間部Sの側へ抜け落ちることは、段部90Cが支持板33の本体部33Cにおける巻取軸13の側の外面に当接するによって防止されるようになっている。そして、ピン状部材90は、第1及び第2孔86,87に対して巻取軸13の側へ抜き取り可能となっているため、ピン状部材90は、第1及び第2孔86,87に対して挿抜可能となっており、言い換えると、ピン状部材90は、支持板33に対して着脱可能になっている。
そして、本実施形態では、第1孔86は、ピン状部材90を支持板33に配置するための第1配置部となっており、第2孔87は、ピン状部材90を支持板33に配置するための第2配置部となっている。
後述するようにチェーン53が切断して無機能化したときには、ラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Aは被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合し、これにより、被動スプロケットホイール52の回転は止められる。また、後述するようにピン状部材90を第1孔86又は第2孔87に挿入したときには、このピン状部材90も被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合し、これにより、被動スプロケットホイール52の回転は止められる。このため、本実施形態では、ラチェット装置71のラチェット部材75は、被動スプロケットホイール52の回転を止めるための回転止め部材となっているとともに、第1回転止め部材となっており、ピン状部材90は、この第1回転止め部材とは別の部材であって、被動スプロケットホイール52の回転を止めるための第2回転止め部材となっている。
また、ピン状部材90は、第1孔86又は第2孔87に対して挿抜されることにより、被動スプロケットホイール52の歯52Aに対して係脱することになる。
本実施形態に係るシャッター装置が長期間使用され、シャッターカーテン1の開閉移動回数が多数回に達したときなどの場合に、前述したチェーン53が、例えば、金属疲労によって切断するおそれがある。図6は、この切断が発生した場合を示している。図4で説明したとおり、回転止め装置70のラチェット装置71は、ばね76のばね力で摩擦軽減部材80がチェーン53の外側の側面に接触する検知部材79を備えており、チェーン53の切断が生ずると、ばね76のばね力により、検知部材79は中心軸74を中心に回動するとともに、この検知部材79が取り付けられているラチェット部材75も中心軸74を中心に回動し、この回動により、ラチェット部材75の爪部75Aは、巻取軸13と一体に回転する部材になっている被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合することになる。
このため、チェーン53が切断され、これによって前述した開閉機40の駆動軸49に結合されている駆動スプロケットホイール50と、被動スプロケットホイール52との接続が断たれても、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52がシャッターカーテン1の自重によって回転することがラチェット装置71により阻止されることになり、これにより、シャッターカーテン1が自重で巻取軸13を回転させて急速に落下することが防止される。また、ラチェット部材75が中心軸74を中心に回動すると、このラチェット部材75に結合されている前述の作動部材77が、スイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させるため、スイッチ72からの電気信号により、チェーン53が切断したことを報知する図示しない報知手段等が作動することになる。
以上のようにチェーン53が切断した場合には、切断したチェーン53を新しいチェーン53に交換する作業を行わなければならない。この交換作業を行う場合には、図7に示されているように、前述の第1配置部となっている第1孔86にピン状部材90を挿入する。この挿入作業を行うと、ピン状部材90は、被動スプロケットホイール52の外周部の凹部52Bと対応する位置に配置されることになるため、このピン状部材90は、被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合する。この歯52Aは、ラチェット部材75の爪部75Aが係合している歯52Aとは別の歯52Aである。
これにより、被動スプロケットホイール52は、第1回転止め部材となっているラチェット装置71のラチェット部材75と、第2回転止め部材となっているピン状部材90との両方により、回転が止められることになり、このように被動スプロケットホイール52の回転止めがラチェット部材75とピン状部材90との両方により行われて、チェーン53の切断時にシャッターカーテンの自重で巻取軸13が自由回転することを一層確実に防止できる状態になっているときに、切断されたチェーン53を新しいチェーンに交換する作業を行う。
