JP2013057388A - 車両用無段変速機 - Google Patents

車両用無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2013057388A
JP2013057388A JP2011197102A JP2011197102A JP2013057388A JP 2013057388 A JP2013057388 A JP 2013057388A JP 2011197102 A JP2011197102 A JP 2011197102A JP 2011197102 A JP2011197102 A JP 2011197102A JP 2013057388 A JP2013057388 A JP 2013057388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
input
shaft
output
continuously variable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011197102A
Other languages
English (en)
Inventor
Kei Sato
啓 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHINJO JIDOSHA KK
Original Assignee
SHINJO JIDOSHA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHINJO JIDOSHA KK filed Critical SHINJO JIDOSHA KK
Priority to JP2011197102A priority Critical patent/JP2013057388A/ja
Publication of JP2013057388A publication Critical patent/JP2013057388A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)

Abstract

【課題】入力軸あるいは出力軸から入力されるトルクの大きさに追従して双方向のトルク伝達を行うことができると共に、トルク伝達不要時、クラッチ機構を用いないでニュートラル状態にすることができる車両用無段変速機を提供すること。
【解決手段】トルク伝達部材(パワーローラ部材)60を平行隙間Sの中心線Soに沿って往復動させ、両円錐ローラ40,50における接触径を変えることで無段階に変速する変速手段(ローラ軸傾斜変速機構)70と、入力軸20又は出力軸30からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力により、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に対するトルク伝達部材60の接触力を発生する接触力発生手段(ローディングカム機構)80と、平行隙間Sの間隔を広げる方向の軸力により、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に対するトルク伝達部材60の接触力を解除する接触力解除手段(付勢機構)90と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載する車両用無段変速機に関するものである。
従来、入力軸に連結した入力側の円錐ローラと、出力軸に連結すると共に入力側の円錐ローラと逆向きに配置した出力側の円錐ローラと、入力側の円錐ローラと出力側の円錐ローラの間に配置した連結ローラと、を備え、両円錐ローラによって連結ローラを挟圧してトルク伝達を行うと共に、連結ローラを両円錐ローラ間で往復動させて変速する車両用無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7-127702号公報
しかしながら、従来の車両用無段変速機にあっては、拡圧コイルスプリングによって出力側の円錐ローラを入力側の円錐ローラに向かって付勢することで連結ローラの挟圧力を高めているため、伝達可能な最大トルクが制限されるという問題があった。
すなわち、摩擦伝動による伝達トルクは、一般的に摩擦係数と押し付け力の積により求められるが、摩擦係数を一定とすると、押し付け力に応じて伝達トルクが決まる。従来の車両用無段変速機では、この押し付け力、つまり両円錐ローラによる連結ローラの挟圧力が、拡圧コイルスプリングの付勢力に依存しており、この付勢力で伝達可能な最大トルクが制限されてしまう。そして、この付勢力で決まる最大トルク以上のトルクが入力されても、この最大トルク以上のトルクは連結ローラをスリップさせるトルクになってしまう。この結果、駆動源等からの入力トルクが高トルク域までの広いトルク幅で変化する車両用無段変速機として適用することができなかった。
また、車両用無段変速機として適用する場合、駆動源と駆動輪の間のトルク伝達を遮断するニュートラル機能を持たせる必要がある。しかし、上記拡圧コイルスプリングは出力側の円錐ローラを常時付勢しているため、両円錐ローラ間でトルクを伝達しない状態、いわゆるニュートラル状態にすることができず、トルク伝達を遮断するためには車両用無段変速機の前後のどちらかにクラッチ機構を設ける必要があるという問題もあった。
そこで、本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、入力軸あるいは出力軸から入力されるトルクの大きさに追従して双方向のトルク伝達を行うことができると共に、トルク伝達不要時、クラッチ機構を用いないでニュートラル状態にすることができる車両用無段変速機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明では、トランスミッションケースに対し回転可能に支持した入力軸及び出力軸と、前記入力軸と一体回転する入力側円錐ローラと、前記出力軸と一体回転すると共に、前記入力側円錐ローラとの間に間隔が一定の平行隙間を有する出力側円錐ローラと、前記平行隙間に配置し、前記両円錐ローラにより挟圧することでトルク伝達を行うトルク伝達部材と、を備えた車両用無段変速機において、
前記トルク伝達部材を前記平行隙間の中心線に沿って往復動させ、前記両円錐ローラにおける接触径を変えることで無段階に変速する変速手段と、
前記入力軸又は前記出力軸からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、前記平行隙間の間隔を狭める方向の軸力により、前記入力側円錐ローラと前記出力側円錐ローラに対する前記トルク伝達部材の接触力を発生する接触力発生手段と、
前記平行隙間の間隔を広げる方向の軸力により、前記入力側円錐ローラと前記出力側円錐ローラに対する前記トルク伝達部材の接触力を解除する接触力解除手段と、
を備えたことを特徴としている。
よって、本発明の車両用無段変速機にあっては、接触力発生手段により、入力軸又は前記出力軸からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、平行隙間の間隔を狭める方向の軸力で、入力側円錐ローラと出力側円錐ローラに対するトルク伝達部材の接触力が発生させられる。このため、トルク入力方向に拘らず入力トルクの大きさに追従して入力側円錐ローラと出力側円錐ローラに対するトルク伝達部材の接触力(挟圧力)を高めることができ、入力トルクが高トルク域までの広いトルク幅で変動してもトルク伝達時のトルク伝達部材の滑りを防止して、確実に伝達することができる。
また、接触力解除手段により、平行隙間の間隔を広げる方向の軸力で、入力側円錐ローラと出力側円錐ローラに対するトルク伝達部材の接触力が解除される。このため、入力側円錐ローラと出力側円錐ローラに対するトルク伝達部材の接触力(挟圧力)を弱めることができ、伝達トルクが小さいときにはトルク伝達部材と両円錐ローラ間の接触面がスリップする。これにより、ローラ間でのトルク伝達不要時には、クラッチ機構を使用することなくニュートラル状態にすることができる。
この結果、入力軸あるいは出力軸から入力されるトルクの大きさに追従して双方向のトルク伝達を行うことができると共に、トルク伝達不要時、クラッチ機構を用いないでニュートラル状態にすることができる。
