JP2000071368A - 多層樹脂延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

多層樹脂延伸フィルムの製造方法

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JP2000071368A
JP2000071368A JP24546598A JP24546598A JP2000071368A JP 2000071368 A JP2000071368 A JP 2000071368A JP 24546598 A JP24546598 A JP 24546598A JP 24546598 A JP24546598 A JP 24546598A JP 2000071368 A JP2000071368 A JP 2000071368A
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stretched
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layer
multilayer resin
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JP24546598A
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Masashi Mori
雅士 森
Masatsuki Yamanaka
昌月 山中
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Yupo Corp
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Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色沈みがなく、インク乾燥性に優れるオフセッ
ト印刷用紙、グラビア印刷用紙、インクジェット記録用
紙、インモールドラベル、粘着ラベル等の用途に適した
多層樹脂延伸フィルムの製造方法を提供すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂40〜85重量%および無機
または有機微細粉末60〜15重量%を含有する基材層
(A)の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂30〜90重
量%および無機または有機微細粉末70〜10重量%を
含有する表面層(B)を有する多層樹脂延伸フィルムの
製造方法であって、前記多層樹脂延伸フィルムの空孔率
が5〜60%になるように、延伸の歪み速度が5〜10
0sec−1 の条件下で前記基材層(A)および前記表面
層(B)を同時または個別に一軸方向に延伸する工程を
含むことを特徴とする多層樹脂延伸フィルムの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷適性に優れ
た、表面強度が高い多層樹脂延伸フィルムの製造方法に
関する。本発明の製造方法によって製造される多層樹脂
延伸フィルムは、ポスター等の一般印刷、粘着ラベル、
インクジェット用紙、建築装飾材をはじめとする様々な
用途に利用しうる。
【0002】
【従来の技術】印刷適性に優れた熱可塑性樹脂フィルム
として、平均粒径0.8〜4μmの炭酸カルシウム粉末
を含有するポリプロピレン、高密度ポリエチレン等の結
晶性ポリオレフィン樹脂組成物を基材とする延伸フィル
ムからなる合成紙が知られている(特公昭60−361
73号公報、特公平1−56091号公報)。この合成
紙は、王子油化合成紙(株)よりユポFPG、ユポKP
G、ユポSGG等の商品名で、また、英国BXL社より
PolyartIIの商品名で市販されている。
【0003】これらの合成紙は、重質炭酸カルシウム粒
子を核とする空孔(ボイド)を有している。これらの空
孔は、テンターによりフィルムを延伸する際に形成され
るものであるが、形成される空孔数が少ないために印刷
したときにインクが十分に浸透することができず、イン
クの乾燥性が劣るという問題があった。また、個々の空
孔のサイズが大きいため、オフセット印刷するとインク
が亀裂内深くに浸透して色沈み(インク沈み)が生じる
こともあった。このため、これらの合成紙はポスター用
紙等の高級印刷には向いておらず、名刺、書籍用紙等の
汎用印刷用紙に用途が限定されていた。
【0004】このような問題に対処するために、表面に
印刷層をコートすることによって高級印刷に向いた基材
にする方法が開発されている。しかしながら、この方法
には製造費用がかさむという欠点があった。また、空孔
の数を多くし、サイズを小さくするために軽質炭酸カル
シウム等の平均粒径の小さい微粒子を使用する方法も考
案されている。しかしながら、平均粒径の小さい微粒子
はポリオレフィン樹脂へ配合したときに分散不良による
2次凝集が多く発生するという欠点がある。この凝集体
はフィルムを延伸したときに合成紙の表面に大きな突起
物となって現れるため、このような微粒子を用いて製造
した合成紙も高精度の印刷には適していない。また、延
