JP2013053363A - 取鍋からのスラグの除滓方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】取鍋内のスラグを機械的に除滓するに際して、取鍋に設置するスラグ除滓用バブリング孔に関し、第1領域10内にスラグ除滓用バブリング孔を1つ以上設置すると共に、第2領域11内に、スラグ除滓用バブリング孔を1つ以上設置し、さらに、取鍋の縦横比を1.5以下としてき、スラグ3を機械的に除滓するときには、スラグ除滓用バブリング孔から吹き込むガス流量の合計を適正化すると共に、ガス流量比も適正化し、第1領域10及び第2領域11以外の第3領域12におけるガス流量の合計を第1領域10及び第2領域11の合計の1/4以下にする。
【選択図】図5
Description
特許文献3には、傾転した容器内溶融金属に浸漬ランスを介して気体同伴処理材を吹き込むスラグを生成させると共に、該溶融金属内を浮上する気泡の作用で該溶融金属内に旋回流れを形成させ、生成スラグを該旋回流れにのせて容器の一端に浮上集積させつつ、該生成スラグを容器外へ掻き出す溶融金属のスラグ除去方法が開示されている。
特許文献4には、底部にガス吹き込み用のプラグ、上部に取鍋底部側壁と同心円上に3本の通電加熱用電極を備えた精錬用取鍋であって、前記プラグは前記精錬用取鍋の底部を2分割した一方に偏在させて複数配置され、かつ、前記プラグが配置される取鍋底部側壁の内径(D)と該取鍋底部側壁と同心である前記プラグが配置される直径(d)との関係が、d/D=0.50〜0.80を満足し、さらに、前記プラグが配置される直径(d)と電極の中心を通る円の直径(A)との関係が、d>1.5Aを満足することを特徴とする溶鋼の精錬用取鍋が開示されている。
特許文献6には、底部にガス吹き用の吹込みプラグを2つ以上有する溶鋼精錬用取鍋であって、前記吹込みプラグの設置される取鍋底部の側壁の内径をDとしたときに、隣接する吹込みプラグの中心間の距離が、D/6以上D/4以下であることを特徴とする溶鋼精錬用取鍋が開示されている。
とする溶融金属精錬用取鍋が開示されている。
さて、特許文献4〜7には、ガスを吹き込むポーラスプラグの位置が開示されているものの、これらの技術は、精錬効率を考慮してポーラスプラグの位置を定めたものであり、スラグを排滓するときの状況を考慮して位置設定はなされていない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、スラグ除滓用バブリング孔の配置、スラグ除滓用バブリング孔から吹き込むガス流量及び取鍋の縦横比を適正にすることによって、スラグを短時間で除滓することができる取鍋からのスラグの除滓方法を提供することを目的とする。
製鋼工場では、高炉から出銑した溶銑を取鍋に装入し、この溶銑に対して脱硫などの溶銑予備処理を行ったり、脱りん処理、脱炭処理などの一次精錬や二次精錬を行うことが一般的である。
溶銑予備処理、一次精錬、二次精錬などの処理では、取鍋内に装入した溶銑や溶鋼に石灰等の精錬剤を添加して処理を実施していて、この処理ではスラグが生成する。各処理で生成したスラグは、次の工程において反応効率を低下させる虞があるため、次の処理前に取り除くスラグ排滓処理を行う。なお、説明の便宜上、溶銑と溶鋼とをまとめて溶湯ということがある。
スラグ除滓処理では、取鍋1を傾動した後、取鍋1に設置したスラグ除滓用バブリング孔5から不活性ガスを吹き込み、溶湯2に浮くスラグ3を除滓側の鳥口7(排滓側の開口部)へ移動させ(排滓方向にスラグ3を動かす)、排滓方向に移動してきたスラグ3をスラグドラッガー4にて掻き出すことになる。スラグ3を排滓する場合には、溶湯2に浮くスラグ3を出来るだけ、烏口7に移動させることが良いが、スラグ除滓用バブリング孔5の位置によって不活性ガスの浮上挙動が異なり、これにより、スラグ3の動きも変化する。以下、説明の便宜上、スラグドラッガー4から見て、烏口7を手前側、烏口7とは反対側を奥側ということがある。
