以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、管理用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、後述する操作装置が操作されることにより、出入口等の開口部をシャッターカーテンが開閉するものとなっている。なお、本発明は、上記操作装置の代わりに人や車両等を感知するセンサが用いられ、このセンサからの信号に基づいてシャッターカーテンが出入口等の開口部を開閉するようになっている管理用シャッター装置にも適用することができる。
図1には、本実施形態に係る管理用シャッター装置の全体の正面図が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向となっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3,4と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床5と、天井部材6とで囲まれている。左右の建物躯体3,4には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右2個のガイドレール7,8が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール7,8に案内されてシャッターカーテン1は上下方向に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材6で仕切られている天井裏空間9には、左右2個のブラケット10,11が配置されており、これらのブラケット10,11は、天井裏空間9に存在する下がり壁等の建物躯体12にボルト等の結合具で結合されているとともに、ブラケット10,11に巻取軸13の軸方向の両端部が回転自在に支持されているため、ブラケット10,11は、巻取軸13を回転自在に支持する支持部材となっている。この巻取軸13に、シャッターカーテン1の上端部がボルト等の止着具で止着されており、また、シャッターカーテン1は、天井部材6に配置されたまぐさ14のスリット15を通過して天井裏空間9の側から出入口2の側に垂下されており、シャッターカーテン1の上下方向の開閉移動は、正逆回転する巻取軸13によるシャッターカーテン1の巻き取り、繰り出しによって行われる。
なお、ブラケット10,11に、これらのブラケット10,11に跨る左右方向の長さを有するケース部材を取り付けることにより、このケース部材とブラケット10,11とにより、天井裏空間9に、巻取軸13が内部に収納されたシャッターボックスを設けてもよい。
シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分を形成しているカーテン本体部16と、このカーテン本体部16の下端部に取り付けられた座板17とを有しており、カーテン本体部16は、カーテン構成部材となっている多数のスラット18を上下に連設することによって形成されたスラット連設部となっている。
図2は、図1で示されている左右2個のブラケット10,11の部分を拡大して示した一部破断の正面図であり、この図2では、巻取軸13が断面として示されている。巻取軸13の左側の端部には、巻取軸13の筒状の本体部19よりも小径であって、この本体部19の中心部に配置された軸首部材20が設けられ、この軸首部材20は、本体部19の内部に溶接等で取り付けられている板状の中子部材21,22を介して本体部19に結合されている。軸首部材20における左側の端部20Aは本体部19から突出しており、この突出部20Aは、左右2個のブラケット10,11のうち、左側のブラケット10に配置されている滑り軸受けやボールベアリング等による軸受け部材23により、ブラケット10に回転自在に支持されている。このため、軸首部材20は、巻取軸13におけるブラケット10の側の中心軸となっている。
また、左右2個のブラケット10,11のうち、右側のブラケット11における巻取軸13と対面する内面には、連結軸30が巻取軸13と同軸的に配置されており、この連結軸30は、図3で示されているように、連結軸30の軸方向に複数個、本実施形態では2個配置されている滑り軸受けやボールベアリング等による軸受け部材31,32を介してブラケット11に回転自在に配置されている。図3は、図2の連結軸30における軸受け部材31,32の周辺を断面として示した正面図である。軸受け部材31は、板金の折り曲げ品であって、ブラケット11に溶接等で取り付けられた支持板33と、この支持板33にビス等の止着具で止着された板状の押さえ部材34とで支持されている。また、軸受け部材32は、板金製であるブラケット11に形成された支持部35と、このブラケット11に溶接等で取り付けられた板状の押さえ部材36とで支持されている。これらの軸受け部材31,32により、連結軸30は、ブラケット11に回転自在に支持されている。
また、連結軸30における巻取軸13の側の端部30Aは、巻取軸13の本体部19の内部に挿入されている。この端部30Aの外周にはボス部材37が結合されており、このボス部材37の外周部には、図4に示されているように、凹部37Aと凸部37Bとが円周方向に交互に形成されている。図4は、連結軸30の部分を断面とし、ブラケット11を巻取軸13の側から見た側面図である。図2及び図3に示されているように、巻取軸13の本体部19の内部には板状の中子部材38が溶接等で取り付けられており、この中子部材38の内周部には、ボス部材37の凹部37Aと凸部37Bに係合する凸部と凹部が形成されており、これらの凹部及び凸部の係合により、巻取軸13と連結軸30は円周方向に連結されている。
以上の構造により、巻取軸13におけるブラケット11の側の端部は、連結軸30及び軸受け部材31,32を介してブラケット11と支持板33に支持されているとともに、巻取軸13と連結軸30は一体となって回転するようになっており、また、連結軸30は、巻取軸13におけるブラケット11の側の中心軸となっている。
図2及び図3に示されているように、ブラケット11における巻取軸13と対面する内面には、巻取軸13を回転させるための駆動装置となっている開閉機40が配置されている。この開閉機40のブラケット11への配置は、ブラケット11に複数個、本実施形態では図4に示されているように4個結合されている支柱部材41〜44に、開閉機40のフランジ部40A(図2及び図3を参照)を結合することにより行われている。