伸温度を下げる方法も提案されている。しかしながら、
延伸温度を低くすると延伸むらやフィルム破断が発生し
やすくなる。このため、製造ロスが大きくなって製造費
用がかさむなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とし
た。すなわち本発明は、色沈みがなく、インク乾燥性に
優れるオフセット印刷用紙、グラビア印刷用紙、インク
ジェット記録用紙、インモールドラベル、粘着ラベル等
の用途に適した多層樹脂延伸フィルムの製造方法を提供
することを解決すべき課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を進めた結果、多層樹脂延伸フ
ィルムを製造する時の延伸の歪み速度を制御することに
よって本発明の目的にかなう優れた特性を有する多層樹
脂延伸フィルムを製造することができることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、熱可塑性樹脂40〜8
5重量%および無機または有機微細粉末60〜15重量
%を含有する基材層(A)の少なくとも片面に、熱可塑
性樹脂30〜90重量%および無機または有機微細粉末
70〜10重量%を含有する表面層(B)を有する多層
樹脂延伸フィルムの製造方法であって、式(1)で計算
される前記多層樹脂延伸フィルムの空孔率が5〜60%
になるように、式(2)で計算される延伸の歪み速度が
5〜100sec−1 の条件下で前記基材層(A)および
前記表面層(B)を同時または個別に一軸方向に延伸す
る工程を含むことを特徴とする多層樹脂延伸フィルムの
製造方法を提供する。
【0008】
【数3】 ρ0・・・・・多層樹脂延伸フィルムの真密度 ρ1・・・・・多層樹脂延伸フィルムの密度
【0009】
【数4】 V0・・・・・フィルムまたは層の延伸前の速度 V1・・・・・フィルムまたは層の延伸後の速度 x ・・・・・延伸間距離
【0010】本発明の製造方法では、基材層(A)およ
び表面層(B)を積層した後に、基材層(A)および表
面層(B)を同時に一軸方向に延伸するのが好ましい。
また、延伸はロール間の多段延伸により行うのが好まし
い。延伸の倍率は例えば1.2〜10倍の範囲内に設定
することができる。基材層(A)および表面層(B)の
熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用するこ
とができる。また、基材層(A)の無機または有機微細
粉末として平均粒子径が0.6〜3μmの範囲内にある
微細粉末を用い、表面層(B)の無機または有機微細粉
末として平均粒子径が0.1〜2μmの範囲内にある微
細粉末を使用することができる。延伸は、表面層(B)
の空孔の短径が0.1〜2μmの範囲内であり、長径が
0.5〜10μmの範囲内になるように行うのが好まし
い。また延伸は、表面層(B)の表面の空孔が100μ
あたり10〜100個の範囲内になるように行う
のが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の実施形態
について詳細に説明する。本発明の製造方法では、延伸
前にまず基材層(A)用の無延伸フィルムと表面層
(B)用の無延伸フィルムを調製する。基材層(A)用
の無延伸フィルムは熱可塑性樹脂40〜85重量%およ
び無機または有機微細粉末60〜15重量%を含有し、
表面層(B)用の無延伸フィルムは熱可塑性樹脂30〜
90重量%および無機または有機微細粉末70〜10重
量%を含有するように調製する。
【0012】基材層(A)および表面層(B)に使用す
る熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、ポ
リオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,
6、ナイロン−6,T等のポリアミド系樹脂;ポリエチ
レンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレ
フタレートやその共重合体、脂肪族ポリエステル等の熱
可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタク
ティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチ
レン等を使用することができる。
【0013】中でも非極性のポリオレフィン系樹脂を用
いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、
例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8の
α−オレフィンの単独重合体、およびこれらのα−オレ
フィン2〜5種の共重合体が挙げられる。共重合体は、
ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。具体
的には密度が0.89〜0.97g/cm、メルトフ
ローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜10
