JP2013053955A - 導電セグメント - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の環境での使用はもちろん、ガソリンなどの硫黄成分存在下での使用であっても、耐劣化性、耐腐食性を確保し、検出値に高い信頼性を与える導電セグメントを提供する。
【解決手段】抵抗板上に、少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成する、あるいは、金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成することにより、各導体ペーストの金属がそれぞれ他方の導体領域に拡散し、導電セグメントの表面層から中間層付近まで、金(Au)含有率が30%以上の範囲でほぼ均一である導電セグメント。
【選択図】図4

Description

本発明は、導電セグメントに関し、より詳しくは、自動車、航空機などの輸送用燃料タンクの液面高さを検出する液面レベル検出装置の抵抗板の電極として用いる導電セグメントに関する。
従来、例えば自動車の燃料タンクの液面高さを検出する液面レベル検出装置として、液面レベルに応じて上下移動するフロートによってフロートアームを抵抗板上で摺動させ、液面レベルを電位差に変換して液面高さを検出するようにした液面レベル検出装置が知られている。
ここで、液面レベル検出装置の一例について説明する。図1は、液面レベル検出装置に用いられるセンサの構造例を説明するための電気ブロック図である。図2は、液面レベル検出装置の構造例を説明するための説明図である。図3は、センサ内部の可変抵抗器の構造例を説明するための説明図である。
液面レベル検出装置1のセンサ2は、耐密容器内部Tの液体面の高さ推移に連動して後述する接点19,20が移動する過程で抵抗値を変化させる可変抵抗器3を備え、この可変抵抗器3は固定抵抗器7に直列につながれ、可変抵抗器3と固定抵抗器7に所定の電圧を印加する電源回路4に接続されている。
そして、センサ2は、図2および図3に示したように、本体フレーム12に取り付けられた抵抗板13と、液体の浮力で液面に浮動するフロート10が先端に取り付けられたフロートアーム11の他端に連結される摺動体接触子14とを備えている。センサ2の抵抗板13には、電極としての第1導電パターン15及び第2導電パターン16が設けられており、これら二つの導電パターン15,16はフロートアーム11の回転軸21を中心に円弧状に互いに並行した形態で配置されている。そして第1導電パターン15の一端には入出力用導電部17が、第2導電パターン16の一端には入出力用導電部18がそれぞれ接続されている。
第1導電パターン15は、その円弧状の円周方向に所定の間隔をおいて配置された複数の導電セグメント15aと、これら複数の導電セグメント15aを互いに電気的に接続している抵抗体15bとで構成されている。また第2導電パターン16は、その円弧状の円周方向に所定の間隔をおいて配置された複数の導電セグメント16aと、これら複数の導電セグメントを互いに電気的に接続している連結体16bとで構成されている。
摺動体接触子14には、互いに電気的に接続されている二つの接点19,20が設けられている。また、摺動体接触子14には、フロートアーム11の他端に位置する回転軸21が連結される。フロートアーム11は、液面に浮くフロート10が満タン時の液面の位置から消費した量に応じて下方向へ移動することによって回転軸21を支点として図3の矢印Y方向へ旋回するが、このフロートアーム11の旋回に伴い、摺動体接触子14も図3の矢印Y方向へ回動する。この摺動体接触子14の回動運動で各接点19,20が、第1導電パターン15、第2導電パターン16に配置された各導電セグメント15a,16aの上を摺動しながら電気的に接触する。それにより、第1導電パターン15に接続された入出力用導電部17から第2導電パターン16に接続された入出力用導電部18の間の回路に介在する抵抗体15bの長さが変化し、その回路の抵抗値が変化する(つまり、図1の可変抵抗器3の抵抗値が変化する。)。このように、前記第1導電パターン15、第2導電パターン16及び摺動体接触子14により可変抵抗器3が構成されている。
可変抵抗器3に印加された電圧は、入出力用導電部17,18間の電位差をセンサ2が検出しその出力信号を処理回路5に出力し、処理回路5は前記センサ2の出力信号に基づき液体の残量をメータ6などの表示器にアナログ又はバーグラフ表示される仕組みになっている。尚、メータ6内には処理回路5との配線上に固定抵抗器を配置してもよい。