これを一層具体的に説明すると、開閉機40のフランジ部40Aは、開閉機40の本体部40Bにおけるブラケット11の側の端部に形成されており、また、それぞれの支柱部材41〜44は、ブラケット11から巻取軸13の側へ延びる長さを有しており、これらの支柱部材41〜44のうち、1本の支柱部材41には、図3に示されているように、支柱部材41の頂部から巻取軸13の側へさらに延びる棒状部41Aが設けられている。この棒状部41Aをフランジ部40Aに形成されている孔45に挿入した後に、フランジ部40Aの孔46にブラケット11の側とは反対側から挿入したビス等の止着具47を、他の支柱部材42〜44に形成されているそれぞれのねじ穴48へねじ込む。これにより、開閉機40は、支柱部材41〜44と止着具47によりブラケット11に取り付けられることになる。
このブラケット11への開閉機40の取付作業は、支柱部材41の棒状部41Aをフランジ部40Aの孔45に挿入した後に、フランジ部40Aの孔46にブラケット11の側とは反対側から挿入した止着具47を支柱部材42〜44のそれぞれのねじ穴48へねじ込むことにより行うため、これらの止着具47についての支柱部材42〜44のねじ穴48へのねじ込み作業を、開閉機40の全体重量を支柱部材41の棒状部41Aによって支持しながら行えることになり、したがって、ブラケット11への開閉機40の取付作業を一人の作業者により行える。
開閉機40は、電動モータとブレーキとの組み合わせで構成されている。すなわち、本実施形態における巻取軸13を回転させるための駆動装置は、ブレーキ付き駆動装置となっている。電動モータの回転軸は、開閉機40の駆動軸49であり、この駆動軸49は、ブレーキがオンとなることにより回転することはできない。このブレーキのオンは、操作手段で操作される電気的手段又は手作業で操作される機械的手段により行われる。
開閉機40の駆動軸49には、本実施形態における駆動回転部材となっている小径の駆動スプロケットホイール50が取り付けられており、また、前述した連結軸30には、図3に示されているように、この連結軸30に結合された厚板状のベース部材51を介して、本実施形態における被動回転部材となっている大径の被動スプロケットホイール52が取り付けられており、駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52には、本実施形態における無端走行部材となっているチェーン53が架け回されている。このため、巻取軸13と開閉機40は、スプロケットホイール50,52とチェーン53とからなる伝動手段及び連結軸30を介して動力的に接続されており、開閉機40の駆動軸49の正逆回転は、巻取軸13に伝達される。
また、被動スプロケットホイール52は連結軸30を介して巻取軸13に取り付けられていて、これらの被動スプロケットホイール52と巻取軸13とが一体となって回転するとともに、被動スプロケットホイール52は、前述したブラケット11及び支持板33に連結軸30と軸受け部材31,32とを介して支持されている。
図1で示した左右の建物躯体3,4のうち、一方の建物躯体4には、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための操作装置60が取り付けられている。この操作装置60には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。
前述した座板17が天井部材6に配置されたまぐさ14の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板17が図1に示すようにまぐさ14と床5との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号を受ける図示しない制御装置により、開閉機40のブレーキがオフになるとともに、電動モータの駆動軸49は正回転する。これにより、シャッターカーテン1は、駆動軸49の正回転及びシャッターカーテン1の自重による巻取軸13の正回転により巻取軸13から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が、座板17が床5に着床する全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキはオンとなるとともに、駆動軸49の正回転は停止する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板17が図1に示すようにまぐさ14と床5との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオフになるとともに、駆動軸49は逆回転し、これによる巻取軸13の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸13に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンに復帰するとともに、駆動軸49の逆回転は停止する。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンになるとともに、駆動軸49の正回転が停止するため、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ブレーキがオンになるとともに、駆動軸49の逆回転が停止するため、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
巻取軸13を支持する前述した左右2個のブラケット10,11のうち、ブラケット11には、図4に示されているように、前述のチェーン53が切断したときに被動スプロケットホイール52の回転を止めるための回転止め手段である回転止め装置70が配置されている。この回転止め装置70の配置位置は、ブラケット11における巻取軸13と対面する内面である。なお、図2及び図3では、回転止め装置70が省略されており、また、図4は、前述の開閉機40が省略されて示されている。また、図4がチェーン53の切断前を示しているのに対し、図6は、チェーン53の切断後を示している。また、図7には、チェーン53の切断前の回転止め装置70の拡大図が示されており、図8には、チェーン53の切断後の回転止め装置70の拡大図が示されている。なお、図8において、チェーン53の切断状態は簡略化して示されている。
