JP2018134606A - 塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外観の良好な塗膜を、低コストで短時間に形成できる塗膜形成方法を提供する。【解決手段】対象物1に塗料組成物を用いて第一の塗膜4を形成し、第一の塗膜4上に第二の塗膜5を形成する塗膜形成方法であって、塗料組成物は、(A)樹脂材料と添加剤とを含む固形分と、(B)30〜70重量%の溶媒成分と、を含有し、溶媒成分(B)の全体に占める、(i)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5以上である高揮発性溶媒成分の含有割合が70〜98重量%であり、(ii)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5未満である低揮発性溶媒成分の含有割合が2〜30重量%である塗膜形成方法である。【選択図】 図1

Description

本発明は、塗膜形成方法に関する。
建築物等の構造物、鉄道車両や自動車等の移動体の多くには、意匠性の付与や外部環境からの保護等を目的として、塗装が施されている。例えば移動体においては、美観の付与や空力抵抗の低減のため、塗膜表面を平滑にすることが求められる。金属表面に塗膜を形成する場合には、金属表面をブラスト処理などで荒らした後、錆止めプライマ塗布、パテ付け、サフェーサ塗布、中塗り塗布、上塗り塗布等の手順を経ることにより、複数の層を形成し、平滑な塗膜表面を得ることが行われている。
塗膜の乾燥は、常温で放置するか、又は塗装ブースや乾燥炉等の加熱設備を用いて加熱処理することにより行われている。塗膜形成では、これらの乾燥処理に長時間を要するため、その時間短縮が求められている。例えば特許文献1には、各塗装ゾーンで自動車ボディWの外面及び内面に形成した各ウェット塗膜を、焼き付けゾーン26で同時に焼き付け硬化するウェットオンウェット塗装を行い、複数の層を有する塗膜を短時間で形成可能とした塗装設備が開示されている。
特開2015−9222号公報
特許文献1の技術では、ウェット塗膜を乾燥させる焼き付けゾーン26の設備が必要となるため、その分、塗膜形成用の設備全体が大きくなり、また設備費用が増大する。例えば、鉄道車両のような大型の対象物にウェットオンウェット塗装を適用する場合には、塗膜形成用に巨大な設備が必要となるため、設備設置用に広大な面積を要し、また設備投資費用や稼動コストも高額になる。
そこで、本発明の目的は、外観の良好な塗膜を、低コストで短時間に形成できる塗膜形成方法を提供することにある。
本発明に係る塗膜形成方法の好ましい実施形態としては、対象物に塗料組成物を用いて第一の塗膜を形成し、前記第一の塗膜上に第二の塗膜を形成する塗膜形成方法であって、前記塗料組成物は、(A)樹脂材料と添加剤とを含む固形分と、(B)30〜70重量%の溶媒成分と、を含有し、前記溶媒成分(B)の全体に占める、(i)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5以上である高揮発性溶媒成分の含有割合が70〜98重量%であり、(ii)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5未満である低揮発性溶媒成分の含有割合が2〜30重量%であることを特徴とする。
本発明によれば、外観の良好な塗膜を、低コストで短時間に形成できる塗膜形成方法を実現することができる。
実施形態1に係る塗膜形成方法の処理工程のフローチャートを示す。 参考例に係る塗膜形成方法の処理工程のフローチャートを示す図である。 実施形態1に係る塗膜形成方法により得られた塗膜の断面を示す。 塗装を施工した鉄道車両の側面図である。 実施例1〜実施例12の評価結果の表を示す図である。 比較例1〜比較例4の評価結果の表を示す図である。
実施形態1
以下、実施形態1に係る塗膜形成方法について説明する。図1に、実施形態1に係る塗膜形成方法の処理工程のフローチャートを示し、図3に、実施形態1に係る塗膜形成方法により得られた塗膜の断面を示す。実施形態1に係る塗膜形成方法は、主に、ブラスト処理、プライマー塗装(錆止め)、パテ付け、サフェーサ塗装、中塗り塗装、上塗り塗装の工程を有している。
実施形態1に係る塗膜形成方法は、第一の塗膜の形成工程として、例えばサフェーサ塗装を、後述する所定の塗料組成物を用いて行うことにより、サフェーサ塗装の後、長時間の乾燥工程や研磨工程を経ることなく、第二の塗膜の形成工程として中塗り塗装を行うことができる。以下に、図1のフローチャートに従って、実施形態1に係る塗膜形成方法を説明する。
まず、対象物である基材1のブラスト処理を行う(ステップ101)。ブラスト処理は、基材1表面に粒子を高速で衝突させることにより、基材1表面に付着した汚れや錆を除去し、また基材1表面に凹凸を付与して基材1に対する塗膜の密着性を向上させる処理である。
基材1としては、例えばアルミ、ステンレス、鋼材、マグネシウム、及びそれらの合金等の金属材料、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維、カーボンファイバ等を含む繊維強化プラスチック材料、ガラス、アルミナ等のセラミックス材料、又はこれらの複合体が挙げられる。
ブラスト処理には、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理、サンドブラスト処理などの方法があるが、これらに限定されるものではない。例えばグリッドブラスト処理は、鋭利な形状を有する平均粒径10〜100μm程度の鋼破砕粒子等を、遠心力や圧縮空気を用いて基材1表面に投射する。