g/10分の分枝ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン;
メルトフローレート(230℃,2.16kg荷重)が
0.2〜8g/10分のプロピレン単独重合体、プロピ
レン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重
合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プ
ロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピ
レン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ(1−
ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピ
レン・エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体な
どが挙げられる。これらの中でもプロピレン単独重合
体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、高密度ポ
リエチレンが、安価で成形加工性が良好であるため好ま
しい。
【0014】基材層(A)および表面層(B)には、上
記熱可塑性樹脂の中から1種類を選択して単独で使用し
てもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用して
もよい。また、基材層(A)および表面層(B)には同
一の熱可塑性樹脂を使用してもよいし、異なる熱可塑性
樹脂を使用してもよい。それぞれの層に求められる特性
に応じて、熱可塑性樹脂は適宜選択することができる。
【0015】基材層(A)および表面層(B)に使用す
る有機または無機微細粉末の種類は特に制限されない。
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸
カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウ
ム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等
を例示することができる。中でも重質炭酸カルシウム、
クレー、珪藻土を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性
がよいために好ましい。
【0016】有機微細粉末としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リスチレン、メラミン樹脂、ポリエチレンサルファイ
ト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェ
ニレンサルファイト等を例示することができる。中で
も、使用する熱可塑性樹脂よりも融点が高くて非相溶性
の微細粉末を使用するのが空孔形成の点で好ましい。
【0017】基材層(A)および表面層(B)には、上
記の微細粉末の中から1種を選択してこれを単独で使用
してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用し
てもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、
有機微細粉末と無機微細粉末を混合して使用してもよ
い。また、基材層(A)および表面層(B)には同一の
微細粉末を使用してもよいし、異なる微細粉末を使用し
てもよい。ただし、表面層(B)の微細粉末としては基
材層(A)の微細粉末よりも平均粒子径が小さいものを
選択するのが好ましい。このように平均粒子径を調節す
ることによって、表面突起物が減少して表面平滑性等が
よくなり、その結果より高精細な印刷が可能になる。
【0018】基材層(A)に使用する微細粉末の好まし
い平均粒子径の範囲は0.6〜3μmである。粒子径が
3μmより大きくなると表面層(B)の平滑度に影響が
でる。また、平均粒子径が0.6μmより小さくなると
印刷に好ましいクッション性、光隠蔽性および軽量性が
得られなくなる。表面層(B)に使用する微細粉末の好
ましい平均粒子径の範囲は0.1〜2μmである。平均
粒子径を上記範囲内にすることによって、表面に微細な
亀裂を形成させてインクの色沈みや白抜けをより有効に
防ぐことができる。平均粒子径が2μmより大きくなる
と表面の空孔数が減少し、空孔のサイズが大きくなり、
インクの色沈みや白抜けの原因となる。
【0019】本発明の製造方法では、上記熱可塑性樹脂
と上記微細粉末を混合して各層を形成する。基材層
(A)では、熱可塑性樹脂を40〜85重量%、無機ま
たは有機微細粉末を60〜15重量%配合する。微細粉
末の量が60重量%を超えると厚さが均一な多層樹脂延
伸フィルムを形成することが困難になり、15重量%未
満では延伸により形成される空孔の量が少ないため印刷
に必要な適度なクッション性、光隠蔽性および軽量性が
得られなくなる。
【0020】表面層(B)では、熱可塑性樹脂を30〜
90重量%、無機または有機微細粉末を70〜10重量