なお、チェーン53の無機能化である切断は、例えば、シャッターカーテン1の全開時や、全閉となっていたシャッターカーテン1が開き移動しているとき等に発生する。
なお、チェーン53が無機能化するのは、上述したチェーン53が切断した場合だけでなく、例えばチェーン53が被動スプロケットホイール52から外れるような場合もあるが、チェーン53が無効化する代表例として、特に断らない限り、チェーン53が切断することとして以下の説明を行う。
図4に示されているように、回転止め装置70は、被動スプロケットホイール52の外側においてブラケット11に配置されたラチェット装置71と、スイッチ72と、ガード部材73と、を含んで構成されたものとなっている。より具体的には、この回転止め装置70は、前述の駆動スプロケットホイール50と被動スプロケットホイール52とに掛け回された無端のチェーン53の内側に配置されているラチェット装置71と、チェーン53の外側に配置され、アクチュエータ72Aを備えたスイッチ72と、チェーン53の外側に配置され、チェーン53が切断したときに、このチェーン53が外側へ飛び跳ねることを防止するためのガード部材73とを有している。
図7に示すように、ラチェット装置71は、回動中心軸74を中心に回動自在となっている回動部材であるラチェット部材75と、このラチェット部材75を被動スプロケットホイール52の側へ常時回動付勢している付勢手段であるねじりコイルばね76と、ラチェット部材75に基端部がビス等の止着具で結合され、チェーン53を通過して先端部がチェーン53の外側に達している作動部材77と、ラチェット部材75に基端部がピン部材78で連結され(取り付けられ)、チェーン53の機能時にこのチェーン53にねじりコイルばね76の付勢力で接触する接触部材79(具体的な形状、構造は後述する)と、を有している。
ラチェット部材75は、ブラケット11に複数個のビス等の止着具で着脱可能に止着されたベース部材86と、このベース部材86及びブラケット11に複数個のビス等の止着具で着脱可能に止着(共締め)された覆い部材84との間の空間に配置されている。
また、ラチェット部材75は、筒状の胴部75Aと、被動スプロケットホイール52と対向する箇所において、被動スプロケットホイール52側へ突出した爪部(突起部)75Bと、を有している。この爪部75Bは、チェーン53の切断時に、被動スプロケットホイール52の歯52Aに係合することにより、巻取軸13の自由回転を止め、シャッターカーテン1の急速異常降下を防止するための本実施形態における係合部となっている。この爪部75Bは、被動スプロケットホイール52の歯52Aよりも大きな厚さ寸法で形成することが好ましく、また、歯52Aへの爪部75Bの係合は、歯52Aの厚さ中央部と爪部75Bの厚さ中央部とが一致又は略一致して行われるように設定することが好ましい。
回動中心軸74は、この回動中心軸74の一方の端部が挿入される孔がブラケット11に形成されているため、ブラケット11によって支持されている。また、この回動中心軸74は、ラチェット部材75の胴部75Aに挿通されている。
なお、板金の折り曲げ品である覆い部材84は、図7に示すように、ラチェット部材75の大部分を覆う水平部84Aと、この水平部84Aの上下の端部からそれぞれ斜め下方に延出する傾斜部84Bと、それぞれの傾斜部84Bの先端から水平に延出する水平延出部84C(言い換えると、フランジ部84C)とからなる略ハット形状となっており、水平延出部84Cが、ベース部材86及びブラケット11に複数個のビス等の止着具で止着(共締め)されている。そして、覆い部材84の水平部84Aと上下の2個の傾斜部84Bとで形成された空間にラチェット部材75が収納されるようになっている。
ねじりコイルばね76の一端部76Aは、覆い部材84の上下2個の傾斜部84Bのうち、下の傾斜部84Bに係止され、他端部76Bはラチェット部材75に係止されている。また、コイル部76Cはラチェット部材75の胴部75Aの周囲に巻回されている。
図9は、図7に示されている接触部材79の拡大斜視図であり、図10は、図9で示されている接触部材79の平面図であり、図11は、図9で示されている接触部材79の背面図である。
図9〜図11に示されているように、金属製の板材の折り曲げ等で形成された接触部材79は、チェーン53に接触する本体部80と、この本体部80を支持するアーム部81と、を有している。
アーム部81は、ラチェット部材75に連結される基端部81Aと、この基端部81Aから屈曲する屈曲部81Bと、を有しており、アーム部81よりも幅広の形状を有する本体部80は、屈曲部81Bの先端部81Cから直角方向に延出している。本実施形態では、接触部材79のアーム部81の屈曲部81Bと本体部80とにより形成された空間83が、チェーン53が挿通されるチェーン挿通部83となっている。
アーム部81の基端部81Aの両側部には、本体部80の延出方向と同じ方向に突出する突出部81D,81Eが形成されている。これらの突出部は、アーム部81の一部を折り曲げて形成したものである。また、アーム部81の基端部81Aには、接触部材79をラチェット部材75に揺動自在に連結するためのピン部材78が挿通される貫通孔81Fが形成されている。
本実施形態では、2個の突出部81D,81Eは、揺動中心軸となるピン部材78が挿通される貫通孔81Fに対して反対側の位置に設けられており、このため、接触部材79をラチェット部材75に取り付けたときには、2個の突出部81D,81Eは、接触部材79の揺動中心軸となるピン部材78に対して反対側の位置に配置されるようになっている。
図7から分かるように、接触部材79のラチェット部材75への取り付けは、まず、接触部材79のアーム部81の2個の突出部81D,81Eのうちの一方の突出部81Dを、ラチェット部材75における胴部75Aよりもチェーン53側に延出する部分(被動スプロケットホイール52とは反対側に延出する部分)である後方延出部75Cに形成された貫通孔75Dに挿通するとともに、他方の突出部81Eを、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eに当接させる。すなわち、2個の突出部81D,81Eがラチェット部材75のうちの後方延出部75Cの貫通孔75Dと後方延出部75Cの側面部75Eとの間の部分を挟持するように、接触部材79をラチェット部材75の後方延出部75Cに配置する。この後、接触部材79のアーム部81の貫通孔81F及びラチェット部材75の後方延出部75Cに形成された図示しない貫通孔に、ピン部材78を挿通することにより、接触部材79がラチェット部材75に取り付けられることになる。
