JP2013050083A - ディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン1の回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置30の作動領域WG及び非作動領域UWが設定されている。排ガス後処理装置30の非作動領域UWは、複数個所に設定されている。エンジン1の運転が可能な作動領域WEは、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含み、かつ、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に設定されている。エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に含まれているため、排ガス後処理装置30の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。
【選択図】 図2
Description
ところで、排ガス後処理装置が故障したり、性能が劣化したりすると、排ガス後処理装置を通って大気中に放出される排ガスが、排ガス規制の規定値を満たさなくなるおそれがある。このため、排ガス後処理装置が故障等すると排ガス後処理装置を非作動とするとともに、ディーゼルエンジンも停止させるような安全装置を設けることが知られている。
前記ディーゼルエンジンの回転数と前記ディーゼルエンジンの出力との関係において、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を前記ディーゼルエンジンの運転が可能な作動領域として設定し、
前記排ガス後処理装置の作動が停止したとき、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限して前記回転数及び前記出力を前記作動領域内とし、前記ディーゼルエンジンの運転、停止、再起動の何れかを実施可能とすることを特徴とする。
前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することとしてもよい。
ところで、排ガス後処理装置の機能が低下している場合には、排ガス後処理装置本体で機能の低下を検出することができるのが一般的である。しかし、何らかの理由によって排ガス後処理装置本体で機能の低下を検知できない場合のバックアップとして排ガスセンサを用いることにより、粒子物質やNOxを含む排ガスの放出を確実に防止することができる。
前記ディーゼルエンジンの作動を制御するエンジン制御部と、前記排ガス後処理装置の作動を制御する排ガス後処理制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記排ガス後処理制御部からの前記排ガス後処理装置の停止信号を受信したとき、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域になるように、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限する制限部を有することを特徴とする。
前記制限部は、前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限してもよい。
ところで、排ガス後処理装置の機能が低下している場合には、排ガス後処理装置本体で機能の低下を検出することができるのが一般的である。しかし、何らかの理由によって排ガス後処理装置本体で機能の低下を検知できない場合のバックアップとして排ガスセンサを用いることにより、粒子物質やNOxを含む排ガスの放出を確実に防止することができる。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)は、排気タービン2とこれに同軸駆動されるコンプレッサ4を有する排気ターボ過給機6を備えており、該排気ターボ過給機6のコンプレッサ4から吐出された空気は空気管8を通って空気冷却器10に入る。この空気冷却器10で冷却された空気は、吸気スロットルバルブ12で吸気流量が制御された後、吸気マニホールドを通り、シリンダ毎に設けられた吸気ポートからエンジン1の燃焼室内に吸入される。
排ガス後処理装置30は、DPF(Diesel Particulate Filter)32と、その下流側のSCR(選択触媒還元)触媒34と、によって構成されている。排ガス後処理装置30に入った排ガスは、まず、DPF32に入る。DPF32では、排ガス中に含まれるPMが捕捉される。DPF32を通過した排ガスは、尿素水が吹き付けられてSCR触媒34に入る。SCR触媒34では、排ガス中に含まれるNOxが低減される。そして、NOxの低減された排ガスは、排気通路38を通って大気中へ放出される。
図2に示すように、エンジン1の回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置30の作動領域WG及び非作動領域UWが設定されている。排ガス後処理装置30の非作動領域UWは、複数個所に設定されている。非作動領域UWは、例えば、回転数及び出力が共に低い領域、回転数が高くて出力が低い領域等に設けられている。これらの非作動領域UWでは、排ガス後処理装置30が作動しなくても排ガス値は排ガス規制の規定値を満たすようにエンジン1の性能がマッチングされている。
排ガス後処理装置30の作動が停止するとき、エンジン1の回転数及び出力が作動領域WE内となるように、制御装置50がエンジン1の回転数及び出力を制御する。これにより、排ガス後処理装置30の作動が停止してもエンジン1を停止させることなく運転可能である。また、エンジン1の作動領域WEは、回転数及び出力が共に値0を含んでいるため、エンジン1を停止、及び再起動させることも可能である。
図3に示すように、エンジン1の制御装置50は、排ガス後処理制御部13と、エンジン制御部14とを備えている。排ガス後処理制御部13には、尿素水の濃度信号、DPF32の圧力信号等が入力されている。また、エンジン制御部14には、エンジン1の出力信号及び回転数信号が入力されている。エンジン制御部14は、エンジン1の出力及び回転数を制限する制限部15を有している。
