JP2013043986A - 一次防錆塗料組成物、一次防錆塗膜および一次防錆塗膜付き鋼板 - Google Patents

一次防錆塗料組成物、一次防錆塗膜および一次防錆塗膜付き鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】第2成分の1気圧における引火点が21℃以上に設定され、消防法上の指定数量の制限が緩和されており、しかも低温時の乾燥性および硬化性がいずれも優れる一次防錆塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)シロキサン系結合剤(a1)を含有する第1成分、および(B)亜鉛末(b1)と、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とを含有し、1気圧における引火点が21℃以上である第2成分を有する一次防錆塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンクコンテナで納入および保管が可能な一次防錆塗料組成物(ショッププライマー)、前記組成物から形成された一次防錆塗膜、および前記塗膜を有する一次防錆塗膜付き鋼板に関する。
従来、船舶、橋梁、プラントなどの大型鋼構造物の塗装に使用される一次防錆塗料組成物の一つである、無機ジンク系ショッププライマーの製品は石油缶に詰めて納入されており、使用後に大量の空容器および残った塗料が廃棄されていた。現在、環境問題の観点から、造船所、ミルメーカー等において、容器および塗料の廃棄物が問題になっている。このような背景から、環境問題への取り組みの一環として、タンクコンテナ(IBC:Intermediate Bulk Container)による納入が採用されている。
危険物の納入および保管においては、消防法による危険物の指定数量の制限がある。消防法は引火点範囲による分類を定めており、当該分類は容器に詰めた塗料製品ごとに判定される。
例えば、従来の石油缶の場合、1缶当りの充填量が少量(容量6〜9L程度)であった。このため、消防法における危険物の取扱い上、危険物第四類第一石油類(1気圧における引火点が21℃未満)に相当する製品であっても、保管缶数を調整すればよく、当該数量が既存の貯蔵設備の消防署による認可済みの第一石油類の指定数量(水溶性液体:400L、非水溶性液体:200L)を超えることはなかった。
これに対して、タンクコンテナの場合、1基当りの充填量が多量(容量600〜900L程度)である。このため、上記第一石油類に相当する製品の場合、当該数量が消防署による認可済みの第一石油類の指定数量を超えて問題になる。よって、指定数量が2000L(水溶性液体)、1000L(非水溶性液体)である危険物第四類第二石油類(1気圧における引火点が21℃以上70℃未満)に相当する製品が好ましい。
なお、以下では、簡単のため、1気圧における引火点が21℃未満の製品を第一石油類相当と記し、また1気圧における引火点が21℃以上の製品を第二石油類相当とも記す。
無機ジンク系ショッププライマーは、一般的に、結合剤成分を含有する第1成分(結合剤含有成分)と、亜鉛末を含有する第2成分(亜鉛末含有成分)とを有する。また、前記プライマーは、塗装現場で調色の自由度を上げるために、さらに着色顔料を多量に含有する第3成分(着色種含有成分)を有する場合も多い。従来の無機ジンク系ショッププライマーを構成する各成分は、いずれも第一石油類に相当していた。このため、タンクコンテナの場合、納入および保管数量が第一石油類の指定数量の制限を越えてしまい、納入および保管に大きな制約があった。
例えば、第1成分に混合される第2成分は、溶剤として、消防法上の危険物第四類第二石油類に分類される溶剤(例:キシレン、イソブチルアルコール)を主として含有し、低温時の乾燥性および硬化性を確保するため、さらに消防法上の危険物第四類第一石油類または炭素数3以下の飽和1価アルコール類に分類される溶剤(例:イソプロピルアルコール)を一定量以上含有することから、第一石油類相当の製品となっており、これが当業界における常識であった。
しかしながら、第1成分と第2成分とを混合してショッププライマーとして使用(塗装)する際には、第1成分に比して第2成分の量が多量(例:第1成分:第2成分=40:60(質量比)程度)となることもある。このため、前記成分をこのような量比で貯蔵・保管しようとすると、特に、第2成分の危険物分類区分による指定数量制限が問題となる。例えば、特許文献1〜2に記載されている一次防錆用防食塗料における第2成分は、それら文献の実施例では、いずれもイソプロピルアルコールを多く含有しており、第一石油類相当の製品である。
特許平08−073777号公報 特許平09−263714号公報
第2成分において第一石油類または炭素数3以下の飽和1価アルコール類に分類される溶剤の含有量を低減することにより、第2成分の1気圧における引火点を21℃以上に設定し、第2成分を第二石油類相当の製品とした場合、無機ジンク系ショッププライマーを塗装する現場での、特に気温が0〜10℃となるような冬季や寒冷地での塗膜の乾燥性および硬化性が低下し、問題となる。他方、第2成分において第一石油類または炭素数3以下の飽和1価アルコール類に分類される溶剤の含有量を多くすると、第2成分の1気圧における引火点が21℃未満になってしまう。