上述したように、接触部材79のアーム部81の2個の突出部81D,81Eのうちの一方の突出部81Dは、ラチェット部材75の後方延出部75Cの貫通孔75Dに挿通されており、他方の突出部81Eは、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eに当接している。これにより、接触部材79は、揺動中心軸であるピン部材78を中心とするラチェット部材75に対する揺動が規制されている。
このため、本実施形態では、接触部材79のアーム部81に形成された2個の突出部81D,81Eと、これらの突出部のうちの一方の突出部81Dが挿通するラチェット部材75の後方延出部75Cの貫通孔75Dと、他方の突出部81Eが当接するラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eとが、接触部材79のラチェット部材75に対する揺動を規制するための揺動規制手段を構成するものとなっている。
すなわち、2個の突出部81D,81Eが揺動規制手段の係止部となっており、ラチェット部材75の後方延出部75Cの貫通部75Dが、2個の突出部81D,81Eのうちの一方の突出部81Dが係止する揺動規制手段の被係止部となっており、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eが、他方の突出部81Eが係止する揺動規制手段の被係止部となっている。
なお、接触部材79の本体部80には、硬質の合成樹脂製等で形成されたキャップ状の摩擦軽減部材82が装着されており、この摩擦軽減部材82により、本体部80とチェーン53の外側の側面との摩擦が軽減されている。
接触部材79は、ねじりコイルばね76で爪部75Bが回動中心軸74を中心に被動スプロケットホイール52の側へ常時回動付勢されているラチェット部材75に取り付けられているため、通常時、すなわち、チェーン53の機能時の接触部材79は、図4及び図7に示されているように、ねじりコイルばね76のばね力により、摩擦軽減部材82において、チェーン53の外側の側面に接触しており、この接触により、ねじりコイルばね76によるラチェット部材75の回動中心軸74を中心とする回動限が規定されている。また、このときのラチェット部材75の爪部75Bは、被動スプロケットホイール52の歯52Aから離れている。
そして、このときの接触部材79は、摩擦軽減部材82において、チェーン53の外側の側面に当接しているため、巻取軸13を回転させるための開閉機40の駆動軸49の回転により、無端走行部材となっているチェーン53が走行した場合において、摩擦軽減部材82の摩擦軽減作用により、チェーン53の円滑な走行を保障することができる。
また、摩擦軽減部材82の摩耗量が所定値に達し、この摩擦軽減部材82を交換するなどの場合には、接触部材79は、巻取軸13の側からチェーン53に被せられたものとなっているため、ラチェット部材75に接触部材79を取り付けている1個のピン部材78を取り外すことにより、接触部材79に新しい摩擦軽減部材82を取り付ける作業などを簡単に行え、また、この接触部材79を1個のピン部材78で再度ラチェット部材75に取り付ける作業も簡単に行える。
なお、前述したスイッチ72とガード部材73も、ブラケット11にビス等による止着具で着脱可能に止着されている。
図5は、図1及び図2で示されている右側のブラケット11を巻取軸13の側から見た側面図であって、図4で示されている被動スプロケットホイール52等を省略し、図2及び図3で示されている支持板33及び支柱部材41〜44のみを示している図である。また、この図5では、図3で示されている前述の押さえ部材34も省略されている。前述したように被動スプロケットホイール52をブラケット11と共に支持するための支持部材となっている支持板33は、図3で示されているように、上下両端部に設けられ、ブラケット11に溶接等で結合されているベース部33Aと、これらのベース部33Aから巻取軸13の側へ立ち上がった立上部33Bと、これらの立上部33Bの間に架設され、ブラケット11と平行になっている本体部33Cとからハット形状となっている。したがって、本体部33Cとブラケット11との間には空間部Sが存在し、この空間部Sに、被動スプロケットホイール52が前述の連結軸30に取り付けられて配置されている。
また、図4から分かるように、ラチェット装置71は、支持板33の配置位置から外れた位置において、ブラケット11に配置されている。
図5に示されているように、支持板33の本体部33Cには、連結軸30を挿通するための孔85が形成されている。また、図4に示されているように、被動スプロケットホイール52の外周部には、チェーン53と噛み合うための歯52Aが円周方向に等間隔で形成されており、これらの歯52A同士の間には、凹部(歯底)52Bが円周方向に等間隔で形成されており、多数の凹部52Bのうち、上述のラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Bが凹部52Bに係合する。
後述するようにチェーン53が切断したときには、ラチェット装置71のラチェット部材75の爪部75Bは被動スプロケットホイール52の歯52Aの凹部52Bに係合し、これにより、被動スプロケットホイール52の回転は止められる。
本実施形態に係るシャッター装置が長期間使用され、シャッターカーテン1の開閉移動回数が多数回に達したときなどの場合に、前述したチェーン53が、例えば、金属疲労によって切断するおそれがある。図6及び図8は、この切断が発生した場合を示している。
図4及び図7で説明したとおり、回転止め装置70のラチェット装置71は、ねじりコイルばね76のばね力で摩擦軽減部材82がチェーン53の外側の側面に接触する接触部材79を備えており、この接触部材79は、2個の突出部81D、81Eにより、ピン部材78を中心とするラチェット部材75に対する揺動が規制されている。
