JP2013056972A - スラグ排出システム、ガス化装置、およびガス化発電装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉3と、ガス化炉3の底部に設けられ、微粉原料から生じたスラグを受容するとともに冷却水が貯留されたスラグホッパ5と、ガス化炉3の系外にてスラグを一時的に貯留するロックホッパ9と、スラグホッパ5からロックホッパ9へと連通するスラグ排出ライン7と、を備えるスラグ排出システム1Aにおいて、ロックホッパ9は、ガス化炉3の側方に配置され、スラグ排出ライン7内でスラグがロックホッパ9へと導かれる冷却水の流れを形成する水流形成手段を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明のスラグ排出システムは、炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉と、ガス化炉の底部に設けられ、微粉原料から生じたスラグを受容するとともに冷却水が貯留された水槽と、ガス化炉の系外にてスラグを一時的に貯留するロックホッパと、水槽からロックホッパへと連通するスラグ排出ラインとを備えるスラグ排出システムにおいて、ロックホッパは、ガス化炉の側方に配置され、スラグ排出ライン内でスラグがロックホッパへと導かれる冷却水の流れを形成する水流形成手段を備えていることを特徴とする。
本発明は、水流形成手段により、スラグ排出ライン内にロックホッパへと水槽内の冷却水が導かれる流れを形成することとしたので、スラグをこの冷却水の流れに乗せて排出することができる。水流形成手段として、スラグ排出ラインの下流端の圧力を上流端の圧力と異なる圧力とする手段を挙げることができる。つまり、水流形成手段にはスラグ排出ラインの下流端での圧力を上流端の圧力に比べて低い圧力とする手段が含まれる。スラグ排出ラインの下流端の圧力と上流端の圧力の差に起因する力を駆動力として、スラグ排出ラインの内部に水流を形成する。
スラグを冷却水の流れに乗せて排出することができるため、スラグの移送にスラグに働く重力を利用する必要が無い。すなわち、ロックホッパをガス化炉の側方に配置することが可能となる。つまり、本発明はロックホッパをガス化炉の側方に配置することを可能とし、プラントの設置面からガス化炉上部までの高さを抑えることができる。
また、本発明の適用により、ロックホッパがガス化炉の下部ではなく、側方に配置されるため、ロックホッパの下方にロックホッパ以降のスラグ処理装置の少なくとも一部を配置することが可能である。このような配置とすれば、ロックホッパ内のスラグを重力により次のスラグ処理装置へ移送することができるため、スラグの移送にスクリューコンベアやスラリー移送ポンプ等を用いる必要がない。また、ロックホッパからのスラグの移送に限らず、重力によるスラグの移動を利用することにより、ロックホッパの下流側のスラグ排出システムを簡素化することが可能である。
また、スラグを分離した冷却水を再利用する際には、大気圧よりも高い圧力とされたガス化炉内の水槽内へ冷却水を注水する必要がある。一度大気圧下に冷却水を放出してスラグを分離した冷却水を水槽内に注水する場合は、注水ポンプにガス化炉内の圧力と大気圧との差圧以上の昇圧能力が要求される。一方、スラグ排出ラインとロックホッパと注水ラインとを含む循環流路を介して、冷却水を水槽へ注水する場合は、循環流路全体にガス化炉の圧力が作用しているため、ガス化炉内の圧力と大気圧との差圧を注水ポンプにより昇圧する必要がない。このため、循環流路を介して冷却水を水槽へ注水する場合は、比較的小さな昇圧能力の注水ポンプを利用することができる。
さらに、注水ポンプを注水ライン上に配設し、ロックホッパ内でスラグが分離された冷却水を注水ポンプに流す構成とした。したがって、スラグ排出ラインを流れる冷却水よりもスラグの少ない冷却水を注水ポンプに送ることができ、注水ポンプの故障率を低下させ、メンテナンス費用を低減することができる。
一方、水流方向切換手段によって、水槽からスラグ排出ラインへと導かれた冷却水の流れを、バイパスラインへと導く流れに選択した場合には、水槽内の冷却水がロックホッパへと導かれずにバイパスされ、注水ポンプおよび冷却水用クーラーを通過した後に水槽内へと返送されることになる。このように、ロックホッパをバイパスするとともに冷却水用クーラーによって、水槽内の冷却水温度を維持しつつ、ロックホッパにおけるスラグ排出処理といった工程をそれぞれ独立して行うことができる。