ステップ101は、基材1の材料に応じて、上記したブラスト処理による方法から、研磨紙等を用いる方法に変更してもよい。例えば、基材1が樹脂材料である場合、基材1表面にブラスト処理を行うと、投射材が樹脂材料に入り込み、基材1からの除去が困難になることがある。従って、基材1が樹脂材料等の硬度の低い材料である場合には、ステップ101を、研磨紙を用いた研磨により行ってもよい。
次に、ブラスト処理した基材1の表面にプライマー塗装を行い、基材1の表面を被覆するプライマー層2を形成する(ステップ102、S103)。プライマー層2は、基材1が金属材料である場合には、基材1の腐食を防止し、かつその上に形成される層との密着性を向上させる層である。また、基材1が金属材料以外である場合にも、プライマー層2は、その上に形成される層との密着性を向上させる層として形成される。
プライマー塗装は、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を主成分とし、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を添加剤として含有する塗料組成物を用いて行うことができる。プライマー層用の塗料組成物には、上記した金属酸化物に加えて、添加剤として防錆剤を別途含有させることも可能である。このように調整したプライマー塗装用の塗料組成物を、例えばスプレー等により、ブラスト処理した基材1の表面に吹き付けて、概ね1〜10時間程度の時間で塗料の膜を形成し(ステップ102)、その後乾燥を行って(ステップ103)、プライマー層2を形成する。プライマー塗装は、乾燥後のプライマー層2の膜厚が、例えば30〜80μmとなるように行うことができる。
プライマー層2の乾燥工程(ステップ103)は、常温下で5〜20時間程度、又は60〜80℃で10〜60分程度で行うことができる。
次に、プライマー層2上にパテを塗布してパテ付けを行い、パテ層3を形成する(ステップ104、105)。パテ付けは、基材1に生じている凹部にパテを埋め込み、平滑化を行なうことで塗膜全体の美観を向上させるものである。パテとしては、例えばポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料を主成分とし、タルク等の金属酸化物を添加剤として含有させたものを用いることができる。このようにして調製したパテを、プライマー層2の表面にヘラ等で塗り付け、概ね1〜10時間程度でパテ付け(ステップ104)を行った後、乾燥を行って(ステップ105)、パテ層3を形成する。
パテ付けは、乾燥後のパテ層3の膜厚が、例えば0.5〜2mmとなるように行うことができる。乾燥工程(ステップ105)は、例えば常温下で3〜20時間程度放置することにより行うことができる。乾燥後、例えば研磨紙(#80〜300)を用いてパテ層3の表面を研磨し、その表面を平滑にする(ステップ106)。
次に、パテ層3上にサフェーサ塗装を行い、パテ層3を被覆するサフェーサ層4を形成する(ステップ107)。サフェーサ層4は、パテ層3の表面に生じた小さな傷やボイドを埋め、且つ次ステップにて形成する中塗り層5との密着性を向上させる層である。
サフェーサ塗装は、例えばポリウレタン樹脂等の樹脂材料を主成分とし、添加剤として顔料であるタルク、酸化チタン等の金属酸化物を含有する固形分(A)と、溶媒成分(B)とを含有するサフェーサ塗装用の塗料組成物を使用する。サフェーサ塗装では、上記した塗料組成物を、例えばスプレー等によりパテ層3の表面に吹き付けて、概ね1〜10時間程度の時間で塗料の膜を形成し、常温下で10〜60分程度放置して乾燥を行ってサフェーサ層4を形成する(ステップ107)。サフェーサ塗装は、乾燥後のサフェーサ層4の膜厚が、例えば1〜20μmとなるように行うことができる。
サフェーサ塗装の塗料組成物としては、揮発成分である溶媒成分(B)の含有量が30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%であるものを用いることができる。溶媒成分(B)の含有量が30重量%未満であると、塗料組成物の流動性が低下し、パテ層3の平滑な研磨面に沿った、平滑なサフェーサ層4を得ることが困難になる。このため、サフェーサ層4表面の研磨を行う必要が生じることがある。一方、溶媒成分(B)が70重量%を超えると、乾燥に時間を要する。
溶媒成分(B)としては、酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5以上である高揮発性溶媒成分(i)(以下、単に高揮発性溶媒成分(i)という)の、溶媒成分(B)全体に占める含有割合が70〜98重量%であり、酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5未満である低揮発性溶媒成分(ii)(以下、単に低揮発性溶媒成分(ii)という)の、溶媒成分(B)全体に占める含有割合が2〜30重量%であるものを用いることができる。
溶媒成分(B)を100重量%としたとき、溶媒成分(B)に占める高揮発性溶媒成分(i)の割合が70重量%未満である場合、低揮発性溶媒成分(ii)の溶媒成分(B)全体に占める割合が15重量%以上となるため、溶媒成分(B)の蒸発速度が遅くなり、乾燥処理に長時間を要する。一方、溶媒成分(B)を100重量%としたとき、溶媒成分(B)に占める高揮発性溶媒成分(i)の割合が85重量%を超えると、乾燥速度が速くなりすぎてサフェーサ層4における残留応力が高くなり、割れ等の不具合を生ずることがある。