これにより、チェーン53の切断が生ずると、ねじりコイルばね76のばね力により、ラチェット部材75は、このラチェット部材75に対する揺動が規制されている接触部材79とともに、回動中心軸74を中心に回動し、この回動により、ラチェット部材75の爪部75Bは、巻取軸13と一体に回転する部材になっている被動スプロケットホイール52の凹部52Bに係合することになる。
このため、チェーン53が切断され、これによって前述した開閉機40の駆動軸49に結合されている駆動スプロケットホイール50と、被動スプロケットホイール52との接続が断たれても、巻取軸13及び被動スプロケットホイール52がシャッターカーテン1の自重によって回転することがラチェット装置71により阻止されることになり、これにより、シャッターカーテン1が自重で巻取軸13を回転させて急速に落下することが防止される。
また、ラチェット部材75が回動中心軸74を中心に回動すると、このラチェット部材75に結合されている前述の作動部材77が、スイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させるため、スイッチ72からの電気信号により、チェーン53が切断したことを報知する図示しない報知手段等が作動することになる。このため、スイッチ72は、本実施形態において、チェーン53の切断を検知するための検知手段であって、チェーン53の切断時におけるラチェット部材75の回動により作動するスイッチ手段となっている。
なお、図7に示すように、巻取軸13の回転方向は矢印A方向(反時計回り)であり、一方、ラチェット部材75の回動方向は矢印B方向(時計回り)となっている。すなわち、シャッターカーテン1を繰り出すときの巻取軸13の回転方向と、ラチェット部材75の回動方向は、逆向きとなっている。
次に、本実施形態のねじりコイルばね76のばね特性を図7及び図8により説明する。なお、図7に示されている被動スプロケットホイール52は、チェーン53の切断により巻取軸13とともに矢印A方向に自由回転する直前の状態となっているとし、図8に示されている被動スプロケットホイール52は、図7に示されている状態から歯間角度θm回転した直後の状態となっているとして説明する。
本実施形態では、ねじりコイルばね76は、チェーン53が切断したときから、ラチェット部材75の爪部75Bが被動スプロケットホイール52の凹部52Bに係合するまでの時間tdが、被動スプロケットホイール52がθm回転するために必要な時間tmよりも小さい関係が成り立つばね係数を有するものとなっている。すなわち、本実施形態では、ラチェット部材75を回動付勢するねじりコイルばね76のばね力は、td<tmの関係が成り立つように大きなものとなっている。
このため、本実施形態では、図7及び図8からわかるように、被動スプロケットホイール52が、矢印A方向に一歯分の角度である歯間角度θm回転する間に、ラチェット部材75の爪部75Bが、被動スプロケットホイール52の歯間、すなわち、図7及び図8では、歯52A−1(以下「1番目の歯52A−1」という)と、歯52A−2(以下「2番目の歯52A−2」という)との間の凹部52B−1に入り込む(係合する)ようになっている。これにより、巻取軸13の自由回転が阻止される。
なお、ねじりコイルばね76が、上述したtd<tmの関係が成り立つばね定数を有するものとなっていない場合には、チェーン53の切断によりねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75の爪部75Bが、チェーン53の切断により巻取軸13とともに自由回転を始めた被動スプロケットホイール52の1番目の歯52A−1と2番目の歯52A−2との間の凹部52B−1に係合せずに、いきなり2番目の歯52A−2の先端部に当接し、ラチェット部材75の爪部75Bがこの2番目の歯52A−2に弾かれるおそれが極めて大きい。この場合、2番目の歯52A−2に弾かれたラチェット部材75は、ねじりコイルばね76のばね力による回動付勢で再び被動スプロケットホイール52側へ回動するが、このラチェット部材75の爪部75Bが、今度は歯52A−3(以下「3番目の歯52A−3」という)の先端部に当接して弾かれてしまうおそれが極めて大きい。一方、被動スプロケットホイール52の回転速度は徐々に加速していくため、この後、ラチェット部材75の爪部75Bが4番目以降の歯52Aに次々と弾かれ、この爪部75Bが被動スプロケットホイール52の凹部52Bに係合することが不可能となるおそれが極めて大きい。このため、巻取軸13の自由回転を阻止させることができなくなる。
しかし、本実施形態では、回転止め装置70が、上述したtd<tmの関係が成り立つばね定数を有するねじりコイルばね76を備えているので、チェーン53が切断して被動スプロケットホイール52が歯間角度θm回転する間に、ねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75の爪部75Bが、被動スプロケットホイール52の歯間である凹部52B−1に係合するようになっている。
すなわち、本実施形態では、ラチェット部材75は、ねじりコイルばね76のばね力による回動付勢で被動スプロケットホイール52側へ迅速に回動するため、ラチェット部材75の爪部75Bは、被動スプロケットホイール52の1番目の歯52A−1と2番目の歯52A−2との間の凹部52B−1に入り込むことになる。
この結果、チェーン53が切断し、巻取軸13が歯間角度θm回転する間に、この巻取軸13の自由回転を阻止することができる。
このため、本実施形態によると、チェーン53の切断時にシャッターカーテン1の自重で巻取軸13が自由回転することをより迅速に、しかもより確実に防止することができる。
なお、本実施形態において、チェーン53が切断する前における被動スプロケットホイール52の歯52Aと、ラチェット部材75の爪部75Bとの位置関係によっては、言い換えると、チェーン53が切断する前における被動スプロケットホイール52の歯52Aの角度位置によっては、チェーン53の切断によりねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75の爪部75Bが、チェーン53の切断により巻取軸13とともに自由回転を始めた被動スプロケットホイール52の1番目の歯52A−1と2番目の歯52A−2との間の凹部52B−1に入り込まずに、いきなり2番目の歯52A−2の先端部に当接し、ラチェット部材75の爪部75Bがこの歯52A−2に弾かれてしまうおそれがある。