以上説明したように、本実施形態によると、チェーン53が切断し、第1回転止め部材となっているラチェット部材75の爪部75Aが被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合しているときに、第2回転止め部材となっているピン状部材を支持板33に配置することにより、このピン状部材90を被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合させることができるため、チェーン53の切断時にシャッターカーテンの自重で巻取軸13が自由回転することを一層確実に防止できる状態になり、この状態のときに、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換する作業を行うため、この交換作業を容易、安全に行えることになる。
また、ラチェット部材75の爪部75Aが被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合したときに、この係合により、歯52Aやラチェット部材75の爪部75Aが変形等し、このために被動スプロケットホイール52の回転停止が、本来の回転停止角度から歯52A同士の間隔tの半分程度ずれた角度位置で行われる場合がある。
このような場合には、前述したように第1配置部である第1孔86から離れている第2配置部となっている第2孔87にピン状部材90を挿入する。第1孔86と第2孔87との間の間隔はn×t+t/2となっているため、これにより、前述の場合と同じく、ピン状部材90は被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合し、この被動スプロケットホイール52は、ラチェット部材75とピン状部材90との両方により、回転が止められることになる。このため、この場合にも、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換する作業を容易、安全に行えることになる。
また、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換する作業が終了した後に、ラチェット部材75をばね76のばね力に抗して中心軸74を中心に元の位置に回動復帰させて、ラチェット部材75の爪部75Aを被動スプロケットホイール52の歯52Aとの係合から解除させるとともに、検知部材79を巻取軸13の側から新しいチェーン53に被せ、また、ピン状部材90を第1孔86又は第2孔87から抜き取ることにより、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52を開閉機40からの駆動力で回転可能の状態に戻すことができる。
図8は、別実施形態に係るピン状部材91を示す。このピン状部材91も、図7のピン状部材90と同様に、支持板33の本体部33Cとブラケット11との間の上述の空間部Sに突出し、第1及び第2孔86,87と適合する断面直径を有する小径部91Aと、第1及び第2孔86,87よりも大きい断面直径を有する大径部91Bと、小径部91Aと大径部91Bの間の段部91Cと、からなる段付き形状となっている。そして、この実施形態のピン状部材91の大径部91Bは、外周面に雄ねじが形成されたねじ軸部となっている。
そして、この実施形態では、このねじ軸部になっている大径部91Bにナット部材92を螺合して締め付けると、ピン状部材91は支持板33に固定状態で配置されることになる。すなわち、この実施形態によると、ナット部材92は、ピン状部材91を支持板33に固定状態で配置するための固定状態配置用部材となっており、このため、チェーン交換作業時におけるピン状部材91を、ナット部材92で支持板33に大きな強度で固定状態にして配置することができる。
また、チェーン交換作業後は、ピン状部材91の大径部91Bに設けた係合溝91Dにドライバ等の工具を係合させてピン状部材91を緩めることにより、又はナット部材92を緩めることにより、ピン状部材91を支持板33から取り外すことができる。
図9は、ナット部材92が支持板33の本体部33Cに予め溶接等で結合されている実施形態を示している。この実施形態でも、係合溝91Dにドライバ等の工具を係合させてピン状部材91を回転させることにより、このピン状部材91を、ナット部材92を固定状態配置用部材にして、支持板33に固定状態で配置できることになる。また、チェーン交換作業後には、係合溝91Dにドライバ等の工具を係合させてピン状部材91を緩めることにより、ピン状部材91を支持板33から取り外すことができる。
なお、図7〜図9で示したピン状部材90,91は支持板33の孔86,87だけに挿入されるものとなっているが、これらのピン状部材90,91の長さを支持板33からブラケット11まで達するものとし、ブラケット11にも支持板33の孔86,87と同様の孔を形成することにより、ピン状部材90.91を支持板33の孔とブラケット11の孔とに挿入することにより、ピン状部材90,91を支持板33とブラケット11とに架け渡してもよい。