溶媒成分(B)全体に占める高揮発性溶媒成分(i)の含有割合は、85〜98重量%であることが好ましく、溶媒成分(B)全体に占める低揮発性溶媒成分(ii)の含有割合は、2〜15重量%であることがより好ましい。
高揮発性溶媒成分(i)としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、エタノール、ブタノール、ヘキサノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類等の化合物が挙げられるが、これに限定されるものでは無い。
また、低揮発性溶媒成分(ii)としては、ノナン、デカン、ウンデカン等の飽和炭化水素、クメン、ジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素、オクタノール、2−オクタノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジブチルイソブチルケトン、4−ヒドロキシー4−メチルペンタノン等のケトン類、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類等の化合物やナフサ等が挙げられるが、これに限定されるものでは無い。
なお、蒸発速度は、下記の式(1)を用いて算出することができる。(Comparison of Steady State Evaporation Models for Toxic Chemical Spills, ENVIRONMENTAL RESEARCH PAPERS, No.1047 (1989) P26参照)
E=Km×Mw×Pv/(R×T) …(1)
なお、上記(式1)における記号は、それぞれ以下のものを示す。
E:蒸発速度(kg/(s・m))、Km:物質移動係数(m/s)、Mw:分子量(g/mol)、Pv:蒸気圧(Pa)、R:気体定数(J/(kmol・K))、 T:温度(K)
酢酸ブチルは、一般的な塗料用の溶剤として多用されている成分であり、この酢酸ブチルを基準1として、各溶媒成分の蒸発し易さを表すことができる。この場合、比較対象となる溶媒成分の分子量に所定温度における蒸気圧を乗じた値を、酢酸ブチルの分子量に所定温度における蒸気圧を乗じた値で除すことで表すことができる。
次に、サフェーサ層4上に中塗り塗装を行い、中塗り層5を形成する(ステップ108、109、110)。中塗り層5は、サフェーサ層4と上塗り層6の中間に形成される層であり、上塗り層6に対する平滑な下地形成と、上塗り層6の補強のための層である。
中塗り塗装の塗料組成物は、一般に、上塗り用の塗料組成物と同じ色味のものが用いられる。中塗り塗装は、ポリウレタン樹脂等の樹脂材料を主成分とし、酸化チタン等の金属酸化物を添加剤として含有する塗料組成物を用いて行うことができる。このように調整した中塗り用の塗料組成物を、例えばスプレー等によりサフェーサ層4上に吹き付けて、概ね1〜10時間程度の時間で塗料の膜を形成し(ステップ108)、乾燥を行って(ステップ109)、中塗り層5を形成する。
中塗り塗装は、乾燥後の中塗り層5の膜厚が、例えば10〜60μmとなるように行うことができる。また、乾燥工程(ステップ109)は、常温下で14時間以上、又は60〜80℃で10〜60分程度で行なうことができる。乾燥後、例えば研磨紙(#300〜400)を用いて中塗り層5の表面を研磨して、平滑にする(ステップ110)。
次に、中塗り層5上に上塗り塗装を行い、上塗り層6を形成する(ステップ111、112)。上塗り層6は、塗膜の最表層となる層であり、塗膜全体の美観を付与するものである。
上塗り塗装の塗料組成物は、中塗り用の塗料組成物と同じ色味のものを用いることがよい。上塗り塗装は、ポリウレタン樹脂等の樹脂材料を主成分とし、酸化チタン等の金属酸化物を添加剤として含有する塗料組成物を用いることができる。このように調整した上塗り用の塗料組成物を、例えばスプレー等により中塗り層5上に吹き付けて、概ね1〜10時間程度で塗料の膜を形成し(ステップ111)、乾燥を行って(ステップ112)、上塗り層6を形成する。
上塗り塗装は、乾燥後の上塗り層6の膜厚が、例えば10〜60μmとなるように行うことができる。また、乾燥工程(ステップ112)は、常温下で14時間以上、又は60〜80℃で10〜60分程度で行なうことができる。
以上説明した実施形態1に係る塗膜形成方法は、上記した所定の塗料組成物を用いてサフェーサ塗装を行うことにより、サフェーサ塗装の後、長時間の乾燥工程や、加熱処理を用いた乾燥工程を経ることなく、中塗り塗装を行うことができる。従って、塗膜形成に要する設備投資費用や設備の設置面積の増大を招いたり、塗膜形成に要するエネルギーの増大を招いたりすることなく、塗膜の形成に要する時間を削減することができる。
また、実施形態1に係る塗膜形成方法によれば、上記したように、サフェーサ塗装の後、長時間の乾燥工程を経ることなく中塗り塗装を行っても、外観や膜強度等の特性に優れた塗膜を形成することが可能となる。
また、塗膜のメンテナンスを行う際、例えばサフェーサ塗装に上記した塗料組成物を用いることで、メンテナンス時間を短縮することができる。従って、メンテナンス後の塗装体を早期に提供することができ、例えば鉄道車両や自動車等を、メンテナンスにより稼働できない期間を短縮することができる。