しかし、本実施形態では、ラチェット部材75を回動付勢するねじりコイルばね76のばね力は大きなものとなっており、このため、ラチェット部材75の回動速度は、チェーン53の切断により巻取軸13とともに自由回転を開始した直後の被動スプロケットホイール52の回転速度よりも、極めて速いものとなっている。
このため、本実施形態では、上述したように、チェーン53の切断によりねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75の爪部75Bが、チェーン53の切断により巻取軸13とともに自由回転を始めた被動スプロケットホイール52の1番目の歯52A−1と2番目の歯52A−2との間の凹部52B−1に入り込まずに、いきなり2番目の歯52A−2の先端部に当接し、ラチェット部材75の爪部75Bがこの2番目の歯52A−2に弾かれたとしても、この2番目の歯52A−2に弾かれたラチェット部材75は、ねじりコイルばね76のばね力による回動付勢で再び被動スプロケットホイール52側へ迅速に回動するため、ラチェット部材75の爪部75Bは、被動スプロケットホイール52の2番目の歯52A−2と3番目の歯52A−3との間の凹部52B−2に入り込むことになり、これにより、巻取軸13の自由回転が阻止される。
なお、本実施形態は、チェーン53が、駆動スプロケットホイール50や被動スプロケットホイール52から外れた場合にも、被動スプロケットホイール52が歯間角度θm回転する間に、コイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75の爪部75Bが被動スプロケットホイール52の歯間に入り込むようになっている。この結果、チェーン53が外れ、巻取軸13が歯間角度θm回転する間に、この巻取軸13の自由回転を阻止させることができる。
なお、本実施形態において、チェーン53の切断時におけるラチェット部材75の回動により作動するスイッチ手段であるスイッチ72の抵抗力は、ねじりコイルばね76のばねトルクよりも極めて小さいものとなっている。すなわち、チェーン53の切断時におけるラチェット部材75の回動により作動するスイッチ手段であるスイッチ72の抵抗力は、ねじりコイルばね76のばねトルクと比較して無視できるほど小さいものとなっている。
なお、本実施形態では、ラチェット部材75の爪部75Bが係合するのは、被動スプロケットホイール52の歯52Aの凹部52Bであったが、この被動スプロケットホイール52とは別に、被動スプロケットホイール52に一体化され、外周部に円周方向に歯が複数個形成された一体化回転部材を設け、この一体化回転部材の歯の凹部にラチェット部材75の爪部75Bを係合させるようにしてもよい。
なお、切断したり被動スプロケットホイール52から外れたりすることによるチェーン53の無機能化が発生するおそれは、以下のような場合に高いことが考えられる。すなわち、チェーン53の無機能化が発生するおそれが高いのは、チェーン53に掛かる荷重が急激に大きくなるとき、例えば、シャッターカーテン1が全開や全閉で停止している状態から動作を開始したときや、この動作開始からあまり時間が経過していない時点である。
また、チェーン53の無機能化が発生するシャッターカーテン1の動作開始方向としては、シャッターカーテン1の自重との関係で、シャッターカーテン1の下降方向(閉じ移動方向)よりも上昇方向(開き移動方向)の方がチェーン53に掛かる荷重が大きくなるため、チェーン53の無機能化が発生するおそれは、シャッターカーテン1の下降方向よりも上昇方向の方が大きい。特に全閉となっていたシャッターカーテン1が上昇動作(開放動作)する際は、チェーン53に掛かる荷重が最も急激に大きくなるため、チェーン53の無機能化が発生するおそれがより大きくなる。このことは、シャッターカーテン1が全閉時から開き移動方向に上昇動作するとき、または、この動作開始からあまり時間が経過していない時点は、チェーン53が無機能化のおそれが大きい時といえる。
このため、本実施形態によると、シャッターカーテン1が全閉から開放動作後あまり時間が経過していない状態、言い換えれば、シャッターカーテン1が全閉から上昇し、このシャッターカーテン1の開放量があまり大きくない状態において、チェーン53が無機能化しても、シャッターカーテン1の自重降下(急速異常降下)を迅速に防止でき、全閉状態に至る前でのシャッターカーテン1の停止可能性を大きくすることができる効果がある。
図4に示すように、巻取軸13に連結されている被動スプロケットホイール52の直径寸法は、開閉機40の駆動軸49に連結されている駆動スプロケットホイール50の直径寸法よりも大きくなっているため、被動スプロケットホイール52の回転モーメントは、駆動スプロケットホイール50の回転モーメントよりも大きくなっている。
このため、シャッターカーテン1の全開時や全閉時からこのシャッターカーテン1を繰り出し、巻き取るために駆動スプロケットホイール50が開閉機40の回転駆動力により回転した直後は、すなわち、シャッターカーテン1の開閉移動直後は、回転モーメントの大きな被動スプロケットホイール52の回転が、回転モーメントの小さな駆動スプロケットホイール50の回転に追従できず、このため、駆動スプロケットホイール50によって送り出されるチェーン53の部分53Aが弛んだ状態、言い換えると、チェーン53の部分53Aの緊張力がゼロとなる状態となるおそれがある。
すなわち、図4に示されているチェーン53のうち、全開位置に達していたシャッターカーテン1を巻取軸13から繰り出すために、反時計回りである矢印C方向に回転する駆動スプロケットホイール50から送り出される部分53Aは、弛んで緊張力がゼロとなった状態となり、同じく反時計回りである矢印D方向に回転する被動スプロケットホイール52から送り出される部分53Bは、引っ張られて緊張した状態となる。
図12には、駆動スプロケットホイール50から送り出される部分53Aが弛んで緊張力がゼロの状態となっているときの回転止め装置70が示されており、図13には、弛んでチェーン53の緊張力がゼロの状態となっているときの従来の回転止め装置が示されている。また、図14は、図12で示されている回転止め装置70の部分拡大図であり、図15は、図13で示されている回転止め装置の部分拡大図である。
