JP2013047527A - 転がり軸受の密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転検出用の着磁部材を一体化した密封装置であって、積み重ねられる密封装置のリップが損傷することを防止し、密封性能を低下させることがない転がり軸受の密封装置を提供する。
【解決手段】芯金2と、スリンガ3と、シール部材4と、パルサリング5と、を備え、シール部材4は、円板芯金部22の内側面に装着される円板内側シール部42と、円板芯金部22の外側面に装着される円板外側シール部45と、円板内側シール部42から延出して円板スリンガ部32の内側面に摺接するアキシャルリップ43aと、円板外側シール部45から突起して周方向に連続又は断続して形成される突起部42aと、を有する転がり軸受の密封装置1において、シール部材4は、円板内側シール部42から対向する円板スリンガ部32近傍に延出する延出部44を有し、軸心を中心とする環状の突起部42aの直径及び延出部44の直径が略同一である。
【選択図】図1
【解決手段】芯金2と、スリンガ3と、シール部材4と、パルサリング5と、を備え、シール部材4は、円板芯金部22の内側面に装着される円板内側シール部42と、円板芯金部22の外側面に装着される円板外側シール部45と、円板内側シール部42から延出して円板スリンガ部32の内側面に摺接するアキシャルリップ43aと、円板外側シール部45から突起して周方向に連続又は断続して形成される突起部42aと、を有する転がり軸受の密封装置1において、シール部材4は、円板内側シール部42から対向する円板スリンガ部32近傍に延出する延出部44を有し、軸心を中心とする環状の突起部42aの直径及び延出部44の直径が略同一である。
【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受の密封装置に関する。
従来、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する転がり軸受に装着される密封装置の一例を図4及び図5に示す。図4は密封装置110の部分断面図、図5は図4に示される密封装置110が複数段積み重ねられている状態の断面図を示している。
密封装置110は、回転検出用の着磁部材付パックシールであり、環状の芯金120と、スリンガ130と、シール部材140と、パルサリング150(着磁部材)とを有する。このような密封装置110において、芯金120は転がり軸受の外輪に内嵌され、スリンガ130は転がり軸受の内輪に外嵌される。転がり軸受の外輪は車体に固定され、内輪は車軸に嵌合固定される。
密封装置110は、納品や運搬等において、梱包された箱内に複数段積み重ねられて収納される。また、図5に示すように、転がり軸受に圧入する工程においても、密封装置110が、載置テーブル11に複数段積み重ねられて載置されて、一枚ずつ圧入機のハンドリング装置でシュート内へ搬送して圧入される。
図5に示すように、積み重ねられた各密封装置110には、その上段に重ねられた密封装置110の重量によって下向きの力Fが加わる。このように積み重ねられた場合、密封装置110は、パルサリング150の磁力によって、その上段に重ねられた密封装置110の芯金120が引きつけられるのを防止するために、両者の間に所定の間隔を確保するための突起部141が、シール部材140の軸方向外側に環状で形成されている。
また、密封装置110は、軸方向にスリンガ130に摺接するアキシャルリップ142を含め複数のリップを有する。(特許文献1)
上記の密封装置110は、下向きの力Fが加わると、突起部141がパルサリング150及びスリンガ130を下向きに押し付けて、アキシャルリップ142が擦れて損傷することにより密封性能を低下させる場合がある。そこで、回転検出用の着磁部材を一体化した転がり軸受の密封装置は、積み重ねられる密封装置のリップが損傷することを防止し、密封性能を低下させないことが課題となっていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、回転検出用の着磁部材を一体化した密封装置であって、積み重ねられる密封装置のリップが損傷することを防止し、密封性能を低下させることがない転がり軸受の密封装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る転がり軸受の密封装置の構成上の特徴は、円筒状芯金部とこの円筒状芯金部の端部から径方向に延びる円板芯金部とからなる芯金と、
