JP2013046480A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機のレゾルバにて検出される回転角度から車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、車輪速度を精度よく算出する。
【解決手段】路面状態が平地(路面傾斜≦坂路判定閾値ALFTH)であり、その平地での発進時や低車速からの加速時である場合には、従動輪のレゾルバにて検出される回転角度(レゾルバ回転数)から算出される車輪速度(vwmg3)を駆動系の剛性に基づいて補正して従動輪の車輪速度を算出する。このような補正により、従動輪の車輪速度を精度よく得ることができ、不必要にスリップ判定となる状況を抑制することができる。一方、路面状態が登坂路(路面傾斜>ALFTH)である場合には、レゾルバ回転数から算出される車輪速度(vwmg3)を補正せずに、そのままの値を従動輪の車輪速度とすることで、登坂路での発進時等における車両のずれ下がりを防止する。
【選択図】図4
【解決手段】路面状態が平地(路面傾斜≦坂路判定閾値ALFTH)であり、その平地での発進時や低車速からの加速時である場合には、従動輪のレゾルバにて検出される回転角度(レゾルバ回転数)から算出される車輪速度(vwmg3)を駆動系の剛性に基づいて補正して従動輪の車輪速度を算出する。このような補正により、従動輪の車輪速度を精度よく得ることができ、不必要にスリップ判定となる状況を抑制することができる。一方、路面状態が登坂路(路面傾斜>ALFTH)である場合には、レゾルバ回転数から算出される車輪速度(vwmg3)を補正せずに、そのままの値を従動輪の車輪速度とすることで、登坂路での発進時等における車両のずれ下がりを防止する。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両の制御装置に関し、さらに詳しくは、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両の制御装置に関する。
乗用車などの車両として、燃料の燃焼により動力を発生するエンジンと、電力の供給により動力を発生する電動機(例えばモータジェネレータ)とが搭載され、これらエンジン及び電動機のトルクを駆動輪に伝達することのできるハイブリッド車両が知られている。
ハイブリッド車両としては、電動機を含む主駆動源に連結された駆動輪と、従動輪とを備え、駆動輪の駆動用の電動機とは別に設けた電動機によって従動輪を駆動することが可能な車両がある(例えば、特許文献1参照)。
このようなハイブリッド車両においては、例えば、発進時・加速時・登坂時などの要求駆動力が大きい場合、凍結した路面などの摩擦係数の低い路面(低μ路面)を走行する場合などの状況のときには、従動輪の電動機を駆動(力行制御)して四輪駆動状態としている。また、駆動輪と従動輪との車輪速度の差(前後輪の車輪速度差)に基づいて車輪がスリップしたか否かを判定し、スリップが発生している場合には従動輪の電動機を駆動して四輪駆動状態にしている。
ここで、車輪のスリップ判定において、駆動輪の車輪速度及び従動輪の車輪速度の検出にはそれぞれ車輪速センサが用いられているが、車輪速センサによって検出される車輪速度には誤差が含まれる場合があり、スリップの発生を誤判定してしまう場合がある。こうした点を解消する技術として下記の特許文献2に記載の技術がある。
この特許文献2に記載の技術では、電動機の駆動制御に用いられるモータレゾルバ(以下、レゾルバともいう)を利用し、車輪速センサにて検出された車輪速度と、レゾルバにて検出された回転角度(電動機の回転軸の回転角度)から求めた車輪速度とを比較することにより車輪速センサの検出誤差を監視し、その検出誤差が大きいときには、レゾルバにて検出された回転角度に基づく車輪速度を用いてスリップ判定を行うことで、スリップ判定の誤判定を防止している。
ところで、電動機で駆動される車輪を備えた車両にあっては、発進時などにおいて、電動機から車輪までの間の駆動系のねじれ(ドライブシャフト等のねじれ)等により、電動機の回転角度に対して車輪の回転角度が遅れる位相遅れ(駆動系剛性による位相遅れ)が生じる。このような位相遅れが生じると、レゾルバにて検出された回転角度に基づく車輪速度と、実際の車輪の車輪速度とが異なってしまうため、車輪速度を精度よく検出できない場合がある。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、電動機で駆動される車輪を備え、その電動機のレゾルバにて検出される回転角度に基づいて車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、車輪速度を精度よく得られるようにすることを目的とする。
本発明は、車輪を駆動する電動機と、前記電動機の回転角度を検出するレゾルバとを備え、前記レゾルバにて検出される回転角度に基づいて前記車輪の車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を前記電動機から車輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する処理を、路面傾斜に応じて実行することを技術的特徴としている。
より具体的には、路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を前記駆動系の剛性に基づいて補正する。一方、路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を車輪の車輪速度とすることを特徴している。
以下、本発明の作用について述べる。
まず、本発明においては、電動機から車輪までの駆動系剛性により、電動機の回転角度に対して車輪の回転角度の位相が遅れる分を考慮して、電動機のレゾルバにて検出される回転角度(回転数)から算出した車輪速度を補正(駆動系剛性による位相遅れ分を補償する補正)するので、車輪速度を精度よく算出することができる。これにより、誤ったスリップ判定を防止することができる。ただし、そのような位相遅れの補正は、路面傾斜(平面/登坂路)を考慮して実行する。この点について以下に説明する。
まず、上述の如く、駆動系剛性による回転角度の位相遅れによって、レゾルバにて検出される回転角度に基づく車輪速度と実際の車輪の車輪速度とが異なってしまうと、誤ったスリップ判定となる場合がある。これを防止するため、平地での発進時(低車速からの加速時も含む)等の場合には、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を、上記駆動系の剛性に基づいて補正する。しかしながら、そのような回転角度の位相遅れ補正を、登坂路での発進時等において実行すると、その位相遅れ補正分だけ応答性が遅れてしまい、車両のずり下がりが発生する場合がある。こうした点を考慮して、登坂路である場合には、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を車輪の車輪速度とすることで、登坂路での発進時等における車両のずれ下がりを防止する。
この発明の具体的な構成として、対象とする車両が、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両である場合、路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を、前記電動機から従動輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する一方、路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を前記従動輪の車輪速度とするという構成を挙げることができる。
このような構成においても、平地での発進時等において従動輪の車輪速度を精度よく検出することができるので、誤ったスリップ判定を防止することができる。しかも、路面が登坂路である場合には、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を従動輪の車輪速度としているので、登坂路での発進時(四輪駆動時)等における応答性が向上し、車両のずれ下がりを防止することができる。
なお、上記路面傾斜の判定に用いる判定閾値(坂路判定閾値)については、例えば、駆動輪のみ(二輪駆動)で登ることが可能な最大登り勾配を考慮して設定し、路面傾斜が坂路判定閾値以下である場合は平地(緩やかな登坂路も含む)と判定し、路面傾斜が坂路判定閾値よりも大きい場合には登坂路であると判定するようにすればよい。
