JP2013043200A - 鍔付き多角形状部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多角形部の角部を精度良く成形することができる鍔付き多角形状部品の製造方法を提供する。
【解決手段】軸状のブランク1aを据え込み、このブランク1aの所定箇所に多角形部3と鍔部4を合わせた体積を有し、かつ多角形部3の外接円にほぼ等しい直径を有して成る円柱状部5を予備成形する。次に、ダイに設けられた多角形凹部に前記円柱状部5を絞って多角形部3を成形する。最後に、前記多角形部3の絞りに伴って生じた余肉を含む前記円柱状部5の残余の部分を据え込んで鍔部4を成形する。このように外接円にほぼ等しい直径の円柱状部5を絞り成形することにより、多角形部3の角部には十分に肉が回り、多角形部3を精度良く成形することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、多角形部に連設して鍔部が設けられた鍔付き多角形状部品の製造方法に関する。
従来、多角形状部品の多角形部は、特許文献1や特許文献2に示されたトリミング加工法によって製造されている。このトリミング加工法は、多角形部の外接円以上の直径の円柱状に予備成形されたブランクの外周をトリミングパンチにより切り落として所望の多角形部を得るものである。このようなトリミング加工法を用いることにより、多角形部の角部分を丸みを帯びない正確な形状に仕上げることができる。しかし、多角形部の一端に外方に張り出す鍔部が一体成形されている鍔付き多角形状部品を成形する場合は、鍔部があることでブランクの余肉を切り落とすことができないため、前述のトリミング加工法を用いることができない。そこで、このような鍔付き多角形状部品は、通常、据え込みにより圧造成形されている。すなわち、まず、図5(a)に示すように、軸上の所定箇所に多角形部と鍔部を合わせた体積を有し、かつ多角形部の内接円にほぼ等しい直径を有して成る円柱状部11を予備成形したブランク10aを据え込み成形する。次に、図5(b)に示すように、円柱状部11を多角形部と鍔部に相当する形状の凹部を備えたダイ(図示せず)に据え込み、円柱状部11を多角形部12と鍔部13に成形する。
特公平3−37812号公報 特許第3656180号公報
しかし、上記従来の鍔付き多角形状部品の製造方法においては、多角形部12の内接円の直径の円柱状部11をダイに据え込むため、ダイにおけるブランク10aの肉の流れが不十分となり、図5(b)に示すように、特に多角形部12の角部への肉の流れが不足して多角形部12を正確に成形することができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、多角形部の角部を精度良く成形することができる鍔付き多角形状部品の製造方法の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、多角形部と、この多角形部に連設するとともに多角形部から外方に張り出す鍔部とを軸線上に一体成形して成る鍔付き多角形状部品の製造方法であって、軸状のブランクを据込み、このブランクの所定箇所に多角形部と鍔部を合わせた体積を有し、かつ多角形部の外接円にほぼ等しい直径を有して成る円柱状部を予備成形し、ダイに設けられた多角形部に相当する形状の多角形凹部に前記円柱状部を絞り込んで多角形部を成形し、前記多角形部の絞り成形に伴って生じる余肉を含む前記円柱状部の残余の部分を据え込んで鍔部を成形することを特徴とする。
本発明によれば、ブランクに多角形部の外接円にほぼ等しい直径の円柱状部を予備成形し、この円柱状部を絞りながら据え込んで多角形部を成形するものであるため、ダイにおけるブランクの肉の流れが十分となり、特に多角形部の角部を肉がしっかり回った正確な形状に圧造成形することができる。また、多角形部を絞り成形することにより、トリミング加工に比べて多角形部の表面を滑らかに成形することができ、鍔付き多角形状部品の美観を向上することができるとともに、表面の磨き工程などの後工程をなくして、鍔付き多角形状部品の製造を効率化できる等の利点もある。さらに、絞りによって生じた余肉を鍔部の成形に利用しているため、材料の損失のない鍔付き多角形状部品の圧造成形を実現することが可能となる等の利点もある。