実施例1の車両用無段変速機を適用した駆動アシスト機構を有するフルトレーラトラックを示す外観図である。 実施例1の車両用無段変速機を適用した駆動アシスト機構を示す全体システム図である。 実施例1の車両用無段変速機を示す横断面図である。 実施例1の車両用無段変速機における両円錐ローラとパワーローラ部材の位置関係を示す斜視図である。 パワーローラ部材の説明図であり、(a)は斜視図を示し、(b)は全体構造の一部破断説明図である。 ローラ軸傾斜変速機構を示す一部破断断面図である。 ローディングカム機構の説明図であり、(a)はトルク伝達がない状態を示し、(b)はトルク伝達がある状態を示す。 駆動アシスト機構のコントローラにて実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。 傾斜閾値レベルの設定に使用するマップの一例である。 路面状態の判断に使用する判断表の一例である。 実施例1の車両用無段変速機における変速状態の説明図であり、(a)はロー変速比状態であり、(b)は中間変速比状態であり、(c)はハイ変速比状態である。 実施例1の車両用無段変速機での変速動作を示す説明図であり、(a)は中立位置状態を示し、(b)は減速位置状態を示し、(c)は増速位置状態を示す。 駆動アシスト走行モードにおけるトルク伝達方向を示す説明図である。 制動回収走行モードにおけるトルク伝達方向を示す説明図である。 ローラ軸傾斜変速機構の変形例を示す説明図であり、(a)は要部を破断した部分平面図を示し、(b)は図15(a)に示す矢印D方向から見た車両用無段変速機の側面を示す。 図15に示すローラ軸傾斜変速機構での変速動作を示す説明図であり、(a)は中立位置状態を示し、(b)は減速位置状態を示し、(c)は増速位置状態を示す。 トルク伝達部材の変形例を示す説明図であり、(a)は両円錐ローラとリング部材を模式的に示し、(b)は図17(a)におけるE−E断面を示す。
以下、本発明の車両用無段変速機を実現するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用無段変速機を適用した駆動アシスト機構を有するフルトレーラトラックを示す外観図である。図2は、実施例1の車両用無段変速機を適用した駆動アシスト機構を示す全体システム図である。図3は、実施例1の車両用無段変速機を示す横断面図である。図4は、実施例1の車両用無段変速機における入力側円錐ローラと出力側円錐ローラとパワーローラの位置関係を示す斜視図である。図5は、パワーローラの説明図であり、(a)は斜視図を示し、(b)は全体構造の一部破断説明図である。図6は、ローラ軸傾斜変速機構を示す一部破断断面図である。図7は、ローディングカム機構の説明図であり、(a)はトルク伝達がない状態を示し、(b)はトルク伝達がある状態を示す。
フルトレーラトラック1は、図1に示すように、トラクター2と、トレーラ3と、駆動アシスト機構100と、を備えている。
トラクター2は、エンジン(主駆動源)を搭載して自走可能な牽引車であり、後部に牽引装置2aを備えている。トレーラ3は、トラクター2に牽引される被牽引車であり、前部に牽引装置2aに接続する被牽引装置3aを備えている。駆動アシスト機構100は、トレーラ3の一対の前輪4aと一対の後輪4bの間に搭載され、登坂路等の走行負荷が大きい高負荷走行時に変速を伴ってフルトレーラトラック1の駆動アシストを行う。この駆動アシスト機構100は、図2に示すように、エアモータ101と、エアコンプレッサ102と、エアタンク103と、コントローラ104と、車両用無段変速機10と、を有している。
エアモータ101は、高圧エアを利用して回転駆動する機能を有し、ハウジング、ハウジング内で回転するベーン付ロータ、ベーン付ロータに接続した出力軸101aを有している。そして、このエアモータ101の吸気口には、吸気管101bが接続し、モータ側電磁弁(以下、モータ側弁という)105を介してエアタンク103に連通している。一方、エアモータ101の出力軸101aには、車両用無段変速機10の入力軸20が接続している。
エアコンプレッサ102は、吸入した空気を圧縮して高圧エアを生成する機能を有し、シリンダ室、シリンダ室内を往復動するピストン、ピストンを駆動するクランク軸102aを有している。そして、このエアコンプレッサ102の吐出口には、供給管102bが接続し、コンプレッサ側電磁弁(以下、コンプレッサ側弁という)106を介してエアタンク103に連通している。一方、エアコンプレッサ102のクランク軸102aには、コンプレッサ側ドグクラッチ(以下、コンプレッサクラッチという)108を介して車両用無段変速機10の入力軸20が接続している。
エアタンク103は、エアコンプレッサ102で生成された高圧エアを貯留し、エアモータ101に高圧エアを適宜供給すると共に、後述するローラ軸傾斜変速機構70の両ロッドシリンダ71に高圧エアを常時供給する。
コントローラ104は、車両用無段変速機10の入力軸20の回転数を検出する入力回転数センサ104aと、車両用無段変速機10の出力軸30の回転数を検出する出力回転数センサ104bと、フルトレーラトラック1が走行している路面の傾斜角度を検出する路面傾斜センサ104cと、トレーラ3の車高を検出する車高センサ104dと、エアタンク103の内部圧力を検出するタンク圧センサ104eと、トラクター2のシフト位置を検出するシフト位置センサ104fと、トラクター2のアクセル操作量を検出するアクセル操作量センサ104gと、トレーラ3のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作量センサ104hからの情報が入力される。そして、路面傾斜角検出値と車高検出値及び減速要求に基づき、モータ側弁105、コンプレッサ側弁106、コンプレッサクラッチ108、ローラ軸傾斜変速機構70にそれぞれ制御指示を出力してアシスト制御処理を実行する。
車両用無段変速機10は、図2,図3に示すように、トランスミッションケース11と、入力軸20と、出力軸30と、入力軸20と一体回転する入力側円錐ローラ40(図4に示す入力ローラ軸をOinとする)と、出力軸30と一体回転する出力側円錐ローラ50(図4に示す出力ローラ軸をOoutとする)と、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50の間の平行隙間Sに配置したパワーローラ部材(トルク伝達部材)60と、ローラ軸傾斜変速機構(変速手段)70と、ローディングカム機構(接触力発生手段)80と、付勢機構(接触力解除手段)90と、を備えている。
ここで、「平行隙間」とは、一対の入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50が対向した位置の間に生じる隙間であり、各円錐ローラ40,50の軸方向に間隔が一定になっており、対向した面が平行になっている。
入力軸20は、トランスミッションケース11を貫通すると共に、ベアリング11a,11bを介してトランスミッションケース11に対し回転可能に支持される。そして、トランスミッションケース11から突出した一端部20aにはエアモータ101が接続し、他端部20bにはエアコンプレッサ102が接続する。また、この入力軸20は、入力側円錐ローラ40とスプライン結合して軸方向に相対移動且つ一体回転可能となっている。
出力軸30は、入力軸20に対して平行に配置し、一端部30aはベアリング11cを介してトランスミッションケース11に対し回転可能に支持される。また、突出孔13を介してトランスミッションケース11から突出した他端部30bは、ローラ軸傾斜変速機構(変速手段)70により回転可能に支持されている。この出力軸30は、出力側円錐ローラ50の両端面と一体化しており、出力側円錐ローラ50と一体回転可能になっている。さらに、この他端部30bには、自在継手12を介してプロペラシャフトPSが接続している。なお、プロペラシャフトPSは、ファイナルギア(減速ギア)FG、ディファレンシャルギアDFを介して左右の後輪(アシスト駆動輪)4b,4bに接続している。
入力側円錐ローラ40は、入力軸20が入力ローラ軸Oinに沿って貫通した円錐型のローラであり、入力軸20と同軸に配置している。また、この入力側円錐ローラ40は、ここでは、大径端部41がエアモータ101側に位置し、小径端部42がエアコンプレッサ102側に位置している。
出力側円錐ローラ50は、入力側円錐ローラ40と同じテーパ角度を有する円錐型のローラであり、出力軸30と同軸に配置すると共に、入力側円錐ローラ40に対してテーパ面が逆になるように配置されている。すなわち、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50は、互いのローラ軸Oin,Ooutが平行で逆向きに配置されている。さらに、この出力側円錐ローラ50は、出力軸30の他端部30b側の大径端部51が、出力軸30と共に揺動可能になっている。
パワーローラ部材60は、入力側円錐ローラ40及び出力側円錐ローラ50のそれぞれに外周面が接触し、両円錐ローラ40,50により挟圧することで、入力軸20から出力軸30、あるいは出力軸30から入力軸20へとトルク伝達を行うトルク伝達部材である。このパワーローラ部材60は、図5に示すように、第一ローラ61aと、第二ローラ61bと、枠体62と、スライドシャフト63と、を有している。
第一,第二ローラ61a,61bは、同形の円筒形状を呈しており、入力側円錐ローラ40の入力ローラ軸Oinと、出力側円錐ローラ50の出力ローラ軸Ooutを通る面を挟んで対向している。図4において、第一ローラ61aは上記ローラ軸Oin,Ooutを通る面よりも上側で両円錐ローラ40,50に外周面がそれぞれ接し、第二ローラ61bは上記ローラ軸Oin,Ooutを通る面よりも下側で両円錐ローラ40,50に外周面がそれぞれ接している。