このように、加圧手段と減圧手段とを組み合わせることによって、ロックホッパと水槽との間に圧力差を形成し、この圧力差によってスラグ排出ラインに冷却水流れを形成することとした。すなわち、スラグ排出ラインに調整弁を用いることない。これにより、スラグによる弁体の摩耗や損傷が懸念される調整弁を用いることがないので、信頼性が向上する。
また、本発明の適用により、ロックホッパがガス化炉の下部ではなく、側方に配置されるため、ロックホッパの下方にロックホッパ以降のスラグ処理装置の少なくとも一部を配置することが可能となり、スラグを重力により次のスラグ処理装置へ移送することができるため、スラグの移送にスクリューコンベアやスラリー移送ポンプ等を用いる必要がなくなる。さらに、ロックホッパからのスラグの移送に限らず、重力によるスラグの移動を利用することにより、ロックホッパの下流側のスラグ排出システムを簡素化することが可能となる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
同図には、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)を行う石炭ガス化発電装置(ガス化発電装置)に用いられて好適なスラグ排出処理システム1Aが示されている。
石炭ガス化発電装置は、石炭(炭素質固体)をミル等によって砕かれた微粉炭(微粉原料)をガス化する石炭ガス化装置(ガス化装置)と、この石炭ガス化装置によって精製された可燃性ガスを用いた燃焼ガスによって駆動されるガスタービン(図示せず)と、このガスタービンの排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラ(HRSG,図示せず)と、排ガスボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービン(図示せず)と、ガスタービンおよび蒸気タービンの動力を得て発電する発電機(図示せず)とを備えている。
ガスタービンは、石炭ガス化装置によって精製された可燃性ガスを燃焼する燃焼器(図示せず)と、燃焼器から導かれた燃焼ガスによって回転駆動されるタービン(図示せず)と、該タービンの回転駆動力を得て回転し、空気を圧縮して燃焼器へと燃焼用空気を供給する圧縮機(図示せず)とを備えている。
内側容器3aには、一部の微粉炭を燃焼させてガス化反応に必要な熱量を得るコンバスタ3cと、コンバスタ3cからの熱量を得て微粉炭をガス化するリダクタ3dとが上下二段に配置されている。
ロックホッパ9では、冷却水とスラグが混合されたスラリーから冷却水とスラグとを分離する。具体的には、スラグ排出ライン7から導かれたスラリーは、流路が拡大されたロックホッパ9内へと流入することによって、スラグ終末速度以下まで流速が下がる。この際に、水よりも比重が大きいスラグは下方へと沈降し、冷却水からスラグが分離される。なお、ロックホッパ9としては、このような重力沈降式に代えて、遠心分離式や液体サイクロン式を用いてもよい。
また、ロックホッパ9下方の下流側には、ロックホッパ出口弁21が設けられており、このロックホッパ出口弁21を締め切ることによって、ロックホッパ9下流側の大気圧とロックホッパ9上流側(ガス化炉3側)の高圧とを遮断することができるようになっている。このロックホッパ出口弁21と上述のロックホッパ入口弁11とを用いてロックホッパ9内の圧力を切り替えることによって、ガス化炉3内の高圧圧力を逃がすことなく、常圧(大気圧)とされたロックホッパ9下流側のスラグ搬送設備へとスラグを排出することができるようになっている。
また本実施形態においては、注水ライン13の中途位置に攪拌ライン45が接続されており、攪拌ライン45の下流側の一端である攪拌用注水口46はスラグ取水口39の付近に配設されている。攪拌ライン45上には攪拌ライン弁43が設けられており、この攪拌ライン弁43を開閉することにより、攪拌ライン45を介して注水ライン13の冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内へ適宜注水することができる。