図10は、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52の回転止めを、ブレーキ付き駆動装置になっている開閉機40のブレーキ力を、駆動スプロケットホイール50を介して被動スプロケットホイール52に伝達することにより行うことができる連結装置100についての実施形態を示す。すなわち、この実施形態では、チェーン53が切断してラチェット装置71の回転止め部材となっているラチェット部材75の爪部75Aが被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合しているとき、開閉機40のブレーキを前述した操作手段又は手作業によりオンとするとともに、連結装置100により駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52とを連結し、これにより、開閉機40のブレーキ力を、被動スプロケットホイール52及び巻取軸13に伝達するものである。
なお、このように連結装置100により、開閉機40のブレーキ力を被動スプロケットホイール52及び巻取軸13に伝達する際に、支持板33の第1孔86又は第2孔87に図7〜図9のピン状部材90又は91を挿入することにより、被動スプロケットホイール52の回転をピン状部材90又は91によっても止めるようにしてもよい。
駆動スプロケットホイール50及び被動スプロケットホイール52に対して着脱可能となっているこの連結装置100は、本体101と、この本体101に回転自在に配置された複数個の回転部材と、を有し、本実施形態では、複数個の回転部材は、本体101に、第1〜第3中心軸102〜104を中心に回転自在に配置された第1〜第3回転部材105〜107となっており、これらの第1〜第3回転部材105〜107は直列接続されている。第1回転部材105は駆動スプロケットホイール50に接続され、第3回転部材107は被動スプロケットホイール52に接続される。また、第2回転部材106は、駆動スプロケットホイール50及び被動スプロケットホイール52と同様に、外周部に円周方向に等間隔で形成された歯106Aを有している。
図11は、図10のS11−S11線断面図である。この図11に示されているように、連結装置100の本体101は、間隔をあけて配置された2個の板部材108,109で形成され、これらの板部材108,109の間に第1〜第3回転部材105〜107が回転自在に配置されている。また、第1回転部材105は、間隔をあけて平行となっている2個の回転板110,111と、これらの回転板110,111の外周部に設けられ、回転板110,111同士を連結しているピン112とにより形成され、このピン112は、回転板110,111の円周方向に等間隔で多数配置されている。そしてピン112は、駆動スプロケットホイール50の歯50A(図10を参照)と、第2回転部材106の歯106Aとに噛合するものになっている。また、第3回転部材107も、間隔をあけて平行となっている2個の回転板113,114と、これらの回転板113,114の外周部に設けられ、回転板113,114同士を連結しているピン115とにより形成され、このピン115は、回転板113,114の円周方向に等間隔で多数配置されている。そして、ピン115は、第2回転部材106の歯106Aと、被動スプロケットホイール52の歯52A(図10を参照)とに噛合するものになっている。
図12は、図10のS12−S12線断面図である。連結装置100の本体101を形成している2個の板部材108,109は、複数本の支柱部材116で連結されており、また、それぞれの支柱部材116に形成されている雄ねじ部に螺合された2個のナット部材117,118によるダブルナットと、1個のナット部材119とにより、これらの板部材108,109は一定間隔に保持されている。
前述したようにチェーン53の切断によってラチェット装置71の回転止め部材となっているラチェット部材75の爪部75Aが被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合したときには、開閉機40のブレーキを前述したようにオンとするとともに、連結装置100を図10で示されているブラケット11に図示しないクランプ具等で取り付けて配置し、これにより、第1回転部材105を駆動スプロケットホイール50に接続させるとともに、第3回転部材107を被動スプロケットホイール52に接続させ、開閉機40のブレーキ力を、駆動スプロケットホイール50及び連結装置100を介して被動スプロケットホイール52に伝達する。
なお、このように開閉機40のブレーキ力を、駆動スプロケットホイール50及び連結装置100を介して被動スプロケットホイール52に伝達する際には、切断したチェーン53の取り除きを行うとともに、連結装置100をブラケット11に配置するときに障害となるものがあれば、これをブラケット11から取り外す。図10では、前述したスイッチ72とガード部材73が取り外され、また、ラチェット装置71から検知部材79が取り外されている。
開閉機40のブレーキ力が、駆動スプロケットホイール50及び連結装置100を介して被動スプロケットホイール52に伝達されると、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52の回転止めは、ラチェット装置71のラチェット部材75と、開閉機40のブレーキ力との両方で行われることになり、このため、チェーン53の切断時にシャッターカーテン1の自重で巻取軸13が自由回転することを一層確実に防止することができる。