このような液面レベル検出装置において、接点の材質は一般に、銀パラジウム(AgPd)合金、銀銅(AgCu)合金、銀ニッケル(AgNi)合金等が使用されている。また導電セグメントは、例えば銀パラジウム(AgPd)粉末とガラスとの混合体からなり、銀粉末とパラジウム粉末とガラス粉末とを混ぜてペースト化したものを抵抗板に印刷し、これを乾燥後に焼成して得られる。
ところで、液面レベル検出装置は、エタノール、メタノール等といった電解液(アルコール)そのもの、或いは該電解液を含有するガソリンを燃料とする自動車の燃料タンクに用いられる場合がある。銀(Ag)は電気抵抗が小さく導電性に優れるが、燃料中の硫黄分、水分、アルコール分等によって接点や導電セグメントが劣化もしくは腐食して導通不良により、測定ができなくなる、誤った値となる等の障害が発生することがある。一方、導電セグメント自体の硫化や、導電セグメントと接点との摺動により生じた摩耗粉の硫化により絶縁物が生成し、これにより抵抗値が増加し、出力波形の乱れが生じ、液面レベル検出装置の信頼性を損なう原因となっている。
昨今の世界の燃料事情により、様々な配合の燃料が使用される機会が多く、上記の障害を防止して信頼性のある燃料計を提供する必要がある。そこで、このような導電セグメントや接点の劣化や腐食を防ぐため、導電セグメントの接点が摺動する部分を金(Au)を含んだ合金で覆う技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2003−287456号公報 特開2009−162694号公報 米国特許第6,681,628号明細書
しかしながら、従来技術では、腐食や硫化に対する有効性は有るものの、有効性が充分でなかったり、金(Au)使用量が多いため高価格になるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、通常の環境での使用はもちろん、ガソリンなどの硫黄成分存在下での使用であっても、耐劣化性、耐腐食性を確保し、例えば液面レベル検出装置に使用した場合、検出値に高い信頼性を与え得る導電セグメントを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(3)により達成される。
(1) 複数の長尺状の導電セグメントを配置した抵抗板と、測定すべき液面レベルの変位に応じて上下移動するフロートと、一端を該フロートに取付けられ、他端を前記フロートの上下移動に伴い回転するように回動自在に支持されたフロートアームと、前記液面レベルに応じた前記フロートアームの回転に連動して前記複数の導電セグメント上を摺動する接点と、を備えた液面レベル検出装置の導電セグメントであって、
前記抵抗板上に、
少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成する、あるいは、
金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成する
ことにより、各導体ペーストの金属がそれぞれ他方の導体領域に拡散し、
導電セグメントの表面層から中間層付近まで、金(Au)含有率が30%以上の範囲でほぼ均一であることを特徴とする導電セグメント。
(2) 前記Au導体ペーストにより形成した領域の乾燥後の膜厚は、前記第1導体領域および前記第2導体領域の乾燥後の合計膜厚に対して、膜厚比率20%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の導電セグメント。
(3) 前記Au導体ペースト中の金(Au)の含有量が95質量%以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の導電セグメント。
本発明によれば、積層されたAg−Pd導体ペーストとAu導体ペーストを焼成することで、Ag−Pd導体ペーストに含有される銀とパラジウムがAu導体ペーストにより形成された領域に拡散し、Au導体ペーストに含有される金がAg−Pd導体ペーストにより形成された領域に拡散し、且つ導電セグメントの表面層から中間層付近まで、金(Au)含有率が30%以上の範囲でほぼ均一になる。したがって、金(Au)が摺動する接点に付着し、銀(Ag)の硫化・酸化・腐食を抑制し、接点と導電セグメントとの接触導通が良好となる。
それ故、導電セグメント全体の導電性、耐摩耗性が向上し、たとえ導電セグメント自体の硫化や、導電セグメントと接点との摺動により生じた摩耗粉の硫化により絶縁物が生成しても、抵抗値の増加や出力波形の乱れを抑制することができる。