なお、図1では、ガス化炉3やロックホッパ9等と設置面99との間に支持構造体が示されていないが、これは理解を容易にするために省略しているだけであって、もちろん実際にはガス化炉3やロックホッパ9等はプラント設置面99上に支持構造体を用いて支持される。
<通常運転時>
ガス化炉3にてガス化を行っている通常運転時には、スラグホッパ5からスラグを排出する工程が並行して行われる。
先ず、ロックホッパ出口弁21を閉とした上で、ロックホッパ入口弁11及びスラグホッパ注水弁15を開とする。そして、注水ポンプ19を駆動させることにより、ロックホッパ9にて分離された冷却水を吸い込み、注水ライン13を介して放水口40から冷却水をスラグホッパ5へと注入する。これにより、スラグ排出ライン7の上流端であるスラグ取水口39とスラグ排出ライン7の下流端であるロックホッパ9との接続部との間に水流が生じ、スラグ排出ライン7を介して冷却水をスラグホッパ5外へと押し出す駆動力が形成される。このようにして、スラグ排出ライン7を介してスラグホッパ5内のスラグがロックホッパ9へと導かれる冷却水の流れが形成される。
また、スラグ取水口39からのスラグ吸い込みが困難である場合は、攪拌ライン弁43を開とすることにより、攪拌ライン45を介して冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内に注水し、スラグを攪拌することでスラグ取水口39からのスラグの吸い込みを促進させることができる。
ロックホッパ9内に導かれて分離されたスラグを脱水槽25へ排出する際には、注水ポンプ19を停止し、ロックホッパ入口弁11及びスラグホッパ注水弁15を閉とした後に、ロックホッパ出口弁21を開とする。これにより、ロックホッパ9内のスラグは、下方の分配機23を介して脱水槽25へと導かれる。この際に、脱水槽25はロックホッパ9の下方に設置されているので、ロックホッパ9内のスラグを重力により脱水槽へ移送することができるため、スラグの移送にスクリューコンベア113やスラリー移送ポンプ117等を用いる必要がない。
本発明は、注水ライン13に設けた注水ポンプ19を稼働することにより、スラグ排出ライン7に差圧を生じさせ、スラグ排出ライン7内にロックホッパ9へとスラグホッパ5内の冷却水が導かれる流れを形成することとしたので、スラグを冷却水の流れに乗せて排出することができる。このため、スラグの排出に重力を利用する必要がないので、ロックホッパ9をガス化炉3の下ではなくガス化炉3の側方に配置することができる。したがって、プラントの設置面99からガス化炉3上部までの高さを抑えることができる。また、脱水槽25はロックホッパ9の下方に設置されているので、ロックホッパ9内のスラグを重力により脱水槽25へ移送することができるため、スラグの移送にスクリューコンベア113やスラリー移送ポンプ117等を用いる必要がない。
これは、図6に示したタワー型のガス化炉の場合に特に有効である。
また、前記攪拌用注水口46から前記スラグホッパ5に注水される冷却水の水流を利用してスラグホッパ5内のスラグを攪拌し、スラグをより水流に導かれやすい状態とすることにより、円滑にガス化炉3の系外へ排出することができる。
また、大気圧よりも高い圧力とされたガス化炉3内の水槽内5へ、一度大気圧下に冷却水を放出してスラグを分離した冷却水を注水する場合は、注水ポンプ19にガス化炉3内の圧力と大気圧との差圧以上の昇圧能力が要求される。しかし、スラグ排出ライン7とロックホッパ9と注水ライン13とを含む循環流路を介して、冷却水を水槽5へ注水する場合は、循環流路全体にガス化炉3の圧力が作用しているため、ガス化炉3内の圧力と大気圧との差圧を注水ポンプ19により昇圧する必要がない。このため、循環流路を介して冷却水を水槽5へ注水する場合は、比較的小さな昇圧能力の注水ポンプ19を利用することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図2を用いて説明する。
なお、上述した第1実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、第1実施形態にて説明した冷却水循環ライン27の機能をスラグ排出ライン7及び注水ライン13に持たせた点で相違する。したがって、本実施形態では、図2に示されているように、図1に示した冷却水循環ライン27が省略されている。