鍔付き多角形状部品の一例を示す図であって、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図である。 本発明に係る鍔付き多角形状部品の製造方法におけるブランクの形態変化を示す説明図である。 本発明に係る鍔付き多角形状部品の製造方法の工程説明図である。 本発明に係る鍔付き多角形状部品の製造方法の工程説明図である。 本発明に係る鍔付き多角形状部品の製造方法の工程説明図である。 従来の鍔付き多角形状部品の製造方法の説明図である。
図1において、1は本発明に係る製造方法で製造された鍔付き多角形状部品(以下、単に部品という)の一例である。この部品1は、中実軸2の途中に軸線と直交する断面形状を六角形と成した多角形部3を成形し、この多角形部3の一端に鍔部4を一体成形して構成される。鍔部4は、多角形部3の外方に張り出しており、軸線に直行する断面形状が円形を成すよう構成されている。また、中実軸2の鍔部4に連設する軸部2aは、多角形部3に連設する軸部2bよりも太い直径に構成されており、これら両軸部2a,2bには、後工程でねじ山が転造成形される。
前記部品1を製造するには、まず、図2(a)に示すように、軸部2a,2bと、これに挟まれた円柱状部5とが一体に予備成形されたブランク1aを得る。具体的には、図3(a)に示すように軸状のブランク1aを分割ダイ20,21にセットし、このブランク1aの一端をノックアウトピン22で規制する。この状態で、図3(b)に示すように、パンチ23で押圧して据え込み成形する。これにより得られたブランク1aの円柱状部5は、多角形部3と鍔部4とを合わせた体積を有し、その直径が、多角形部3の外接円にほぼ等しい直径、好ましくは同外接円よりも僅かに小さい直径になるように成形されている。また、この円柱状部5の軸部2b側の端部は直径が徐々にすぼまるテーパに成形されており、後述の絞り工程においてダイ30の多角形凹部32への圧入が円滑に行われるように構成されている。
次に、図2(b)に示すように、ブランク1aに多角形部3を絞り成形する。ここで用いるダイ30には、図4(a)に示すように、開口側から順に、多角形部3の外接円とほぼ等しい直径で前記円柱状部5が嵌合可能に構成された円柱状凹部31と、多角形部3に近似する形状の多角形凹部32と、軸部2bが嵌合する穴部33とが連設されている。また、このダイ30に対向する位置にはブランク1aをダイ30に押圧するためのパンチ40が設けられており、このパンチ40には軸部2aが嵌合する穴部41が設けられている。前記穴部33と穴部41には、それぞれノックアウトピン34,42が常時挿通・位置決めされており、圧造時、このノックアウトピン34,42によってブランク1aの軸部2a,2bが軸方向に延びないように規制できるよう構成されている。
ブランク1aに多角形部3を絞り成形するには、図4(b)に示すように多角形凹部32の開口端に前記ブランク1aの円柱状部5を載置し、この状態で図4(c)に示すように、軸部2a,2bの各軸端をノックアウトピン34,42で規制し、パンチ40を下降させて円柱状部5をダイ30に押圧する。これにより、多角形部3の外接円とほぼ等しい直径の円柱状部5は、多角形凹部32に絞り込まれ、これによって多角形部3が成形される。この時、円柱状部5はテーパになった端部から多角形凹部32に絞り込まれるため、多角形凹部32による絞りが円滑に行われる。また、多角形部3の外接円とほぼ等しい直径の円柱状部5を多角形凹部32で絞ることにより、角部に丸みのない正確な形状の多角形部3を成形することができる。この多角形部3の絞り成形に伴って円柱状部5には余肉が生じるが、この余肉は円柱状部5の残余の部分、すなわちパンチ側の部分に寄せられる。ここは円柱状凹部31に規制されていることから、余肉は同凹部31に沿って円柱状部5の残余の部分と一体となって円柱状に成形される。