以上の構成では、位相遅れの補正を行う場合、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正するようにしているが、本発明はこれに限られることなく、レゾルバにて検出される回転角度(レゾルバ回転数)を駆動系の剛性に基づいて補正し、その補正を行った回転角度を用いて車輪の車輪速度を算出するようにしてもよい。
その具体的な構成として、車輪を駆動する電動機と、前記電動機の回転角度を検出するレゾルバとを備え、前記レゾルバにて検出される回転角度に基づいて前記車輪の車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、前記レゾルバにて検出される回転角度を前記電動機から車輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する処理を、路面傾斜に応じて実行するという構成を挙げることができる。
より具体的な構成として、路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度を前記駆動系の剛性に基づいて補正する。一方、路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記レゾルバにて検出される回転角度を補正せずにそのまま用いて車輪の車輪速度を算出するという構成を挙げることができる。
さらに、対象とする車両が、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両である場合、路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度を、前記電動機から従動輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する一方、路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度を補正せずにそのまま用いて前記従動輪の車輪速度を算出するという構成を挙げることができる。
これらの構成においても、平地での発進時等において車輪(従動輪)の車輪速度を精度よく算出することが可能になるので、誤ったスリップ判定を防止することができる。しかも、路面が登坂路である場合には、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのまま用いて車輪(従動輪)の車輪速度を算出するので、登坂路での発進時(四輪駆動時)等における応答性が向上し、車両のずれ下がりを防止することができる。
本発明によれば、レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度(もしくは回転角度)を、電動機から車輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する処理を、路面傾斜に応じて実行するので、例えば、平地での発進時等において車輪速度を精度よく得ることができるとともに、登坂路での発進時等における車両のずり下がりを防止することが可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明を適用する車両の一例について図1を参照して説明する。
この例の車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)を基本とする四輪駆動方式のハイブリッド車両(HV−4WD)であって、左右の前輪(前タイヤ)6L,6Rを駆動する前輪駆動系として、車両走行用の駆動力を発生するエンジン1、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分割機構2、リダクション機構3、フロント減速装置4(カウンタギヤ対22,41及びファイナルギヤ対42,51)、フロントデファレンシャル装置5、左右の前輪ドライブシャフト7L,7Rなどを備えている。また、左右の後輪(後タイヤ)10L,10Rを駆動する後輪駆動系として、第3モータジェネレータMG3、リア減速装置8(ギヤ対81,91)、リアデファレンシャル装置9及び左右の後輪ドライブシャフト11L,11Rなどを備えている。
さらに、車両の制御系として、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)100、エンジンECU200、及び、MG_ECU300などを備えている。これら、ハイブリッドECU100と、エンジンECU200と、MG_ECU300とは互いに通信可能に接続されている。
次に、エンジン1、モータジェネレータMG1,MG2,MG3、動力分割機構2、リダクション機構3、及び、ECU100,200,300などの各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、例えば、吸気通路に設けられたスロットルバルブ(図示せず)のスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。エンジン1の運転状態はエンジンECU200によって制御される。エンジンECU200はハイブリッドECU100からの出力要求に応じて、上記した吸入空気量制御、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、例えば、吸気通路に設けられたスロットルバルブ(図示せず)のスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。エンジン1の運転状態はエンジンECU200によって制御される。エンジンECU200はハイブリッドECU100からの出力要求に応じて、上記した吸入空気量制御、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
エンジン1の出力は、クランクシャフト11及びダンパ(図示せず)を介して動力分割機構2のインプットシャフト21に伝達される。ダンパは、例えばコイルスプリング式トランスアクスルダンパであってエンジン1のトルク変動を吸収する。
−モータジェネレータ−
第1モータジェネレータMG1は、インプットシャフト21に対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを備えた交流同期発電機であって、発電機として機能するとともに電動機(電動モータ)としても機能する。第2モータジェネレータMG2も同様に、永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(電動モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。また、第3モータジェネレータMG3も同様に、ロータMG3Rと、3相巻線が巻回されたステータMG3Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(電動モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。
第1モータジェネレータMG1は、インプットシャフト21に対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを備えた交流同期発電機であって、発電機として機能するとともに電動機(電動モータ)としても機能する。第2モータジェネレータMG2も同様に、永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(電動モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。また、第3モータジェネレータMG3も同様に、ロータMG3Rと、3相巻線が巻回されたステータMG3Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(電動モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。
これらの第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、及び、第3モータジェネレータMG3には、それぞれ、ロータMG1R,MG2R,MG3Rの回転角度(電動機回転軸の回転角度)を検出するレゾルバ111,112,113が設けられている。これらレゾルバ111,112,113は、各モータジェネレータMG1,MG2,MG3の各回転角度を高精度かつ高い応答性で検出することができ、その各レゾルバ111,112,113にて検出された回転角度から、各モータジェネレータMG1,MG2,MG3の回転数[rpm]を得ることができる。これらレゾルバ111,112,113の出力信号(回転角度検出値)は、ハイブリッドECU100に入力され、各モータジェネレータMG1,MG2,MG3の駆動制御などに用いられる。