図13及び図15に示されている従来の回転止め装置の接触部材179には突出部は設けられておらず、また、ラチェット部材75の後方延出部75Cには突出部が挿通可能な貫通孔も設けられていないため、接触部材179は、揺動中心軸であるピン部材78を中心にラチェット部材75に対して揺動自在となっている。
チェーン53の部分53Aが弛まないで緊張状態となっていたときに、摩擦軽減部材82が装着された本体部80がねじりコイルばね76のばね力でチェーン53の部分53Aの外側面に面接触していた接触部材179は、チェーン53の部分53Aが弛んで緊張力がゼロの状態となったときには、ねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75とともに、チェーン53が弛んだ分だけ回動中心軸74を中心に回動する。
このとき、接触部材179は、ラチェット部材75に対して揺動自在となっているため、この接触部材179は、ラチェット部材75の回動とは独立したピン部材78を中心とする揺動を行う。これにより、接触部材179は、摩擦軽減部材82が装着された本体部80が、チェーン53の弛んだ部分53Aの外側面に面接触しながら、すなわち、チェーン53の弛んだ部分53Aに倣いながら(追従しながら)、ラチェット部材75とともに回動中心軸74を中心とした回動を行う。言い換えると、接触部材179は、チェーン53の弛んだ部分53Aを被動スプロケットホイール52側へ引き寄せながら、ラチェット部材75とともに回動中心軸74を中心とした回動を行う。
このため、図15に示すように、ラチェット部材75の後方延出部75Cと接触部材179のアーム部81とがなす鋭角は、接触部材179がチェーン53の弛んだ部分53Aに倣うように揺動するために変動し、チェーン53が弛んでいないときよりも小さいθ2となる。また、ラチェット部材75の回動中心(回動中心軸74の中心)Oから、接触部材179の本体部80に装着された摩擦軽減部材82のチェーン53への作用点P2までの距離も変動し、チェーン53が弛んでいないときよりも短いL2となる。
この結果、接触部材179が取り付けられた(連結された)ラチェット部材75は、回動中心軸74を中心に大きな回動を行うことになり、図13及び図15に示されているように、ラチェット部材75の爪部75Bが被動ブラケットホイール52の歯52Aに噛合するとともに、ラチェット部材75に取り付けられた作動部材77がマイクロスイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させてしまうおそれが生じる。
一方、本実施形態に係る回転止め装置70では、図12及び図14に示すように、接触部材79のアーム部81の2個の突出部81D,81Eのうち、一方の突出部81Dは、ラチェット部材75の後方延出部75Cの貫通孔75Dに挿通され、他方の突出部81Eは、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eに当接している。これにより、接触部材79は、揺動中心軸であるピン部材78を中心とするラチェット部材75に対する揺動が規制されている。
上述したように、チェーン53の部分53Aが弛まないで緊張状態となっていたときに、摩擦軽減部材82が装着された本体部80がねじりコイルばね76のばね力でチェーン53の部分53Aの外側面に面接触していた接触部材79は、チェーン53の部分53Aが弛んで緊張力がゼロの状態となったときには、ねじりコイルばね76のばね力で回動付勢されたラチェット部材75とともに、チェーン53が弛んだ分だけ回動中心軸74を中心に回動する。
しかし、本実施形態では、接触部材79は、ピン部材78を中心とするラチェット部材75に対する揺動が規制され、図14に示すように、ラチェット部材75の後方延出部75Cと接触部材79のアーム部81とがなす鋭角は、チェーン53の緊張力に関係なく常にθ1となる。
これにより、接触部材79の摩擦軽減部材82が装着された本体部80は、従来の回転止め装置のように、チェーン53の弛んだ部分53Aの外側面に面接触する(倣う)ことなく、本体部80に装着された摩擦軽減部材82における駆動スプロケットホイール50側(図14では右側)の端部のみが、チェーン53の弛んだ部分53Aにほぼ点接触しながら、チェーン53の駆動スプロケットホイール50側の部分へスライド移動する。このため、ラチェット部材75の回動中心(回動中心軸74の中心)Oから、接触部材79の本体部80に装着された摩擦軽減部材82のチェーン53への作用点P1までの距離は、常にL1となり、この距離L1は、前述した従来の回転止め装置の場合における距離L2(図15参照)よりも長いものとなる。
この結果、接触部材79が取り付けられたラチェット部材75は、従来の回転止め装置と比較して、回動中心軸74を中心に大きな回動を行うことが抑制され、図12及び図14に示されているように、ラチェット部材75の爪部75Bが被動ブラケットホイール52の歯52Aに噛合することや、ラチェット部材75に取り付けられた作動部材77がマイクロスイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させてしまうことが防止される。
このように、本実施形態によると、シャッターカーテン1の閉じ移動直後において、チェーン53の緊張力がゼロとなっても、このシャッターカーテン1の閉じ移動を円滑に行わせることができる。なお、本実施形態は、後述するように、シャッターカーテン1の開き移動直後においても、このシャッターカーテン1の閉じ移動を円滑に行わせることができる。
なお、本実施形態において、接触部材79は、複数個のビス等の止着具でラチェット部材75に取り付け(連結)してもよいが、この場合には、接触部材79はラチェット部材75に固定される。すなわち、接触部材79はラチェット部材75に対して揺動不能となる。しかし、接触部材79を複数個の止着具でラチェット部材75に取り付けることにより、接触部材79の本体部80に装着された摩擦軽減部材82が磨耗した場合や、接触部材79の本体部80が破損した場合等に、これらの部材の交換作業が面倒となり、また、回転止め装置70の部品点数も多くなる。
このため、本実施形態では、接触部材79の本体部80に装着された摩擦軽減部材82の磨耗や、接触部材79の本体部80の破損等によるこれらの部材の交換作業を容易にするために、また、回転止め装置70の部品点数を少なくするために、接触部材79のラチェット部材75への取り付け(連結)は、1個のピン部材78により行われている。