本発明の課題は、第2成分の1気圧における引火点が21℃以上に設定され、消防法上の指定数量の制限が緩和されており、しかも低温時(例:0〜10℃程度)の乾燥性および硬化性がいずれも優れる一次防錆塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、驚くべきことに、第2成分に1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤を含有させることにより、第2成分の1気圧における引火点を21℃以上に設定・保持しながら、低温時の乾燥性および硬化性がいずれも優れる一次防錆塗料組成物の提供が可能となることを見出した。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]に関する。
[1](A)シロキサン系結合剤(a1)を含有する第1成分、および(B)亜鉛末(b1)と、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とを含有し、1気圧における引火点が21℃以上である第2成分を有する一次防錆塗料組成物。
[2]前記酢酸エステル溶剤(b2)の相対蒸発速度(酢酸n−ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対値)が、60以上である、前記[1]に記載の一次防錆塗料組成物。
[3]前記酢酸エステル溶剤(b2)が、酢酸n−ブチルである、前記[1]または[2]に記載の一次防錆塗料組成物。
[4]前記第2成分(B)が、1気圧における引火点が21℃以上の有機溶剤(b3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(b2)を除く。)をさらに含有し、前記酢酸エステル溶剤(b2)および前記有機溶剤(b3)の質量比(b3/b2)が0.25〜12である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
[5]前記第2成分(B)において、1気圧における引火点が21℃未満の有機溶剤の含有量が第2成分(B)の0.5質量%以下である、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
[6]前記第1成分(A)と前記第2成分(B)との合計質量に対する、前記第1成分(A)および前記第2成分(B)に含まれうる、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量が、1〜11質量%である、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
[7](C)着色顔料(c1)を含有する第3成分をさらに有する、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
[8]前記第3成分(C)が、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(c2)と、1気圧における引火点が21℃以上の有機溶剤(c3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(c2)を除く。)とをさらに含有する、前記[7]に記載の一次防錆塗料組成物。
[9]前記第1成分(A)と前記第2成分(B)と前記第3成分(C)との合計質量に対する、前記第1成分(A)、前記第2成分(B)および前記第3成分(C)に含まれうる、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量が、1〜11質量%である、前記[7]または[8]に記載の一次防錆塗料組成物。
[10]前記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物の各構成成分を混合して得られた一次防錆塗料から形成された一次防錆塗膜。
[11]鋼板と、前記鋼板表面に形成された、前記[10]に記載の一次防錆塗膜とを有する一次防錆塗膜付き鋼板。
本発明によれば、第1成分としての結合剤含有成分と、第2成分としての亜鉛末含有成分とを含み、必要により第3成分としての着色種含有成分とを含む一次防錆塗料組成物において、第2成分の1気圧における引火点が21℃以上に設定され、運搬・貯蔵・保管等の取扱上の安全性が高く、消防法上の指定数量の制限が緩和されており、多量取扱い上の利便性が高く、しかも低温時の乾燥性および硬化性がいずれも優れる一次防錆塗料組成物を提供することができる。
本発明の一次防錆塗料組成物では、第2成分の1気圧における引火点が21℃以上に設定されているので、指定数量の制限が緩和されることにより、タンクコンテナでの多量の納入および保管が可能となる。また、前記組成物から形成された塗膜は、乾燥性および硬化性の点で、従来の一次防錆塗料よりなる塗膜、すなわち危険物第四類第一石油類に分類される溶剤を多量に含有し、1気圧における引火点が21℃未満の第2成分を有する一次防錆塗料組成物から形成された従来の塗膜と同等である。
また、本発明では、第1成分と第2成分とを混合してなる一次防錆塗料の可使時間も延びて経済的である。さらに、塗膜性能も、上記従来の塗膜性能と同等で良好であり、船舶、橋梁、プラントなどの大型鋼構造物の塗装に有用である。
以下、本発明の一次防錆塗料組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)、一次防錆塗膜および一次防錆塗膜付き鋼板について説明する。なお、本明細書において「引火点」というときは、「1気圧における引火点」を指すものとする。引火点はJIS K2265の規定に基づき、セタ密閉式引火点測定器により測定される。