%配合する。微細粉末の量が70重量%を超えると、均
一に延伸することが困難になり、製造される多層樹脂延
伸フィルムの表面膜に裂け目がが生じやすくなって実用
性がなくなる。また微細粉末の量が10重量%未満で
は、十分な数の空孔が生成されず、インク乾燥性が悪く
なってしまう。
【0021】微細粉末を熱可塑性樹脂中に配合混練する
際に、必要に応じて分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、難
燃剤、紫外線安定剤、着色顔料等を添加することができ
る。本発明によって製造される多層樹脂延伸フィルムを
耐久資材として使用する場合には、酸化防止剤や紫外線
安定剤等を添加しておくのが好ましい。さらに、有機微
細粉末を使用する場合は、相溶化剤の種類や添加量が有
機微細粉末の粒子形態を決定することから重要である。
好ましい相溶化剤として、マレイン酸変性ポリプロピレ
ン(三洋化成工業(株)製、商品名ユーメックス)を例
示することができる。また、相溶化剤の添加量は、有機
微細粉末100重量部に対して0.5〜10重量部にす
るのが好ましい。
【0022】このようにして調製した混合物は、当業者
に公知の方法にしたがって無延伸フィルムにする。例え
ば、押出機などで押し出すことによってフィルム状にす
ることができる。押し出しの条件は、混合物の組成や調
製するフィルムの形状などに応じて適宜設定することが
できる。
【0023】調製した基材層(A)用の無延伸フィルム
と表面層(B)用の無延伸フィルムは、次に積層工程と
延伸工程に付する。表面層(B)は基材層(A)の片面
に積層してもよいし、両面に積層してもよい。両面に積
層する場合は、2つの表面層の組成は同一であっても異
なっていてもよい。積層工程と延伸工程の順序は特に制
限されない。したがって、基材層(A)および表面層
(B)はそれぞれ別個に延伸してから積層してもよい
し、あらかじめ積層しておいてから延伸してもよい。ま
た、基材層(A)の両面に表面層(B)を適用する場合
には、基材層(A)の片面に表面層(B)を積層して延
伸した後に、延伸または未延伸の表面層(B’)を基材
層(A)のもう一方の面に積層してもよい。このよう
に、積層工程と延伸工程は適宜組み合わせて実施するこ
とができる。好ましいのは、基材層(A)の片面または
両面に表面層(B)を積層した後にまとめて延伸する場
合である。別個に延伸して積層する場合に比べると簡便
でありコストも安くなる。また、基材層(A)と表面層
(B)に形成される空孔の制御もより容易になる。
【0024】本発明の延伸工程は、製造される多層樹脂
延伸フィルムの空孔率が5〜60%になるように、5〜
100sec−1 の延伸歪み速度で一軸延伸することによ
って行う。本明細書において多層樹脂延伸フィルムの空
孔率とは、上記式(1)にしたがって計算される値を意
味する。多層樹脂延伸フィルムの空孔率を求める場合
は、式(1)のρ0は多層樹脂延伸フィルムの真密度を
表わし、ρ1は多層樹脂延伸フィルムの密度を表す。ま
た、後掲の表2における各層の空孔率は、式(1)のρ
0を層の真密度とし、ρ1を層の密度として計算される
値である。延伸前の材料が多量の空気を含有するもので
ない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。本発明
の製造方法では、多層樹脂延伸フィルムの密度が0.6
0〜1.20g/cmの範囲内になるように延伸する
のが好ましい。また、本明細書において延伸歪み速度と
は、上記式(2)にしたがって計算される値を意味す
る。式(2)のV0はフィルムまたは層の延伸前の速度
を表し、V1はフィルムまたは層の延伸後の速度を表
す。またxは延伸間距離を表す。
【0025】本発明者らは、従来の製造方法にしたがっ
て製造した多層樹脂延伸フィルムの印刷特性が悪くなる
原因を鋭意検討した結果、式(2)で計算される延伸の
歪み速度が印刷特性に大きく影響していることを見出し
た。すなわち、通常のテンターによる延伸では延伸の歪
み速度は0.5〜3sec 程度であるが、この程度の
歪み速度では熱可塑性樹脂中に分散した無機または有機
微粒子と熱可塑性樹脂の界面にかかる応力が小さくて、
熱可塑性樹脂中の微粒子の一部しか空孔を形成する核に
ならないことを確認した。また形成された空孔に応力が
集中してしまうために、その後いくら延伸してもすでに
発生した空孔のサイズが大きくなるだけで空孔数はほと
んど増加しないことも明らかになった。
【0026】本発明者らは、このような従来技術の代わ
りに、延伸の歪み速度を5〜100sec−1 、好ましく
は10〜70sec−1 の範囲にすれば、熱可塑性樹脂中
に分散した無機または有機微粒子と熱可塑性樹脂の界面
にかかる応力が空孔を作成するのに十分な大きさになる
ことを確認した。この範囲の歪み速度であれば、熱可塑
性樹脂中の微粒子の大部分が空孔を形成する核となり、
形成される空孔数も増加する。このため、相対的に一個
あたりの空孔のサイズは小さくなり、色沈みがなく、イ
ンク乾燥性に優れた多層樹脂延伸フィルムを製造するこ
とが可能になる。なお、歪み速度が100sec−1 以上