円筒状スリンガ部とこの円筒状スリンガ部の端部から径方向に延びる円板スリンガ部とからなるスリンガと、
弾性部材からなり前記芯金に一体的に装着され前記スリンガに摺接する環状のシール部材と、
前記円板スリンガ部の外側面に設けられる環状の着磁部材と、を備え、
前記芯金と前記スリンガは、前記円筒状芯金部と前記円筒状スリンガ部とを対向配置させ、前記円板状芯金部と前記円板スリンガ部とを対向配置させて組み合わされ、
前記シール部材は、前記円板芯金部の内側面に装着される円板内側シール部と、
前記円板芯金部の外側面に装着される円板外側シール部と、
前記円板内側シール部から延出して前記円板スリンガ部の内側面に摺接するリップと、
前記円板外側シール部から突起して周方向に連続又は断続して形成される突起部と、を有する転がり軸受の密封装置において、
前記シール部材は、前記円板内側シール部から対向する前記円板スリンガ部近傍に延出する延出部を有し、
軸心を中心とする環状の前記突起部の直径及び前記延出部の直径が略同一であることである。
円筒状スリンガ部とこの円筒状スリンガ部の端部から径方向に延びる円板スリンガ部とからなるスリンガと、
弾性部材からなり前記芯金に一体的に装着され前記スリンガに摺接する環状のシール部材と、
前記円板スリンガ部の外側面に設けられる環状の着磁部材と、を備え、
前記芯金と前記スリンガは、前記円筒状芯金部と前記円筒状スリンガ部とを対向配置させ、前記円板状芯金部と前記円板スリンガ部とを対向配置させて組み合わされ、
前記シール部材は、前記円板芯金部の内側面に装着される円板内側シール部と、
前記円板芯金部の外側面に装着される円板外側シール部と、
前記円板内側シール部から延出して前記円板スリンガ部の内側面に摺接するリップと、
前記円板外側シール部から突起して周方向に連続又は断続して形成される突起部と、を有する転がり軸受の密封装置において、
前記シール部材は、前記円板内側シール部から対向する前記円板スリンガ部近傍に延出する延出部を有し、
軸心を中心とする環状の前記突起部の直径及び前記延出部の直径が略同一であることである。
請求項1の転がり軸受の密封装置によれば、密封装置が積み重ねられた場合に、密封装置の上段に重ねられた密封装置の重量によって下向きの力が加わることにより、突起部が対向する着磁部材及びスリンガを押し付けても、環状の突起部の直径と略同一であり円板内側シール部から円板スリンガ部近傍に延出している延出部を有するので、円板スリンガ部の内側への変形量は微小であるため、円板スリンガ部の内側面に摺接するリップの損傷を防止することができる。
請求項2に係る転がり軸受の密封装置の構成上の特徴は、前記シール部材は、前記円筒状芯金部の内側面に装着される円筒状シール部を有し、
前記延出部は、前記円板内側シール部とともに前記円筒状シール部から前記円板スリンガ部近傍に延出することである。
前記延出部は、前記円板内側シール部とともに前記円筒状シール部から前記円板スリンガ部近傍に延出することである。
請求項2の転がり軸受の密封装置によれば、延出部が円板内側シール部及び円筒状シール部の直交する2方向から円板スリンガ部近傍に延出しているので、延出部の形状が精度よく形成され、且つ外力に対する変形が小さく、スリンガからの押し付け力を確実に受けることができるため、円板スリンガ部の内側面に摺接するリップの損傷を確実に防止することができる。
本発明によれば、回転検出用の着磁部材を一体化した密封装置であって、積み重ねられる密封装置のリップが損傷することを防止し、密封性能を低下させることがない転がり軸受の密封装置を提供できる。
以下、本発明の転がり軸受の密封装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態である密封装置の断面図である。
図1は、本発明の一実施形態である密封装置の断面図である。
密封装置1は、回転検出用の着磁部材付パックシールであり、芯金2、スリンガ3、シール部材4、及びパルサリング5(着磁部材)を備える。
芯金2は、金属板を屈曲してなり、円筒状芯金部21と、この円筒状芯金部21の端部から径方向内側に延びる円板芯金部22とからなる断面L字形に形成されている。芯金2の材料としては、例えば、冷延鋼板のSPCCが用いられる。