枠体62は、第一,第二ローラ61a,61bを、支持間隔を保ったままでそれぞれ回動可能に支持する。ここで、各ローラ61a,61bの回転中心軸は、平行隙間Sの中心線Soと平行になっている。この枠体62は、第一,第二ローラ61a,61bを取り囲む枠部62aと、スライドシャフト63が貫通する筒部62bと、を有している。枠部62aは、入力側円錐ローラ40側及び出力側円錐ローラ50側が開放し、それぞれの開放部分から第一,第二ローラ61a,61bの外周面が露出している。一方、両端が開放した中空の筒部62bは、枠部62aの中央部を貫通している。
スライドシャフト63は、平行隙間Sの中心線Soに沿って延びると共に、両端が屈曲してトランスミッションケース11の底面11dに固定された、いわゆる門型シャフトである(図5(b)参照)。このスライドシャフト63は、筒部62bが円滑に移動するように筒部62bの内径よりも僅かに細くなっている。
ローラ軸傾斜変速機構70は、パワーローラ部材60を平行隙間Sの中心線Soに沿って往復動させ、両円錐ローラ40,50における接触径を変えることで無段階に変速する機能を有する変速手段である。このローラ軸傾斜変速機構70は、揺動可能な出力側円錐ローラ50の一端部である大径端部51と、トランスミッションケース11の間に介装し、図6に示すように、両ロッドシリンダ(変速アクチュエータ)71と、両ロッドシリンダ71に支持された軸受部(動作変換構造)72と、軸受部72の揺動を抑制する付勢部73と、を有している。
両ロッドシリンダ71は、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutを平行に保つ中立位置と、入力ローラ軸Oinに対し出力ローラ軸Ooutを一方向に傾ける減速位置と、入力ローラ軸Oinに対し出力ローラ軸Ooutを他方向に傾ける増速位置と、を切り替える機能を有する変速アクチュエータである。この両ロッドシリンダ71は、シリンダケース71aと、このシリンダケース71aに内蔵されたピストン71b及び一対のスプリング71d,71dと、を有している。
シリンダケース71aは、軸線が入力ローラ軸Oin及び出力ローラ軸Ooutに対して法線(垂直)方向に延びるように配置され、トランスミッションケース11の外面に固定されている。そして、このシリンダケース71aの、ピストン71bによって区画された両圧力室711a,712aは、それぞれ吸気管71e,71eを介してエアタンク103に接続されると共に、電磁弁71g,71gを介して大気に連通している。ここで、吸気管71e,71eはエアタンク103に常時連通しており、内側にエアの流量を規制するオリフィスを設けている。一方、電磁弁71g,71gは、コントローラ104からの制御信号によって開閉する。ピストン71bは、シリンダケース71aの両圧力室711a,712a間を気密に保ちつつ軸方向に移動するものであり、両側から延在してそれぞれシリンダケース71aから突出する一対のロッド71c,71cを有している。一対のロッド71c,71cの先端部には、軸受部72が接続している。一対のスプリング71d,71dは、ピストン71bを両側から中立位置に付勢するものであり、両圧力室711a,712a内に一つずつ配置している。
軸受部72は、ピストン71bと一体に移動可能であり、入力ローラ軸Oinに対して垂直方向に沿って出力ローラ軸Ooutを傾ける連結構造である。この軸受部72は、出力軸30を回転可能に支持するベアリング72aと、ベアリング72aを支持する支持枠72bと、を有している。支持枠72bには、付勢部73の後述するボール73aが嵌合する嵌合凹部72cが形成されている。
付勢部73は、ボール73aと、ボール73aを付勢するスプリング73bと、ボール73a及びスプリング73bを収容するケース73cと、を有している。ボール73aは、スプリング73bにより支持枠72b側に付勢され、ピストン71bが中立位置にあるとき嵌合凹部72cに嵌合する。ケース73cは、トランスミッションケース11の外面に固定されている。
さらに、図6中一点鎖線により、トランスミッションケース11に形成された出力軸30が突出する突出孔13を示す。この突出孔13は、入力ローラ軸Oin及び出力ローラ軸Ooutに対して法線(垂直)方向に長い長孔となっている。
ローディングカム機構80は、入力軸20又は出力軸30からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力により、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に対するパワーローラ部材60の接触力を発生する機能を有する接触力発生手段である。このローディングカム機構80は、入力軸20と入力側円錐ローラ40の間に介装し、第一カム81と、第二カム82と、複数のカムローラ83と、を有している。
第一カム81は、入力軸20からフランジ状に突出した円板形状を呈し、入力軸20と一体回転すると共に、入力側円錐ローラ40に面した内側面(軸方向片側面)81aに回転方向に傾斜した複数のV字状の傾斜面81bをもっている。
第二カム82は、入力側円錐ローラ40の大径側端面43から軸方向に突出した円板形状を呈し、この入力側円錐ローラ40と一体回転すると共に、第一カム81に対向した内側(軸方向片側面)82aに回転方向に傾斜した複数のV字状の傾斜面82bをもっている。
カムローラ83は、第一,第二カム81,82の径方向に沿って中心軸を配置すると共に、この第一カム81と第二カム82の間に挟持されている。ここで、第一カム81の傾斜面81bと第二カム82の傾斜面82bは対向しており、カムローラ83は、各傾斜面81b,82bの内側に配置されている(図7(a)参照)。
付勢機構90は、平行隙間Sの間隔を広げる方向の軸力により、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に対するパワーローラ部材60の接触力を解除する機能を有する接触力解除手段である。この付勢機構90は、トランスミッションケース11と入力側円錐ローラ40の小径端部42の間に介装され、入力側円錐ローラ40をエアモータ101側に常時付勢する。ここで、付勢機構90は、平行隙間Sの間隔を広げる方向のバネ軸力を付与するコイルスプリング(バネ)から構成されている。
図8は、駆動アシスト機構のコントローラにて実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車高センサ104dによりトレーラ3の車高を検出し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1で検出した車高データに基づいて車高差を演算し、ステップS3へ移行する。なお、車高差の演算は、予め無積載状態で検出しておいた車高から、ステップS1にて検出した車高を差し引くことにより行う。
ステップS3では、ステップS2で求めた車高差に基づいて、傾斜閾値レベルを設定する。この「傾斜閾値レベル」とは、平坦路・降坂路・登坂路の識別を行う際の閾値を設定する範囲である。なお、傾斜閾値レベルを設定する際には、例えば図9に示す設定マップを用いる。
ステップS4では、路面傾斜センサ104cによりフルトレーラトラック1が走行している路面の傾斜角度を検出し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4での路面の傾斜角度の検出に続き、減速要求があるか否かを判断し、YES(減速要求あり)の場合はステップS10へ移行し、NO(減速要求なし)の場合はステップS6へ移行する。なお、減速要求の有無判断は、トラクター2におけるダウンシフト操作の有無、アクセル戻し操作の有無、ブレーキ操作の有無に基づいて判断し、各操作のいずれかがあった場合には、減速要求があったと判断する。なお、ダウンシフト操作の有無はシフト位置センサ104fによって検出し、アクセル戻し操作の有無はアクセル操作量センサ104gによって検出し、ブレーキ操作の有無はブレーキ操作量センサ104hによって検出する。
ステップS6では、ステップS5での減速要求なしとの判断に続き、ステップS3で設定した傾斜閾値レベル及びステップS4で検出した路面傾斜角度に基づいて、走行中の路面が平坦路であるか否かを判断し、YES(平坦路)の場合はステップS7へ移行し、NO(平坦路でない)場合はステップS8へ移行する。なお、平坦路であるか否かの判断は、例えば図10に示す判断表を用いる。例えば、傾斜閾値レベルがBであって、傾斜角度が+1.2°であれば平坦路と判断する。また、傾斜角度が+1.2°であっても、傾斜閾値レベルがCであれば平坦路でないと判断する。
ステップS7では、ステップS6での平坦路走行中との判断により、駆動アシスト不要(ニュートラル走行モード)と判断し、コンプレッサクラッチ108を開放すると共に、モータ側弁105及びコンプレッサ側弁106を閉鎖し、エンドへ移行する。