なお、実施形態1では、溶媒成分(B)を30〜70重量%含有し、溶媒成分(B)の全体に占める(i)高揮発性溶媒成分の含有割合が70〜98重量%であり、(ii)低揮発性溶媒成分の含有割合が2〜30重量%である塗料組成物を、サフェーサ塗装に用いた例を示した。但し、このような塗料組成物を、サフェーサ塗装以外の塗装工程に適用することも可能である。例えば、プライマー塗装に適用することも可能であり、中塗り塗装、上塗り塗装に適用することも可能である。その場合には、各塗膜形成に適した樹脂材料及び添加剤を含む固形分(A)を、高揮発性溶媒成分(i)及び低揮発性溶媒成分(ii)を含む溶媒成分(B)で希釈し、それぞれの含有割合が上記範囲を満たすように調整して、各塗装工程用の塗料組成物を調製すればよい。
従って、固形分(A)に含まれる樹脂材料としては、ポリウレタン樹脂だけでなく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂等の樹脂材料を適用することが可能である。また、固形分(A)の添加剤としては、顔料となる金属酸化物以外にも、例えばUV吸収剤や酸化防止剤等の劣化防止剤や、防錆剤等を含有していてもよい。
但し、図3に示す各層の中でも、サフェーサ層4は、乾燥後の塗膜の厚さが1〜20μmと薄いため、上記した塗料組成物を用いた塗膜形成に適している。
以上説明した各塗装工程では、塗料組成物の主成分となる樹脂材料自体を溶媒成分と混合して塗料組成物を調製してもよく、塗料組成物の主成分となる樹脂材料の前駆体を溶媒成分と混合した主剤と、主剤に含まれる前駆体と重合する単量体を溶媒成分と混合した硬化剤とを、混合しつつ重合させることで、塗料組成物を調製してもよい。
(参考例)
次に、実施形態1との比較のため、参考例を示す。参考例では、上記した組成範囲に調製した塗料組成物を用いずに、サフェーサ塗装を行う場合について検証した。
図2は、参考例に係る塗膜形成方法の処理工程のフローチャートを示す図である。参考例では、サフェーサ塗装(ステップ207)の塗料組成物として、塗料組成物に占める溶媒成分(B)の含有割合が45重量%であり、溶媒成分(B)の全体に占める高揮発性溶媒成分(i)の含有割合が100重量%であるものを使用した場合について検証した。なお、サフェーサ塗装の塗料組成物の固形分(A)としては、参考例においても、ポリウレタン樹脂を主成分とし、タルク、酸化チタン等の金属酸化物を含有するものとした場合について検証した。参考例は、(ステップ207)及び後述する(ステップ207−1)、(ステップ207−2)以外の工程は、実施形態1の(ステップ101)〜(ステップ106)、(ステップ108)〜(ステップ112)と同様である。
参考例では、上記した塗料組成物をスプレーによりパテ層3上に吹きつけて、乾燥後のサフェーサ層4の膜厚が1〜20μmとなるように、1〜10時間程度で塗料の膜を形成した。上記のように形成した塗料の膜は、20時間未満の乾燥工程の後、次層の中塗り層5を形成すると、サフェーサ層4と中塗り層5とが混ざり合い、中塗り層5にムラ等の不具合が発生した。従って、サフェーサ層4と中塗り層5とを、良好な外観、強度を有する膜として形成するには、常温下で20時間以上の乾燥を行う乾燥工程が必要であった(ステップ207−1)。また、乾燥処理のために長時間放置したことで、サフェーサ層4の表面には異物等が付着したため、表面の異物を除去するために、研磨工程(ステップ207−2)が必要となった。
従って、参考例では、実施形態1と比較して、塗膜形成に長時間を要した。具体的には、図5中Q1〜Q5の各工程単位毎に、それぞれ1日を要したため、全工程に5日間を要した。これに対し、実施形態1に係る塗膜形成方法では、サフェーサ塗装の後、短時間放置しただけで中塗り塗装を行うことができるため、参考例よりも短い期間で塗膜形成を行うことができる。具体的には、上記した参考例で検証したのと同等の規模の対象物について塗膜形成を行う場合、図4中P1〜P4の各工程単位毎が、それぞれ1日を要するため、全行程を、概ね4日間で行うことが可能である。
実施形態2
<移動体>
図4は、塗装を施工した鉄道車両の側面図である。図4に示すように、鉄道車両11の外壁は、その側面部17及び天井である上面部15が、金属板を加工した加工材により形成されている。鉄道車両11の側面部17には、開閉扉であるドア部13や窓部14が設けられている。また、鉄道車両11の上面部15には、パンタグラフ16が設けられている。鉄道車両11の底面部18の外壁には、車輪12が設けられている。
鉄道車両11の外壁には、実施形態1に係る塗膜形成方法により塗膜が形成される。鉄道車両11の外壁を構成する金属材の表面を、実施形態1で説明した塗膜により被覆することで、金属材の表面が物理的に保護され、異物や雨水をはじめとする金属材表面への直接的な接触が防止される。このため、金属材表面における、金属腐食の発生を効果的に防止することができる。また、塗膜を構成するパテ層3により、鉄道車両11の外壁に生ずる加工歪を隠蔽することができるため、外壁の表面凹凸を抑制して、鉄道車両の走行時の空気抵抗を低減することができる。更に、着色された上塗り層6を塗膜表面に形成することにより、意匠性を鉄道車両11に付与することができる。
上記において説明した塗装について、以下に具体的に説明する。まず、図3に示す基材1としてアルミニウム板を準備した。具体的には、Al−Mg−Si系合金(6000系アルミニウム合金)のうち、6N01合金を用いた。アルミニウム板は、200mm×300mm、厚さ2mmのものを使用した。
(ブラスト処理)
ブラスト処理は、研削材として粒子径0.5mmの鋼砕粒子を、投射速度35m/sにてアルミニウム板へ吹き付けることで行なった。吹き付け終了後は、エアブローを行い、研削材の残留が無いことを目視で確認した。
(プライマー塗装)