〔一次防錆塗料組成物〕
本発明の一次防錆塗料組成物は、第1成分(A)と第2成分(B)とを有する。第1成分(A)は、シロキサン系結合剤(a1)を含有し、結合剤含有成分(A)とも呼ぶ。第2成分(B)は、亜鉛末(b1)と、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とを含有し、引火点が21℃以上であり、亜鉛末含有成分(B)とも呼ぶ。
本発明の一次防錆塗料組成物は、塗装現場で調色の自由度を上げるために、さらに第3成分(C)を有してもよい。第3成分(C)は、着色顔料(c1)を含有し、着色種含有成分(C)とも呼ぶ。
本発明の組成物は、上記のように各構成成分((A)および(B)、必要に応じて(C))を有するが、通常、多成分型組成物として用いられる。つまり、本発明の組成物では、第1成分(A)と、第2成分(B)と、必要に応じて第3成分(C)とをそれぞれ別容器に保存しておき、すなわち第1成分(A)からなる第1ユニット(A)と、第2成分(B)からなる第2ユニット(B)と、必要に応じて第3成分(C)からなる第3ユニット(C)とを準備し、使用直前に各ユニット(構成成分)を混合して用いることが、使用時に塗料の性能を良好に発揮でき、可使時間が長くなるなどの点で好ましい。
各ユニット(構成成分)を保存、管理、供給する際には、各ユニットは、それぞれドラム缶、ペール缶、石油缶、プラスチック容器等のような各種材質・形状の容器に入れ、第Xユニット(X=1〜3の整数)として取り扱うことができる。特に本発明では、消防法上の指定数量の制限が緩和されているので、前記容器として、一箇所での大量保存と一度での大量輸送とが可能な大型のタンクコンテナ(例:容量1000L程度)を使用することができる。
〈第1成分(A)〉
第1成分(A)は、シロキサン系結合剤(a1)を含有する。第1成分(A)には、シロキサン系結合剤(a1)以外に、有機溶剤(a2)、水(例:脱イオン水)、酸触媒(例:HCl)、コロイダルシリカ等が含まれていてもよい。
シロキサン系結合剤(a1)
シロキサン系結合剤(a1)としては、例えば、式(a1−1)で表されるケイ酸エステル、前記ケイ酸エステルの初期縮合物(1種または2種以上のケイ酸エステルが2個以上、シロキサン結合(Si−O)にて結合してなる重合体)が挙げられる。
Si(OR(R4−i (a1−1)
式(a1−1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、Rは、それぞれ独立に、アルキル基を示し、iは3または4である。好ましくはRが全て同一であり、さらに好ましくはRが全てアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチルが挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
ケイ酸エステルとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランが好ましい。
例えば、有機溶剤(例:イソプロピルアルコール)中で、ケイ酸エステルを水および酸触媒(例:HCl)の存在下に加水分解し、シラノールを経て、ケイ酸エステルの初期縮合物を得ることができる。
ケイ酸エステルの初期縮合物としては、ケイ酸エステルの通常3〜20量体、好ましくは5〜10量体が好ましい。なお、前記初期縮合物には、2〜3量体程度の低重合度のオリゴマーも含まれうる。特に、テトラエトキシシランの初期縮合物であるエチルシリケート40(コルコート(株)製)が最も好ましく、部分加水分解して用いることができる。
シロキサン系結合剤(a1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン系結合剤(a1)の含有量は、第1成分(A)の通常20〜50質量%、好ましくは30〜40質量%である。シロキサン系結合剤(a1)の含有量が前記範囲にあると、得られる塗膜は鋼板素地との付着性、上塗り付着性、防錆性、耐熱性に優れる。
有機溶剤(a2)
有機溶剤(a2)としては、本発明の一次防錆塗料組成物の含有成分に対して不活性である限り従来公知の有機溶剤を広く使用でき、また引火点も特に限定されず、例えば、炭化水素溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤が挙げられる。
有機溶剤として、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族溶剤、オクタン、ヘプタン等の鎖状脂肪族溶剤、その他ホワイトスピリットなどの炭化水素溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の鎖状エーテル溶剤などのエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のカルボン酸アルキルエステル溶剤(好ましくはアルキル基の炭素数1〜5程度)、酢酸ベンジル等のカルボン酸芳香族基含有アルキルエステル溶剤(好ましくはアルキル基の炭素数1〜5程度)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート等の、多価アルコールのアルキルエーテルエステル溶剤(好ましくはアルキル基の炭素数1〜5程度)などのエステル溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等のモノアルコール溶剤(好ましくは炭素数1〜5程度)、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール溶剤(好ましくは炭素数1〜5程度)などのアルコール溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤の中でも、炭化水素溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤が好ましい。