ステップS8では、ステップS6での平坦路でないとの判断に続き、ステップS3で設定した傾斜閾値レベル及びステップS4で検出した傾斜角度に基づいて、走行中の路面が登坂路であるか否かを判断し、YES(登坂路)の場合はステップS9へ移行し、NO(登坂路でない=降坂路)場合はステップS10へ移行する。なお、登坂路であるか否かの判断は、例えば図10に示す判断表を用いる。例えば、傾斜閾値レベルがBであって、傾斜角度が+2.2°であれば登坂路と判断する。また、傾斜閾値レベルがBであって、傾斜角度が−2.2°であれば登坂路でない(=降坂路)と判断する。
ステップS9では、ステップS8での登坂路走行中との判断により、駆動アシストが必要(駆動アシスト走行モード)と判断し、モータ側弁105を開放し、一方、コンプレッサクラッチ108を開放すると共に、コンプレッサ側弁106を閉鎖し、ステップS11へ移行する。
ステップS10では、ステップS5での減速要求ありとの判断、又は、ステップS8での降坂路走行中との判断により、車両制動及びエネルギー回収が必要(制動回収走行モード)と判断し、モータ側弁105を閉鎖し、一方、コンプレッサクラッチ108を締結すると共に、コンプレッサ側弁106を開放し、ステップS11へ移行する。
ステップS11では、ステップS9又はステップS10でのコンプレッサクラッチ108,モータ側弁105,コンプレッサ側弁106の各制御に続き、入力軸20の回転数である入力回転数と、出力軸30の回転数である出力回転数を検出し、ステップS12へ移行する。なお、入力回転数は入力回転数センサ104aにより検出し、出力回転数は出力回転数センサ104bにより検出する。
ステップS12では、ステップS11で検出した各回転数に基づいて所定の回転数で入力軸20が回転数するように車両用無段変速機10の変速制御を実行し、エンドへ移行する。すなわち、駆動アシスト走行モードにおいては、車速に拘らず入力軸20の回転数をエアモータ101のモータ作動回転域に維持する変速制御を行う。また、制動回収走行モードにおいては、車速に拘らず入力軸20の回転数をエアコンプレッサ102のコンプレッサ作動回転域に維持する変速制御を行う。
次に、作用を説明する。
実施例1の車両用無段変速機10における作用を、「無段変速作用」、「トルク伝達作用」、「ニュートラル作用」、「アシスト駆動走行作用」、「制動回収走行作用」、「その他特徴的作用」に分けて説明する。
[無段変速作用]
実施例1の車両用無段変速機10における変速比は、パワーローラ部材60と入力側円錐ローラ40及び出力側円錐ローラ50との接触径、つまりパワーローラ部材60が接触した位置での各円錐ローラ40,50の断面半径の比率によって決まる。
すなわち、図11(a)に示すように、第一,第二ローラ61a,61bが入力側円錐ローラ40の小径端部42近傍に接し、出力側円錐ローラ50の大径端部51近傍に接した場合に、入力軸20から出力軸30へトルクが伝わる場合では、入力側断面半径Rinが出力側断面半径Routよりも小さくなり、変速比の値が大きくなる。このため、ロー変速比(減速)となる。
また、図11(b)に示すように、第一,第二ローラ61a,61bが入力側円錐ローラ40及び出力側円錐ローラ50に接した位置での入力側断面半径Rinと出力側断面半径Routが同じ大きさになる場合に、入力軸20から出力軸30へトルクが伝わる場合では、変速比が1になる。このため、中間変速比(直結)となる。
さらに、図11(c)に示すように、第一,第二ローラ61a,61bが入力側円錐ローラ40の大径端部41近傍に接し、出力側円錐ローラ50の小径端部52近傍に接した場合に、入力軸20から出力軸30へトルクが伝わる場合では、入力側断面半径Rinが出力側断面半径Routよりも大きくなり、変速比の値が小さくなる。このため、ハイ変速比(増速)となる。
一方、出力軸30から入力軸20へトルクが伝わる場合には、上述の場合と変速比が逆になる。つまり、出力軸30から入力軸20へトルクが伝わるときには、図11(a)に示す状態でハイ変速比(増速)になり、図11(c)に示す状態でロー変速比(減速)となる。また、図11(b)に示す状態で中間変速比(直結)となることは同じである。
なお、この車両用無段変速機10における変速比幅(レシオカバレッジ)は、両円錐ローラ40,50の長さ及びパワーローラ部材60の移動可能長さによって決まる。パワーローラ部材60は、スライドシャフト63の両端の屈曲部分に枠体62の筒部62bが当接することで移動が規制される。
そして、実施例1の車両用無段変速機10において変速比を変化させるには、パワーローラ部材60が接触した位置の両円錐ローラ40,50のそれぞれの半径、すなわち両円錐ローラ40,50における接触径の比率を変えればよい。ここで、接触径を変えるには、第一,第二ローラ61a,61bと出力側円錐ローラ50との接触位置を変化させる。これにより、接触位置における出力側円錐ローラ50の断面が楕円形になるため、第一,第二ローラ61a,61bは出力側円錐ローラ50の外周面に対して螺旋状に接触することになり、第一,第二ローラ61a,61bが平行隙間Sの中心線Soに沿って往復動する。これにより、変速比が連続的(無段階)に変化する。
そして、第一,第二ローラ61a,61bと出力側円錐ローラ50との接触位置を変化させるには、ローラ軸傾斜変速機構70により、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutを平行に保つ中立位置と、入力ローラ軸Oinに対し出力ローラ軸Ooutを一方向に傾けて減速する減速位置と、入力ローラ軸Oinに対し出力ローラ軸Ooutを他方向に傾けて増速する増速位置と、を切り替える。
すなわち、図12(a)に示すように、ローラ軸傾斜変速機構70の両ロッドシリンダ71において電磁弁71g,71gをそれぞれ閉鎖し、ピストン71bが中立位置で維持されている場合には、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutは平行になる。このとき、第一,第二ローラ61a,61bと各円錐ローラ40,50との接触位置における各円錐ローラ40,50の断面は、どちらも円形になるため、第一,第二ローラ61a,61bは、各円錐ローラ40,50の同位置に接触しつづけるので移動せず、これが中立位置となる。なお、このとき、付勢部73のボール73aは、軸受部72の嵌合凹部72cに嵌合し、振動等による支持枠72bの揺動を抑制する。
そして、入力軸20から出力軸30へトルク伝達している場合に、図12(b)に示すように、両ロッドシリンダ71において下側の電磁弁71gを開放すると、圧力室712a内の圧力が低下し、スプリング71dの付勢力に抗してピストン71bが下方に移動する。これにより、軸受部72はボール73aを乗り越えて下方に移動し、出力軸30を垂直方向に沿って下方に押し下げる。この結果、出力ローラ軸Ooutが入力ローラ軸Oinに対して傾き、第一,第二ローラ61a,61bと出力側円錐ローラ50との接触位置がずれ、第一,第二ローラ61a,61bは出力側円錐ローラ50の外周面を螺旋状に接触する。そして、第一,第二ローラ61a,61bは、入力トルクを伝達しつつ出力側円錐ローラ50の大径端部51に向かって移動する。すなわち、このとき入力側円錐ローラ40の接触径である入力側断面半径Rinは次第に小さくなり、出力側円錐ローラ50の接触径である出力側断面半径Routは次第に大きくなるため、これが減速位置となる。なお、出力軸30から入力軸20へトルク伝達している場合では、図12(b)に示す状態で増速位置となる。
一方、入力軸20から出力軸30へトルク伝達している場合に、図12(c)に示すように、両ロッドシリンダ71において上側の電磁弁71gを開放すると、圧力室711a内の圧力が低下し、スプリング71dの付勢力に抗してピストン71bが上方に移動する。これにより、軸受部72はボール73aを乗り越えて上方に移動し、出力軸30を垂直方向に沿って上方に押し上げる。この結果、出力ローラ軸Ooutが入力ローラ軸Oinに対して傾き、第一,第二ローラ61a,61bと出力側円錐ローラ50との接触位置がずれ、第一,第二ローラ61a,61bは出力側円錐ローラ50の外周面を螺旋状に接触する。そして、第一,第二ローラ61a,61bは、入力トルクを伝達しつつ出力側円錐ローラ50の小径端部52に向かって移動する。すなわち、このとき入力側円錐ローラ40の接触径である入力側断面半径Rinは次第に大きくなり、出力側円錐ローラ50の接触径である出力側断面半径Routは次第に小さくなるため、これが増速位置となる。なお、出力軸30から入力軸20へトルク伝達している場合では、図12(c)に示す状態で減速位置となる。
そして、必要な変速比が得られたら、開放した電磁弁71gを閉鎖することで、両ロッドシリンダ71において圧力室711a,712a内の圧力が同等になり、ピストン71bが中立位置に維持される。これにより、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutが平行になって、第一,第二ローラ61a,61bの位置が固定される。
このように、実施例1の車両用無段変速機10では、変速手段であるローラ軸傾斜変速機構70において、電磁弁71g,71gの開閉制御を行って圧力室711a,712a内の圧力を制御する。これにより、ピストン71bを中立位置から上下動させて、入力ローラ軸Oinに対する出力ローラ軸Ooutの傾斜を変動することで中立位置と減速位置と増速位置を切り替え、連続的(無段階)に変速することができる。