プライマー塗装は、ユニエポック30プライマーNC赤さび塗料液(日本ペイント製)とユニエポック30プライマー硬化剤(日本ペイント製)とを重量比6:1で混合した塗料組成物を用いて行った。この混合液をシンナーで希釈し、塗装に適した粘度に調整しながらスプレーで約50μmの膜厚になるように塗装し、常温で16時間の自然乾燥を行って、プライマー層2を形成した。
(パテ付け)
パテ付けは、NAXパテライトフレックスT(日本ペイント製)とNAX BESブラウンハードナー(日本ペイント製)を重量比100:3で混合した塗料組成物を用いて行った。この混合液をNAXポリパテうすめ液で希釈し、適切な粘度に調整しながら、へらで約1.2mmの膜厚になるように塗布し、常温で16時間の自然乾燥を行って、パテ層3を形成した。
パテの乾燥後、#120の研磨紙を用いて、パテ層3を約1.0mmの膜厚になるまで研磨し、表面を平滑化した。
(サフェーサ塗装)
サフェーサ塗装は、ポリオールと無機粒子を主成分として含有する主剤と、ポリイソシアネートを主成分として含有する硬化剤とを混合し、この混合液を、希釈剤(シンナー)により塗装に適した粘度に希釈して得られた塗料組成物を、スプレーで約30μmの膜厚になるように塗装して行った。
主剤は、固形分の含有量を75重量%とし、主剤の溶媒成分の全成分を100重量%とした場合に、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有量を86重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有量を14重量%としたものを使用した。
硬化剤は、固形分を40重量%とし、硬化剤の溶媒成分の全成分を100重量%とした場合に、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)を100重量%、低揮発性溶媒成分(ii)を0重量%とした。このようにして調整した主剤と硬化剤とを、5:1(重量比)の割合で混合した。
この混合物を、希釈剤(高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)を90重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)を10重量%含む混合液)で希釈して適正な粘度に調製し、サフェーサ塗装用の塗料組成物を得た。得られた塗料組成物における、固形分(A)の割合は55重量%(溶媒成分(B)の割合は45重量%)であり、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)の含有割合が90重量%であり、低揮発性溶媒成分(ii)の含有割合が10重量%であった。
サフェーサ塗装後、常温で30分の自然乾燥を行った。自然乾燥後のサフェーサ層4表面は、触手にてベタツキが無く、転写もされないことを確認した。
サフェーサ層4の乾燥後、#240の研磨紙を用いて、サフェーサ層4を約30μmの膜厚になるまで研磨した。
(中塗り塗装)
中塗り塗装は、NAXマイティラックG−II KB型(日本ペイント製)とNAXマイティラックG−II KB型ハードナー(日本ペイント製)とを重量比4:1で混合して得られた塗料組成物を用いて行った。この塗料組成物をNAXマイティラックG−II500スタンダードシンナーで適切な粘度に調整しながら、スプレーで約60μmの膜厚になるように塗布し、常温で16時間の自然乾燥を行なって、中塗り層5を形成した。中塗り層5の乾燥後、#400の研磨紙を用いて、約40μmの膜厚になるまで中塗り層5を研磨し、表面を平滑化した。
(上塗り塗装)
上塗り塗装は、中塗りと同塗料であるNAXマイティラックG−II KB型(日本ペイント製)とNAXマイティラックG−II KB型ハードナー(日本ペイント製)とを重量比4:1で混合して得られた塗料組成物を用いて行った。この塗料組成物をNAXマイティラックG−II500スタンダードシンナーで適切な粘度に調整しながら、スプレーで約40μmの膜厚になるように塗布し、常温で16時間の自然乾燥を行って、上塗り層6を形成した。
得られた塗膜を目視にて確認したところ、ムラ、割れや剥離のない塗膜であることが確認された。
上記工程によって得られた塗膜について、以下に示す方法により、外観、密着性、耐衝撃性、引掻き硬度を評価した。評価結果を図5に示す。なお、外観、密着性、耐衝撃性、引掻き硬度の評価は、実施例2〜12及び比較例1〜4においても、以下に示す評価基準と同様の基準で行った。
(外観)
塗膜の外観については、次のように評価した。目視にて、光沢があり、欠陥が無く、平滑な塗膜である場合を「○」、光沢が小さい、又は欠陥がある、又は表面に凹凸がある塗膜である場合を「△」、下層と混ざり変色が見られる塗膜である場合を「×」とした。
(密着性)
アルミニウム板への塗膜の密着性については、次のように評価した。まず、塗膜に対して、アルミニウム板に達する切れ目を碁盤目状に形成した。具体的には、カッターナイフを用いて、縦方向及び横方向の直線状の切れ目を、それぞれ11本ずつ互いに交差するように形成した。直線状の切れ目は、それぞれ2mm間隔で形成した。これにより、切れ目で囲まれた2mm×2mmの正方形を、塗膜上に合計100個形成した。換言すれば、直線状の切れ目により、20mm×20mmの領域が碁盤目状に分割された塗膜を形成した。
次いで、塗膜の碁盤目状の領域に、セロハンテープを密着させた後、このセロハンテープを上方に一気に引き上げて、引き剥がした。セロハンテープの密着及び引き剥がしの作業を3回繰り返した。その結果、碁盤目状に分割された領域において剥離した塗膜の面積を目視で算出し、碁盤目状の領域全体の面積に対する、剥離部分の面積の割合を、欠損率(剥離率)として算出した。得られた欠損率(剥離率)を用いて、以下の基準で密着性の良否を判定した。欠損率が0%の場合を「○」、欠損率が0%を超えて15%未満の場合を「△」、欠損率が15%以上の場合を「×」とした。