したがって、例えば該導電セグメントを液面レベル検出装置に使用した場合、高い信頼性でもって検出値を得ることができる。また、硫黄成分を多量に含有するガソリンや、様々な配合処方を有する燃料の使用であっても十分な耐劣化性、耐腐食性を有する。さらに、金(Au)を多量に使用する必要はなく、低コストを図れる。
液面レベル検出装置に用いられるセンサの構造例を説明するための電気ブロック図である。 液面レベル検出装置の構造例を説明するための説明図である。 センサ内部の可変抵抗器の構造例を説明するための説明図である。 乾燥後のAg−Pd導体ペースト上に、Au導体ペーストを印刷し、乾燥した後の状態を示す模式図である。 乾燥後のAg−Pd導体ペースト上に、Au導体ペーストを印刷し、乾燥した後の状態を示す顕微鏡写真である。 積層後のAg−Pd導体ペーストにより形成された領域とAu導体ペーストにより形成された領域を焼成した後の状態を示す顕微鏡写真である。 本発明の導電セグメントにおける、Au含有層膜厚比率(%)とAu含有率(質量%)の関係を示す図である。 本発明の導電セグメントの膜厚方向におけるAu含有率(質量%)を示す図である。 液面レベル検出装置の接点へのAu付着量を面分析(マッピング)及びEDX元素定量分析で観察した図である。 液面レベル検出装置の接点へのAu付着量(質量%)を示す図である。 本発明及び比較例の導電セグメントを液面レベル検出装置に用いた場合の出力波形を示す図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。尚、以下の実施形態は、本発明の導電セグメントを液面レベル検出装置に適用した例を説明するものであるが、本発明は下記例に制限されない。また、本発明において、抵抗板の導電パターンが形成される側を上方とする。
液面レベル検出装置に関する基本的な構造については本明細書の従来技術の説明の中で図1、図2および図3を参照して詳述した通りであるが、再度説明する。
図1に示したように、液面レベル検出装置1のセンサ2は、耐密容器内部Tの液体面の高さ推移に連動して後述する接点19,20が移動する過程で抵抗値を変化させる可変抵抗器3を備え、この抵抗器3は固定抵抗器7に直列につながれ、可変抵抗器3と固定抵抗器7に所定の電圧を印加する電源回路4に接続されている。
センサ2は、図2および図3に示したように、本体フレーム12と、該本体フレーム12に取り付けられた抵抗板13と摺動体接触子14とを備え、該摺動体接触子14には液体の浮力で液面を浮動するフロート10が先端に取り付けられたフロートアーム11の基端部が連結されている。センサ2の抵抗板13には、電極としての第1導電パターン15及び第2導電パターン16が設けられており、これら二つの導電パターン15,16はフロートアーム11の回転軸21を中心に円弧状に互いに並行した形態で配置されている。そして、一方の第1導電パターン15の一端には入出力用導電部17が、もう一方の第2導電パターン16の一端には入出力用導電部18がそれぞれ接続されている。
第1導電パターン15は、その円弧状の円周方向に所定の間隔をおいて配置された複数の導電セグメント15aと、これら複数の導電セグメント15aを互いに電気的に接続している抵抗体15bとで構成されている。また第2導電パターン16は、その円弧状の円周方向に所定の間隔をおいて配置された複数の導電セグメント16aと、これら複数の導電セグメントを互いに電気的に接続している連結体16bとで構成されている。導電セグメント15a,16aは、長尺部材として形成され、各導電セグメント15a,16aの各々は、隣り合うセグメント同士が互いに略平行となるように配置されている。また、この第1導電パターン15と第2導電パターン16は、互いに離間して配設されている。
摺動体接触子14はフロートアーム11の基端部を中心とした同心円状の2つの枠体を備え、その2つの枠体にはそれぞれ、接点19,20が設けられ、互いに電気的に接続されている。そして、摺動体接触子14には、フロートアーム11の基端部に位置する回転軸21が連結されている。
フロートアーム11は、液面に浮くフロート10が満タン時の液面の位置から消費した量に応じて下方向へ移動することによって回転軸21を支点として図3の矢印Y方向へ旋回するが、このフロートアーム11の旋回に伴い、摺動体接触子14もまた図3の矢印Y方向へ回動する。この摺動体接触子14の回動運動で接点19は第1導電パターン15に配置された導電セグメント15aの上を摺動しながら電気的に接触し、接点20は第2導電パターン16に配置された導電セグメント16aの上を摺動しながら電気的に接触する。それにより、第1導電パターン15に接続された入出力用導電部17から第2導電パターン16に接続された入出力用導電部18の間の回路に介在する抵抗体15bの長さが変化し、その回路の抵抗値が変化する(つまり、図1の可変抵抗器3の抵抗値が変化する。)。このように、前記第1導電パターン15、第2導電パターン16及び摺動体接触子14により可変抵抗器3が構成されている。