また、一次防錆塗料の乾燥性に優れることから、イソプロピルアルコールがさらに好ましい。
有機溶剤(a2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤(a2)の含有量は、第1成分(A)の通常40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%である。有機溶剤(a2)の含有量が前記範囲にあると、第1成分(A)の貯蔵安定性に優れ、塗装時に第1成分(A)と第2成分(B)と必要により第3成分(C)とを速やかに混合でき、均質で塗装性に優れた塗料を調製できる点に優れる。
なお、第1成分(A)における有機溶剤(a2)は、低温(例:0〜10℃)下でも、シロキサン系結合剤(a1)を良好に可溶化できる溶剤であって、これにより第1成分(A)を良好な品質・状態で安全に貯蔵・保管・運搬等できればよい。その意味では、第2成分(B)(さらには第3成分(C))における有機溶剤に比して、消防法上の規制への考慮の余地は少なく、第1成分(A)で用いられる有機溶剤の種類等に応じて第1成分(A)の消防法上の指定数量等を考慮して対応すればよい。
〈第2成分(B)〉
第2成分(B)は、亜鉛末(b1)と、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とを含有する。第2成分(B)は、引火点が21℃以上の有機溶剤(b3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(b2)を除く。)をさらに含有することが好ましい。
第2成分(B)の引火点は、21℃以上であり、好ましくは21℃以上70℃未満である。本発明の一次防錆塗料組成物において、第2成分(B)は第1成分(A)に比して多量に用いられる場合が多いことから、引火点が前記範囲にあると、第2成分(B)の指定数量の制限が緩和されるという効果が得られる。
本発明では、第2成分(B)の引火点が上記範囲にある限り、引火点が21℃未満の有機溶剤を第2成分(B)に含有させてもよい。消防法上の指定数量緩和の観点から、第2成分(B)において、引火点が21℃未満の有機溶剤の含有量は第2成分(B)の0.5質量%以下であることが好ましく、当該有機溶剤は不含(=0質量%)であることが特に好ましい。本発明では、第2成分(B)において、特定の酢酸エステル溶剤(b2)を用いていることから、引火点が21℃未満の有機溶剤(消防法上の危険物第四類第一石油類や炭素数3以下の飽和1価アルコール類)が不含またはその含有量が少なくても、低温時の乾燥性および硬化性がいずれも優れる一次防錆塗料組成物が提供される。
亜鉛末(b1)
亜鉛末(b1)は、塗膜中において鋼板の発錆を防止する防錆顔料として用いられる。一次防錆塗料において、亜鉛末(b1)の表面にシロキサン系結合剤(a1)が吸着し、これによって亜鉛末(b1)同士が結合するものと考えられる。亜鉛末(b1)としては、防錆塗料の分野で通常使用されているものが用いられ、平均粒子径が2〜15μmの亜鉛末が均一防錆性の点などから好ましい。
亜鉛末(b1)の含有量は、第2成分(B)の通常30〜60質量%、好ましくは40〜50質量%である。また、亜鉛末(b1)の含有量は、一次防錆塗料組成物全体に対して通常24〜33質量%、好ましくは26〜30質量%である。亜鉛末(b1)の含有量が前記範囲にあると、得られる塗膜は防錆性、耐熱性に優れる。
酢酸エステル溶剤(b2)
酢酸エステル溶剤(b2)の引火点は、21℃以上であり、好ましくは21℃以上70℃未満である。第2成分(B)に酢酸エステル溶剤(b2)を含有させることにより、第2成分(B)の引火点を21℃以上に設定しながら、得られる一次防錆塗料の低温(例:0〜10℃程度)時の乾燥性および硬化性のいずれも確保することができる。
酢酸エステル溶剤(b2)としては、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。例えば、酢酸n−ブチルの引火点は28℃である。
これらの中でも、塗料の乾燥性および硬化性の観点から、蒸発速度の速い酢酸エステル溶剤が好ましい。すなわち、相対蒸発速度(酢酸n−ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対値)が、60以上である酢酸エステル溶剤が好ましい。
上記例示の溶剤のうち数例について、相対蒸発速度を以下に括弧内に記す:酢酸n−ブチル(100)、酢酸イソブチル(152)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(34)。