最後に、図2(c)に示すように鍔部4を据え込み成形して部品1を得る。ここで用いるダイ50には、図5(a)に示すように、開口側から順に、鍔部4に相当する形状の環状凹部51と、多角形部3に相当する形状の多角形凹部52と、軸部2bが嵌合する穴部53とが連設されている。また、このダイ50に対向する位置にはブランク1aをダイ50に押圧するためのパンチ60が設けられており、このパンチ60には軸部2aが嵌合する穴部61が設けられている。前記穴部53と穴部61には、それぞれノックアウトピン54,62が常時挿通・位置決めされており、圧造時、このノックアウトピン54,62によってブランク1aの軸部2a,2bが軸方向に延びないように規制できるよう構成されている。
多角形部3が絞り成形されたブランク1aに鍔部4を成形するには、図5(b)に示すように多角形凹部52に前記ブランク1aの多角形部3を嵌合し、この状態で図5(c)に示すように、軸部2a,2bの各軸端をノックアウトピン54,62で規制し、パンチ60を下降させて円柱状部5をダイ50に押圧する。これにより、前述の多角形部3の絞り成形で残った円柱状部5は環状凹部51に沿って変形し、これにより鍔部4が成形される。このように、多角形部3の絞り成形時に生じた余肉を鍔部4の据え込み成形に利用しているため、材料損失のない部品1の圧造成形を実現することができる。また、この工程では多角形凹部52に多角形部3を押圧して仕上げることができ、多角形部3の精度をさらに高めることができる。
なお、本発明の実施の形態では、多角形部3が六角形の部品について説明したが、多角形部は例えば五角形や八角形など、他の多角形状の部品であっても得られる効果は同様である。
1 部品
1a ブランク
2 中実軸
2a 軸部
2b 軸部
3 多角形部
4 鍔部
5 円柱状部
20,21 分割ダイ
23 パンチ
30 ダイ
40 パンチ
50 ダイ
60 パンチ
従来、多角形状部品の多角形部は、特許文献1や特許文献2に示されたトリミング加工法によって製造されている。このトリミング加工法は、多角形部の外接円以上の直径の円柱状に予備成形されたブランクの外周をトリミングパンチにより切り落として所望の多角形部を得るものである。このようなトリミング加工法を用いることにより、多角形部の角部分を丸みを帯びない正確な形状に仕上げることができる。しかし、多角形部の一端に外方に張り出す鍔部が一体成形されている鍔付き多角形状部品を成形する場合は、鍔部があることでブランクの余肉を切り落とすことができないため、前述のトリミング加工法を用いることができない。そこで、このような鍔付き多角形状部品は、通常、据え込みにより圧造成形されている。すなわち、まず、図(a)に示すように、軸上の所定箇所に多角形部と鍔部を合わせた体積を有し、かつ多角形部の内接円にほぼ等しい直径を有して成る円柱状部11を予備成形したブランク10aを据え込み成形する。次に、図(b)に示すように、円柱状部11を多角形部と鍔部に相当する形状の凹部を備えたダイ(図示せず)に据え込み、円柱状部11を多角形部12と鍔部13に成形する。
しかし、上記従来の鍔付き多角形状部品の製造方法においては、多角形部12の内接円の直径の円柱状部11をダイに据え込むため、ダイにおけるブランク10aの肉の流れが不十分となり、図(b)に示すように、特に多角形部12の角部への肉の流れが不足して多角形部12を正確に成形することができなかった。

Claims (1)

  1. 多角形部と、この多角形部に連設するとともに多角形部から外方に張り出す鍔部とを軸線上に一体成形して成る鍔付き多角形状部品の製造方法であって、
    軸状のブランクを据込み、このブランクの所定箇所に多角形部と鍔部を合わせた体積を有し、かつ多角形部の外接円にほぼ等しい直径を有して成る円柱状部を予備成形し、
    ダイに設けられた多角形部に相当する形状の多角形凹部に前記円柱状部を絞り込んで多角形部を成形し、
    前記多角形部の絞り成形に伴って生じる余肉を含む前記円柱状部の残余の部分を据え込んで鍔部を成形することを特徴とする鍔付き多角形状部品の製造方法。
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