可変抵抗器3に印加された電圧は、入出力用導電部17,18間の電位差をセンサ2が
検出しその出力信号を処理回路5に出力し、処理回路5は前記センサ2の出力信号に基づ
き液体の残量をメータ6などの表示器にアナログ又はバーグラフ表示する。尚、メータ6
内には処理回路5との配線上に固定抵抗器を配置してもよい。
本発明の導電セグメントは、上記のような液面レベル検出装置に特に有用であるが、その他にも、燃料内装置の回転角センサや変異量センサに用いることができる。
本発明において、導電セグメントは、少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含む金属導体材料と金(Au)を主成分とする金属導体材料とで構成されている。
少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含む金属導体材料(以下、Ag−Pd導体ペーストという)における各種金属の添加量は、最終的に得られる導電セグメント中の金属量の設計値を勘案して適宜決定することができるが、例えばAg−Pd導体ペースト中、銀(Ag)は50〜80質量%、パラジウム(Pd)は20〜50質量%含有されることが好ましく、銀(Ag)は60〜70質量%、パラジウム(Pd)は30〜40質量%含有されることがより好ましい。銀(Ag)を上記範囲とすることで、導電セグメントの電気的導通を良好にすることができ、パラジウム(Pd)を上記範囲とすることで、耐磨耗性を向上させることができる。
本発明において、本発明の効果を妨げない限り、Ag−Pd導体ペーストにはその他の金属を添加することができる。その他の金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等を挙げることができ、1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。中でも、金(Au)および白金(Pt)のいずれかを用いることが好ましい。
また、Ag−Pd導体ペーストは、通常、エチルセルロースのようなバインダーを添加することが好ましい。
その他、Ag−Pd導体ペーストには、所望に応じて、溶剤等を添加することができる。Ag−Pd導体ペーストは、上記各種成分を十分に混合することで得ることができる。
金(Au)を主成分とする金属導体材料(以下、Au導体ペーストという)における金(Au)の含有量は、最終的に得られる導電セグメント中の金含有量の設定値を勘案して適宜決定することができるが、例えば、Au導体ペースト中、95質量%以上の割合で含まれるのが好ましく、98質量%以上の割合で含まれるのがより好ましい。Au導体ペースト中、金(Au)が95質量%以上であることにより、このAu導体ペーストを用いた導電セグメントは、耐劣化性、耐腐食性を十分に高めることができる。
本発明において、本発明の効果を妨げない限り、Au導体ペーストには、その他の金属を含有させてもよい。その他の金属としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)等を挙げることができ、1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。中でも、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のいずれかを用いることが好ましい。
また、Au導体ペーストは、通常、エチルセルロースのようなバインダーを添加することが好ましい。
その他、Au導体ペーストには、所望に応じて、溶剤等を添加することができる。
Au導体ペーストは、上記各種成分を十分に混合することで得ることができる。
本発明において、Ag−Pd導体ペーストとAu導体ペーストの少なくとも一方に、ガラス成分を含有するのが好ましい。ガラス成分の存在により、導電セグメントの硬度が高まるという効果が奏される。ガラス成分としては、硼珪酸鉛ガラス、酸化ビスマス等が挙げられる。各導体ペーストにおけるガラス成分の含有量は、最終的に得られる導電セグメント中のガラス成分含有量の設定値を勘案して適宜決定することができるが、例えば、10〜30質量%が好ましく、15〜20質量%がより好ましい。