冷却水取水口37は、図2に示されているように、スラグ取水口39よりも上方に位置している。また、スラグ取水口39の上方には、注水ライン13の放水口40が位置している。
また本実施形態においては、注水ライン13の中途位置に攪拌ライン45が接続されており、攪拌ライン45の下流側の一端である攪拌用注水口46はスラグ取水口39の付近に配設されている。攪拌ライン45上には攪拌ライン弁43が設けられており、この攪拌ライン弁43を開閉することにより、攪拌ライン45を介して注水ライン13の冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内へ適宜注水することができる。
<通常運転時>
ガス化炉3にてガス化を行っている通常運転時には、スラグホッパ5からスラグを排出する工程が並行して行われる。
先ず、取水用三方弁41はスラグ取水口39からの流れを選択し、バイパス用三方弁35はロックホッパ9への流れを選択する。また、ロックホッパ出口弁21を閉とした上で、スラグホッパ注水弁15を開とする。そして、注水ポンプ19を駆動させることにより、ロックホッパ9にて分離された冷却水を吸い込み、放水口40から冷却水をスラグホッパ5へと注入する。これにより、第1実施形態と同様にスラグ排出ライン7に差圧を形成し、スラグ排出ライン7内でスラグがロックホッパ9へと導かれる冷却水の流れが形成される。
また、スラグ取水口39からのスラグ吸い込みが困難である場合は、攪拌ライン弁43を開とすることにより、攪拌ライン45を介して冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内に注水し、スラグを攪拌することでスラグ取水口39からのスラグの吸い込みを促進させることができる。
<スラグ払出し時>
ロックホッパ9内に導かれて分離されたスラグを脱水槽25へ排出する際には、取水用三方弁41は冷却水取水口37からの流れを選択し、バイパス用三方弁35はバイパスライン36への流れを選択する。また、スラグホッパ注水弁15を閉とした上で、ロックホッパ出口弁21を開とする。そして、注水ポンプ19を駆動させることにより、冷却水取水口37からスラグホッパ5内の冷却水を吸い込み、取水用三方弁41、スラグ排出ライン7、バイパス用三方弁35、バイパスライン36、注水ライン13を通ってスラグホッパ5内へと返送する。すなわち、スラグホッパ5内の冷却水は、ロックホッパ9をバイパスするように循環されることになる。このように冷却水が循環される際に、注水ライン13に設けた冷却水用クーラー31によって所望温度まで冷却水が冷却されるので、スラグホッパ5内の冷却水温度が所望温度に維持される。
また、上述のようにバイパスライン36を用いることでロックホッパ9をスラグホッパ5側と遮断することができるので、ロックホッパ出口弁21を開とすることにより、ロックホッパ9内のスラグが下方の分配機23を介して脱水槽25へと導かれる。
注水ライン13に冷却水用クーラー31を設けることにより、スラグホッパ5へと返送される冷却水を冷却することとした。これにより、スラグホッパ5内の冷却水温度を低下させるために用いていた冷却水循環ライン(図1の符号27参照)を注水ライン13及びスラグ排出ライン7で構成することができ、注水ポンプ19を、図1に示した循環用ポンプ29として併用させることができる。すなわち、スラグ排出ライン7内に水流を形成する水流形成手段の機能に加えて、冷却水循環ラインの機能を併有する構成を実現することができる。
本発明の第3実施形態について、図3を用いて説明する。
なお、上述した第1実施形態にかかる図1と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
上述した第1実施形態および第2実施形態では、注水ライン13から冷却水を注水ポンプ19によってスラグホッパ5内に押し込み、スラグ排出ライン7にロックホッパ9へと向かう冷却水の流れを形成する方法を採用したが、本実施形態は、注水ポンプ19を用いずに、加圧状態とされたガス化炉3内の圧力を利用してスラグ排出ライン7に冷却水の流れを形成する方式を採用する。