スリンガ3は、防錆処理された圧延鋼板等の金属板を屈曲してなり、円筒状スリンガ部31と、この円筒状スリンガ部31の端部から径方向外側に延びる円板スリンガ部32とからなる断面L字形に形成されている。スリンガ3は、パルサリング5の磁界強さが増大し、回転検出がし易くなるように、磁性材料で形成することが望ましい。磁性材料としては、例えば、フェライト系ステンレス鋼(JIS規格のSUS430系等)が用いられる。
芯金2とスリンガ3は、円筒状芯金部21と円筒状スリンガ部31とを、また、円板芯金部22と円板スリンガ部32とを対峙させて組み合わされ、パックシールと呼ばれる構成となっている。
芯金2には、ゴム等の弾性部材からなる環状のシール部材4が一体的に装着されている。このシール部材4は、芯金2の全周に沿って延設される長尺ものであり、円筒状芯金部21の内側面に装着される円筒状シール部41と、円板芯金部22の内側面に装着される円板内側シール部42と、円板芯金部22の外側面に装着される円板外側シール部45と、円板内側シール部から延出してスリンガ3の内側面に摺接するリップ43等を備える。
リップ43は、スリンガ3の円筒状スリンガ部31の外周面に摺接する二つのラジアルリップ43b,43cと、円板スリンガ部32の内側面に摺接するアキシャルリップ43aと、を有している。
また、シール部材4は、円板外側シール部45から突起して周方向に連続して形成される突起部42aと、円板内側シール部42及び円筒状シール部41から円板スリンガ部32近傍に延出する延出部44とを備え、円板スリンガ部32と延出部44との間には、ラビリンス隙間1aを形成する。
パルサリング5は、着磁部材として、スリンガ3の円板スリンガ部32の外側面に設けられており、磁性粉体をゴムと混合して加硫成形するとともに、周方向交互にN極とS極とを配列した環状膜体とされて円板スリンガ部32の外側面に接着される。
図2は、図1の密封装置1の使用状態を示す部分断面図である。密封装置1は、内輪回転の車輪用転がり軸受の軸方向端部に装着されて、転がり軸受の内部を密封する。
この転がり軸受は、車体等に固定された外輪6と、車軸が内嵌された内輪7と、外輪6と内輪7との間に介装された複数の玉8とを含む内輪回転のアンギュラ玉軸受の構成を有し、密封装置1の芯金2は、転がり軸受の外輪6の内周面に圧入固定され、スリンガ3は内輪7の外周面に圧入固定される。転がり軸受の軸方向外面に配置されたパルサリング5とともに回転検出装置を構成する磁気センサ9が対向配置される。
このような転がり軸受において、内輪7とともにパルサリング5が回転すると、磁気センサ9の検出面の近傍をN極とS極が交互に通過し、磁気センサ9内を流れる磁束の向きが変化する。この磁束の変化により、磁気センサ9に内蔵したホール素子等の磁気検出素子の信号が変化する。この信号が変化する周波数は車軸の回転速度に比例し、前記信号を制御器に送信して回転速度を検出し、アンチロックブレーキシステム(ABS)等を制御する。
図3は、図1の密封装置1の積み重ね状態を示す断面図である。図3に示すように、転がり軸受に圧入する工程において、密封装置1が、載置テーブル11に複数段積み重ねられた場合、最下段の密封装置1のパルサリング5の上に、上段の密封装置1の突起部42aが当接し、上段に重ねられた密封装置1の重量によって下向きの力Fが加わる。
ここで、軸心を中心とする環状の突起部42aの直径d1と、環状の延出部44の直径d2とが略同一に形成されている。
これにより、最下段の密封装置1は、パルサリング5及び円板スリンガ部32が、上段の密封装置1の突起部42aにより押し付けられ、下向きに変形しようとするが、近接する延出部44により変形が規制されるので変形量は微小となる。
以上のように、本実施の形態に係る転がり軸受の密封装置1によれば、密封装置1が積み重ねられた場合に、密封装置1の上段に重ねられた密封装置1の重量によって下向きの力Fが加わることにより、突起部42aが対向するパルサリング5及び円板スリンガ部32を押し付けても、環状の突起部42aの直径と略同一である延出部44を有するので、円板スリンガ部32の内側への変形量が微小であるため、円板スリンガ部32の内側面に摺接するアキシャルリップ43aの損傷を防止し、密封性能を低下させることがない。
また、本実施の形態に係る転がり軸受の密封装置1によれば、延出部44が円板内側シール部42及び円筒状シール部41の直交する2方向から円板スリンガ部32近傍に延出しているので、延出部44の形状が精度よく形成され、且つ外力に対する変形が小さく、円板スリンガ部32からの押し付け力を確実に受けることができるため、円板スリンガ部32の内側面に摺接するアキシャルリップ43aの損傷を確実に防止し、密封性能を低下させることがない。