本発明の導電セグメントは、基板(抵抗板)上に、Ag−Pd導体ペースト又はAu導体ペーストを印刷し、乾燥、又は更に焼成して第1導体領域を形成し、その上に、第1導体領域がAg−Pd導体ペーストにより形成された場合はAu導体ペーストを、第1導体領域がAu導体ペーストにより形成された場合はAg−Pd導体ペーストをそれぞれ印刷、積層して第2導体領域を形成し、その後、乾燥、焼成することにより作製することができる。
基板としては、導電セグメントを上記のような液面レベル検出装置に適用する場合は、例えば、酸化アルミニウム基板、PPS(Polyphenylenesulfide)樹脂基板等を挙げることができる。
具体的には、図4に示すように、まず、基板(抵抗板)40上に上記Ag−Pd導体ペースト402を印刷し、乾燥する(第1導体領域)。次に、乾燥後のAg−Pd導体ペースト402上に、Au導体ペースト404を印刷し、乾燥する(第2導体領域)。
Ag−Pd導体ペースト402の印刷方法としては、公知の方法を採用することができ、例えばスクリーン印刷等を挙げることができる。乾燥温度としては、150〜170℃が好ましく、155〜165℃がより好ましい。
Au導体ペースト404の印刷方法や乾燥条件としては、上記Ag−Pd導体ペースト402の印刷方法と乾燥条件と同じであることができる。
基板40上にAg−Pd導体ペースト402を印刷、乾燥し、さらにその上にAu導体ペースト404を印刷、乾燥し、焼成工程を行う。前記Ag−Pd導体ペーストにより形成された領域と前記Au導体ペーストにより形成された領域を焼成する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、800〜900℃で10〜15時間焼成すればよい。
本発明において、積層された第1導体領域と第2導体領域は焼成されることにより、Ag−Pd導体ペーストとAu導体ペーストのそれぞれの金属元素が、他方の領域に拡散する。つまり、Ag−Pd導体ペーストに含有される銀(Ag)とパラジウム(Pd)がAu導体ペーストにより形成された領域に拡散分布し、Au導体ペーストに含有される金(Au)がAg−Pd導体ペーストにより形成された領域に拡散分布する。
また、本発明において、導電セグメントは、その表面層から中間層付近まで、金(Au)含有率が質量で30%以上の範囲でほぼ均一となる。この金含有率は、Au導体ペーストにより形成した領域の膜厚とAu導体ペースト中の金含有量に対応しており、Au導体ペーストの厚みが厚いほど、Au導体ペースト中の金含有量が多いほど、焼成後の導電セグメントの表面層から中間層付近までの金含有率が多くなる。そして、焼成工程によりAu導体ペーストにより形成した領域の金は、導電セグメントの表面層から中間層付近までほぼ均一の含有率となる。焼成後の導電セグメントの表面層から中間層付近までの金含有率は、質量で30〜90%であることが好ましく、40〜70%であることがより好ましい。焼成後の導電セグメントの表面層から中間層付近までの金含有率が質量で30%以上の範囲でほぼ均一であると、実用的な耐硫化性が確保できるため好ましい。
また、Au導体ペーストにより形成した領域の乾燥後の膜厚は、第1導体領域および第2導体領域の乾燥後の合計膜厚、すなわち導電セグメントの厚みに対して、膜厚比率20%以上であることが好ましい。
尚、本発明において、Ag−Pd導体ペーストとAu導体ペーストの使用量は、最終的に得られる導電セグメント中の各金属量が所望量となるように設計して使用することが好ましい。
例えば、導電セグメント中、金(Au)は30〜90質量%となるように設計することが好ましく、40〜70質量%がより好ましい。金(Au)の含有量が前記範囲であると、コストを低く抑えつつ、耐腐食性に優れた導電セグメントを得ることができる。
また、銀(Ag)は、導電セグメント中、40質量%以下となるように設計することが好ましい。銀(Ag)の含有量が前記範囲であると、十分な導電性が確保できる。
また、パラジウム(Pd)は、導電セグメント中、20〜50質量%となるように設計することが好ましく、30〜40質量%がより好ましい。パラジウム(Pd)の含有量が前記範囲であると、優れた耐磨耗性を有することができる。