また、ロックホッパ9の下流側のスラグ排出システムでスラグと分離された冷却水や、新たにスラグホッパ5に注入される冷却水を、注水ライン13を利用してスラグホッパ5内へ注入する際に生じる水流を利用して、スラグホッパ5内のスラグを攪拌することもできる。
<通常運転時>
ガス化炉3にてガス化を行っている通常運転時には、スラグホッパ5からスラグを排出する工程が並行して行われる。
スラグホッパ5からスラグを排出する際には、ロックホッパ出口弁21を閉とした上で、ロックホッパ入口弁42の開度を所定値に調整する。ロックホッパ9内の圧力は、大気圧となっている。一方、スラグホッパ5内の圧力はガス化炉3内の圧力に依存し、加圧炉とされているので大気圧以上の正圧とされている。したがって、ロックホッパ9とスラグホッパ5との間には圧力差が形成されている。この圧力差を利用してロックホッパ入口弁42の開度を所定値に設定することにより、所望の流量にて冷却水の流れをスラグ排出ライン7内に形成することができる。これにより、スラグ排出ライン7を介してスラグホッパ5内のスラグがロックホッパ9へと導かれる冷却水の流れが形成される。
ロックホッパ9内に導かれて分離されたスラグを脱水槽25へ排出する際には、ロックホッパ入口弁42を全閉とした上で、ロックホッパ出口弁21を開とする。これにより、ロックホッパ9内のスラグは、下方の分配機23を介して脱水槽25へと導かれる。この際に、脱水槽25はロックホッパ9の下方に設置されているので、重力を利用することができ、スクリューコンベヤ113やスラリーポンプ114等のスラリーを搬送するための機械設備を省略できる構成となっている。
スラグホッパ5とロックホッパ9間の圧力差により、ロックホッパ入口弁42を用いて、スラグ排出ライン7を介して冷却水を移動させ、スラグを冷却水の流れに乗せて排出することとした。このように圧力差を冷却水の移動に必要な駆動力として利用するため、冷却水を送出するためのポンプを設ける必要がない。したがって、ポンプに対応する設置費用だけでなくメンテナンス費用をも低減することができる。
冷却水用クーラー31にて冷却された冷却水がスラグホッパ5へ注水されるクーラー放水口28をスラグホッパ5の上部に取り付け、これにより生じさせた対流により、スラグをスラグホッパ5内で攪拌することができるので、スラグ排出ライン7のスラグ取水口39からスラグを容易に取り出すことができる。
また、ロックホッパ9の下流側のスラグ排出システムでスラグと分離された冷却水や、新たにスラグホッパ5に注入される冷却水を、注水ライン13を利用してスラグホッパ5内へ注入する場合は、スラグホッパ5内に冷却水を注入するにより生じる水流を利用して、スラグホッパ5内のスラグを攪拌することになり、スラグをより水流に導かれやすい状態とし、円滑にガス化炉3内のスラグをガス化炉3の系外へ排出することができる。
本発明の第4実施形態について、図4を用いて説明する。
なお、第3実施形態にかかる図3と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態は、第3実施形態と同様に、加圧状態とされたガス化炉3内の圧力を利用してスラグ排出ライン7に冷却水の流れを形成するものである。
圧縮空気注入ライン49には、空気圧力調整弁(加圧手段)47が設けられている。空気圧力調整弁47は、ロックホッパ内の圧力を計測する圧力センサ63の計測圧力に基づいて、図示しない制御部によって開度が調整されるようになっている。
また本実施形態においては、冷却水循環ライン27の中途位置に攪拌ライン45が接続されており、攪拌ライン45の下流側の一端である攪拌用注水口46はスラグ取水口39の付近に配設されている。攪拌ライン45上には攪拌ライン弁43が設けられており、この攪拌ライン弁43を開閉することにより、攪拌ライン45を介して冷却水循環ライン27の冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内へ適宜注水することができる。