図2に示すように、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、及び、第3モータジェネレータMG3は、それぞれ、インバータ400を介してHVバッテリ(蓄電装置)500に接続されている。インバータ400はMG_ECU300によって制御される。
インバータ400は、各モータジェネレータMG1,MG2,MG3それぞれの制御用のIPM(Intelligent Power Module:インテリジェントパワーモジュール)を備えている。その各IPMは、複数(例えば6個)の半導体スイッチング素子(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などによって構成されている。
なお、後輪駆動系の第3モータジェネレータMG3については、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2のインバータとは別のインバータを搭載しておいてもよい。
MG_ECU300は、ハイブリッドECU100からの出力要求に応じてインバータ400を制御して、各モータジェネレータMG1,MG2,MG3の力行または回生を制御する。具体的には、例えば、HVバッテリ500からの直流電流を、モータジェネレータMG1,MG2,MG3を駆動する交流電流に変換する一方、エンジン1の動力により第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流、及び、回生ブレーキにより第2モータジェネレータMG2や第3モータジェネレータMG3で発電された交流電流を、HVバッテリ500を充電するための直流電流に変換する。また、第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流を走行状態に応じて、第2モータジェネレータMG2や第3モータジェネレータMG3の駆動用電力として供給する。
−動力分割機構−
動力分割機構2は、エンジン1の出力を、左右の前輪6L,6R(駆動輪)を駆動する動力と、発電のために第1モータジェネレータMG1を駆動する動力とに分割する機構である。
動力分割機構2は、エンジン1の出力を、左右の前輪6L,6R(駆動輪)を駆動する動力と、発電のために第1モータジェネレータMG1を駆動する動力とに分割する機構である。
動力分割機構2は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS2と、サンギヤS2に外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤP2と、ピニオンギヤP2と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR2と、ピニオンギヤP2を支持するとともに、このピニオンギヤP2の公転を通じて自転するプラネタリキャリアCA2とを有する遊星歯車機構によって構成されている。
プラネタリキャリアCA2は、エンジン1側のインプットシャフト21に回転一体に連結されている。サンギヤS2は、第1モータジェネレータMG1のロータMG1Rに回転一体に連結されている。また、リングギヤR2の外周部にはカウンタドライブギヤ22が一体に設けられている。このカウンタドライブギヤ22は、フロント減速装置4のカウンタドリブンギヤ41に噛み合っている。さらに、フロント減速装置4のファイナルドライブギヤ42は、フロントデファレンシャル装置5のデフドリブンギヤ51に噛み合っている。
このような構造の動力分割機構2を設けておくことにより、エンジン1が出力した動力は、プラネタリキャリアCA2から、サンギヤS2に伝達される動力と、リングギヤR2に伝達される動力とに分割される。
これら分割した動力のうち、サンギヤS2に伝達された動力は、第1モータジェネレータMG1に伝達される。これにより第1モータジェネレータMG1が発電を行う。なお、第1モータジェネレータMG1はエンジン始動時にはスタータモータとしても機能する。
一方、エンジン1からリングギヤR2に伝達された動力は、第2モータジェネレータMG2が出力した動力と統合されて、リングギヤR2(カウンタドライブギヤ22)から、フロント減速装置4、フロントデファレンシャル装置5、及び、左右の前輪ドライブシャフト7L,7Rを介して左右の前輪6L,6Rに伝達され、それら前輪6L,6Rが駆動される。これら左右の前輪6L,6Rの車輪速度(前輪6L,6Rの周速度)は、前輪車輪速センサ102L,102Rによって検出される。前輪車輪速センサ102L,102Rの出力信号はハイブリッドECU100に入力される。
−リダクション機構−
リダクション機構3は、第2モータジェネレータMG2の回転を減速し、駆動トルクの増幅を行う。リダクション機構3は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS3と、サンギヤS3に外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤP3と、ピニオンギヤP3と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR3とを有する遊星歯車機構によって構成されている。リダクション機構3のリングギヤR3と、上記動力分割機構2のリングギヤR2と、カウンタドライブギヤ22とは互いに一体となっている。また、サンギヤS3は第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rと回転一体に連結されている。
リダクション機構3は、第2モータジェネレータMG2の回転を減速し、駆動トルクの増幅を行う。リダクション機構3は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS3と、サンギヤS3に外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤP3と、ピニオンギヤP3と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR3とを有する遊星歯車機構によって構成されている。リダクション機構3のリングギヤR3と、上記動力分割機構2のリングギヤR2と、カウンタドライブギヤ22とは互いに一体となっている。また、サンギヤS3は第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rと回転一体に連結されている。
このような構造のリダクション機構3を設けておくことにより、第2モータジェネレータMG2が駆動したときには、この第2モータジェネレータMG2の出力(動力)が、上記した動力分割機構2のリングギヤR2に伝達された動力に統合される。これにより、エンジン1の出力を補助(アシスト)することができ、前輪6L,6Rの駆動力を高めることができる。また、低速の軽負荷走行時などにおいて、エンジン停止状態のときには、第2モータジェネレータMG2の動力のみで車両の走行を行うことができる(EV走行)。
一方、後輪10L,10Rを駆動する後輪駆動系は、上記した第3モータジェネレータMG3、リア減速装置8を構成するファイナルドライブギヤ81、及び、リアデファレンシャル装置9などを備えており、第3モータジェネレータMG3のロータMG3Rにファイナルドライブギヤ81が連結されている。このファイナルドライブギヤ81はリアデファレンシャル装置9のデフドリブンギヤ91に噛み合っている。そして、この後輪駆動系では、第3モータジェネレータMG3が出力する動力が、リア減速装置8を介してリアデファレンシャル装置9に伝達され、左右の後輪ドライブシャフト11L,11Rに分配されて左右の後輪10L,10Rが駆動される。これら左右の後輪10L,10Rの車輪速度(後輪10L,10Rの周速度)は、後輪車輪速センサ103L,103Rによって検出される。後輪車輪速センサ103L,103Rの出力信号はハイブリッドECU100に入力される。
なお、この例では、電気エネルギの消費量の低減化などを図るために、後輪10L,10Rを駆動する第3モータジェネレータMG3として、小容量のモータジェネレータを用いている。
−ECU−
ハイブリッドECU100は、エンジン1の運転を制御するエンジンECU200と、モータジェネレータMG1,MG2,MG3の駆動を制御するMG_ECU300との間で制御信号やデータ信号を送受信し、エンジン1の運転制御、モータジェネレータMG1,MG2,MG3の駆動制御、並びに、エンジン1及びモータジェネレータMG1,MG2の協調制御などを含む各種制御を実行する電子制御装置である。
ハイブリッドECU100は、エンジン1の運転を制御するエンジンECU200と、モータジェネレータMG1,MG2,MG3の駆動を制御するMG_ECU300との間で制御信号やデータ信号を送受信し、エンジン1の運転制御、モータジェネレータMG1,MG2,MG3の駆動制御、並びに、エンジン1及びモータジェネレータMG1,MG2の協調制御などを含む各種制御を実行する電子制御装置である。
ハイブリッドECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAMなどを備えている。
ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエンジン1の停止時などにおいて保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
なお、エンジンECU200及びMG_ECU300においても、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。
ハイブリッドECU100には、図2に示すように、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度を検出するアクセル開度センサ101、左右の前輪6L,6Rの各車輪速度を検出する前輪車輪速センサ102L,102R、左右の後輪10L,10Rの各車輪速度を検出する後輪車輪速センサ103L,103R、第1モータジェネレータMG1の回転角度を検出するレゾルバ111、第2モータジェネレータMG2の回転角度を検出するレゾルバ112、第3モータジェネレータMG3の回転角度を検出するレゾルバ113、及び、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサ104などが接続されている。さらに、ハイブリッドECU100には、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11の回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、吸気通路に配置のスロットルバルブのスロットル開度センサ、吸入空気量を検出するエアフロメータ、HVバッテリ500の充放電電流を検出する電流センサ、及び、バッテリ温度センサなどが接続されており、これらの各センサからの信号がハイブリッドECU100に入力される。
また、ハイブリッドECU100は、HVバッテリ500を管理するために、上記電流センサにて検出された充放電電流の積算値や、上記バッテリ温度センサにて検出されたバッテリ温度などに基づいて、HVバッテリ500の充電状態(SOC:State of Charge)や、HVバッテリ500の入力制限Win及び出力制限Woutなどを演算する。
そして、ハイブリッドECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジンECU200及びMG_ECU300に出力要求を送信して駆動力を制御する。その駆動力制御の例について以下に説明する。
・発進時などにおいて、エンジン1の運転を停止し、第2モータジェネレータMG2及び第3モータジェネレータMG3を力行制御して走行を行う。
・低車速の軽負荷走行時などにおいて、エンジン1の運転を停止し、第2モータジェネレータMG2を力行制御して走行を行う。なお、この低速時の二輪駆動状態のときに、四輪駆動状態に直ぐに移行できるように、第3モータジェネレータMG3から後輪10L,10Rに小さなトルク(プレトルク)を出力する制御を行う場合もある。
・定常走行時や、HVバッテリ500のSOCが少ないときの軽負荷走行時などにおいて、エンジン1を主動力源として走行を行い、第1モータジェネレータMG1を回生制御するとともに、その回生制御で得られた電気エネルギで第2モータジェネレータMG2を補助的に力行制御する。
・加速時、登坂路走行時、HVバッテリ500のSOCが少ないときの発進時、路面の摩擦係数μが低い低μ路走行時などにおいて、エンジン1を作動させるとともに、第1モータジェネレータMG1を回生制御して得られた電気エネルギやHVバッテリ500の電気エネルギで第2モータジェネレータMG2及び第3モータジェネレータMG3を力行制御して走行を行う(四輪駆動状態にする)。
・後述するスリップ判定処理によりスリップが発生していると判定した場合に、第3モータジェネレータMG3を力行制御する(四輪駆動状態にする)。
・アクセルOFFの減速時などにおいて、第2モータジェネレータMG2及び第3モータジェネレータMG3を回生制御することにより、車両に制動トルクを付与するとともに、エネルギ回収を行ってHVバッテリ500の充電を行う。
・後進時には、第2モータジェネレータMG2を、前進時に対して逆回転方向に力行制御する。
・エンジン1の始動時には、第1モータジェネレータMG1を駆動してエンジン1のクランキングを行う。
さらに、ハイブリッドECU100は、下記の[スリップ判定処理]及び[従動輪の車輪速度演算処理]を実行する。
以上のハイブリッドECU100、エンジンECU200及びMG_ECU300により実行されるプログラムによって本発明の車両の制御装置が実現される。
−スリップ判定処理−
ハイブリッドECU100が実行する[スリップ判定処理]について図3のフローチャートを参照して説明する。図3の処理ルーチンはハイブリッドECU100において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
ハイブリッドECU100が実行する[スリップ判定処理]について図3のフローチャートを参照して説明する。図3の処理ルーチンはハイブリッドECU100において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
図3の処理ルーチンが開始されると、ステップST1において、左右の前輪車輪速センサ102L,102Rの出力信号に基づいて、前輪6L,6Rの平均車輪速度(駆動輪平均車速Vf)を算出する。また、ステップST2において、後輪10L,10Rの平均車輪速度(従動輪平均車速Vr)を算出する。従動輪平均車速の演算処理については後述する。
ステップST3では、上記ステップST1で算出した駆動輪平均車速Vfと、上記ステップST2で算出した従動輪平均車速Vr(Vr=[後述するvwavefix])との車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr|)を算出する。
次に、ステップST4において、上記ステップST3で算出した車輪速度差ΔVが所定のスリップ判定閾値Vref以上であるか否かを判定する。ステップST4の判定結果が否定判定(NO)である場合([ΔV<Vref]である場合)は、スリップが発生していないと判定する。ステップST4の判定結果が肯定判定ある場合([ΔV≧Vref]である場合)は、スリップが発生していると判定する。そして、スリップが発生していると判定した場合には、第3モータジェネレータMG3の力行制御を行って四輪駆動状態にする。
なお、上記ステップST4の判定処理に用いるスリップ判定閾値Vrefについては、例えば、車体速度をパラメータとして、前後輪の車輪速度差(前輪6L,6Rの車輪速度と後輪10L,10Rの車輪速度との差)と、車輪のスリップとの関係を実験・シミュレーション等によって求め、その結果を基に適合したスリップ判定閾値をマップ化したマップを作成しておく。そして、車体速度(例えば、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの出力信号から算出)に基づいて上記マップを参照してスリップ判定閾値Vrefを設定するようにすればよい。
−従動輪の車輪速度演算処理(1)−
まず、本実施形態では、車両の発進時や低車速時などの低車速域での車輪速度の検出精度を高めるために、後輪10L,10Rについては、レゾルバ113にて検出される回転角度を用いて車輪速度を算出するようにしている。
まず、本実施形態では、車両の発進時や低車速時などの低車速域での車輪速度の検出精度を高めるために、後輪10L,10Rについては、レゾルバ113にて検出される回転角度を用いて車輪速度を算出するようにしている。
ここで、図1に示す車両は、前輪6L,6R(以下、駆動輪6ともいう)の駆動用の第2モータジェネレータMG2とは別に設けた第3モータジェネレータMG3によって後輪10L,10R(以下、従動輪10ともいう)を駆動することが可能な車両であり、発進時等において、第3モータジェネレータMG3からトルクを出力すると、その第3モータジェネレータMG3(レゾルバ113)から従動輪10までの駆動系のねじれ(後輪ドライブシャフト11L,11Rのねじれ)等により、第3モータジェネレータMG3の回転角度(レゾルバ113にて検出される回転角度)に対して従動輪10の回転角度の位相遅れ(駆動系剛性による位相遅れ)が生じる。例えば、発進初期において第3モータジェネレータMG3は回転しているが、従動輪10は一時的に回転しない状況が起こる場合がある。このような駆動系剛性に起因する位相遅れが生じると、レゾルバ113にて検出された回転角度に基づく車輪速度と、実際の従動輪10の車輪速度とが異なってしまう(実際の車輪速度が遅くなってしまう)。