特に、実施例1の車両用無段変速機10では、エア圧により駆動する両ロッドシリンダ71から構成された変速アクチュエータを用いているため、中立位置と減速位置と増速位置の切り替えを簡易な構造で行うことができる。
また、両ローラ軸Oin,Ooutの相対的な傾斜角度が僅かであっても、パワーローラ部材60と一方の円錐ローラ(ここでは出力側円錐ローラ50)との接触位置が変化すれば、パワーローラ部材60が円錐ローラ(ここでは出力側円錐ローラ50)の外周面を螺旋状に接触する。このため、伝達トルクの大きさに拘らず、円滑な変速を実現することができる。
[トルク伝達作用]
実施例1の車両用無段変速機10において、トルク伝達がなされる場合、入力軸20と一体に入力側円錐ローラ40が回転し、出力軸30と一体に出力側円錐ローラ50が回転し、回転する入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に接触しながらパワーローラ部材60の第一,第二ローラ61a,61bがそれぞれ回転する。このとき、トランスミッションケース11と入力側円錐ローラ40の大径端部41の間には、接触力発生手段であるローディングカム機構80が設けられている。
そのため、入力軸20から出力軸30へとトルク伝達がなされる場合には、まず、入力軸20からの入力トルクが第一カム81に伝わる。これにより、カムローラ83が傾斜面81bと傾斜面82bの間で転がり、第一カム81と第二カム82が軸方向に開く方向にスラスト力(ローディング力)が発生する(図7(b)参照)。このスラスト力により入力側円錐ローラ40が出力側円錐ローラ50に向かって移動し、これが両円錐ローラ40,50に対するパワーローラ部材60の接触力となる。そして、このスラスト力は、入力トルクの大きさに比例し、且つ平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力であるため、入力軸20からの入力トルクに比例した力で第一,第二ローラ61a,61bを挟圧することができ、第一,第二ローラ61a,61bの滑りを防止し、入力トルクの大きさに追従して確実に伝達することができる。
一方、出力軸30から入力軸20にトルク伝達がなされる場合では、出力軸30から出力側円錐ローラ50、パワーローラ部材60を順に介して入力側円錐ローラ40に入力トルクが伝達される。このとき、ローディングカム機構80では、まず第二カム82にトルクが伝わる。これにより、カムローラ83が傾斜面81bと傾斜面82bの間で転がり、第一カム81と第二カム82が軸方向に開く方向にスラスト力(ローディング力)が発生する。ここで、第一カム81が入力軸20に固定されているため、上記スラスト力が反力となって入力側円錐ローラ40が出力側円錐ローラ50に向かって移動し、これが両円錐ローラ40,50に対するパワーローラ部材60の接触力となる。そして、このスラスト力は、入力トルクの大きさに比例し、且つ平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力であるため、出力軸30からの入力トルクに比例した力で第一,第二ローラ61a,61bを挟圧することができ、第一,第二ローラ61a,61bの滑りを防止し、入力トルクの大きさに追従して確実に伝達することができる。
このように、実施例1の車両用無段変速機10では、入力軸20あるいは出力軸30から入力されるトルクに追従しながらトルク伝達を行うことができる。このため、入力トルクが高トルク域までの広いトルク幅で変動してもトルク伝達時のパワーローラの滑りを防止して、確実に伝達することができる。また、入力軸20から出力軸30へのトルク伝達、及び、出力軸30から入力軸20へのトルク伝達、すなわち双方向のトルク伝達を行うことができる。この結果、実施例1の車両用無段変速機10は、車両に搭載する無段変速機として適用することができる。
特に、実施例1の車両用無段変速機10では、入力されるトルクに追従しながらトルク伝達を行うために、接触力発生手段としてローディングカム機構80を用いている。これにより、簡易な構造でありながら、双方向からの入力トルクに追従するパワーローラ部材60の接触力を発生することができる。
さらに、実施例1の車両用無段変速機10では、パワーローラ部材60が、入力側円錐ローラ40の入力ローラ軸Oinと出力側円錐ローラ50の出力ローラ軸Ooutを通る面を挟んで対向する第一ローラ61aと第二ローラ61bと、この第一,第二ローラ61a,61bを、支持間隔を保ったままでそれぞれ回転可能に支持する枠体62と、を有している。
このため、パワーローラ部材60と、入力側円錐ローラ40及び出力側円錐ローラ50との接触点が4箇所になり、安定した状態でトルク伝達を行うことができ、入力トルクを確実に伝達できる。また、第一,第二ローラ61a,61bのそれぞれにかかる負荷を抑制することができて、第一,第二ローラ61a,61bを小型化することができる。この結果、車両用無段変速機10全体の小型化、軽量化を図ることができる。
[ニュートラル作用]
実施例1の車両用無段変速機10では、平行隙間Sの間隔を広げる方向の軸力により、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50に対するパワーローラ部材60の接触力を解除する接触力解除手段である付勢機構90が、入力側円錐ローラ40とトランスミッションケース11の間に介装されている。この付勢機構90は、平行隙間Sの間隔を広げる方向のバネ軸力を有するコイルスプリングから構成され、入力側円錐ローラ40を大径端部41側に常時付勢している。
そのため、入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50の間でトルク伝達がなされない場合には、両円錐ローラ40,50によるパワーローラ部材60の第一,第二ローラ61a,61bの接触力(挟圧力)が低下、すなわち解除される。これにより、伝達トルクが小さい時にはパワーローラ部材60と両円錐ローラ40,50の間の接触面がスリップしてしまい、例えば出力側円錐ローラ50が回転しても、パワーローラ部材60が滑って入力側円錐ローラ40へトルクが伝達されることはない。この結果、ローラ間でのトルク伝達不要時には、クラッチ機構を使用することなくニュートラル状態にすることができる。
特に、実施例1の車両用無段変速機10では、付勢機構90としてコイルバネを用いているため、簡易な構造でパワーローラ部材60の接触力を解除することができる。
[駆動アシスト走行作用]
実施例1のフルトレーラトラック1では、走行中、図10に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進み、走行している路面の傾斜状態を検出する。このとき、ステップS3において、車高(車高差)に応じて路面傾斜の判断閾値を異ならせているため、トレーラ3の積載量に応じて変化する慣性力に対応した制御を行うことができる。
そして、トラクター2に減速要求がなく登坂路を走行している場合、すなわち高負荷走行時では、ステップS5→ステップS6→ステップS8→ステップS9へと進み、アシスト駆動走行モードを設定する。すなわち、図13に示すように、モータ側弁105を開放し、一方、コンプレッサクラッチ108を開放すると共に、コンプレッサ側弁106を閉鎖する。
これにより、エアタンク103から供給された高圧エアエネルギーを利用して駆動したエアモータ101のトルクは、入力軸20から車両用無段変速機10を介して出力軸30に伝達される。
そして、ステップS11→ステップS12へと進み、車両用無段変速機10によって車速に拘らず入力軸20の回転数をモータ作動回転域に維持する変速制御を行う。なお、「モータ作動回転域」とは、エアモータ101において駆動アシストに必要なトルクの出力を可能とする回転数の領域である。
これにより、変速を伴ってエアモータ101により駆動アシストすることができるので、エアモータ101の駆動可能範囲を拡大することができ、高負荷走行時のトラクター2のエンジンに負荷がかかる場合であっても、エンジンの負担を軽減することができ、トラクター2のエンジンを大型化する必要がなくなる。
またこのとき、実施例1の車両用無段変速機10では、車速の変化に応じて無段階に変速するので、アシスト駆動力の変動を抑制し、スムーズで無駄のない駆動アシストを行うことができる。
[制動回収走行作用]
実施例1のフルトレーラトラック1において、減速要求時または降坂路走行時、すなわち、走行中のトラクター2のエンジン負荷が低い低負荷走行時の場合には、図10に示すフローチャートにおいて、ステップS5→ステップS10又はステップS5→ステップS6→ステップS8→ステップS10へと進み、制動回収走行モードを設定する。すなわち、図14に示すように、モータ側弁105を閉鎖し、一方、コンプレッサクラッチ108を締結すると共に、コンプレッサ側弁106を開放する。