ラグ3は不活性ガスに押されて手前側に向かい易い。なお、図2(a)は、溶鋼用の取鍋の場合を示し、図2(b)は、溶銑用の取鍋の場合を示している。
以上をまとめると、スラグ除滓用バブリング孔5に不活性ガスを吹き込んだ時に、裸湯形状が一様パターンになるように、スラグ除滓用バブリング孔5の位置や個数を設定することが必要である。
その結果、図5に示すように、取鍋1の底面(底部)を平面視して底面の中心を原点とし、スラグ3の除滓方向をx軸方向とし、x軸と直交する方向をy方向としたとき、式(1)〜(3)を満たす第1領域10内にスラグ除滓用バブリング孔5を少なくとも1つ以上設置すると共に、式(4)〜(6)を満たす第2領域11内に、スラグ除滓用バブリング孔5を少なくとも1つ以上設置することによって、各領域に設置したそれぞれのスラグ除滓用バブリング孔5から吹き込む不活性ガスの気泡によりスラグ3の移動をスムーズにし、裸湯形状を一様パターンにすることができる。x軸方向に関しては、除滓方向と反対方向をプラス(+)とすることとしていて、除滓方向はマイナス(−)となる。図5に示す「●」又は「○」は、スラグ除滓用バブリング孔5を示している。以下、取鍋1を平面視した各図において「●」は、スラグ除滓用バブリング孔5を示している。
さて、上述したように、第1領域10や第2領域11内にスラグ除滓用バブリング孔5を設置することによって、裸湯形状を一様パターンとしスラグ3を手前側に集めることができることが期待できる。
その結果、スラグ除滓用バブリング孔5から吹き込むガス流量の合計を式(7)に満たすようにすることが良い。
ている。ガス流量の合計が下限値を下回ってしまうと、裸湯の領域が小さく、スラグ3が手前側に十分に寄ることがなく、除滓効率が低下してしまう虞がある。
5からのガス量とに大きな偏りがあると、一様パターンになりにくいことがある。第1領域10のスラグ除滓用バブリング孔5からのガス量と第2領域11のスラグ除滓用バブリング孔5からのガス量とが一致(同じ)であることが理想的な状態ではあるが、第1領域10のガス量と第2領域11のガス量との比であるガス流量比が式(8)を満たすようにすれば、問題なく一様パターンにすることができる。
さて、第1領域10や第2領域11以外の第3領域12にスラグ除滓用バブリング孔5を配置した場合、第3領域12のスラグ除滓用バブリング孔5から吹き込まれた不活性ガスによってスラグ3の移動が妨げられる可能性がある。しかしながら、仮に、第3領域12にスラグ除滓用バブリング孔5を設置したとしても、第3領域12に配置したスラグ除滓用バブリング孔5から吹き込まれた不活性ガスによってスラグ3の移動を阻害しない程度であれば、第3領域12にスラグ除滓用バブリング孔5を設置してもよい。即ち、本発明では、第3領域12におけるスラグ除滓用バブリング孔5から吹き込んだガス流量の合計が式(9)を満たせば、問題ないとしている。
にし、第3領域12におけるガス流量の合計を式(9)を満たすようにしている。
水モデルでは、取鍋1を模した容器に、スラグ除滓用バブリング孔5を模したポーラスプラグを設置する。また、容器の傾動角度を0°の状態で当該容器に溶湯2を模した水と、スラグ3を模したスラグ3模擬剤(低密度ポリエチレン)を入れる。その後、ポーラス
プラグからガスを吹き込んで、容器の傾動角度を20°、30°、40°にしてスラグ3模擬剤(低密度ポリエチレン)を観察した。水モデルにてガスを吹き込むにあたっては、図6に示すように、2gHs/Um2(Hs:スラグ3の厚み、Um2:鉄−スラグ3界面での鉄平均流速[m2/s])の相似を仮定して流量を決定した。裸湯率を、裸湯率=水の面積÷(水の面積+スラグ模擬剤の面積)とし、手前からスラグ3と水とが分かれる境界部での最大距離を求めた。なお、その他の水モデルの実験条件は、表9の通りである。