こうした状況になると、実際には車輪のスリップが発生していないにも関らず、駆動輪6の車輪速度(演算値)と従動輪10の車輪速度(演算値)との間に差が生じてしまい、不必要にスリップ判定となる状況が起こる場合がある。そして、その位相遅れに起因するスリップ判定期間中にあっては、スリップ抑制が必要でないのにも関らず、従動輪10の要求トルクが増加されるので、第3モータジェネレータMG3の出力トルクが一時的に不必要に大きくなってしまい、第3モータジェネレータMG3が小容量である場合、その第3モータジェネレータMG3の発熱が懸念される。
また、低車速状態からの加速時(アクセルON時)においても、同様な理由により、第3モータジェネレータMG3のレゾルバ113にて検出される回転角度に基づく従動輪10の車輪速度と、実際の従動輪10の車輪速度とが異なる場合があり、上記と同様な問題が発生する場合がある。
そのような点を考慮して、この例では、第3モータジェネレータMG3のレゾルバ113にて検出される回転角度から算出する従動輪10の車輪速度を、駆動系剛性(後輪ドライブシャフト11L,11Rの剛性)に基づいて補正(回転角度の位相遅れ補正)することで、従動輪10の車輪速度を精度よく算出できるようにする。ただし、そのような回転角度の位相遅れ補正は、路面傾斜(平地/登坂路)を考慮して実行する。この点について以下に説明する。
まず、上記したように、第3モータジェネレータMG3から従動輪10までの駆動系剛性による回転角度の位相遅れによって、レゾルバ113にて検出された回転角度に基づく車輪速度と実際の従動輪10の車輪速度とが異なってしまうと、誤ったスリップ判定となる場合がある。これを防止するため、平地(緩やかな登坂路も含む)での発進時や低車速からの加速時等の場合には、レゾルバ113にて検出される回転角度から算出した車輪速度を、駆動系剛性に基づいて補正(駆動系剛性による位相遅れ分を補償する補正)する。しかしながら、このような回転角度の位相遅れ補正を、登坂路(四輪駆動が必要な傾斜の登坂路)での発進時(ブレーキ踏み替え発進時)等において実行すると、その位相遅れ補正分だけ応答性(従動輪10の駆動トルク増加)が遅れてしまい、車両のずり下がりが発生し、そのずり下がり状態から復帰する際にスリップが発生する場合ある。このような点を考慮して、登坂路である場合には、レゾルバ113にて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を従動輪10の車輪速度とすることで、登坂路での発進時等における車両のずれ下がりを防止する。
以上のような点を実現する処理(従動輪の車輪速度演算処理)の一例について、図4〜図7に示すフローチャートを参照して説明する。図4〜図7の処理ルーチンはハイブリッドECU100において所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返して実行される。
この図4〜図7の処理ルーチンが開始されると、まずは、ステップST11において、後輪車輪速センサ103L,103Rの出力信号から左右の後輪10L,10Rの車輪速度vwl,vwr(車輪速センサ値)を読み込む。
ステップST12では、上記ステップST11で読み込んだ車輪速度vwl,vwrの下限処理を実施する。具体的には、読み込んだ車輪速度vwlが下限値VWMINよりも小さい値であれば、その読み込んだ車輪速度vwlを下限値VWMINとする(vwl=VWMIN)。また、読み込んだ車輪速度vwrが下限値VWMINよりも小さい値であれば、その読み込んだ車輪速度vwrを下限値VWMINとする(vwr=VWMIN)。なお、下限値VWMINについては、後輪車輪速センサ103L,103Rにて検出することが可能な車輪速度の下限値を実験等によって取得しておき、その結果を基に適合した値を用いる。
ステップST13では、上記ステップST12で取得した車輪速度vwl及びvwrを用いて、従動輪10の平均車輪速度vwaveを算出する(vwave=(vwl+vwr)/2)。
ステップST14では、第3モータジェネレータMG3(従動輪10)のレゾルバ113の出力信号から回転角度を読み込み、第3モータジェネレータMG3の回転数(以下、レゾルバ回転数nmg3ともいう)を取得する。
ステップST15では、上記レゾルバ回転数nmg3[rpm]を駆動輪6の車輪速度(周速度)vsmg3[km/h]に換算する。具体的には、演算式[vwmg3=nmg3×60×π×TIRE_R×RATIOMG3/1000]を用いてレゾルバ回転数nmg3を車輪速度vsmg3に換算する。ここで、「TIRE_R」は従動輪10の半径であり、「RATIOMG3」は[リア減速装置8の減速比×リアデファレンシャル装置9のデフ比(減速比)]である。
次に、ステップST16において、上記ステップST13で算出した従動輪10の平均車輪速度vwaveと、上記ステップST15で換算した車輪速度vwmg3(レゾルバ回転数から換算した車輪速度)とを用いて、それら平均車輪速度vwaveと換算車輪速度vwmg3との差の絶対値|vwave−vwmg3|が、所定のフェール判定閾値VWTH以内であるか否かを判定する。
このステップST16は、センサ系(後輪車輪速センサ103L,103R及びレゾルバ113)のフェール時には処理を禁止するために設けた処理ステップであり、ステップST16の判定結果が否定判定(NO)である場合([|vwave−vwmg3|>VWTH)]であり、センサ故障が生じている場合)は、車輪速度演算処理は行わずに、図5のステップST101に進む。
ステップST101では、許可フラグxnmg3act(従動輪10の車輪速度の算出にレゾルバ回転数を使用することを許可するフラグ)がONであるか否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合は処理を一旦終了する(リターンする)。ステップST101の判定結果が肯定判定(YES)である場合は、ステップST102において許可フラグxnmg3actをOFFにした後にリターンする。
なお、上記図4のステップST16の判定処理に用いるフェール判定閾値VWTHについては、後輪車輪速センサ103L,103R及びレゾルバ113が正常である場合の、上記車輪速差(|vwave−vwmg3|)の許容範囲を、センサばらつき等を考慮して実験・計算等によって取得しておき、その結果を基に適合した値を設定する。
上記図4のステップST16の判定結果が肯定判定(YES)である場合(|vwave−vwmg3|がフェール判定閾値VWTH以内である場合)はステップST17に進む。
ステップST17では、現在の路面傾斜が所定の坂路判定閾値ALFTHよりも大きいか否かを判定する。このステップST17の処理について具体的に説明する。
まず、この例においては、前後加速度センサ104の出力信号に基づいて路面傾斜を求めるが、その前後加速度センサ104の出力信号には、車速の変化に基づく加速度成分αvと車体の傾斜(路面傾斜)に基づく加速度成分αgとが含まれているので、前後加速度センサ104の出力信号から得られる加速度(αv+αg)から、車体の加速度(αv:例えば、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの出力信号から算出)を差し引くことにより、路面傾斜に基づく加速度成分αgを求め、この加速度成分αgから路面傾斜(勾配)αを求める。
そして、このようにして求めた路面傾斜αが、所定の坂路判定閾値ALFTHよりも大きい(α>ALFTH)か否かを判定する。その判定結果(ステップST17の判定結果)が否定判定(NO)である場合(路面傾斜が坂路判定閾値ALFTH以下であり、路面状態が平地(緩やかな登坂路も含む)である場合)は図6のステップST201に進む。ステップST17の判定結果が肯定判定(YES)である場合(路面傾斜が坂路判定閾値ALFTHよりも大きくて、路面状態が登坂路である場合)はステップST18に進む。
ここで、ステップST17の判定処理に用いる坂路判定閾値ALFTHについては、二輪駆動(駆動輪のみ)で登ることが可能な最大登り勾配(傾斜面)αMAXを実験・シミュレーション等によって取得しておき、その結果を基に適合した値(例えば、上記最大登り勾配αMAX−所定のマージン)を用いる。なお、この例では、路面状態が降坂路(被駆動状態)である場合、上記したスリップ判定を行わずに、二輪駆動状態での走行とする。
(登坂路での処理)