本実施形態において水流形成手段は、ロックホッパ9内に気体を供給してロックホッパ9内の圧力をガス化炉3内の圧力まで昇圧するための圧縮空気注入ライン49と、圧縮空気注入ライン49に設けられた空気圧力調整弁47と、ロックホッパ内の圧力を減圧するための大気放出ライン53と、大気放出ライン53に設けられた放出ガス調整弁51と、を備えており、ロックホッパ9内の圧力をスラグホッパ5内の圧力とほぼ等しい状態から、放出ガス調整弁51により減圧し、スラグ排出ライン7の下流端での圧力を上流端の圧力に比べて低い圧力とすることができる。このため、スラグ排出ライン7内にスラグがロックホッパ9へと導かれる冷却水の流れを形成し、スラグを冷却水の流れに乗せて排出することができるため、スラグの移送にスラグに働く重力を利用する必要が無い。すなわち、ロックホッパ9をガス化炉3の側方に配置することが可能である。
<通常運転時>
ガス化炉3にてガス化を行っている通常運転時には、スラグホッパ5からスラグを排出する工程が並行して行われる。
スラグホッパ5からスラグを排出する工程を開始する前の初期状態は、前回のスラグ払出し工程を終えた後とされているので、ロックホッパ9にはスラグや冷却水は残っておらず、ロックホッパ9の内部の圧力は大気圧とほぼ等しい状態である。この状態にて、ロックホッパ出口弁21、ロックホッパ入口弁44、放出ガス調整弁51、冷却水返却弁61を閉とした状態で、圧縮空気注入ライン49を介して抽気空気圧縮機から圧縮空気をロックホッパ9内に注入する。この際に空気圧力調整弁47の開度は、圧力センサ63の計測圧力に基づいて図示しない制御部によって調整される。具体的には、ロックホッパ9内の圧力が大気圧から上昇し、ガス化炉3内の圧力(即ちスラグホッパ5の圧力)と同等あるいは所定値だけ超えた圧力まで圧縮空気をロックホッパ9内に供給する。所定値にロックホッパ9内の圧力が到達すると、空気圧力調整弁47は全閉とされ、圧縮空気の供給を停止する。
次に、ロックホッパ入口弁44を全開とするとともに、放出ガス調整弁51を開く。放出ガス調整弁51の開度は、圧力センサ63の計測圧力に基づいて図示しない制御部によって調整される。放出ガス調整弁51を開くことにより、ロックホッパ9内のガスが大気放出ライン53を介して大気空間へと放出される。これにより、ロックホッパ9内の圧力が下がり、スラグホッパ5内の圧力との間に圧力差が形成される。この圧力差を駆動力として、スラグホッパ5内のスラグがスラグ取水口39から取り込まれ、スラグ排出ライン7を介して冷却水とともにスラグがロックホッパ9へと導かれる。
また、スラグの吸い込み時に攪拌ライン弁43を開とすることにより、攪拌ライン45を介して冷却水を攪拌用注水口46からスラグホッパ5内に注水し、スラグホッパ5内のスラグを攪拌することでスラグ取水口39からのスラグの吸い込みを促進させることができる。
スラグホッパ5からスラグがロックホッパ9内に取り込まれるに従い、ロックホッパ9内の水位が上昇する。この水位が所定の閾値を超えると、そのタイミングをレベル計65が検知し、図示しない制御部に報知する。図示しない制御部では、ロックホッパ9内の水位が所定値に達したことを認識し、次に続くスラグ払出し工程へと移行する。
レベル計65によってロックホッパ9内の水位が所定値まで達したことを検出すると、放出ガス調節弁51を全閉とした後に、ロックホッパ入口弁44を全閉とする。
そして、ロックホッパ出口弁21を全開とすることにより、ロックホッパ9内に導かれて分離されたスラグを脱水槽25へ排出する。これにより、ロックホッパ9内のスラグは、下方の分配機23を介して脱水槽25へと導かれる。この際に、脱水槽25はロックホッパ9の下方に設置されているので、重力を利用することができ、スクリューコンベヤ113やスラリーポンプ117等のスラリーを搬送するための機械設備を省略できる構成となっている。
<冷却水の返送時>
ロックホッパ9の下流側のスラグ排出システムで回収された冷却水、または、スラグホッパ5内へ補充するための新たな冷却水を注水する場合は、ロックホッパ出口弁21、ロックホッパ入口弁44、圧縮空気注入ライン49、放出ガス調整弁51及び冷却水返送弁61とを閉とした状態で、ロックホッパ注水弁68を開とし、ロックホッパ注水ライン67からロックホッパ9内に注水を行う。ロックホッパ9内の水位が上昇して、水位が所定の閾値を超えると、そのタイミングをレベル計65が検知し、図示しない制御部に報知する。図示しない制御部では、ロックホッパ9内の水位が所定値に達したことを認識し、ロックホッパ注水弁68を閉とする。続いて、圧縮空気注入ライン49を介して抽気空気圧縮機から圧縮空気をロックホッパ9内に注入する。この際に空気圧力調整弁47の開度は、圧力センサ63の計測圧力に基づいて図示しない制御部によって調整される。具体的には、ロックホッパ9内の圧力が上昇し、ガス化炉3内の圧力(即ちスラグホッパ5の圧力)から所定値だけ超えた圧力まで圧縮空気をロックホッパ9内に供給する。所定値にロックホッパ9内の圧力が到達すると、空気圧力調整弁47は閉とされる。さらに、冷却水返送弁61を開とすることにより、スラグホッパ5内へと冷却水を返送する。