ところで、排ガス後処理装置30が断線等によって故障すると、DPF32やSCR触媒34は正常でも、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が出力されなくなる。排ガス後処理制御部13は、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されなくなることで、排ガス後処理装置30の故障を検知する。
一方、排ガス後処理装置30本体は正常であるが、DPF32やSCR触媒34に不具合が生じると、排ガス後処理装置30は、機能不全信号を排ガス後処理制御部13へ出力する。機能不全信号は、例えば、DPF32の目詰まりによる圧力の異常を検知した場合、尿素水の濃度の低下や尿素水の品質の劣化を検知した場合等に出力される。つまり、機能不全信号は、排ガス後処理装置30本体は正常であるが、排ガス後処理装置30に含まれる各機器に異常が発生した場合に出力される。排ガス後処理制御部13は、排ガス後処理装置30からの機能不全信号によって、排ガス後処理装置30の一部に機能不全が生じたことを検知する。
排ガス後処理装置30の作動が停止する旨の信号Aはエンジン制御部14に入力される。そして、この信号Aに基づいて制限部15が、エンジン1の回転数を制限する回転数制限信号と、エンジン1の出力を制限すべく燃料の最大噴射量を制限する最大噴射量制限信号をエンジン1へ出力する。これらの信号が入力されたエンジン1は、エンジン1の回転数及び燃料の最大噴射量を電子的に制御して、エンジン1の回転数及び出力を直ちに作動領域WE内とする。
また、排ガス後処理制御部13は、排ガスが排ガス後処理装置30を通過しないように、三方弁40、42を切り換える切換信号を出力する。これにより、排ガスは、バイパス通路44及び排気通路38を流れて放出される。
図4は、制御装置50の制御フローを示す図である。図4に示すように、まず、排ガス後処理装置30が故障しているか否かを判定する(ステップS10)。当該判定は、排ガス後処理制御部13にて行う。排ガス後処理制御部13に尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されている場合、排ガス後処理装置30は故障していないと判定してステップS12を実施する。
また、ステップS12で、排ガス後処理制御部13に機能不全信号が入力された場合、排ガス後処理装置30は機能不全状態であると判定し、排ガス後処理装置30を停止する停止信号を出力するとともに、ステップS16を実施する。
図5に示すように、三方弁42の下流側に排ガスセンサ60を備えている。本実施形態では、排ガスセンサ60として、NOxの濃度を計測可能なNOxセンサを用いた。なお、排ガスセンサ60は、NOxセンサに限定されるものではなく、CO、CO2、O2、THC(全炭化水素)の濃度を計測するセンサを用いてもよいし、排ガスの温度を計測する温度センサを用いてもよい。要は、所望の測定対象物に応じたセンサを用いることができる。
例えば、排ガス後処理装置30の機能が低下した場合は、粒子物質やNOxの濃度が高くなる。また、排ガス後処理装置30から排ガスが漏れていると、粒子物質やNOxがほとんど検出されない。したがって、排ガスセンサ60による検出結果が、上記所定範囲内に含まれている場合、排ガス後処理装置30は正常に作動していると判断することができる。一方、排ガスセンサ60による検出結果が、上記所定範囲よりも大きい場合又は小さい場合、排ガス後処理装置30の機能が低下していると判断することができる。このような機能の低下は、一般的に排ガス後処理装置30本体で検知可能である。しかしながら、排ガス後処理装置30本体が機能の低下を検知できない場合(即ち排ガス後処理制御部13に、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力され、且つ機能不全信号が入力されない場合)のバックアップとして排ガスセンサ60を用いる。すなわち、エンジン制御部14自身が独立して排ガス後処理装置30の故障を検出できる。
また、第一及び第二実施形態においては、排ガスをバイパスさせる場合について説明したが、例えば、排ガス後処理装置30がSCRのみから構成されているときは、尿素水の噴射を停止することにより、排ガス後処理装置30を非作動状態にすることができるため、バイパスさせなくてもよい。
図6に示すように、エンジン1の運転が可能な作動領域WE(図6中のハッチング部分)は、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含む低出力領域に設定されている。また、エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に設定されている。本実施形態では、排ガス後処理装置30の作動が停止したとき、燃料噴射装置71のラック量を制限することで、エンジン1の出力を作動領域内にする。
図7に示すように、本実施形態では、列型噴射ポンプ70を有する燃料噴射装置71を用いた。燃料噴射装置71は、列型噴射ポンプ70の燃料噴射量を調整するラック73と、ラック73を移動させるためのレバー72と、レバー72を介してラック73の移動範囲を制御するラック制御装置74と、を備えている。
各ソレノイド78、80は、それぞれソレノイド78、80本体から外方へ移動自在なプランジャ78a、80aを有している。各プランジャ78a、80aの先端部には、それぞれ長孔78b、80bが形成されている。各長孔78b、80b内には、それぞれ当該長孔78b、80b内を摺動自在なピン78c、80cが挿入されている。
支持軸88は、回動自在に設けられているため、第2アーム86及び第3アーム90は、支持軸88を中心に回動することができる。
第2アーム86の中央部にはピン78cが接続されている。また、第3アーム90の端部にはピン80cが接続されている。
また、第2ソレノイド80を作動させてプランジャ80aを図中の上下方向へ移動させると、プランジャ80aの移動に応じて第3アーム90も上下方向へ移動する。この第3アーム90の移動に応じて第2アーム86が支持軸88を中心に回動するとともに、リンク機構で接続された第1アーム84も図中の左右方向へ移動するため、レバー72を操作することができる。
したがって、第1ソレノイド78及び第2ソレノイド80を作動させてプランジャ78a、80aを移動させることにより、レバー72を介してラック73を移動させることができる。即ち、燃料噴射量の制御が可能となる。