ステップST18では、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの各出力信号に基づいて前輪(駆動輪)6L,6R及び後輪(従動輪)10L,10Rの車輪速度を認識し、この認識した各車輪速度に基づいて、現在の車両の車体速度vspdを算出し、その車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH1以下であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合は、図7のステップST301に進む。ステップST18の判定結果が肯定判定(YES)である場合(発進時や低車速時等である場合)はステップST19に進む。
ステップST18では、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの各出力信号に基づいて前輪(駆動輪)6L,6R及び後輪(従動輪)10L,10Rの車輪速度を認識し、この認識した各車輪速度に基づいて、現在の車両の車体速度vspdを算出し、その車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH1以下であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合は、図7のステップST301に進む。ステップST18の判定結果が肯定判定(YES)である場合(発進時や低車速時等である場合)はステップST19に進む。
なお、ステップST18において、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの各センサ値(車輪速度)には、上記したステップST12と同様な下限処理を行っておく。また、ステップST18の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH1については後述する。
ステップST19では、従動輪10の車輪速度の算出にレゾルバ回転数を使用することを許可する許可フラグxnmg3actをONにする。
次に、ステップST20において、上記ステップST15で算出した車輪速度vwmg3(レゾルバ回転数nmg3に基づく車輪速度)を補正せずにそのままの値を従動輪平均車輪速度vwavefixとする(vwmg3=vwavefix)。そして、その従動輪平均車輪速度vwavefixを用いて、上記した図3のステップST3の車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr(=vwavefix)|)を算出して上記ステップST4のスリップ判定処理を行う。
上記ステップST18の判定結果が否定判定(NO)である場合(路面傾斜が坂路判定閾値ALFTHよりも大きい状況(坂路判定)であり、[車体速度vspd>車速判定閾値VSPDTH1]である場合)は、図7のステップST301に進む。ステップST301では、許可フラグxnmg3actがONであるか否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST301の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST302に進む。
ステップST302では、車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH2よりも大きいか否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合([vspd≦VSPDTH2]である場合)はリターンする。ステップST302の判定結果が肯定判定(YES)である場合([vspd>VSPDTH2]である場合)はステップST303に進む。なお、ステップST302の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH2については、上記車速判定閾値VSPDTH1と同じ値であってもよいし、上記図4のステップST18の判定処理に対してヒス(ヒステリシス)をもたせるために、上記車速判定閾値VSPDTH1よりも所定量だけ大きな値としてもよい。
ステップST303では、従動輪10の車輪速度の算出にレゾルバ回転数を使用することを許可する許可フラグxnmg3actをOFFにする。そして、ステップST304において、上記した図4のステップST13で算出した従動輪10の平均車輪速度vwaveを従動輪平均車輪速度vwavefixとして(vwmg3=vwavefix)、上記した図3のステップST3の車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr(=vwavefix)|)を算出して上記ステップST4のスリップ判定処理を行う。
(平地での処理)
一方、上記図4のステップST17の判定結果が否定判定(NO)である場合、つまり現在の路面が平地である場合は、図6のステップST201の処理を実行する。具体的には、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの各出力信号に基づいて現在の車両の車体速度vspdを算出し、その車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH3以下であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合はステップST211に進む。ステップST201の判定結果が肯定判定(YES)である場合(発進時や低車速時等である場合)はステップST202に進む。
一方、上記図4のステップST17の判定結果が否定判定(NO)である場合、つまり現在の路面が平地である場合は、図6のステップST201の処理を実行する。具体的には、前輪車輪速センサ102L,102R及び後輪車輪速センサ103L,103Rの各出力信号に基づいて現在の車両の車体速度vspdを算出し、その車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH3以下であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合はステップST211に進む。ステップST201の判定結果が肯定判定(YES)である場合(発進時や低車速時等である場合)はステップST202に進む。
ここで、ステップST201の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH3については、車体速度が低いほど駆動力が大きくて車輪が滑りやすくなるという点を考慮し、アクセルONにてスリップが生じやすい低車速域を、実験・シミュレーション等によって取得しておき、その取得した低車速域を判定するための閾値(低車速判定閾値)を経験的に適合して設定する。なお、上記ステップST18の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH1については、平地よりも坂路(登坂路)の方が、発進時等において車輪スリップが発生しにくい点を考慮して、ステップST201の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH3よりも所定量だけ小さい値を設定する。
ステップST202では、従動輪10の車輪速度の算出にレゾルバ回転数を使用することを許可する許可フラグxnmg3actをONにした後にステップST203に進む。
ステップST203を実行する時点では、路面傾斜が坂路判定閾値ALFTH以下(平地判定)であり、車体速度vspdが車速判定閾値VSPDTH3以下である(発進時や低車速時である)ので、上記図4のステップST15においてレゾルバ回転数nmg3から算出した車輪速度vwmg3を使用し、その車輪速度vwmg3を上記後輪ドライブシャフト11L,11R(以下、ドライブシャフト11ともいう)の剛性に基づいて補正(ドライブシャフト11の剛性による位相遅れ分を補償する補正)して、従動輪10の車輪速度を算出する。その具体的な処理の一例について、図8のモデルを参照して説明する。
図8に示すモデルにおいて、I0はドライブシャフト慣性、K0はドライブシャフト剛性、C0はドライブシャフト減衰、θ0はドライブシャフト回転角度である。また、I1は車輪慣性(タイヤ慣性)、K1は車輪剛性(タイヤ剛性)、C1は車輪減衰(タイヤ減衰)、θ1は車輪回転角度であって、この図8のモデルから車輪(従動輪10)の回転角度θ1とドライブシャフト11の回転角度θ0との関係は下記の式(1)(2次遅れの式)で表すことができる。ただし、車体の慣性はドライブシャフト及び車輪に比べて非常に大きいので、図8のモデルにおいては、車体を固定端として扱っている。
上記式(1)は回転角度の形であるので、これを速度(車輪速度)で表すと、下記の式(2)となる。
また、上記式(2)を時間表現すると、下記の式(3)となる。