本発明の導電セグメントによれば、特に、Ag−Pd導体ペーストにより形成された領域中のパラジウム(Pd)がAu導体ペーストにより形成された領域に拡散することで、導電セグメント全体の耐摩耗性が向上し、Au導体ペーストの金(Au)がAg−Pd導体ペーストにより形成された領域に拡散することで、硫黄成分による硫化劣化、腐食、酸化等を防止し、導電セグメントと接点との接触導通性が良好に保たれ、接点接触障害を防止することができる。具体的には、Au導体ペーストの金(Au)成分が摺動する接点に付着し、良導電範囲が拡大するため、導電セグメントの銀(Ag)成分の硫化、酸化、腐食の影響が抑制される。それ故、接点と導電セグメントの表面層、すなわち第2導体領域との接触導通性が良好となる。本発明では、摺動する接点へのAu付着量は、接点母材に対して、3質量%以上であることが好ましい。付着量が3質量%以上であると、金(Au)の導電性が有効に作用し、導体との接触性が向上する。尚、Au付着量は、SEM EDX定量元素分析により計測した量である。
したがって、本発明の導電セグメントは、導電セグメント自体の硫化や、導電セグメントと接点との摺動により生じた摩耗粉の硫化により絶縁物が生成しても、抵抗値の増加や出力波形の乱れを抑制することができる。
尚、本発明の導電セグメントの製造方法において、Ag−Pd導体ペースト(第1導体領域)とAu導体ペースト(第2導体領域)とを別々に焼成してもよい。つまり、基板上に、Ag−Pd導体ペーストを印刷し、乾燥、更に焼成工程を行った後、焼成後のAg−Pd導体ペーストの上にAu導体ペーストを印刷し、乾燥、焼成工程を行うこともできる。
また、上記実施形態では、基板上にAg−Pd導体ペーストを印刷して第1導体領域を形成し、その上にAu導体ペーストを積層印刷して第2導体領域を形成する例を挙げて説明したが、金属導体ペーストの積層順はこの限りではない。つまり、基板上にAu導体ペーストを印刷し、その上にAg−Pd導体ペーストを積層印刷する形態でもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔試験例1〕
(導電セグメントA〜Dの作製)
酸化アルミニウム基板上に、まずAg−Pd導体ペーストを(Ag:60質量%、Pd:20質量%、ペーストとしてガラスを20質量%含有し、全体で100質量%となる)、スクリーン印刷により幅0.2mmで約0.2mm間隔で表1に記載した乾燥厚み(概算値)となるように円弧状に印刷し、第1導体領域を形成した。その後、160℃で加熱し、乾燥させた。
次に、Ag−Pd導体ペーストの上面に、Au導体ペーストを(Au:93質量%、ペーストとしてガラスを7質量%含有し、全体で100質量%となる)スクリーン印刷により幅0.15mm、表1に記載した乾燥厚み(概算値)となるように印刷して第2導体領域を形成し、160℃で加熱し、乾燥させた。
その後、焼成炉により800〜900℃で10〜15時間焼成して本発明の導電セグメントA〜Dを作製した。
更に、比較例として従来の導電セグメントEを作製した。
酸化アルミニウム基板上に、まずAg−Pd導体ペーストを(Ag:60質量%、Pd:20質量%、ペーストとしてガラスを20質量%含有し、全体で100質量%となる)、スクリーン印刷により幅0.2mmで約0.2mm間隔で乾燥厚み7μm(概算値)となるように円弧状に印刷し、第1導体領域を形成した。その後、160℃で加熱し、乾燥させた。
次に、Ag−Pd導体ペーストの上面に、Au導体ペーストを(Au:93質量%、ペーストとしてガラスを7質量%含有し、全体で100質量%となる)スクリーン印刷により幅0.15mm、乾燥厚み1μm(概算値)となるように印刷して第2導体領域を形成し、160℃で加熱し、乾燥させた。
その後、焼成炉により800〜900℃で10〜15時間焼成して導電セグメントEを作製した。
図5は、乾燥後のAg−Pd導体ペースト上にAu導体ペーストを印刷し、乾燥した後の状態を示す顕微鏡写真であり、図6は、Ag−Pd導体ペーストにより形成した領域とAu導体ペーストにより形成した領域を焼成した後の状態を示す顕微鏡写真である。
図5からわかるように、焼成前にはAg−Pd導体ペースト402とAu導体ペースト404とが積層されていることが確認でき、焼成後は、図6に示したように、Ag−Pd導体ペーストにより形成した領域とAu導体ペーストにより形成した領域のそれぞれの金属元素、特に境界領域における金属元素が燃焼により他方の領域に拡散し、合金化していることが確認できた。
<金(Au)含有率の測定>
導電セグメントA〜Dについて、第2導体領域の最厚膜(中央部)の位置におけるAu導体ペーストの膜厚値を測定した。金(Au)の含有率は、質量でA:65%、B:60%、C:50%、D:40%であった。第2導体領域の膜厚比率に対するAu含有率の関係を図7に示す。