圧縮空気注入ライン49を介して圧縮空気を供給することによりロックホッパ9内にスラグホッパ5内と同等の圧力を形成するとともに、放出ガス調整弁51を開とすることによってロックホッパ9内の圧力をスラグホッパ5内の圧力よりも低くし、スラグ排出ライン7に冷却水流れを形成することとした。すなわち、スラグ排出ライン7に第3実施形態のような流量調整弁42を用いることがなく、スラグによる弁体の摩耗や損傷が懸念される調整弁を用いることがないので、信頼性が向上する。
さらに、スラグを冷却水の流れに乗せて排出することができるため、スラグの移送にスラグに働く重力を利用する必要が無い。すなわち、ロックホッパ9をガス化炉3の側方に配置することが可能である。
また、原料として微粉炭を用いて説明することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、炭素質固体からなる微粉原料であれば本発明を適用することができる。
3 ガス化炉
5 スラグホッパ(水槽)
7 スラグ排出ライン
9 ロックホッパ
11 ロックホッパ入口弁
13 注水ライン
19 注水ポンプ
27 冷却水循環ライン(注水ライン)
31 冷却水用クーラー
35 バイパス用三方弁(水流方向切替手段)
36 バイパスライン
37 冷却水取水口
38 冷却水導入ライン
39 スラグ取水口
40 放水口
41 取水用三方弁(取水口切換手段)
42 ロックホッパ入口弁(流量調整弁)
43 攪拌ライン弁
44 ロックホッパ入口弁(スラグ排出弁)
45 攪拌ライン(注水ライン)
47 空気圧力調整弁(加圧手段)
49 圧縮空気注入ライン(加圧手段)
51 放出ガス調整弁(減圧手段)
53 大気放出ライン(減圧手段)
71 ガス冷却器(シンガスクーラー)
Claims (16)
- 炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉と、該ガス化炉の底部に設けられ、前記微粉原料から生じたスラグを受容するとともに冷却水が貯留された水槽と、
前記ガス化炉の系外にて前記スラグを一時的に貯留するロックホッパと、
前記水槽から前記ロックホッパへと連通するスラグ排出ラインと、
を備えるスラグ排出システムにおいて、
前記ロックホッパは、前記ガス化炉の側方に配置され、
前記スラグ排出ライン内で前記スラグが前記ロックホッパへと導かれる冷却水の流れを形成する水流形成手段を備えていることを特徴とするスラグ排出システム。 - 前記水槽内に冷却水を注水する注水ラインの放水口が、前記スラグ排出ラインの上流端付近に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のスラグ排出システム。
- 前記水流形成手段は、
前記注水ラインと、
前記注水ライン上に設けられた、注水ポンプと、を備え、
前記注水ポンプが前記ロックホッパにてスラグから分離された冷却水を吸い込み、前記注水ラインを介して、前記水槽へと送水することを特徴とする請求項2に記載のスラグ排出システム。 - 前記注水ラインには、冷却水用クーラーが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のスラグ排出システム。
- 前記スラグ排出ラインの中途位置と前記注水ラインの中途位置との間に接続され、該スラグ排出ラインから導かれた流れを前記注水ポンプおよび前記冷却水用クーラーを介して前記水槽へと導く流路を形成するバイパスラインと、
前記水槽から前記スラグ排出ラインへと導かれた冷却水の流れを、前記ロックホッパへと導く流れ、又は、前記バイパスラインへと導く流れに切り替える水流方向切替手段と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載のスラグ排出システム。 - 前記スラグ排出ラインの上流端であるスラグ取水口と、