(耐衝撃性)
耐衝撃性は、耐おもり落下性(JIS K5600−5−3)デュポン式に基づいて評価した。厚さ0.8mmのアルミニウム板に塗膜形成した試験片を用いて、直径1/2インチの撃芯に、質量500gのおもりを20cmの高さから落下させて、以下の基準で耐衝撃性の良否を判定した。割れ・剥離が無い場合を「○」、割れが発生しているが剥離が無い場合を「△」、剥離が発生した場合を「×」とした。
(引掻き硬度)
引掻き硬度は、鉛筆硬度試験(JIS K5600−5−4)に基づいて評価した。鉛筆硬度試験は、試料(この場合、アルミニウム板上の塗膜)の表面に鉛筆の芯を押付けながら、鉛筆を動かし、試料表面の傷付きの有無により、用いた鉛筆の芯の硬さを指標として、引掻き硬度を定量化する方法である。H以上の場合を「○」、HB〜Bの場合を「△」、2B以下を「×」とした。
上記で説明したようにして、得られた塗膜について行った外観、密着性、耐衝撃性、引掻き硬度の評価結果を図5に示す。また、実施例2〜12及び比較例1〜4についても、各評価項目について同様の評価行った。その評価結果を図5、図6に示す。
サフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を40重量%(溶媒成分(B)を60重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合を85重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合を15重量%としたものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を30重量%(溶媒成分(B)を70重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合を85重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合を15重量%としたものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を40重量%(溶媒成分(B)を60重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合を98重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合を2重量%としたものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を70重量%(溶媒成分(B)を30重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合を98重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合を2重量%としたものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物の溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)として、トルエン、ジブチルエーテルの混合溶媒を用い、低揮発性溶媒成分(ii)として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジブチルイソブチルケトンの混合溶媒を用いた点以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物の溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)として、メチルイソブチルケトンを用い、低揮発性溶媒成分(ii)として、シクロヘキサノンを用いた点以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物の溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)として、オクタン、ヘキサノールの混合溶媒を用い、低揮発性溶媒成分(ii)として、プロピレングリコールモノブチルエーテルを用いた点以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物の溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)として、イソブタノールを用い、低揮発性溶媒成分(ii)として、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタノンを用いた点以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
サフェーサ層用塗料組成物の溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)として、トルエンとキシレンの混合溶媒を用い、低揮発性溶媒成分(ii)として、エチレングリコールモノエチルエーテルを用いた点以外は実施例1と同様にして、アルミニウム板上に塗膜を形成した。