相対蒸発速度は、ASTM D3539−87記載の測定法により得られる、25℃、乾燥空気下における酢酸n−ブチルの蒸発時間とテスト溶剤の蒸発時間との比{(酢酸n−ブチル90質量%が蒸発するのに要する時間)/(テスト溶剤の90質量%が蒸発するのに要する時間)}×100の値として定義される。
なお、各有機溶剤の相対蒸発速度は、「Organic Solvents fourth edition」(JOHN WILEY & SONS発行)、「最新コーティング技術」(1983年(株)総合技術センター発行)17〜19ページ記載の表5等に記載されている。
酢酸エステル溶剤(b2)としては、塗料の硬化性および乾燥性の観点(ならびに引火点および相対蒸発速度の観点)から、酢酸n−ブチルおよび酢酸イソブチルから選択される少なくとも1種が好ましく、酢酸n−ブチルが特に好ましい。
酢酸エステル溶剤(b2)の含有量は、第2成分(B)の通常1〜24質量%、好ましくは2〜20質量%である。酢酸エステル溶剤(b2)の含有量が前記範囲にあると、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長に優れる。
有機溶剤(b3)
本発明では、第2成分(B)の溶剤として、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とともに、引火点が21℃以上の有機溶剤(b3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(b2)を除く。)を併用することが、得られる第2成分(B)の引火点が高くなり、しかも一次防錆塗料の乾燥性、硬化性のバランスが優れる点などから好ましい。有機溶剤(b3)の引火点は、21℃以上70℃未満であることが乾燥性および硬化性の観点から好ましい。
なお、乾燥性および硬化性の観点から、引火点が70℃以上の有機溶剤を同時に用いることは少ないため、結果として、第2成分(B)の引火点は70℃未満であることが多い。もちろん、別の性能付与のために、本発明の効果を奏する範囲内であれば、引火点が70℃以上の有機溶剤を同時に用いてもよい。
有機溶剤(b3)としては、例えば、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコールなどのアルコール溶剤;シクロヘキサノンなどのケトン溶剤;キシレンなどの芳香族溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール溶剤が挙げられる。例えば、イソブチルアルコールの引火点は30℃である。これらの中でも、アルコール溶剤および芳香族溶剤が好ましい。
第2成分(B)において、酢酸エステル溶剤(b2)および有機溶剤(b3)の質量比(b3/b2)は、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長の観点から、好ましくは0.25〜12、より好ましくは0.33〜5である。
その他成分
第2成分(B)には、着色顔料、体質顔料、白錆抑制剤、防錆顔料(ただし、亜鉛末および白錆抑制剤を除く。)、および塗料用添加剤から選択される少なくとも1種をさらに含有させてもよい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。着色顔料の含有量は、第2成分(B)の0.1〜6質量%が好ましく、0.25〜5質量%がより好ましい。
体質顔料としては、例えば、カリ長石、ソーダ長石、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸ジルコニウム、クレー、マイカ、沈降性バリウムが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。体質顔料の含有量は、第2成分(B)の30〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
白錆抑制剤としては、例えば、モリブデン化合物が挙げられ、特に三酸化モリブデンが有用である。白錆抑制剤の含有量は、第2成分(B)の0.1〜2質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。
亜鉛末および白錆抑制剤以外の防錆顔料としては、例えば、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物、亜リン酸亜鉛系化合物、亜リン酸カルシウム系化合物、亜リン酸アルミニウム系化合物、亜リン酸ストロンチウム系化合物、トリポリリン酸アルミニウム系化合物、シアナミド亜鉛系化合物、ホウ酸塩系化合物、ニトロ化合物、複合酸化物が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。防錆顔料の含有量は、第2成分(B)の0〜35質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましい。
塗料用添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、揺変剤、沈降防止剤、色別れ防止剤が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。塗料用添加剤の含有量は、第2成分(B)の0.5〜3質量%が好ましく、1〜2質量%がより好ましい。
