JP2013057709A - 遮音カバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気層を介して騒音発生源(エンジン12)の少なくとも一部を覆うカバー本体2と、騒音発生源(エンジン12)とカバー本体2とを結合する結合部3とを備え、結合部3は、弾性体構造を有しており、カバー本体2には、ばねと質量とを有する動吸振器(振動部4)が設けられている遮音カバー1とする。
【選択図】図2
Description
(車両の構成)
エンジンカバー1(遮音カバー)は、図1に示すように、自動車等の車両11に設けられている。車両11には、エンジン12、エンジンオイルを溜めるオイルパン13、および、エンジン12から排出された排気ガスが通る排気管14が設けられており、これらは、エンジン12が稼働されると振動して騒音を発生させる。そして、エンジンカバー1は、空気層21を介して騒音発生源であるエンジン12の上面を覆って、エンジン12からの騒音を遮音している。なお、エンジンカバー1は、エンジン12の全部を覆っていてもよい。
エンジンカバー1は、図2に示すように、カバー本体2と、カバー本体2とエンジン12とを結合する結合部3とを有しており、カバー本体2には振動部4(動吸振器)が形成されている。
カバー本体2は、21個の平面2a〜2uが組み合わされて形成されており、カバー本体2の四隅に位置する平面2r,2s,2t,2uには、結合部3がそれぞれ設けられている。各平面2a〜2uは、エンジン12から発生する騒音の周波数に基づいて決定される曲げ波の波長の1/2以上の長さの平坦部を有している。このように、カバー本体2を曲面で構成するよりも、複数の平面を組み合わせて構成する方が、カバー本体2の剛性が低くなり、カバー本体2内を伝搬する曲げ波の波長が短くなるので、カバー本体2の放射効率(振動から音への変換効率)を低減させることができる。
図2のA部を拡大した図3に示すように、結合部3は、カバー本体2に穿孔された取付穴5と、この取付穴5に挿通されて、エンジン12に締結されるボルトやピン等の締結部材(図示せず)とを有している。また、カバー本体2には、結合部3を中心にして、開口部6が設けられている。なお、エンジン12とカバー本体2とは、ボルト等の締結部材を用いずに結合されていてもよい。この場合、取付穴5は不要である。
くなるので、カバー本体2の放射効率(振動から音への変換効率)が低くなる。これによ
り、カバー本体2からの再放射が低減するので、エンジンカバー1の遮音性能を向上させることができる。
本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、実施例のカバー本体2の重量の2倍の重量のカバー本体を用いたエンジンカバーを比較例として、実施例と比較例とで結合部の剛性を同じにして、遮音性能をそれぞれ測定した。但し、実施例、比較例ともにカバー本体に振動部は形成されていない。遮音性能測定結果を図5(a)に示す。実施例のカバー本体2の重量が、比較例のカバー本体の重量の1/2で、結合部の剛性が同じであれば、実施例のカバー本体2の固有振動数および共鳴周波数は比較例のカバー本体の固有振動数および共鳴周波数よりも高くなり、実施例の共鳴透過周波数は、比較例の共鳴透過周波数よりも高くなる。そのため、約315Hzよりも低い周波数領域においては、実施例のエンジンカバー1は比較例と比べて遮音性能が改善するが、約315Hzよりも高い周波数領域においては、実施例のエンジンカバー1は比較例と比べて遮音性能が悪化し、全体としても実施例の方が遮音性能が悪化することがわかる。
図2に示すように、カバー本体2の平面2aには、振動部4(動吸振器)が形成されている。振動部4は、この振動部4を拡大した図7に示すように、2つの振動片7、8を有しており、これら2つの振動片7、8は、それぞれ、平面2aの厚み方向に貫通した半島形状の切り込み7a、8a(以下、スリット7a、8aと記載する。)を入れることによって形成されたものである。振動片7、8は、先端に錘(質量)のついた板ばねと考えることができ、振動片7、8により動吸振器が形成されることとなる。なお、振動片7、8は、振動片7、8と平面2aとを連結する連結部7b、8bが互いに対向し、且つ平面2aに垂直な平面において互いに面対称となるように形成されている。
本実施形態であるエンジンカバー1を実施例とし、振動部4が形成されていない以外は実施例と同じ構造であるエンジンカバーを比較例として、遮音性能を測定した。その結果を図8に示す。なお、実施例において、スリット7a、8aの開口率は0.1%とし、振動片7、8の固有振動数は1000Hzに調整した。図8に示すとおり、実施例のエンジンカバー1は、比較例と比べて1000Hz付近において遮音性能が大幅に向上していることがわかる。また、実施例のエンジンカバー1は、比較例と比べて250Hz付近、即ち、共鳴透過周波数付近においても、遮音性能が大幅に向上していることがわかる。この結果より、1000Hz付近では、振動部4が動吸振器として作用してエンジンカバー1の振動を抑制し、250Hz付近、即ち、共鳴透過周波数付近では、振動部4周りのスリット7a、8aの吸音による遮音効果を奏していることがわかる。
本実施形態においてスリット7a、8aの開口率は0.1%としているが、開口率はこれに限られるものではない。例えば、スリット7a、8aの開口率を大きくすると吸音による遮音効果は向上する。しかしながら、スリット7a、8aの開口率を大きくしていくと、音波がスリット部を通過する割合が大きくなるため高周波数において遮音性能の低下を招くこととなる。したがって、スリット7a、8aの開口率は、スリット7a、8aの吸音による遮音性能の向上量と高周波数における遮音性能の低下量の総和を考慮して定めなければならない。そこで、開口率と遮音性能の向上量との関係を計算により測定した。