になると延伸時にフィルムが破断し安定して成形するこ
とができなくなる。
【0027】延伸の具体的な方法は、請求項1の条件を
満たす限り特に制限されない。延伸方法としては、ロー
ル群の周速差を利用したロール間延伸、テンターオーブ
ンを利用したクリップ延伸などを挙げることができる
が、クリップ延伸では延伸の歪み速度がほぼラインスピ
ードに依存し一般に0.5〜3sec−1 程度の値しかと
ることができないので利用しにくい。これに対して、ロ
ール間延伸であれば歪み速度を5〜100sec−1 に設
定することが容易であるため好ましい。
【0028】上記延伸では延伸倍率を1.2〜10倍、
好ましくは2〜8倍にするのがよい。延伸倍率が1.2
倍より小さいと延伸時の歪み速度を5sec−1 より大き
くすることが困難になり微少な空孔を大量に表面層
(B)に作ることができない。また延伸倍率が10倍を
超えると、延伸時にフィルムが破断し安定して成形する
ことができなかったり、表面層(B)の表面の空孔の長
径が10μmを超えてしまい精細な印刷ができなくな
る。
【0029】特に表面層(B)には各種の印刷が行われ
ることが多い。このため、表面層(B)には各種印刷方
式による高精細な印刷適性や、インク密着強度が必要と
される。これらの要求に十分に応えるために、表面層
(B)の空孔の短径が0.1〜2μm、長径が0.5〜
10μmの範囲内になるように延伸するのが好ましい、
特に好ましくは短径が0.1〜1μm、長径が0.5〜
5μmの範囲内にある場合である。また基材層(A)の
空孔サイズは、印刷に好ましいクッション性、光隠蔽性
および軽量性を付与するために、表面層(B)の空孔の
サイズより大きいのが好ましい。具体的には、短径が
0.6〜12μm、長径が3〜60μmの範囲内にある
のが好ましい。特に好ましいのは、短径が0.6〜6μ
m、長径が3〜30μmの範囲内にある場合である。
【0030】また、表面層(B)の表面の空孔の数は1
00μmあたり10〜100個、特に好ましくは3
0〜70個であるのが好ましい。表面の空孔の数が10
個より少ないとインクのアンカー(投錨)効果が得られ
ず、インク密着性が劣ったり、インクの乾燥性が劣る。
表面の空孔が100μmあたり100個より多くな
ると表面層の空孔同士が連結しインクが奥まで浸透して
インクの色沈みが発生したり、表面強度が劣る。なお、
本明細書において、表面層(B)の表面空孔数は、電子
顕微鏡によって多層樹脂延伸フィルムの表面を4000
倍に拡大することによって測定した数値を意味する。
【0031】本発明の製造方法によって製造された多層
樹脂延伸フィルムは、そのまま使用に供してもよいし、
さらに別の熱可塑性フィルム等に積層して使用してもよ
い。さらに積層する場合には、例えばポリエステルフィ
ルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム等
の透明または不透明なフィルムに積層することができ
る。本発明の多層樹脂延伸フィルムの厚さは特に制限さ
れない。例えば、30〜400μm、好ましくは60〜
200μmに調製することができる。また、上述のよう
に他のフィルムと積層することによって全体の厚さを1
mm程度にすることもできる。
【0032】本発明の製造方法によって製造された多層
樹脂延伸フィルムは、様々な用途に供することができ
る。例えば、オフセット印刷用紙、グラビア印刷用紙、
インクジェット記録用紙、インモールドラベル、建築装
飾用の壁紙、化粧合板用化粧紙、床材、自動車の内装
材、粘着加工を施したタックラベル等に有効である。
【0033】多層樹脂延伸フィルムの表面層(B)に
は、使用目的に応じて印刷を行うことができる。印刷の
種類や方法は特に制限されない。例えば、公知のビヒク
ルに顔料を分散してインクを用いたグラビヤ印刷、水性
フレキソ、シルクスクリーン、UVオフセット輪転等の
印刷等の公知の印刷手段を用いて印刷することができ
る。また、金属蒸着や、グロス印刷、マット印刷等によ
り印刷することもできる。印刷する絵柄は、石目、木
目、格子、水玉、花柄等の天然物柄、抽象柄、キャラク
ター等から適宜選択することができる。
【0034】また、本発明の製造方法によって製造され
た多層樹脂延伸フィルムにはエンボス加工を施すことが
できる。エンボス加工は、印刷を行った後に行うのが一
般的であるが、エンボス加工後にさらに印刷を行っても
構わない。
【0035】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例を記載し
て、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材
料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱し
ない限り適宜変更することができる。したがって、本発
明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではな
い。使用する材料を以下の表にまとめて示す。なお、表
中のMFRはメルトフローレートを意味する。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例および比較例)以下の手順にした