これにより、後輪4b,4bの駆動エネルギーは、出力軸30から車両用無段変速機10を介して入力軸20へと伝達され、高圧エアエネルギーとしてエアタンク103に回収される。
そして、ステップS11→ステップS12へと進み、車両用無段変速機10によって車速に拘らず入力軸20の回転数をコンプレッサ作動回転域に維持する変速制御を行う。なお、「コンプレッサ作動回転域」とは、エアコンプレッサ102において高圧エアの生成を可能とする回転数の領域である。
これにより、変速を伴ってエアコンプレッサ102で高圧エアエネルギーの回収を効率よく行うことができ、高負荷走行時のアシスト駆動に必要な高圧エアエネルギーを賄うことができる。また、エアコンプレッサ102の駆動時にはトレーラ3に制動力が作用するので、トラクター2の制動動作に追従するようにトレーラ3を制動することができる。このため、トラクター2の後部がトレーラ3に押されて折れ角が鋭角になるいわゆるジャックナイフ現象等の発生を防止することができる。
なお、実施例1の駆動アシスト機構100では、車両用無段変速機10とエアコンプレッサ102との間にコンプレッサクラッチ108を介装しているが、車両用無段変速機10においてニュートラル状態にできるため、このコンプレッサクラッチ108がなくてもよい。しかしながら、エアモータ101により駆動アシストする際に、エアコンプレッサ102が入力軸20に連結していると、その分エアモータ101の負荷になってしまうため、エアモータ101が駆動する時(駆動アシスト走行モード時)には、エアコンプレッサ102を切り離しておく方がよい。
また、エアコンプレッサ102により高圧エアを生成する際に、エアモータ101が入力軸20に連結していると、その分エアコンプレッサ102に負荷になってしまうため、エアコンプレッサ102を駆動する時(制動回収走行モード時)には、エアモータ101を切り離してもよく、この場合にはエアモータ101と車両用無段変速機10との間にドグクラッチを配置する。
[その他特徴的作用]
実施例1の車両用無段変速機10では、入力軸20と出力軸30を互いに平行に配置し、入力側円錐ローラ40は入力軸20と同軸に配置し、出力側円錐ローラ50は出力軸30と同軸に配置している。そして、一対の入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50の対向する隙間を平行隙間Sとしている。
これにより、一対の円錐ローラ(入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50)で双方向からの入力トルクの伝達を行うことができ、車両用無段変速機10の構造を簡易化することができる。そして、これにより、車両用無段変速機10全体の小型化、軽量化を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用無段変速機にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) トランスミッションケース11に対し回転可能に支持した入力軸20及び出力軸30と、前記入力軸20と一体回転する入力側円錐ローラ40と、前記出力軸30と一体回転すると共に、前記入力側円錐ローラ40との間に間隔が一定の平行隙間Sを有する出力側円錐ローラ50と、前記平行隙間Sに配置し、前記両円錐ローラ40,50により挟圧することでトルク伝達を行うトルク伝達部材(パワーローラ部材)60と、を備えた車両用無段変速機10において、前記トルク伝達部材60を前記平行隙間Sの中心線Soに沿って往復動させ、前記両円錐ローラ40,50における接触径を変えることで無段階に変速する変速手段(ローラ軸傾斜変速機構)70と、前記入力軸20又は前記出力軸30からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、前記平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力により、前記入力側円錐ローラ40と前記出力側円錐ローラ50に対する前記パワーローラ部材60の接触力を発生する接触力発生手段(ローディングカム機構)80と、前記平行隙間Sの間隔を広げる方向の軸力により、前記入力側円錐ローラ40と前記出力側円錐ローラ50に対する前記パワーローラ部材60の接触力を解除する接触力解除手段(付勢機構)90と、を備えた構成とした。
このため、入力軸あるいは出力軸から入力されるトルクの大きさに追従して双方向のトルク伝達を行うことができると共に、トルク伝達不要時、クラッチ機構を用いないでニュートラル状態にすることができる。
(2) 前記トルク伝達部材は、前記両円錐ローラ40,50のそれぞれに外周面が接触するパワーローラ部材60であって、前記パワーローラ部材60は、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutを通る面を挟んで対向する第一ローラ61aと第二ローラ61bと、前記第一ローラ61aと前記第二ローラ61bを、支持間隔を保ったままでそれぞれ回転可能に支持する枠体62と、を有する構成とした。
このため、パワーローラ部材60と、両円錐ローラ40,50との接触点が4箇所になり、安定した状態でトルク伝達を行うことができると共に、第一,第二ローラ61a,61bのそれぞれにかかる負荷を抑制することができる。
(3) 前記入力軸20及び前記出力軸30は、互いに平行に配置し、前記入力軸20は、前記入力側円錐ローラ40と同軸に配置し、前記出力軸30は、前記出力側円錐ローラ50と同軸に配置し、前記一対の入力側円錐ローラ40と出力側円錐ローラ50の対向する隙間を、前記平行隙間Sとした構成とした。
このため、一対の円錐ローラ40,50によりトルク伝達を行うことができ、構造の簡易化を図り、車両用無段変速機10全体の小型化、軽量化を実現することができる。
(4) 前記接触力発生手段は、前記入力軸20と、該入力軸20に対し軸方向に相対移動可能な前記入力側円錐ローラ40の間に介装したローディングカム機構80であり、前記ローディングカム機構80は、前記入力軸20に固定すると共に、軸方向片側面(入力側円錐ローラ40に面した内側面)81aに円周方向に複数の傾斜面81bを形成した円板状の第一カム81と、前記入力側円錐ローラ40に固定する共に、前記第一カム81に対向する軸方向片側面82aに円周方向に複数の傾斜面82bを形成した円板状の第二カム82と、前記第一,第二カム81,82の径方向に沿って中心軸を配置し、前記第一,第二カム81,82の間に挟持したカムローラ83と、を有する構成とした。
このため、簡易な構造でありながら、双方向からの入力トルクに追従するパワーローラ部材60の接触力を発生することができる。
(5) 前記接触力解除手段は、前記トランスミッションケース11と、前記入力軸20に対し軸方向に相対移動可能な前記入力側円錐ローラ40の間に介装した付勢機構90であり、前記付勢機構90は、前記平行隙間Sの間隔を広げる方向のバネ軸力を付与するコイルバネ(バネ)を有する構成とした。
このため、簡易な構造でパワーローラ部材60の接触力を解除することができる。
(6) 前記変速手段は、揺動可能な前記出力側円錐ローラ50の一端部(大径端部)52と、前記トランスミッションケース11の間に介装したローラ軸傾斜変速機構70であり、前記ローラ軸傾斜変速機構70は、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutを平行に保つ中立位置(図12(a))と、前記入力ローラ軸Oinに対し前記出力ローラ軸Ooutを一方向に傾ける減速位置(図12(b))と、前記入力ローラ軸Oinに対し前記出力ローラ軸Ooutを他方向に傾ける増速位置(図12(c))と、を切り替える動作変換構造(軸受部)72及び変速アクチュエータ(両ロッドシリンダ)71を有する構成とした。
このため、簡易な構造で円滑な変速制御を行うことができる。
(7) 前記動作変換構造は、前記入力ローラ軸Oinに対して垂直方向に沿って前記出力ローラ軸Ooutを傾ける連結構造(軸受部)72である構成とした。
このため、簡易な構造で円滑な変速制御を行うことができる。
以上、本発明の車両用無段変速機を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、図15(a),(b)に示すように、ローラ軸傾斜変速機構における動作変換構造として、入力ローラ軸Oinの軸周りに沿って出力ローラ軸Ooutを傾ける偏心カム構造を適用してもよい。
すなわち、この偏心カム構造200は、偏心カムプレート201と、ベアリング202と、プレート押え203と、を有し、変換アクチュエータである片ロッドシリンダ204によって中立位置、減速位置、増速位置を切り替える。
偏心カムプレート201は、中心Ocamを有する円板であり、周縁から突出したフランジ部201aを有している。このフランジ部201aは、トランスミッションケース11の内側に位置し、カムプレート用開口部11eの外周縁部に当接している。
ベアリング202は、偏心カムプレート201に設けられて出力軸30を回動可能に保持するものである。このベアリング202は、偏心カムプレート201の中心Ocamからずれた(偏心した)位置に設けられ、中心Ocamと出力ローラ軸Ooutが偏心するようになっている。
