JP2013052567A - 化粧シート用隠蔽性フィルム、及び化粧シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の化粧シート用隠蔽性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂と、充填剤とを含む樹脂組成物Aにより構成される層(A層)を少なくとも1層以上含み、1軸方向または2軸方向に延伸されてなるフィルムであって、フィルム全体の空孔率が10〜70%であり、80℃で15分加熱した際のフィルムの収縮率がフィルム引き取り方向(MD)及びMDに対する直角方向(TD)のいずれも10%以下である。
【選択図】なし
Description
(2)前記フィルムは、少なくとも2種以上の積層構成からなる(1)に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(3)前記フィルムは、少なくとも2種以上の積層構成からなり、ポリオレフィン系樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物Aにより構成される層(A層)と、ポリオレフィン系樹脂を含み、充填剤を含まない樹脂組成物Bにより構成される層(B層)とを有する、(1)又は(2)に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(4)前記ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレートが0.1〜30g/10分のポリプロピレン系樹脂である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(5)前記充填剤は、平均粒径が0.3〜10μmの炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(6)前記樹脂組成物Aは、さらに着色剤を含んでなる(1)〜(5)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(7)前記フィルムは、厚みが10〜200μmである(1)〜(6)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
(8)前記フィルムは、1軸方向に4〜7倍の範囲で延伸されてなるものである(1)〜(7)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
及び、
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルムの少なくとも片面に印刷を施してなる化粧シート。
に存する。
本発明の樹脂組成物Aは、少なくともポリオレフィン系樹脂と充填剤とを含んでなる。
本発明において用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において用いられる充填剤は、特に制限はなく、無機系、有機系のいずれであっても使用できる。無機系充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。有機系充填剤の具体例としては、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末が挙げられる。中でも延伸の安定性、空孔率の設計容易性等の観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく使用できる。
なお、平均粒径の測定方法は後述する実施例に記載の評価方法のとおりである。
本発明において、樹脂組成物Aにはさらに着色剤を含んでいてもよい。
着色剤としては、特に制限はなく使用でき、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、ジメチルキナクリドン、キナクリドンY、ジクロルキナクリドン、ジケトピロロピロール、縮合アゾ、イソインドリノン、モノアゾ、Niチタンイエロー、Crチタンイエロー、焼成酸化鉄、シアニングリーン、シアニンブルー、群青、アルミニウム等が挙げられる。
本発明の隠蔽性フィルムは、延伸によって生じる空孔を有する多孔フィルムであり、樹脂組成物Aにより構成される単層のフィルムであってもよいが、少なくとも2種以上の積層構成のフィルムであってもよい。
積層構成の場合には、ポリオレフィン系樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物Aにより構成される層(A層)と、ポリオレフィン系樹脂を含み、充填剤を含まない樹脂組成物Bにより構成される層(B層)とを有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物Bにおけるポリオレフィン系樹脂は、樹脂組成物Aと同様のものを使用することができる。
A層とB層を有する積層構成としては、A層/B層の2層構成、A層/B層/A層、B層/A層/B層の3層構成等、目的に応じて任意の構成を採用することができるが、フィルムの成形性や化粧シートとしての二次加工性の観点から、B層/A層/B層の3層構成が好ましい。
充填剤を含まないB層を両外層とすることによって、フィルム成形時の目やに発生を防止でき、より外観の良好なフィルムを得ることができる。この場合の厚み比率は1/8/1〜1/30/1の範囲とすることが好ましい。
積層構成としては、A層、B層以外の他の層を1層以上含んでいてもよく、4層以上の多層構成であっても構わない。
本発明におけるA層、B層には、上述の成分の他に、必要に応じて、各種添加剤を含有することができ、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、スリップ剤(滑剤)、アンチブロッキング剤、核剤、難燃剤、消臭剤等、通常ポリオレフィン系樹脂フィルムに添加される添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明のフィルムは、1軸方向または2軸方向に延伸されることにより、充填剤を起点として空孔を生じて多孔フィルムとなり、光拡散の効果から隠蔽性を発現することができる。なお、隠蔽性の測定方法は後述する実施例に記載の評価方法のとおりである。
本発明のフィルムは、厚みが10〜200μmであることが好ましい。10μm以上であれば隠蔽性が不足することがなく、200μm以下であれば化粧シートとして使用する際の二次加工性や取り扱い性に優るため好ましい。厚みの下限としては、20μm以上であることがより好ましく、また上限としては150μm以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、フィルム全体での空孔率が10〜70%であることが重要である。なお、空孔率の測定方法は後述する実施例に記載の評価方法のとおりである。空孔率が10%未満であればフィルムに十分な隠蔽性を付与できない。一方で空孔率が70%より高いと延伸時にフィルムが破断する頻度が増えるため好ましくない。空孔率の範囲は、下限は20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。また上限は65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、80℃で15分加熱した際のフィルムの収縮率がフィルム引き取り方向(MD)及びMDに対する直角方向(TD)のいずれも10%以下であることが重要である。