がって、本発明の多層樹脂延伸フィルムの製造方法(実
施例1〜4)および比較用の製造方法(比較例1〜3)
を実施した。表2に、各フィルムの製造にあたって使用
した材料の種類と量、延伸条件、および製造したフィル
ムの状態をまとめて示した。
【0038】熱可塑性樹脂および無機微細粉末を混合す
ることによって、配合物[A]、[B]および[C]を
調製した。これらの混合物を250℃に設定された3台
の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内で配合物[A]
の表面側に配合物[B]、裏面側に配合物[C]を積層
して押出成形し、冷却装置にて70℃まで冷却して、3
層の無延伸シートを得た。このシートを所定温度に加熱
した後、縦方向にロール間で所定の歪み速度と倍率で一
軸延伸した。ただし、比較例1のシートについては延伸
を行わなかった。次いで、得られたフィルムの両面に放
電処理機(春日電機(株)製)を用いて50W/m
分のコロナ処理を行って3層構造の多層樹脂延伸フィル
ム(厚さ80μm)を得た。得られた多層樹脂延伸フィ
ルムの表面の平均空孔サイズ、表面の空孔数、各層の空
孔率、フィルム全体の空孔率および密度は表2に示すと
おりであった。
【0039】
【表2】
【0040】(試験例)製造した多層樹脂延伸フィルム
について、次の方法で試験と評価を行った。
【0041】1)インク転移性 多層樹脂延伸フィルムを40℃、相対湿度80%の雰囲
気下に保管した後、RIテスター(明製作所製)にて紫
外線硬化型インク(東華色素化学工業(株)製:L−カ
ートン(墨))を1.5g/mとなるように展色
し、前記同様メタルハライドランプを用いて照射乾燥さ
せることによって印刷物を作成した。その後マクベス濃
度計(米国コルモーゲン社製)にて光反射濃度(マクベ
ス濃度)を測定し、展色面に色沈み、白抜け等の転移不
良がないかを目視にて観察し、次の5段階で評価した。 5:大変良い 4:良い 3:転移インクの色が薄いが実用上支障がない 2:転移インクの色が薄く、色沈みしている 1:ほとんど転移しない
【0042】2)インク密着性 前記インク転移性評価と同様にして印刷物を作成した。
この印刷物の表面に粘着テープ(ニチバン(株)製:商
品名「セロテープ」)を貼り付けて十分に押しつけた
後、粘着テープを粘着面に対して90度の方向に一定の
速度で引き剥がした。印刷物表面からのインクの取られ
方を肉眼で観察し、下記の基準により評価した。 ◎:全くインクが剥がれていない ○:フィルムの材料部分が破壊されているが、実用上問
題ない △:テープ剥離時に抵抗があるがインクの殆どが剥が
れ、実用上問題がある ×:テープ剥離時に抵抗がなくインク全量が剥がれて、
実用上使用できない
【0043】3)インク乾燥性 多層樹脂延伸フィルムの乾燥型オフセットインクである
ベスタックNP−1墨(T&K(株)製商品名)、およ
びオフセット印刷機を用いて、毎分100枚の印刷速度
で2,000枚を印刷した。その後、印刷物を指で押さ
えつけた時に、上から5枚目のフィルムに印刷されたイ
ンクが上から4枚目のフィルムの裏側につかなくなるま
での時間を測定することによって、インク乾燥性を評価
した。 ◎:1時間以内でつかなくなった ○:1〜3時間でつかなくなった △:3〜5時間でつかなくなった ×:5時間を超えてもつく(裏づきする)
【0044】4)光隠蔽性 この多層樹脂延伸フィルムの両面オフセット印刷物を屋
外に吊した際、反対面の印刷が透けて見えるか否かを下
記の基準により評価した。 ○:透けて見えない ×:透けて見える
【0045】5)表面強度 多層樹脂延伸フィルムの両表面に粘着テープ(ニチバン
(株)製:商品名「セロテープ」)を貼り付け十分に指
で押しつけた後、引張り試験機((株)島津製作所製:
商品名「オートグラフ」)で粘着テープを1000mm
/分の速度で剥離した。剥離後の両表面の状態変化を肉
眼で観察し、下記の基準により評価した ◎:変化無し ○:極わずかに表面が毛羽立つが、実用上は問題ない △:表面の毛羽立ちが多く、実用上問題がある ×:フィルムの層内から剥離が起こり、実用上使用でき
ない
【0046】上記各試験の結果を以下の表にまとめて示
す。
【表3】
【0047】表3から明らかなように、本発明の製造方
法によって製造した多層樹脂延伸フィルムは、表面層
(B)のインク転移性、インク密着性、インク乾燥性お
よび表面強度のすべてが良好であり、光遮蔽性も高い
(実施例1〜4)。これに対して、無延伸基材のように
表面に空孔が存在しない基材はインク密着性、インク乾
燥性および光遮蔽性が劣っている(比較例1)。また、
延伸の歪み速度が小さい基材は表面空孔サイズが大きく
なり色沈みによってインク転移性が劣っており、インク
乾燥性も悪い(比較例2)。さらに、歪み速度が大きい
基材は成形することができなかった(比較例3)。
【0048】
【発明の効果】本発明の多層樹脂延伸フィルムの製造方
法を用いれば、印刷適性が優れていて、表面強度も高い
優れた多層樹脂延伸フィルムを提供することができる。
このため、本発明によれば、ポスター用紙、粘着用紙、