図10は、本実施形態の変形例を示し、前記したエンジンカバー1に複数の微細孔9が設けられたものである。微細孔9によって、スリット7a、8aと同様、微細孔9を通過する空気層内の空気に粘性抵抗による減衰作用と動圧損失による減衰作用とが生じて、微細孔9を通過した音波が吸音される。
次に、本発明の第2実施形態について、図11を用いて説明する。本実施形態のエンジンカバー(遮音カバー)51は、カバー本体2の四隅に結合部3と構造の異なる結合部53が設けられている点で、第1実施形態のエンジンカバー1と異なっている。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のエンジンカバー(遮音カバー)101は、図12に示すように、エンジン112の一部を覆っている。なお、エンジンカバー101がエンジン112の全部を覆っていてもよい。エンジン112とエンジンカバー101との間には空気層21があり、エンジンカバー101が有するカバー本体2とエンジン112とは、第2実施形態と同様の結合部53によって結合されている。そして、カバー本体2の端部とエンジン112との間には隙間が存在している。
本実施形態であるエンジンカバー101を実施例とし、カバー本体2の端部とエンジン112との間に隙間があるエンジンカバーを比較例として、遮音性能をそれぞれ測定した。その結果を図16に示す。400Hzよりも高い周波数領域において、実施例のエンジンカバー101の遮音性能は、比較例のエンジンカバーの遮音性能よりも向上することがわかる。これは、カバー本体2の端部2xの少なくとも一部をエンジン112に接触させることで、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の少なくとも一部がカバー本体2の端部2xで覆われ、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間から騒音が漏れるのが抑制されるからである。
次に、本実施形態であるエンジンカバー101を実施例とし、実施例のエンジンカバー101に対して、カバー本体2の端部2xとエンジン112との間に生じる摩擦による減衰が10分の1のエンジンカバーを比較例として、遮音性能をそれぞれ計算した。その結果を図17に示す。エンジンカバー110を設置したことで騒音が大きくなる周波数である1000Hzにおいて、実施例のエンジンカバー101の遮音性能は、比較例のエンジンカバーの遮音性能よりも向上することがわかる。これは、エンジン112とカバー本体2の端部2xとの間に相対変位が生じることで接触部分に生じる摩擦力によりカバー本体2における振動減衰が大きくなり、比較例よりも振動が大きく減衰されるからである。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のエンジンカバー201は、図18に示すように、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の一部を覆う金属製の遮蔽部材61を有している点で、第3実施形態のエンジンカバー101と異なっている。なお、遮蔽部材61が、カバー本体2の端部2xとエンジン112との隙間の全部を覆っていてもよい。ここで、図示していないが、第1実施形態の結合部3または第2実施形態の結合部53により、エンジン112とカバー本体2とが結合されている。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
2 カバー本体
2a〜2u 平面
2x、2y 端部
3、53 結合部
4 振動部
5 取付穴
6 開口部
7、8 振動片
7a、8a スリット
7b、8b 連結部
9 微細孔
11 車両
12、112 エンジン
13 オイルパン
14 排気管
21 空気層
54a、54b 固定部材
55a、55b 弾性体
56 貫通穴
57 ボルト穴
61、71 遮蔽部材
112a 凸部
112b 側面
Claims (6)
- 空気層を介して騒音発生源の少なくとも一部を覆うカバー本体と、
前記騒音発生源と前記カバー本体とを結合する結合部と、
を備え、
前記結合部は、弾性体構造を有しており、
前記カバー本体には、ばねと質量とを有する動吸振器が設けられていることを特徴とする遮音カバー。 - 前記動吸振器が、前記カバー本体に形成された半島形状の振動部であることを特徴とする請求項1に記載の遮音カバー。
- 前記カバー本体が、複数の平面を組み合わせて構成されており、
当該複数の平面のうちの少なくとも一面に前記振動部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遮音カバー。 - 前記振動部を形成するスリットの面積が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることを特徴とする請求項2又は3に記載の遮音カバー。
- 前記カバー本体には、複数の微細孔が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の遮音カバー。
- 前記スリットの面積と前記複数の微細孔の合計面積との総和が、前記カバー本体の表面積に対して、0.05%以上1.25%以下の割合であることを特徴とする請求項5に記載の遮音カバー。
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