アルミニウム板に代えて、基材1として、図4に示す鉄道車両11の外壁を用いた。これ以外は、実施例1と同様にして塗膜を形成した。鉄道車両11の外壁は、アルミニウム製のものを使用した。このような鉄道車両11の外壁において、側面部17における下方の領域A1、A2に、実施例1と同様にして、塗膜を形成した。この鉄道車両11を、通常の走行車両として社内の実験設備で3か月間使用した。3か月間使用した後の鉄道車両11について、領域A1、A2に形成された塗膜の外観、密着性及び引掻き硬度を実施例1と同様にして評価した。
基材1として、自動車の外壁を用いた。これ以外は、実施例1と同様にして、塗膜を形成した。自動車の外壁は、鋼板製のものを使用した。この自動車を、通常の走行車両として3か月間使用した。3か月間使用した後の自動車の塗膜について、外観、密着性及び引掻き硬度を実施例1と同様にして評価した。
(比較例1)
基材1として、実施例1で用いたものと同様のアルミニウム板を使用し、このアルミニウム板に、実施例1と同様に、ブラスト処理、プライマー塗装、パテ付け・パテ研磨を行った。次いで、主剤と硬化剤とを混合した後のサフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を55重量%(溶媒成分(B)を45重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)の含有割合が0重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン)の含有割合が100重量%であるものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、サフェーサ層4を形成した。
サフェーサ層4形成後、常温で30分の自然乾燥を行なった。自然乾燥後のサフェーサ層4の表面を触手にて確認したところ、ベタツキが認められた。さらに常温で自然乾燥を行なったところ、ベタツキが無くなるまで約24時間を要した。
比較例1では、サフェーサ塗装後、常温で30分間自然乾燥した時点での、サフェーサ層4の表面の一部に、実施例1と同様にして中塗り塗装を行ったところ、サフェーサ層4と中塗り層5とが混ざり合い、上塗り層6の形成を行えなかった。このため、比較例1では、中塗り層5を形成した状態での、外観、密着性、耐衝撃性、引掻き強度を評価した。
(比較例2)
基材1として、実施例1で用いたものと同様のアルミニウム板を使用し、このアルミニウム板に、実施例1と同様に、ブラスト処理、プライマー塗装、パテ付け・パテ研磨を行った。次いで、主剤と硬化剤とを混合した後のサフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を30重量%(溶媒成分(B)を70重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン)の含有割合が100重量%であるものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、サフェーサ層4を形成した。
サフェーサ層4形成後、常温で30分の自然乾燥を行なった。自然乾燥後のサフェーサ層4の表面を触手にて確認し、ベタツキが無く、転写もされないことを確認した後、実施例1と同様にして、サフェーサ層研磨、中塗り塗装・中塗り層研磨、上塗り塗装を行った。
(比較例3)
基材1として、実施例1で用いたものと同様のアルミニウム板を使用し、このアルミニウム板に、実施例1と同様に、ブラスト処理、プライマー塗装、パテ付け・パテ研磨を行った。次いで、主剤と硬化剤とを混合した後のサフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を5重量%(溶媒成分(B)を95重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合が90重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合が10重量%であるものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、サフェーサ層4を形成した。
サフェーサ層4形成後、常温で30分の自然乾燥を行なった。自然乾燥後のサフェーサ層4の表面を触手にて確認し、ベタツキが無く、転写もされないことを確認した後、実施例1と同様にして、サフェーサ層研磨、中塗り塗装・中塗り層研磨、上塗り塗装を行った。
(比較例4)
基材1として、実施例1で用いたものと同様のアルミニウム板を使用し、このアルミニウム板に、実施例1と同様に、ブラスト処理、プライマー塗装、パテ付け・パテ研磨を行った。次いで、主剤と硬化剤とを混合した後のサフェーサ層用塗料組成物として、固形分(A)を75重量%(溶媒成分(B)を25重量%)含有し、溶媒成分(B)のうち、高揮発性溶媒成分(i)(キシレン、酢酸ブチルの混合溶媒)の含有割合が90重量%、低揮発性溶媒成分(ii)(クメン、ナフサの混合溶媒)の含有割合が10重量%であるものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、サフェーサ層4を形成した。
サフェーサ塗装後、常温で30分の自然乾燥を行なった。自然乾燥後のサフェーサ層4の表面を触手にて確認し、ベタツキが無く、転写もされないことを確認した後、実施例1と同様にして、サフェーサ層研磨、中塗り塗装・中塗り層研磨、上塗り塗装を行った。
(実施例と比較例の対比)
実施例1〜10によれば、サフェーサ塗装用の塗料組成物として、高揮発性溶媒成分(i)を70〜98重量%、低揮発性溶媒成分(ii)を2〜30重量%含有する溶媒成分(B)を、30〜70重量%含有するものを用いることで、サフェーサ塗装と中塗り塗装との間で長時間の乾燥を行わなくても、外観が良好で、密着性に優れ、耐衝撃性及び硬度の高い塗膜を得ることができた。