また、Ag−Pd導体ペーストとAu導体ペーストとを積層した領域(図4中、Xで示す領域、以下、「領域X」ともいう。)における焼成後の導電セグメントの厚さ方向における金(Au)の分布について、基板側から導電セグメントの表面側までの5点のAu含有率を、元素定量分析(EDX)により測定した。結果を図8に示す。
図7からわかるように、Au膜厚比率とAu含有率は互いに略比例の関係を有することが分かった。また、図8からわかるように、最も基板に近い点でのAu含有率は30〜60%程度であり、表面層に近い点でのAu含有率は50〜70%程度であり、中間層付近では40〜60%程度であった。そして、表面層から中間層付近においては、Au含有率がほぼ均一であることがわかった。
<接点への金(Au)付着量>
次に、導電セグメント上に接点を実用接点圧印加の条件で摺動させて、接点へのAu付着量を面分析(マッピング)及びEDX元素定量分析で観察した。結果を図9及び図10に示す。
図9及び図10からわかるように、接点に金(Au)の付着がみられ、導電セグメントのAu含有率が多いほど付着量が多く、本発明の導電セグメントDでもAu付着量が、接点母材比で3質量%であり、実用可能であることがわかった。
<導電セグメントの抵抗値変化量の測定>
導電セグメントA〜Eについて、Ag−Pd導体ペーストとAu導体ペーストとを積層した領域(図4中の領域X)における金(Au)の含有率と導電セグメントの抵抗値変化量を測定した。結果を図11に示す。
図11から耐硫化性の指標である出力波形の乱れ(ギザギザ状度合い)は、導電セグメントEが激しいのに比べ、本発明の導電セグメントDの乱れは減少し、有効である。導電セグメントA〜Cは、波形の乱れが全く無く、更に良好であった。出力波形の乱れが減少又は全く無い原因は、第2の導体領域に含まれた金(Au)が、接点との摺動による摩耗粉となり、接点に付着した事による。金(Au)は腐食が発生し難い金属であり導電性を保つ事から、その金(Au)の付着量が多い程、付着摩耗粉の導電性が高まる。
本発明の導電セグメントは、自動車、航空機などの輸送用燃料タンクの内部に貯留した液体の残量を液面の位置から自動的に検出する液面レベル検出装置に有効に利用できる。
1 液面レベル検出装置
2 センサ
3 可変抵抗器
4 電源回路
5 処理回路
6 メータ
7 固定抵抗器
10 フロート
11 フロートアーム
12 本体フレーム
13 抵抗板
14 摺動体接触子
15 第1導電パターン
15a 導電セグメント
15b 抵抗体
16 第2導電パターン
16a 導電セグメント
17 入出力用導電部
18 入出力用導電部
19,20 接点
40 基板(抵抗板)
402 Ag−Pd導体ペースト
404 Au導体ペースト

Claims (3)

  1. 複数の長尺状の導電セグメントを配置した抵抗板と、測定すべき液面レベルの変位に応じて上下移動するフロートと、一端を該フロートに取付けられ、他端を前記フロートの上下移動に伴い回転するように回動自在に支持されたフロートアームと、前記液面レベルに応じた前記フロートアームの回転に連動して前記複数の導電セグメント上を摺動する接点と、を備えた液面レベル検出装置の導電セグメントであって、
    前記抵抗板上に、
    少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成する、あるいは、
    金(Au)を主成分とするAu導体ペーストを印刷後乾燥、又は更に焼成して形成した第1導体領域に、少なくとも銀(Ag)とパラジウム(Pd)とを含むAg−Pd導体ペーストを印刷して第2導体領域を形成した後、乾燥、更に焼成する
    ことにより、各導体ペーストの金属がそれぞれ他方の導体領域に拡散し、
    導電セグメントの表面層から中間層付近まで、金(Au)含有率が30%以上の範囲でほぼ均一であることを特徴とする導電セグメント。
  2. 前記Au導体ペーストにより形成した領域の乾燥後の膜厚は、前記第1導体領域および前記第2導体領域の乾燥後の合計膜厚に対して、膜厚比率20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電セグメント。
  3. 前記Au導体ペースト中の金(Au)の含有量が95質量%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電セグメント。
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