上記式(2)はハイブリッドECU100のROM内に記憶されており、この式(2)を用いて、上記レゾルバ回転数nmg3から算出した車輪速度vwmg3を、ドライブシャフト回転速度V0に代入して、車輪回転速度V1(従動輪10の補正車輪速度)を算出することにより、ドライブシャフト11の剛性による位相遅れ分を補正する。そして、その補正処理後の補正車輪速度cvwmg3を従動輪平均車輪速度vwavefixとして(cvwmg3=vwavefix)、上記した図3のステップST4の車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr(=vwavefix)|)を算出して上記ステップST5のスリップ判定処理を行う。
なお、上記した式(3)をハイブリッドECU100のROM内に記憶しておき、その式(3)を用いてドライブシャフト11の剛性による位相遅れ分を補正するようにしてもよい。
ここで、レゾルバ回転数nmg3から算出した車輪速度vwmg3を補正する処理に用いる演算式は、上記した式(2)または式(3)に限定されることなく、ドライブシャフト11の剛性による回転角度の位相遅れ分を補正できる式であれば、他の演算式を用いてもよい。また、そのような演算式(車輪の回転角度とドライブシャフトの回転角度との関係を示す式)をマップ化しておき、そのマップ(ROM内に記憶)を用いて車輪速度vwmg3に基づいて位相遅れ分を補償した従動輪10の補正車輪速度cvwmg3を得るようにしてもよい。
さらに、レゾルバ回転数nmg3に基づく車輪速度vwmg3をパラメータとして、上記した回転角度の位相遅れ分を実験・シミュレーション等によって取得し、その位相遅れ分をマップ化したマップを作成しておく(ROM内に記憶)。そして、レゾルバ回転数nmg3から算出した車輪速度vwmg3を上記マップに基づいて補正して従動輪10の補正車輪速度cvwmg3を算出するようにしてもよい。
一方、上記図6のステップST201の判定結果が否定判定である場合(路面傾斜が坂路判定閾値ALFTH以下(平地判定)であり、[車体速度vspd>車速判定閾値VSPDTH3]である場合)は、ステップST211において許可フラグxnmg3actがONであるか否かを判定する。ステップST211の判定結果が否定判定(NO)である場合はリターンする。ステップST211の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST212に進む。
ステップST212では、車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH4よりも大きいか否かを判定し、その判定結果が否定判定(NO)である場合([vspd≦VSPDTH4]である場合)はリターンする。ステップST212の判定結果が肯定判定(YES)である場合([vspd>VSPDTH4]である場合)はステップST213に進む。なお、ステップST212の判定処理に用いる車速判定閾値VSPDTH4については、上記車速判定閾値VSPDTH3と同じ値であってもよいし、上記ステップST201の判定処理に対してヒスをもたせるために、上記車速判定閾値VSPDTH3よりも所定量だけ大きな値としてもよい。
ステップST213では、従動輪10の車輪速度の算出にレゾルバ回転数を使用することを許可する許可フラグxnmg3actをOFFにする。
そして、ステップST214において、上記図4のステップST13で算出した従動輪10の平均車輪速度vwave(後輪車輪速センサ103L,103Rのセンサ値に基づく車輪速度)を従動輪平均車輪速度vwavefixとして(vwmg3=vwavefix)、上記した図3のステップST3の車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr(=vwavefix)|)を算出して上記ステップST4のスリップ判定処理を行う。
なお、この例では、車体速度vspdが車速判定閾値VSPDTH4(VSPDTH3)よりも大きい状況のときには、後輪車輪速センサ103L,103Rの検出精度が良好であるので、レゾルバ回転数nmg3を使用せずに、後輪車輪速センサ103L,103Rの出力信号から得られる車輪速度を用いている。
以上のように、この例の車輪速度演算処理によれば、路面傾斜が坂路判定閾値以下である平地(緩やかな登坂路も含む)であり、その平地での発進時や低車速からの加速時である場合には、レゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数)から算出される車輪速度(vwmg3)を、ドライブシャフト11の剛性(駆動系剛性)に基づいて補正(位相遅れ分の補正)しているので、従動輪10(後輪)の車輪速度を精度よく算出することができ、不必要にスリップ判定となる状況を抑制することができる。これによって、スリップ抑制が必要でないのにも関らず、従動輪10の要求トルクが増加されるという状況をなくすことができるので、第3モータジェネレータMG3の発熱を抑制することができる。しかも、路面状態が登坂路(路面傾斜>坂路判定閾値)である場合には、レゾルバ回転数から算出される車輪速度(vwmg3)を補正せずに、そのままの値を従動輪10の車輪速度としているので、登坂路での発進時等における応答性が向上し、車両のずれ下がり(後退)を防止することができる。
−従動輪の車輪速度演算処理(2)−
次に、ハイブリッドECU100が実行する[従動輪の車輪速演算処理]の他の例について説明する。
次に、ハイブリッドECU100が実行する[従動輪の車輪速演算処理]の他の例について説明する。
上記した[従動輪の車輪速度演算処理(1)]では、第3モータジェネレータMG3のレゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数nmg3[rpm])から算出(換算)した車輪速度vwmg3を、駆動系剛性に基づいて補正して従動輪10の車輪速度vwavefixを算出しているが、この例では、レゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数nmg3[rpm])を駆動系剛性に基づいて補正(従動輪10の回転位相遅れを補償)してから従動輪10の車輪速度vwavefixを算出する。その演算処理の一例について以下に説明する。
この例においても、図4〜図7に示すフローチャートと同様な処理にて従動輪10の車輪速度vwavefixを算出するが、下記の処理(ステップST203等の処理)が相違する。
具体的には、路面傾斜αが上記坂路判定閾値ALFTH以下であり(図4のフローチャートのステップST17が否定判定(NO)であり)、車体速度vspdが所定の車速判定閾値VSPDTH3以下である(図6のフローチャートのステップST201が肯定判定(YES)である)場合、つまり、路面傾斜が平地(緩やかな登坂路も含む)であり、発進時や低車速時である場合、上記したステップST203の演算処理に替えて、以下の演算処理を行って従動輪10の車輪速度vwavefixを算出する。
(i)レゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数nmg3)を、上記した式(1)(ROM内に記憶)を用いて補正して、従動輪10の回転角度の位相遅れ分を補償する。この補正を行った回転角度から補正レゾルバ回転数cnmg3を取得する。
(ii)上記補正レゾルバ回転数cnmg3[rpm]を駆動輪6の補正車輪速度cvwmg3[km/h]に換算する。具体的には、演算式[cvwmg3=cnmg3×60×π×TIRE_R×RATIOMG3/1000]を用いて、補正レゾルバ回転数cnmg3を補正車輪速度cvsmg3に換算する。ここで、「TIRE_R」は従動輪10の半径であり、「RATIOMG3」は[リア減速装置8の減速比×リアデファレンシャル装置9のデフ比(減速比)]である。
そして、上記換算後の補正車輪速度cvwmg3を、従動輪平均車輪速度vwavefixとして(cvwmg3=vwavefix)、上記した図3のステップST3の車輪速度差ΔV(ΔV=|Vf−Vr(=vwavefix)|)を算出して上記ステップST4のスリップ判定処理を行う。
なお、このような処理(図6のステップST203の処理に替えて実行する処理等)以外については、図4〜図7に示すフローチャートの各ステップにおける処理と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。