第2成分(B)は、塗膜形成させるための第1成分(A)とのバランスの観点から、溶剤以外の全成分(例:亜鉛末(b1)、着色顔料、体質顔料、白錆抑制剤、防錆顔料、塗料用添加剤)を合計で70〜80質量%含み、溶剤(例:酢酸エステル溶剤(b2)、有機溶剤(b3))を合計で30〜20質量%含むことが好ましい。
〈第3成分(C)〉
本発明の一次防錆塗料組成物は、塗装現場で調色の自由度を上げるために、さらに第3成分(C)を有してもよい。第3成分(C)は、通常、第1成分(A)と第2成分(B)とは別個独立に別容器に保存され、使用直前に第1成分(A)および第2成分(B)と混合して用いる。
第3成分(C)は、着色顔料(c1)を含有し、さらに、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(c2)と、引火点が21℃以上の有機溶剤(c3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(c2)を除く。)とを含有してもよい。なお、第3成分(C)は、亜鉛末を通常含有しない。第3成分(C)の引火点は、特に限定されないが、例えば21.0〜25.0℃程度である。
着色顔料(c1)
着色顔料(c1)としては、例えば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。着色顔料(c1)の含有量は、第3成分(C)の1〜65質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
酢酸エステル溶剤(c2)
酢酸エステル溶剤(c2)としては、上述の酢酸エステル溶剤(b2)が挙げられ、好ましい例示も同様である。酢酸エステル溶剤(c2)の含有量は、第3成分(C)の通常1〜30質量%、好ましくは2〜25質量%である。酢酸エステル溶剤(c2)の含有量が前記範囲にあると、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長に優れる。
有機溶剤(c3)
有機溶剤(c3)としては、上述の有機溶剤(b3)が挙げられ、好ましい例示も同様である。有機溶剤(c3)の含有量は、第3成分(C)の通常10〜70質量%、好ましくは25〜65質量%である。有機溶剤(c3)の含有量が前記範囲にあると、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長に優れる。
その他成分
第3成分(C)には、体質顔料および塗料用添加剤から選択される少なくとも1種をさらに含有させてもよい。
体質顔料としては、例えば、カリ長石、ソーダ長石、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸ジルコニウム、クレー、マイカ、沈降性バリウムが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。体質顔料の含有量は、第3成分(C)の1〜60質量%が好ましく、5〜55質量%がより好ましい。
塗料用添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、揺変剤、沈降防止剤、色別れ防止剤が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。塗料用添加剤の含有量は、第3成分(C)の0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
第3成分(C)は、着色力、塗料性状(沈降防止性、分散性)の観点から、溶剤以外の全成分(例:着色顔料(c1)、体質顔料、塗料用添加剤)を合計で20〜60質量%含み、溶剤(例:酢酸エステル溶剤(c2)、有機溶剤(c3))を合計で40〜80質量%含むことが好ましい。
〈一次防錆塗料組成物の調製〉
本発明の一次防錆塗料組成物は、第1成分(A)と、第2成分(B)と、必要に応じて第3成分(C)とを有し、通常は2成分型または3成分型の組成物(セット)として用いられる。前記組成物は、保管時には各構成成分を別容器に保存しておき、使用直前に混合して調製されることが塗料の品質(例:塗料の乾燥性、硬化性)を保持でき、可使時間を延ばすことができるなどの点から好ましい。
第1成分(A)は、例えば、ケイ酸エステルまたはその初期縮合物と、有機溶剤(a2)との混合液に塩酸等を添加・攪拌して、初期縮合物またはその部分加水分解物を生成させることにより調製される。第2成分(B)および第3成分(C)は、例えば、これらの含有成分を常法に従って混合して調製される。
〔一次防錆塗膜および一次防錆塗膜付き鋼板〕
本発明の一次防錆塗膜は、上述の一次防錆塗料組成物の各構成成分(第1成分(A)、第2成分(B)、必要に応じて第3成分(C))を混合して得られる一次防錆塗料から形成される。
各構成成分の混合比率は、第1成分(A)中のシロキサン系結合剤(a1)の含有量、第2成分(B)中の亜鉛末(b1)の含有量等により一概には決定されないが、第1成分(A)は通常30〜50質量%、好ましくは35〜45質量%の量で、第2成分(B)は通常50〜70質量%、好ましくは55〜65質量%の量で、混合される。ただし、第1成分(A)と第2成分(B)との合計を100質量%とする。
本発明では、第1成分(A)中のシロキサン系結合剤(a1)100質量部に対して、第2成分(B)中の亜鉛末(b1)が通常130〜230質量部、好ましくは150〜200質量部となるように、第1成分(A)および第2成分(B)(必要に応じて第3成分(C))の混合割合・各含有成分量を設定することが望ましい。