前記スラグ排出ラインの中途位置に下流端が接続され、他の一端が前記水槽に接続された冷却水導入ラインと、
前記冷却水導入ラインの上流端である冷却水取水口と
を備え、
前記冷却水取水口よりも低い位置に、前記スラグ取水口が設けられ、
前記冷却水取水口または前記スラグ取水口のいずれかを切り替える取水口切換手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載のスラグ排出システム。 - 前記注水ラインが前記水槽内に冷却水を放水する放水口は、前記スラグ取水口よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のスラグ排出システム。
- 前記水流形成手段は、
前記スラグ排出ラインに、該スラグ排出ライン内の流量を調節する流量調節弁を備え、
該流量調整弁によって、前記水槽側と前記ロックホッパ側との圧力差により、前記スラグ排出ライン内に冷却水の水流を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスラグ排出システム。 - 前記水流形成手段は、
前記ロックホッパ内に気体を供給して該ロックホッパ内の圧力を前記ガス化炉内の圧力まで昇圧する加圧手段と、
前記ロックホッパ内の圧力を減圧する減圧手段と、
前記スラグ排出ラインに設けられ、前記加圧手段による昇圧の際には閉とされ、前記減圧手段による減圧の際には開とされるスラグ排出弁と、
を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスラグ排出システム。 - 前記加圧手段から前記ロックホッパ内に供給される高圧流体は、空気、酸素、二酸化炭素または窒素の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項9に記載のスラグ排出システム。
- 前記加圧手段から前記ロックホッパ内に供給される高圧流体は、ガスタービン設備の圧縮機から抽気した抽気空気を昇圧する抽気空気圧縮機からの圧縮空気であることを特徴とする請求項10に記載のスラグ排出システム。
- 炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉と、
請求項1から請求項11のいずれかに記載のスラグ排出システムと、
を備えていることを特徴とするガス化装置。 - 前記ガス化炉で生成した可燃性ガスを冷却するガス冷却器を備え、
該ガス冷却器は、前記ガス化炉の上方に配設されていることを特徴とする請求項12に記載のガス化装置。 - 請求項12又は13に記載されたガス化装置と、
該ガス化装置によって生成された可燃性ガスを用いた燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、
該ガスタービンの動力を得て発電する発電機と、
を備えることを特徴とするガス化発電装置。 - 炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉からスラグを排出するスラグ排出方法において、
当該ガス化炉の底部に設けられた水槽へ前記微粉原料から生じた前記スラグを受容するとともに冷却水を貯留する工程と、
前記水槽から前記ガス化炉の側方に配置されたロックホッパへスラグ排出ラインを介し、前記スラグを一時的に貯留する工程と、
前記ロックホッパから注水ラインを介し前記水槽内に注水を行う工程、からなるスラグ排出方法。 - 炭素質固体からなる微粉原料を熱分解させてガス化するガス化炉からスラグを排出するスラグ排出方法において、
当該ガス化炉の底部に設けられた水槽へ前記微粉原料から生じた前記スラグを受容するとともに冷却水を貯留する工程と、
前記ロックホッパ内に気体を供給して該ロックホッパ内の気相部の圧力を前記ガス化炉内の圧力まで昇圧する工程と、
前記ロックホッパ内の気相部の圧力を減圧し、前記水槽から前記ガス化炉の側方に配置されたロックホッパへスラグ排出ラインを介し、前記スラグを一時的に貯留する工程、からなるスラグ排出方法。
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