プレート押え203は、偏心カムプレート201の周縁部に固定され、フランジ部201aとの間でトランスミッションケース11、すなわちカムプレート用開口部11eの外周縁部を保持するリング状の部材である。このプレート押え203は、複数のネジNによって偏心カムプレート201に固定されている。ここで、フランジ部201a及びプレート押え203とトランスミッションケース11の間には僅かな隙間が設けられ、偏心カムプレート201は、トランスミッションケース11に対して回転可能になっている。さらに、このプレート押え203には、片ロッドシリンダ204に連結した連結プレート205が設けられている。
連結プレート205は、一端がプレート押え203に固定され、偏心カムプレート201と一体に回転するものであり、他端には長孔205aが形成されている。
片ロッドシリンダ204は、シリンダケース204aと、このシリンダケース204aに内蔵されたピストン204b及び一対のスプリング204c,204cと、を有している。
前記シリンダケース204aは、軸線が出力ローラ軸Ooutに対して法線(垂直)方向に延びるように配置され、トランスミッションケース11の外面に固定されている。そして、このシリンダケース204aの、ピストン204bによって区画された両圧力室204d,204eは、それぞれ吸気管204f,204fを介して図示しないエアタンクに接続されると共に、電磁弁204g,204gを介して大気に連通している。ここで、吸気管204f,204fはエアタンクに常時連通しており、内側にエアの流量を規制するオリフィスを設けている。一方、電磁弁204g,204gは、コントローラ(図示せず)からの制御信号によって開閉する。ピストン204bは、シリンダケース204aの両圧力室204d,204e間を気密に保ちつつ軸方向に移動するものであり、上方に延在してシリンダケース204aから突出するロッド204hを有している。ロッド204hの先端部は、連結プレート205の長孔205aを貫通し、ネジNによって固定されている。一対のスプリング204c,204cは、ピストン204bを両側から中立位置に付勢するものであり、両圧力室204d,204e内に一つずつ配置している。
そして、この偏心カム構造200によって変速比を変化させるには、片ロッドシリンダ204のピストン204bを上下動させることで、偏心カムプレート201を回転させ、これにより出力ローラ軸Ooutを入力ローラ軸Oinの軸周りに沿って傾ける。
すなわち、図16(a)に示すように、片ロッドシリンダ204において電磁弁204g,204gをそれぞれ閉鎖し、ピストン204bが中立位置で維持されている場合には、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutは平行になる。このとき、第一,第二ローラ61a,61bと各円錐ローラ40,50との接触位置における各円錐ローラ40,50の断面は、どちらも円形になるため、第一,第二ローラ61a,61bは、各円錐ローラ40,50の同位置に接触しつづけるので移動しない。
そして、入力軸20から出力軸30へトルク伝達している場合に、図16(b)に示すように、片ロッドシリンダ204において下側の電磁弁204gを開放すると、圧力室204e内の圧力が低下し、スプリング204cの付勢力に抗してピストン204bが下方に移動する。これにより、連結プレート205はロッド204hによって下方に引っ張られ、偏心カムプレート201は時計方向に回転する。このとき、中心Ocamに対して偏心した出力ローラ軸Ooutは中心Ocamの軸周りに沿って移動する。この結果、出力ローラ軸Ooutが入力ローラ軸Oinの軸周りに沿って傾くこととなる。
一方、入力軸20から出力軸30へトルク伝達している場合に、図16(c)に示すように、片ロッドシリンダ204において上側の電磁弁204gを開放すると、圧力室204d内の圧力が低下し、スプリング204cの付勢力に抗してピストン204bが上方に移動する。これにより、連結プレート205はロッド204hによって上方に引っ張られ、偏心カムプレート201は半時計方向に回転する。このとき、中心Ocamに対して偏心した出力ローラ軸Ooutは中心Ocamの軸周りに沿って移動する。この結果、出力ローラ軸Ooutが入力ローラ軸Oinの軸周りに沿って傾くこととなる。
このように、偏心カム構造200を用いて入力ローラ軸Oinの軸周りに沿って出力ローラ軸Ooutを傾けることで、入力ローラ軸Oinと出力ローラ軸Ooutの間の距離(間隔)が変動することがない。このため、変速時におけるパワーローラ部材60の挟持力の変化を抑制することができ、安定してトルク伝達を行うことができる。
なお、上述の例では片ロッドシリンダ204をトランスミッションケース11の外面に固定しているが、偏心カムプレート201の回転に伴ってシリンダケース204aの軸線が揺動可能となるように取り付けても良い。さらに、変速アクチュエータとして、上述の例では空圧式の片ロッドシリンダ204を用いているが、例えば、油圧式の片ロッドシリンダやモータによって回転するウォームギア等を用いても良い。
そして、実施例1の車両用無段変速機10では、トルク伝達部材としてパワーローラ部材60を適用したが、図17(a),(b)に示すように、トルク伝達部材として両円錐ローラ40,50の一方、ここでは入力側円錐ローラ40に内周面301が接触し、他方、ここでは出力側円錐ローラ50に外周面302が接触するリング部材300であってもよい。
このリング部材300は、入力側円錐ローラ40を貫通し、この入力側円錐ローラ40の最大外径よりも大きい内径R200と、平行隙間Sの間隔S1と等しい厚みWと、を有している。
このリング部材300は、入力側円錐ローラ40の外径に対して内径R200の方が大きいため、トルク伝達の際に両円錐ローラ40,50の回転数よりも回転数を少なく抑えることができる。この結果、磨耗を抑制して長期間の使用に耐えることができる。
そして、実施例1の車両用無段変速機10では、接触力発生手段としてローディングカム機構80とし、接触力解除手段として付勢機構90を用いたが、これに限らない。例えば伝達トルクの大きさに比例して変動する油圧力や空圧力によって平行隙間Sの間隔を狭める方向の軸力や、この隙間を広げる方向の軸力を発生し、パワーローラ部材60の接触力を発生したり解除したりしてもよい。
また、実施例1の車両用無段変速機10では、パワーローラ部材60が一対のローラ(第一ローラ,第二ローラ)61a,61bを有しているが、一つのパワーローラを用いても良い。
さらに、実施例1の車両用無段変速機10では、付勢機構90をコイルスプリングによって構成したが、平行隙間Sの間隔を広げる方向のバネ軸力を付与するバネであれば良いので、例えば皿バネを用いてもよい。また、上記平行隙間Sの間隔を広げる方向の軸力を付与する際に、入力トルクをゼロ、あるいは小さくしてもよい。
そして、実施例1では、本発明の車両用無段変速機10を、フルトレーラトラック1のトレーラ3に搭載された駆動アシスト機構100に適用した例を示したが、エンジン駆動の普通乗用車やハブリッド車両に搭載した駆動アシスト機構に適用してもよい。
また、駆動アシスト機構も、エアモータ101やエアコンプレッサ102を使用せず、例えば電気エネルギー(電力)によって駆動する電動モータ、駆動エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換するジェネレータ、電気エネルギー(電力)を蓄えるバッテリーを用いるものであってもよい。この場合では、車両の主駆動機構に本発明の車両用無段変速機10を適用することができる。
10 車両用無段変速機
11 トランスミッションケース
20 入力軸
30 出力軸
40 入力側円錐ローラ
50 出力側円錐ローラ
60 パワーローラ部材(トルク伝達部材)
61a 第一ローラ
61b 第二ローラ
70 ローラ軸傾斜変速機構(変速手段)
71 両ロッドシリンダ(変速アクチュエータ)
72 軸受部(動作変換構造)
71a シリンダケース
71b ピストン
80 ローディングカム機構(接触力発生手段)
81 第一カム
82 第二カム
83 カムローラ
90 付勢機構(接触力解除手段)
Oin 入力ローラ軸
Oout 出力ローラ軸

Claims (9)

  1. トランスミッションケースに対し回転可能に支持した入力軸及び出力軸と、
    前記入力軸と一体回転する入力側円錐ローラと、
    前記出力軸と一体回転すると共に、前記入力側円錐ローラとの間に間隔が一定の平行隙間を有する出力側円錐ローラと、
    前記平行隙間に配置し、前記両円錐ローラにより挟圧することでトルク伝達を行うトルク伝達部材と、を備えた車両用無段変速機において、
    前記トルク伝達部材を前記平行隙間の中心線に沿って往復動させ、前記両円錐ローラにおける接触径を変えることで無段階に変速する変速手段と、
    前記入力軸又は前記出力軸からの入力トルクの大きさに比例し、且つ、前記平行隙間の間隔を狭める方向の軸力により、前記入力側円錐ローラと前記出力側円錐ローラに対する前記トルク伝達部材の接触力を発生する接触力発生手段と、