しかし、これによると、接触部材79はラチェット部材75に対してピン部材78を中心として揺動自在となってしまうため、本実施形態では、接触部材79のアーム部81に2個の突出部81D,81Eを形成し、これらの突出部のうち、一方の突出部81Dを、ラチェット部材75の後方延出部75Cに形成された貫通孔75Dに挿通するとともに、他方の突出部81Eを、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eに当接させることにより、接触部材79のラチェット部材75に対する揺動が規制されるようになっている。
図16は、全閉位置に達していたシャッターカーテン1の開き移動直後にチェーン53の緊張力がゼロとなるおそれがあるシャッター装置に適用した実施形態に係る回転止め装置70の正面図である。なお、図16に示す装置、部材のうち、前述の実施形態と同じ装置、部材については、同じ符号を付し、説明は省略する。
この図16に示されているシャッター装置では、矢印C方向に回転する駆動スプロケットホイール50から送り出されるチェーン53で被動スプロケットホイール52が矢印C方向と同じ反時計回りの方向である矢印D方向に回転すると、前述した実施形態(図4参照)とは逆に、シャッターカーテン1が巻取軸13に巻き取られるものである。すなわち、図16に示されているシャッター装置では、シャッターカーテン1を繰り出し、巻き取る巻取軸13の回転方向が、前述した実施形態(図4参照)とは逆になっている。
このため、本実施形態では、チェーン53のうち、駆動スプロケットホイール50から送り出される部分53Aが弛むおそれが大きいのは、全閉位置に達していたシャッターカーテン1が巻取軸13に巻き取られた直後となる。
しかし、本実施形態においても、接触部材79の揺動が規制されるので、チェーン53が弛んでも、すなわち、緊張力がゼロとなっても、接触部材79が取り付けられたラチェット部材75は、回動中心軸74を中心に大きな回動を行うことが抑制され、ラチェット部材75の爪部75Bが被動ブラケットホイール52の歯52Aに噛合することや、ラチェット部材75に取り付けられた作動部材77がマイクロスイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させてしまうことが防止される。
このように、本実施形態によると、シャッターカーテン1の開き移動直後において、チェーン53の緊張力がゼロとなっても、このシャッターカーテン1の開き移動を円滑に行わせることができる。
図17は、前述した実施形態に係る回転止め装置70を、シャッターカーテンの開閉移動によって巻取軸が移動する軸心移動式のシャッター装置に適用した実施形態を示す図である。なお、図17に示す装置、部材のうち、前述の実施形態と同じ装置、部材については、同じ符号を付し、説明は省略する。
図17に示されているように、回転止め装置70や、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための部材、装置は、ブラケット90に配置されている。このブラケット90の上部と下部には、建物躯体等の不動部材93に配置された上下2個のレールに転動自在となっている2個のローラ91がそれぞれ取り付けられており、このため、回転止め装置70を含むシャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための部材、装置は、不動部材93に対して水平方向である左右方向に移動自在となっている。
本実施形態では、ブラケット90は、シャッターカーテン1の開閉移動により、巻取軸13に巻き取られているシャッターカーテン1の巻径が変化することにより、左右方向に移動するものである。
すなわち、シャッターカーテン1が閉じ移動することにより、巻取軸13からシャッターカーテン1が繰り出されていくため、シャッターカーテン1の巻径は減少していく。これにより、巻取軸13をガイドレール8側へ移動させる必要があるために、巻取軸13の一端に結合されている連結軸30を回転自在に支持しているブラケット90は、ガイドレール8側(図17では矢印a方向)に移動する。一方、シャッターカーテン1が開き移動することにより、巻取軸13にシャッターカーテン1が巻き取られていくため、シャッターカーテン1の巻径は増加していく。これにより、巻取軸13をガイドレール8側とは反対側へ移動させる必要があるために、ブラケット90は、ガイドレール8側とは反対側(図17では矢印b方向)に移動する。
なお、図17に示されている移動ブラケット90は、図1に示す右側のブラケット11に相当するものであり、この移動ブラケット90とは反対側である左側にも移動ブラケットが配置されており、この移動ブラケットに巻取軸13の他端に結合されている軸首部材20が回転自在に支持されている。
このように、本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテン1の開閉移動により、巻取軸13に巻き取られているシャッターカーテン1の巻径が変化することにより、巻取軸13の軸心が左右方向に移動する軸心移動式のシャッター装置となっている。
前述の実施形態と同様に、この図7の実施形態においても、全開位置に達していたシャッターカーテン1が閉じ移動を開始した直後に、チェーン53の緊張力がゼロとなっても、接触部材79が取り付けられたラチェット部材75は、従来の回転止め装置と比較して、回動中心軸74を中心に大きな回動を行うことが抑制され、図12及び図14に示されているように、ラチェット部材75の爪部75Bが被動ブラケットホイール52の歯52Aに噛合することや、ラチェット部材75に取り付けられた作動部材77がマイクロスイッチ72のアクチュエータ72Aを作動させてしまうことが防止される。
なお、以上説明した実施形態では、接触部材79のアーム部81に形成された2個の突出部81D,81Eのうちの一方の突出部81Dが、ラチェット部材75の後方延出部75Cの貫通孔75Dに挿通され、他方の突出部81Eが、ラチェット部材75の後方延出部75Cの側面部75Eに当接することにより、接触部材79の揺動が規制されるものであったが、他方の突出部81Eも、一方の突出部81Dと同様に、ラチェット部材75の後方延出部75Cに形成した貫通孔に挿通するようにしてもよい。すなわち、2個の突出部81D,81Eのそれぞれが挿通する貫通孔をラチェット部材75の後方延出部75Cに形成するようにしてもよい。