この例の車輪速度演算処理によれば、路面傾斜が坂路判定閾値以下である平地であり、その平地での発進時や低車速からの加速時である場合には、レゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数)を、ドライブシャフト11の剛性(駆動系剛性)に基づいて補正(位相遅れ分の補正)してから、従動輪10の車輪速度を算出しているので、従動輪10の車輪速度を精度よく算出することができ、不必要にスリップ判定となる状況を抑制することができる。これによって、スリップ抑制が必要でないのにも関らず、従動輪10の要求トルクが増加されるという状況をなくすことができるので、第3モータジェネレータMG3の発熱を抑制することができる。しかも、路面状態が登坂路(路面傾斜>坂路判定閾値)である場合には、レゾルバ113にて検出される回転角度(レゾルバ回転数)を補正せずにそのまま用いて従動輪10の車輪速度を算出しているので(図4のステップST15及びステップST20の処理)、登坂路での発進時等における車両のずれ下がり(後退)を防止することができる。
−他の実施形態−
以上の例では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)を基本とする四輪駆動方式のハイブリッド車両に本発明を適用した例について説明したが、これに限られることなく、後輪が駆動輪であり前輪が従動輪であって、その前輪(従動輪)を駆動することが可能な電動機を備えたハイブリッド車両にも本発明は適用可能である。
以上の例では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)を基本とする四輪駆動方式のハイブリッド車両に本発明を適用した例について説明したが、これに限られることなく、後輪が駆動輪であり前輪が従動輪であって、その前輪(従動輪)を駆動することが可能な電動機を備えたハイブリッド車両にも本発明は適用可能である。
また、本発明は、駆動輪及び従動輪とが個別の電動機(例えば、モータジェネレータ)で駆動することが可能なEV車両や、駆動輪のみを電動機で駆動するEV車両にも適用可能である。
本発明は、車両の制御装置に利用可能であり、さらに詳しくは、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両の制御装置に利用することができる。
1 エンジン
6L,6R 前輪
10L,10R 後輪
11L,11R 後輪ドライブシャフト
MG1 第1モータジェネレータ
100 ハイブリッドECU
101 アクセル開度センサ
102L,102R 前輪車輪速センサ
103L,103R 後輪車輪速センサ
104 前後加速度センサ
113 レゾルバ(第3モータジェネレータMG3)
200 エンジンECU
300 MG_ECU
400 インバータ
500 HVバッテリ
6L,6R 前輪
10L,10R 後輪
11L,11R 後輪ドライブシャフト
MG1 第1モータジェネレータ
100 ハイブリッドECU
101 アクセル開度センサ
102L,102R 前輪車輪速センサ
103L,103R 後輪車輪速センサ
104 前後加速度センサ
113 レゾルバ(第3モータジェネレータMG3)
200 エンジンECU
300 MG_ECU
400 インバータ
500 HVバッテリ
Claims (8)
- 車輪を駆動する電動機と、前記電動機の回転角度を検出するレゾルバとを備え、前記レゾルバにて検出される回転角度に基づいて前記車輪の車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、
前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を前記電動機から車輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する処理を、路面傾斜に応じて実行することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を、前記駆動系の剛性に基づいて補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を前記車輪の車輪速度とすることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記車両は、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両であって、
路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を、前記電動機から従動輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する一方、
路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度から算出した車輪速度を補正せずにそのままの値を前記従動輪の車輪速度とすることを特徴とする車両の制御装置。 - 車輪を駆動する電動機と、前記電動機の回転角度を検出するレゾルバとを備え、前記レゾルバにて検出される回転角度に基づいて前記車輪の車輪速度を算出する処理が実行可能な車両の制御装置において、
前記レゾルバにて検出される回転角度を前記電動機から車輪までの駆動系の剛性に基づいて補正して前記車輪の車輪速度を算出する処理を、路面傾斜に応じて実行することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5記載の車両の制御装置において、
路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度を前記駆動系の剛性に基づいて補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5記載の車両の制御装置において、
路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合に、前記レゾルバにて検出される回転角度を補正せずにそのまま用いて前記車輪の車輪速度を算出することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5記載の車両の制御装置において、
前記車両は、駆動輪を駆動する主駆動源に加えて、従動輪を駆動することが可能な電動機を備えた車両であって、
路面傾斜が所定の判定閾値以下である場合に、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度を、前記電動機から従動輪までの駆動系の剛性に基づいて補正する一方、
路面傾斜が前記判定閾値よりも大きい場合には、前記従動輪の電動機のレゾルバにて検出される回転角度を補正せずにそのまま用いて前記従動輪の車輪速度を算出することを特徴とする車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011182011A JP2013046480A (ja) | 2011-08-23 | 2011-08-23 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011182011A JP2013046480A (ja) | 2011-08-23 | 2011-08-23 | 車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013046480A true JP2013046480A (ja) | 2013-03-04 |
Family
ID=48009963
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011182011A Withdrawn JP2013046480A (ja) | 2011-08-23 | 2011-08-23 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013046480A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017038759A1 (ja) * | 2015-09-03 | 2017-03-09 | Ntn株式会社 | 車両用モータ駆動装置およびこれを搭載した車両 |
WO2019111459A1 (ja) * | 2017-12-04 | 2019-06-13 | 三菱自動車工業株式会社 | 車両の制御装置 |
-
2011
- 2011-08-23 JP JP2011182011A patent/JP2013046480A/ja not_active Withdrawn
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EP3345782A4 (en) * | 2015-09-03 | 2019-05-15 | NTN Corporation | VEHICLE ENGINE ENGINE AND VEHICLE WITH ENGINE DRIVE DEVICE ASSEMBLED |
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