80℃で15分加熱した際のフィルムの収縮率が10%以下であることによって、化粧シートとして後工程で印刷が施された場合においても外観及び意匠性を損なわず、安定した二次加工性を担保できる。10%を超えると、印刷を施した化粧シートがカールしたり、印刷の柄がずれて意匠性を損なう等の問題を生じる場合がある。
収縮率としては、9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
なお、収縮率の測定方法は後述する実施例に記載の評価方法のとおりである。
本発明のフィルムは、1軸方向に4〜7倍の範囲で延伸されてなるものであることが好ましい。延伸倍率が4倍以上であれば延伸が安定し、フィルムにムラが発生することを防止できる。また延伸倍率が7倍以下であれば延伸時にフィルムが破断することを防止することができる。
本発明の化粧シート用隠蔽性フィルムの少なくとも片面に印刷を施すことによって化粧シートとすることができる。本発明の化粧シートは、合板等に貼り合せて家具類や建築内装材等の意匠性シートとして用いたり、鋼板等に貼り合せてプラスチック被覆鋼板等の化粧材として用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂と充填剤を表1記載の割合で配合・混合したペレット原料を用いて、Tダイを装着した押出成形機によって、シリンダー温度を230℃に設定して溶融し、B層/A層/B層の構成からなる2種3層構成の無延伸フィルムを製造した。この無延伸フィルムを、90℃に加熱したロールと延伸ロールとの間で、表1記載の延伸条件にて一軸延伸し、多孔フィルムを得た。得られた多孔フィルムについて後述の各種物性を評価し、測定結果を表1に示した。
(ポリオレフィン系樹脂)
・PP :密度が0.9g/cm3、230℃で測定したメルトフローレートが15g/10分のホモポリプロピレン
・PE : 密度が0.96g/cm3、190℃で測定したメルトフローレートが7g/10分の高密度ポリエチレン
(充填剤)
・炭カル : 平均粒径が6.0μmの炭酸カルシウム
・タルク : 平均粒径が11.0μmのタルク
(着色剤)
・酸化チタン :平均粒径が0.25μmの酸化チタン
実施例における各種の物性の評価は以下に記載の方法で評価した。
充填剤につき、恒圧式透過法(島津式粉体比表面積測定器SS−100使用)により、測定した比表面積から算出した。試料の重量を3.0g、試料を厚さ1.35cmとし、試料層の断面積を2cm2、空気圧力を50cmH2Oの条件下で測定し、空気の粘性係数を181×10−6g/(cm・sec)として計算した。
隠蔽性フィルムから1辺100mmの正方形試験片1片を打抜き各片の中央に印を付ける。
印を付けたところの縦、横の長さを測定し加熱する。
求める収縮率は次式により算出する。
収縮率(%)={(加熱前の長さ−加熱後の長さ)/加熱前の長さ}×100
なお、加熱条件は80℃×15分(空気乾燥機で加熱)であり、フィルム引き取り方向(MD)とMDに対する直角方向(TD)の両方について測定した。
フィルム引き取り方向(MD)及びMDに対する直角方向(TD)の収縮率がいずれも10%以下であれば化粧シート用隠蔽性フィルムとして実用範囲内である。
隠蔽性フィルムから10cm角の試料を切り取り、その重量w(g)と厚さt(μm)を計測し、樹脂組成物の比重ρ(g/cm3) から、次式より算出した。
空孔率(%)=[1−{w/(10×10×t×0.0001×ρ)}]×100
隠蔽性フィルムの中央部から試験片をとり、隠蔽率試験紙(JIS K5400 7.2(2)(f))の黒地と白地を下地にし色差を測定し、ΔEを求める。
なお、ΔEの数値が低いほど隠蔽性は高く、ΔEが5以下であれば化粧シート用としては十分な隠蔽性である。
JIS K6758(及びJIS K7210)に従って測定した。
隠蔽性フィルムを目視にて以下の基準で評価した。
◎:極めて良好
○:若干の延伸ムラがみられるものの実用範囲内
×:隠蔽ムラが発生し化粧シート用としては実用範囲外
全ての評価項目において優れていた場合を◎、化粧シート用として実用範囲内の場合を○、実用範囲外のものを×とした。
また、実施例の中でも平均粒径が10μm以下である炭酸カルシウムを使用した実施例1〜3のフィルムは、平均粒径が10μmより大きいタルクを使用した実施例4のフィルムに比べて延伸ムラがなく、外観の点で優れた態様であった。
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物Aにより構成される層(A層)を少なくとも1層以上含み、1軸方向または2軸方向に延伸されてなる多孔フィルムであって、フィルム全体の空孔率が10〜70%であり、80℃で15分加熱した際のフィルムの収縮率がフィルム引き取り方向(MD)及びMDに対する直角方向(TD)のいずれも10%以下である化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記フィルムは、少なくとも2種以上の積層構成からなる請求項1に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記フィルムは、少なくとも2種以上の積層構成からなり、ポリオレフィン系樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物Aにより構成される層(A層)と、ポリオレフィン系樹脂を含み、充填剤を含まない樹脂組成物Bにより構成される層(B層)とを有する、請求項1又は2に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレートが0.1〜30g/10分のポリプロピレン系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記充填剤は、平均粒径が0.3〜10μmの炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記樹脂組成物Aは、さらに着色剤を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記フィルムは、厚みが10〜200μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 前記フィルムは、1軸方向に4〜7倍の範囲で延伸されてなるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧シート用隠蔽性フィルムの少なくとも片面に印刷を施してなる化粧シート。
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