また、第1成分(A)と第2成分(B)との合計質量に対する、第1成分(A)および第2成分(B)に含まれうる、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量は、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長の観点から、1〜11質量%であることが好ましい。
第3成分(C)を用いる場合、第3成分(C)は、第1成分(A)と第2成分(B)との合計100質量部に対して、通常1〜5質量部、好ましくは2〜4質量部の量で、混合される。
また、第1成分(A)と第2成分(B)と第3成分(C)との合計質量に対する、第1成分(A)、第2成分(B)および第3成分(C)に含まれうる、引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量は、一次防錆塗料の乾燥性、硬化性、可使時間延長の観点から、1〜11質量%であることが好ましい。
各構成成分を混合する際には、可搬式のエヤー駆動または電力駆動の撹拌機を用いることができる。上記量で各構成成分を混合すると、得られる一次防錆塗料を被塗物(例:ショットブラスト処理鋼板)の表面に塗布・硬化してなる塗膜(一次防錆塗膜)は、従来の一次防錆塗膜と同様に、防錆性に優れる。
上述の一次防錆塗料は、例えば、1回当たり40〜120g/mの量で、10〜30μm厚さ程度の乾燥膜厚となるように、塗装対象表面に塗布される。塗装方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、刷毛塗りが挙げられる。
塗装後の一次防錆塗料を乾燥・硬化させるには、常温あるいは加熱下に一次防錆塗料中の溶剤を揮散させればよい。このように溶剤を揮散させると、大気中の水分によってシロキサン系結合剤(a1)の架橋による硬化が促進されて、一次防錆塗膜が形成される。
なお、上述の一次防錆塗料の塗装に先立ち、ショットブラストやサンドブラスト等の処理によって塗装対象の黒皮や赤錆などを除去する。通常、このブラスト処理と塗装とは連続的に行われる。
一次防錆塗膜が形成される塗装対象は、主に船舶、橋梁、プラントなどの大型鋼構造物用鋼材であって、一次防錆塗膜は、建造工程の溶接、切断などに支障を与えることなく、建造期間中の鋼材を錆から守ることを主目的としている。さらに建造中にエポキシ系、タールエポキシ系、塩化ゴム系、油性系、エポキシエステル系、アクリル系、ビニル系、無機ジンク系などの防食塗料を上塗りすることができ、本発明の一次防錆塗膜は、このような上塗塗膜との密着性にも優れている。
本発明の一次防錆塗膜付き鋼板は、鋼板と、前記鋼板表面に、上述の一次防錆塗料組成物の各構成成分を混合して得られた一次防錆塗料から形成された一次防錆塗膜とを有する。このような一次防錆塗膜付き鋼板は、常法に従って製造することができる。前記鋼板としては、例えば、船舶、橋梁、プラントなどの大型鋼構造物用鋼材が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
以下の実施例等において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を意味する。
<引火点>
1気圧における引火点はJIS K2265の規定に基づき、セタ密閉式引火点測定器(製造元:STANHOPE SETA、製品名:Seta Multifrash Automatic Flashpoint Tester -Small Scale Rapid Equilibrium Flashpoint Model、BaseUnit 24000-0、Small Scale 34700-0)により測定を行った。
〔調製例A1〕
エチルシリケート40(コルコート(株)製)350gと工業用エタノール150gとを混合した液の中に、脱イオン水50gと35質量%塩酸0.5gとを混合した触媒液を攪拌しながら加え、50℃で3時間保持した後、イソプロピルアルコール449.5gを加えて、第一成分(A)である結合剤含有成分(A1)(引火点:13.5℃)を調製した。
〔調製例B1〕
キシレン12部、イソブチルアルコール6部、酢酸n−ブチル6部、カリ長石26部、酸化チタン1部、カーボンブラック0.5部、沈降防止剤1.5部、酸化亜鉛2部、三酸化モリブデン1部、および亜鉛粉末44部をポリエチレン容器に投入して、ペイントシェーカーで2時間均一に混合分散し、第2成分(B)である色相グレーSの亜鉛末含有成分(B1)を調製した。
〔調製例B2〜B7、比較調製例B1〜B4〕
調製例B1において、亜鉛末含有成分の配合組成を表1に記載したとおりに変更したこと以外は調製例B1と同様にして、第2成分(B)である色相グレーSの亜鉛末含有成分(B2)〜(B7)、(Bc1)〜(Bc4)を調製した。
〔調製例C1〕
キシレン28部、イソブチルアルコール14部、酢酸n−ブチル14部、カリ長石35部、フタロシアニングリーン6部、沈降防止剤3部をポリエチレン容器に配合して、ペイントシェーカーで2時間均一に混合分散して、第3成分(C)である色相グリーンYの着色種含有成分(C1)(引火点:23.5℃)を調製した。
[実施例1]
結合剤含有成分(A1)と亜鉛末含有成分(B1)とを質量比率(A1:B1)が40:60となる割合で混合し、一次防錆塗料組成物からなる塗料を調製した。
[実施例2〜5、7、比較例1〜4]