また、実施例11〜12では、鉄道車両又は自動車の外壁に形成した塗膜の外観を、3ヶ月間使用後の状態について目視で確認したところ、割れや剥離、破損等の欠陥は確認されず、また密着性、引掻き強度についても良好な結果が得られた。
比較例1では、上記したように、30分間の乾燥ではサフェーサ層用の塗料組成物の溶媒が十分揮発せず、中塗り層5、上塗り層6の形成に不具合を生じた。また、比較例1では、中塗り層5がサフェーサ層4と混ざり合い、中塗り層5にムラが発生して外観に劣り、引掻き強度にも劣るものであった。
一方、比較例2では、塗膜の外観は良好であったものの、サフェーサ層4の乾燥時における、溶媒の揮発速度が速過ぎたため、十分な密着性を得られず、また耐衝撃性にも劣るものであった。
また、比較例3では、溶媒成分(B)の含有割合が多過ぎるため、サフェーサ塗装時に液だれが生じ、光沢が小さく外観に劣り、また引掻き強度も劣るものであった。また、比較例4では、サフェーサ層用の塗料組成物の溶媒成分(B)の含有割合が少な過ぎるため、塗膜表面にムラが生じ、外観に劣り、密着性、耐衝撃性にも劣るものであった。
以上説明した実施形態に係る塗膜形成方法により形成される塗膜の適用対象は、移動体に限られない。例えば、ビルや橋梁等のインフラ構造物、屋内において使用される機械設備、建築物、産業機器等の電気製品、サニタリー製品等を適用対象とした場合にも、優れた作業性と物性を得ることができる。
また、移動体とは、鉄道車両や自動車を代表とする移動体のみならず、移動体の一種として、建設機械やエレベータにも適用可能である。本願明細書においては、上記したように車輪等を動作させ自走する手段又はワイヤやモータ等を用いることで駆動する手段を有することで装置自体が移動するものを移動体という。
さらに、本発明は、屋外で使用される太陽光発電装置、太陽光発電モジュールや風力発電機、風力発電モジュール等の発電機器の分野にも適用することが可能である。
1…基材、2…プライマー層、3…パテ層、4…サフェーサ層、5…中塗り層、6…上塗り層、11…鉄道車両、12…車輪、13…ドア部、14…窓部、15…上面部、16…パンタグラフ、17…側面部、18底面部

Claims (8)

  1. 対象物に塗料組成物を用いて第一の塗膜を形成し、前記第一の塗膜上に第二の塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
    前記塗料組成物は、
    (A)樹脂材料と添加剤とを含む固形分と、
    (B)30〜70重量%の溶媒成分と、を含有し、
    前記溶媒成分(B)の全体に占める、(i)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5以上である高揮発性溶媒成分の含有割合が70〜98重量%であり、(ii)酢酸ブチルを基準1とする蒸発速度が0.5未満である低揮発性溶媒成分の含有割合が2〜30重量%であることを特徴とする塗膜形成方法。
  2. 前記溶媒成分(B)の全体に占める前記高揮発性溶媒成分(i)の含有割合が85〜98重量%である塗料組成物を用いて、前記第一の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  3. 前記溶媒成分(B)を40〜60重量%含有する塗料組成物を用いて、前記第一の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  4. 前記第一の層を、1〜20μmの厚さで形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  5. 前記高揮発性溶媒成分(i)として、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも一を含有する塗料組成物を用いて、前記第一の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  6. 前記低揮発性溶媒成分(ii)として、ノナン、デカン、ウンデカン、クメン、ジプロピルベンゼン、オクタノール、2-オクタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジブチルイソブチルケトン、4−ヒドロキシー4−メチルペンタノン、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一を用いて、前記第一の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  7. 前記樹脂材料として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂を含有する塗料組成物を用いて、前記第一の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
  8. ブラスト処理した前記対象物上に、前記対象物を被覆するプライマー層を形成し、
    前記プライマー層上に、パテを塗布してパテ層を形成し、
    前記パテ層上に、前記第一の塗膜として、前記パテ層を被覆するサフェーサ層を前記塗料組成物を用いて形成し、
    前記サフェーサ層上に、前記第二の塗膜として中塗り層を形成し、
    前記中塗り層上に上塗り層を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の塗膜形成方法。
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