また、本実施の形態に係る転がり軸受の密封装置1によれば、パルサリング5及び円板スリンガ部32の変形量が微小であるため、例えば、パルサリング5が芯金2に接触するなどして損傷することを防止できる。
また、本実施の形態に係る転がり軸受の密封装置1によれば、ラビリンス隙間1aが形成されることにより、軸受外部から軸受内部への水などの浸入を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、延出部44が、円板内側シール部42及び円筒状シール部41から延出する構成としたが、それに限るものではなく、例えば、軸方向の厚みが小さい場合や密封装置が積み重ねられたときの下向きの力Fが小さい場合などは、円板内側シール部42から延出する構成に適用してもよい。
また、上記実施形態では、パルサリング5及び突起部42aを備える構成としたが、それに限るものではなく、例えば、パルサリング5を用いない構成で、シール目的で突起部42aと類似形状の突起部を備える構成に適用してもよい。
1:密封装置、 2:芯金、 21:円筒状芯金部、 22:円板芯金部、 3:スリンガ、 31:円筒状スリンガ部、 32:円板スリンガ部、 4:シール部材、 41:円筒状シール部、 42:円板内側シール部、 42a:突起部、 43:リップ、 43a:アキシャルリップ、 44:延出部、 45:円板外側シール部、 5:パルサリング(着磁部材)
Claims (2)
- 円筒状芯金部とこの円筒状芯金部の端部から径方向に延びる円板芯金部とからなる芯金と、
円筒状スリンガ部とこの円筒状スリンガ部の端部から径方向に延びる円板スリンガ部とからなるスリンガと、
弾性部材からなり前記芯金に一体的に装着され前記スリンガに摺接する環状のシール部材と、
前記円板スリンガ部の外側面に設けられる環状の着磁部材と、を備え、
前記芯金と前記スリンガは、前記円筒状芯金部と前記円筒状スリンガ部とを対向配置させ、前記円板状芯金部と前記円板スリンガ部とを対向配置させて組み合わされ、
前記シール部材は、前記円板芯金部の内側面に装着される円板内側シール部と、
前記円板芯金部の外側面に装着される円板外側シール部と、
前記円板内側シール部から延出して前記円板スリンガ部の内側面に摺接するリップと、
前記円板外側シール部から突起して周方向に連続又は断続して形成される突起部と、を有する転がり軸受の密封装置において、
前記シール部材は、前記円板内側シール部から対向する前記円板スリンガ部近傍に延出する延出部を有し、
軸心を中心とする環状の前記突起部の直径及び前記延出部の直径が略同一であることを特徴とする転がり軸受の密封装置。 - 前記シール部材は、前記円筒状芯金部の内側面に装着される円筒状シール部を有し、
前記延出部は、前記円板内側シール部とともに前記円筒状シール部から前記円板スリンガ部近傍に延出することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011185363A JP2013047527A (ja) | 2011-08-27 | 2011-08-27 | 転がり軸受の密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011185363A JP2013047527A (ja) | 2011-08-27 | 2011-08-27 | 転がり軸受の密封装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015029921A1 (ja) * | 2013-08-26 | 2015-03-05 | 内山工業株式会社 | 軸受密封装置 |
-
2011
- 2011-08-27 JP JP2011185363A patent/JP2013047527A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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WO2015029921A1 (ja) * | 2013-08-26 | 2015-03-05 | 内山工業株式会社 | 軸受密封装置 |
JP2015042879A (ja) * | 2013-08-26 | 2015-03-05 | 内山工業株式会社 | 軸受密封装置 |
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