インクジェット用紙、建築装飾材をはじめとするさまざ
まな用途に供し得る多層樹脂延伸フィルムを有効に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 105:04 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F100 AA01A AA01B AA01H AA08H AK01A AK01B AK01H AK03A AK03B AK07 AK64 BA02 BA03 BA06 BA10B BA13 CA23A CA23B DE01A DE01B DE01H DJ00 EH202 EJ371 EJ373 EJ423 EJ553 GB08 GB90 JB16A JB16B JK01 JK14 JL01 YY00 YY00A YY00B YY00H 4F210 AA05 AA09 AA11 AB11B AG01 AG03 AG20 AH48 AH53 QA03 QC02 QD04 QG01 QG15 QG18 QM03 QM11 QW34 4J002 AA01W BB031 BB121 BB151 BC03X CC18X CF06X CF07X CF08X CG00X CH09X CL00X CM04X CN01X DE076 DE106 DE136 DE206 DE236 DG046 DJ016 DJ036 FD01X FD016 GK03 GL00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂40〜85重量%および無機
    または有機微細粉末60〜15重量%を含有する基材層
    (A)の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂30〜90重
    量%および無機または有機微細粉末70〜10重量%を
    含有する表面層(B)を有する多層樹脂延伸フィルムの
    製造方法であって、 式(1)で計算される前記多層樹脂延伸フィルムの空孔
    率が5〜60%になるように、式(2)で計算される延
    伸の歪み速度が5〜100sec−1 の条件下で前記基材
    層(A)および前記表面層(B)を同時または個別に一
    軸方向に延伸する工程を含むことを特徴とする多層樹脂
    延伸フィルムの製造方法。 【数1】 ρ0・・・・・多層樹脂延伸フィルムの真密度 ρ1・・・・・多層樹脂延伸フィルムの密度 【数2】 V0・・・・・フィルムまたは層の延伸前の速度 V1・・・・・フィルムまたは層の延伸後の速度 x ・・・・・延伸間距離
  2. 【請求項2】前記基材層(A)および前記表面層(B)
    を積層した後に、前記基材層(A)および前記表面層
    (B)を同時に一軸方向に延伸することを特徴とする請
    求項1の多層樹脂延伸フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】前記延伸をロール間の多段延伸により行う
    請求項1または2に記載の多層樹脂延伸フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記延伸の倍率が1.2〜10倍の範囲内
    である請求項1〜3のいずれかに記載の多層樹脂延伸フ
    ィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】前記基材層(A)および前記表面層(B)
    の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である請求項1
    〜4のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記基材層(A)の無機または有機微細粉
    末の平均粒子径が0.6〜3μmの範囲内であり、前記
    表面層(B)の無機または有機微細粉末の平均粒子径が
    0.1〜2μmの範囲内である請求項1〜5のいずれか
    に記載の多層樹脂延伸フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】前記表面層(B)の空孔の短径が0.1〜
    2μmの範囲内であり、長径が0.5〜10μmの範囲
    内になるように前記延伸を行う請求項1〜6のいずれか
    に記載の多層樹脂延伸フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】前記表面層(B)の表面の空孔が100μ
    あたり10〜100個の範囲内になるように前記
    延伸を行う請求項1〜7のいずれかに記載の多層樹脂延
    伸フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013052567A (ja) * 2011-09-02 2013-03-21 Mitsubishi Plastics Inc 化粧シート用隠蔽性フィルム、及び化粧シート

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