そして、このようにシャッターカーテン1の自重で巻取軸13及び被動スプロケットホイール52が自由回転することが防止されているときに、チェーン53が切断した時に行うことが必要となっている作業、例えば、チェーン53以外に異常が生じている箇所があるか否かを確認する作業等を容易、安全に行うことができる。
切断したチェーン53を新しいチェーンに交換するときには、開閉機40のブレーキをオンの状態にしたまま、図4〜図6の実施形態で説明したように、ラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Aを被動スプロケットホイール52の歯52Aとの係合から解除し、また、支持板33の第1孔86又は第2孔87に図7〜図9のピン状部材90又は91を挿入することで被動スプロケットホイール52の回転をピン状部材90又は91によっても止めている場合には、第1孔86又は第2孔87からピン状部材90又は91を抜き取り、この後に開閉機40のブレーキをオフにし、そして、開閉機40の駆動軸49を回転させる。この駆動軸49の回転方向は、駆動スプロケットホイール50と、連結装置100の第1〜第3回転部材105〜107と、被動スプロケットホイール52とを介して、巻取軸13を正回転させる方向であり、駆動軸49の回転により、第1〜第3回転部材105〜107と被動スプロケットホイール52とが回転し、巻取軸13の正回転により、前述したシャッターカーテン1を全閉位置まで下降させる。
なお、ラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Aが被動スプロケットホイール52の歯52Aに強く係合しているために、爪部75Aを被動スプロケットホイール52の歯52Aとの係合から解除することが容易に行えない場合には、開閉機40の駆動軸49を上述とは逆方向へ少し回転させることにより、爪部75Aを被動スプロケットホイール52の歯52Aとの係合から解除した後に、開閉機40の駆動軸49を上述の方向へ回転させ、シャッターカーテン1を全閉位置まで下降させるようにしてもよい。
このようにシャッターカーテン1が全閉位置まで下降した後に、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換する作業を行う。このときには、連結装置100をブラケット11から取り外し、連結装置100の第1回転部材105及び第3回転部材107を駆動スプロケットホイール50及び被動スプロケットホイール52から分離させておく。
以上にようにシャッターカーテン1を全閉位置まで下降させると、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52は、シャッターカーテン1の自重で回転するおそれが少ない状態になるため、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換作業を容易、安全に実施することができる。
なお、全閉位置まで下降させたシャッターカーテン1を巻取軸13から取り外し、この後に、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換する作業を行うようにしてもよい。これによると、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52は、シャッターカーテン1の自重で回転するおそれが全くなくなるため、切断したチェーン53を新しいチェーンに交換作業を一層容易、安全に実施することができる。
図13は、駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52との間の間隔が異なっている各種のシャッター装置に適用できる連結装置120を示している。この連結装置120の本体101を形成している2個の板部材108,109には、第2回転部材106の中心部となっている第2中心軸103を中心する円弧Aにおいて、第1回転部材105の第1中心軸102を挿入できる孔121が複数個、本実施形態では2個形成され、また、2個の板部材108,109には、第2回転部材106の第2中心軸103を中心する円弧Bにおいて、第3回転部材107の第3中心軸104を挿入できる孔122が複数個、本実施形態では3個形成されている。
このため、前述したそれぞれの支柱部材116からナット部材119を取り外すことにより2個の板部材108,109を分離した後に、第1中心軸102を挿入する孔を複数個の孔121のうちから選択し、また、第3中心軸104を挿入する孔を複数個の孔122のうちから選択することにより、第1回転部材105と第3回転部材107との間の間隔を変更することができる。この変更を行うことにより、駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52との間の間隔が異なっている各種のシャッター装置に対応できることになる。
このため、この実施形態に係る連結装置120は、このようなシャッター装置に対する汎用性を有している。
なお、汎用性を有する連結装置の構造は、図13に示されているものに限定されず、この汎用性を有する連結装置は、例えば、第1中心軸102、第3中心軸104の配置位置を、円弧A,Bのそれぞれの位置にスライド移動させることができる円弧状の長孔方式のものとすることもできる。