図8に示すように、排ガス後処理装置30が作動しているときは、各ソレノイド78、80は作動しない。このときのラック73は、通常の移動範囲(列型噴射ポンプ70の設計範囲)Loffで摺動自在である。つまり、ラック73の移動は制限されていない。
一方、図9に示すように、排ガス後処理装置30の作動が停止したときは、各ソレノイド78、80の各プランジャ78a、80aのうち少なくとも一方を突出させて、レバー72を図7中の矢印方向に移動させることにより、ラック73の移動範囲Lon(<Loff)を制限する。つまり、ラック73の燃料噴射量増加方向(図9中の右方向)への移動を規制して燃料噴射量が予め設定された最大噴射量となるラック73の停止位置を規定する。したがって、燃料の噴射量が、ゼロから当該最大噴射量までとなるようにラック73の移動範囲Lonが制限される。
排ガス後処理装置30の作動が停止したときの燃料の最大噴射量は予め設計等によって決定される。
図10は、制御装置50の制御フローを示す図である。図10に示すように、第一実施形態と同様に、排ガス後処理装置30が故障しているか否かを判定するステップS10からバイパス通路44に排ガスが流れないように三方弁40、42をOFF状態にするステップS14までを実施する。
2 排気タービン
4 コンプレッサ
6 排気ターボ過給機
8 空気管
10 空気冷却器
12 吸気スロットルバルブ
13 排ガス後処理制御部
14 エンジン制御部
15 制限部
16 燃料噴射弁
18 燃料ポンプ
20 コモンレール
22 排気通路
24 EGR管
26 EGRクーラ
28 EGRバルブ
30 排ガス後処理装置
32 DPF
34 SCR触媒
36、38 排気通路
40、42 三方弁
44 バイパス通路
50 制御装置
60 排ガスセンサ
70 列型噴射ポンプ
71 燃料噴射装置
72 レバー
73 ラック
74 ラック制御装置
76 ガバナ
78 第1ソレノイド
78a プランジャ
78b 長孔
78c ピン
80 第2ソレノイド
80a プランジャ
80b 長孔
80c ピン
82 リンク部
84 第1アーム
86 第2アーム
88 支持軸
90 第3アーム
WE エンジンの作動領域
WG 排ガス後処理装置の作動領域
UW 排ガス後処理装置の非作動領域
A 排ガス後処理装置の作動が停止する旨の信号
Claims (9)
- 排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御方法であって、
前記ディーゼルエンジンの回転数と前記ディーゼルエンジンの出力との関係において、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を前記ディーゼルエンジンの運転が可能な作動領域として設定し、
前記排ガス後処理装置の作動が停止したとき、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限して前記回転数及び前記出力を前記作動領域内とし、前記ディーゼルエンジンの運転、停止、再起動の何れかを実施可能とすることを特徴とするディーゼルエンジンの運転制御方法。 - 前記作動領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。
- 前記排ガス後処理装置の作動が停止したときに、前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から排ガスを分岐し、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給することを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。
- 前記ディーゼルエンジンは、前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に排ガスセンサを備えており、
前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。 - 排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンの作動を制御するエンジン制御部と、前記排ガス後処理装置の作動を制御する排ガス後処理制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記排ガス後処理制御部からの前記排ガス後処理装置の停止信号を受信したとき、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域になるように、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限する制限部を有することを特徴とするディーゼルエンジンの運転制御装置。 - 前記低回転及び低出力領域若しくは前記低出力領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていることを特徴とする請求項5に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
- 前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から分岐され、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給するバイパス流路を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
- 前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に設けられた排ガスセンサを更に備えており、
前記制限部は、前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することを特徴とする請求項5〜7のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。 - 燃料を供給する機械式ポンプと、前記機械式ポンプの燃料噴射量を調整可能なラックを制御するラック制御装置と、を更に備えることを特徴とする請求項5〜8のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
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