    前記平行隙間の間隔を広げる方向の軸力により、前記入力側円錐ローラと前記出力側円錐ローラに対する前記トルク伝達部材の接触力を解除する接触力解除手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用無段変速機。
  2. 請求項1に記載された車両用無段変速機において、
    前記トルク伝達部材は、前記両円錐ローラのそれぞれに外周面が接触するパワーローラ部材であって、
    前記パワーローラ部材は、入力ローラ軸と出力ローラ軸を通る面を挟んで対向する第一ローラと第二ローラと、
    前記第一ローラと前記第二ローラを、支持間隔を保ったままでそれぞれ回転可能に支持する枠体と、
    を有することを特徴とする車両用無段変速機。
  3. 請求項1に記載された車両用無段変速機において、
    前記トルク伝達部材は、前記両円錐ローラの一方に内周面が接触し、他方に外周面が接触するリング部材であって、
    前記リング部材は、前記入力側円錐ローラ又は前記出力側円錐ローラのいずれか一方が貫通し、貫通した円錐ローラの最大外径よりも大きい内径と、
    前記平行隙間の間隔と等しい厚みと、
    を有することを特徴とする車両用無段変速機。
  4. 請求項1から請求項3に記載された車両用無段変速機において、
    前記入力軸及び前記出力軸は、互いに平行に配置し、
    前記入力軸は、前記入力側円錐ローラと同軸に配置し、
    前記出力軸は、前記出力側円錐ローラと同軸に配置し、
    前記一対の入力側円錐ローラと出力側円錐ローラの対向する隙間を、前記平行隙間としたことを特徴とする車両用無段変速機。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された車両用無段変速機において、
    前記接触力発生手段は、前記入力軸と、該入力軸に対し軸方向に相対移動可能な前記入力側円錐ローラの間に介装したローディングカム機構であり、
    前記ローディングカム機構は、前記入力軸に固定すると共に、軸方向片側面に円周方向に複数の傾斜面を形成した円板状の第一カムと、前記入力側円錐ローラに固定する共に、前記第一カムに対向する軸方向片側面に円周方向に複数の傾斜面を形成した円板状の第二カムと、前記第一,第二カムの径方向に沿って中心軸を配置し、前記第一,第二カムの間に挟持したカムローラと、有することを特徴とする車両用無段変速機。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された車両用無段変速機において、
    前記接触力解除手段は、前記トランスミッションケースと、前記入力軸に対し軸方向に相対移動可能な前記入力側円錐ローラの間に介装した付勢機構であり、
    前記付勢機構は、前記平行隙間の間隔を広げる方向のバネ軸力を付与するバネを有することを特徴とする車両用無段変速機構。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された車両用無段変速機において、
    前記変速手段は、揺動可能な前記出力側円錐ローラの一端部と、前記トランスミッションケースの間に介装したローラ軸傾斜変速機構であり、
    前記ローラ軸傾斜変速機構は、入力ローラ軸と出力ローラ軸を平行に保つ中立位置と、前記入力ローラ軸に対し前記出力ローラ軸を一方向に傾ける減速位置と、前記入力ローラ軸に対し前記出力ローラ軸を他方向に傾ける増速位置と、を切り替える動作変換構造及び変速アクチュエータを有することを特徴とする車両用無段変速機。
  8. 請求項7に記載された車両用無段変速機において、
    前記動作変換構造は、前記入力ローラ軸に対して平行方向に沿って前記出力ローラ軸を傾ける連結構造であることを特徴とする
  9. 請求項7に記載された車両用無段変速機において、
    前記動作変換構造は、前記入力ローラ軸の軸周りに沿って前記出力ローラ軸を傾ける偏心カム構造であることを特徴とする車両用無段変速機。


JP2011197102A 2011-09-09 2011-09-09 車両用無段変速機 Withdrawn JP2013057388A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011197102A JP2013057388A (ja) 2011-09-09 2011-09-09 車両用無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011197102A JP2013057388A (ja) 2011-09-09 2011-09-09 車両用無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013057388A true JP2013057388A (ja) 2013-03-28

Family

ID=48133431

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011197102A Withdrawn JP2013057388A (ja) 2011-09-09 2011-09-09 車両用無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013057388A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015074336A (ja) * 2013-10-09 2015-04-20 新庄自動車株式会社 車両制御装置
KR101609873B1 (ko) 2014-09-30 2016-04-11 최인상 핸디 클리너
CN113883243A (zh) * 2020-07-02 2022-01-04 四川大学 一种自适应变速外锥盘式无自旋牵引式无级变速器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015074336A (ja) * 2013-10-09 2015-04-20 新庄自動車株式会社 車両制御装置
KR101609873B1 (ko) 2014-09-30 2016-04-11 최인상 핸디 클리너
CN113883243A (zh) * 2020-07-02 2022-01-04 四川大学 一种自适应变速外锥盘式无自旋牵引式无级变速器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4539765B2 (ja) トロイダル式無段変速機
US10041589B2 (en) Containment control for a continuously variable transmission
JP2000009197A (ja) 車両用トロイダル型無段変速機
RU2654431C2 (ru) Реверсивная переменная трансмиссия (rvt) с повышенной удельной мощностью
EP3060421B1 (en) Traction system for hybrid vehicles
JP2013057388A (ja) 車両用無段変速機
CN105164448A (zh) 动力传递设备
JP5879659B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2016539293A (ja) バリエータ
JP4882965B2 (ja) トロイダル式無段変速機
JP5131091B2 (ja) トロイダル式無段変速機
JP2007198509A (ja) トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP4957647B2 (ja) 無段変速機
JP4923999B2 (ja) 変速制御装置
JP2918878B1 (ja) 自動車用無段変速機
KR101601581B1 (ko) 무단 변속기
JP5995101B2 (ja) トロイダル型無段変速機
CN104204613A (zh) 无级变速器
JP5195785B2 (ja) 無段変速装置
JP4962328B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3716524B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4379065B2 (ja) 無段変速装置
JP6413377B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5532668B2 (ja) トロイダル式無段変速機
RU131112U1 (ru) Механизм блокировки дифференциала транспортного средства

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20141202