実施例1において、亜鉛末含有成分(B1)に代えて表1に記載の亜鉛末含有成分を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次防錆塗料組成物からなる塗料を調製した。
[実施例6]
結合剤含有成分(A1)と亜鉛末含有成分(B6)と着色種含有成分(C1)とを質量比率(A1:B6:C1)が40:60:3となる割合で混合し、一次防錆塗料組成物からなる塗料を調製した。
上記方法で得られた各塗料を下記性能試験に供した。その試験結果を表1に示す。
〈塗料の可使時間〉
上記塗料の可使時間は、エアレス塗装が可能な塗料状態である時間で評価を行った。JIS K5600の規格に従い、23℃±2℃、50%±5%の下で、塗料の状態(粘度)を確認した。
〈塗膜の乾燥性〉
上記塗料を用いて、5℃・10%RHの環境下で、構造用鋼板(JIS G3101) SS400、150mm×70mm×2.3mm(サンドブラスト加工処理済み)にウェット膜厚75μmのアプリケーターで塗装を行い、JIS K5600−1−1規定の各乾燥時間(指触乾燥、半硬化乾燥)を測定した。
〈塗膜の硬化性〉
上記〈塗膜の乾燥性〉と同様の方法・環境下で塗装を行い、そのまま5℃・10%RHの環境に放置し、塗装1日後の塗膜の硬化性について、JIS K5600−5−4規定の鉛筆硬度およびJIS K5600−5−6規定の付着性(クロスカット法、カットの間隔:4mm)によって評価を行った。
〈塗膜の防錆性(屋外暴露耐候性)〉
上記塗料を、エアスプレーガンを用いて、構造用鋼板(JIS G3101) SS400、150mm×70mm×2.3mm(サンドブラスト加工処理済み)に、その乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、23℃・50%RHの恒温恒湿室内で7日間乾燥して試験片を得た。得られた試験片を中国塗料(株)大竹研究所に設けた屋外暴露試験台(ISO南面、45度)に設置し、6ヵ月後の塗膜状態(発錆)をASTM D−160の基準に従って評価した。
Figure 2013043986

Claims (11)

  1. (A)シロキサン系結合剤(a1)を含有する第1成分、および
    (B)亜鉛末(b1)と、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(b2)とを含有し、1気圧における引火点が21℃以上である第2成分
    を有する一次防錆塗料組成物。
  2. 前記酢酸エステル溶剤(b2)の相対蒸発速度(酢酸n−ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対値)が、60以上である、請求項1に記載の一次防錆塗料組成物。
  3. 前記酢酸エステル溶剤(b2)が、酢酸n−ブチルである、請求項1または2に記載の一次防錆塗料組成物。
  4. 前記第2成分(B)が、1気圧における引火点が21℃以上の有機溶剤(b3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(b2)を除く。)をさらに含有し、前記酢酸エステル溶剤(b2)および前記有機溶剤(b3)の質量比(b3/b2)が0.25〜12である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
  5. 前記第2成分(B)において、1気圧における引火点が21℃未満の有機溶剤の含有量が第2成分(B)の0.5質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
  6. 前記第1成分(A)と前記第2成分(B)との合計質量に対する、前記第1成分(A)および前記第2成分(B)に含まれうる、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量が、1〜11質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
  7. (C)着色顔料(c1)を含有する第3成分
    をさらに有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物。
  8. 前記第3成分(C)が、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤(c2)と、1気圧における引火点が21℃以上の有機溶剤(c3)(ただし、前記酢酸エステル溶剤(c2)を除く。)とをさらに含有する、請求項7に記載の一次防錆塗料組成物。
  9. 前記第1成分(A)と前記第2成分(B)と前記第3成分(C)との合計質量に対する、前記第1成分(A)、前記第2成分(B)および前記第3成分(C)に含まれうる、1気圧における引火点が21℃以上の酢酸エステル溶剤の合計量が、1〜11質量%である、請求項7または8に記載の一次防錆塗料組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の一次防錆塗料組成物の各構成成分を混合して得られた一次防錆塗料から形成された一次防錆塗膜。
  11. 鋼板と、
    前記鋼板表面に形成された、請求項10に記載の一次防錆塗膜と
    を有する一次防錆塗膜付き鋼板。
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