図7〜14及び表に示すように、実施例では、ポーラスプラグを第1領域10及び第2領域11に設置して、適正な流量でガスの吹き込みを行うと、裸湯形状が一様パターンとなり、スラグ3が手前に移動することから非常にスラグ3の除滓がスムーズに行うことができると考えられる。裸湯形状が一様パターンとなるとき、裸湯率は20%以上を超えている。一方、比較例では、ポーラスプラグが第1領域10及び第2領域11外であったり、ガスの吹き込み量が適正でないと、裸湯形状が山型や谷型になることが多く、裸湯率も
20%未満となり、最大距離も実施例に比べて長くなる傾向にある。
発明者らは、このような水モデルの結果を踏まえ、実機に本発明に規定したスラグ除滓用バブリング孔5(ポーラスプラグ)の位置、ガス流量(不活性ガスの流量)について検証を行った。実機における実施条件は、表10に示す通りとした。
〜3.5NL/min/tの窒素(不活性ガス)を吹き込み、スラグ3を移動させた。そして、さらに、傾動角度α=15〜48°の領域内で取鍋1を傾けて、スラグドラッガー4にてスラグ3を排滓した。目視にて裸湯率が90%以上となった時点でスラグドラッガー4による排滓を終了し、取鍋1の傾動角度αを0°として取鍋1の傾動を終了した。なお、除滓時間は、傾動角度α=0〜15°の領域内で取鍋1を傾けて不活性ガスを吹き込んでから取鍋1の傾動を終了するまでの間とした。実機における表に示したパラメータは表20の通りである。なお、Zm、i は、取鍋を水平にしたとき(傾けていないとき)の溶湯浴面からポーラスプラグ5までの垂直距離である。Hm、i は、取鍋を傾動したときの溶湯浴面からポーラスプラグ5までの垂直距離である。
図15〜17及び表に示すように、実施例では、ポーラスプラグ5を第1領域10及び第2領域11に設置して、適正な流量でガスの吹き込みを行うと、裸湯形状が一様パターンとなり、スラグ3が手前に移動することから非常にスラグ3の除滓がスムーズに行うことができ、除滓時間も6分以内とすることができた。実機においても水モデルと同様に裸湯形状が一様パターンとなるとき、裸湯率は20%以上を超えている。一方、比較例では、ポーラスプラグ5が第1領域10及び第2領域11外であったり、ガスの吹き込み量が適正でないと、裸湯形状が山型や谷型になることが多く、裸湯率も20%未満となり、最大距離も実施例に比べて長くなる傾向にある。
図19は、不活性ガスを吹き込むときの取鍋1の傾動角度と、除滓速度又は溶湯2歩留との関係をまとめたものである。傾動角度αが6°未満では奥側にスラグ3が残留することに起因して除滓速度が急激に低下した。また、傾動角度が10°を超えると、不活性ガスを吹き込んだ時に湯面安定までに時間が掛かった。また、溶銑飛散による鉄ロスも多く、溶湯2の歩留、除滓速度共に低下した。一方、傾動角度が6〜10°では、溶湯2の歩留、除滓速度共に高い結果が得られた。
2の飛散による鉄ロスも多く、湯面が安定しないこともあり、溶湯2の歩留、除滓速度共に低下した。一方、スラグ3状態(粘度)に応じて必要最小量以上のガス流量を流せば、溶湯2の歩留、除滓速度共に高い結果が得られた。
2 溶湯
3 スラグ
4 機械除去装置
5 スラグ除滓用バブリング孔
7 鳥口
8 円筒部(胴部)
9 中心部
10 第1領域
11 第2領域
12 第3領域
Claims (1)
- 取鍋内のスラグを機械的に除滓するに際して、
前記取鍋に設置するスラグ除滓用バブリング孔に関し、前記取鍋の底面を平面視して底面の中心を原点とし、スラグの除滓方向をx軸方向(除滓方向がマイナス)とし、x軸と直交する方向をy方向としたとき、式(1)〜(3)を満たす第1領域内に、前記スラグ除滓用バブリング孔を1つ以上設置すると共に、式(4)〜(6)を満たす第2領域内に、前記スラグ除滓用バブリング孔を1つ以上設置し、さらに、前記取鍋の縦横比を1.5以下としてき、
前記スラグを機械的に除滓するときには、前記スラグ除滓用バブリング孔から吹き込むガス流量の合計を式(7)に満たすようにし、ガス流量比を式(8)を満たすようにし、前記第1領域及び第2領域以外の第3領域におけるガス流量の合計を式(9)を満たすようにすることを特徴とする取鍋からのスラグの除滓方法。
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